(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ICカード及びICカードシステム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240910BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240910BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240910BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240910BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06K19/07 150
G06K19/07 040
G06K19/07 090
G06K19/07 230
G06K19/077 264
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2022500218
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034468
(87)【国際公開番号】W WO2021161565
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020022070
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長井 崇浩
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【審査官】高橋 克
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238126(JP,A)
【文献】特開2013-211973(JP,A)
【文献】特開2014-103788(JP,A)
【文献】特開平10-307898(JP,A)
【文献】特開2005-050130(JP,A)
【文献】特開2013-131252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
H02J 50/10
H02J 50/80
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導式読み書き通信設備であるリーダライタと非接触で通信を行うICカードであって、
前記リーダライタへの近接状態を検出する近接検出回路と、近距離無線通信回路と、電子機能回路と、蓄電デバイスと、電力供給制御回路とを備え、
前記電子機能回路は、近距離無線通信以外の機能を実現する回路であり、
前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路の検出結果に基づいて、前記蓄電デバイスから前記電子機能回路への電力供給の有無とタイミングを管理制御し、
前記電力供給制御回路は、
前記近接状態が検出されると、前記蓄電デバイスへの充電よりも前に、前記蓄電デバイスから前記電子機能回路への電力供給を開始し、
前記電子機能回路の動作が停止すると、前記蓄電デバイスへの充電を開始し、
前記電子機能回路は、前記機能によって通信すべきと検知したとき、前記近距離無線通信回路を有効化することを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記蓄電デバイスは二次電池又はスーパーキャパシタであり、
前記蓄電デバイスを充電する充電制御回路を備え、
前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路が前記近接状態を検出してから一定時間経過後、前記充電制御回路による前記蓄電デバイスへの充電を開始する、
請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記蓄電デバイスは二次電池又はスーパーキャパシタであり、
前記蓄電デバイスを充電する充電制御回路を備え、
前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路が前記近接状態を検出してから前記電子機能回路から
動作の終了を表す通知信号を受けて、前記充電制御回路による前記蓄電デバイスへの充電を開始する、
請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
前記蓄電デバイスは二次電池又はスーパーキャパシタであり、
前記蓄電デバイスを充電する充電制御回路を備え、
前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路が前記近接状態を検出してから前記電子機能回路からの通知信号に基づいて、前記充電制御回路による前記蓄電デバイスへの充電を停止する、
請求項1に記載のICカード。
【請求項5】
前記近距離無線通信回路は近距離無線通信用コイル及び当該近距離無線通信用コイルに電気的に接続された通信回路を備え、
前記充電制御回路へ入力される電力は、前記リーダライタから前記近距離無線通信用コイルを通して供給される、
請求項2から4のいずれかに記載のICカード。
【請求項6】
前記蓄電デバイスの電圧が所定の電圧以下となる低電圧状態であるか否かを検出し、前記低電圧状態であるとき、前記電子機能回路の動作を停止し、前記充電制御回路により前記蓄電デバイスを充電する蓄電デバイス電圧検出回路を備える、
請求項2から5のいずれかに記載のICカード。
【請求項7】
前記電子機能回路は複数の機能を有し、
前記蓄電デバイスの電圧が所定の電圧以下となる低電圧状態であるか否かを検出し、前記低電圧状態であるとき、前記電子機能回路の前記複数の機能のうち一部の機能を停止して前記機能を制限する、蓄電デバイス電圧検出回路を備える、
請求項2から5のいずれかに記載のICカード。
【請求項8】
前記近接検出回路は、前記通信回路内に生じる電圧に基づいて前記近接状態を検出する、
請求項5に記載のICカード。
【請求項9】
外部からワイヤレスで電力を受電するワイヤレス受電コイルを備え、
前記充電制御回路へ入力される電力は、前記リーダライタから前記ワイヤレス受電コイルを通して供給される、
請求項2から4のいずれかに記載のICカード。
【請求項10】
前記近接検出回路は、前記ワイヤレス受電コイルの電圧に基づいて検出する、
請求項9に記載のICカード。
【請求項11】
前記電子機能回路は、前記近距離無線通信以外の機能として指紋読取りセンサ及び指紋認証処理を行うプロセッサを備える、
請求項1から4のいずれかに記載のICカード。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のICカードと、
前記ICカードと通信するリーダライタとを備える、
ICカードシステム。
【請求項13】
請求項9又は10に記載のICカードと、
前記ICカードの前記ワイヤレス受電コイルに電磁界を用いて結合するワイヤレス送電コイルを備えるワイヤレス給電装置と、
前記ICカードと通信するリーダライタとを備える、
ICカードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスを備えるICカード及びそのICカードを用いるICカードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を備えるICカードの例として、特許文献1に指紋認証付ICカードが示されている。このICカードは、指紋読取りセンサを備え、リーダーから供給される電力を蓄電回路で蓄電し、蓄電回路の出力電圧が既定値に達すると装置制御回路と指紋処理回路に放電し、指紋認証が成功した場合に、リーダーとの間の送受信を許可し、その後は、リーダーとの間の送受信を禁止し、装置制御回路及び指紋処理回路への放電をオフするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の指紋認証付ICカードのように、比較的大電力を要するICカードでは内部に電池が必要であるが、リーダーから電磁誘導電力を得ると充電を行うので、ICカードを使用する毎に、例えば指紋認証等を開始する毎に、充電することになる。
【0005】
このような電池を内蔵する従来のICカードにおいては、電池から電子機能回路への放電及び電池への充電の制御が適正なタイミングで効果的に行われない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、近距離無線通信回路と共に、電力を要する電子機能回路を備えるICカードにおいて、蓄電デバイスから電子機能回路への電力供給の有無とタイミングを管理制御し、蓄電デバイスからの放電及び蓄電デバイスへの充電の制御を効果的に行って、機能性を高めたICカード及びそれを備えるICカードシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例としてのICカードは、誘導式読み書き通信設備であるリーダライタと非接触で通信を行うICカードであって、前記リーダライタへの近接状態を検出する近接検出回路と、近距離無線通信回路と、電子機能回路と、蓄電デバイスと、電力供給制御回路とを備え、前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路の検出結果に基づいて、前記蓄電デバイスから前記電子機能回路への電力供給の有無とタイミングを管理制御することを特徴とする。
【0008】
本開示の一例としてのICカードシステムは、リーダライタと当該リーダライタと通信を行うICカードとを備える。このICカードは、誘導式読み書き通信設備であるリーダライタと非接触で通信を行うICカードであって、前記リーダライタへの近接状態を検出する近接検出回路と、近距離無線通信回路と、電子機能回路と、蓄電デバイスと、電力供給制御回路とを備え、前記電力供給制御回路は、前記近接検出回路の検出結果に基づいて、前記蓄電デバイスから前記電子機能回路への電力供給の有無とタイミングを管理制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近距離無線通信回路と共に、電力を要する電子機能回路を備えるICカードにおいて、蓄電デバイスから電子機能回路への電力供給の有無とタイミングを管理制御し、蓄電デバイスからの放電及び蓄電デバイスへの充電を効果的に行い、近距離無線通信回路の通信特性が向上するなど、機能性の高いICカード及びそれを備えるICカードシステムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は第1の実施形態に係るICカード101及びICカードシステム201の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は第2の実施形態に係るICカード102及びICカードシステム202の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示すタイムチャートである。
【
図4】
図4は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示すタイムチャートであり、
図3に示した例とは別の例である。
【
図5】
図5は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示す別のタイムチャートであり、
図3、
図4に示した例とは別の例である。
【
図6】
図6は第3の実施形態に係るICカード103及びICカードシステム203の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、リーダライタ40へのICカード103の近接/遠隔の変位に伴うICカード103の各部の動作について示すタイムチャートである。
【
図8】
図8は第4の実施形態に係るICカード104及びICカードシステム204の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は第5の実施形態に係るICカード105及びICカードシステム205の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は第6の実施形態に係るICカード106及びICカードシステム206の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0012】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るICカード101及びICカードシステム201の構成を示すブロック図である。このICカードシステム201はICカード101とリーダライタ40とで構成される。ICカード101は、リーダライタ40と非接触で通信を行うICカードである。リーダライタ40は、リーダライタアンテナ41及びリーダライタ回路42を備える。
【0013】
ICカード101は例えば厚み0.76mmのクレジットカードサイズの電子機器である。このICカード101は、例えばカードサイズのスマートフォン(モバイル向けオペレーティングシステムを備えた携帯電話)、残高表示を行う交通系ICカード、ワンタイムパスワードカード、生体認証カード等である。ICカード101は、蓄電デバイスを電源としてアクティブ動作したり、待機時に蓄電デバイスをごく僅かながら電力消費したりする。また、蓄電デバイスを電力消費しないでパッシブ動作する。
【0014】
ICカード101は、リーダライタ40への近接状態を検出する近接検出回路13と、近距離無線通信回路10と、蓄電デバイス30と、電力供給制御回路14と、電圧変換回路15と、電子機能回路16と、を備える。近距離無線通信回路10はNFC用コイル11とNFC通信回路12とで構成されている。ここで、NFC用コイル11は本発明に係る「近距離無線通信用コイル」に相当し、NFC通信回路12は本発明に係る「通信回路」に相当する。蓄電デバイス30は例えばリチウムイオン電池や全固体電池等の二次電池や、スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)等のキャパシタである。電圧変換回路15は蓄電デバイス30の電圧を所定電圧に変換して、電子機能回路16へ電源電圧として供給する。
【0015】
NFC用コイル11は、リーダライタアンテナ41と磁界結合し、NFC用コイル11に誘導電流が流れて電圧が誘起される。これにより、NFC通信回路12内の電圧が変化する。近接検出回路13はこのNFC通信回路12内の電圧を入力し、所定電圧を超える状態を「近接状態」として検出する。
【0016】
電力供給制御回路14は、近接検出回路13の検出結果に基づいて、蓄電デバイス30から電子機能回路16への電力供給を制御する。つまり、電力供給制御回路14は、近接検出回路13の「近接状態」の検出信号に基づいて電圧変換回路15の電圧変換動作を有効化する。このことにより、電子機能回路16は所定の動作を行う。
【0017】
電子機能回路16は、NFC通信以外の各種機能を実現するための回路である。例えば指紋読取りセンサ及び指紋認証処理を行うプロセッサを備える。NFC通信回路12はリーダライタ回路42と通信を行うが、電子機能回路16が、ICカード101の利用者が通信すべき利用者であることを指紋認証により検知したとき、NFC通信回路12の通信を有効化する。
【0018】
利用者がICカード101をリーダライタ40に近接させたとき、電力供給制御回路14は電圧変換回路15の電圧変換動作を有効化する。これにより、電子機能回路16は、蓄電デバイス30を電源として(電圧変換回路15で変換された電圧を電源として)動作する。そして、指紋読認証に成功すれば、NFC通信回路12による通信を行う。
【0019】
利用者がICカード101をリーダライタ40に近接させていない状態では、電力供給制御回路14は電圧変換回路15の電圧変換動作を無効にする。したがって、電圧変換回路15及び電子機能回路16での無駄な電力消費は無い。
【0020】
なお、本実施形態では、電力供給制御回路14は近接検出回路13から出力される電圧信号で動作し、しかも近接検出回路13はNFC通信回路12に発生する電圧で動作するので、ICカード101がリーダライタ40から離れている状態では、電力供給制御回路14による蓄電デバイス30の消費も無い。
【0021】
本実施形態によれば、ICカード101の非使用時における蓄電デバイス30の消費が最小限に抑えられる。
【0022】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、ワイヤレス受電回路及び二次電池の充電のための回路を備えるICカード及びICカードシステムの例を示す。
【0023】
図2は第2の実施形態に係るICカード102及びICカードシステム202の構成を示すブロック図である。このICカードシステム202は、ICカード102、リーダライタ40及びワイヤレス給電装置50で構成される。ICカード102は、ワイヤレス給電装置50からワイヤレスで電力を受電し、リーダライタ40と非接触で通信を行うICカードである。ワイヤレス給電装置50はワイヤレス送電コイル51及びワイヤレス給電回路52を備える。リーダライタ40は、リーダライタアンテナ41及びリーダライタ回路42を備える。
【0024】
ICカード102は、リーダライタ40への近接状態を検出する近接検出回路13と、近距離無線通信回路10と、蓄電デバイス30と、電力供給制御回路14と、電圧変換回路15と、電子機能回路16と、を備える。近距離無線通信回路10はNFC用コイル11とNFC通信回路12とで構成されている。ここで、NFC用コイル11は本発明に係る「近距離無線通信用コイル」に相当し、NFC通信回路12は本発明に係る「通信回路」に相当する。電圧変換回路15は蓄電デバイス30の電圧を所定電圧に変換して、電子機能回路16へ電源電圧として供給する。
【0025】
また、ICカード102は、外部からワイヤレスで電力を受電するワイヤレス受電回路20と、蓄電デバイス30を充電する充電回路24と、充電回路制御部25と、を備える。充電回路制御部25は、近接検出回路13が「近接状態」を検出してから一定時間経過後、または電子機能回路16からの通知信号に基づいて、充電回路24を制御する。充電回路24及び充電回路制御部25は本発明に係る「充電制御回路」に対応する。
【0026】
本実施形態では、ワイヤレス給電装置50とリーダライタ40とは同じ機器に設けられている。つまり、NFC用コイル11がリーダライタアンテナ41と磁界結合する状態で、ワイヤレス受電コイル21はワイヤレス送電コイル51と磁界結合する。
【0027】
ワイヤレス送電コイル51とワイヤレス受電コイル21とは磁界結合し、ワイヤレス給電回路52からワイヤレス受電回路20へワイヤレスで電力が給電される。ワイヤレス受電コイル21とキャパシタC1とは並列共振回路を構成し、整流回路22はこの並列共振回路の共振電圧を整流する。電圧変換回路23は整流回路22の出力電圧を所定電圧に変換する。充電回路24は電圧変換回路23の出力電圧を電源として蓄電デバイス30を充電する。充電回路制御部25は充電回路24の動作の有効/無効の制御を行う。
【0028】
第1の実施形態で
図1に示した例と異なる構成による作用は次のとおりである。まず、電子機能回路16は、所定動作終了後に充電回路制御部25へその通知信号を出力する。充電回路制御部25はこの電子機能回路16からの通知信号を受けて充電回路24による蓄電デバイス30の充電を開始する。
【0029】
また、充電回路制御部25は、近接検出回路13が「近接状態」を検出してから一定時間経過後に、充電回路24による蓄電デバイス30の充電を開始する。
【0030】
さらに、充電回路制御部25は、蓄電デバイス30の電圧を検出して、蓄電デバイス30が満充電状態となったか否かを検知する。
【0031】
図3は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示すタイムチャートである。
図3に示すタイミングt0でICカード102をリーダライタ40及びワイヤレス給電装置50に近接させると、近接検出回路13がICカード102の近接を検出し、電力供給制御回路14が電圧変換回路15の動作を有効化する。これにより、蓄電デバイス30は放電され、電子機能回路16が動作する。
図3中の「放電信号」はこのことを表している。この例は、電子機能回路16の動作時間は一定であり、t0から一定時間後のt1で終了する。充電回路制御部25はt0から一定時間後のt2になると充電回路24を有効化し、蓄電デバイス30の充電を開始する。
【0032】
その後、タイミングt4でICカード102をリーダライタ40から遠ざけると、充電回路制御部25は充電回路24を無効化する(充電回路24を蓄電デバイス30から切り離す)。
【0033】
図4は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示すタイムチャートであり、
図3に示した例とは別の例である。
図4に示すタイミングt0でICカード102をリーダライタ40及びワイヤレス給電装置50に近接させると、近接検出回路13がICカード102の近接を検出し、電力供給制御回路14が電圧変換回路15の動作を有効化する。これにより、蓄電デバイス30は放電され、電子機能回路16が動作する。
図4中の「放電信号」はこのことを表している。例えばt1で電子機能回路16の所定の動作が完了すると、電子機能回路16からの通知信号によって、タイミングt2で充電回路制御部25は充電回路24を有効化し、蓄電デバイス30の充電を開始する。また、電力供給制御回路14は電子機能回路16からの通知信号によって、電圧変換回路15の変換動作を停止する。
【0034】
その後、タイミングt4でICカード102をリーダライタ40から遠ざけると、充電回路制御部25は充電回路24を無効化する(充電回路24を蓄電デバイス30から切り離す)。
【0035】
図5は、リーダライタ40へのICカード102の近接/遠隔の変位に伴うICカード102の各部の動作について示す別のタイムチャートであり、
図3、
図4に示した例とは別の例である。
図5に示すタイミングt0でICカード102をリーダライタ40及びワイヤレス給電装置50に近接させると、近接検出回路13がICカード102の近接を検出し、電力供給制御回路14が電圧変換回路15の動作を有効化する。これにより、蓄電デバイス30は放電され、電子機能回路16が動作する。t1で電子機能回路16の所定の動作が完了すると、電子機能回路16からの通知信号によって、タイミングt2で充電回路制御部25は充電回路24を有効化し、蓄電デバイス30の充電を開始する。また、電力供給制御回路14は電子機能回路16からの通知信号によって、電圧変換回路15の変換動作を停止する。その後、タイミングt3で、充電回路制御部25が蓄電デバイス30の電圧を検出して、蓄電デバイス30が満充電状態となったことを検知すれば、充電回路24による充電を停止する。その後、タイミングt4でICカード102をリーダライタ40から遠ざけられる。
【0036】
このように、電子機能回路16からの通知信号によって充電を開始させてもよい。
図3、
図4、
図5に示した制御によれば、電子機能回路16の動作が完了してから蓄電デバイス30の充電が開始されるので、ICカード102をリーダライタ40に近接させた直後から蓄電デバイス30の充電が開始される、といったことがなく、電子機能回路16へ供給される電源電圧が、蓄電デバイス30への充電により低下することが避けられる。したがって、例えば蓄電デバイス30の電圧が所定電圧に上昇するまで電子機能回路16を起動させることができない、といった不具合を生じることがない。
【0037】
また、ICカード102がリーダライタ40から遠ざかることで、充電回路制御部25は充電回路24を蓄電デバイス30から切り離すので、蓄電デバイス30の無駄な電力消費が抑制される。
【0038】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、NFC通信回路とは独立して電子機能回路が動作するICカードの例を示す。
【0039】
図6は第3の実施形態に係るICカード103及びICカードシステム203の構成を示すブロック図である。このICカードシステム202は、ICカード103、リーダライタ40及びワイヤレス給電装置50で構成される。
【0040】
ICカード103は、近距離無線通信回路10、蓄電デバイス30、電力供給制御回路14、電圧変換回路15、電子機能回路16、ワイヤレス受電回路20、充電回路24及び充電回路制御部25を備える。各部の基本動作は第2の実施形態で示したとおりである。本実施形態では、電圧変換回路15と電子機能回路16の電源ラインとの間に逆流防止用ダイオードD1が挿入されている。
【0041】
図7は、リーダライタ40へのICカード103の近接/遠隔の変位に伴うICカード103の各部の動作について示すタイムチャートである。
図7に示す例では蓄電デバイス30から電子機能回路16へ常に電源電圧が供給される。
【0042】
図7に示すタイミングt0でICカード103をリーダライタ40に近接させると、NFC通信回路12は所定のNFC通信を行う。また、タイミングt1で電子機能回路16が所定の動作を完了すると、電子機能回路16からの通知信号によって、タイミングt2で充電回路制御部25は充電回路24を有効化し、蓄電デバイス30の充電を開始する。その後、タイミングt4でICカード103をリーダライタ40から遠ざけると、ワイヤレス受電回路20からの受電が無くなるので、蓄電デバイス30の充電は必然的に終了する。
【0043】
本実施形態のICカード103は、ICカード103がワイヤレス受電している状態で電子機能回路16が連続的に動作する場合に有効である。
【0044】
なお、電圧変換回路15と電子機能回路16の電源ラインとの間に逆流防止用ダイオードD1が挿入されているので、蓄電デバイス30の電圧が電子機能回路16の電源ラインの電圧より低下したときでも、電子機能回路16が動作を停止していれば、電子機能回路16の電源ラインの電圧が急激に低下せず、電子機能回路16内の電源ラインに接続されているキャパシタの充電電圧は保たれる。そのことによって、電子機能回路16の後の動作時の動作開始を速やかに行うことができる。
【0045】
本実施形態によれば、NFC通信回路12によるNFC通信の期間に、蓄電デバイス30に充電が行われない。つまり、ワイヤレス受電コイル21とキャパシタC1による共振回路の後段が実質的に切り離され、NFC用コイル11とワイヤレス受電コイル21との結合によってNFC用コイル11の端子間から見たインピーダンスの低下を抑制でき、またリーダライタアンテナ41の端子間から見たインピーダンスの低下を抑制できる。このことにより、NFC通信の期間にNFC通信信号の強度が低下することを抑制できる。
【0046】
また、第1の実施形態と第2の実施形態についても同様の作用効果を奏する。NFC通信回路12によるNFC通信の期間に、蓄電デバイス30に充電は行われず、NFC用コイル11の端子間から見たインピーダンスの低下を抑制でき、またリーダライタアンテナ41の端子間から見たインピーダンスの低下を抑制できる。特に、ICカードシステム201,203,204,206は、NFC用コイル11を用いて充電する構成であるため、特に効果が高い。
【0047】
《第4の実施形態》
第4の実施形態ではNFC用コイルでワイヤレス受電を行い、その電力で二次電池を充電する例を示す。
【0048】
図8は第4の実施形態に係るICカード104及びICカードシステム204の構成を示すブロック図である。このICカードシステム204は、ICカード104及びリーダライタ40で構成される。ICカード104は、リーダライタ40と非接触で通信を行い、またリーダライタ40からワイヤレスで電力を受電するICカードである。リーダライタ40は、リーダライタアンテナ41及びリーダライタ回路42を備える。
【0049】
ICカード104は、近距離無線通信回路10、蓄電デバイス30、電力供給制御回路14、電圧変換回路15、電子機能回路16、整流回路22、電圧変換回路23、充電回路24、充電回路制御部25及び近接検出回路26を備える。
【0050】
NFC用コイル11、整流回路22及び電圧変換回路23は、ワイヤレス受電回路20を構成する。近接検出回路26は、整流回路22の出力電圧に基づいてリーダライタ40へのICカード104の近接状態を検出し、充電回路制御部25及び電力供給制御回路14へ検出信号を出力する。その他の各部の基本動作は第2の実施形態で示したとおりである。
【0051】
本実施形態によれば、リーダライタ回路42から発生されるワイヤレス電力をNFC用コイル11で受電し、その電力で蓄電デバイス30を充電することができる。
【0052】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、蓄電デバイスの電圧に応じて電子機能回路の動作を制御するICカードの例について示す。
【0053】
図9は第5の実施形態に係るICカード105及びICカードシステム205の構成を示すブロック図である。このICカードシステム205は、ICカード105、リーダライタ40及びワイヤレス給電装置50で構成される。
【0054】
ICカード105は、近距離無線通信回路10、近接検出回路13、蓄電デバイス30、電力供給制御回路14、電圧変換回路15、電子機能回路16、ワイヤレス受電回路20、充電回路24、充電回路制御部25、近接検出回路26及び蓄電デバイス電圧検出回路31を備える。
【0055】
近接検出回路26は整流回路22の整流出力電圧に基づいて、ワイヤレス送電コイル51へのICカード105の近接状態を検出する。蓄電デバイス電圧検出回路31は蓄電デバイス30の電圧を検出する。電力供給制御回路14は、蓄電デバイス30の電圧が低電圧状態であることを検出したとき、その検出信号を電力供給制御回路14及び充電回路制御部25へ与える。電力供給制御回路14はこの検出信号を受けて電圧変換回路15を無効化して電子機能回路16への電力供給を遮断する。また、充電回路制御部25は上記件信号を受けて、充電回路24を動作させて、蓄電デバイス30の充電を開始する。つまり、蓄電デバイス電圧検出回路31は、蓄電デバイス30の電圧が所定の低電圧状態であるか否かを検出し、低電圧状態であるとき、電子機能回路16の動作を停止し、充電回路24により蓄電デバイス30を充電する。
【0056】
また、
図9において、電子機能回路16は複数種の機能を有する。そして、蓄電デバイス電圧検出回路31は、蓄電デバイス30の電圧が所定の低電圧状態であるか否かを検出し、低電圧状態であるとき、電子機能回路16の機能を制限する。
【0057】
その他の各部の基本動作はこれまでの各実施形態で示したとおりである。
【0058】
本実施形態によれば、蓄電デバイス30の電圧が、充電を要する低電圧状態であるとき、電子機能回路16の動作が停止又は制限されることで、蓄電デバイス30の電力消費が抑制されるので、蓄電デバイス30の過放電が防止でき、後の速やかな充電が可能となる。また、蓄電デバイス30の蓄積電力の残量が少ない状態で電子機能回路16の機能が制限されつつ動作するので、蓄電デバイス30の実質的な使用時間が延長化される。
【0059】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、ワイヤレス受電回路を備え、リーダライタからワイヤレス電力を受電するICカード及びICカードシステムの例を示す。
【0060】
図10は第6の実施形態に係るICカード106及びICカードシステム206の構成を示すブロック図である。このICカードシステム206は、ICカード106及びリーダライタ40で構成される。
【0061】
ICカード106は、近距離無線通信回路10、近接検出回路13、蓄電デバイス30、電力供給制御回路14、電圧変換回路15、電子機能回路16、ワイヤレス受電回路20、充電回路24、充電回路制御部25及び近接検出回路26を備える。
【0062】
ワイヤレス受電回路20は、ワイヤレス受電コイル21、キャパシタC1、整流回路22及び電圧変換回路23で構成される。ワイヤレス受電コイル21はリーダライタ40のリーダライタアンテナ41と磁界結合し、ワイヤレスで電力を受電する。
【0063】
近距離無線通信回路10はNFC用コイル11及びNFC通信回路12で構成され、NFC用コイル11はリーダライタアンテナ41と磁界結合し、NFC通信回路12はリーダライタ回路42とNFC通信を行う。
【0064】
その他の各部の基本動作はこれまでの各実施形態で示したとおりである。
【0065】
本実施形態によれば、リーダライタ40との結合によってワイヤレス受電及び近距離無線通信を行うことができる。
【0066】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
C1…キャパシタ
D1…逆流防止用ダイオード
10…近距離無線通信回路
11…NFC用コイル
12…NFC通信回路
13…近接検出回路
14…電力供給制御回路
15…電圧変換回路
16…電子機能回路
20…ワイヤレス受電回路
21…ワイヤレス受電コイル
22…整流回路
23…電圧変換回路
24…充電回路
25…充電回路制御部
26…近接検出回路
30…蓄電デバイス
31…蓄電デバイス電圧検出回路
40…リーダライタ
41…リーダライタアンテナ
42…リーダライタ回路
50…ワイヤレス給電装置
51…ワイヤレス送電コイル
52…ワイヤレス給電回路
101~106…ICカード
201~206…ICカードシステム