(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】手摺装置
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20240910BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240910BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B66C15/00 K
E02F9/00 Z
B62D21/18 E
(21)【出願番号】P 2022145997
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】垣内 和也
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048470(JP,A)
【文献】特開2021-017698(JP,A)
【文献】特開2017-030971(JP,A)
【文献】特開2011-219965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0244947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
E02F 9/00- 9/18
B62D 17/00-25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部と、前記上面部から上側に突出する突出物と、を備える作業機械に設けられ、手摺使用状態と手摺格納状態とに変化することが可能な手摺装置であって、
前記上面部に回転可能に取り付けられ、前記手摺使用状態のときに前記上面部から上側に延びるように配置される支持部と、
前記支持部に回転可能に取り付けられ、前記手摺使用状態のときに前記支持部から上側に突出するように配置される持手部と、
を備え、
前記支持部は、前記手摺格納状態のときに、前記上面部に沿うように配置され、
前記持手部は、前記手摺格納状態のときに、前記支持部に対して折り畳まれた状態で、前記突出物との間に隙間をあけて前記突出物の真上に配置されるように構成される、
手摺装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺装置であって、
前記持手部は、
前記手摺使用状態のときに、前記支持部よりも上側に配置される2つの持手部基部と、
前記2つの持手部基部の先端側部分どうしをつなぐように設けられる持手部本体部と、
を備え、
前記2つの持手部基部のそれぞれは、
前記手摺格納状態のときに、前記上面部に沿うように配置される持手部基部基端側部分と、
前記手摺格納状態のときに、前記持手部基部基端側部分から上側に延びるように配置される持手部基部先端側部分と、
を備え、
前記持手部本体部は、前記手摺格納状態のときに、前記突出物の真上に配置されるように構成される、
手摺装置。
【請求項3】
請求項2に記載の手摺装置であって、
前記持手部基部先端側部分は、前記手摺格納状態のときに、前記持手部基部先端側部分の先端側ほど上側に配置されるように前記上面部に対して傾斜して延びるように配置される、
手摺装置。
【請求項4】
請求項1に記載の手摺装置であって、
前記突出物は、排気ガスが通る管状部材であり、
前記突出物は、前記排気ガスの出口である排気口を備える、
手摺装置。
【請求項5】
請求項4に記載の手摺装置であって、
前記手摺格納状態のときに、前記持手部のうち前記突出物の真上に配置される部分は、前記排気口よりも、前記排気口の位置における前記排気ガスの上流側に配置される、
手摺装置。
【請求項6】
請求項4に記載の手摺装置であって、
前記支持部の基端側部分に接続される支持側接続部と、
前記支持側接続部と前記排気口との間に配置され、前記排気口の位置における前記排気ガスの流れの向き対して交差する向きに延びるように配置され、前記排気ガスの流れをガイドするように配置されるガイド面と、
を備える、
手摺装置。
【請求項7】
請求項6に記載の手摺装置であって、
前記ガイド面は、前記排気口の位置における前記排気ガスの下流側ほど上側に配置されるように、前記排気口の位置における前記排気ガスの流れ方向に対して傾斜する方向に延びるように配置される、
手摺装置。
【請求項8】
請求項6に記載の手摺装置であって、
前記ガイド面の下側端部は、前記排気口の正面の領域よりも下側に配置される、
手摺装置。
【請求項9】
請求項4に記載の手摺装置であって、
前記支持部の基端側部分に接続され、前記排気口よりも、前記排気口の位置における前記排気ガスの下流側に設けられる支持側接続部を備え、
前記支持側接続部は、排気通路部を備え、
前記排気通路部は、前記排気口から排出される前記排気ガスが、前記排気通路部の内側の空間を通ることが可能に構成される、
手摺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に設けられる手摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、作業機械の上面部に設けられる手摺装置が記載されている。同文献に記載の手摺装置は、上面部に格納可能である(同文献の
図2などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の手摺装置は、上面部が平坦であれば、上面部に格納可能である。しかし、上面部から上側に突出する突出物が設けられる場合がある。この場合、手摺装置と突出物とが干渉し、手摺装置を上面部に適切に格納できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、上面部から上側に突出する突出物が存在しても、上面部に手摺装置を適切に格納することができる、手摺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
手摺装置は、作業機械に設けられる。前記作業機械は、上面部と、前記上面部から上側に突出する突出物と、を備える。手摺装置は、手摺使用状態と手摺格納状態とに変化することが可能である。手摺装置は、支持部と、持手部と、を備える。前記支持部は、前記上面部に回転可能に取り付けられ、前記手摺使用状態のときに前記上面部から上側に延びるように配置される。前記持手部は、前記支持部に回転可能に取り付けられ、前記手摺使用状態のときに前記支持部から上側に突出するように配置される。前記支持部は、前記手摺格納状態のときに、前記上面部に沿うように配置される。前記持手部は、前記手摺格納状態のときに、前記支持部に対して折り畳まれた状態で、前記突出物との間に隙間をあけて前記突出物の真上に配置されるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、上面部から上側に突出する突出物が存在しても、上面部に手摺装置を適切に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す手摺使用状態30Aの手摺装置30を矢印F2から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す手摺装置30を拡大した図であり、横方向外側Y2から見た図である。
【
図4】
図3に示す手摺装置30を横方向内側Y1から見た図である。
【
図5】
図4に示す排気通路部43b3およびガイド部材70などを拡大した図である。
【
図7】
図6に示す突出物20などを拡大した図である。
【
図8】
図2に示す手摺装置30が手摺格納状態30Eのときの
図2相当図である。
【
図9】
図8に示す手摺格納状態30Eの手摺装置30を上側Z1から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図10を参照して、作業機械1について説明する。
【0010】
作業機械1は、
図1に示すように、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばクレーンでもよく、ショベルでもよい。作業機械1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、上面部15と、後処理装置17と、突出物20と、手摺装置30と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、走行面(地面など)を走行可能である。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。なお、作業機械1は、下部走行体11に代えて、走行不可能な構造物(下部本体)を備えてもよい。
【0012】
上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13には、上部旋回体13に対して起伏する起伏装置(例えば図示しないブームなど)が取り付けられる。上部旋回体13は、上部旋回体本体部13aと、運転室13bと、を備える。上部旋回体本体部13aは、例えば、図示しないエンジン、および油圧機器などが搭載される部分である。運転室13bは、作業機械1の操作者(オペレータ)が運転を行うことが可能な部分である。
【0013】
この上部旋回体13に関する方向には、機械上下方向と、機械前後方向と、機械横方向と、がある。機械上下方向は、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回の回転軸が延びる方向である。機械前後方向は、機械上下方向に直交する方向であって、上部旋回体13の長手方向である。機械前後方向における一方側(一方の向き)を機械前側とし、機械前側とは反対側を機械後側とする。例えば、機械前側は、上部旋回体本体部13aから運転室13bに向かう側などである。機械横方向は、機械上下方向および機械前後方向のそれぞれに直交する方向である。以下では、機械上下方向が鉛直方向であり、機械前後方向および機械横方向のそれぞれが水平方向である場合について説明する。
【0014】
上面部15は、作業機械1の上面の部分である。上面部15は、鉛直上向きを向いてもよく、鉛直上向きに対して傾いた向き(斜め上向き)を向いてもよい。上面部15は、手摺装置30が取り付けられる面(手摺装置30の取付面)である。上面部15は、作業者に乗られる面である。例えば、上面部15に乗った作業者は、上面部15で作業および歩行などを行う。上面部15は、上部旋回体13の上面でもよい。上面部15は、上部旋回体本体部13aの上面(ガード)でもよく、運転室13bの上面でもよい。上面部15は、上部旋回体13以外の上面でもよく、例えば起伏装置(ブームなど)の上面などでもよい。上面部15は、平面状または略平面状である。上面部15は、水平方向または略水平方向に延びるように配置される。上面部15は、凹凸などを有してもよい。なお、突出物20は、上面部15には含まれない。
図3に示すように、上面部15は、上面傾斜部15aを備えてもよい。上面傾斜部15aは、水平方向に対して傾斜する部分である。
図3に示す例では、上面傾斜部15aは、機械前側ほど下に配置されるように、機械前後方向に対して傾斜する。上面傾斜部15aの傾斜の向きは、様々に設定されてもよい。
【0015】
後処理装置17(
図1参照)は、排気ガスを処理する装置である。例えば、
図1に示す後処理装置17は、排気ガスからススを除去する装置である。後処理装置17が処理する排気ガスは、上部旋回体本体部13aに搭載されたエンジン(図示なし)から排出される。後処理装置17は、例えば上面部15よりも下側Z2に配置され、上部旋回体13(例えば上部旋回体本体部13a)の内部に配置される。なお、後処理装置17は、上面部15よりも上側Z1に配置されてもよく、突出物20でもよい。
【0016】
突出物20は、上面部15から上側Z1に突出する(突出するように配置される)。「上側Z1」などの手摺装置30に関する方向の定義については後述する。突出物20は、上面部15に対して固定される。突出物20が上面部15から上側Z1に突出するように配置される理由は、例えば、上部旋回体13の内部には機器配置の制約があるため、また、メンテナンス等の作業性を確保するためである。
【0017】
この突出物20は、突出物20の内部をガスが通る部材である。突出物20の内部を通るガスは、例えば排気ガスであり、例えば後処理装置17で処理された排気ガスである。突出物20は、管状である(
図6参照)。突出物20の内部を通るガスの流れの向きから見た突出物20の断面は、多角形または略多角形の部分を備えてもよく、円形または略円形の部分を備えてもよい(
図2参照)。なお、突出物20は、ガスが通る部材でなくてもよく、管状でなくてもよい。以下では主に、突出物20が、排気ガスが通る管状部材(排気管)である場合について説明する。
図7に示すように、突出物20は、接続管21と、排気フード23と、を備える。なお、
図7では、上面部15よりも下側Z2の部分(上部旋回体13の内部)の図示を省略した(
図6および
図10も同様)。
【0018】
接続管21は、上面部15から上側Z1に突出するように配置される。例えば、接続管21は、後処理装置17(
図1参照)と排気フード23とを接続する。
【0019】
排気フード23は、接続管21の出口を上側Z1から覆う。例えば、排気フード23は、略箱状などであり(
図2参照)、一部(排気口23aの部分など)が開いた略箱状などである。排気フード23は、排気口23aと、排気フード出口傾斜部23cと、を備える。
【0020】
排気口23aは、排気ガスの出口である。排気口23aは、排気フード23の内部から外部への排気ガスの出口である。排気口23aは、作業機械1(
図1参照)の内部から外部への排気ガスの出口である。
図3に示すように、横方向外側Y2(正面)から見た排気口23aの形状は、様々に設定可能である。正面から見た排気口23aの形状は、多角形でもよく、例えば四角形でもよく、例えば長方形でもよく、これらに近い形状(略多角形など)でもよい。正面から見た排気口23aの形状は、円形でもよく、楕円形でもよく、これらに近い形状(略円形など)でもよい。
【0021】
この排気口23aの位置における排気ガスの流れの向きを、
図7に示すように、排気流れ方向Eとする。なお、排気口23aの範囲内の位置(例えば上側Z1部分、下側Z2部分など)によって排気ガスの流れの向きが相違する場合が想定される。この場合、排気流れ方向Eは、
図3に示すように横方向外側Y2から(正面から)見たときの排気口23aの図心の位置における排気ガスの流れの向きでもよい。例えば、
図7に示す排気流れ方向Eは、水平方向または略水平方向である。例えば、排気流れ方向Eは、横方向Yであり、横方向Yと一致する方向でもよく、横方向Yに対して傾いた方向でもよい。排気流れ方向Eには、排気ガスの上流側E1および下流側E2がある。例えば、上流側E1は、手摺装置30における横方向内側Y1(後述)である。下流側E2は、手摺装置30における横方向外側Y2(後述)である。
【0022】
この排気口23aの正面の領域を、正面領域A(
図5参照)とする。正面領域Aは、排気口23aよりも下流側E2、かつ、排気口23aと排気流れ方向Eに対向する領域である。正面領域Aは、排気口23aに囲まれた領域を下流側E2に平行移動させたと仮定したときに、排気口23aに囲まれた領域が通る軌跡である。排気流れ方向Eに直交する水平方向(排気横方向)における正面領域Aの範囲を、横範囲Axとする。
図5に示す例では、排気横方向は前後方向Xであるため、正面領域Aの横範囲Axは、正面領域Aの前後方向Xにおける範囲でもある。
図7に示すように、排気流れ方向Eおよび排気横方向のそれぞれに直交する方向(排気縦方向)における正面領域Aの範囲を、縦範囲Azとする。
図7に示す例では、排気縦方向は上下方向Zであるため、正面領域Aの縦範囲Azは、正面領域Aの上下方向Zにおける範囲でもある。なお、
図5では、排気フード23の図示を省略し、排気口23aの位置を二点鎖線で示した(
図4も同様)。
【0023】
排気フード出口傾斜部23cは、
図7に示すように、排気口23aを出た排気ガスが、下側Z2に向かうことを抑制するための部分である。排気フード出口傾斜部23cは、排気口23aの近傍に配置され、排気口23aの下側Z2の端部の近傍に配置される。排気フード出口傾斜部23cは、下流側E2ほど上側Z1に配置されるように、排気流れ方向Eに対して傾斜する方向に延びるように配置される。
図7に示す例では、排気フード出口傾斜部23cが延びる方向は、排気流れ方向Eに対して約45度傾斜する。この傾斜の角度は様々に設定可能である。
【0024】
手摺装置30(
図1参照)は、手摺として使用される装置である。
図6に示すように、手摺装置30は、上面部15に設けられ、上面部15に取り付けられる。手摺装置30は、上面部15に格納可能である。手摺装置30は、折り畳み可能である。手摺装置30は、手摺使用状態30Aと、手摺格納状態30Eと、に変化することが可能に構成される。手摺装置30は、格納途中状態30Cに変化することが可能に構成されてもよい。
【0025】
手摺使用状態30A(展開状態、作業状態)の手摺装置30は、手摺として使用可能である。手摺使用状態30Aの手摺装置30は、上面部15から起立した姿勢であり、上面部15から上側Z1に延びるように配置される。例えば、上面部15で作業者が歩行および作業などを行う際などに、手摺装置30は、手摺使用状態30Aに設定される。
【0026】
手摺格納状態30Eの手摺装置30は、上面部15に格納された状態である。手摺格納状態30Eの手摺装置30は、上面部15に略沿うように配置される。手摺格納状態30Eの手摺装置30は、三つ折りの状態である。さらに詳しくは、手摺格納状態30Eの手摺装置30は、後述する支持側手摺本体部40に対して持手側手摺本体部50が折り畳まれ、上面部15に対して支持側手摺本体部40が折り畳まれた状態である。例えば、作業機械1(
図1参照)が作業する際、および作業機械1が輸送される際などに、手摺装置30は、手摺格納状態30Eに設定される。格納途中状態30Cは、手摺使用状態30Aと手摺格納状態30Eとの中間の、手摺装置30の状態である。
【0027】
手摺装置30に関する方向には、
図2に示すように、前後方向Xと、上下方向Zと、横方向Yと、がある。前後方向Xは、後述する支持側回転中心40aが延びる方向である。
図1に示す例では、前後方向Xは、機械前後方向と一致または略一致する。前後方向Xは、機械前後方向および機械横方向に対して傾いた方向でもよく、機械横方向と一致してもよい。前後方向Xにおける一方側を前側X1とし、前側X1とは反対側を後側X2とする。例えば、前側X1は、機械前側でもよく、機械後側でもよい。
図6に示すように、上下方向Zは、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに、後述する支持部41が延びる方向(さらに詳しくは、前後方向Xから見て支持部41が延びる方向)である。上下方向Zは、鉛直方向または略鉛直方向でもよく、機械上下方向でもよい。上下方向Zにおいて、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに上面部15に対して支持部41が突出する側を上側Z1とし、上側Z1とは反対側を下側Z2とする。横方向Yは、前後方向Xおよび上下方向Zのそれぞれに交差(例えば直交)する方向である。
図1に示す例では、横方向Yは、機械横方向と一致または略一致する。横方向Yは、機械横方向および機械前後方向に対して傾いた方向でもよく、機械前後方向と一致してもよい。
図6に示すように、横方向Yにおいて、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、土台部31から支持部41が延びる側を横方向内側Y1とし、横方向内側Y1とは反対側を横方向外側Y2とする。例えば、横方向内側Y1は、上部旋回体13の機械横方向における内側などである。
【0028】
以下では、主に、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときの、手摺装置30の各構成要素について説明する。手摺装置30は、土台部31と、手摺本体部33と、回転保持部61と、回転保持部格納部63(
図9参照)と、ガイド部材70と、を備える。
【0029】
土台部31は、手摺装置30の土台となる部分(基部)である。土台部31は、上面部15に取り付けられる。土台部31は、締結部材により着脱可能に土台部31に固定されてもよい。この締結部材は、ネジを備えるもの(ボルトおよびナットなど)でもよく、ピンを備えるものなどでもよい。土台部31は、溶接などにより着脱不可能に土台部31に固定されてもよい。着脱可能な固定でも着脱不可能な固定でもよいことは、他の部材同士の固定についても同様である。
図7に示すように、土台部31は、土台本体部31aと、土台ブラケット31bと、を備える。
【0030】
土台本体部31aは、土台部31の本体部分である。例えば、土台本体部31aは、前後方向Xから見たときにL字状などである。例えば、土台本体部31aは、土台本体部横板31a1と、土台本体部縦板31a3と、を備える。例えば、土台本体部横板31a1は、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置され、板状などである。土台本体部横板31a1は、上面部15と平行に配置される。土台本体部横板31a1は、上面部15に接触する。例えば、土台本体部縦板31a3は、前後方向Xおよび上下方向Zに延びるように配置され、板状などである。土台本体部縦板31a3は、土台本体部横板31a1の横方向外側Y2端部から上側Z1に延びるように配置される。なお、土台本体部31aの形状は様々に設定可能である(他の部分も同様)。
【0031】
土台ブラケット31bは、支持側手摺本体部40および回転保持部61が取り付けられる部分である。土台ブラケット31bは、土台本体部31aに固定される。例えば、土台ブラケット31bは、上下方向Zおよび横方向Yに延びるように配置され、板状などである。土台ブラケット31bは、後述する支持側回転中心ピンP40aおよび回転保持ピンP61を差し込み可能なピン孔を備える。例えば、土台ブラケット31bは、複数設けられ、
図2に示す例では2か所に設けられる。
【0032】
手摺本体部33は、手摺装置30の本体部分である。
図6に示すように、手摺本体部33は、土台部31を介して、上面部15に回転可能に取り付けられる。手摺本体部33は、支持側手摺本体部40と、持手側手摺本体部50と、を備える。
【0033】
支持側手摺本体部40は、手摺本体部33の基端側部分(上面部15側部分、土台部31側部分、下側Z2部分)である。手摺本体部33の「基端側部分」は、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときの、手摺本体部33の下側Z2部分である。手摺装置30が手摺使用状態30Aではないときには、手摺本体部33の「基端側部分」は、手摺本体部33の下側Z2部分には必ずしもならない。手摺使用状態30Aでないときに必ずしも下側Z2にならないことは、後述する他の部材に関する「基端側」などについても同様である。支持側手摺本体部40は、上面部15に取り付けられる。さらに詳しくは、支持側手摺本体部40は、土台部31を介して上面部15に取り付けられる。
【0034】
この支持側手摺本体部40は、上下方向Zに回転可能(起伏可能)に、土台部31に取り付けられる。上面部15に対する(土台部31に対する)支持側手摺本体部40の回転軸を、支持側回転中心40aとする。支持側回転中心40aは、前後方向Xに延びる(支持側回転中心40aが延びる方向を前後方向Xと定義した)。その結果、支持側手摺本体部40は、土台部31に対して上下方向Zおよび横方向Yに回転可能である。例えば、支持側手摺本体部40は、支持側回転中心ピンP40aにより土台部31に接続(ピン結合)される。支持側回転中心ピンP40aは、土台部31に対して支持側手摺本体部40を、支持側回転中心40aを中心に回転可能に接続するピンである。
図4に示すように、支持側手摺本体部40は、支持部41と、支持側接続部43と、支持側基端側ブラケット45aと、支持側先端側ブラケット45bと、支持側持手部47と、を備える。
【0035】
支持部41は、上面部15に対して持手側手摺本体部50を(持手部57を)支持する。支持部41は、上面部15から上側Z1に延びるように配置される。なお、支持部41は、上面部15に接している必要はない。支持部41が、上面部15の近傍から上側Z1に延びるように配置される場合は「上面部15から上側Z1に延びる」場合に含まれる。支持部41(後側支持部41rを参照)は、土台部31を介して上面部15から上側Z1に延びるように配置されてもよい。支持部41(前側支持部41fを参照)は、上面部15との間に隙間が設けられた状態で、上面部15から上側Z1に延びるように配置されてもよい。支持部41は、複数か所に(複数本)設けられ、例えば、2か所に設けられる。支持部41は、前側支持部41fと、後側支持部41rと、を備える。
【0036】
前側支持部41fは、2か所に設けられる支持部41のうち前側X1に設けられる部分である。前側支持部41fは、柱状である(後側支持部41rも同様)。前側支持部41fは、板状でもよく、パイプ状などでもよい(後側支持部41rも同様)。
図2に示す例では、前側支持部41fは、横方向Yおよび上下方向Zに延びるように配置され、板状である(後側支持部41rも同様)。
【0037】
後側支持部41rは、2か所に設けられる支持部41のうち後側X2に設けられる部分である。後側支持部41rは、前側支持部41fとの間に前後方向Xの間隔をあけて配置される。
【0038】
支持側接続部43は、
図4に示すように、支持部41の基端側部分(下側Z2部分)に接続(固定)される。支持側接続部43は、前側支持部41fと後側支持部41rとに接続される(つながれる)。支持側接続部43は、前後方向Xに延びるように配置される。例えば、支持側接続部43の前後方向Xにおける長さは、土台部31の前後方向Xにおける長さに対して、長くてもよく、略同じなどでもよい。
図4に示す例では、支持側接続部43の前後方向Xにおける長さは、土台部31の前後方向Xにおける長さの約2倍である。例えば、支持側接続部43は、反排気口側接続部43aと、排気口側接続部43bと、を備える。
【0039】
反排気口側接続部43aは、排気口23aの正面領域Aから前後方向X(例えば前側X1)にずれた位置(離れた位置)に配置される。反排気口側接続部43aは、支持側接続部43の前後方向X一方側(例えば前側X1)部分に設けられる。例えば、反排気口側接続部43aは、孔部43a1と、支持側接続部傾斜部43a3と、を備える。
【0040】
孔部43a1は、支持側接続部43を(さらに詳しくは、反排気口側接続部43aを)貫通する孔を形成する部分(孔の内面)である。横方向Yから見たときに、孔部43a1の孔の形状は、例えば多角形でもよく、例えば四角形でもよく、例えば長方形でもよく、例えば前後方向Xに長い形状でもよく、これらに近い形状(略多角形など)でもよい。
【0041】
支持側接続部傾斜部43a3は、手摺装置30(さらに詳しくは支持側接続部43)と上面傾斜部15aとの間の隙間を小さくするように構成される。支持側接続部傾斜部43a3は、反排気口側接続部43aの下側Z2端部に設けられる。支持側接続部傾斜部43a3は、上面傾斜部15aに沿うように配置され、上面傾斜部15aに対して隙間をあけて配置される。支持側接続部傾斜部43a3は、上面傾斜部15aと平行または略平行に配置される。例えば、支持側接続部傾斜部43a3は、前側X1ほど下側Z2に配置されるように、前後方向Xに対して傾いた方向に延びるように配置される。例えば、支持側接続部傾斜部43a3は、孔部43a1の真下に配置される。
【0042】
排気口側接続部43bは、排気口23aの正面領域Aおよび正面領域Aの近傍の少なくともいずれかに配置される。排気口側接続部43bは、支持側接続部43の後側X2部分に設けられる。例えば、排気口側接続部43bは、2つの支持側基端側ブラケット45a・45aどうしを接続する(支持側基端側ブラケット接続部)。例えば、排気口側接続部43bは、反排気口側接続部43aよりも後側X2に設けられ、反排気口側接続部43aから後側X2に延びるように配置される。排気口側接続部43bは、排気下流側接続部本体43b1と、排気通路部43b3と、
図3に示す下流側ガイド43b5と、を備える。
【0043】
排気下流側接続部本体43b1は、排気口側接続部43bの本体部分である。例えば、排気下流側接続部本体43b1は、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置され、板状などである。
【0044】
排気通路部43b3は、排気口23aからの排気ガスの通り道(風道)を形成するように構成される。排気通路部43b3は、排気口23aから排出された排気ガスが、排気通路部43b3の内側の空間(例えば排気通路部43b3に囲まれた空間など)を通ることが可能に構成される。排気通路部43b3は、排気通路部43b3よりも上流側E1から下流側E2に排気ガスが通ることが可能に構成される(
図2参照)。排気通路部43b3は、排気口23aよりも下流側E2に配置される(
図7参照)。例えば、排気通路部43b3は、支持側接続部43が(排気下流側接続部本体43b1が)上側Z1から下側Z2に切り欠かれたような形状を有する(切り欠き部である)。排気通路部43b3は、支持側接続部43に形成された孔(図示なし)でもよく、支持側接続部43を横方向Yに貫通する孔でもよい。例えば、支持側接続部43は、孔部43a1と同様の形状でもよい。
【0045】
下流側ガイド43b5は、
図7に示すように、支持側接続部43と土台部31との間に排気ガスが入り込むのを抑制する。下流側ガイド43b5は、排気口側接続部43bと土台本体部縦板31a3との間に排気ガスが入り込むのを抑制する。下流側ガイド43b5は、排気口側接続部43bと土台本体部縦板31a3との隙間を覆うように設けられ、例えば、この隙間の真上に配置される。下流側ガイド43b5は、排気下流側接続部本体43b1から、下流側E2(横方向外側Y2)に延びるように配置される。例えば、下流側ガイド43b5の下流側E2端部は、排気口側接続部43bと土台本体部縦板31a3との隙間よりも下流側E2に配置される。例えば、
図3に示すように、排気流れ方向Eから見たときに、下流側ガイド43b5は、正面領域Aの横範囲Ax内に配置され、横範囲Axの全体にわたって配置されることが好ましく、横範囲Axよりも広い範囲に配置されることがさらに好ましい。下流側ガイド43b5は、例えば板状などであり、例えば前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置される。下流側ガイド43b5は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、排気ガスをガイドしてもよい(
図10参照)(手摺格納状態30Eについては後述)。
【0046】
支持側基端側ブラケット45aは、
図4に示すように、土台部31(さらに詳しくは土台ブラケット31b(
図5参照))に取り付けられる部分である。支持側基端側ブラケット45aは、例えば2か所に設けられる。支持側基端側ブラケット45aは、支持部41(後側支持部41rを参照)の基端側部分(下側Z2端部)に設けられてもよい。支持側基端側ブラケット45aは、支持部41と一体的に(例えば連続的に)設けられてもよく、支持部41とは別体でもよい。支持側基端側ブラケット45aは、支持側接続部43に設けられてもよい(支持側接続部43を介して支持部41に設けられてもよい)。
図4に示す例では、支持側基端側ブラケット45aは、支持側接続部43の前後方向X中央部に設けられる。例えば、支持側基端側ブラケット45aは、横方向Yおよび上下方向Zに延びるように配置され、板状などである。
図7に示すように、支持側基端側ブラケット45aは、支持側回転中心ピンP40aを差し込み可能なピン孔を備える。
【0047】
支持側先端側ブラケット45bは、
図4に示すように、持手側手摺本体部50(さらに詳しくは持手側ブラケット55)が取り付けられる部分である。支持側基端側ブラケット45aは、例えば2か所に設けられる。支持側先端側ブラケット45bは、支持部41(さらに詳しくは前側支持部41fおよび後側支持部41rのそれぞれ)の先端側部分に設けられる。手摺本体部33の「先端側部分」は、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときの、手摺本体部33の上側Z1部分である。手摺装置30が手摺使用状態30Aではないときには、手摺本体部33の「先端側部分」は、手摺本体部33の上側Z1部分には必ずしもならない。手摺使用状態30Aでないときに必ずしも上側Z1にならないことは、後述する他の部材に関する「先端側」などについても同様である。支持側先端側ブラケット45bは、支持部41と一体的に(例えば連続的に)設けられてもよく、支持部41とは別体でもよい。例えば、支持側先端側ブラケット45bは、横方向Yおよび上下方向Zに延びるように配置され、板状などである。
【0048】
この支持側先端側ブラケット45bは、
図6に示す例では、上下方向Zに並ぶ3つのピン孔を備える。例えば、支持側先端側ブラケット45bは、後述する持手側回転中心ピンP50aを差し込み可能なピン孔を備える。支持側先端側ブラケット45bは、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに、持手回転固定ピンP50cを差し込み可能なピン孔を備える。支持側先端側ブラケット45bは、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに、持手回転固定ピンP50cを差し込み可能なピン孔を備える。なお、ピンおよびピン孔の機能および配置などは様々に設定可能である(他のブラケットも同様)。
【0049】
支持側持手部47は、
図4に示すように、持手(手摺、把手)として使用可能である。支持側持手部47は、支持部41から前後方向X外側(
図4に示す例では後側X2)に突出するように配置される。支持側持手部47は、横方向Yから見てC字状などである。支持側持手部47は、上下方向Zに延びるように配置される部分(本体部分)を備える。支持側持手部47は、支持部41に固定される。支持側持手部47は、例えば棒状などである(「棒状など」の詳細は後述する持手部57の説明を参照)。
【0050】
持手側手摺本体部50は、手摺本体部33の先端側(上側Z1)の部分である。持手側手摺本体部50は、手摺本体部33のうち、支持側手摺本体部40に対して上面部15とは反対側の部分である。持手側手摺本体部50は、支持側手摺本体部40(支持部41に)に回転可能に取り付けられる。持手側手摺本体部50は、支持側手摺本体部40に対して上下方向Zおよび横方向Yに回転可能である。支持側手摺本体部40に対する持手側手摺本体部50の回転軸を、持手側回転中心50aとする。持手側回転中心50aが延びる方向は、支持側回転中心40aが延びる方向と平行であり、前後方向Xである。例えば、持手側手摺本体部50は、持手側回転中心ピンP50aにより支持側手摺本体部40に接続(ピン結合)される。持手側回転中心ピンP50aは、支持側手摺本体部40に対して持手側手摺本体部50を、持手側回転中心50aを中心に回転可能に接続するピンである。持手側手摺本体部50は、持手側接続部53と、持手側ブラケット55と、持手部57と、を備える。
【0051】
持手側接続部53は、持手部57の基端側部分(下側Z2部分)に接続(固定)される。持手側接続部53は、後述する2か所の持手部基部57aどうしをつなぐように、2か所の持手部基部57aに接続される。持手側接続部53は、前後方向Xに延びるように配置される。例えば、
図6に示すように、持手側接続部53は、前後方向Xから見てL字状などである。例えば、持手側接続部53は、持手側接続部横板53aと、持手側接続部縦板53bと、を備える。例えば、持手側接続部横板53aは、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置され、板状などである。
図2に示すように、持手側接続部横板53aは、貫通孔を有してもよい。この場合、持手側接続部横板53aが軽量化される。例えば、
図6に示す持手側接続部縦板53bは、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置され、板状などである。持手側接続部縦板53bは、持手側接続部横板53aの横方向外側Y2端部から下側Z2に延びるように配置される。
【0052】
持手側ブラケット55は、
図4に示すように、支持側手摺本体部40(さらに詳しくは支持側先端側ブラケット45b)に取り付けられる部分である。持手側ブラケット55は、2か所に設けられ、持手側手摺本体部50の前側X1部分および後側X2部分に設けられる。例えば、持手側ブラケット55は、支持側先端側ブラケット45bよりも前後方向X内側に配置される。例えば、持手側ブラケット55は、横方向Yおよび上下方向Zに延びるように配置され、板状などである。
図6に示すように、持手側ブラケット55は、持手側接続部53に固定され、さらに詳しくは、持手側接続部横板53aおよび持手側接続部縦板53bに固定される。
図2に示すように、持手側ブラケット55は、上下方向Zに並ぶ2つのピン孔を備える。具体的には例えば、持手側ブラケット55は、持手側回転中心ピンP50aを差し込み可能なピン孔と、持手回転固定ピンP50cを差し込み可能なピン孔と、を備える。
【0053】
持手部57は、
図4に示すように、持手(手摺、把手)として使用可能である。持手部57は、支持部41よりも上側Z1に配置される。持手部57は、持手側接続部53から上側Z1に突出するように配置される。例えば、前後方向Xから見たときに、持手部57は、持手側接続部53から上側Z1に突出するように配置される。持手部57は、例えば棒状などであり、パイプ状でもよく、中実の棒状でもよい。持手部57が延びる方向から見た持手部57の断面形状(
図6参照)は、円形または略円形でもよく、楕円形または略楕円形などでもよい。持手部57は、持手部基部57aと、持手部本体部57cと、を備える。
【0054】
持手部基部57aは、持手部57の基端側部分(下側Z2部分)である。持手部基部57aは、支持部41よりも上側Z1に配置される。持手部基部57aは、持手側接続部53から上側Z1に突出するように配置される。持手部基部57aは、2つ(2か所に)設けられる。2つの持手部基部57a・57aは、前後方向Xに間隔をあけて配置される。
図6に示すように、前後方向Xから見た持手部基部57aの形状は、屈曲した形状(後述する持手部基部屈曲部57a3を有する形状)である。前後方向Xから見た持手部基部57aの形状は、L字状でもよく、円弧状または略円弧状でもよい。前後方向Xから見た持手部基部57aの屈曲の角度θ57aは、90度未満でもよく、
図6に示す例では約45度である。なお、角度θ57aは、90度以上でもよい。角度θ57aは、前後方向Xから見たときの、持手部基部57aの下側Z2部分での持手部基部57aの中心軸が延びる方向と、持手部基部57aの上側Z1部分での持手部基部57aの中心軸が延びる方向と、がなす角度である。なお、前後方向Xから見た持手部基部57aの形状は、屈曲した形状でなくてもよい(後述)。以下では、前後方向Xから見た持手部基部57aの形状が、屈曲した形状である場合について説明する。持手部基部57aは(2つの持手部基部57a・57a(
図4参照)のそれぞれは)、持手部基部基端側部分57a1と、持手部基部屈曲部57a3と、持手部基部先端側部分57a5と、を備える。
【0055】
持手部基部基端側部分57a1は、持手部基部57aの基端側部分(下側Z2部分)である。持手部基部基端側部分57a1は、上下方向Zに延びるように配置される。例えば、持手部基部基端側部分57a1は、持手側接続部53(例えば持手側接続部横板53a)に固定され、持手側接続部53から上側Z1に延びるように配置される。持手部基部基端側部分57a1は、上下方向Zと一致または略一致する方向に延びるように配置されてもよく、上下方向Zに対して傾斜する方向に延びるように配置されてもよい。
【0056】
持手部基部屈曲部57a3は、持手部基部基端側部分57a1と持手部基部先端側部分57a5との間の部分である。例えば、持手部基部屈曲部57a3は、持手部基部基端側部分57a1と持手部基部先端側部分57a5とが曲線的に連続するように、持手部基部基端側部分57a1と持手部基部先端側部分57a5をつなぐように構成される。
【0057】
持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部57aの先端側部分(上側Z1部分)である。持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部基端側部分57a1が延びる方向とは異なる方向に延びるように配置される。
【0058】
この持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部屈曲部57a3から、横方向内側Y1に延びるように配置される。この配置により、持手部57よりも横方向内側Y1にいる作業者に近い位置に、持手部本体部57cを配置することができる。例えば、上面部15にいる作業者は、突出物20を避けるように、突出物20よりも横方向内側Y1の位置にいる場合がある。この場合に、持手部本体部57cが、できるだけ横方向内側Y1に配置されることで、持手部57が作業者に近づく。よって、作業者が、持手部57(例えば、持手部本体部57c)を利用しやすい。
【0059】
例えば、持手部基部先端側部分57a5は、横方向Yに対して傾いた方向に延びるように配置される。例えば、持手部基部先端側部分57a5は、上側Z1ほど横方向内側Y1に配置されるように、上下方向Zに対して傾斜する方向に延びるように配置される。この場合は、持手部基部先端側部分57a5が、横方向Yと一致する方向に延びるように配置される場合(角度θ57aが90である場合)に比べ、持手部基部57aの質量が抑制されるとともに、持手部本体部57cができるだけ横方向内側Y1に配置される。
【0060】
持手部本体部57cは、持手部57の先端側部分(上側Z1部分)に設けられる。
図4に示すように、持手部本体部57cは、持手部基部57aどうしをつなぐように設けられる。さらに詳しくは、持手部本体部57cは、持手部基部先端側部分57a5どうしをつなぐように設けられる。持手部本体部57cは、前後方向Xに延びるように配置される。持手部本体部57cは、直線状または略直線状に延びるように配置される。持手部本体部57cは、持手部基部57aと一体的に設けられてもよく、持手部基部57aと連続的に設けられてもよい。具体的には例えば、棒状部材(パイプなど)が曲げられることで、持手部基部57aと持手部本体部57cとが形成されてもよい。なお、持手部本体部57cは、持手部基部57aとは別体の部材でもよく、持手部基部57aに取り付けおよび固定されてもよい。また、
図6に示す持手部基部57aの各要素(持手部基部基端側部分57a1、持手部基部屈曲部57a3、および、持手部基部先端側部分57a5)どうしも、一体的に設けられても、別体の部材でもよい。
図8に示すように、持手部本体部57cのうち、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、突出物20の真上に配置される部分を、持手部特定部57eとする(詳細は後述)。
【0061】
回転保持部61は、
図6に示すように、上面部15に対する支持側手摺本体部40の回転を制限(保持)する。具体的には例えば、回転保持部61は、土台部31に対する支持側手摺本体部40の回転を制限することで、上面部15に対する支持側手摺本体部40の回転を制限する。回転保持部61は、土台部31および支持側手摺本体部40のそれぞれとは別体の部材でもよい。回転保持部61は、土台部31および支持側手摺本体部40の少なくともいずれかと一体的に設けられた部分でもよく、具体的には例えば、土台ブラケット31bおよび支持側基端側ブラケット45aの少なくともいずれかと一体でもよい。
【0062】
以下では、主に、回転保持部61が、土台部31および支持側手摺本体部40のそれぞれとは別体の部材である場合について説明する。回転保持部61は、
図7に示すように、土台部31と支持側手摺本体部40とをつなぐ部材(リンク部材)である。回転保持部61は、板状部分を備えてもよく、棒状部分を備えてもよく、パイプ状部分(図示なし)を備えてもよい。回転保持部61の下側Z2部分は、土台部31(さらに詳しくは、土台ブラケット31b)に取り付けられる。回転保持部61の上側Z1部分は、支持側手摺本体部40(さらに詳しくは、支持側基端側ブラケット45a)に取り付けられる。回転保持部61は、土台部31および支持側手摺本体部40のそれぞれに、回転保持ピンP61により接続(ピン結合)される。
図2に示すように、回転保持部61は、2つ(2か所に)設けられる。2つの回転保持部61・61は、前後方向Xに互いに間隔をあけて配置される。
【0063】
回転保持部格納部63は、
図9に示すように、手摺装置30が手摺格納状態30Eのとき(後述)に回転保持部61が格納される部分である。例えば、回転保持部格納部63は、手摺装置30のどの位置に設けられてもよく、土台部31、支持側手摺本体部40、および、持手側手摺本体部50の、少なくもいずれかに設けられてもよい。
【0064】
この回転保持部格納部63は、例えば、ピン(回転保持部格納ピンP63)などにより回転保持部61を取り付け可能に構成される。回転保持部格納ピンP63は、回転保持ピンP61(
図7参照)でもよく、回転保持ピンP61とは異なるピンでもよい。回転保持部格納ピンP63を差し込むためのピン孔は、手摺装置30が手摺使用状態30A(
図6参照)のときにピンが差し込まれるピン孔と兼用されてもよく、回転保持部格納部63専用のピン孔でもよい。回転保持部格納部63は、複数か所に設けられてもよく、1か所に設けられてもよい。例えば、
図9に示す例では、回転保持部格納部63は、2か所に設けられ、第1回転保持部格納部63aと、第2回転保持部格納部63bと、を備える。
【0065】
第1回転保持部格納部63aは、土台部31および支持側手摺本体部40に設けられる。具体的には例えば、第1回転保持部格納部63aは、土台ブラケット31b、支持側基端側ブラケット45a、および、支持部41に設けられる。例えば、第1回転保持部格納部63aは、土台ブラケット31bおよび支持側基端側ブラケット45aに設けられたピン孔を備える。このピン孔は、
図6に示す手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに、回転保持部61の下側Z2端部に差し込まれる回転保持ピンP61のピン孔と兼用される。また、例えば、第1回転保持部格納部63aは、後側支持部41rに設けられたピン孔(回転保持部格納部63専用のピン孔)を備える。
【0066】
第2回転保持部格納部63bは、持手側手摺本体部50(例えば持手側接続部53)に設けられる。具体的には例えば、
図8に示すように、第2回転保持部格納部63bは、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手側接続部縦板53bから上側Z1に突出するように配置される板状部材に設けられたピン孔(回転保持部格納部63専用のピン孔)を有する。なお、回転保持部格納部63の配置および構造などは様々に設定可能である。
【0067】
ガイド部材70は、
図7に示すように、排気口23aから排出された排気ガスの流れをガイドする部材である。ガイド部材70は、手摺本体部33に設けられ、支持側手摺本体部40に設けられる。例えば、
図4に示すように、ガイド部材70は、支持側接続部43に設けられ、排気口側接続部43bに設けられる。ガイド部材70は、支持側手摺本体部40と一体的(連続的)に構成されてもよい(図示なし)。ガイド部材70は、支持側手摺本体部40とは別体に構成され、支持側手摺本体部40に取り付けおよび固定されてもよい。ガイド部材70は、支持側手摺本体部40に着脱可能に固定されてもよく、支持側手摺本体部40に着脱不可能に固定(溶接など)されてもよい。ガイド部材70の材質は、ガイド部材70が受ける熱影響を抑制できる材質(例えばステンレスなど)であることが好ましい。例えば、ガイド部材70と支持側手摺本体部40とが別体である場合は、ガイド部材70の材質は、ガイド部材70が取り付けられる部分(例えば支持側接続部43)の材質よりも、熱影響を抑制できる(耐熱性の高い)材質であることが好ましい。
図5に示すように、ガイド部材70は、ガイド部材基部71と、ガイド面73と、を備える。
【0068】
ガイド部材基部71は、支持側手摺本体部40(さらに詳しくは、支持側接続部43)に固定される。例えば、ガイド部材基部71は、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置され、板状などである。例えば、ガイド部材基部71は、排気下流側接続部本体43b1と平行に配置され、排気下流側接続部本体43b1に固定される(
図5および
図7を参照)。
【0069】
ガイド面73は、
図7に示すように、排気ガスの流れをガイドする部分(風向ガイド)である。ガイド面73は、排気ガスが手摺装置30の下側Z2部分に溜まるのを抑制する機能を有してもよい。ガイド面73と支持側手摺本体部40(さらに詳しくは支持側接続部43)とが別体の場合は、ガイド面73は、支持側手摺本体部40に排気ガスが直接的に(排気口23aから出た直後に)当たることを抑制する機能を有してもよい。例えば、ガイド面73は、ガイド部材基部71に対して固定される。例えば、ガイド面73は、ガイド部材基部71と一体的に構成されてもよく、ガイド部材基部71とは別体でもよい(図示なし)。ガイド面73は、ガイド部材基部71の上側Z1端部から上流側E1などに延びるように配置される(ガイド面73の配置の方向の詳細は後述)。
【0070】
このガイド面73は、支持側接続部43と排気口23aとの、排気流れ方向Eにおける間に配置される。ガイド面73は、例えば、排気口側接続部43b(さらに詳しくは、排気下流側接続部本体43b1)と排気口23aとの間(排気流れ方向Eにおける間)に配置される。ガイド面73は、排気口23aよりも下流側E2、かつ、排気下流側接続部本体43b1よりも上流側E1に配置される。ガイド面73が、支持側接続部43と排気口23aとの間(排気流れ方向Eにおける間)に配置されるので、排気ガスが支持側接続部43に直接的に当たることが抑制される。その結果、支持側接続部43および支持側接続部43の周辺部の、排気ガスによる影響(例えば熱による影響など)が抑制される。
【0071】
このガイド面73は、
図5に示すように、排気流れ方向Eから見たときに、正面領域Aの横範囲Ax内に配置される。ガイド面73は、排気流れ方向Eから見たときに、横範囲Axの全体にわたって配置されることが好ましく、横範囲Axよりも広い範囲に配置されることがさらに好ましい。
【0072】
このガイド面73は、排気流れ方向Eから見たときに、正面領域Aの縦範囲Az内に配置される。
図5に示す例では、ガイド面73は、排気流れ方向Eから見たときの正面領域Aの下側Z2端部と重なるように配置される。
【0073】
このガイド面73は、排気流れ方向Eから見たときに、縦範囲Azよりも下側Z2に配置されることが好ましい。この場合、排気ガスが、正面領域Aよりも下側Z2に向かって流れることが抑制される。なお、ガイド面73は、排気流れ方向Eから見たときに、正面領域Aの縦範囲Azの範囲外にのみ(例えば縦範囲Azよりも下側Z2にのみ)配置されてもよい。
【0074】
このガイド面73は、
図7に示すように、排気流れ方向Eに対して交差(例えば傾斜)する向きに延びるように配置されることが好ましい。この配置が好ましい理由は、次の通りである。支持側接続部43は、正面領域A内または正面領域Aの近傍に配置される。そのため、ガイド面73が設けられない場合は、排気ガスが支持側接続部43に直接的に当たるおそれ、および、支持側接続部43の周辺部の空間(後述)に排気ガスが溜まるおそれがある。そこで、ガイド面73が、排気流れ方向Eに対して交差する向きに延びるように配置される。すると、排気ガスがガイド面73に当たり、排気ガスの流れの向きが変わる。よって、排気ガスが、支持側接続部43を避けるように流れることができる。よって、排気ガスが支持側接続部43および支持側接続部43の周辺部に与える影響(例えば熱による影響など)を抑制することができる。例えば、ガイド面73は、支持側接続部43および支持側接続部43の周辺部の熱(高温熱)の拡散を助長する。その結果、支持側接続部43および支持側接続部43の周辺部の温度上昇が抑制される。
【0075】
このガイド面73は、排気流れ方向Eに対して傾斜する向きに延びるように配置されることが好ましい。この場合、ガイド面73が、排気流れ方向Eに対して直交する向きに延びるように配置される場合に比べ、排気ガスがスムーズに下流側E2に流れやすい。
【0076】
このガイド面73の傾斜は、上側Z1向きであることが好ましい。さらに詳しくは、ガイド面73は、下流側E2ほど上側Z1に配置されるように、排気流れ方向Eに傾斜する方向に延びるように配置されることが好ましい。この配置により、排気ガスが、ガイド面73に沿って、上側Z1に向かって流れる。よって、例えば、支持側接続部43の周辺部の空間に排気ガスの熱が溜まることが抑制される。具体的には例えば、土台本体部縦板31a3および排気口側接続部43bと、土台本体部横板31a1と、の間、および、これらの周辺の空間に、排気ガスの熱が溜まることが抑制される。よって、支持側接続部43の周辺部での温度上昇が抑制される。排気流れ方向Eに対するガイド面73の傾斜角度θ73は、様々に設定可能であり、
図7に示す例では約30度である。傾斜角度θ73の下限値は、例えば、10度でもよく、20度でもよく、30度でもよく、40度でもよく、50度などでもよい。傾斜角度θ73の上限値は、60度でもよく、50度でもよく、45度でもよく、30度でもよい(但し、傾斜角度θ73の上限値は下限値よりも大きい)。なお、ガイド面73の傾斜は、下側Z2向きでもよい。さらに詳しくは、ガイド面73は、下流側E2ほど下側Z2に配置されるように、排気流れ方向Eに傾斜する方向に延びるように配置されてもよい。
【0077】
このガイド面73の下側Z2端部は、正面領域Aの範囲外に配置されることが好ましい。ガイド面73の下側Z2端部は、正面領域Aよりも下側Z2に配置されることが好ましい。さらに詳しくは、排気流れ方向Eに直交する仮想面であってガイド面73の下側Z2端部を通る仮想面において、ガイド面73の下側Z2端部は、正面領域A(この仮想面内の正面領域A)よりも下側Z2に配置されることが好ましい。この場合、排気ガスが、ガイド面73よりも下側Z2の位置を通ることが抑制される。
【0078】
なお、
図7に示す例では、ガイド面73は、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに排気ガスの流れをガイドするように配置される。手摺装置30は、手摺装置30が手摺格納状態30E(
図6参照)のときに排気ガスの流れをガイドするガイド面73を備えてもよい(図示なし)。
【0079】
また、ガイド面73(ガイド部材70)は、設けられなくてもよい。例えば、排気ガスが通る領域(正面領域A)に、手摺装置30を構成する物(支持側接続部43など)が、配置されない場合などには、ガイド面73は設けられなくてもよい。例えば、正面領域Aが、支持側接続部43から上側Z1に十分離れた位置にある場合などには、排気ガスが支持側接続部43に直接的に当たりにくい。このような場合は、ガイド面73は、設けられなくてもよい。ただし、突出物20の高さは、作業機械1を輸送する際の高さ制限(輸送制限)などにより制限される場合があるため、支持側接続部43よりも上側Z1に十分離れた位置に突出物20を配置することは困難である場合がある。
【0080】
(作動)
図6に示す手摺装置30は、以下のように作動するように構成される。以下では、手摺使用状態30Aから格納途中状態30C、および、格納途中状態30Cから手摺格納状態30Eへの手摺装置30の状態の変化を、手順に沿って説明する。なお、手摺装置30の状態の変化の手順は、様々に変更可能である。
【0081】
(手摺使用状態30Aから格納途中状態30Cへの変化)
支持側手摺本体部40に対する持手側手摺本体部50の回転の制限が解除される。具体的には、持手回転固定ピンP50cが、支持側先端側ブラケット45b(
図4参照)および持手側ブラケット55から取り外される。
【0082】
持手側手摺本体部50が、持手側回転中心50aを中心に回転(回転格納)させられる。例えば、持手側手摺本体部50は、手摺使用状態30Aのときの位置から、横方向内側Y1および下側Z2に回転させられる。このとき、持手側手摺本体部50が、持手側回転中心50aを中心に、所定角度(例えば90度)回転させられる。なお、持手側手摺本体部50が、手摺使用状態30Aのときの位置から、横方向外側Y2および下側Z2に回転するように、手摺装置30が構成されてもよい。
【0083】
持手側回転中心50aを中心とする持手側手摺本体部50の回転が完了したとき、持手部基部基端側部分57a1は、例えば支持部41と平行に配置され、例えば上下方向Zと一致または略一致する方向に延びるように配置される。このとき、持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部基端側部分57a1に対して(支持部41に対して)横方向外側Y2に突出する。持手側回転中心50aを中心とする持手側手摺本体部50の回転が完了した状態が、格納途中状態30Cである。
【0084】
格納途中状態30Cにおいて、支持側手摺本体部40に対する持手側手摺本体部50の回転(持手側回転中心50aを中心とする回転)が制限されてもよい。具体的には例えば、持手回転固定ピンP50cが、支持側先端側ブラケット45b(
図4参照)および持手側ブラケット55に取り付けられることで、持手側手摺本体部50の回転が制限されてもよい。
【0085】
(格納途中状態30Cから手摺格納状態30Eへの変化)
土台部31に対する(上面部15に対する)支持側手摺本体部40の回転の制限が解除される。具体的には例えば、回転保持ピンP61が、支持側基端側ブラケット45aおよび土台ブラケット31bの少なくともいずれかと、回転保持部61と、から取り外される。なお、回転保持部61は、支持側基端側ブラケット45aまたは土台ブラケット31bから取り外されてもよく、取り外されなくてもよい。具体的には例えば、
図2に示す2つの回転保持部61・61のうち、前側X1の回転保持部61が、土台ブラケット31bおよび支持側基端側ブラケット45aから取り外される。また、この例では、後側X2の回転保持部61が、土台ブラケット31bに取り付けられている(
図9参照)。
【0086】
図6に示すように、支持側手摺本体部40および持手側手摺本体部50が、支持側回転中心40aを中心に回転(回転格納)させられる。例えば、支持側手摺本体部40は、手摺使用状態30Aおよび格納途中状態30Cのときの支持側手摺本体部40の位置から、横方向内側Y1および下側Z2に回転させられる。この回転時に、手摺装置30と突出物20とが干渉しないように、手摺装置30が構成される。
【0087】
(手摺格納状態30E)
支持側回転中心40aを中心とする支持側手摺本体部40の回転が完了すると、手摺装置30が手摺格納状態30Eになる。以下では、特に断らない限り、手摺格納状態30Eの手摺装置30について説明する。
【0088】
支持側手摺本体部40は、例えば上面部15に下側Z2から支持される。このとき、支持側手摺本体部40は、支持側手摺本体部40を支持するための支持部材15sを介して上面部15に支持されてもよく、上面部15に直接接触してもよい。
【0089】
支持側手摺本体部40に対する持手側手摺本体部50の回転(持手側回転中心50aを中心とする回転)が制限されてもよい。具体的には例えば、持手回転固定ピンP50cが、支持側先端側ブラケット45b(
図9参照)および持手側ブラケット55に取り付けられることで、持手側手摺本体部50の回転が制限されてもよい。
【0090】
土台部31に対する(上面部15に対する)支持側手摺本体部40の回転(支持側回転中心40aを中心とする回転)が制限されてもよい。具体的には例えば、
図10に示すように、支持側本体部格納固定ピンP62が、土台ブラケット31bおよび支持側基端側ブラケット45aに取り付けられることで、土台部31に対する支持側手摺本体部40の回転が制限されてもよい。支持側本体部格納固定ピンP62は、回転保持ピンP61(
図6参照)と兼用されてもよく、回転保持部格納ピンP63と兼用されてもよい。
【0091】
支持部41は、上面部15に沿うように配置される。支持部41は、横方向Yに延びるように配置される。支持部41は、支持側回転中心40aから横方向内側Y1に延びるように配置される。
【0092】
図9に示すように、支持側接続部43および持手側接続部53は、略前後方向Xに延びるように配置され、横方向Yに延びるように配置される。例えば、上側Z1から見たときに、支持側接続部43は、突出物20の外側(突出物20と重ならない位置)に配置される。
【0093】
図10に示すように、ガイド部材70は、突出物20との間に隙間S70をあけて配置される。隙間S70が確保される点は、
図6に示す格納途中状態30Cから手摺格納状態30Eへの変化時も同様である。また、
図10に示すように、ガイド部材70と同様に、排気口側接続部43b(例えば排気通路部43b3)は、突出物20との間に隙間をあけて配置される。
【0094】
図8に示すように、持手部57は、支持部41に対して折り畳まれた状態で、上面部15(
図6参照)に略沿うように配置される。
【0095】
(持手部57と突出物20との相対位置)
持手部57は、突出物20の真上に配置されるように構成される。「突出物20の真上」は、突出物20よりも上側Z1、かつ、突出物20と上下方向Zに対向する位置である。持手部57のうち、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに突出物20の真上に配置される部分を、持手部特定部57eとする。
【0096】
持手部特定部57eは、持手部57の少なくとも一部であり、例えば、持手部本体部57cの少なくとも一部である。
図8に示す例では、持手部特定部57eは、持手部本体部57cの一部である。
【0097】
図10に示すように、持手部特定部57eは、突出物20との間に隙間S57eをあけて配置される。持手部特定部57eは、突出物20と干渉しないように、突出物20を避けるように配置される。隙間S57eが確保される点は、
図6に示す格納途中状態30Cから手摺格納状態30Eへの変化時も同様である。
【0098】
図10に示すように、持手部特定部57eは、排気口23aよりも上流側E1(例えば横方向内側Y1)に配置されることが好ましい。この場合、排気口23aから出た排気ガス(例えば高温熱風)が、持手部本体部57cに直接的に当たることはない。よって、排気ガスによる持手部特定部57eへの影響(例えば熱による影響)が抑制される。例えば、持手部特定部57eの下流側E2の端部は、排気口23a(さらに詳しくは、排気口23aの上流側E1端部)よりも上流側E1に配置される。
【0099】
(持手部基部57aの配置)
図6に示す手摺格納状態30Eに示すように、持手部基部基端側部分57a1は、上面部15に沿うように配置される。持手部基部基端側部分57a1は、横方向Yと一致または略一致する方向に延びるように配置される。持手部基部基端側部分57a1は、持手側接続部53から横方向外側Y2に延びるように配置される。
【0100】
持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部基端側部分57a1から上側Z1に延びるように配置される。この例では、前後方向Xから見た持手部基部57aの屈曲の角度θ57aが90度未満である。この場合は、持手部基部先端側部分57a5は、持手部基部先端側部分57a5の先端側(横方向外側Y2)ほど上側Z1に配置されるように、上面部15が延びる方向(横方向Y)に対して傾斜して延びるように配置される。
【0101】
なお、前後方向Xから見たときに、持手部基部57aは、屈曲しなくてもよく(持手部基部屈曲部57a3がなくてもよく)、直線状に延びるように配置されてもよい。持手部基部57aが直線状に延びるように配置される場合は、持手部基部57aの全体が、支持部41が延びる方向(横方向Y)に対して傾斜する方向に延びるように配置されてもよい。すなわち、持手部基部57aは、持手部基部基端側部分57a1および持手部基部屈曲部57a3を備えなくてもよく、持手側接続部53に直接的に持手部基部先端側部分57a5が固定されてもよい。このように持手部基部57aが配置された状態で、支持側手摺本体部40に対する持手側手摺本体部50の回転が固定されてもよい。この配置ができるように、支持側先端側ブラケット45bおよび持手側ブラケット55が構成されてもよい。
【0102】
(排気ガスの流れ)
図7に示すように、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときには、排気下流側接続部本体43b1は、上下方向Zに延びるように配置される。その結果、ガイド面73が設けられない場合は、排気口23aからの排出直後の排気ガスが、排気下流側接続部本体43b1に当たる場合がある。一方、
図10に示すように、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときには、排気下流側接続部本体43b1は、排気流れ方向Eに延びるように配置され、また、正面領域Aよりも下側Z2に配置される。そのため、排気口23aからの排出直後の排気ガスは、排気下流側接続部本体43b1に当たらない、または当たりにくい(
図7に示す手摺使用状態30Aと比べた場合)。そのため、
図10に示すガイド面73により排気ガスの流れをガイドする必要性は、手摺使用状態30A(
図7参照)に比べ、手摺格納状態30Eの方が低い。
図10に示す例では、ガイド部材70による排気ガスのガイドは、行われない。なお、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに手摺装置30(例えば支持側接続部43)に排気ガスが当たることを抑制するためのもの(ガイド面73と同様のもの)が設けられてもよい。例えば、排気口23aからの排出直後の排気ガスが下側Z2に流れることを、下流側ガイド43b5が抑制してもよい。下流側ガイド43b5が、支持側接続部43(さらに詳しくは、排気口側接続部43b)と土台部31(さらに詳しくは、土台本体部縦板31a3)との間に排気ガスが流入することを抑制してもよい。
【0103】
(回転保持部61の格納)
手摺装置30が手摺格納状態30Eのときには、回転保持部61は用いられる必要はない。そこで、
図9に示すように、回転保持部61が、回転保持部格納部63に格納されることが好ましい。なお、回転保持部61は、手摺装置30の外部で保管されてもよい。
【0104】
(第1の発明の効果)
図1に示す手摺装置30による効果は、次の通りである。手摺装置30は、作業機械1に設けられる。作業機械1は、上面部15と、突出物20と、を備える。突出物20は、上面部15から上側Z1に突出する。
図6に示すように、手摺装置30は、手摺使用状態30Aと手摺格納状態30Eとに変化することが可能である。手摺装置30は、支持部41と、持手部57と、を備える。支持部41は、上面部15に回転可能に取り付けられ、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに上面部15から上側Z1に延びるように配置される。持手部57は、支持部41に回転可能に取り付けられ、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに支持部41から上側Z1に突出するように配置される。支持部41は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、上面部15に沿うように配置される。
【0105】
[構成1]持手部57は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、支持部41に対して折り畳まれた状態で、突出物20との間に隙間S57eをあけて突出物20の真上に配置されるように構成される。
【0106】
上記[構成1]により、上面部15から上側Z1に突出する突出物20が存在しても、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手部57が突出物20を避けるように配置される。よって、持手部57が、突出物20に干渉しにくい。よって、上面部15から上側Z1に突出する突出物20が存在しても、上面部15に手摺装置30を適切に格納することができる。
【0107】
(第2の発明の効果)
図4に示すように、持手部57は、持手部基部57aと、持手部本体部57cと、を備える。持手部基部57aは、手摺装置30が手摺使用状態30Aのときに、支持部41よりも上側Z1に突出し、2つ設けられる。持手部本体部57cは、2つの持手部基部57aの先端側部分どうしをつなぐように設けられる(
図4参照)。2つの持手部基部57a・57aのそれぞれは、
図6に示すように、持手部基部基端側部分57a1と、持手部基部先端側部分57a5と、を備える。
【0108】
[構成2]持手部基部基端側部分57a1は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、上面部15に沿うように配置される。持手部基部先端側部分57a5は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手部基部基端側部分57a1から上側Z1に延びるように配置される。持手部本体部57cは、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、突出物20の真上に配置されるように構成される。
【0109】
上記[構成2]では、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手部57の一部である持手部基部基端側部分57a1が、上面部15に沿うように配置される。よって、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、上面部15に沿うように配置される部分を持手部基部57aが備えない場合に比べ、持手部基部57aが、上面部15の近くの位置(より下側Z2の位置)に配置される。よって、上面部15にいる作業者が、持手部基部57aに接触しにくい。なお、上記の「上面部15に沿うように配置される部分を持手部基部57aが備えない場合」は、例えば、持手部基部57aに持手部基部先端側部分57a5があるが、持手部基部基端側部分57a1がない場合などである。
【0110】
(第3の発明の効果)
[構成3]持手部基部先端側部分57a5は、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手部基部先端側部分57a5の先端側(
図6では横方向外側Y2)ほど上側Z1に配置されるように、上面部15に対して傾斜して延びるように配置される。
【0111】
上記[構成3]により、持手部基部先端側部分57a5が、持手部基部基端側部分57a1から真上に延びる場合などに比べ、持手部基部57aの質量を抑制することができる。
【0112】
(第4の発明の効果)
[構成4]突出物20は、排気ガスが通る管状部材である。突出物20は、排気ガスの出口である排気口23aを備える。
【0113】
上記[構成4]により、作業機械1の上面部15に、排気ガスが通る管状部材(すなわち突出物20)が設けられる場合がある。この場合でも、手摺装置30が手摺格納状態30Eにされることで、排気ガスが通る管状部材(すなわち突出物20)を避けるように、手摺装置30が格納される。よって、上面部15から上側Z1に突出する管状部材(すなわち突出物20)が存在しても、上面部15に手摺装置30を適切に格納することができる。
【0114】
(第5の発明の効果)
[構成5]
図10に示すように、手摺装置30が手摺格納状態30Eのときに、持手部57のうち突出物20の真上に配置される部分(持手部特定部57e)は、排気口23aよりも、排気口23aの位置における排気ガスの上流側(上流側E1)に配置される。
【0115】
上記[構成5]により、排気口23aからの排出直後の排気ガスが、持手部特定部57eに当たりにくい。よって、排気ガスが持手部特定部57eに与える影響(例えば熱の影響)を抑制することができる。
【0116】
(第6の発明の効果)
[構成6]
図7に示すように、手摺装置30は、支持側接続部43と、ガイド面73と、を備える。
図4に示すように、支持側接続部43は、支持部41の基端側部分に接続される。
図7に示すように、ガイド面73は、支持側接続部43と排気口23aとの間に配置される。ガイド面73は、排気口23aの位置における排気ガスの流れの向き(排気流れ方向E)に対して交差する向きに延びるように配置される。ガイド面73は、排気ガスの流れをガイドするように配置される。
【0117】
上記[構成6]により、ガイド面73が、排気ガスの流れの向きを、排気流れ方向Eから、排気流れ方向Eに交差する方向に変えることができる。よって、ガイド面73は、排気口23aからの排出直後の排気ガスが、支持側接続部43に当たりにくくなるように、排気ガスの流れの向きを変えることができる。その結果、ガイド面73は、排気ガスが支持側接続部43に与える影響(例えば熱の影響)を抑制できる。
【0118】
(第7の発明の効果)
[構成7]ガイド面73は、排気口23aの位置における排気ガスの下流側(下流側E2)ほど上側Z1に配置されるように、排気口23aの位置における排気ガスの流れ方向(排気流れ方向E)に対して傾斜する方向に延びるように配置される。
【0119】
上記[構成7]により、ガイド面73は、排気ガスの流れを、斜め上側Z1に向けることができる。よって、ガイド面73は、上面部15および支持側接続部43の近傍の空間に排気ガスが溜まることを抑制できる。その結果、ガイド面73は、上面部15および支持側接続部43の近傍の空間に排気ガスが与える影響(例えば熱の影響)を抑制できる。
【0120】
(第8の発明の効果)
[構成8]ガイド面73の下側Z2端部は、排気口23aの正面の領域(正面領域A)よりも下側Z2に配置される。
【0121】
上記[構成8]により、ガイド面73は、正面領域Aよりも下側Z2(上面部15に近い側)に排気ガスが流れることを抑制できる。よって、ガイド面73は、上面部15および支持側接続部43の近傍の空間に、排気ガスが溜まることを抑制できる。その結果、ガイド面73は、上面部15および支持側接続部43の近傍の空間に排気ガスが与える影響(例えば熱の影響)を抑制できる。
【0122】
(第9の発明の効果)
図3に示すように、手摺装置30は、支持側接続部43を備える。支持側接続部43は、支持部41の基端側部分に接続される。
図7に示すように、支持側接続部43は、排気口23aよりも、排気口23aの位置における排気ガスの下流側(下流側E2)に設けられる。
【0123】
[構成9]
図3に示すように、支持側接続部43は、排気通路部43b3を備える。排気通路部43b3は、排気口23aから排出された排気ガスが、排気通路部43b3の内側の空間を通ることが可能に構成される。
【0124】
上記[構成9]により、排気口23aからの排出直後の排気ガスが、排気通路部43b3よりも上流側E1の位置から、排気通路部43b3の内側の空間を通り、支持側接続部43よりも下流側E2の位置に流れる。よって、排気通路部43b3が設けられない場合に比べ、排気ガスが支持側接続部43に当たりにくい。よって、排気通路部43b3は、排気ガスが支持側接続部43に与える影響(例えば熱による影響)を抑制できる。
【0125】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素(変形例を含む)の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、上記実施形態の変形例どうしが様々に組み合わされてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、構成要素の配置は、変更されてもよい。例えば、構成要素の包含関係は、様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 作業機械
15 上面部
20 突出物
23a 排気口
30 手摺装置
30A 手摺使用状態
30E 手摺格納状態
41 支持部
43 支持側接続部
43b3 排気通路部
57 持手部
57a 持手部基部
57a1 持手部基部基端側部分
57a5 持手部基部先端側部分
57c 持手部本体部
73 ガイド面
E1 上流側
S57e 隙間