(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】入力インターフェース、電子楽器、発光制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04812 20220101AFI20240910BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240910BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20240910BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20240910BHJP
【FI】
G06F3/04812
G06F3/0488
G06F3/0362 461
G06F3/038 350D
(21)【出願番号】P 2022097682
(22)【出願日】2022-06-17
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 知哉
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真吾
(72)【発明者】
【氏名】森山 修
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 健
(72)【発明者】
【氏名】森谷 信一
(72)【発明者】
【氏名】市村 優太郎
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-544361(JP,A)
【文献】特開2016-212769(JP,A)
【文献】特開平10-268862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04812
G06F 3/0488
G06F 3/0362
G06F 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させるよう制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、
前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御
し、
前記操作体の移動方向の発光部を、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御する、
入力インターフェース。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部から、前記操作体による接触又は近接が検出されている箇所に対応する発光部までに並ぶ発光部のそれぞれの発光強度が互いに異なるように制御す
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項3】
前記検出面は、輪状に連続した1つの領域であ
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項4】
前記検出面は、円環状であり、前記複数の発光部は、円環状に並んで設けられてい
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項5】
前記検出部は、静電容量の変化によって前記操作体と前記検出面との接触又は近接を検出す
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所の移動速度に応じて、表示部に表示されているカーソルの移動速度又は値の増減速度を変化させ
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項7】
前記制御部は、前記操作体と円環状の前記検出面との接触箇所又は近接箇所が移動する際の、円環状の前記検出面の中心からの角速度に応じて、表示部に表示されているカーソルの移動速度又は値の増減速度を変化させ
る、
請求項4に記載の入力インターフェース。
【請求項8】
前記制御部は、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所の移動速度に応じて、前記発光部により発光させる発光色を決定す
る、
請求項1に記載の入力インターフェース。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の入力インターフェースを備える電子楽器。
【請求項10】
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
を備える入力インターフェースを制御するためのコンピュータが、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させ、
前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御
し、
前記操作体の移動方向の発光部を、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御する、
発光制御方法。
【請求項11】
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
を備える入力インターフェースを制御するためのコンピュータに、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させ
る機能、
前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御する機能、
前記操作体の移動方向の発光部を、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力インターフェース、電子楽器、発光制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理的なボタンやダイヤル、静電容量方式のタッチパネル等の入力インターフェースを使用して、画面表示されたカーソルを移動させる等の操作を行うことができるものがある。例えば、特許文献1では、スライド操作部上においてスライド操作させている指に対応する位置の光源を発光させるとともに、スクロール画像部の項目画像のスクロールを行うことが可能な表示装置の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の表示装置では、指がスライド操作部の所定位置に触れていると特定した場合に、所定位置と対応した位置を発光させると共に、他の第1光源を消光させる構成の記載はあるが、発光及び消光の表現は単調なものであった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、入力インターフェースにおける表示の表現の幅を広げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の入力インターフェースは、
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させるよう制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、
前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御し、
前記操作体の移動方向の発光部を、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入力インターフェースにおける表示の表現の幅を広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の入力インターフェースを備える電子楽器の機能的構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の入力インターフェースを備える電子楽器の外観構成例を示す図である。
【
図3】入力用リングがタップ操作された場合のイメージ図である。
【
図4】
図1のCPUにより実行される操作判別処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図1のCPUにより実行される発光制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】入力用リングにおいて指の接触又は近接が検出されなくなった位置の発光部の発光強度の変化を示すグラフである。
【
図7】(a)は、
図5の発光制御処理において、入力用リングの円周上を素早くスライドした場合の指が通過した箇所に対応する各発光部のある時点における発光強度の関係を示す図(グラフ)である。(b)は、
図5の発光制御処理において、入力用リングの円周上をゆっくりスライドした場合の指が通過した箇所に対応する各発光部のある時点における発光強度の関係を示す図である。
【
図8】(a)は、
図5の発光制御処理において、入力用リングの円周上を指で素早くスライドした場合の入力用リングの発光の様子を示す図である。(b)は、
図5の発光制御処理において、入力用リングの円周上を指でゆっくりスライドした場合の入力用リングの発光の様子を示す図である。
【
図9】(a)は、変形例における、入力用リングの円周上を指で素早くスライドした場合の入力用リングの発光の様子を示す図である。(b)は、変形例における、入力用リング151の円周上を指でゆっくりスライドした場合の入力用リングの発光の様子を示す図である。
【
図10】
図1のCPUにより実行されるカーソル移動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】(a)は、
図10のカーソル移動制御処理において、入力用リングの円周上を指で素早くスライドした場合の、表示部のメニュー画面に表示されたカーソルの位置の変化を示す図であり、(b)は、
図10のカーソル移動制御処理において、入力用リングの円周上を指でゆっくりスライドした場合の、表示部のメニュー画面に表示されたカーソルの位置の変化を示す図である。
【
図13】
図1のCPUにより実行される文字入力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[電子楽器100の構成]
図1は、本発明の入力インターフェースを含む電子楽器100の機能的構成を示すブロック図である。
図2は、電子楽器100の外観構成例を示す図である。
電子楽器100は、
図1、2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11等の少なくとも1つのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、鍵盤14と、操作部15と、表示部16と、サウンドシステム17と、通信部18と、を備えて構成されており、各部はバス19により接続されている。
【0011】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAM13をワークエリアとして用いて各種処理を実行することにより、電子楽器100の各部を集中制御する。例えば、CPU11は、鍵盤14の押鍵された鍵の音高に応じて、サウンドシステム17によりピアノ等の楽器音を出力させたり、操作部15により選択された楽曲をサウンドシステム17により出力させたりする。また、CPU11は、通信部18を介して外部機器から入力されたオーディオデータに基づく音楽をサウンドシステム17により再生させる。また、CPU11は、後述する発光制御処理、操作判別処理、カーソル移動制御処理、文字入力制御処理を始めとする各種処理を実行し、本発明の制御部として機能する。
【0012】
ROM12は、プログラム及び各種データ等を記憶する。
RAM13は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時的にデータを記憶する。
【0013】
鍵盤14は、複数の鍵(操作子)を備えて構成され、押鍵/離鍵された鍵の情報をCPU11に出力する。
【0014】
操作部15は、各種スイッチや操作キーを有し、ユーザによる各種スイッチや操作キーの操作に応じた操作信号をCPU11に出力する。例えば、操作部15は、
図2に示す、ファンクションキー(F1キー152、F2キー153、F3キー154、F4キー155)、ENTERキー156等を備えている。
【0015】
また、本実施形態において、操作部15は、
図2に示すように、輪状(本実施形態では、円環状)の入力インターフェースである入力用リング151を備えている。入力用リング151は、操作体と、輪状に連続した1つの領域である検出面との接触位置を静電容量の変化により検出する検出部(センサー)と、検出部に対応する位置に輪状に並んで設けられ、検出面を発光させる複数の発光部(LED(Light Emitting Diode))と、を備えて構成されている。入力用リング151は、操作体による入力用リング151の検出面への接触位置を検出してCPU11に出力するとともに、CPU11の制御に応じて、操作体が接触した位置(接触点や接触箇所ともいう)に対応する発光部を発光する。すなわち、入力用リング151とCPU11により、本発明の入力インターフェースが構成される。また、検出部による検出は、必ずしも操作体が検出面に「接触」していなくともよく、操作体が検出面に「近接(非接触な状態)」している際に静電容量の変化を検出しても良い。つまり、静電容量が閾値以上変化している場合に、操作体による検出面への接触又は近接を検出するようにすれば良い。また、検出部は操作体の接触又は近接が検出できれば、静電容量の変化を検出するセンサでなくともよく、光学センサや熱感知センサであっても良い。
なお、本実施形態では、操作体が指である場合を例にとり説明するが、これに限らず、例えばタッチペン等の他のものであってもよい。
【0016】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU11から入力される表示信号の指示に従って、表示を行う。
【0017】
サウンドシステム17は、音源部171、オーディオ回路172、スピーカ173を備えて構成されている。
音源部171は、CPU11からの制御指示に従い、ROM12に予め記憶された波形データを読み出すか又は波形データを生成してオーディオ回路172に出力する。
オーディオ回路172は、音源部171から出力された波形データ又は通信部18から入力された波形データ(オーディオデータ)をD/A変換して増幅し、スピーカ173は、増幅されたアナログ音声を出力する。
【0018】
通信部18は、インターネット等の通信ネットワーク、Bluetooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の通信インターフェースを介して接続された外部端末やUSBメモリ等の外部記録媒体などの外部機器と、データ送受信を行う。
【0019】
[電子楽器100の動作]
次に、電子楽器100の動作について説明する。
本実施形態では、電子楽器100における入力用リング151に係る動作、具体的には、入力用リング151におけるタップ操作とスライド操作の判別、入力用リング151の発光制御、入力用リング151によるカーソル移動制御、入力用リング151を用いた文字入力について説明する。
【0020】
(タップ操作とスライド操作の判別)
まず、入力用リング151におけるタップ操作とスライド操作の判別について説明する。ここで、タップ操作とは、指(操作体)で入力用リング151の検出面を軽く叩く(押下する)操作、又は、入力用リング151の検出面に指(操作体)を一瞬(例えば1s未満)近付ける操作である。スライド操作とは、指(操作体)が入力用リング151の検出面に接触又は近接した状態でリングに沿って(発光部に沿って)移動する操作である。
図3は、入力用リング151がタップ操作された場合のイメージ図である。入力用リング151がタップ操作されると、
図3に示すように、タップが検出された位置及びその周囲の所定範囲の発光部が点灯し、その他の発光部は消灯する。入力用リング151においてスライド操作が検出された場合の発光部のイメージについては後述する。
【0021】
入力用リング151では、検出される静電容量の僅かな変化により、円周上に指が触れたか又は近接した瞬間に揺らぎ(微小な動き)が生じる場合がある。この場合、入力用リング151が検出するタッチ位置(指と検出面の接触点又は近接点の位置)の座標は一定値とはならないため、タップ操作であってもスライド操作と判別されてしまうことがある。
【0022】
そこで、CPU11は、入力用リング151において円周上に指が触れたか又は近接してタッチが検出された場合、
図4に示す操作判別処理を実行して、タップ操作であるかスライド操作であるかを判別する。操作判別処理は、CPU11とROM12に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0023】
まず、CPU11は、入力用リング151によるタッチの検出が開始されると、タッチ座標(指と検出面との接触点又は近接点の座標)を取得してRAM13に一時保存する(ステップS1)。ここでいう座標とは、接触点又は近接点の位置を特定するために検出面上に仮想的に設定されるものであり、例えばXY座標等が用いられる。以下における「位置」や「速度」等は、当該座標を用いて取得される。
【0024】
次いで、CPU11は、入力用リング151からの情報に基づいて、入力用リング151から指が離れたか(接触又は近接が検出されなくなったか)否かを判断する(ステップS2)。
入力用リング151から指が離れていないと判断した場合(ステップS2;NO)、CPU111は、入力用リング151によりタッチ座標の検出が開始されてから所定の検出時間が経過したか否かを判断する(ステップS3)。
タッチ座標の検出が開始されてから所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS3;NO)、CPU11は、ステップS2に戻る。
【0025】
一方、ステップS2において、入力用リング151から指が離れたと判断した場合(ステップS2;YES)、CPU11は、入力用リング151から指が離れた時の座標を取得してRAM13に一時保存する(ステップS4)。CPU11は、例えば、指が離れた時の座標として、入力用リング151において指の接触又は近接が検出されなくなる直前に検出された座標を取得する。
【0026】
次いで、CPU11は、入力用リング151に指が触れたか又は近接した時(タッチ検出が開始されたとき)と入力用リング151から指が離れた時の座標差が予め定められた閾値TH1以上であるか否かを判断する(ステップS5)。
指が触れたか又は近接した時(タッチ検出が開始された時)と離れた時の座標差が予め定められた閾値TH1以上であると判断された場合(ステップS5;YES)、CPU11は、実施された操作がスライド操作であると判断し(ステップS6)、操作判別処理を終了する。
指が触れたか又は近接した時(タッチ検出が開始された時)と離れた時の座標差が予め定められた閾値TH1以上ではないと判断された場合(ステップS5;NO)、CPU11は、実施された操作がタップ操作であると判断し(ステップS7)、操作判別処理を終了する。
【0027】
一方、入力用リング151から指が離れていないと判断した場合(ステップS2;NO)であって、入力用リング151においてタッチ座標の検出が開始されてから所定の検出時間が経過したと判断した場合(ステップS3;YES)、CPU11は、タッチ検出が開始された時と現在のタッチ位置との座標差が所定の閾値TH1以上であるか否かを判断する(ステップS8)。
【0028】
座標差が所定の閾値TH1以上ではないと判断した場合(ステップS8;NO)、CPU11は、ステップS2に戻る。
【0029】
座標差が所定の閾値TH1以上であると判断した場合(ステップS8;YES)、CPU11は、実施された操作がスライド操作であると判断し(ステップS9)、操作判別処理を終了する。
【0030】
このように、操作判別処理では、入力用リング151の円周上に指が触れたか又は近接した時と離れた時の座標が一定でなくても、その座標差が予め定められた閾値TH1を越えない場合はタップ操作と判断し、閾値TH1以上であればスライド操作と判別するので、入力用リング151に触れたか又は近接した指先の揺らぎに対して、ユーザがスライド操作をしようとしているのかタップ操作をしようとしているのかを的確に判別することができる。
【0031】
(入力用リング151の発光制御)
次に、入力用リング151における発光制御について説明する。
従来、スライド操作部上においてスライド操作させている指に対応する位置の光源を発光させるものがある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この発光方法(点灯方法)では単調であり、指の動きに滑らかに追従する表示とはなっていない。例えば、入力用リング151を操作する指の動きの速さに応じて入力用リング151の表示を変化させることはできない。
【0032】
そこで、本実施形態では、CPU11は、スライド操作が検出された際に、
図5に示す発光制御処理を実行することにより、入力用リング151を操作する指の動きに応じた表示が行えるようにする。発光制御処理は、CPU11とROM12に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ここで、入力用リング151は、指が入力用リング151の円周上に触れていないか又は近接していない時は、通常の点灯状態の発光強度(最大発光強度)より低い所定の発光強度でうっすら点灯(発光)している状態である。発光強度(輝度)の単位は例えばnitが用いられる。
【0033】
まず、CPU11は、入力用リング151の検出部により指の接触又は近接が検出された位置に対応する発光部を通常の点灯状態(発光状態)の発光強度Imaxで点灯(発光)し、入力用リング151の他の発光部は消灯(消光)する(ステップS21)。
【0034】
次いで、CPU11は、入力用リング151の検出部により検出された、入力用リング151において現在指に触れられている位置(接触点の位置)又は指が近接している位置(近接点の位置)に対応する発光部を通常の点灯状態の発光強度(最大発光強度Imax)で点灯(発光)するとともに、入力用リング151の検出部により指の接触又は近接が検出されなくなった箇所(通過した箇所)に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、所定時間(一定時間)で消灯(消光)させる(ステップS22)。つまり、
図6のように、1つの発光部は、指の接触又は近接が検出されなくなったときに所定時間内で段階的に発光強度が小さくなり、当該所定時間に達した時点で消灯する。これをそれぞれの発光部で行う。これにより、スライド操作をしている場合に指の接触又は近接が検出されなくなった箇所(通常の発光強度で点灯してから次いで発光強度が小さくなる箇所)から現在の接触点又は近接点までの光の動き(消灯していく速度)は、常に一定である。よって、後述するようにユーザが入力用リング151の円周上を素早くスライドした場合、指から長く尾を引くような点灯(表示)をし、ユーザが入力用リング151の円周上をゆっくりスライドした場合、あまり尾を引かないような点灯(表示)とすることができる。
【0035】
次いで、CPU11は、入力用リング151から指が離れたか否かを判断する(ステップS23)。
入力用リング151から指が離れていないと判断した場合(ステップS23;NO)、CPU11は、ステップS22に戻る。
入力用リング151から指が離れたと判断した場合(ステップS23;YES)、CPU11は、通常の点灯状態より低い所定の発光強度(うっすらと点灯する程度)で全部の発光部を点灯し(ステップS24)、発光制御処理を終了する。
【0036】
図7(a)は、上記発光制御処理において、入力用リング151の円周上を素早くスライドした場合の指が通過した箇所に対応する各発光部のある時点における発光強度の関係を示す図(グラフ)である。
図7(b)は、上記発光制御処理において、入力用リング151の円周上をゆっくりスライドした場合の指が通過した箇所に対応する各発光部のある時点における発光強度の関係を示す図である。A~G及びA’~D’はそれぞれ、複数の発光部のうちの指が通過した箇所に対応する発光部であり、A及びA’は発光強度ゼロ(消灯状態)を表し、G及びD’は最大発光強度Imaxで発光している発光部(接触点又は近接点に対応する発光部)である。なお、
図7(a)及び
図7(b)では隣り合う発光部の発光強度が異なるようにしているが、並列する2つ以上の発光部が同じ発光強度になるように発光を制御しても良い。また、
図7(a)及び
図7(b)では説明のために、指をスライドさせる速度はそれぞれで一定とする。
図8(a)は、上記発光制御処理において、入力用リング151の円周上をある速度よりも素早くスライドした場合の入力用リング151の発光の様子を示す図である。
図8(b)は、上記発光制御処理において、入力用リング151の円周上を
図8(a)の場合よりも(又はある速度よりも)ゆっくりスライドした場合の入力用リング151の発光の様子を示す図である。
なお、
図8~
図9においては、入力用リング151上の発光強度を濃度によって示している。濃度が濃いほど、発光強度が強いことを示す。白は、発光していないことを示している。また、入力用リング151の周囲に広がる実線は、入力用リング151が発光していることを示す仮想的な線である。
【0037】
入力用リング151の円周上をある速度よりも素早くスライドした場合、単位時間における指の移動量が大きくなる(通過する発光部の個数が多くなる)ため、指が通過した部分に対応する発光部が消灯(消光)していくペースに対し、指が触れたか又は近接した部分に対応する発光部が点灯(発光)していくペースが速い。そのため、
図7(a)のグラフに示すように、消灯しきっていない(低い発光強度で発光している)発光部が多く残り、
図8(a)に示すように、指から長く尾を引くような表示となる。
【0038】
一方、
図8(b)のように、入力用リング151の円周上を
図8(a)の場合よりも(又はある速度よりも)ゆっくりスライドした場合、単位時間における指の移動量が
図8(a)の場合よりも(又はある速度で指を動かす場合よりも)小さくなる(通過する発光部の個数が少なくなる)ため、指が通過した部分に対応する発光部が消灯(消光)していくペースに対し、指が触れたか又は近接した部分に対応する発光部が点灯(発光)していくペースが遅い(同等かそれ以下)。なお、
図6に示すように複数の発光部のそれぞれが通常の点灯(最大発光強度での点灯)をしてから消灯するまでの時間は、
図8(a)の複数の発光部のそれぞれが通常の点灯をしてから消灯するまでの時間と同じである。そのため、
図7(b)のグラフに示すように、比較的低い発光強度で発光している発光部が
図7(a)と比べて少なく、
図8(b)に示すように、あまり尾を引かない表示となる。
【0039】
このように、発光制御処理では、入力用リング151の円周上がスライド操作された場合、入力用リング151の指が検出されなくなった箇所(指が通過した箇所)に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、所定時間(一定時間)で消灯(消光)させる。よって、ユーザが入力用リング151の円周上を素早くスライドした場合、指から長く尾を引く表示とすることができ、ユーザが入力用リング151の円周上をゆっくりスライドした場合、あまり尾を引かない表示とすることができる。これにより、タップ操作とスライド操作とで、入力用リング151に明らかな表示(発光)演出の区別ができるため、接触箇所の発光部を単に発光させるよりも実際に操作を行ったイメージ(操作感)を抱きやすい。よって本開示によれば、指の動きの速さに応じて入力用リング151の表示の表現の幅を広げることができる。
【0040】
(入力用リング151の発光制御の変形例)
なお、入力用リング151の発光部のLEDがマルチカラーのLEDである場合、入力用リング151の円周上のスライド操作の移動速度(角速度)に応じて発光する色を変えることとしてもよい。例えば、入力用リング151の円周上が指でスライド操作されたときの、入力用リング151における単位時間当たりのタッチ位置の移動量(入力用リング151の中心に対する角速度)を取得し、予めROM等に記憶された、移動角速度と移動角速度に応じた発光色とを対応付けたテーブルに基づいて、CPU11が入力用リング151の発光部に発光させる色を決定するとしても良く、例えば検出(取得)された角速度が閾値未満であれば緑色に発光、閾値以上であれば青色に発光させるとしても良い。また、閾値や色の数は複数設定されていても良い。また、マルチカラーのLEDではなく、複数の異なる単色LEDを用いても良い。
【0041】
また、CPU11は、入力用リング151のスライド操作が検出された場合、上記発光制御処理による、指が通過した部分の発光部の発光制御に加え、さらに、指が移動する方向(移動方向)に存在する複数の発光部を、指と検出面の接触点又は近接点からの距離(移動方向における距離)に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光するように制御してもよい。
【0042】
図9(a)は、入力用リング151の円周上をある速度よりも素早くスライドした場合の上記変形例における入力用リング151の発光の様子を示す図である。
図9(b)は、入力用リング151の円周上を
図9(a)の場合よりも(又はある速度よりも)ゆっくりスライドした場合の上記変形例における入力用リング151の発光の様子を示す図である。
図9(a)、(b)に示すように、指が通過した箇所の発光部だけでなく、指が移動する方向の発光部も点灯(発光)させて、指と検出面の接触点又は近接点の周囲の発光部が発光するように制御することで、接触点又は近接点をよりわかりやすく表示することができる。
【0043】
(カーソル移動制御処理)
次に、入力用リング151によるメニュー画面等のカーソル移動制御について説明する。
従来、表示部16に表示されるメニュー項目などのカーソルを、物理エンコーダ(ロータリーエンコーダ、ダイヤル)を回すことによって移動させることができるものがある。このような物理エンコーダでは、エンコーダを回した分だけカーソルが移動する。
【0044】
これに対し、CPU11は、表示部16で所定の画面(例えば、メニュー画面161(
図11(a)、(b)参照))を表示しているタイミングで入力用リング151の円周上が指でスライド操作された場合、
図10に示すカーソル移動制御処理を実行し、指が触れている点(接触点)又は近接している点(近接点)の移動速度に応じて表示部16に表示しているカーソルの移動速度を変化させる。カーソル移動制御処理は、CPU11とROM12に記憶されているプログラムとの協働により実行される処理である。
なお、本実施形態において、CPU11は、上記カーソル移動制御処理と並行して、上記入力用リング151の発光制御処理を実行する。
【0045】
メニュー画面161が表示されている場合において、入力用リング151の円周上が指でスライド操作されると、CPU11は、入力用リング151における単位時間(例えば、100ms)当たりのタッチ位置の移動量(入力用リング151の中心に対する角速度。以下、移動角速度とする)を取得する(ステップS31)。
【0046】
次いで、CPU11は、取得した移動角速度のレベルを判定する(ステップS32)。
例えば、CPU11は、移動角速度が予め定められた第1の閾値未満である場合はレベル1(小)、第1の閾値以上であって、予め定められた第2の閾値未満である場合はレベル2(中)、第2の閾値以上である場合はレベル3(大)であると判断する。ここで、第1の閾値<第2の閾値である。
【0047】
移動角速度のレベルが1であると判定した場合(ステップS32;レベル1)、CPU11は、タッチ位置の移動量45度に対して、表示部16のカーソルを1つ(1段階)移動させ(ステップS33)、ステップS36に移行する。
移動角速度のレベルが2であると判定した場合(ステップS32;レベル2)、CPU11は、タッチ位置の移動量30度に対して、表示部16のカーソルを1つ(1段階)移動させ(ステップS34)、ステップS36に移行する。
移動角速度のレベルが3であると判定した場合(ステップS32;レベル3)、CPU11は、タッチ位置の移動量15度に対して、表示部16のカーソルを1つ(1段階)移動させ(ステップS35)、ステップS36に移行する。
ここで、CPU11は、スライド操作が時計回りの場合は、カーソルを順方向(下方向又は右方向)に移動させ、反時計回りの場合は、カーソルを逆方向(上方向又は左方向)に移動させる。
【0048】
ステップS36において、CPU11は、カーソルの位置がメニュー項目の上限又は下限に達したか否かを判断する(ステップS36)。
カーソルの位置がメニュー項目の上限又は下限に達していないと判断した場合(ステップS36;NO)、CPU11は、ステップS31に戻り、ステップS31~S36を繰り返し実行する。
カーソルの位置がメニュー項目の上限又は下限に達したと判断した場合(ステップS36;YES)、CPU11は、カーソルの移動を停止し(ステップS37)、カーソル移動制御処理を終了する。
【0049】
図11(a)は、上記カーソル移動制御処理において、入力用リング151の円周上を素早く(移動角速度大で)スライドした場合の、表示部16のメニュー画面161に表示されたカーソルCの位置の変化を示す図である。
図11(b)は、上記カーソル移動制御処理において、入力用リング151の円周上をゆっくり(移動角速度小で)スライドした場合の、表示部16のメニュー画面161に表示されたカーソルCの位置の変化を示す図である。
【0050】
図11(a)では、カーソルが6つ移動しているが、
図11(b)では、カーソルは2つしか移動していない。このように、入力用リング151の円周上をスライドする速度(角速度)に応じて、カーソルの移動速度(カーソルの位置の変化量)を変えることができる。
【0051】
このように、上記カーソル移動制御処理によれば、入力用リング151の円周上をスライドする速度(接触点又は近接点の移動速度(角速度))に応じて、カーソルCの移動速度(カーソルの位置の変化量)を変えることができる。
なお、CPU11は、表示部16に値を表示している場合、入力用リング151の円周上の指と検出面の接触点又は近接点の移動速度(角速度)に応じて、表示されている値(例えば音量など)の増減速度を変化させることとしてもよい。すなわち、入力用リング151の円周上を素早くスライドした場合は、表示されている値の増減速度を大きくし、入力用リング151の円周上をゆっくりスライドした場合は、表示されている値の増減速度を小さくしてもよい。
【0052】
(文字入力制御処理)
次に、入力用リング151による文字入力について説明する。
従来、表示部16に表示される文字入力画面から文字入力を行う場合、カーソルキーやテンキーを用いて、カーソルの移動や文字のめくり(入力文字の選択)を行っており、物理的なエンコーダを有していても、別途カーソルキーやテンキーが必要であった。
【0053】
そこで、CPU11は、例えば、
図12に示すような文字入力画面162が表示されている場合に、
図13に示す文字入力制御処理を実行して、入力用リング151を用いて入力文字の選択やカーソル移動ができるようにする。文字入力制御処理は、CPU11とROM12に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
なお、本実施形態において、CPU11は、上記カーソル移動制御処理と並行して、上記入力用リング151の発光制御処理を実行する。
【0054】
まず、CPU11は、入力用リング151のスライド操作、又は上領域もしくは下領域のタップ操作が検出されたか否かを判断する(ステップS41)。
入力用リング151の上領域とは、入力用リング151の円周を上下左右の4つの領域に区切ったときの上側の領域である。入力用リング151の下領域とは、入力用リング151の円周を上下左右の4つの領域に区切ったときの下側の領域である。
【0055】
入力用リング151のスライド操作、又は上領域もしくは下領域のタップ操作が検出されたと判断した場合(ステップS41;YES)、CPU11は、操作に応じて入力する文字を選択し、ステップS43に移行する。
例えば、CPU11は、入力用リング151のスライド操作が検出された場合、タッチ位置が円周上を所定量移動する毎に、入力する文字を切り替えて表示し、スライド操作が終了した時に表示されていた文字を入力文字として選択する。スライド操作が時計回りの場合は文字を昇順に(例えば、アルファベットのA→Zに向かう順に)切り替え表示し、反時計回りの場合は降順に(例えば、アルファベットのZ→Aに向かう順に)文字を切り替え表示する。
また、CPU11は、入力用リング151の下側の領域がタップ操作される毎に、文字を昇順に(例えば、アルファベットのA→Zに向かう順に)切り替え表示する。また、入力用リング151の上側の領域がタップ操作される毎に、文字(
図12ではアルファベット)を降順に(例えば、アルファベットのZ→Aに向かう順に)文字を切り替え表示する。タップ操作が終了した時に表示されていた文字を入力文字として選択する。
【0056】
入力用リング151のスライド操作、又は上領域もしくは下領域のタップ操作が検出されていないと判断した場合(ステップS41;NO)、CPU11は、ステップS43に移行する。
【0057】
ステップS43において、CPU11は、入力用リング151の左領域又は右領域のタップ操作が検出されたか否かを判断する(ステップS43)。
入力用リング151の右領域とは、入力用リング151の円周を上下左右の4つの領域に区切ったときの右側の領域であり、入力用リング151の左領域とは、上下左右の4つの領域に区切ったときの左側の領域である。
【0058】
入力用リング151の左領域又は右領域のタップ操作が検出されたと判断した場合(ステップS43;YES)、CPU11は、操作に応じて表示部16のカーソルを移動させ(ステップS44)、ステップS45に移行する。
例えば、CPU11は、入力用リング151の右領域がタップ操作される毎に、表示部16に表示されたカーソルを右に1ずつ移動させる。右の終端まで移動した場合はカーソルを停止させるか、又は左の終端に移動させる。また、CPU11は、入力用リング151の左領域がタップ操作される毎に、表示部16に表示されたカーソルを左に1ずつ移動させる。左の終端まで移動した場合はカーソルを停止させるか、又は右の終端に移動させる。
【0059】
入力用リング151の左又は右のタップ操作が検出されていないと判断した場合(ステップS43;NO)、CPU11は、ステップS45に移行する。
【0060】
ステップS45において、CPU11は、F1キー152が押下されたか否かを判断する(ステップS45)。
F1キー152が押下されたと判断した場合(ステップS45;YES)、CPU11は、現在のカーソル位置の文字を削除し(ステップS46)、ステップS47に移行する。
F1キー152が押下されていないと判断した場合(ステップS45;NO)、CPU11は、ステップS47に移行する。
【0061】
ステップS47において、CPU11は、F2キー153が押下されたか否かを判断する(ステップS47)。
F2キー153が押下されたと判断した場合(ステップS47;YES)、CPU11は、現在のカーソル位置に文字(例えば、デフォルトの文字A)を挿入し(ステップS48)、ステップS49に移行する。
F2キー153が押下されていないと判断した場合(ステップS47;NO)、CPU11は、ステップS49に移行する。
【0062】
ステップS49において、CPU11は、F3キー154が押下されたか否かを判断する(ステップS49)。
F3キー154が押下されたと判断した場合(ステップS49;YES)、CPU11は、カーソル位置の文字の大文字と小文字を切り替え(ステップS50)、ステップS51に移行する。なお、カーソル位置が数字又は記号であった場合は、A(アルファベットの大文字)に切り替える。
F3キー154が押下されていないと判断した場合(ステップS49;NO)、CPU11は、ステップS51に移行する。
【0063】
ステップS51において、CPU11は、F4キー155が押下されたか否かを判断する(ステップS51)。
F4キー155が押下されたと判断した場合(ステップS51;YES)、CPU11は、カーソル位置の数字と記号を切り替え(ステップS52)、ステップS53に移行する。なお、カーソル位置がアルファベットであった場合は、0(数字)に切り替える。
F4キー155が押下されていないと判断した場合(ステップS51;NO)、CPU11は、ステップS53に移行する。
【0064】
ステップS53において、CPU11は、ENTERキー156が押下されたか否かを判断する(ステップS53)。
ENTERキー156が押下されていないと判断した場合(ステップS53;NO)、CPU11は、ステップS41に戻る。
ENTERキー156が押下されたと判断した場合(ステップS53;YES)、CPU11は、入力された文字(文字入力画面162に表示されている文字)をRAM13に保存し(ステップS54)、文字入力制御処理を終了する。
【0065】
このように、上記文字入力制御処理によれば、入力用リング151の円周上をスライド操作するか、又は入力用リング151の上領域もしくは下領域をタップ操作すると、入力する文字を選択する(切り替える)ことができる。また、入力用リング151の円周の右領域もしくは左領域をタップ操作すると、カーソルを右又は左に移動させることができる。したがって、カーソルキーやテンキーを設けなくても、入力する文字の選択やカーソルの移動を行うことができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の電子楽器100のCPU11は、入力用リング151の複数の発光部のうち、検出部によって検出された操作体と検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させるよう制御するとともに、操作体が検出面に接触又は近接した状態で複数の発光部に沿って移動する際に、操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御する。
したがって、ユーザが入力用リング151の円周上を素早くスライドした場合、指から長く尾を引く表示とすることができ、ユーザが入力用リング151の円周上をゆっくりスライドした場合、あまり尾を引かない表示とすることができ、指の動きの速さに応じて入力用リング151の表示の表現の幅を広げることができる。
【0067】
また、CPU11は、操作体が入力用リング151の検出面に接触又は近接した状態で複数の発光部に沿って移動する際に、
図7(a)、(b)に示すように、操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部から、操作体による接触又は近接が検出されている箇所に対応する発光部までに並ぶ発光部のそれぞれの発光強度が互いに異なるように制御する。
したがって、操作体が検出面に接触又は近接した状態で複数の発光部に沿って移動する際の入力用リング151の表示の表現の幅を広げることができる。
【0068】
また、入力用リング151の検出面が輪状に連続した1つの領域であることで、入力用リング151の見た目や操作感が滑らかとなる。
【0069】
また、CPU11は、操作体が入力用リング151に接触又は近接した状態で複数の発光部に沿って移動する際に、さらに、操作体の移動方向の発光部を、接触点又は近接点からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御することで、接触点又は近接点をよりわかりやすく表示することができる。
【0070】
また、CPU11は、操作体と入力用リング151との接触点又は近接点の移動速度に応じて、例えば、操作体と入力用リング151との接触点又は近接点が移動する際の角速度に応じて、表示部16に表示されているカーソルの移動速度又は値の増減速度を変化させるので、ユーザの指の動きの速さに応じた操作感を実現することができる。
【0071】
なお、上記実施形態及び変形例における記述内容は、本発明に係る入力インターフェース、電子楽器、発光制御方法及びプログラムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上記実施形態では、電子楽器100内に本発明の入力インターフェースとしての入力用リング151を備える場合を例にとり説明したが、本発明の入力インターフェースは、電子楽器に備えられることに限定されず、他の電子機器に操作部として備えられていることとしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、入力用リング151が円環状である場合を例にとり説明したが、これに限定されず、例えば、楕円状や正方形状、長方形状等であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、入力用リング151の発光制御を、電子楽器100の全体を制御するCPU11により実施することとしたが、入力用リング151に上記発光制御処理を実施するCPU又はマイクロプロセッサが備えられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM等の半導体メモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSDや、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0076】
その他、入力用リング(入力インターフェース)の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0077】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載に基づいて定められる。更に、特許請求の範囲の記載から本発明の本質とは関係のない変更を加えた均等な範囲も本発明の技術的範囲に含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させるよう制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御すること、
を特徴とする入力インターフェース。
<請求項2>
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部から、前記操作体による接触又は近接が検出されている箇所に対応する発光部までに並ぶ発光部のそれぞれの発光強度が互いに異なるように制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項3>
前記検出面は、輪状に連続した1つの領域であること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項4>
前記検出面は、円環状であり、前記複数の発光部は、円環状に並んで設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項5>
前記検出部は、静電容量の変化によって前記操作体と前記検出面との接触又は近接を検出すること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項6>
前記制御部は、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、さらに、前記操作体の移動方向の発光部を、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所からの距離に応じて段階的に小さくなる発光強度で発光させるように制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項7>
前記制御部は、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所の移動速度に応じて、表示部に表示されているカーソルの移動速度又は値の増減速度を変化させること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項8>
前記制御部は、前記操作体と円環状の前記検出面との接触箇所又は近接箇所が移動する際の、円環状の前記検出面の中心からの角速度に応じて、表示部に表示されているカーソルの移動速度又は値の増減速度を変化させること、
を特徴とする請求項4に記載の入力インターフェース。
<請求項9>
前記制御部は、前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所の移動速度に応じて、前記発光部により発光させる発光色を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の入力インターフェース。
<請求項10>
請求項1~9のいずれか一項に記載の入力インターフェースを備える電子楽器。
<請求項11>
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
を備える入力インターフェースを制御するためのコンピュータが、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させ、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御すること、
を特徴とする発光制御方法。
<請求項12>
操作体と検出面との接触又は近接を検出する検出部と、
前記検出部に対応する位置に並んで設けられ、前記検出面を発光させる複数の発光部と、
を備える入力インターフェースを制御するためのコンピュータに、
前記複数の発光部のうち、前記検出部によって検出された前記操作体と前記検出面との接触箇所又は近接箇所に対応する発光部を、他の発光部に対して相対的に大きな強度で発光させ、前記操作体が前記検出面に接触又は近接した状態で前記複数の発光部に沿って移動する際に、前記操作体による接触又は近接が検出されなくなった箇所に対応する発光部の発光強度を段階的に小さくしていき、かつ一定の時間で消灯するよう制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0078】
100 電子楽器
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 鍵盤
15 操作部
151 入力用リング
16 表示部
17 サウンドシステム
171 音源部
172 オーディオ回路
173 スピーカ
18 通信部
19 バス