(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】参拝対象物保管システム
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20240910BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240910BHJP
【FI】
E04H13/00 A
E04H13/00 F
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022092119
(22)【出願日】2022-06-07
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英紀
(72)【発明者】
【氏名】有馬 寿哉
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-070501(JP,A)
【文献】特開2021-015495(JP,A)
【文献】特開2006-119681(JP,A)
【文献】特開平10-105615(JP,A)
【文献】登録実用新案第3243091(JP,U)
【文献】特開2023-052724(JP,A)
【文献】特開2008-097059(JP,A)
【文献】特開2006-293953(JP,A)
【文献】特開2004-288131(JP,A)
【文献】特開2002-094984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の故人に係る参拝対象物を少なくとも第1参拝対象物と第2参拝対象物とに分け、それぞれを参拝可能に保管する参拝対象物保管システムであって、
複数人の故人に係る前記第1参拝対象物を祀る第1設備と、
複数人の故人に係る前記第2参拝対象物を保管する第2設備と、
前記第1参拝対象物及び前記第2参拝対象物についての管理を行う管理設備と、
前記第2設備に併設され、参拝者による参拝が行われる参拝設備と、を備え、
前記第2設備は、それぞれが前記第2参拝対象物を収容する複数の収容部を備え、
前記管理設備は、前記第1設備に祀られた前記第1参拝対象物に関する第1データを、当該第1参拝対象物と同一の故人に係る前記第2参拝対象物に関連付けて記憶するデータベースを備え、
前記第1データは、前記第1参拝対象物、又は前記第1設備における前記第1参拝対象物が祀られた場所を撮影したデータである第1撮影データを含み、
前記参拝設備は、前記管理設備に接続された出力装置を備え、
前記出力装置は、前記参拝者の操作に応じて、特定の故人に係る前記第1データの一部又は全部を選択的に出力するように構成されている、参拝対象物保管システム。
【請求項2】
前記第1設備及び前記第2設備とは離れた場所に設置され、前記参拝者による参拝が行われる離れ参拝設備を更に備え、
前記データベースは、前記第2設備に保管された前記第2参拝対象物に関する第2データを、当該第2参拝対象物と同一の故人に係る前記第1参拝対象物に関連付けて記憶し、 前記第2データは、前記第2設備における前記第2参拝対象物が収容されている前記収容部の場所を示す場所データと、前記第2参拝対象物を撮影したデータ又は前記第2参拝対象物が収容されている前記収容部を撮影したデータである第2撮影データと、を含み、
前記離れ参拝設備は、前記管理設備に接続された離れ出力装置を備え、
前記離れ出力装置は、前記参拝者の操作に応じて、特定の故人に係る前記第1データ及び前記第2データの一部又は全部を選択的に出力するように構成されている、請求項1に記載の参拝対象物保管システム。
【請求項3】
前記第1データは、前記第1設備で行われている行事のライブ映像、及び当該行事の予定を示す情報を含む、請求項1又は2に記載の参拝対象物保管システム。
【請求項4】
前記第2設備は、複数の前記収容部を有する保管棚と、いずれかの前記収容部から前記第2参拝対象物を取り出して規定の支持位置に搬送する搬送装置と、を備え、
前記参拝設備は、前記支持位置を含むように構成されている、請求項1又は2に記載の参拝対象物保管システム。
【請求項5】
前記第2参拝対象物は、故人の遺灰を含む仏像及び位牌のうちの少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の参拝対象物保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参拝対象物を保管する参拝対象物保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、それぞれが参拝対象物(収納容器2)を収容する複数の収容部を有する保管棚(収納装置A)と、いずれかの収容部から参拝対象物(収納容器2)を取り出して規定の支持位置(所定位置D)に搬送する搬送装置(搬送装置C)と、を備えた設備が開示されている。なお、背景技術の説明において括弧内に示す部材名及び符号は、特許文献1のものである。
【0003】
上記のような設備によれば、実際に墓地を所有していなくても、従来の墓参りのように参拝を行うことができるため、大都市等における墓地の入手困難を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同一の故人に係る参拝対象物を複数に分け、それらを異なる設備(例えば、特定宗派の寺院の本山及び末寺)に保管する場合がある。このような場合、参拝者は、各設備を直接訪れなければ、全ての参拝対象物を対象として参拝することができない。
【0006】
そこで、同一の故人に係る参拝対象物を複数の設備に分けて保管している場合であっても、参拝者が各設備を直接訪れることなく、複数個所における参拝対象物を対象として参拝可能な参拝対象物保管システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、参拝対象物保管システムの特徴構成は、
同一の故人に係る参拝対象物を少なくとも第1参拝対象物と第2参拝対象物とに分け、それぞれを参拝可能に保管する参拝対象物保管システムであって、
複数人の故人に係る前記第1参拝対象物を祀る第1設備と、
複数人の故人に係る前記第2参拝対象物を保管する第2設備と、
前記第1参拝対象物及び前記第2参拝対象物についての管理を行う管理設備と、
前記第2設備に併設され、参拝者による参拝が行われる参拝設備と、を備え、
前記第2設備は、それぞれが前記第2参拝対象物を収容する複数の収容部を備え、
前記管理設備は、前記第1設備に祀られた前記第1参拝対象物に関する第1データを、当該第1参拝対象物と同一の故人に係る前記第2参拝対象物に関連付けて記憶するデータベースを備え、
前記第1データは、前記第1参拝対象物、又は前記第1設備における前記第1参拝対象物が祀られた場所を撮影したデータである第1撮影データを含み、
前記参拝設備は、前記管理設備に接続された出力装置を備え、
前記出力装置は、前記参拝者の操作に応じて、特定の故人に係る前記第1データの一部又は全部を選択的に出力するように構成されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、参拝者が第2設備に並設された参拝設備を訪れて、第2設備に収容された第2参拝対象物を対象として参拝する際、参拝設備に設けられた出力装置に、第1設備に祀られた第1参拝対象物に関する第1データを表示させることができる。これにより、同一の故人に係る参拝対象物を第1設備と第2設備とに分けて保管している場合であっても、参拝者が1箇所の参拝設備からそれらの双方を対象として参拝することができる。したがって、参拝者が各設備を直接訪れることなく、複数個所における参拝対象物を対象として参拝することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る参拝対象物保管システムの概略図
【
図2】実施形態に係る参拝対象物保管システムにおける第2設備及び参拝設備の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る参拝対象物保管システム100について、図面を参照して説明する。参拝対象物保管システム100は、同一の故人に係る参拝対象物Aを少なくとも第1参拝対象物A1と第2参拝対象物A2とに分け、それぞれを参拝可能に保管するように構成されている。参拝対象物Aは、例えば、遺灰、遺骨、遺品等を含む。第1参拝対象物A1と第2参拝対象物A2とは、同種のものであっても、異種のものであっても良い。
【0011】
図1に示すように、参拝対象物保管システム100は、複数人の故人に係る第1参拝対象物A1を祀る第1設備1と、複数人の故人に係る第2参拝対象物A2を保管する第2設備2と、第1参拝対象物A1及び第2参拝対象物A2についての管理を行う管理設備3と、第2設備2に併設され、参拝者Vによる参拝が行われる第2参拝設備4と、を備えている。本実施形態では、参拝対象物保管システム100は、第1設備1に併設され、参拝者Vによる参拝が行われる第1参拝設備5と、第1設備1及び第2設備2とは離れた場所に設置され、参拝者Vによる参拝が行われる第3参拝設備6と、を更に備えている。なお、管理設備3は、いずれかの設備に併設されていても良いし、いずれの設備から離れて設置されていても良い。
【0012】
本実施形態では、参拝対象物保管システム100には、1つの第1設備1が設けられている。そのため、参拝対象物保管システム100には、第1設備1に併設された第1参拝設備5が、第1設備1と同数、つまり、1つ設けられている。また、参拝対象物保管システム100には、複数の第2設備2が設けられている。そのため、参拝対象物保管システム100には、第2設備2に併設された第2参拝設備4が、第2設備2と同数設けられている。本例では、特定宗派の寺院の本山に第1設備1及び第1参拝設備5が設置され、末寺のそれぞれに第2設備2及び第2参拝設備4が設置されている。
【0013】
本実施形態では、第3参拝設備6が特定の第2参拝設備4に対応付けられた状態で設けられており、複数の第2参拝設備4には、対応付けられた第3参拝設備6が存在するものと、対応付けられた第3参拝設備6が存在しないものとが含まれている。つまり、参拝対象物保管システム100には、第2参拝設備4よりも少ない数の第3参拝設備6が設けられている。
【0014】
なお、
図1において、参拝対象物Aに記された記号(X1~X3,Y1~Y3)は、参拝対象物Aに係る故人を表している。説明を加えると、第1設備1における第1参拝対象物A1と第2設備2における第2参拝対象物A2とで同一の記号は、同一の故人を表し、異なる記号は異なる故人を表している。
【0015】
図2に示すように、第2設備2は、それぞれが第2参拝対象物A2を収容する複数の収容部21を備えている。本実施形態では、第2設備2は、複数の収容部21を有する保管棚20と、いずれかの収容部21から第2参拝対象物A2を取り出して規定の支持位置P1に搬送する搬送装置22と、を更に備えている。
【0016】
本実施形態では、一対の保管棚20が互いに離間して配置されている。一対の保管棚20のそれぞれには、複数の収容部21が水平面に沿う一方向に並んで配置されていると共に、鉛直方向に並んで配置されている。
【0017】
以下の説明では、一対の保管棚20のそれぞれの各段において複数の収容部21が並ぶ方向を「第1方向X」とし、鉛直方向視で第1方向Xに直交する方向を「第2方向Y」とする。
【0018】
本実施形態では、一対の保管棚20は、互いに第2方向Yに間隔を空けて対向するように配置されている。また、本実施形態では、複数の収容部21のそれぞれは、第2参拝対象物A2を下方から支持する一対の腕木21aを備えている。一対の腕木21aは、第2方向Yに沿って延在し、第1方向Xに離間して配置されている。
【0019】
本実施形態では、第2参拝対象物A2は、故人の遺灰を含む仏像A21(例えば、小仏)及び位牌A22のうちの少なくとも一方を含む。ここで、「遺灰を含む」とは、原材料として遺灰を含む場合と、遺灰を収納する収納部(例えば、引き出し)を備える場合との双方を含む概念である。本例では、第2参拝対象物A2は、収容部21の一対の腕木21aに載置可能であって、仏像A21及び位牌A22の双方を収容する箱体A23を含む。箱体A23は、第2参拝対象物A2が支持位置P1に配置された場合に、参拝者Vが箱体の内部を視認できるように、少なくとも一部に開口又は透明部材が設けられている。なお、第2参拝対象物A2は、仏像A21自体であっても良いし、位牌A22自体であっても良い。
【0020】
搬送装置22は、搬送対象の第2参拝対象物A2を、当該第2参拝対象物A2が収容された収容部21から、搬送先の支持位置P1へ搬送する。また、搬送装置22は、支持位置P1に配置されている第2参拝対象物A2を収容部21へ搬送する。本実施形態では、搬送装置22は、第1搬送部23と、第2搬送部24と、を備えている。
【0021】
第1搬送部23は、搬送対象の第2参拝対象物A2を、当該第2参拝対象物A2が保管された収容部21から取り出し、第2搬送部24に渡すように搬送する。また、第1搬送部23は、第2搬送部24から第2参拝対象物A2を受け取り、収容部21に収容するように搬送する。
【0022】
本実施形態では、第1搬送部23は、スタッカクレーンである。具体的には、第1搬送部23は、第1方向Xに沿って一対の保管棚20の間に設置された走行レール231と、当該走行レール231に案内されて走行する走行体232と、当該走行体232に立設された一対のマスト233と、当該一対のマスト233に案内されて鉛直方向に沿って移動する昇降体234と、当該昇降体234に対して第2方向Yに出退自在に支持されると共に第2参拝対象物A2を下方から支持する出退支持部235と、を備えている。
【0023】
第2搬送部24は、支持位置P1に対応して設けられている。第2搬送部24は、第1搬送部23から第2参拝対象物A2を受け取り、受け取った第2参拝対象物A2を支持位置P1へ搬送して、当該支持位置P1にて支持する。また、第2搬送部24は、支持位置P1にて支持している第2参拝対象物A2を、第1搬送部23に渡すように搬送する。
【0024】
本実施形態では、第2搬送部24は、走行レール231に対して第2方向Yに隣接する位置と支持位置P1との間で、第2方向Yに沿って第2参拝対象物A2を搬送するコンベヤである。なお、本実施形態では、一対の保管棚20のうちの一方に、収容部21が設けられていない部分が存在し、当該部分を通るように第2搬送部24が配置されている。
【0025】
本実施形態では、第2参拝設備4は、支持位置P1を含むように構成されている。そして、第2参拝設備4には、参拝者Vが参拝を行う位置である参拝位置P2が、支持位置P1に対して第2方向Yに隣接するように設けられている。本例では、第2参拝設備4には、複数の参拝位置P2が設けられている。そして、第2参拝設備4では、1つの支持位置P1が1つの参拝位置P2に対応するように、参拝位置P2と同数の支持位置P1が設けられている。また、第2設備2では、1つの第2搬送部24が1つの支持位置P1に対応するように、支持位置P1と同数の第2搬送部24が設けられている。
【0026】
図2に示すように、本実施形態では、第2設備2と第2参拝設備4とが、壁体Wにより囲まれている。壁体Wは、支持位置P1と参拝位置P2とを仕切るように形成された仕切壁部W1と、第2参拝設備4において参拝室Rを形成する参拝室形成壁部W2と、を有している。
【0027】
仕切壁部W1は、第1方向Xに沿って延在するように形成されている。仕切壁部W1には、参拝位置P2にいる参拝者Vが支持位置P1にある第2参拝対象物A2を視認するための参拝窓部W1aが設けられている。参拝窓部W1aは、仕切壁部W1における支持位置P1で支持された第2参拝対象物A2が対向する部分に配置されている。本実施形態では、参拝窓部W1aは、光透過率を調節可能な調光硝子を用いて構成されている。つまり、参拝窓部W1aは、当該参拝窓部W1aを介して参拝者Vが、支持位置P1に支持された第2参拝対象物A2を視認できるように光を透過する透明状態と、光を透過しない不透明状態とを切り換え可能に構成されている。
【0028】
参拝室形成壁部W2は、参拝位置P2を囲むように形成されている。参拝室形成壁部W2によって囲まれた、参拝位置P2を含む空間が、参拝室Rとして形成されている。本実施形態では、参拝室形成壁部W2は、仕切壁部W1における第1方向Xの複数個所から参拝位置P2側に突出するように形成されている。そのため、本実施形態では、複数の参拝室Rが第1方向Xに並んで配置されている。
【0029】
第2参拝設備4は、第2出力装置41を備えている。本実施形態では、複数の参拝室Rのそれぞれに、第2出力装置41が配置されている。
【0030】
第2出力装置41は、管理設備3(
図1参照)と通信可能に接続されている。第2出力装置41は、参拝者Vの操作を受け付けると共に、当該受け付けた操作に応じた内容を表示するように構成されている。本実施形態では、第2出力装置41は、参拝者Vに関連付けられたICカードに記憶されている情報を読み取るICカードリーダを備えている。そのため、任意の参拝室Rを訪れた参拝者Vが、当該参拝室Rに配置されている第2出力装置41のICカードリーダにICカードを読み取らせることで、当該ICカードに記憶されている情報を管理設備3が取得可能となる。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では、第1設備1は、当該第1設備1で行われている行事をリアルタイムで撮影するための撮影装置11を備えている。撮影装置11は、管理設備3と通信可能に接続されている。
【0032】
本実施形態では、第1参拝設備5は、第1出力装置51を備えている。第1出力装置51は、管理設備3と通信可能に接続されている。第1出力装置51は、参拝者Vの操作を受け付けると共に、当該受け付けた操作に応じた内容を表示するように構成されている。また、図示は省略するが、本実施形態では、第1参拝設備5には、第2参拝設備4の参拝室Rと同様の参拝室が複数設けられている。そして、当該複数の参拝室のそれぞれに、第1出力装置51が配置されている。
【0033】
また、本実施形態では、第3参拝設備6は、第3出力装置61を備えている。第3出力装置61は、管理設備3と通信可能に接続されている。第3出力装置61は、参拝者Vの操作を受け付けると共に、当該受け付けた操作に応じた内容を表示するように構成されている。また、図示は省略するが、本実施形態では、第3参拝設備6には、第2参拝設備4の参拝室Rと同様の参拝室が複数設けられている。そして、当該複数の参拝室のそれぞれに、第3出力装置61が配置されている。なお、第3参拝設備6は「離れ参拝設備」に相当し、第3出力装置61は「離れ出力装置」に相当する。
【0034】
図1に示すように、管理設備3は、データベース31を備えている。データベース31は、第1設備1に祀られた第1参拝対象物A1に関する第1データD1を、当該第1参拝対象物A1と同一の故人に係る第2参拝対象物A2に関連付けて記憶する。なお、データベース31は、管理設備3に設置されたシステム内に構築されたデータベースであっても良いし、クラウド型のデータベースであっても良い。
【0035】
第2参拝設備4の第2出力装置41は、参拝者Vの操作に応じて、特定の故人に係る第1データD1の一部又は全部を選択的に出力するように構成されている。例えば、第2出力装置41は、タッチパネル式のディスプレイを含み、当該ディスプレイに表示された特定の項目を参拝者Vが選択することで、選択された項目に応じた内容を表示する。
【0036】
第1データD1は、第1参拝対象物A1、又は第1設備1における第1参拝対象物A1が祀られた場所(例えば、本山に設置された合祀墓)を撮影したデータである第1撮影データD11を含む。本実施形態では、第1データD1は、第1設備1で行われている行事(例えば、本山で行われている法要)のライブ映像、及び当該行事の予定を示す情報を更に含む。本例では、撮影装置11により撮影されるライブ映像が第1撮影データD11に相当する。なお、第1撮影データD11は、予め撮影した動画又は画像であっても良い。
【0037】
本実施形態では、データベース31は、第2設備2に保管された第2参拝対象物A2に関する第2データD2を、当該第2参拝対象物A2と同一の故人に係る第1参拝対象物A1に関連付けて記憶する。つまり、本実施形態では、第1データD1と第2データD2とが、同一の故人に係る第1参拝対象物A1と第2参拝対象物A2とが互いに関連付けられた状態で、データベース31に記憶される。なお、
図1において、互いに左右に連結した第1データD1と第2データD2とは、同一の故人に係るものであることを表している。
【0038】
第1参拝設備5の第1出力装置51は、参拝者Vの操作に応じて、特定の故人に係る第2データD2の一部又は全部を選択的に出力するように構成されている。例えば、第1出力装置51は、タッチパネル式のディスプレイを含み、当該ディスプレイに表示された特定の項目を参拝者Vが選択することで、選択された項目に応じた内容を表示する。
【0039】
第3参拝設備6の第3出力装置61は、参拝者Vの操作に応じて、特定の故人に係る第1データD1及び第2データD2の一部又は全部を選択的に出力するように構成されている。例えば、第3出力装置61は、タッチパネル式のディスプレイを含み、当該ディスプレイに表示された特定の項目を参拝者Vが選択することで、選択された項目に応じた内容を表示する。
【0040】
第2データD2は、第2設備2における第2参拝対象物A2が収容されている収容部21の場所を示す場所データD21と、第2参拝対象物A2を撮影したデータ又は当該第2参拝対象物A2が収容されている収容部21を撮影したデータである第2撮影データD22と、を含む。なお、第2撮影データD22は、予め撮影した動画又は画像であっても良いし、各収容部21に規定の撮影装置を設け、当該撮影装置によりリアルタイムに撮影している動画又は画像であっても良い。
【0041】
本実施形態では、管理設備3は、第2設備2の搬送装置22を制御するように構成されている。本例では、管理設備3は、第2出力装置41から、当該第2出力装置41のICカードリーダに参拝者Vが読み取らせた情報を取得し、当該参拝者Vに関連する第2参拝対象物A2を特定する。そして、管理設備3は、特定した第2参拝対象物A2に係る第2データD2の場所データD21を参照し、当該場所データD21が示す収容部21から第2参拝対象物A2を取り出して、参拝者Vがいる参拝位置P2に隣接する支持位置P1に搬送する。
【0042】
本実施形態では、管理設備3は、第1設備1と複数の第2設備2とを含む設備群Gf(例えば、同一宗派の寺院群)に対して設けられている。そして、複数の第2設備2のそれぞれに保管された複数の第2参拝対象物A2に係る故人の群を「対象故人群G」とすると、第1設備1には、設備群Gfに含まれる複数の第2設備2に保管された複数の第2参拝対象物A2と共通の対象故人群Gに係る複数の第1参拝対象物A1が祀られている。
図1に示す例では、設備群Gfに含まれる1つ目の第2設備2に、X1,X2,X3で記された故人から成る対象故人群Gである第1対象故人群G1に係る複数の第2参拝対象物A2が保管されている。また、設備群Gfに含まれる2つ目の第2設備2に、Y1,Y2,Y3で記された故人から成る対象故人群Gである第2対象故人群G2に係る複数の第2参拝対象物A2が保管されている。そして、設備群Gfに含まれる第1設備1に、2つの第2設備2に保管された複数の第2参拝対象物A2と共通の対象故人群Gである第1対象故人群G1及び第2対象故人群G2に係る複数の第1参拝対象物A1が保管されている。
【0043】
本実施形態では、第1出力装置51は、設備群Gfに含まれる複数の第2設備2に保管された複数の第2参拝対象物A2に係る第2データD2を出力するように構成されている。一方、第2出力装置41は、当該第2出力装置41が配置された第2参拝設備4に併設された第2設備2を「対象第2設備2T」とすると、第1設備1に保管された全ての第1参拝対象物A1のうち、対象第2設備2Tに保管された複数の第2参拝対象物A2と共通の対象故人群Gに係る複数の第1参拝対象物A1の第1データD1を出力可能であるが、対象第2設備2Tを除く第2設備2に保管された複数の第2参拝対象物A2と共通の対象故人群Gに係る複数の第1参拝対象物A1の第1データD1を出力不可能に構成されている。
図1に示す例では、第1対象故人群G1に係る複数の第2参拝対象物A2が保管されている第2設備2を対象第2設備2Tとしている。この場合、対象第2設備2Tの第2出力装置41は、第1対象故人群G1に係る複数の第1参拝対象物A1の第1データD1を出力可能であるが、第2対象故人群G2に係る複数の第1参拝対象物A1の第1データD1については出力不可能である。
【0044】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、同一の故人に係る参拝対象物Aを第1参拝対象物A1と第2参拝対象物A2とに分け、第1参拝対象物A1を祀る第1設備1と第2参拝対象物A2を保管する第2設備2とを備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、同一の故人に係る参拝対象物Aを3つ以上に分けても良い。例えば、同一の故人に係る参拝対象物Aを第1参拝対象物A1と第2参拝対象物A2と第3参拝対象物とに分け、第3参拝対象物を保管する第3設備を第2設備2と同様に構成し、第3参拝設備6に並設させても良い。
【0045】
(2)上記の実施形態では、第1出力装置51を備えた第1参拝設備5が第1設備1に併設された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1参拝設備5が第1出力装置51を備えていなくても良い。或いは、第1参拝設備5が設けられていなくても良い。
【0046】
(3)上記の実施形態では、第2参拝設備4よりも少ない数の第3参拝設備6が設けられ、特定の第2参拝設備4に第3参拝設備6が対応付けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第2参拝設備4と同数の第3参拝設備6が設けられ、複数の第2参拝設備4のそれぞれに第3参拝設備6が対応付けられていても良い。或いは、第3参拝設備6が設けられていなくても良い。
【0047】
(4)上記の実施形態では、第2設備2が、いずれかの収容部21から第2参拝対象物A2を取り出して規定の支持位置P1に搬送する搬送装置22を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、搬送装置22が設けられておらず、第2設備2の管理者が収容部21から第2参拝対象物A2を取り出して、支持位置P1まで運ぶ構成としても良い。
【0048】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0049】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した参拝対象物保管システムの概要について説明する。
【0050】
参拝対象物保管システムは、
同一の故人に係る参拝対象物を少なくとも第1参拝対象物と第2参拝対象物とに分け、それぞれを参拝可能に保管する参拝対象物保管システムであって、
複数人の故人に係る前記第1参拝対象物を祀る第1設備と、
複数人の故人に係る前記第2参拝対象物を保管する第2設備と、
前記第1参拝対象物及び前記第2参拝対象物についての管理を行う管理設備と、
前記第2設備に併設され、参拝者による参拝が行われる参拝設備と、を備え、
前記第2設備は、それぞれが前記第2参拝対象物を収容する複数の収容部を備え、
前記管理設備は、前記第1設備に祀られた前記第1参拝対象物に関する第1データを、当該第1参拝対象物と同一の故人に係る前記第2参拝対象物に関連付けて記憶するデータベースを備え、
前記第1データは、前記第1参拝対象物、又は前記第1設備における前記第1参拝対象物が祀られた場所を撮影したデータである第1撮影データを含み、
前記参拝設備は、前記管理設備に接続された出力装置を備え、
前記出力装置は、前記参拝者の操作に応じて、特定の故人に係る前記第1データの一部又は全部を選択的に出力するように構成されている。
【0051】
この構成によれば、参拝者が第2設備に並設された参拝設備を訪れて、第2設備に収容された第2参拝対象物を対象として参拝する際、参拝設備に設けられた出力装置に、第1設備に祀られた第1参拝対象物に関する第1データを表示させることができる。これにより、同一の故人に係る参拝対象物を第1設備と第2設備とに分けて保管している場合であっても、参拝者が1箇所の参拝設備からそれらの双方を対象として参拝することができる。したがって、参拝者が各設備を直接訪れることなく、複数個所における参拝対象物を対象として参拝することができる。
【0052】
ここで、前記第1設備及び前記第2設備とは離れた場所に設置され、前記参拝者による参拝が行われる離れ参拝設備を更に備え、
前記データベースは、前記第2設備に保管された前記第2参拝対象物に関する第2データを、当該第2参拝対象物と同一の故人に係る前記第1参拝対象物に関連付けて記憶し、 前記第2データは、前記第2設備における前記第2参拝対象物が収容されている前記収容部の場所を示す場所データと、前記第2参拝対象物を撮影したデータ又は前記第2参拝対象物が収容されている前記収容部を撮影したデータである第2撮影データと、を含み、
前記離れ参拝設備は、前記管理設備に接続された離れ出力装置を備え、
前記離れ出力装置は、前記参拝者の操作に応じて、特定の故人に係る前記第1データ及び前記第2データの一部又は全部を選択的に出力するように構成されていると好適である。
【0053】
この構成によれば、第1設備及び第2設備とは離れた場所に設置された離れ参拝設備に設けられた離れ出力装置に、第1設備に祀られた第1参拝対象物に関する第1データ、及び第2設備に保管された第2参拝対象物に関する第2データを表示させることができる。これにより、参拝者が離れ参拝設備を訪れることで、第1参拝対象物及び第2参拝対象物の双方を対象として参拝することができる。
【0054】
また、前記第1データは、前記第1設備で行われている行事のライブ映像、及び当該行事の予定を示す情報を含むと好適である。
【0055】
この構成によれば、参拝者が第1設備で参拝しているような臨場感を感じ易い。
【0056】
また、前記第2設備は、複数の前記収容部を有する保管棚と、いずれかの前記収容部から前記第2参拝対象物を取り出して規定の支持位置に搬送する搬送装置と、を備え、
前記参拝設備は、前記支持位置を含むように構成されていると好適である。
【0057】
この構成によれば、収容部に収容された第2参拝対象物を、参拝設備に含まれる支持位置に、搬送装置により自動的に搬送させることができる。これにより、参拝設備を訪れた参拝者が、第2参拝対象物に対して直接的に参拝することが容易となる。
【0058】
また、前記第2参拝対象物は、故人の遺灰を含む仏像及び位牌のうちの少なくとも一方を含むと好適である。
【0059】
この構成によれば、参拝者が故人の遺灰を含む仏像及び位牌のうちの少なくとも一方を対象として参拝を行うことができるため、参拝者の満足感を高め易い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示に係る技術は、参拝対象物を保管する参拝対象物保管システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 :参拝対象物保管システム
1 :第1設備
2 :第2設備
21 :収容部
3 :管理設備
31 :データベース
4 :第2参拝設備(参拝設備)
41 :第2出力装置(出力装置)
A :参拝対象物
A1 :第1参拝対象物
A2 :第2参拝対象物