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特許7552633記録装置、撮影装置、時刻設定制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】記録装置、撮影装置、時刻設定制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/92 20060101AFI20240910BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20240910BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20240910BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
H04N5/92 010
G04G5/00 J
G04G21/00 D
H04N23/60 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022037694
(22)【出願日】2022-03-11
(65)【公開番号】P2023132404
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 宗幸
(72)【発明者】
【氏名】林 由也
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-077366(JP,A)
【文献】特開2010-237844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 - 5/956
G04G 3/00 - 99/00
H04N 23/40 - 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計数する計時部と、
データを記録する記録部と、
外部との通信接続を行う通信部と、
前記記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として前記計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付け、前記通信部を介して外部と通信接続された後に外部から前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得し、前記修正先時刻が直近の前記データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける制御部と、
を備える記録装置。
【請求項2】
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記直近のデータに対応付けられている前記記録時刻よりも前である第1条件が含まれる請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記計時時刻よりも前である第2条件が含まれる請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
自機の動作有無の切り替えに係る操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記所定の条件には、前記操作受付部が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初のデータを取得してから動作を停止するまでの間である第3条件が含まれる
請求項1~3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
自機の動作有無の切り替えに係る操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記計時時刻よりも前であり、かつ前記操作受付部が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初のデータを取得してから動作を停止するまでの間である第4条件が含まれる
請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、外部から前記修正先時刻が受信された場合に、当該修正先時刻の送信元との間での通信の所要時間を取得し、前記修正先時刻を前記所要時間で補正する請求項1~5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
時刻を計数する計時部と、
光学系と当該光学系を介して入射した光を検出する検出部とを有し、当該検出部が検出した光により撮影画像データを生成して記録する撮影部と、
外部との通信接続を行う通信部と、
前記撮影部が撮影画像データを記録するタイミングにおける時刻を記録時刻として前記計時部が計数する計時時刻に基づいて前記撮影画像データに対応付け、前記通信部を介して外部と通信接続された後に外部から前記計時部が計数する計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得し、前記修正先時刻が直近の前記撮影画像データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記撮影画像データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける制御部と、
を備える撮影装置。
【請求項8】
データを記録する記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付ける時刻設定ステップ、
通信部が外部との通信接続を行う通信ステップ、
前記通信部を介して外部と通信接続された後に外部から前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得する修正情報取得ステップ、
を含み、
前記時刻設定ステップでは、
前記修正先時刻が直近の前記データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける
時刻設定制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
データを記録する記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付ける時刻設定手段、
外部との通信接続を行う通信部を介して外部と通信接続された後に外部から前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得する修正情報取得手段、
として機能させ、
前記時刻設定手段では、
前記修正先時刻が直近のデータに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録装置、撮影装置、時刻設定制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
可視光撮影や赤外線撮影などを行ってデジタル撮影データを記録する撮影装置や、録音を行ってデジタル音声データを記録する録音装置などの記録装置は、計時機能を有し、データの記録タイミングにおける日時情報が記録データに対応付けられて保持される。
【0003】
しかしながら、記録装置の多くは単独で動作するので、ユーザが適切に計時している日時の調整を行わないと、しばしば記録データに付される記録日時が不正確になる。特許文献1には、カメラにおいて電池交換などに伴って日時情報がリセットされて、その後正しくない日時が撮影データに付された場合でも、外部の正確な日時情報を取得した際に、撮影データに付されている日時を正確な記録日時に修正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-186953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、データ記録装置が継続的に時刻を計数しているだけであっても、この時刻のずれは使用環境などに応じて不均一に大きくなっていく。このようなずれは、後に修正するのが難しく、ずれが大きくなってから一度に時刻を修正して撮影時刻として利用すると、その前後で見かけ上の撮影順序が合わなくなるといった不都合が生じ得る。
【0006】
この発明の目的は、自機で計数する時刻の修正に伴う不都合の発生を抑制することのできる記録装置、撮影装置、時刻設定制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
時刻を計数する計時部と、
データを記録する記録部と、
外部との通信接続を行う通信部と、
前記記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として前記計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付け、前記通信部を介して外部と通信接続された後に外部から前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得し、前記修正先時刻が直近の前記データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける制御部と、
を備える記録装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うと、自機で計数する時刻の修正に伴う不都合の発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の記録システムを示す図である。
図2】撮影装置及び処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】撮影制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図4】撮影装置と処理装置との間での通信内容及び処理のタイミングを示すシーケンス図を示す。
図5】日時修正制御処理の制御手順の第1例及び第2例をそれぞれ示すフローチャートである。
図6】日時修正制御処理の制御手順の第3例及び第4例をそれぞれ示すフローチャートである。
図7】日時修正制御処理の制御手順の第5例を示すフローチャートである。
図8】日時修正制御処理の制御手順の第6例を示すフローチャートである。
図9】処理装置で実行される日時情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
図10】日時修正制御処理の制御手順の第6例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の記録システム100を示す図である。
記録システム100は、撮影装置1と、処理装置4と、を含み、ルータ7を介して無線通信接続が可能となっている。特には限られないが、記録システム100は、医療用画像の取得管理を行う構成であり、撮影装置1で撮影された画像データを処理装置4が取得して、患者と対応付けて保持又は外部の医療管理システムに出力する。
【0011】
本実施形態の記録装置である撮影装置1は、デジタルカメラであり、入射光を検出して画像データを生成する。ここでいう記録装置とは、何らかの記録対象のデータをあるタイミング又は限られた期間に検出、計測して記録する装置であり、撮影装置の他、録音装置や、力学、熱力学及び/又は電磁気学などに係る各種物理量を計測する物理センサなどが含まれ得る。撮影装置(デジタルカメラ)には、特定の条件を満たすイベントを感知して動作又は記録データの保存をするイベント記録装置などを含む。また、物理センサには、単発又は間欠的に、主に担当者の命令に応じて実行されて、人間の生命状態や活動状態などの計測を行う生体センサが含まれる。一方で、個々の記録命令やイベントの発生とは関係なく、連続的(間隔が非常に短い、例えば、1秒間隔以下など)に記録動作が続けられるライブカメラや監視センサなどは含まれない。
【0012】
処理装置4は、例えば、PC(Personal Computer)であり、撮影装置1の撮影画像データを取得、管理するアプリケーションプログラム(プログラム431)が実行される。PCは、デスクトップ型であってもよいし、ノート型であってもよい。あるいは処理装置4は、タブレット端末などであってもよい。
【0013】
撮影装置1及び処理装置4は、例えば、無線通信、例えば、WiFiによるデータの送受信が可能である。
【0014】
図2は、撮影装置1及び処理装置4の機能構成を示すブロック図である。
撮影装置1は、CPU11(Central Processing Unit;制御部)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、計時部14と、通信部15と、操作受付部16と、表示部17と、撮影部18(記録部)などを備える。
【0015】
CPU11は、演算処理を行い、撮影装置1の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU11は、単一のプロセッサを有していてもよいし、複数のプロセッサが並列又は用途ごとに独立して動作してもよい。CPU11は、撮影部18により撮影動作がなされて撮影画像データが生成されるタイミングで計時部14の日時を取得して、当該日時を撮影日時(記録日時)として記録画像データに対応付ける(時刻設定ステップ、時刻設定手段)。
【0016】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、特に限定するものではないが、例えばDRAMである。
【0017】
記憶部13は、フラッシュメモリなどの不揮発性のメモリを有する。記憶部13は、設定データ、撮影画像データ及びプログラム131を記憶する。設定データには、撮影画像データを出力する処理装置4の識別情報が含まれていてもよいし、単純に通信接続された外部機器から要求があった場合には撮影画像データを出力することとしてもよい。
【0018】
計時部14は、現在の日時を計数する。ここでいう計時部14は、ハードウェアとしてCPU11が動作していないときでも継続的に日時の計数を行うカウンタ(RTC;Real Time Clock)に加えて、図示略の発振回路によるクロック信号をCPU11により計数する日時計数機能を含む。
【0019】
通信部15は、外部機器とのデータの送受信を予め定められた通信規格により制御する。通信規格は、例えば、無線LAN(WiFi)などであってよく、これに加えて又は代えて、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信であってもよい。通信部15は、これらの通信を行うためのネットワークカードを有する。また、通信部15は、USB(Universal Serial Bus)などの直接通信に係る接続端子を有していてもよい。
【0020】
操作受付部16は、ユーザの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた操作信号をCPU11へ出力する。操作受付部16は、例えば、押しボタンスイッチ、回転スイッチ、スライドスイッチ、タッチパネルなどの一部又は全部が含まれ得る。操作受付部16は、例えば、撮影装置1(自機)の動作有無(オンオフ)を切り替えるための操作を受け付けるスイッチ、及び撮影のシャッターを切るための操作を受け付けるスイッチなどを含む。
【0021】
表示部17は、撮影の視野方向のプレビュー画像や撮影された画像の表示や、撮影メニューの表示などを行うディスプレイを有する。ディスプレイは、例えば、液晶表示画面(LCD)である。
上記のうち、少なくともCPU11、RAM12及び通信部15が本実施形態のコンピュータに含まれる。
【0022】
撮影部18は、視野方向の画像を撮影して撮影画像データを生成(記録)する。撮影部18は、レンズなどの光学系とCMOSセンサやCCDセンサなどの検出部を有し、視野範囲内に入射して光学系を介して検出部に送られた光の光量を二次元配列された画素単位で検出して、当該画素単位の輝度分布として画像データを生成、記録する。
【0023】
撮影装置1は、例えば、乾電池や充電池などを着脱可能又は充電池を内蔵して各部に電力を供給する。これに加えて又は代えて、撮影装置1は、電源端子に接続される電源ケーブルを介して外部から電力供給を受けての動作が可能であってもよい。また、このときに充電池が供給される電力によって充電可能であってもよい。
【0024】
上記に加えて、撮影装置1は発光部を有し、撮影対象を適宜な照度となるように照らすことが可能であってもよい。
【0025】
処理装置4(情報処理装置)は、CPU41(制御部)と、RAM42と、記憶部43と、計時部44と、通信部45と、操作受付部46と、表示部47などを備える。
CPU41は、演算処理を行い、処理装置4の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU41は、単一のプロセッサを有していてもよいし、複数のプロセッサが並列又は用途ごとに独立して動作してもよい。
【0026】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42は、特に限定するものではないが、例えばDRAMである。
【0027】
記憶部43は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリを有する。記憶部43は、設定データ、撮影装置1から取得した撮影画像データを含む医療情報及びプログラム431を記憶する。設定データには、撮影画像データを取得するために通信接続する対象の撮影装置1の識別情報が含まれていてよい。
【0028】
計時部44は、現在の日時を計数する。ここでいう計時部44は、ハードウェアとしてCPU41が動作していないときでも継続的に日時の計数を行うカウンタ(RTC;Real Time Clock)に加えて、図示略の発振回路によるクロック信号をCPU41により計数する日時計数機能を含む。
PCは、一般的にNTP(Network Time Protocol)サーバなどの時刻情報配信サーバに定期的に接続されて日時が取得され、計時部44の計数する日時が調整されるので、その日時のずれは小さく留められている。
【0029】
通信部45は、外部機器とのデータの送受信を予め定められた通信規格により制御する。通信規格には、撮影装置1との間で通信可能に当該撮影装置1と共通のもの、ここでは、無線LAN(WiFi)が含まれ、これに加えて有線のLANに係るTCP/IPやUDPなどが含まれていてよい。通信部45は、上記の通信が可能なネットワークカード(ボード)を有する。また、通信部45は、USB(Universal Serial Bus)などによる直接通信に係る接続端子を有していてもよい。
【0030】
操作受付部46は、ユーザの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた操作信号をCPU41へ出力する。操作受付部46は、例えば、マウスなどのポインティングデバイスや、キーボードなどを有する。また、操作受付部46は、処理装置4の電源スイッチやリセットスイッチなども含み得る。
【0031】
表示部47は、ディスプレイを有し、CPU41の制御に基づいて表示を行う。ディスプレイは、例えば、液晶表示画面(LCD)である。また、表示部47には、動作状態などを示すためのLEDランプなどが含まれていてもよい。
なお、操作受付部46及び/又は表示部47は、通信部45の接続端子を介して接続される周辺機器(処理装置4の外部の構成)であってもよい。
【0032】
次に、本実施形態の時刻設定制御方法について説明する。
撮影装置1では、画像の撮影がなされると、計時部14から撮影タイミング(記録するタイミング)の日時を取得して、生成した撮影画像のデータに対して記録日時として対応付けて記憶させる。
【0033】
図3は、撮影制御処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。この撮影制御処理は、操作受付部16が撮影操作(シャッターボタンの押下など)を受け付けるごとに開始される。
【0034】
CPU11は、撮影動作に応じて計時部14から撮影タイミングの日時を取得する(ステップS11)。CPU11は、撮影動作により撮影部18の検出部で検出された入射光の輝度分布に基づいて、定められているフォーマットの撮影画像データを生成し、記憶部13に記憶させる(ステップS12)。フォーマットは特には限られないが、例えば、JPEGフォーマットなどである。
【0035】
CPU11は、取得した日時を撮影画像データの記録日時として当該撮影画像データに対応付けて記憶する(ステップS13)。ここでいう対応付けは、撮影画像本体のデータと同一ファイル内であってもよいし別個に管理されるものであってもよいが、例えば、撮影画像本体のデータに付されるメタデータなどに含まれるものであってもよい。そして、CPU11は、撮影制御処理を終了する。
このように、本実施形態の撮影装置1では、記録日時は、単純に計時部14から得られればよい。
【0036】
上記の撮影動作及び撮影画像データに対する撮影日時の対応付けとは独立して、撮影装置1では、日時修正動作が行われる。
撮影装置1の撮影画像データと処理装置4などが有する他の情報の取得タイミングなどの整合を取るには、処理装置4と撮影装置1で計時部14、44の日時が概ね一致している必要がある。一般的に、撮影装置1の側で日時の修正の入力設定を手動で行うのは煩わしく、処理装置4などと接続されずに単独で撮影動作を行い、又は電力供給が停止された状態では、計時部14による計時日時の調整が行われないので、そのまま放置されると、計時日時が正確な日時から徐々に(例えば、時計程度の精度で一日当たり最大約0.5秒、一般的なPCで状況がよくない場合の精度(1万分の1)では一日当たり最大約8.6秒)ずれてゆく。したがって、使用環境などによっては、容易に数秒~数分程度のずれが生じ得る。しかしながら、撮影装置1による撮影画像データが外部の医療情報などと統合されて管理される場合に、撮影装置1との間で日時のずれがあると、ずれた記録日時が対応付けられている撮影画像データの統合に支障を来す場合がある。また、特に医療データでは、撮影画像データに付された日時を後から修正可能とすることは、不正な改竄につながることから好ましくないので、当初からなるべく正確な撮影日時が付される必要がある。
【0037】
そこで、撮影装置1は、処理装置4と通信接続される際に、処理装置4のプログラム431の実行により計時部44の計数する日時に基づいて日時データを容易に通信部15を介して処理装置4(外部)から受信可能とされる。処理装置4でプログラム431が起動されると、表示部47に表示される画面を介して、ユーザは容易に撮影装置1への日時データの送信を要求する操作を行うことができる。あるいは、プログラム431では、設定に応じて、少なくとも当該プログラム431の起動時に撮影装置1と通信接続が可能か否かを確認し、通信接続が可能であって通信接続された場合には、自動的に日時データを送信することとしてもよい。なお、プログラム431の起動時に撮影装置1が起動されておらず又は通信が可能な場所になく、通信接続がなされなかった場合には、処理装置4から定期的に撮影装置1を探す信号を出力してもよいし、操作受付部46へのある入力操作に応じて撮影装置1を探す信号を出力してもよい。あるいは、撮影装置1の設定によっては、撮影装置1からの通信を待ち受けてもよい。
【0038】
このように診察日ごとに日時が容易に修正されることで、大きな日時ずれが抑制される。
【0039】
図4には、撮影装置1と処理装置4との間での通信内容及び処理のタイミングを示すシーケンス図を示す。
図4(a)に示すように、撮影装置1の動作がオンされ、かつ処理装置4でプログラム431が起動されると、撮影装置1と処理装置4との間で通信接続され、処理装置4から撮影装置1に対して日時情報が送信される。撮影装置1は、この日時情報を受信して、計時部14が計数する日時の修正に係る制御処理を行う。その後、撮影装置1で撮影がなされると、撮影画像データには、その撮影タイミングでの計時部14が計数する日時が付加される。日時データが付された撮影画像データは、随時又は処理装置4からの送信要求(ユーザによる送信要求に基づく)に従って処理装置4へ送信される。処理装置4が取得した撮影画像データは、適宜他の医療データと統合される。
【0040】
ここで、撮影装置1と処理装置4におけるプログラム431がいつも略同一のタイミングで立ち上げられるとは限らない。撮影装置1は、必要に応じて、例えば、ある患者の撮影が終わると、一度電力供給が落とされて、撮影が必要な次の患者の撮影時までオフされた状態となることが多い。この場合には、同日で2回目以降に撮影装置1がオンされるタイミング付近では、処理装置4では、プログラム431が起動されたままの状態であることが多い。この場合には、撮影装置1が起動された直後に日時の修正が行われるので、撮影画像データに付される撮影日時は略正確な状態が維持される。したがって、医療データと統合された後にも、他の医療データ、例えば、撮影された患者の診察時間とのずれなどは生じないので、適切に撮影画像データが管理され得る。
【0041】
一方で、その日の最初の患者の撮影時などでは、処理装置4においてまだプログラム431が起動されていない場合がある。例えば、撮影装置1の動作が開始(オン)されて撮影動作が行われた後にプログラム431が起動されて、通信接続される場合がある。この場合でも、上記のように、診察日ごとに日時が修正されていれば、ずれの絶対値が大きくなることは少ない。
【0042】
しかしながら、図4(b)に示すように、撮影装置1が起動されて「撮影1」が行われた後に、画像を処理装置4で表示するためなどに後から開始された後にプログラム431が起動され、これに伴って日時修正動作が行われた場合に、この日時修正が、計数していた日時を戻すものであるとすると、当該戻した先の日時から戻した元の日時までの間に計時した日時が重複する期間(計時重複期間)が生じる。この間に「撮影2」が行われると、先に行われた「撮影1」の撮影画像データに付される記録日時よりも、後に行われた「撮影2」の撮影画像データに付される記録日時の方が先になる場合があり得る。撮影の順番は、しばしば重要な情報であるので(特に、異なる患者の撮影画像データと取り違えることがあってはいけない)、実際の撮影順と付された記録日時の順番とが反転することは好ましくない。
【0043】
本実施形態の撮影装置1では、外部の処理装置4から日時情報(修正先日時)を取得した場合に、このような記録日時と撮影順の反転を生じ得る日時の変更を生じないように制御を行う。
【0044】
図5は、撮影装置1で実行される日時修正制御処理のCPU11による制御手順の第1例及び第2例をそれぞれ示すフローチャートである。
これらの日時修正制御処理は、処理装置4と通信接続されて日時情報が受信された場合に自動で開始される。
【0045】
図5(a)に示す第1例の日時修正制御処理では、CPU11は、受信した修正先日時Tcを取得する(ステップS101;修正情報取得ステップ、修正情報取得手段)。CPU11は、直近の撮影日時Ts(すなわち、これまでの撮影動作のうち最も新しいものの日時)を取得する(ステップS102)。この直近の撮影日時Tsは、撮影画像データが記憶部13に記憶されていればそのデータを直接読み出してもよいし、撮影画像データと別途記憶保持しておくことで、撮影画像データを外部(処理装置4)へ送信して消去した後でも当該撮影日時Tsを得ることができる。
【0046】
CPU11は、修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsよりも大きい(先である。「大きい」の代わりに「以上」でもよい)(第1条件が成立していない)か否かを判別する(ステップS103)。修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsよりも大きいと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU11は、計時部14の計数する日時(計時日時)を修正先日時Tcで修正する(ステップS104)。そして、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsよりも大きくないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。
【0047】
すなわち、第1例の日時修正制御処理では、CPU11は、直近の撮影日時Ts(撮影画像データの記録日時)よりも前の日時へ遡ることになる場合には日時修正を行わない。
【0048】
図5(b)に示す第2例の日時修正制御処理は、第1例の日時修正制御処理とステップS101、S104の処理は同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0049】
ステップS101の処理の後、CPU11は、撮影装置1を今回起動してから既に撮影動作がなされているか(第3条件が成立しているか)否かを判別する(ステップS111)。撮影動作がなされていないと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、CPU11の処理は、ステップS104へ移行する。撮影動作が既になされていると判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。
【0050】
診察などでは、上記のように患者の入れ替わりなどの間では撮影装置1の動作がオフされる。このオフの期間は、通常、患者の入れ替わり及び患者への説明や質問などの時間を考慮すると、撮影装置1における計時部14の計時日時のずれよりも長くなる。一方で、撮影時には短い時間間隔で続けて複数回の撮影がなされることも多い。したがって、直接直近の撮影日時Tsを取得せずとも、撮影装置1が起動(動作を開始)してから最初の撮影がなされる間にのみ計時部14の計数する日時の修正を可能とすれば、言い換えれば、最初の撮影動作がなされてから動作を停止するまでの間における日時の修正を禁止することで、実際の撮影順に対して撮影画像データに付される撮影日時の順番が反転するのを避けることができる。
【0051】
図6は、撮影装置1で実行される日時修正制御処理のCPU11による制御手順の第3例及び第4例をそれぞれ示すフローチャートである。
図6(a)に示す第3例の日時修正制御処理は、上記第1例のステップS101~S104の処理及び第2例の判別処理(ステップS111)を組み合わせたものである。
【0052】
ステップS101の処理の後に、ステップS111の処理で撮影装置1の起動後に既に撮影動作がなされていて“YES”に分岐した場合、CPU11の処理は、ステップS102の処理へ移行する。すなわち、この撮影装置1では、CPU11は当初、撮影動作の有無のみで判断し、撮影動作があると判別された場合には、直近の撮影日時Tsを取得してより正確に撮影画像データに付される撮影日時の撮影順に対する反転が生じ得ないか否かを判別する(ステップS111の“YES”とステップS103の“NO”の組み合わせ(論理積)が第4条件)。
【0053】
図6(b)に示す第4例の日時修正制御処理は、第2例の日時修正制御処理に対してステップS112、S113の処理が追加されたものである。第1例、第2例の日時修正制御処理と同一の処理内容に対しては同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
ステップS111の判別処理で撮影装置1の起動後に既に撮影動作がなされていて“YES”に分岐した場合、CPU11は、計時部14による計時日時Tpを取得する(ステップS112)。CPU11は、計時日時Tpが修正先日時Tcよりも小さい(遅れている。「小さい」の代わりに「以下」でもよい)(第2条件が成立していない)か否かを判別する(ステップS113)。
【0055】
計時日時Tpが修正先日時Tcよりも小さい(遅れている。後である)と判別された場合には(ステップS113で“YES”)、CPU11の処理は、ステップS104に移行して、計時日時Tpの修正がなされる。計時日時Tpが修正先日時Tcよりも小さくない(進んでいる)と判別された場合には(ステップS113で“NO”)、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。
【0056】
この第4例の日時修正制御処理では、撮影動作がなされた後であっても、日時を進める修正であれば撮影画像データに付される撮影日時が撮影順と異なる順番となることはあり得ないので、この場合にのみ修正を許容することで、修正の機会を増やしている。また、この第4例の処理では、第2例と同様に直近の撮影日時Tsを取得しないので、この撮影日時Tsの情報を保持しておく必要がない。
【0057】
図7は、撮影装置1で実行される日時修正制御処理のCPU11による制御手順の第5例を示すフローチャートである。この第5例の日時修正制御処理では、第1例の日時修正制御処理にステップS121の処理が追加されている。第1例の処理内容と同一の処理内容に関しては同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0058】
ステップS103の判別処理で、直近の撮影日時Tsが修正先日時Tcよりも小さくない(修正先日時Tcが直近の撮影日時Ts以前である)と判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU11は、計時部14の計時日時を直近の撮影日時Tsに修正する(ステップS121)。そして、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。
【0059】
上記のように、実際の撮影順に対して撮影画像データに付された撮影日時の順番が反転しなければよいので、計時部14の計時日時Tpを直近の撮影日時Tsまでは繰り上げる修正を行っても順番の反転は起きない。このように多少でも計時日時Tpを正確な日時に早めに近づけておくことで、次回の修正時における日時の修正幅を短縮できるので、次回に修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsよりも前である可能性を低減することができる。
なお、ここでは、日時の修正タイミングと次の撮影動作とが同時にはならないとの前提で、計時日時Tpを撮影日時Tsに修正しているが、同時となる場合を考慮して、CPU11は撮影日時Tsにある時間(例えば1秒)を加えた日時(撮影日時Tsより後の日時)に計時日時Tpを修正してもよい。
【0060】
図8は、撮影装置1で実行される日時修正制御処理のCPU11による制御手順の第6例を示すフローチャートである。この第6例の日時修正制御処理では、第1例の日時修正制御処理にステップS131、S132の処理が追加されている。第1例の処理内容と同一の処理内容に関しては同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0061】
ステップS103の判別処理で、“NO”に分岐すると、CPU11は、時間差(Ts-Tc)の間待機する(ステップS131)。CPU11は、修正先時刻TcをステップS102で取得されている直近の記録時刻Tsに変更する(ステップS132)。それから、CPU11の処理は、ステップS102へ戻る。
【0062】
すなわち、修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsよりも前の場合には、修正先日時Tcの取得タイミングからこの時間差だけ経過した後には、修正先日時、すなわち、外部で計数されている正確な日時も同じ時間が経過して撮影日時Tsと等しくなるので、そのタイミング(又はこのタイミング以降)で計時日時Tpの修正をすれば、修正先日時が直近の撮影日時Tsよりも小さくはならない。ただし、待機時間の間に新たに撮影動作がなされて、直近の撮影日時Tsが変化して(繰り下がって)いると、依然Ts>Tcが維持されていることになるので、同様に待機を繰り返す必要が生じる。なお、ステップS103の判別処理で“NO”に分岐した状態が続いて計時日時Tpの修正がなされないまま操作受付部16により動作オフの操作が受け付けられた場合(ある規定時間入力操作がない状態が続いて待機状態(CPU11の動作を中断する状態)に移行する場合を含んでもよい)などには、日時の修正をせずに日時修正制御処理を終了してよい。
【0063】
なお、上記の各例とは反対に、日時修正制御処理では必ず計時部14の計時日時Tpを修正する一方で、撮影制御処理において撮影画像データに撮影日時Tsを対応付ける際に、取得された計時日時Tsに対して上記日時修正制御処理での判別結果に応じた補正がなされて撮影日時Tsとされてもよい。この場合、例えば、上記の日時修正制御処理では日時修正が行われない判別結果の場合でも日時修正が行われるとともに、このときに、その時点での撮影日時Tsと修正先日時Tcとの差分を算出して、この差分を補正値として記憶部13に記憶させておく。日時修正が行われる判別結果の場合には、補正値として「0」が設定されればよい。そして、撮影画像データに対しては、計時日時Tpを対応付ける代わりに、求めておいた補正値を計時日時Tpに加算した補正日時を対応付ければよい。この補正値は、次回の日時修正制御処理が実行されるまで、動作がオフされた場合にも保持される。
このような処理を行う撮影装置1では、撮影画像データへの対応付け以外の日時の利用、例えば、表示部17への現在日時の表示などでは、修正後の正確な計時日時Tpが用いられればよい。
【0064】
図9は、処理装置4で実行される日時情報送信処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この日時情報送信処理は、プログラム431に含まれており、プログラム431の起動中に処理装置4と撮影装置1との間で通信接続された場合に呼び出されて実行される。
【0065】
CPU41は、通信接続された撮影装置1に対してpingなどのICMP_ECHOに係るコマンドを送信する(ステップS401)。この送信は1度ではなく複数回であってもよい。CPU41は、ICMP_ECHOに係るコマンドへの応答に基づいて、通信遅延時間(通信の所要時間)を取得する(ステップS402)。複数回のコマンド送信の場合には、平均的な値などにより通信遅延時間が定められればよい。
【0066】
CPU41は、計時部44から現在日時を取得する(ステップS403)。CPU41は、現在日時を通信遅延時間で補正する(ステップS404)。すなわち、CPU41は、通信遅延時間程度現在日時を繰り上げる(遅い時刻とする)。CPU41は、補正された日時を撮影装置1へ送信する(ステップS405)。そして、CPU41は、日時情報送信処理を終了する。
【0067】
なお、通信遅延時間分の補正は、撮影装置1の側で行うこともできる。
図10は、撮影装置1で実行される日時修正制御処理のCPU11による制御手順の第6例を示すフローチャートである。この日時修正制御処理は、第1例の日時修正制御処理にステップS141~S143が追加され、ステップS103、S104がそれぞれステップS103a、S104aに変更されている。その他の同一内容の処理には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0068】
ステップS102の処理の後、CPU11は、処理装置4にpingを送信する(ステップS141)。CPU11は、応答時間に基づいて通信遅延時間を取得する(ステップS142)。CPU11は、得られた通信遅延時間の分だけ修正先日時Tcを遅らせた修正先日時Tcmに修正する(ステップS143)。
【0069】
CPU11は、直近の撮影日時Tsが修正先日時Tcmより小さい(先である)か否かを判別する(ステップS103a)。直近の撮影日時Tsが修正先日時Tcmよりも小さいと判別された場合には(ステップS103aで“YES”)、CPU11は、計時部14の日時を修正先日時Tcmで修正する(ステップS104a)。そして、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。撮影日時Tsが修正先日時Tcmより小さくない(後である)と判別された場合には(ステップS103aで“NO”)、CPU11は、日時修正制御処理を終了する。
【0070】
上記のように、修正先日時Tcに基づく計時日時Tpの修正において、進んでいた当該計時日時Tpが巻き戻されると、撮影装置1で部分的に計時日時Tpが重複することになる。その重複する2回目以降の期間中に撮影がなされると、計時日時Tpにより定められる新たな撮影日時Tsが以前の撮影日時Tsよりも見かけ上前になって、撮影順と撮影日時Tsの順番とが反転する。このような反転の発生を避けるために日時修正を制限又は禁止する判定条件として、修正先日時Tcが直近の撮影日時Tsより前であり得るかを判定する条件(所定の条件)を定めておき、この判定の結果に応じて、撮影装置1(プログラム131)は、日時修正を行うか否か、最終的には、日時の修正がその後に撮影画像データに対応付けられる撮影日時Tsに反映されるかを定める。なお、判定の条件の例として挙げた第1条件~第4条件が全て用いられる必要はなく、いずれか1つであってもよいし互いに相反しない2つ以上の条件の組み合わせであってもよい。また、所定の条件は、各撮影装置1において選択操作などにより可変であってもよいし、初めからプログラム131に予め定められたもので固定されていてもよい。
【0071】
以上のように、本実施形態の撮影装置1は、時刻を計数する計時部14と、撮影画像データを生成、記録する撮影部18と、撮影部18が撮影画像データを記録するタイミングの日時を撮影日時Tsとして計時部14が計数する計時日時Tpに基づいて撮影画像データに対応付けるCPU11と、を備える。CPU11は、計時日時Tpの修正に係る修正先日時Tcを取得し、この修正先日時Tcが直近の撮影画像データに対応付けられている撮影日時Tsよりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する撮影画像データに対して、計時日時Tpが修正先日時Tcに基づいて修正されていない場合の日時を撮影日時Tsとして対応付ける。
このように、修正先日時Tcを取得した場合でも、対応付けられる撮影日時Tsに対し、当該修正先日時Tcが必ずしも反映されないようにすることで、各撮影画像データの本来の撮影順に対して、対応付けられた撮影日時の順番が入れ替わる事態を避けることができる。これにより、他の情報との統合における不都合といった日時の修正に係る不都合の発生を抑制することができる。
【0072】
また、上記の所定の条件には、修正先日時Tcが直近の撮影画像データに対応付けられている撮影日時Tsよりも前である第1条件が含まれる。
このように、撮影日時の順序がひっくり返り得るような修正を単純に行わないことで、容易な処理で、不都合なタイミングでの日時修正を避けることができる。
【0073】
あるいは、所定の条件には、修正先日時Tcが計時日時Tpよりも前である第2条件が含まれていてもよい。このような条件では、日時修正により撮影日時Tsの順番が撮影順とは異なることはあり得ないので、容易に不都合が生じる日時修正を防ぐことができる。
【0074】
また、撮影装置1は、自機の動作有無の切り替えに係る操作を受け付ける操作受付部16を備える。所定の条件には、操作受付部16が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初の撮影画像データを取得してから動作を停止するまでの間である第3条件が含まれる。
このように、日時の修正が可能な期間を撮影装置1の起動から最初の撮影までの間に限ることで、連続した撮影の間の日時の修正により、見かけ上の撮影日時の順序がひっくり返ったり、撮影間隔が不自然に開いたりするのを抑制することができる。
【0075】
あるいは、所定の条件には、修正先日時Tcが計時日時Tpよりも前であり、かつ操作受付部16が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初のデータを取得してから動作を停止するまでの間である第4条件が含まれてもよい。
上記のように撮影動作後に一律に日時修正を禁止せずとも、日時を進める修正であれば、見かけ上の撮影順がひっくり返ることはない。したがって、このような修正を許容することで、より正確な日時に近づけやすくすることができる。
【0076】
また、撮影装置1は、通信部15を備える。CPU11は、通信部15を介して外部から修正先日時を取得する。これにより、撮影装置1は、自機で日時修正の入力操作を行ったり、単独で修正先日時を取得する(例えば、測位衛星からの電波受信など)必要がないので、より容易に日時修正を行いやすくなる。したがって、日時修正を行わないでずれが増大する可能性を抑制することができる。
【0077】
また、CPU11は、外部の処理装置4から修正先日時Tcが受信された場合に、当該修正先日時Tcの送信元(処理装置4)との間での通信の所要時間を取得し、修正先日時Tcを所要時間で補正した修正先時間Tcmを得ることとしてもよい。
【0078】
また、上記のように、撮影画像データを記録する撮影装置1における当該撮影画像データへの記録日時の設定を上記のように制御することで、撮影順も重要な情報となり得る撮影画像データにおかしな順番の撮影日時が付されないようにすることができる。したがって、撮影画像データの取り扱いや他のデータとの統合などがより容易になる。
【0079】
また、本実施形態の時刻設定制御方法は、撮影画像データを生成、記録する撮影部18がデータを記録するタイミングの時刻(日時)を撮影日時Tsとして計時部14が計数する計時日時Tpに基づいて撮影画像データに対応付ける時刻設定ステップ、計時日時Tpの修正に係る修正先日時Tcを取得する修正情報取得ステップ、を含み、時刻設定ステップでは、修正先日時Tcの取得時に、当該修正先日時Tcが直近の撮影画像データに対応付けられている撮影日時Tsよりも前である得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合には、以降に記録する撮影画像データに対して、計時日時Tpが修正先日時Tcに基づいて修正されていない場合の日時を撮影日時Tsとして対応付ける。これは、上記実施形態のように、計時日時Tp自体を修正先日時Tcで修正せずに、そのまま撮影日時Tsとして用いる場合を含む。すなわち、所定の条件に係る判定は、撮影日時Tsの対応付けのタイミングではなく、事前(修正情報の取得時)に行われたものであってもよく、撮影日時Tsの対応付け時には単純に修正された/されなかった計時日時Tpが利用されるだけであってもよい。
このような時刻設定制御方法によれば、撮影画像データに付された撮影日時Tsが撮影順とは異なる順番にひっくり返るのを抑制することができる。したがって、本来の撮影順と撮影日時順との差異により撮影画像データの処理、利用などで不都合が生じるのを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態のプログラム131は、コンピュータ(少なくともCPU11、RAM12及び通信部15を含む)を、撮影画像データを生成、記録する撮影部18が撮影画像データを記録するタイミングの日時を撮影日時Tsとして計時部14が計数する計時日時Tpに基づいて撮影画像データに対応付ける時刻設定手段、計時日時Tpの修正に係る修正先日時Tcを取得する修正情報取得手段、として機能させ、時刻設定手段では、修正先日時Tcが直近の撮影画像データに対応付けられている撮影日時Tsよりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する撮影画像データに対して、計時日時Tpが修正先日時Tcに基づいて修正されていない場合の日時を撮影日時Tsとして対応付ける。時刻設定制御方法と同じように、所定の条件に係る判定は、撮影日時Tsの対応付けのタイミングではなく、事前に行われたものであってもよい。
このようなプログラム131をコンピュータにインストールしてソフトウェア制御により容易に日時修正の制御をすることができるので、撮影画像データの撮影日時を容易により適切に管理して、撮影順などに係る不都合の発生を抑制することができる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、処理装置4の側で自動で又は入力操作に応じて日時情報を撮影装置1へ送信するものとして説明したが、これに限られるものではない。撮影装置1におけるある入力操作に応じて日時情報の送信を処理装置4に要求する通信内容が当該処理装置4に送信され、この要求に応じて処理装置4が日時情報を送信するのであってもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、撮影装置1の動作ごとに、処理装置4と撮影装置1との間で通信接続がなされたタイミングで1回のみ処理装置4から日時情報を撮影装置1へ送信するものとして説明したが、これに限るものではない。継続して通信接続がなされている場合には、処理装置4は、適宜な時間間隔などで複数回日時情報を撮影装置1へ送信してもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、通信遅延時間を考慮するものとして説明したが、必ずしも考慮する必要はない。例えば、小規模ネットワークなどで通信遅延時間を計測するまでもなく通信遅延時間が小さく安定している場合などには、処理装置4は、通信遅延時間を反映せずに単純に計時部14の日時を送信してもよい。
【0084】
また、処理装置4は、プログラム431の起動時にNTPサーバとの接続履歴などを確認して、計時部44の日時にずれ(例えば1秒以上)が想定される場合には、撮影装置1へ日時情報を送信する前に計時部44の日時を修正してもよい。
【0085】
また、プログラム431は、ユーザ操作などによって起動されるものとして説明したが、処理装置4の起動時に自動的に起動されて常駐するように設定可能であってもよい。
【0086】
また、処理装置4から送信する修正先日時Tsは、当該処理装置4の計時部44が計数する日時でなくてもよい。更に処理装置4の外部から取得した日時をそのまま撮影装置1に転送するのであってもよい。
【0087】
また、撮影装置1は、動作有無の切り替え操作の専用のスイッチによる切替に限られなくてもよい。例えば、シャッターボタンを半押しすると撮影装置1の動作がオンされるのであってもよい。また、ある規定時間(例えば、1~2分など)以上入力操作がなかった場合には、自動的に動作が停止されてもよい。なお、規定時間の入力操作がないことによる動作の停止(待機状態への移行)は、切り替えスイッチによる動作の停止とは異なる動作の一時中断であってもよく、例えば、CPU11の動作が停止されるがRAM12のリフレッシュ動作が継続されるなどであってもよい。また、この場合の一時中断からの動作復帰は、上記第2例~第6例における「起動」には該当しないこととしてもよい。
【0088】
また、記録動作(撮影動作)は、ユーザの操作により行われるものに限られない。上記のように監視装置などにおいて、物理センサの計測値がトリガとなって記録を開始するものであってもよい。あるいは、物理センサの計測値が予め定められた期間や間隔に定期的に記録されるのであってもよい。
【0089】
また、撮影装置1と処理装置4との間の通信接続は、記録データの送受信が可能であれば、WiFi(無線LAN)に限られない。上述したブルートゥースやUSBなどであってもよいし、有線LANによる接続であってもよい。あるいは、赤外線通信、光通信などの他の通信規格による通信がなされてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では、撮影装置1の制御部(プロセッサ)がCPU11であるものとして説明したが、これに限るものではない。専用のマイコンであったり、特定の処理を行うための論理回路などを有する制御チップや演算処理回路などを含んでいたりしてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、記録システム100として医療用のデータを管理するシステムを挙げて説明したが、これに限られない。他のビジネスユースや行政上の記録データ、非営利(趣味活動を含む)の個人などによる記録データなどであってもよい。
【0092】
また、撮影日時の対応付けの具体的な方法は特に限定されない。例えば、撮影画像データに対してメタデータなどで付されてもよいし、撮影画像の特定位置に日時が表示されるように画像に挿入するのであってもよい。
【0093】
また、上記実施の形態の撮影装置1において、例えば業務用途の製品などであって長期にわたり計時日時の修正を行わないこと、及び撮影画像データを外部機器に送信しないで留めることが想定されず、すなわち、計時日時のずれがあまり大きく(例えば、10分又は1時間以上)ならないような製品であれば、計時部14は、日付を計数せずに時刻のみの計数を行って計時時刻を得るのであってもよい。
【0094】
また、本実施形態の時刻設定制御方法は、撮影装置1内での設定制御に限られない。撮影装置1と接続された外付けの制御装置や外部機器において撮影画像データを取得するとともに自身が計数する日時に基づいて撮影日時を撮影画像データに対応付ける場合の制御装置や外部機器における制御動作に対しても適用可能である。
【0095】
また、以上の説明では、本発明の時刻設定制御に係るプログラム131を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部13を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリ、HDDや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0097】
[付記]
<請求項1>
時刻を計数する計時部と、
データを記録する記録部と、
前記記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として前記計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付け、前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得し、前記修正先時刻が直近の前記データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける制御部と、
を備える記録装置。
<請求項2>
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記直近のデータに対応付けられている前記記録時刻よりも前である第1条件が含まれる請求項1記載の記録装置。
<請求項3>
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記計時時刻よりも前である第2条件が含まれる請求項1又は2記載の記録装置。
<請求項4>
自機の動作有無の切り替えに係る操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記所定の条件には、前記操作受付部が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初のデータを取得してから動作を停止するまでの間である第3条件が含まれる
請求項1~3のいずれか一項に記載の記録装置。
<請求項5>
自機の動作有無の切り替えに係る操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記所定の条件には、前記修正先時刻が前記計時時刻よりも前であり、かつ前記操作受付部が受け付けた操作に応じて動作を開始した後に最初のデータを取得してから動作を停止するまでの間である第4条件が含まれる
請求項1又は2記載の記録装置。
<請求項6>
通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部を介して外部から前記修正先時刻を取得する
請求項1~5のいずれか一項に記載の記録装置。
<請求項7>
前記制御部は、外部から前記修正先時刻が受信された場合に、当該修正先時刻の送信元との間での通信の所要時間を取得し、前記修正先時刻を前記所要時間で補正する請求項6記載の記録装置。
<請求項8>
時刻を計数する計時部と、
光学系と当該光学系を介して入射した光を検出する検出部とを有し、当該検出部が検出した光により撮影画像データを生成して記録する撮影部と、
前記撮影部が撮影画像データを記録するタイミングにおける時刻を記録時刻として前記計時部が計数する計時時刻に基づいて前記撮影画像データに対応付け、前記計時部が計数する計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得し、前記修正先時刻が直近の前記撮影画像データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記撮影画像データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける制御部と、
を備える撮影装置。
<請求項9>
データを記録する記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付ける時刻設定ステップ、
前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得する修正情報取得ステップ、
を含み、
前記時刻設定ステップでは、
前記修正先時刻が直近の前記データに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける
時刻設定制御方法。
<請求項10>
コンピュータを、
データを記録する記録部がデータを記録するタイミングの時刻を記録時刻として計時部が計数する計時時刻に基づいて前記データに対応付ける時刻設定手段、
前記計時時刻の修正に係る修正先時刻を取得する修正情報取得手段、
として機能させ、
前記時刻設定手段では、
前記修正先時刻が直近のデータに対応付けられている前記記録時刻よりも前であり得るかを判定する所定の条件が成立すると判定された場合に、以降に記録する前記データに対して、前記計時時刻が前記修正先時刻に基づいて修正されていない場合の時刻を前記記録時刻として対応付ける
プログラム。
【符号の説明】
【0098】
1 撮影装置
4 処理装置
7 ルータ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 記憶部
131、431 プログラム
14、44 計時部
15、45 通信部
16、46 操作受付部
17、47 表示部
18 撮影部
100 記録システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10