(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】手荷物預け機
(51)【国際特許分類】
B64F 1/36 20240101AFI20240910BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20240910BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20240910BHJP
【FI】
B64F1/36
G06F3/0346 421
G06F3/04815
(21)【出願番号】P 2022543314
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2021025785
(87)【国際公開番号】W WO2022038918
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020139525
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻本 和史
(72)【発明者】
【氏名】磯村 琢也
(72)【発明者】
【氏名】大井 崇資
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02886466(EP,A1)
【文献】特開平08-161987(JP,A)
【文献】特開2015-232633(JP,A)
【文献】特開2007-243634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/36
G06F 3/0346
G06F 3/04815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象領域を含む、手荷物の預かりに関する画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記画像を自機周辺の空中に空中像として結像させる結像部と、
前記空中像における前記操作対象領域に対応する部分に対する利用者の操作を特定する操作特定部と、
前記特定された操作に応じた、前記手荷物の預かりに関する処理を実行する処理実行部と、
前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部と、
を備え
る手荷物預け機であって、
前記結像部は、前記検出された位置に向けて前記空中像を結像させ、
前記検出された位置が、前記利用者が前記手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するとき、前記操作特定部は前記操作を特定し、
前記検出された位置が、前記所定領域外に存在するとき、前記操作特定部は前記操作の特定を停止する、
手荷物預け機。
【請求項2】
操作対象領域を含む、手荷物の預かりに関する画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記画像を自機周辺の空中に空中像として結像させる結像部と、
前記空中像における前記操作対象領域に対応する部分に対する利用者の操作を特定する操作特定部と、
前記特定された操作に応じた、前記手荷物の預かりに関する処理を実行する処理実行部と、
前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部と、
を備え
る手荷物預け機であって、
前記結像部は、前記検出された位置に向けて前記空中像を結像させ、
前記検出された位置が、前記利用者が前記手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するとき、前記空中像が結像される位置の近傍領域における物体を検出する物体検出部による当該検出を実行し、
前記検出された位置が、前記所定領域外に存在するとき、前記物体検出部は前記物体の検出を停止する、
手荷物預け機。
【請求項3】
前記手荷物預け機は、前記手荷物を搬送する搬送装置が有する手荷物載置場に近接して設けられ、
前記利用者は、前記手荷物載置場に前記手荷物を預ける者であり、
前記表示部および前記結像部は、前記利用者が視認できる位置、かつ、前記操作を行える位置に、前記空中像を結像させるように配置されている、
請求項1または2に記載の手荷物預け機。
【請求項4】
前記表示部および表示装置に前記画像を表示させる表示制御部を備え、
前記操作特定部は、さらに、前記表示装置に表示された前記画像における前記操作対象領域に対する操作を特定し、
前記表示制御部が前記表示部に前記画像を表示させるモードと、前記表示制御部が前記表示装置に前記画像を表示させるモードとを切り替えるモード切替部と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の手荷物預け機。
【請求項5】
前記操作対象領域を含まない表示専用画像を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の手荷物預け機。
【請求項6】
前記空中像は立体像である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の手荷物預け機。
【請求項7】
前記利用者の立ち位置を示すための投影画像を前記手荷物預け機の正面の床面に投影する画像投影部をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の手荷物預け機。
【請求項8】
前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部と、
前記投影画像の投影位置を、前記検出された位置に応じて決定する投影制御部と、をさらに備える、請求項7に記載の手荷物預け機。
【請求項9】
操作対象領域を含む、手荷物の預かりに関する画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記画像を自機周辺の空中に空中像として結像させる結像部と、
前記空中像における前記操作対象領域に対応する部分に対する利用者の操作を特定する操作特定部と、
前記特定された操作に応じた、前記手荷物の預かりに関する処理を実行する処理実行部と、
を備える手荷物預け機であって、
前記利用者の立ち位置を示すための投影画像を前記手荷物預け機の正面の床面に投影する画像投影部と、
前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部と、
前記投影画像の投影位置を、前記検出された位置に応じて決定する投影制御部と、を
さらに備え、
前記投影制御部は、前記検出された位置の前記床面からの高さが高いほど、前記投影位置を前記手荷物預け機から遠ざける、手荷物預け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手荷物預け機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、利用者が自分で手荷物を預け入れるためのセルフバッグドロップ(Self Bag Drop)(以下では「SBD」と称する。)システムが開示されている。SBDシステムでは、利用者が手荷物預け機を操作して手荷物の登録等を行ったうえで手荷物を預け入れると、手荷物が自動的に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2886466号明細書
【文献】米国特許第10252821号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手荷物預け機は、操作入力を行うインタフェースとしてタッチパネルを備えており、多数の利用者がタッチパネルに直接触れる。そのため、利用者は、タッチパネルを介してウィルス等に感染するおそれがあった。
【0005】
本発明の一態様は、利用者のウィルス等への感染リスクを削減する手荷物預け機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る手荷物預け機は、操作対象領域を含む、手荷物の預かりに関する画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記画像を自機周辺の空中に空中像として結像させる結像部と、前記空中像における前記操作対象領域に対応する部分に対する利用者の操作を特定する操作特定部と、前記特定された操作に応じた、前記手荷物の預かりに関する処理を実行する処理実行部と、を備える。
【0007】
前記構成によれば、空中像における操作対象領域に対応する部分が、手荷物預け機の利用者の操作対象となる。よって、利用者は、タッチパネル等の操作面に接触することなく、手荷物の預かりに関する操作を行うことができる。したがって、タッチパネル等の操作面を備える従来の手荷物預け機において生じていた、当該操作面の接触に伴うウィルス等の感染リスクを、削減することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記手荷物を搬送する搬送装置が有する手荷物載置場に近接して設けられ、前記利用者は、前記手荷物載置場に前記手荷物を預ける者であり、前記表示部および前記結像部は、前記利用者が視認できる位置、かつ、前記操作を行える位置に、前記空中像を結像させるように配置されているものであってもよい。
【0009】
前記構成によれば、手荷物を預ける利用者が視認および操作できる位置に空中像が結像される。よって、空中像の視認性、および、操作対象領域に対応する部分の操作性を確保することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部をさらに備え、前記結像部は、前記検出された位置に向けて前記空中像を結像させるものであってもよい。
【0011】
空中像は一般に視野角が狭い(つまり、観察可能範囲が狭い)ため、利用者の立ち位置によっては空中像を適切に閲覧することができない場合がある。これに対し、前記構成によれば、空中像は、手荷物を預ける利用者の顔の位置に向けて結像される。よって、例えば、利用者が、手荷物載置場に手荷物を載置するために手荷物載置場の傍に移動した場合でも、移動後の利用者の顔の位置に向けて空中像が結像される。また、例えば、利用者の身長に応じた位置に向けて空中像20が結像される。したがって、空中像の視認性、および、操作対象領域に対応する部分の操作性をさらに確保することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記検出された位置が、前記利用者が前記手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するとき、前記操作特定部は前記特定を実行し、前記検出された位置が、前記所定領域外に存在するとき、前記操作特定部は前記特定を停止するものであってもよい。
【0013】
前記構成によれば、利用者が、手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域に存在するときは操作を受け付け、それ以外のときは操作を受け付けないように制限することができる。これにより、手荷物預け機に略正対する位置から離れている利用者による誤操作を防止することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記検出された位置が、前記利用者が前記手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するとき、前記空中像が結像される位置の近傍領域における物体を検出する物体検出部による当該検出を実行し、前記検出された位置が、前記所定領域外に存在するとき、前記物体検出部は前記物体の検出を停止するものであってもよい。
【0015】
前記構成によれば、利用者が、手荷物預け機の正面に正対する位置を含む所定領域に存在するときは前記近傍領域における物体(典型例は、利用者の指などの指示体)が検出され、それ以外のときは前記近傍領域における物体が検出されないように制限することができる。これにより、手荷物預け機に略正対する位置から離れている利用者による誤操作を防止することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記表示部および表示装置に前記画像を表示させる表示制御部を備え、前記操作特定部は、さらに、前記表示装置に表示された前記画像における前記操作対象領域に対する操作を特定し、前記表示制御部が前記表示部に前記画像を表示させるモードと、前記表示制御部が前記表示装置に前記画像を表示させるモードとを切り替えるモード切替部と、をさらに備えるものであってもよい。
【0017】
前記構成によれば、空中像における操作対象領域に対応する部分に対する操作を検出するモードと、表示装置に表示させた画像における操作対象領域に対する操作を検出するモードとが切り替わる。よって、例えば、手荷物を預ける利用者に対しては前者のモードを適用してウィルス等の感染リスクを削減する一方で、航空会社の従業員およびメンテナンス業者などに対しては後者のモードを適用して作業効率化を図るといった使い分けが可能となる。
【0018】
本発明の一態様に係る手荷物預け機では、前記操作対象領域を含まない表示専用画像を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備えるものであってもよい。
【0019】
前記構成によれば、空中像に加えて、表示専用画像が表示装置に表示される。よって、空中像に表示されていない補足的な情報、または、空中像の遷移にかかわらず常に表示すべき情報などを表示装置に表示させることができる。
【0020】
さらに、表示装置の表示面は、通常、空中像より視野角が広い(つまり、観察可能範囲が広い)。そのため、例えば、利用者が多少移動した場合、および、立ち位置の異なる複数の利用者が存在する場合でも、表示情報の視認性を保つことができる。
【0021】
本発明の一態様に係る手荷物預け機では、前記空中像は立体像であってもよい。
【0022】
前記構成によれば、立体像が空中に結像される。よって、空中像を閲覧する利用者の理解性を高めることができる。例えば、手荷物または手荷物載置場の奥行方向に関する説明を、立体像を用いて図説することにより、理解性を高めることができる。
【0023】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記利用者の立ち位置を示すための投影画像を前記手荷物預け機の正面の床面に投影する画像投影部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記の構成によれば、投影画像を手荷物預け機の正面の床面に投影するので、利用者は、適切な立ち位置を認識することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記利用者の顔の位置を検出する顔検出部と、前記投影画像の投影位置を、前記検出された位置に応じて決定する投影制御部とをさらに備えるものであってもよい。
【0026】
空中像は一般に視野角が狭い(つまり、観察可能範囲が狭い)ため、利用者の立ち位置によっては空中像を適切に閲覧することができない場合がある。これに対し、前記構成によれば、検出した利用者の顔の位置に応じて投影画像の投影位置を決定する。よって、利用者の身長に応じて異なる、利用者の顔が観察可能範囲に入る立ち位置を利用者に示すことができる。したがって、空中像の視認性、および、操作対象領域に対応する部分の操作性を確保することができる。
【0027】
本発明の一態様に係る手荷物預け機は、前記投影制御部は、前記検出された位置の前記床面からの高さが高いほど、前記投影位置を前記手荷物預け機から遠ざけてもよい。
【0028】
空中像の観察可能範囲は、典型的には、空中像から、手荷物預け機の正面上方へ向けて延びる範囲である。したがって、身長が相対的に高い利用者が顔を観察可能範囲に入れるためには手荷物預け機から相対的に遠ざかる必要がある一方、身長が相対的に低い利用者が顔を観察可能範囲に入れるためには手荷物預け機に相対的に近づく必要がある。つまり、利用者の顔の高さに応じて、適切な立ち位置は異なる。ここで、前記の構成によれば、検出された利用者の顔の位置の床面からの高さが高いほど、投影画像の投影位置を手荷物預け機から遠ざける。よって、利用者の身長に依らず、いずれの利用者にも適切な立ち位置を示すことができる。
【0029】
本発明の各態様に係る手荷物預け機は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記手荷物預け機が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記手荷物預け機をコンピュータにて実現させる手荷物預け機の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、手荷物預け機の利用者がウィルス等に感染するリスクを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態1に係る手荷物預け機を含むSBDシステムによる手荷物預け入れの一例を示す図である。
【
図2】
図1に示すSBDシステムによる手荷物預け入れの別の例を示す図である。
【
図3】
図1に示す手荷物預け機による空中像の結像方法の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す手荷物預け機の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】実施形態2に係る手荷物預け機の概要を示す図である。
【
図10】
図9に示す手荷物預け機の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】空中像の結像方向の調整の具体例を示す図である。
【
図12】空中像の結像方向の調整の具体例を示す図である。
【
図13】空中像の結像方向の調整の他の例を示す図である。
【
図14】空中像の結像方向の調整の他の例を示す図である。
【
図15】空中像の結像方向の調整の他の例を示す図である。
【
図16】実施形態3に係る手荷物預け機の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】
図16に示す手荷物預け機、外部ディスプレイおよび入力デバイスの配置例を示す図である。
【
図18】実施形態4に係る手荷物預け機の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図18に示す手荷物預け機における表示例を示す図である。
【
図20】実施形態5に係る手荷物預け機の概要を示す図である。
【
図21】実施形態5に係る手荷物預け機の概要を示す図である。
【
図22】
図20、21に示す手荷物預け機の要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0033】
<SBDシステムの概要>
図1および
図2を参照して、本実施形態に係るSBDシステムによる手荷物預け入れの一例を説明する。
図1は、本実施形態に係るSBDシステム100を示している。SBDシステム100は、主に空港に設置されるものであり、空港を利用する利用者が飛行機へ搭乗する前に手荷物を自分で預け入れるためのシステムである。SBDシステム100は、手荷物預け機1および搬送装置2を備えている。SBDシステム100は、
図1に示すとおりゲート3を備えてもよい。
【0034】
手荷物預け機1は、利用者が手荷物を預けるために使用する機器であり、利用者から操作入力を受け付けるための領域を含む空中像20を、手荷物預け機1の周辺の空中に結像させる機能を有する。空中像20は、手荷物預け機1の上方であって利用者が視認および操作できる位置に結像される。空中像20の結像位置はこの例に限定されるものではなく、手荷物を預ける利用者が存在する空間内であればよい。空中像20は、情報を表示するための領域を含んでもよい。
【0035】
また、手荷物預け機1は、一例として読取装置13および発券装置14(タグ発券部、引換証発券部)を備えている。読取装置13は、利用者の搭乗券などに印字されたコード(例えば、バーコードやQRコード(登録商標)など)から情報を読み取る装置である。発券装置14は、手荷物に関する情報が記録された手荷物タグ(タグ)、および、預け入れた荷物を目的地で受け取る際に用いる引換証などを発券する装置である。
【0036】
搬送装置2は、預け入れられた手荷物を、利用者が搭乗する予定の飛行機に積載するために搬送する装置である。搬送装置2の典型例はベルトコンベアであるが、これに限定されない。
【0037】
利用者は、
図2に示すように手荷物タグ141を取り付けた手荷物99を、搬送装置2の一部を構成する手荷物載置場80に載置する。手荷物載置場80には、図示しない重量計が設けられている。重量計は、計測した手荷物99の重量を手荷物預け機1へ出力する。
【0038】
なお、手荷物預け機1の利用と、手荷物載置場80への手荷物の載置とを効率的に行うために、手荷物預け機1は、手荷物載置場80に近接して設けられていることが望ましい。
【0039】
ゲート3は、一例として搬送装置2の一部を跨ぐように立設されている。ゲート3は、一例として図示しないカメラを備えている。当該カメラは、ゲート3を通過する手荷物99および手荷物タグ141を撮影することができるように設置されており、撮影した画像を手荷物預け機1へ出力する。手荷物預け機1は、取得した当該画像に基づき、手荷物タグ141に印字されたコードを読み取ったり、手荷物99の寸法および形状を特定したりすることができる。
図2に示す空中像20は、手荷物タグ141に印字されたコードを読み取り中(スキャン中)であることを示している。
【0040】
なお、ゲート3は、搬送装置2と別体である必要はなく、搬送装置2の構成部材として搬送装置2と一体に設けられてもよい。
【0041】
<空中像20の結像方法および操作検出方法>
図3は、空中像20の結像方法の一例を説明する図である。手荷物預け機1は、内部ディスプレイ11(表示部)、結像部30、および操作検出部12(物体検出部)を備えている。
【0042】
内部ディスプレイ11は、手荷物の預かりに関する画像であって空中像20の元となる画像を表示するディスプレイであり、典型例としては液晶ディスプレイである。結像部30は、内部ディスプレイ11に表示された画像を、手荷物預け機1の周辺の空中に結像させる。結像方法は周知の方法を用いることができる。一例として、結像部30は、内部ディスプレイ11から結像部30に入射した光を屈折させて出射させ、内部ディスプレイ11と線対称の位置に光を集約させることにより、空中像20を結像させる。
図3の例では、空中像20は、手荷物預け機1の天面の上方に結像されている。なお、ここで示した結像方法は一例であり、空中像20の結像方法はこの例に限定されない。また、複数の結像部30を設け、光を多段階に屈折させる構成を採用してもよい。
【0043】
操作検出部12は、空中像20が結像される位置の近傍領域120における物体(典型例は、利用者の指などの指示体)を検出し、検出信号を出力する。操作検出部12は、近傍領域120における物体の位置を検出してもよい。操作検出部12は、一例として赤外線センサ等からなる非接触センサで構成される。操作検出部12は、一例として手荷物預け機1の天面に設けられる。
【0044】
<手荷物預け機1の要部構成>
図4は、手荷物預け機1の要部構成の一例を示すブロック図である。手荷物預け機1は、制御部10、内部ディスプレイ11、操作検出部12、読取装置13、発券装置14および結像部30を備えている。なお、内部ディスプレイ11、操作検出部12、読取装置13、発券装置14および結像部30についてはすでに説明しているため、ここではこれらの説明を繰り返さない。
【0045】
制御部10は、手荷物預け機1の各部を統括して制御する。制御部10は、表示制御部101、操作特定部102、読取データ取得部103、荷物データ取得部104および処理実行部105を含んでいる。
【0046】
表示制御部101は、内部ディスプレイ11に、空中像20の元となる画像を表示させる。内部ディスプレイ11に表示させる画像は、表示領域および操作対象領域を含む。表示領域は、利用者に提示する情報を表示する領域である。操作対象領域は、一例としてボタンなどの入力インタフェースを模した領域である。空中像20における操作対象領域に対応する部分は、グラフィカルユーザインターフェース(以下、「GUI」と称する。)に相当する。以降、利用者がGUIに指示体を接近させることを単に「操作」と表記する場合がある。
【0047】
操作特定部102は、操作検出部12から検出信号を取得する。操作特定部102は、取得した検出信号と、表示制御部101が内部ディスプレイ11に表示させている画像とに基づき、操作を特定する。操作特定部102は、特定した操作に応じた指示を、制御部10の各部へ出力する。一例として、操作特定部102は、表示制御部101に対して内部ディスプレイ11に表示させる画像を切り替える指示を出力する。また、一例として、操作特定部102は、処理実行部105の発券制御部151に対して手荷物タグまたは引換証の発券を指示する。また、一例として、操作特定部102は、処理実行部105の搬送指示部153に対して手荷物の搬送を指示する。また、一例として、操作特定部102は、処理実行部105の登録部152に対して各種情報の登録を指示する。
【0048】
読取データ取得部103は、読取装置13が読み取ったデータを取得し、取得したデータに応じた指示を制御部10の各部へ出力する。一例として、読取データ取得部103は、表示制御部101に対して内部ディスプレイ11に表示させる画像を切り替える指示を出力する。
【0049】
荷物データ取得部104は、搬送装置2およびゲート3から手荷物に関するデータを取得し、取得したデータに応じた指示を制御部10の各部へ出力する。具体的には、荷物データ取得部104は、搬送装置2が備える重量計が計測した手荷物の重量を示すデータ、および、ゲート3が備えるカメラが撮影した画像を取得する。なお、これらのデータは一例であり、荷物データ取得部104が取得するデータはこれらに限定されない。
【0050】
処理実行部105は、手荷物の預け入れに関する各種処理を実行する。処理実行部105は、発券制御部151、登録部152および搬送指示部153を含んでいる。
【0051】
発券制御部151は、発券装置14に対して発券指示を出力し、発券装置14に手荷物タグまたは引換証を発券させる。
【0052】
登録部152は、預け入れられた手荷物の情報を登録する。登録部152は一例として、預け入れられた手荷物に関する情報と、利用者の搭乗券の情報とを対応付けて図示しない記憶部に記憶させる。手荷物に関する情報とは、例えば、手荷物を識別するIDである。搭乗券の情報とは、例えば、読取装置13が搭乗券から読み取った情報であり、利用者、搭乗予定の飛行機、目的地を識別する情報などを含む。
【0053】
搬送指示部153は、搬送装置2に対して搬送指示を出力し、搬送装置2に手荷物99を搬送させる。搬送指示部153は、搬送装置2に対して搬送中止指示を出力し、手荷物の搬送を中止させてもよい。
【0054】
<SBDシステム100における手荷物預かり処理の流れ>
以下、
図5から
図7を参照してSBDシステム100における手荷物預かり処理の流れの一例を説明する。
図5から
図7は、手荷物預かり処理の進行に応じて遷移する空中像20の一例を示す図である。この例では、利用者は搭乗券を入手済みであるものとする。搭乗券は、手荷物預け機1と異なる装置から発券されてもよいし、携帯端末などで閲覧可能ないわゆるモバイル搭乗券であってもよい。
【0055】
まず、
図5に示す空中像20Aは、手荷物預かり処理の開始時に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Aには、搭乗券を読み込ませることを促す情報が表示されている。利用者は空中像20Aの表示内容に従い、手荷物預け機1の読取装置13に、搭乗券のコードを読み取らせる。読取装置13は、コードから読み取った読取情報を読取データ取得部103へ出力する。読取データ取得部103は、取得した読取情報を表示制御部101および登録部152へ出力する。
【0056】
図5に示す空中像20Aは、GUIの一例として、ボタン211を含む。表示制御部101は、ボタン211の操作を示す検出信号を取得したことに基づき、例えば、利用者に言語を選択させるための画像(不図示)を内部ディスプレイ11に表示させる。
【0057】
次に、
図5に示す空中像20Bは、搭乗券のコード読み取り後に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Bは、読取装置13が読み取った読取情報を読取データ取得部103から取得した表示制御部101が、空中像20Bの元となる画像を内部ディスプレイ11に表示させることにより、結像される。なお、以降の説明において登場する空中像についても、表示制御部101が、その空中像の元となる画像を内部ディスプレイ11に表示させることにより、結像される。
【0058】
空中像20Bには、機内持ち込みおよび預け入れができない物品に関する情報が表示されている。空中像20Bは、GUIの一例として、ボタン221を含む。利用者は、空中像20Bの表示内容を確認し、ボタン221を操作する。
【0059】
次に、
図5に示す空中像20Cは、ボタン221が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Cには、利用者が搭乗する予定の飛行機に関する情報が表示されている。この情報は、読取装置13が読み取った搭乗券の情報である。また、空中像20Cは、GUIの一例として、ボタン231を含む。利用者は、空中像20Cの表示内容を確認し、ボタン231を操作する。
【0060】
次に、
図5に示す空中像20Dは、ボタン231が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Dには、利用者の氏名、および、飛行機の座席番号に関する情報が表示されている。これらの情報は、読取装置13が読み取った搭乗券の情報である。また、空中像20Dは、GUIの一例として、ボタン241を含む。利用者は、空中像20Dの表示内容を確認し、ボタン241を操作する。
【0061】
次に、
図6に示す空中像20Eは、ボタン241が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Eは、手荷物の預け入れを行うか否かを利用者に選択させるための像である。空中像20Eは、GUIの一例として、ボタン251およびボタン252を含む。利用者は、手荷物の預け入れを行う場合はボタン251を操作し、手荷物の預け入れを行わない場合はボタン252を操作する。なお、ボタン252を操作すると、SBDシステム100における手荷物預かり処理は終了する。
【0062】
次に、
図6に示す空中像20Fは、ボタン251が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Fは、預け入れる手荷物の個数を利用者に入力させるための像である。空中像20Fは、一例として、入力された個数を表示するカウンタ261、個数を減らす操作を入力するためのボタン262、個数を増やす操作を入力するためのボタン263、個数を確定させるボタン264を含む。ボタン262、ボタン263およびボタン264はGUIである。利用者は、手荷物の個数を減らす場合はボタン262を操作し、手荷物の個数を増やす場合はボタン263を操作する。利用者は、荷物の個数の入力が完了すると、ボタン264を操作する。
【0063】
次に、
図6に示す空中像20Gは、ボタン264が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Gには、読取装置13が読み取った搭乗券の情報、および、利用者が入力した荷物の個数が表示されている。また、空中像20Gは、GUIの一例として、ボタン271を含む。利用者は、空中像20Gの表示内容を確認し、ボタン271を操作する。
【0064】
次に、
図6に示す空中像20Hは、ボタン271が操作されたときに、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Hには、手荷物タグを発券中である旨、および、発券された手荷物タグの手荷物への取り付け方法が表示されている。
【0065】
空中像20Hが結像されているとき、操作特定部102から指示を受けた発券制御部151が発券装置14に手荷物タグを発券させる。発券装置14は、空中像20Fにて入力された手荷物の個数と同数の手荷物タグを発券する。利用者は、発券された手荷物タグを、空中像20Hが示すとおり手荷物に取り付け、手荷物載置場80に載置する。手荷物載置場80に設けられた重量計は、載置された手荷物の重量を計測し、当該重量を示す重量データを手荷物預け機1へ出力する。
【0066】
手荷物預け機1の荷物データ取得部104は、重量計から取得した重量データを表示制御部101へ出力する。また、荷物データ取得部104は、重量データを取得した旨を搬送指示部153へ通知する。搬送指示部153は搬送指示を搬送装置2へ出力し、手荷物載置場80に載置された手荷物を、ゲート3の位置まで移動させる。搬送装置2は、ゲート3に設けられたカメラを起動し、手荷物タグのスキャンを含む手荷物の撮影を開始する。搬送装置2は、スキャンの実行中である旨を手荷物預け機1へ出力する。
【0067】
次に、
図7に示す空中像20Iは、スキャンの実行中、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Iには、手荷物タグをスキャン中である旨が表示されている。
【0068】
ゲート3に設けられたカメラは、手荷物の撮影が終了すると、撮影した画像を手荷物預け機1へ出力する。荷物データ取得部104は、当該カメラから取得した画像を登録部152へ出力する。
【0069】
登録部152は、荷物データ取得部104から取得した画像について画像認識を行い、手荷物タグに記載された手荷物を識別するIDを特定する。なお、画像認識には周知の技術を用いることができる。そして、登録部152は、特定したIDと、操作特定部102から取得した読取情報、すなわち搭乗券の情報とを対応付けて記憶部に記憶する。そして、登録部152は、処理が終了した旨を表示制御部101、発券制御部151および搬送指示部153へ通知する。
【0070】
次に、
図7に示す空中像20Jは、引換証の発券中に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Jには、引換証を発券している旨が表示されている。
【0071】
発券制御部151は、登録部152からの通知に基づき、引換証を発券装置14に発券させる。発券装置14は引換証を発券する。発券制御部151は、引換証の発券が終了すると、その旨を表示制御部101へ通知する。一方、搬送指示部153は、登録部152からの通知に基づき、搬送装置2に搬送指示を出力し、搬送装置2上の手荷物を積載地点まで搬送させる。
【0072】
次に、
図7に示す空中像20Kは、手荷物預かり処理の完了時に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。空中像20Kには、手荷物預かりが完了した旨、および、引換証が発券された旨が表示されている。
【0073】
<空中像20の他の例>
図8に示す空中像20Lは、手荷物載置場80に載置した手荷物が規定の重量を超過している場合に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。一例として、重量計は、載置された手荷物の重量が規定量を超過する場合、その旨を示す超過情報とともに重量データを手荷物預け機1へ出力する。荷物データ取得部104は、超過情報を取得した場合、超過情報を表示制御部101へ出力する。
【0074】
空中像20Lには、重量超過に関する情報が表示されている。また、空中像20Lは、GUIの一例として、ボタン311を含む。利用者は、空中像20Lの表示内容を確認し、ボタン311を操作する。
【0075】
図8に示す空中像20Mは、手荷物載置場80に載置した手荷物をトレイに乗せる必要がある場合に、手荷物預け機1が結像させる空中像の一例である。一例として、荷物データ取得部104は、ゲート3に設けられたカメラが撮影した画像の画像認識を行った結果、手荷物の寸法および形状などからトレイに乗せて載置すべき手荷物であることを特定した場合、その旨を表示制御部101へ通知する。
【0076】
空中像20Mには、手荷物をトレイに乗せることを促す情報が表示されている。また、空中像20Mは、GUIの一例として、ボタン321を含む。利用者は、空中像20Mの表示内容を確認し、ボタン321を操作する。
【0077】
<作用・効果>
以上のとおり、本実施形態に係る手荷物預け機1は、操作対象領域を含む、手荷物の預かりに関する画像を表示する内部ディスプレイ11を備える。また、手荷物預け機1は、当該画像を自機周辺の空中に空中像20として結像させる結像部30を備える。また、手荷物預け機1は、空中像20における操作対象領域に対応する部分であるGUIに対する操作を特定する操作特定部102を備える。また、手荷物預け機1は、特定された操作に応じた、手荷物の預かりに関する処理を実行する処理実行部105を備える。
【0078】
上記の構成によれば、空中像20に含まれるGUIが、手荷物預け機1の利用者の操作対象となる。よって、利用者は、タッチパネル等の操作面に接触することなく、手荷物の預かりに関する操作を行うことができる。したがって、タッチパネル等の操作面を備える従来の手荷物預け機において生じていた、当該操作面への接触に伴うウィルス等の感染リスクを、削減することができる。
【0079】
また、手荷物預け機1は、搬送装置2が有する手荷物載置場80に近接して設けられている。そして、内部ディスプレイ11および結像部30は、利用者が視認できる位置かつ操作できる位置に空中像20を結像させるように配置されている。よって、空中像20の視認性、および、空中像20に含まれるGUIの操作性を確保することができる。
【0080】
操作対象領域は一例として確認結果を入力するための領域を含む。よって、空中像20は、一例として、確認結果を入力するためのGUI(例えば、ボタン221、231、241、264、271、311および321)を含む。この構成によれば、非接触操作により、各種の確認結果を入力することができる。
【0081】
また、操作対象領域は一例として手荷物の個数を入力するための領域を含む。よって、空中像20は、一例として、手荷物の個数を入力するためのGUI(例えば、ボタン262および263)を含む。この構成によれば、非接触操作により、手荷物の個数を入力することができる。
【0082】
また、手荷物預け機1は、手荷物タグを発券する発券装置14を備える。処理実行部105に含まれる発券制御部151は、発券装置14に対して手荷物タグの発券を指示する。この構成によれば、非接触操作により、手荷物タグが発券される。
【0083】
また、発券装置14は引換証を発券する。発券制御部151は、発券装置14に対して引換証の発券を指示する。この構成によれば、非接触操作により、引換証が発券される。
【0084】
また、処理実行部105に含まれる搬送指示部153は、搬送装置2に対して、預かる手荷物の搬送を指示する。この構成によれば、非接触操作により、手荷物が搬送される。
【0085】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、以降の実施形態については、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材について同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0086】
<本実施形態の概要>
図9は、本実施形態に係る手荷物預け機1Aの概要を示す図である。手荷物預け機1Aは、空中像20の結像方向を調整する。具体的には、手荷物預け機1Aは、利用者の顔の位置に向けて空中像20を結像させる。この機能を実現するために、手荷物預け機1Aは、内部ディスプレイ11の表示面の向きを変更させるアクチュエータ16を備える。一例として、アクチュエータ16は、
図9に示すように、内部ディスプレイ11を載置した状態で、手荷物預け機1Aの上下方向に延びる直線を軸として回転する。これにより、内部ディスプレイ11の表示面の向きが変更されるので、この変更に従って空中像20の結像方向が変更される。このようにして空中像20の観察可能範囲内に利用者の顔が入るように調整されるため、利用者の立ち位置が変わっても空中像20の視認性を確保することが可能となる。
【0087】
<手荷物預け機1Aの要部構成>
図10は、手荷物預け機1Aの要部構成の一例を示すブロック図である。手荷物預け機1Aが、上述した手荷物預け機1と異なる点は、制御部10に代えて制御部10Aを備える点、カメラ15およびアクチュエータ16を備える点である。
【0088】
カメラ15は、手荷物預け機1Aの利用者の顔を撮影できる位置に設けられ、撮影した画像を制御部10Aへ出力する。利用者が手荷物載置場80に手荷物を載置するために移動することを考慮すると、カメラ15は、手荷物載置場80付近まで撮影可能な画角を有していることが望ましい。
【0089】
アクチュエータ16は、制御部10Aの制御により、上述したとおり内部ディスプレイ11の表示面の向きを変更させる。
【0090】
制御部10Aが、上述した制御部10と異なる点は、顔検出部106および駆動制御部107を含んでいる点である。
【0091】
顔検出部106は、カメラ15から取得した画像から、手荷物預け機1Aの利用者の顔の位置を検出する。顔検出部106は、検出した位置を示す位置情報を、駆動制御部107へ出力する。
【0092】
駆動制御部107は、取得した位置情報に基づき、利用者の顔の位置に向けて空中像20が結像されるように内部ディスプレイ11の表示面の向きを調整するためにアクチュエータ16を制御する。
【0093】
<結像方向の調整の具体例>
図11および
図12は、空中像の結像方向の調整の具体例を示す図である。
図11は、利用者5が手荷物99を手荷物載置場80に載置する前段階として、手荷物預け機1Aの正面に略正対して手荷物預け機1Aを操作している様子を示している。
【0094】
この場合、利用者5は手荷物預け機1Aの正面に略正対しているので、顔検出部106は、手荷物預け機1Aの正面方向に利用者5の顔の位置を検出する。よって、駆動制御部107は、手荷物預け機1Aの正面方向に向かって空中像20が結像されるように内部ディスプレイ11の表示面の向きを調整するためにアクチュエータ16を制御する。この結果、
図11に示すように、手荷物預け機1Aの正面方向に空中像20が結像される。
【0095】
一方、
図12は、利用者5が手荷物99を手荷物載置場80に載置している様子を示している。利用者5は、手荷物99を手荷物載置場80に載置するために、
図11に示す立ち位置より手荷物載置場80に近づいている。よって、顔検出部106は、手荷物預け機1Aの正面方向ではなく、手荷物載置場80側の斜め方向に利用者5の顔の位置を検出する。したがって、駆動制御部107は、手荷物預け機1Aの斜め方向に向かって空中像20が結像されるように内部ディスプレイ11の表示面の向きを調整するためにアクチュエータ16を制御する。この結果、
図12に示すように、手荷物預け機1Aの正面方向に対して斜め方向に空中像20が結像される。このように、手荷物預け機1Aは、利用者5の立ち位置に空中像20を追従させるように、空中像20の結像方向を左右方向に調整する。
【0096】
<結像方向調整時の操作受付停止>
手荷物預け機1Aの正面に略正対する位置から離れている利用者に向けて空中像20を結像させているとき、手荷物預け機1Aは、空中像20に対する操作を受け付けないようにしてもよい。
【0097】
この機能を実現する構成例として、顔検出部106が検出した顔の位置が、利用者が手荷物預け機1Aの正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するとき、操作特定部102は特定処理を実行(つまり、操作特定部102をアクティブ化)してもよい。一方、顔検出部106が検出した顔の位置が上記所定領域外に存在するとき、操作特定部102は特定処理を停止(つまり、操作特定部102を非アクティブ化)してもよい。なお、操作特定部102は、特定処理の全体を停止する代わりに、操作検出部12からの検出信号を無視する構成であってもよい。
【0098】
また、他の構成例として、顔検出部106が検出した顔の位置が上記所定領域内に存在するとき、操作検出部12は検出処理を実行(つまり、操作検出部12をアクティブ化)してもよい。一方、顔検出部106が検出した顔の位置が上記所定領域外に存在するとき、操作検出部12は検出処理を停止(つまり、操作検出部12を非アクティブ化)してもよい。なお、操作検出部12は、検出処理の全体を停止する代わりに、検出信号の出力を停止する構成であってもよい。
【0099】
これらの構成例によれば、利用者が、手荷物預け機1Aの正面に正対する位置を含む所定領域内に存在するときは空中像20に対する操作を受け付ける一方、それ以外のときは空中像20に対する操作を受け付けないように制限することができる。したがって、手荷物預け機1Aの正面に略正対する位置から離れている利用者による誤操作を防止することができる。
【0100】
<結像方向の調整の他の例>
図13および
図14は、結像方向の調整の他の例を示す図である。駆動制御部107は、顔検出部106が検出した顔の位置に応じて、手荷物預け機1Aの天面に対する空中像20の角度を調整してもよい。これにより、身長が異なる利用者の各々に応じて空中像20の結像方向を上下方向に調整することができる。
【0101】
この機能を実現するために、手荷物預け機1Aは、手荷物預け機1Aの左右方向(
図13および14の手前奥方向)に延びる直線を軸として、内部ディスプレイ11の表示面を回転させるアクチュエータ16を含む。これにより、
図13および
図14に示すように、利用者の身長に応じて空中像20の結像方向を上下方向に調整することができる。
図13に示す利用者5Aと
図14に示す利用者5Bとを比較すると、利用者5Aの顔の位置は相対的に高く、利用者5Bの顔の位置は相対的に低い。換言すれば、利用者5Aの顔の床面からの高さh1は、利用者5Bの顔の床面からの高さh2よりも高い(h1>h2)。よって、駆動制御部107は、利用者5Aに対しては、手荷物預け機1Aの天面に対する空中像20の角度が相対的に小さくなる方向に内部ディスプレイ11の表示面を回転させるようにアクチュエータ16を制御する。これにより、
図13の例では、手荷物預け機1Aの天面に対する空中像20の角度は角度θ1となる。一方、利用者5Bに対しては、手荷物預け機1Aの天面に対する空中像20の角度が相対的に大きくなる方向に内部ディスプレイ11の表示面を回転させるようにアクチュエータ16を制御する。これにより、
図14の例では、手荷物預け機1Aの天面に対する空中像20の角度は、角度θ1より大きい角度θ2となる。以上により、
図13および
図14に示すとおり、利用者5Aおよび利用者5Bのいずれの場合においても、空中像20の観察可能範囲21に顔が入るため、空中像20の視認性を確保することができる。
【0102】
図15は、結像方向の調整のさらなる他の例を示す図である。
図15に示すように、アクチュエータ16は、手荷物預け機1Aの左右方向(
図15の手前奥方向)に延びる直線を軸として、結像部30を動かすことにより、空中像20の結像方向を上下方向に調整してもよい。例えば、結像部30に対しては空中像20が結像される一方、結像部30と角度が異なる結像部30Aに対しては空中像20Aが結像される。この構成によっても、利用者の身長に応じて空中像20の結像方向を上下方向に調整することができる。
【0103】
また、アクチュエータ16は、内部ディスプレイ11および結像部30の両方を動かす構成であってもよい。これにより、結像方向のより柔軟な調整が可能となる。
【0104】
<作用・効果>
以上のとおり、本実施形態に係る手荷物預け機1Aは、利用者の顔の位置を検出する顔検出部106を備え、結像部30は、検出された位置に向けて空中像20を結像させる。
【0105】
空中に結像される空中像20は一般に視野角が狭いため、利用者の立ち位置によっては空中像20を適切に閲覧することができない場合がある。これに対し、上記の構成によれば、空中像20は、手荷物を預ける利用者の顔の位置に向けて結像される。よって、例えば、利用者が、手荷物載置場80に手荷物を載置するために手荷物載置場80の傍に移動した場合でも、移動後の利用者の顔の位置に向けて空中像20が結像される。また、例えば、利用者の身長に応じた位置に向けて空中像20が結像される。したがって、空中像20の視認性、および、空中像20に含まれるGUIの操作性をさらに確保することができる。
【0106】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態に係る手荷物預け機1Bは、空中像20を結像させる第1モードと、ディスプレイに画像を表示させる第2モードとを切り替える。第2モードは、手荷物を預ける利用者以外の、航空会社の従業員およびメンテナンス業者など(以下、「従業員等」と称する。)が使用することを想定している。
【0107】
<手荷物預け機1Bの要部構成>
図16は、手荷物預け機1Bの要部構成の一例を示すブロック図である。手荷物預け機1Bが手荷物預け機1と異なる点は、制御部10に代えて制御部10Bを備える点、外部ディスプレイ4(表示装置)および入力デバイス6と通信可能に接続されている点である。手荷物預け機1Bでは、空中像20による表示および操作受付に加え、それらと同等の機能を外部ディスプレイ4および入力デバイス6により実現する。外部ディスプレイ4および入力デバイス6は基本的に従業員等が使用することを想定している。ただし、操作検出部12または操作特定部102等の不具合により空中像20の操作対象領域に対応する部分に対する操作が特定できない場合に、外部ディスプレイ4および入力デバイス6をバックアップ手段として利用者が使用できるようにしてもよい。
【0108】
外部ディスプレイ4は、制御部10Bの表示制御部101Bの指示に基づき画像を表示するディスプレイであり、典型例としては液晶ディスプレイである。外部ディスプレイ4に表示させる画像は、内部ディスプレイ11に表示させる画像と同じであり、表示領域および操作対象領域を含む。
【0109】
入力デバイス6は、入力操作を受け付け、当該入力操作を示す操作信号を制御部10Bの操作特定部102Bへ出力する。入力デバイス6が受け付ける入力操作は、外部ディスプレイ4に表示される操作対象領域であるGUIに対する操作である。入力デバイス6の典型例は、キーボードおよびマウスであるが、この例に限定されない。例えば、入力デバイス6はタッチパネルであってもよい。この例において、外部ディスプレイ4および入力デバイス6はタッチパネルディスプレイとして一体となっていてもよい。
【0110】
制御部10Bが、上述した制御部10と異なる点は、表示制御部101、操作特定部102に代えて、表示制御部101B、操作特定部102Bを含んでいる点、新たに、表示モード切替部108(モード切替部)を含んでいる点である。
【0111】
表示モード切替部108は、手荷物預け機1Bの表示モードを切り替える。手荷物預け機1Bの表示モードは、内部ディスプレイ11に画像を表示させる第1のモードと、外部ディスプレイ4に画像を表示させる第2のモードとを含んでいる。換言すれば、第1のモードは空中像20を結像させるモードであり、第2のモードは空中像20を結像させることに代えて外部ディスプレイ4に画像を表示させるモードである。
【0112】
表示制御部101Bは、手荷物預け機1Bの表示モードに応じて、内部ディスプレイ11と外部ディスプレイ4とのいずれかに画像を表示させる。表示制御部101Bは、表示モードが第1のモードである場合、内部ディスプレイ11に画像を表示させ、空中像20を結像させる。一方、表示制御部101Bは、表示モードが第2のモードである場合、外部ディスプレイ4に画像を表示させる。
【0113】
操作特定部102Bは、操作検出部12からの検出信号を取得し、操作を特定する機能に加え、入力デバイス6からの操作信号を取得し、操作を特定する機能を有する。操作特定部102Bは、取得した操作信号と、外部ディスプレイ4に表示させている画像とに基づき、操作を特定する。
【0114】
表示モード切替部108は、一例として、入力デバイス6からのモード切替操作の操作信号に基づき、表示制御部101Bに対して表示モードの切り替えを指示する。
【0115】
外部ディスプレイ4および入力デバイス6は、一例として、手荷物を預ける利用者の妨げにならない位置に設置されることが望ましい。
図17は、外部ディスプレイ4および入力デバイス6の設置例を示す図である。一例として、外部ディスプレイ4および入力デバイス6は、
図17に示すように手荷物預け機1Bの背面側から従業員等が使用できるように配置されてもよい。また、外部ディスプレイ4および入力デバイス6は、手荷物を預ける利用者から全く見えない位置に配置されてもよい。
【0116】
<作用・効果>
以上のとおり、本実施形態に係る手荷物預け機1Bは、空中像20を結像させてGUIに対する操作を特定する第1のモードと、外部ディスプレイ4に画像を表示させて操作を受け付ける第2のモードとを切り替える。よって、例えば、手荷物を預ける利用者に対しては第1のモードを適用してウィルス等の感染リスクを削減する一方で、従業員等に対しては第2のモードを適用して作業効率化を図るといった使い分けが可能となる。
【0117】
なお、手荷物を預ける利用者は外部ディスプレイ4および入力デバイス6を使用しない前提であるため、これらを使用する従業員等のウィルス等への感染リスクは相対的に低い。
【0118】
〔実施形態4〕
本発明のさらなる他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態に係る手荷物預け機1Cは、空中像20を結像させることに加えて、操作対象領域を含まない画像(以下、「表示専用画像」)を外部ディスプレイ4に表示する。
【0119】
<手荷物預け機1Cの要部構成>
図18は、本実施形態に係る手荷物預け機1Cの要部構成の一例を示すブロック図である。手荷物預け機1Cが、上述した手荷物預け機1と異なる点は、制御部10に代えて制御部10Cを備える点、外部ディスプレイ4と通信可能に接続されている点である。
【0120】
制御部10Cが上述した制御部10と異なる点は、表示制御部101に代えて表示制御部101Cを含んでいる点である。表示制御部101Cは、表示制御部101が有する機能に加えて、さらに、表示専用画像を外部ディスプレイ4に表示させる。
【0121】
図19は、手荷物預け機1Cにおける表示例を示す図である。
図19の例では、
図6に示した空中像20Eに加えて、空中像20Bの元となる画像の一部が表示専用画像として外部ディスプレイ4に表示されている。
【0122】
<作用・効果>
上記の構成によれば、空中像20が結像されることに加えて、操作を伴わない表示専用画像が外部ディスプレイ4に表示される。よって、空中像20に表示されていない補足的な情報、または、空中像20の遷移にかかわらず常に表示すべき情報などを外部ディスプレイ4に表示させることができる。
【0123】
さらに、外部ディスプレイ4の表示面は、通常、空中像20より視野角が広い。そのため、例えば、利用者が多少移動した場合、および、立ち位置の異なる複数の利用者が存在する場合でも、外部ディスプレイ4に表示される情報の視認性を保つことができる。
【0124】
なお、
図19に示すように、外部ディスプレイ4は、空中像20が結像される位置より利用者から見て遠位に配置されることが好ましい。通常、利用者は外部ディスプレイ4に触れる必要がないためである。ただし、外部ディスプレイ4の配置箇所はこれに限られるものではなく、利用者の手が届く範囲に配置されてもよい。一例として、外部ディスプレイ4は、空中像20の延在方向において空中像20に隣り合う位置(空中像20の上側または下側または左側または右側)に配置されてもよい。
【0125】
〔実施形態5〕
本発明のさらなる他の実施形態について、以下に説明する。
【0126】
<本実施形態の概要>
図20および
図21は、本実施形態に係る手荷物預け機1Dの概要を示す図である。手荷物預け機1Dは、実施形態2の手荷物預け機1Aが行う空中像20の結像方向の調整を行わない。つまり、手荷物預け機1Dは、内部ディスプレイ11の表示面の向きを変更する機構を備えていない。これにより、空中像20の結像方向が変更されないので、空中像20の観察可能範囲21も変更されない。
【0127】
手荷物預け機1Dは、空中像20の結像方向の調整に代えて、利用者の立ち位置を示すための投影画像70を手荷物預け機1Dの正面の床面に投影する。立ち位置とは、例えば、利用者が空中像20を視認し、かつ、操作するために、利用者が立つべき床面上の位置である。そのために、手荷物預け機1Dは、利用者の顔の位置を検出し、当該検出した位置に応じて、投影画像の投影位置を決定する。なお、投影画像70は、典型的には、
図20および
図21に示すように投影された位置に利用者を立たせるための目印となる像である。
【0128】
より具体的には、手荷物預け機1Dは、利用者の顔が観察可能範囲21に入る立ち位置に投影画像70を投影する。例えば、
図20に示すように、自身の顔が観察可能範囲21の上方側に外れている利用者5Aは、立ち位置として示される投影画像70まで後退することにより、自身の顔を観察可能範囲21に入れることができる。その結果、利用者5Aは、空中像20を視認することができ、また、空中像20のGUIに対する操作を行うことができる。
【0129】
同様に、
図21に示すように、自身の顔が観察可能範囲21の下方側に外れている利用者5Bは、立ち位置として示される投影画像70まで前進することにより、自身の顔を観察可能範囲21に入れることができる。その結果、利用者5Bは、空中像20を視認することができ、また、空中像20のGUIに対する操作を行うことができる。
【0130】
投影画像70を床面に投影するために、手荷物預け機1Dは、
図20および
図21に示すように、画像投影部17を備えている。一例として、画像投影部17は、床面に画像を投射するプロジェクタであってもよい。
図20および
図21の例では、画像投影部17は、手荷物預け機1Dの正面の床面に投影画像70を投影するために、手荷物預け機1Dの正面に設けられ、投影方向が正面下方に向けられている。ただし、手荷物預け機1Dの正面の床面に投影画像70を投影することが可能であれば、画像投影部17は、手荷物預け機1Dの正面以外の位置に設けられてもよい。
【0131】
空中像20の観察可能範囲21は、典型的には、
図20および
図21に示すように、空中像20から、手荷物預け機1Dの正面上方へ向けて延びる範囲である。したがって、身長が相対的に高い利用者が顔を観察可能範囲21に入れるためには手荷物預け機1Dから相対的に遠ざかる必要がある一方、身長が相対的に低い利用者が顔を観察可能範囲21に入れるためには手荷物預け機1Dに相対的に近づく必要がある。つまり、利用者の顔の高さに応じて、適切な立ち位置は異なる。そこで、利用者に応じて立ち位置を変更させるために、この例において、手荷物預け機1Dは、検出した利用者の顔の位置の床面からの高さが高いほど、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dから遠ざける。
【0132】
具体的には、
図20に示す利用者5Aと
図21に示す利用者5Bとを比較すると、利用者5Aの顔の位置は相対的に高く、利用者5Bの顔の位置は相対的に低い。換言すれば、利用者5Aの顔の床面からの高さh1は、利用者5Bの顔の床面からの高さh2よりも高い(h1>h2)。よって、手荷物預け機1Dは、利用者5Aに対しては、投影画像70の投影位置を、手荷物預け機1Dから相対的に遠ざけ、例えば、手荷物預け機1Dとの距離がd1となる位置とする。一方、手荷物預け機1Dは、利用者5Bに対しては、投影画像70の投影位置を、手荷物預け機1Dから相対的に近づけ、例えば、手荷物預け機1Dとの距離がd2となる位置とする(d1>d2)。これにより、
図20および
図21のいずれの場合においても、利用者は、投影画像70が投影された位置に立てば、観察可能範囲21に顔が入るため、空中像20を視認することができる。つまり、手荷物預け機1Dは、利用者の身長に依らず、利用者に応じた適切な立ち位置を示すことができる。
【0133】
<手荷物預け機1Dの要部構成>
図22は、手荷物預け機1Dの要部構成の一例を示すブロック図である。手荷物預け機1Dが、上述した手荷物預け機1と異なる点は、制御部10に代えて制御部10Dを備える点、カメラ15および画像投影部17を備える点である。なお、カメラ15については実施形態2で説明しているため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0134】
画像投影部17は、制御部10Dの制御により、上述したとおり床面に投影画像70を投影する。
【0135】
制御部10Dが、上述した制御部10と異なる点は、顔検出部106および投影制御部109を含んでいる点である。なお、顔検出部106については実施形態2で説明しているため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。本実施形態に係る顔検出部106は、検出した位置を示す位置情報を投影制御部109へ出力する。
【0136】
投影制御部109は、画像投影部17を制御して、取得した位置情報に基づく床面の位置に投影画像70を投影させる。一例として、投影制御部109は、取得した位置情報と、観察可能範囲21を示す情報とに基づき、利用者の顔が観察可能範囲21に入る利用者の立ち位置を特定し、当該立ち位置に投影画像70が投影されるように画像投影部17を制御する。
【0137】
具体的には、投影制御部109は、取得した位置情報が示す利用者の顔の位置について、床面からの高さが高いほど、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dから遠ざける。換言すれば、投影制御部109は、利用者の顔の位置が相対的に高い場合、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dから相対的に遠ざけ、利用者の顔の位置が相対的に低い場合、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dに相対的に近づける。例えば、顔の位置が相対的に高い利用者5Aに対しては、
図20に示すように、手荷物預け機1Dからの距離がd1となる位置に投影画像70を投影させる。一方、顔の位置が相対的に低い利用者5Bに対しては、
図21に示すように、手荷物預け機1Dからの距離が、d1より短いd2となる位置に投影画像70を投影させる。
【0138】
<作用・効果>
以上のとおり、本実施形態に係る手荷物預け機1Dは、利用者の立ち位置を示すための投影画像70を手荷物預け機1Dの正面の床面に投影する画像投影部17を備える。
【0139】
上記の構成によれば、投影画像70を手荷物預け機1Dの正面の床面に投影するので、利用者は、適切な立ち位置を認識することができる。
【0140】
また、手荷物預け機1Dは、利用者の顔の位置を検出する顔検出部106と、投影画像70の投影位置を、検出された位置に応じて決定する投影制御部109と、をさらに備える。
【0141】
空中に結像される空中像20は一般的に視野角が狭いため、利用者の立ち位置によっては空中像20を適切に閲覧することができない場合がある。これに対し、上記の構成によれば、画像投影部17は、投影画像70を、利用者の顔の位置に応じた位置に投影する。よって、利用者の身長に応じて異なる、利用者の顔が観察可能範囲21に入る立ち位置を利用者に示すことができる。したがって、手荷物預け機1Dは、空中像20の視認性、および、空中像20に含まれるGUIの操作性を確保することができる。
【0142】
また、投影制御部109は、検出された利用者の顔の位置の床面からの高さが高いほど、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dから遠ざける。
【0143】
空中像20の観察可能範囲21は、典型的には、空中像20から、手荷物預け機1Dの正面上方へ向けて延びる範囲である。したがって、身長が相対的に高い利用者が顔を観察可能範囲21に入れるためには手荷物預け機1Dから相対的に遠ざかる必要がある一方、身長が相対的に低い利用者が顔を観察可能範囲21に入れるためには手荷物預け機1Dに相対的に近づく必要がある。つまり、利用者の顔の高さに応じて、適切な立ち位置は異なる。ここで、上記の構成によれば、検出された利用者の顔の位置の床面からの高さが高いほど、投影画像70の投影位置を手荷物預け機1Dから遠ざける。よって、利用者の身長に依らず、いずれの利用者にも適切な立ち位置を示すことができる。
【0144】
なお、手荷物預け機1Dは、空中像20の結像方向の調整を行わないものとして説明したが、空中像20の結像方向の調整を行いつつ、投影画像70を投影してもよい。この例において、手荷物預け機1Dは、実施形態2で説明したアクチュエータ16および駆動制御部107を備えている。なお、アクチュエータ16および駆動制御部107の詳細について、ここでは説明を繰り返さない。
【0145】
空中像20の結像方向の調整範囲に限界がある場合、利用者の身長によっては、結像方向を調整しても利用者の顔の位置に向けて空中像20が結像されない場合が考えられる。これに対し、上記の構成によれば、投影画像70が投影されるので、利用者の顔が観察可能範囲21に入る立ち位置へ移動するよう利用者に促すことができる。
【0146】
また、手荷物預け機1Dは、顔検出部106を含んでいない構成であってもよい。この例の場合、手荷物預け機1Dは、複数の投影画像70を、手荷物預け機1Dの正面に常時投影する構成であってもよい。当該複数の投影画像70の各々は、一例として、利用者の身長に関する、異なる数値範囲を示す画像であり、例えば、「150~159cm」を示す画像、「160~169cm」を示す画像、「170~179cm」を示す画像である。この場合、手荷物預け機1Dの利用者は、自身の身長が含まれる数値範囲を示す投影画像70の投影位置に立てば、空中像20を視認することができる。
【0147】
また、投影画像70は、
図20および
図21に示したような立ち位置の領域そのものを示す像に限定されるものではなく、立ち位置がどのあたりであるかについて利用者が認識できる像であればよい。例えば、投影画像70は、立ち位置の周辺に投影され、立ち位置を指し示す像(例えば、矢印など)であってもよい。
【0148】
〔変形例〕
上述した各実施形態において、空中像20は立体像であってもよい。この構成によれば、空中像20を閲覧する利用者の理解性を高めることができる。例えば、手荷物または手荷物載置場80の奥行方向に関する説明を、立体像を用いて図説したり、立体像で示された手荷物に対して手荷物タグの取り付け位置を図説したりすることができる。
【0149】
上述した各実施形態において、手荷物預け機1、1A~1Dは、手荷物タグを発券する機能を備える構成について説明したが、手荷物タグは、手荷物預け機1、1A~1Dと異なる機器にて事前に発券されてもよい。この場合、手荷物預け機1、1A~1Dは、
図5および
図6を用いて説明した機能を有さなくてよい。
【0150】
上述した各実施形態では、利用者が手荷物預け機1、1A~1Dをする際に利用者は搭乗券を入手済みであるものとして説明したが、これに代えて、手荷物預け機1、1A~1Dにて搭乗券を発券してもよい。この場合、手荷物預け機1、1A~1Dは、他の操作と同様に、搭乗券の発券に係る操作を空中像20に対して行うことにより、発券装置14が搭乗券を発券してもよい。これにより、搭乗券を発券する段階から、ウィルス等の感染リスクを削減することができる。
【0151】
〔ソフトウェアによる実現例〕
手荷物預け機1、1A~1Dの制御ブロック(特に制御部10、10A~10D)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0152】
後者の場合、手荷物預け機1、1A~1Dは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0153】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1、1A~1D 手荷物預け機
2 搬送装置
4 外部ディスプレイ(表示装置)
11 内部ディスプレイ(表示部)
12 操作検出部(物体検出部)
14 発券装置(タグ発券部、引換証発券部)
17 画像投影部
20、20A~20M 空中像
30、30A 結像部
80 手荷物載置場
99 手荷物
101、101B、101C 表示制御部
102、102B、102C 操作特定部
105 処理実行部
106 顔検出部
108 表示モード切替部(モード切替部)
109 投影制御部
141 手荷物タグ(タグ)