(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】搬送システム、貨物車両
(51)【国際特許分類】
B65G 67/08 20060101AFI20240910BHJP
B65G 67/24 20060101ALI20240910BHJP
B60P 1/36 20060101ALI20240910BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B65G67/08
B65G67/24
B60P1/36 D
B62D33/04 C
B62D33/04 F
(21)【出願番号】P 2022069051
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】守屋 暁彦
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-90151(JP,A)
【文献】実開昭60-11883(JP,U)
【文献】特開昭57-167836(JP,A)
【文献】特開平3-54026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/08
B65G 67/24
B60P 1/36
B62D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物車両(4)の荷台(5)上に搭載され、複数の荷物(2)を搬送ロボット(3)へ受け渡し可能に搬送するための搬送システムであって、
前記貨物車両において横方向(Y)よりも長手となる縦方向(X)に前記荷物を並べて荷室(11)内に収容するコンテナ部(10)と、
前記コンテナ部に対して前記横方向に開閉する扉部(20)と、
開状態の前記扉部上において前記荷物を前記荷室から前記横方向に取り出して前記搬送ロボットへ受け渡すコンベア部(30)と、
前記扉部の開閉、及び前記コンベア部による前記荷物の移動を制御する制御部(60)とを、備える搬送システム。
【請求項2】
前記貨物車両において高さ方向(Z)に前記扉部を駆動するリフト部(40)を、備え、
前記コンテナ部は、
前記縦方向及び前記高さ方向にそれぞれ前記荷物を並べて前記荷室内に収容し、
前記リフト部による前記扉部の駆動を制御する前記制御部は、
前記荷室から前記横方向に取り出した前記荷物を開状態にて支持する前記扉部を、前記高さ方向においてリフトダウンするように、前記リフト部を制御することと、
リフトダウンした開状態の前記扉部に支持される前記荷物を、前記横方向の前記搬送ロボットへ受け渡すように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記コンベア部は、
前記荷物を前記横方向及び前記縦方向にそれぞれ移動可能に構成され、それら各方向への移動を前記制御部により制御される請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記荷物を前記荷室から前記横方向に取り出すように、前記コンベア部を制御することと、
前記荷室から前記横方向に取り出した前記荷物を、受け取りのために停止した前記搬送ロボットへの受け渡し位置(Pr)にまで前記縦方向にずらすように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記荷物を前記荷室から前記横方向に取り出すように、前記コンベア部を制御することと、
前記横方向に取り出した前記荷物を、前記縦方向において区分された複数の受け渡し位置(Pr)のうち、受け渡し先の前記搬送ロボットに割り当てられた割当位置(Pra)にまで前記縦方向にずらすように、前記コンベア部を制御することと、
前記割当位置にまでずらした前記荷物を、前記横方向の前記搬送ロボットへ受け渡すように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項3に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記コンテナ部は、
前記荷物を規定サイズの搬送ボックス(9)に収納して前記荷室内に収容し、
前記制御部は、
前記荷物を収納した前記搬送ボックスを前記荷室から前記横方向に取り出すように、前記コンベア部を制御することと、
前記荷物を搬送済の前記搬送ボックスを前記搬送ロボットから前記横方向に受け取るように、前記コンベア部を制御することと、
前記荷室から前記横方向に取り出した前記搬送ボックス、及び前記搬送ロボットから前記横方向に受け取った前記搬送ボックスを、共に前記縦方向にずらすように、前記コンベア部を制御することと、
前記荷室から前記横方向に取り出して前記縦方向にずらした後の前記搬送ボックスを、前記横方向の前記搬送ロボットへ受け渡すように、前記コンベア部を制御することと、
前記搬送ロボットから前記横方向に受け取って前記縦方向にずらした後の前記搬送ボックスを、前記横方向の前記荷室へ回収するように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項3に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記貨物車両において高さ方向(Z)に前記扉部を駆動するリフト部(40)を、備え、
前記コンテナ部は、
前記縦方向及び前記高さ方向にそれぞれ前記搬送ボックスを並べて前記荷室内に収容し、
前記リフト部による前記扉部の駆動を制御する前記制御部は、
前記荷室から前記横方向に取り出した前記搬送ボックスを前記縦方向へのずらし前に開状態にて支持する前記扉部を、前記高さ方向にリフトダウンするように、前記リフト部を制御することを、実行する請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記搬送ロボットから前記横方向に受け取って前記縦方向にずらした後の前記搬送ボックスを、前記縦方向にリバースするように、前記コンベア部を制御することと、
前記搬送ロボットから前記横方向に受け取って前記縦方向にずらした後の前記搬送ボックスを開状態にて支持する前記扉部を、前記高さ方向へリフトアップするように、前記リフト部を制御することと、
これらのリバース及びリフトアップを設定順で実行した後の前記搬送ボックスを前記横方向の前記荷室へ回収するように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記コンテナ部は、
前記縦方向及び前記横方向にそれぞれ前記搬送ボックスを並べて、且つ前記横方向に前記搬送ボックスを前記移動可能に、前記荷室内に収容し、
前記制御部は、
受け渡し対象の前記搬送ボックスに対して前記横方向の前記扉部側に収容された受け渡し非対象の前記搬送ボックスを前記荷室から前記横方向へ取り出すように、前記コンベア部を制御することと、
前記荷室から取り出した受け渡し非対象の前記搬送ボックスを前記縦方向にずらすように、前記コンベア部を制御することと、
受け渡し非対象の前記搬送ボックスが前記横方向に取り出される前の積載位置(Pn)を通して、受け渡し対象の前記搬送ボックスを前記荷室から前記横方向に取り出してから、前記搬送ロボットへ受け渡すように、前記コンベア部を制御することとを、実行する請求項6に記載の搬送システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の搬送システム(1)が搭載される貨物車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数荷物を搬送するための技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨物車両の荷台上に搭載されるコンテナ部内の荷室に複数荷物を外部へ受け渡し可能に収容することで、それら荷物を搬送するための技術が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示技術では、貨物車両において横方向よりも長手となる縦方向と、高さ方向とにそれぞれ複数荷物が並べられ、縦方向に向かって開放される扉部を通して、荷物が受け渡しされている。そのため、特に荷室内において扉部から縦方向に離間した積載位置から荷物を受け渡しするには、効率が悪くなり、時間が掛かってしまう。
【0005】
ここで特許文献1の開示技術は、人の操作に応じて受け渡しの荷物を移動させることを、前提としている。例えば近年のラストマイル問題を解決するために荷物を貨物車両から搬送ロボットへと受け渡して搬送する搬送システムでは、荷物の受け渡しを効率化することが受け渡し時間、ひいては搬送時間の短縮に繋がるため、期待されている。
【0006】
本開示の課題は、貨物車両から搬送ロボットへの荷物の受け渡しを効率化する搬送システムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
本開示の第一態様は、
貨物車両(4)の荷台(5)上に搭載され、複数の荷物(2)を搬送ロボット(3)へ受け渡し可能に搬送するための搬送システムであって、
貨物車両において横方向(Y)よりも長手となる縦方向(X)に荷物を並べて荷室(11)内に収容するコンテナ部(10)と、
コンテナ部に対して横方向に開閉する扉部(20)と、
開状態の扉部上において荷物を荷室から横方向に取り出して搬送ロボットへ受け渡すコンベア部(30)と、
扉部の開閉、及びコンベア部による荷物の移動を制御する制御部(60)とを、備える。
【0009】
本開示の第二態様は、第一態様の搬送システムが搭載される貨物車両である。
【0010】
このような第一及び第二態様によると、貨物車両において横方向よりも長手となる縦方向に荷物を並べて荷室内に収容するコンテナ部に対して、制御部による制御に従って扉部が横方向に開閉される。そこで、開状態の扉部上においてコンベア部が制御部による制御に従って荷物を、荷室から横方向に取り出して搬送ロボットへと受け渡すことによれば、当該受け渡し時間を短縮することができる。故に、貨物車両から搬送ロボットへの荷物の受け渡しを自動化して、効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態の全体構成を説明するための模式図である。
【
図2】第一実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図3】第一実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図4】第一実施形態による搬送システムを示す側面模式図である。
【
図5】第一実施形態による搬送システムのコンベアユニットを示す正面模式図である。
【
図6】第一実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図7】第一実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図8】第一実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図9】第一実施形態による搬送システムを示す平面模式図である。
【
図10】第一実施形態による搬送システムの制御部を示すブロック図である。
【
図11】第一実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図12】第一実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図13】第一実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図14】第一実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図15】第一実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図16】第二実施形態による搬送システムに用いられる搬送ボックスを示す正面模式図である。
【
図17】第二実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図18】第二実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図19】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図20】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図21】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図22】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図23】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図24】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図25】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図26】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図27】第二実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図28】第三実施形態による搬送システムを示す断面模式図である。
【
図29】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図30】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図31】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図32】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図33】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図34】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図35】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図36】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図37】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図38】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図39】第三実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図40】第四実施形態による搬送システムを示す側面模式図である。
【
図41】第四実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図42】第四実施形態による搬送システムの作動例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図43】第三実施形態の変形例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【
図44】第一実施形態の変形例を示す断面模式図(A)、及び側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態の搬送システム1は、複数の荷物2を少なくとも一つの搬送ロボット3へ受け渡し可能に搬送するために、貨物車両4の荷台5上に搭載される。ここで複数の荷物2は、物流倉庫Wdにおいて荷台5上に積載されてから、貨物車両4の移動によって少なくとも一以上の配送エリアAdへ搬送される。搬送された荷物2は、搬送システム1により自動的に搬送ロボット3へ受け渡されることで、当該搬送ロボット3の自律走行によって配送エリアAd内の配送先Ddへと届けられる。そこで搬送システム1と搬送ロボット3とは、相互間通信及び各々と管理センタ6との間の通信のうち少なくとも一方により、荷物2の配送に必要な配送情報を共有する。
【0014】
搬送ロボット3は、電動モータにより車輪7を駆動することで前後左右の任意方向に自律走行可能な、電動小型モビリティである。搬送ロボット3は、配送先Ddの配送エリアAdに到着した貨物車両4に搭載の搬送システム1から、荷物2を受け渡される。搬送ロボット3は、搬送システム1から受け取った荷物2を中空状の収容部8内に収容した状態にて、配送先Ddまでのルートを自律走行する。搬送ロボット3は、搬送システム1及び管理センタ6のうち少なくとも一方との間の通信を、内蔵の通信ユニットによって制御される。搬送ロボット3は、そうした通信によって取得される配送情報に基づくことで、これら荷物2の受け取りから配送までを完遂するように、内蔵の制御ユニットによって制御される。
【0015】
こうした搬送ロボット3へ荷物2を適時に受け渡すために、
図1~4に示す搬送システム1は、コンテナ部10、扉部20、コンベア部30、リフト部40、通信部50、及び制御部60を備えている。以下の説明において、搬送システム1に関する縦方向Xとは、水平面上の貨物車両4における水平方向のうち前後方向に、定義されている。搬送システム1に関する横方向Yとは、水平面上の貨物車両4における水平方向のうち左右方向に、定義されている。搬送システム1に関する高さ方向Zとは、水平面上の貨物車両4における鉛直方向(即ち、上下方向)に、定義されている。これらの定義下において搬送システム1は、横方向Yの片側において荷物2を受け渡し可能に一セット、又は両側において荷物2を受け渡し可能に少なくともコンテナ部10を共有して複数セット、設けられるとよい。
【0016】
図2~4に示すようにコンテナ部10は、全体として矩形中空状に、例えば金属等を主体として形成されている。コンテナ部10は、貨物車両4の荷台5(
図1参照)上に着脱可能又は着脱不能に、固定されている。コンテナ部10は、荷台5の形状に合わせて、横方向Yよりも縦方向Xが長手となる直方体状を、呈している。コンテナ部10は、複数の荷物2を少なくとも縦方向Xに並べて内部に収容するために、横方向Yよりも縦方向Xが長手となる荷室11を、画成している。さらにコンテナ部10において荷室11は、高さ方向Zに複数設定される階層11a,11b毎に、同方向Zにも荷物2を並べて内部収容可能に画成されている。
【0017】
図2,3,5に示すようにコンテナ部10には、階層11a,11b毎にコンベアユニット12が、縦方向Xに複数ずつ並んで設けられている。各コンベアユニット12は、それぞれ個別な電動モータ及び搬送ベルト13の組を主体としたベルトコンベアから、構成されている。各コンベアユニット12は、電動モータにより搬送ベルト13を上面側では横方向Yに駆動することで、搬送ベルト13上に積載された荷物2の同方向Yへの個別移動を可能にしている。以下、上階層11aに対応するコンベアユニット12を上コンベアユニット12aといい、下階層11bに対応するコンベアユニット12を下コンベアユニット12bという。
【0018】
図3,4,6~9に示すように扉部20は、コンテナ部10における横方向Yの端部にて階層11a,11b毎に個別に一つずつ設けられることで、高さ方向Zに並んで配置されている。以下、上階層11aに対応する扉部20を上扉部20aといい、下階層11bに対応する扉部20を下扉部20bという。
【0019】
各扉部20a,20bは、全体として矩形平板状に、例えば金属等を主体として形成されている。各扉部20a,20bは、貨物車両4の荷台5(
図1参照)上において横方向Yに開閉可能に、コンテナ部10に対して装着されている。各扉部20a,20bには、それぞれ開閉ユニット21が一つずつ設けられている。各扉部20a,20bを互いに独立した揺動によって開閉駆動するために各開閉ユニット21は、それぞれ個別の電動モータを主体に構成されている。
【0020】
各扉部20a,20bは、縦方向X及び高さ方向Zに広がる状態(水平面上では鉛直状態)において、荷室11を横方向Yの片側から閉塞する。このような閉塞状態において各扉部20a,20bは、コンテナ部10における横方向Yの側壁部を部分的に構成する。各扉部20a,20bは、縦方向X及び横方向Yに広がる状態(水平面上では水平状態)において、荷室11を横方向Yの片側に向かって開放する。
【0021】
図3,6~9に示すようにコンベア部30は、コンテナ部10における横方向Yの端部にて階層11a,11b毎に個別に一つずつ設けられることで、高さ方向Zに並んで配置されている。以下、上階層11aに対応するコンベア部30を上コンベア部30aといい、下階層11bに対応するコンベア部30を下コンベア部30bという。
【0022】
各コンベア部30a,30bは、貨物車両4の荷台5(
図1参照)上においてそれぞれ対応する扉部20a,20bと一体揺動可能に、当該対応扉部20a,20bを介してコンテナ部10に装着されている。各コンベア部30a,30bは、それぞれ個別な複数搬送ボール31及び電動駆動源の組を主体としたボールコンベアから、構成されている。
【0023】
図6,7に示すように各コンベア部30a,30bは、それぞれ対応する扉部20a,20bの開状態において、それぞれ対応するコンベアユニット12a,12bにより荷室11から取り出された荷物2を、横方向Yにおいて当該取り出し先に位置する各搬送ボール31上に受け取る。各コンベア部30a,30bは、取り出し先に位置する各搬送ボール31を電動駆動源により回転駆動することで、横方向Y及び縦方向Xのうち制御部60によって制御される一方(第一実施形態では横方向Yのみ)へ荷物2を移動させる。ここで特に下コンベア部30bは、
図7に示すように開状態の下扉部20b上において荷物2を横方向Yに移動させることで、同方向Yに位置する搬送ロボット3へ当該荷物2を受け渡し可能となっている。
【0024】
図4,9に示すようにリフト部40は、コンテナ部10における縦方向Xの両端部に配置され、高さ方向Zの階層11a,11b(
図2,3参照)間に跨って設けられている。リフト部40は、貨物車両4の荷台5(
図1参照)上において上扉部20a及びその開閉ユニット21を高さ方向Zにリフト駆動可能に、コンテナ部10に対して装着されている。リフト部40は、リフト機構及び電動駆動源の組を主体としたリフトユニットから、構成されている。
【0025】
リフト部40は、上コンベア部30aと一体的な上扉部20aのリフトアップ及びリフトダウンのうち、制御部60によって制御される一方を実現する。ここで特に
図8に示すようにリフト部40は、上コンベア部30a上に取り出された荷物2を開状態にて支持する最上位置Ha(同図の二点鎖線参照)の上扉部20aを、横方向Yに一旦引き出してから、高さ方向Zにおいて下階層11bに対応する最下位置Hbまでリフトダウン可能となっている。そこで、最下位置Hbにリフトダウンした開状態の上扉部20a上において上コンベア部30aは、支持する荷物2を横方向Yに移動させることで、同方向Yに位置する搬送ロボット3へ当該荷物2を受け渡し可能となっている。
【0026】
図4に示す通信部50は、コンテナ部10に保持されている。通信部50は、貨物車両4に搭載の通信ユニットにより、代替されてもよい。通信部50は、搬送ロボット3及び管理センタ6のうち少なくとも一方との間において通信可能な、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communications)又はセルラV2X(C-V2X)等の、通信機を主体に構成されている。通信部50は、貨物車両4の移動位置を認識するために、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を、含んでいてもよい。
【0027】
制御部60は、コンテナ部10に保持されている。制御部60は、貨物車両4に搭載の制御ユニットにより、代替されてもよい。
図10に示すように制御部60は、例えばLAN(Local Area Network)回線、ワイヤハーネス、及び内部バス等のうち少なくとも一種類を介して、搬送システム1の電動構成要素12(12a,12b),21,30(30a,30b),40,50に接続されている。制御部60は、メモリ61とプロセッサ62とを少なくとも一つずつ有した専用コンピュータを主体に、構成されている。
【0028】
制御部60のメモリ61は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。制御部60のプロセッサ62は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU、DFP(Data Flow Processor)、及びGSP(Graph Streaming Processor)等のうち、少なくとも一種類を含んでいる。
【0029】
制御部60においてプロセッサ62は、メモリ61に記憶された制御プログラムに含まれる複数の命令を実行することで、搬送システム1の電動構成要素12(12a,12b),21,30(30a,30b),40,50との間において制御関連信号を送受信する。これにより制御部60は、各扉部20a,20bの開閉、各コンベアユニット12a,12b及び各コンベア部30a,30bによる荷物2の移動、並びにリフト部40による上扉部20aの駆動を、制御する。
【0030】
このような第一実施形態において、制御部60の制御に従って作動する搬送システム1の作動例を、説明する。
図11~15に示す第一実施形態の作動例は、荷室11内の上階層11aに積載された荷物2を、搬送ロボット3に受け渡すまでの例示である。そこで、
図11に示すS10において搬送ロボット3は、縦方向Xのうち受け渡される荷物2の積載位置と対応した受け渡し位置Prにまで到着することで、当該荷物2を受け取るために停止する。
【0031】
図12に示すS11において制御部60は、上扉部20aを横方向Yに向かって開放するように、当該開放対象扉部20aの開閉ユニット21を制御する。
図13に示すS12において制御部60は、荷物2を荷室11内の上階層11aから横方向Yに取り出すように、当該荷物2の積載された上コンベアユニット12aを、上コンベア部30aと共に制御する。
【0032】
図14に示すS13において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した荷物2を開状態にて支持する上扉部20aを、高さ方向Zにおいて最下位置Hbまでリフトダウンするように、リフト部40を制御する。
図15に示すS14において制御部60は、リフトダウンした開状態の上扉部20aに支持される荷物2を、横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すように、最下位置Hbの上コンベア部30aを制御する。
【0033】
尚、荷室11内の下階層11bに積載された荷物2を搬送ロボット3に受け渡す場合には、S10~S12,S14に準じて、下扉部20bの開閉ユニット21、下コンベアユニット12b、及び下コンベア部30bが順次制御される。
【0034】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0035】
第一実施形態によると、貨物車両4において横方向Yよりも長手となる縦方向Xに荷物2を並べて荷室11内に収容するコンテナ部10に対して、制御部60による制御に従って扉部20が横方向Yに開閉される。そこで、開状態の扉部20上においてコンベア部30が制御部60による制御に従って荷物2を、荷室11から横方向Yに取り出して搬送ロボット3へと受け渡すことによれば、当該受け渡し時間を短縮することができる。故に、貨物車両4から搬送ロボット3への荷物2の受け渡しを自動化して、効率化を図ることが可能となる。
【0036】
第一実施形態によると、貨物車両4において縦方向X及び高さ方向Zにそれぞれ荷物2を並べて荷室11内に収容するコンテナ部10に対して、高さ方向Zに扉部20を駆動するリフト部40の、当該駆動を制御部60が制御する。そこで制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した荷物2を開状態にて支持する扉部20を、高さ方向Zにリフトダウンするようにリフト部40を制御してから、当該扉部20に支持される荷物2を横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すようにコンベア部30を制御する。これによれば、収容効率を高めた荷室11からの荷物2の受け渡しを、効率化することが可能となる。
【0037】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0038】
図16に示すように第二実施形態において各荷物2は、互いに実質同一の規定サイズに形成された、矩形中空状の搬送ボックス9に個別収納される。そこで、個別の荷物2を収納した各搬送ボックス9は、
図17,18に示すように、各階層11a,11b毎に縦方向Xに複数ずつ並べて荷室11内に収容可能となっている。それに応じて各扉部20(20a,20b)上のコンベア部30(30a,30b)は、横方向Y及び縦方向Xのそれぞれへ搬送ボックス9を移動可能に、制御部60によって制御される。
【0039】
搬送ボックス9の利用に応じて搬送ロボット3は、収容部8内に収容した搬送ボックス9からの荷物2の取り出し後、同一又は相違な貨物車両4の停車位置へと移動することで、空の搬送ボックス9(以下では、
図19~27の如く9eと表記)を搬送システム1に受け渡しする。そこで搬送ロボット3には、コンベアユニット12に準ずる構成のベルトコンベア、又はコンベア部30に準ずる構成のボールコンベアが、受け渡しユニットとして内蔵されている。
【0040】
このような第二実施形態において、制御部60の制御に従って作動する搬送システム1の作動例を、説明する。
図19~27に示す第二実施形態の作動例は、荷室11内の上階層11aに荷物2の収納状態にて積載された搬送ボックス9を、搬送ロボット3に受け渡しつつ、同ロボット3から空の搬送ボックス9eを回収するすまでの例示である。そこで、
図19に示すS20において搬送ロボット3は、空の搬送ボックス9eと荷物2入りの搬送ボックス9とを交換可能にする、縦方向Xの受け渡し位置Prにまで到着することで、当該交換のために停止する。このとき受け渡し位置Prは、縦方向Xにおける任意位置に設定可能となっている。
【0041】
図20に示すS21において制御部60は、上扉部20aを横方向Yに向かって開放するように、当該開放対象扉部20aの開閉ユニット21を制御する。
図21に示すS22において制御部60は、荷物2入りの搬送ボックス9を荷室11内の上階層11aから横方向Yに取り出すように、当該搬送ボックス9の積載された上コンベアユニット12aを、上コンベア部30aと共に制御する。
【0042】
図22に示すS23において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した荷物2入りの搬送ボックス9をS25(後述)でのずらし前に開状態にて支持する上扉部20aを、高さ方向Zにおいて最下位置Hbまでリフトダウンするように、リフト部40を制御する。
図23に示すS24において制御部60は、荷物2を搬送済で空となった搬送ボックス9eを受け渡し位置Prの搬送ロボット3から横方向Yに受け取るように、最下位置Hbの上コンベア部30aを制御する。このとき搬送ロボット3の制御ユニットは、通信によって制御部60の制御と同期することで、搬送ボックス9eを横方向Yの上コンベア部30aへ受け渡すように、受け渡しユニットを制御する。
【0043】
図24に示すS25において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出してリフトダウンさせた荷物2入りの搬送ボックス9、及び搬送ロボット3から横方向Yに受け取った空の搬送ボックス9eを、共に縦方向Xにずらすように、最下位置Hbの上コンベア部30aを制御する。このとき縦方向Xへのずらしは、荷物2入りの搬送ボックス9が受け渡し位置Prにまで移動するように、制御される。
【0044】
図25に示すS26において制御部60は、リフトダウンした開状態の上扉部20aに支持させたままで縦方向Xにずらした後の搬送ボックス9を、荷物2の収納状態にて横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すように、最下位置Hbの上コンベア部30aを制御する。このとき搬送ロボット3の制御ユニットは、通信によって制御部60の制御と同期することで、荷物2入りの搬送ボックス9を横方向Yの上コンベア部30aから受け取るように、受け渡しユニットを制御して受け渡し効率を高めてもよい。
【0045】
図26に示すS27において制御部60は、搬送ロボット3から横方向Yに受け取って縦方向Xにずらした後の空の搬送ボックス9eを、同図の二点鎖線の如く縦方向Xの当該ずらしとは反対側へリバースするように、上コンベア部30aを制御する。それと共にS27において制御部60は、搬送ロボット3から横方向Yに受け取って縦方向Xにずらした後の空の搬送ボックス9eを開状態にて支持する上扉部20aを、同図の実線の如く最下位置Hbから高さ方向Zの最上位置Haへリフトアップするように、リフト部40を制御する。これらリバースとリフトアップとは、一方の後に他方が実行されるように、制御される。尚、
図26は、リバース及びリフトアップがこの順で実行される場合を、示している。
【0046】
図27に示すS28において制御部60は、リバース及びリフトアップをこの順又は逆順となる設定順で実行した後の空の搬送ボックス9eを、横方向Yにおいて荷室11内の上階層11aへと回収するように、最上位置Haの上コンベア部30aを制御する。このとき制御部60は、搬送ボックス9eの回収先に対応する上コンベアユニット12aも制御することで、回収効率を高めてもよい。
【0047】
尚、荷室11内の下階層11bに荷物2の収納状態にて積載された搬送ボックス9を搬送ロボット3に受け渡しつつ、同ロボット3から空の搬送ボックス9eを回収する場合には、S20~S22,S24~S26,S27のリバース,S28に準じて、下扉部20bの開閉ユニット21、下コンベアユニット12b、及び下コンベア部30bが順次制御される。
【0048】
(作用効果)
以上説明した第二実施形態に特有の作用効果を、以下に説明する。
【0049】
第二実施形態によるコンテナ部10は、荷物2を規定サイズの搬送ボックス9に収納して荷室11内に収容するので、複数荷物2の収容効率、ひいては搬送効率を高めることが可能となる。
【0050】
第二実施形態によるコンベア部30は、搬送ボックス9に収納の荷物2を横方向Y及び縦方向Xにそれぞれ移動可能に構成され、それら各方向Y,Xへの移動を制御部60によって制御される。これによれば、制御部60による制御に従ってコンベア部30が荷物2を、荷室11から横方向Yに取り出すだけでなく、搬送ロボット3への受け渡し位置Prにまで縦方向Xに移動させることで、受け渡しの効率化を促進することが可能となる。
【0051】
第二実施形態による制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した搬送ボックス9に収納の荷物2を、受け取りのために停止した搬送ロボット3への受け渡し位置Prにまで縦方向Xにずらすように、コンベア部30を制御する。そこで制御部60は、受け渡し位置Prにまでずらした荷物2を横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すように、コンベア部30を制御することで、受け渡しの効率化を促進することが可能となる。
【0052】
第二実施形態による制御部60は、荷物2を収納した搬送ボックス9を荷室11から横方向Yに取り出すように、また荷物2を搬送済の搬送ボックス9eを搬送ロボット3から横方向Yに受け取るように、コンベア部30を制御する。そこで制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した搬送ボックス9、及び搬送ロボット3から横方向Yに受け取った搬送ボックス9eを、共に縦方向Xにずらすように、コンベア部30を制御する。さらに制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出して縦方向Xにずらした後の搬送ボックス9を横方向Yの搬送ロボット3へ受け渡すように、また搬送ロボット3から横方向Yに受け取って縦方向Xにずらした後の搬送ボックス9eを横方向Yの荷室11へ回収するように、コンベア部30を制御する。こうした一連の制御によれば、搬送ボックス9を利用した荷物2の受け渡しだけでなく、荷物2の搬送後に空となった搬送ボックス9eの回収も、効率化することが可能となる。
【0053】
第二実施形態によると、貨物車両4において縦方向X及び高さ方向Zにそれぞれ搬送ボックス9を並べて荷室11内に収容するコンテナ部10に対して、高さ方向Zに扉部20を駆動するリフト部40の、当該駆動を制御部60が制御する。そこで制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した搬送ボックス9を縦方向Xへのずらし前に開状態にて支持する扉部20を、高さ方向Zにリフトダウンするようにリフト部40を制御してから、当該ずらし後の搬送ボックス9を搬送ロボット3へ受け渡すことになる。これによれば、収容効率を高めた荷室11からの、搬送ボックス9を利用した荷物2の受け渡しを、効率化することが可能となる。
【0054】
第二実施形態による制御部60は、搬送ロボット3から横方向Yに受け取って縦方向Xにずらした後の搬送ボックス9eを、縦方向Xにリバースするようにコンベア部30を制御し、また当該ずらし後の搬送ボックス9eを開状態にて支持する扉部20を縦方向Xへリフトアップするように、リフト部40を制御する。そこで制御部60は、これらのリバース及びリフトアップをこの順又は逆順となる設定順で実行した後の搬送ボックス9を横方向Yの荷室11へと回収するように、コンベア部30を制御することで、搬送ボックス9の回収の効率化を促進することが可能となる。
【0055】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。
【0056】
図28に示すように第三実施形態において各荷物2は、それぞれ個別の搬送ボックス9に収納された状態で各階層11a,11b毎に、第二実施形態と同様な縦方向Xだけでなく、同図の如く横方向Yにも、複数ずつ並べて荷室11内に収容可能となっている。それに応じて各扉部20(20a,20b)上のコンベア部30(30a,30b)は、第三実施形態でも横方向Y及び縦方向Xのそれぞれへ搬送ボックス9を移動可能に、制御部60によって制御される。
【0057】
このような第三実施形態において、制御部60の制御に従って作動する搬送システム1の作動例を、説明する。
図29~39に示す第三実施形態の作動例は、荷室11内の下階層11bにおいて受け渡し非対象の搬送ボックス9(以下では、
図29~39の如く9nと表記)が横方向Yの下扉部20b側に積載されている、受け渡し対象の搬送ボックス9を、搬送ロボット3に受け渡すまでの例示である。そこで、
図29に示すS30において搬送ロボット3は、空の搬送ボックス9eと受け渡し対象の搬送ボックス9とを交換可能にする、縦方向Xの受け渡し位置Prにまで到着することで、当該交換のために停止する。
【0058】
図30に示すS31において制御部60は、下扉部20bを横方向Yに向かって開放するように、当該開放対象扉部20bの開閉ユニット21を制御する。
図31に示すS32において制御部60は、受け渡し非対象の搬送ボックス9nを荷室11内の下階層11bから横方向Yに取り出すように、当該搬送ボックス9nの積載された下コンベアユニット12bを、下コンベア部30bと共に制御する。このとき受け渡し対象の搬送ボックス9は、受け渡し非対象の搬送ボックス9nが横方向Yに取り出される前の積載位置Pnまで、下コンベアユニット12bの制御により移動する。
【0059】
図32に示すS33において制御部60は、荷物2を搬送済で空となった搬送ボックス9eを搬送ロボット3から横方向Yに受け取るように、下コンベア部30bを制御する。このとき搬送ロボット3の制御ユニットは、通信によって制御部60の制御と同期することで、搬送ボックス9eを横方向Yの下コンベア部30bへ受け渡すように、受け渡しユニットを制御する。こうしたS33は、S32よりも先に又は同時的に実行されてもよい。
【0060】
図33に示すS34において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した受け渡し非対象の搬送ボックス9n、及び搬送ロボット3から横方向Yに受け取った空の搬送ボックス9eを、共に縦方向Xにずらすように、下コンベア部30bを制御する。
図34に示すS35において制御部60は、受け渡し対象の搬送ボックス9を、荷室11内の下階層11bから受け渡し非対象の搬送ボックス9nの上記積載位置Pnを通して横方向Yに取り出すように、当該搬送ボックス9の積載された下コンベアユニット12bを、下コンベア部30bと共に制御する。
【0061】
図35に示すS36において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した搬送ボックス9n,9、及び搬送ロボット3から横方向Yに受け取った空の搬送ボックス9eを、共に縦方向Xにずらすように、下コンベア部30bを制御する。
図36に示すS37において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出して縦方向Xにずらした後の受け取り対象の搬送ボックス9を、横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すように、下コンベア部30bを制御する。このとき搬送ロボット3の制御ユニットは、通信によって制御部60の制御と同期することで、受け渡し対象の搬送ボックス9を横方向Yの下コンベア部30bから受け取るように、受け渡しユニットを制御して受け渡し効率を高めてもよい。
【0062】
図37に示すS38において制御部60は、搬送ロボット3から横方向Yに受け取って縦方向Xに二度ずらした後の空の搬送ボックス9eを、横方向Yにおいて荷室11内の下階層11bへと回収するように、下コンベア部30bを制御する。このとき制御部60は、搬送ボックス9eの回収先に対応する下コンベアユニット12bも制御することで、回収効率を高めてもよい。こうしたS38は、S37よりも先に又は同時的に実行されてもよい。
【0063】
図38に示すS39において制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出して縦方向Xに二度ずらした後の受け取り非対象の搬送ボックス9nを、さらに縦方向Xにずらすように、下コンベア部30bを制御する。
図39に示すS40において制御部60は、こうして縦方向Xにさらにずらした後の搬送ボックス9nを、横方向Yにおいて荷室11内の下階層11bへと回収するように、下コンベア部30bを制御する。このとき制御部60は、搬送ボックス9nの回収先に対応する下コンベアユニット12bも制御することで、空の搬送ボックス9も移動させつつ、回収効率を高めてもよい。
【0064】
尚、荷室11内の上階層11aにおいて受け渡し非対象の搬送ボックス9nが横方向Yの上扉部20a側に積載されている、受け渡し対象の搬送ボックス9を、搬送ロボット3に受け渡す場合には、S30~S39に制御が追加される。即ちこの場合には、S30~S39に第二実施形態のS23,S27のリストアップを適正に組み合わせるように、上扉部20aの開閉ユニット21、上コンベアユニット12a、上コンベア部30a、及びリフト部40が順次制御される。
【0065】
(作用効果)
以上説明した第三実施形態に特有の作用効果を、以下に説明する。
【0066】
第三実施形態によると、荷物2を収容した搬送ボックス9は、縦方向X及び横方向Yにそれぞれ並べて且つ横方向Yに移動可能に、コンテナ部10の荷室11内に収容される。そこで制御部60は、受け渡し対象の搬送ボックス9に対して横方向Yの扉部20側に収容された受け渡し非対象の搬送ボックス9nを、荷室11から横方向Yへ取り出してから、縦方向Xにずらすようにコンベア部30を制御する。さらに制御部60は、受け渡し非対象の搬送ボックス9nが横方向Yに取り出される前の積載位置Pnを通して、受け渡し対象の搬送ボックス9を荷室11から横方向Yに取り出してから、搬送ロボット3へ受け渡すように、コンベア部30を制御する。こうした一連の制御によれば、収容効率を高めた荷室11からの、搬送ボックス9を利用した荷物2の受け渡しを、効率化することが可能となる。
【0067】
(第四実施形態)
第四実施形態は、第二実施形態の変形例である。
【0068】
第四実施形態の制御部60は、横方向Yに取り出した荷物2入りの搬送ボックス9を搬送ロボット3へ受け渡す位置として、
図40に示すように縦方向Xに区分された複数の受け渡し位置Prを規定する。そこで、受け渡し先となる少なくとも二以上の搬送ロボット3には、複数の受け渡し位置Prの中から、それぞれ個別の割当位置Pra(後述の
図41,42参照)が割り当てられる。
【0069】
このような第四実施形態において、制御部60の制御に従って作動する搬送システム1の作動例を、説明する。
図41,42に示す第四実施形態の作動例は、荷室11内の上階層11aに積載された各搬送ロボット3への受け渡し対象の搬送ボックス9を、搬送ロボット3に受け渡すまでの例示である。
【0070】
具体的に第四実施形態では、第二実施形態で説明のS20~S28に準ずる制御が、二以上の搬送ロボット3に対して同時的に実行される。こうした一連の制御のうち特にS24では、
図41に示すように空の搬送ボックス9eを各搬送ロボットの割当位置Praにおいて横方向Yに受け取るように、上コンベア部30aが制御される。また
図42に示すようにS26では、横方向Yへの取り出し及び縦方向Xへのずらしにより各搬送ロボット3の割当位置Praまで到達した、荷物2入りの複数搬送ボックス9を、それぞれ横方向Yの搬送ロボット3へと受け渡すように、上コンベア部30aが制御される。
【0071】
(作用効果)
以上説明した第四実施形態に特有の作用効果を、以下に説明する。
【0072】
第四実施形態による制御部60は、荷室11から横方向Yに取り出した、搬送ボックス9に収納の荷物2を、縦方向Xにおいて区分された複数の受け渡し位置Prのうち、受け渡し先の搬送ロボット3に割り当てられた割当位置Praまで縦方向Xにずらすように、コンベア部30を制御する。これにより制御部60は、割当位置Praまでずらした複数の荷物2をそれぞれ個別の搬送ロボット3へ同時的に受け渡すように、コンベア部30を制御し得るので、受け渡しの効率化を促進することが可能となる。
【0073】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0074】
第一実施形態は、荷物2と対応の受け渡し位置Prから搬送ロボット3の停止位置が縦方向Xにずれている場合には、第二及び第三実施形態に準じてコンベア部30(30a,30b)により荷物2が当該ずれ分の縦方向Xへのずらし後、受け渡されてもよい。第一及び第三実施形態は、第四実施形態に準じた複数の割当位置Praにおいて複数の搬送ロボット3へ個別の荷物2を受け渡すように、実施されてもよい。第一~第四実施形態においてコンベアユニット12(12a,12b)は、各階層11a,11b毎に縦方向Xでの複数荷物2の積載箇所全域に亘って延伸するコンベア部30(30a,30b)に準ずるボールコンベアにより、構成されてもよい。
【0075】
第一~第四実施形態において各扉部20(20a,20b)は、
図43(同図は第三実施形態の下扉部20bの場合)に示すように搬送ロボット3とコンテナ部10の相対高さに応じた上下位置に、リフト部40によってリフト駆動されてもよい。第一~第四実施形態において下扉部20bは、
図44(同図は第一実施形態の場合)に示すように上扉部20aのリフトダウン時に開状態であってもよく、その場合には上扉部20aのリフトダウンに応じてリフト部40によりリフトダウンされてもよい。
【0076】
第一~第四実施形態では、上階層11a及びその上コンベアユニット12a、上扉部20a及びその開閉ユニット21、上コンベア部30a、並びにリフト部40が省かれてもよい。この場合に搬送システム1は、下階層11bに下コンベアユニット12bを有するコンテナ部10、下扉部20b及びその開閉ユニット21、下コンベア部30b、通信部50、並びに制御部60から構成されるとよい。
【0077】
第一~第四実施形態による搬送ロボット3からの空ボックス9eの受け取り作動は、物流倉庫Wdにおいて搬送ロボット3からの荷物2又は荷物2入りボックス9の受け取り作動に、適用されてもよい。第二~第四実施形態による搬送ロボット3への荷物2入りボックス9の受け渡し作動は、物流倉庫Wdにおいて搬送ロボット3への空ボックス9eの受け渡し作動に、適用されてもよい。
【0078】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0079】
(技術的思想1)
貨物車両(4)の荷台(5)上に搭載され、複数の荷物(2)を搬送ロボット(3)へ受け渡し可能に搬送するための搬送システムであって、
貨物車両において横方向(Y)よりも長手となる縦方向(X)に荷物を並べて荷室(11)内に収容するコンテナ部(10)と、
コンテナ部に対して横方向に開閉する扉部(20)と、
開状態の扉部上において荷物を荷室から横方向に取り出して搬送ロボットへ受け渡すコンベア部(30)と、
扉部の開閉、及びコンベア部による荷物の移動を制御する制御部(60)とを、備える搬送システム。
【0080】
(技術的思想2)
貨物車両において高さ方向(Z)に扉部を駆動するリフト部(40)を、備え、
コンテナ部は、
縦方向及び高さ方向にそれぞれ荷物を並べて荷室内に収容し、
リフト部による扉部の駆動を制御する制御部は、
荷室から横方向に取り出した荷物を開状態にて支持する扉部を、高さ方向においてリフトダウンするように、リフト部を制御することと、
リフトダウンした開状態の扉部に支持される荷物を、横方向の搬送ロボットへ受け渡すように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想1に記載の搬送システム。
【0081】
(技術的思想3)
コンベア部は、
荷物を横方向及び縦方向にそれぞれ移動可能に構成され、それら各方向への移動を制御部により制御される技術的思想1又は2に記載の搬送システム。
【0082】
(技術的思想4)
制御部は、
荷物を荷室から横方向に取り出すように、コンベア部を制御することと、
荷室から横方向に取り出した荷物を、受け取りのために停止した搬送ロボットへの受け渡し位置(Pr)にまで縦方向にずらすように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想3に記載の搬送システム。
【0083】
(技術的思想5)
制御部は、
荷物を荷室から横方向に取り出すように、コンベア部を制御することと、
横方向に取り出した荷物を、縦方向において区分された複数の受け渡し位置(Pr)のうち、受け渡し先の搬送ロボットに割り当てられた割当位置(Pra)にまで縦方向にずらすように、コンベア部を制御することと、
割当位置にまでずらした荷物を、横方向の搬送ロボットへ受け渡すように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想3に記載の搬送システム。
【0084】
(技術的思想6)
コンテナ部は、
荷物を規定サイズの搬送ボックス(9)に収納して荷室内に収容し、
制御部は、
荷物を収納した搬送ボックスを荷室から横方向に取り出すように、コンベア部を制御することと、
荷物を搬送済の搬送ボックスを搬送ロボットから横方向に受け取るように、コンベア部を制御することと、
荷室から横方向に取り出した搬送ボックス、及び搬送ロボットから横方向に受け取った搬送ボックスを、共に縦方向にずらすように、コンベア部を制御することと、
荷室から横方向に取り出して縦方向にずらした後の搬送ボックスを、横方向の搬送ロボットへ受け渡すように、コンベア部を制御することと、
搬送ロボットから横方向に受け取って縦方向にずらした後の搬送ボックスを、横方向の荷室へ回収するように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想3~5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【0085】
(技術的思想7)
貨物車両において高さ方向(Z)に扉部を駆動するリフト部(40)を、備え、
コンテナ部は、
縦方向及び高さ方向にそれぞれ搬送ボックスを並べて荷室内に収容し、
リフト部による扉部の駆動を制御する制御部は、
荷室から横方向に取り出した搬送ボックスを縦方向へのずらし前に開状態にて支持する扉部を、高さ方向にリフトダウンするように、リフト部を制御することを、実行する技術的思想6に記載の搬送システム。
【0086】
(技術的思想8)
制御部は、
搬送ロボットから横方向に受け取って縦方向にずらした後の搬送ボックスを、縦方向にリバースするように、コンベア部を制御することと、
搬送ロボットから横方向に受け取って縦方向にずらした後の搬送ボックスを開状態にて支持する扉部を、高さ方向へリフトアップするように、リフト部を制御することと、
これらのリバース及びリフトアップを設定順で実行した後の搬送ボックスを横方向の荷室へ回収するように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想7に記載の搬送システム。
【0087】
(技術的思想9)
コンテナ部は、
縦方向及び横方向にそれぞれ搬送ボックスを並べて、且つ横方向に搬送ボックスを移動可能に、荷室内に収容し、
制御部は、
受け渡し対象の搬送ボックスに対して横方向の扉部側に収容された受け渡し非対象の搬送ボックスを荷室から横方向へ取り出すように、コンベア部を制御することと、
荷室から取り出した受け渡し非対象の搬送ボックスを縦方向にずらすように、コンベア部を制御することと、
受け渡し非対象の搬送ボックスが横方向に取り出される前の積載位置(Pn)を通して、受け渡し対象の搬送ボックスを荷室から横方向に取り出してから、搬送ロボットへ受け渡すように、コンベア部を制御することとを、実行する技術的思想6~8のいずれか一項に記載の搬送システム。
【0088】
(技術的思想10)
技術的思想1~9のいずれか一項に記載の搬送システム(1)が搭載される貨物車両。
【符号の説明】
【0089】
1:搬送システム、2:荷物、3:搬送ロボット、4:貨物車両、5:荷台、9:搬送ボックス、10:コンテナ部、11:荷室、20:扉部、30:コンベア部、40:リフト部、60:制御部、Pn:積載位置、Pr:受け渡し位置、Pra:割当位置、X:縦方向、Y:横方向、Z:高さ方向