(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20240910BHJP
【FI】
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2022558872
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2021030537
(87)【国際公開番号】W WO2022091534
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2020179761
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 大輔
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-059589(JP,A)
【文献】特開2018-041648(JP,A)
【文献】特開2013-065541(JP,A)
【文献】特開2015-220005(JP,A)
【文献】国際公開第2020/162548(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部端子と、
前記複数の内部端子を取り囲む外部端子と、
前記複数の内部端子および前記外部端子を保持するとともに、長辺方向および短辺方向に延在する保持部材とを備えるメス型の電気コネクタであって、
前記複数の内部端子は、前記長辺方向に沿って配列され、
前記外部端子は、前記長辺方向において前記複数の内部端子よりもコーナー寄りに位置し且つ前記短辺方向において互いに対向する第1接触壁部および第2接触壁部を有し、
前記保持部材は、前記第1接触壁部の
周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第1規制面を有する第1規制部と、前記第2接触壁部の
周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第2規制面を有する第2規制部とを有し、
前記第1接触壁部の前記短辺方向における外方には、前記第1規制面に対して前記短辺方向の外方に後退した第1後退面を有する第1後退部が配設され、前記第2接触壁部の前記短辺方向における外方には、前記第2規制面に対して前記短辺方向の外方に後退した第2後退面を有する第2後退部が配設され、
前記第1接触壁部の外側面と前記第1後退面との間には第1隙間が形成されるとともに、前記第2接触壁部の外側面と前記第2後退面との間には第2隙間が形成され、
前記第1接触壁部の一部が前記第1規制面に対して前記短辺方向の内方に位置する位置と前記第1後退部に位置する位置との間で変位可能であるおよび/または前記第2接触壁部の一部が前記第2規制面に対して前記短辺方向の内方に位置する位置と前記第2後退部に位置する位置との間で変位可能であ
り、
前記第1規制部および前記第2規制部が、前記保持部材の母材よりも硬質であることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1規制部が、前記短辺方向から見て、前記長辺方向において、前記第1接触壁部と重なる位置に位置するおよび/または前記第1接触壁部よりも前記コーナーの側に位置するとともに、前記第2規制部が、前記短辺方向から見て、前記長辺方向において、前記第2接触壁部と重なる位置に位置するおよび/または前記第2接触壁部よりも前記コーナーの側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1規制部および前記第2規制部が、前記長辺方向に直交する面を挟んだ反対側にもさらに設けられることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記保持部材において、前記保持部材の母材と、前記第1規制部および前記第2規制部とが、同じ樹脂材料であり且つ一体に形成されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記保持部材の前記母材が、樹脂部材であるとともに、前記第1規制部および前記第2規制部が、前記母材よりも硬質の樹脂部材であることを特徴とする、請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記保持部材の前記母材が、樹脂部材であるとともに、前記第1規制部および前記第2規制部が、金属部材であることを特徴とする、請求項
1に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1規制部および前記第2規制部が、導電性接合材による回路基板への実装を可能にするように構成されることを特徴とする、請求項
6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
複数の内部端子と、
前記複数の内部端子を取り囲む外部端子と、
前記複数の内部端子および前記外部端子を保持するとともに、長辺方向および短辺方向に延在する保持部材とを備えるメス型の電気コネクタであって、
前記複数の内部端子は、前記長辺方向に沿って配列され、
前記外部端子は、前記長辺方向において前記複数の内部端子よりもコーナー寄りに位置し且つ前記短辺方向において互いに対向する第1接触壁部および第2接触壁部を有し、
前記保持部材は、前記第1接触壁部の周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第1規制面を有する第1規制部と、前記第2接触壁部の周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第2規制面を有する第2規制部とを有し、
前記第1接触壁部の前記短辺方向における外方には、前記第1規制面に対して前記短辺方向の外方に後退した第1後退面を有する第1後退部が配設され、前記第2接触壁部の前記短辺方向における外方には、前記第2規制面に対して前記短辺方向の外方に後退した第2後退面を有する第2後退部が配設され、
前記第1接触壁部の外側面と前記第1後退面との間には第1隙間が形成されるとともに、前記第2接触壁部の外側面と前記第2後退面との間には第2隙間が形成され、
前記第1接触壁部の一部が前記第1規制面に対して前記短辺方向の内方に位置する位置と前記第1後退部に位置する位置との間で変位可能であるおよび/または前記第2接触壁部の一部が前記第2規制面に対して前記短辺方向の内方に位置する位置と前記第2後退部に位置する位置との間で変位可能であり、
前記第1接触壁部が、片持ちで支持されるとともに第1接触係止部を有し、前記第2接触壁部が、片持ちで支持されるとともに第2接触係止部を有することを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項9】
前記第1接触係止部および前記第2接触係止部が、前記短辺方向の内方に向けて突出する形状を有することを特徴とする、請求項
8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
非嵌合状態における前記第1後退部の前記第1後退面から前記第1接触係止部までの前記短辺方向の第1突出距離をA1、
非嵌合状態における前記第2後退部の前記第2後退面から前記第2接触係止部までの前記短辺方向の第2突出距離をA2、
嵌合状態における前記第1後退部の前記第1後退面から前記第1接触係止部までの前記短辺方向の第1突出距離をB1、
嵌合状態における前記第2後退部の前記第2後退面から前記第2接触係止部までの前記短辺方向の第2突出距離をB2、
前記第1規制部の第1規制面から前記第1後退面までの前記短辺方向の第1後退距離をL1、および、
前記第2規制部の第2規制面から前記第2後退面までの前記短辺方向の第2後退距離をL2とするとき、
B1-(A2-B2)<L1<B1の関係、および、
B2-(A1-B1)<L2<B2の関係を有することを特徴とする、請求項
9に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記第1接触壁部、前記第1規制部、前記第1後退部および前記第1接触係止部と、前記第2接触壁部、前記第2規制部、前記第2後退部および前記第2接触係止部とが、前記短辺方向に直交する面を挟んで対向して設けられることを特徴とする、請求項
10に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
複数の内部端子と、
前記複数の内部端子を取り囲む外部端子と、
前記複数の内部端子および前記外部端子を保持するとともに、長辺方向および短辺方向に延在する保持部材とを備えるメス型の電気コネクタであって、
前記複数の内部端子は、前記長辺方向に沿って配列され、
前記外部端子は、前記長辺方向において前記複数の内部端子よりもコーナー寄りに位置し且つ前記短辺方向において互いに対向する第1接触壁部および第2接触壁部を有し、
前記保持部材は、前記第1接触壁部の
周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第1規制部と、前記第2接触壁部の
周囲に設けられて前記短辺方向の位置ずれを規制する第2規制部とを有し、
前記第1接触壁部の前記短辺方向における外方には、第1隙間が配設され、前記第2接触壁部の前記短辺方向における外方には、第2隙間が配設され、
前記第1規制部および前記第2規制部が、前記保持部材の母材よりも硬質であることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項13】
前記請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の前記電気コネクタと、前記電気コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合するオス型の電気コネクタとを備えることを特徴とする、電気コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、複数の内部端子と、内部端子を取り囲む外部端子と、内部端子および外部端子を保持する保持部材とを備える、オス型の電気コネクタおよびメス型の電気コネクタを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オス型の電気コネクタおよびメス型の電気コネクタは、電気コネクタを挿抜可能に嵌合するための嵌合用公差を備えている。嵌合状態にある電気コネクタにおいて相対的な変位を生じさせるような力(例えば、回転力)が働くと、嵌合用公差により、嵌合時において電気コネクタの位置ずれが起こり、外部端子や内部端子における接触部の接触不良が生じる場合がある。当該接触部の接触不良は、電位差を生じさせて、不要な共振を生じさせる可能性がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、嵌合状態における位置ずれを規制して、接触部の接触不良を防止する電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る電気コネクタは、
複数の内部端子と、
前記複数の内部端子を取り囲む外部端子と、
前記複数の内部端子および前記外部端子を保持するとともに、長辺方向および短辺方向に延在する保持部材とを備えるメス型の電気コネクタであって、
前記複数の内部端子は、前記長辺方向に沿って配列され、
前記外部端子は、前記長辺方向において前記複数の内部端子よりもコーナー寄りに位置し且つ前記短辺方向において互いに対向する第1接触壁部および第2接触壁部を有し、
前記保持部材は、前記第1接触壁部の近傍に設けられることによって、嵌合状態における位置ずれを規制する第1規制部と、前記第2接触壁部の近傍に設けられることによって、嵌合状態における位置ずれを規制する第2規制部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、長辺方向においてコーナー寄りに位置する第1接触壁部および第2接触壁部の近傍に設けられる第1規制部および第2規制部によって、嵌合状態における位置ずれが規制されるので、接触部の接触不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る電気コネクタセットが非嵌合状態にあることを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した電気コネクタセットが嵌合状態にあることを示す斜視図である。
【
図3】
図2に示した電気コネクタセットの平面図である。
【
図4】
図1に示した電気コネクタセットを構成するオス型の電気コネクタの斜視図である。
【
図5】
図4に示したオス型の電気コネクタの平面図である。
【
図6】
図1に示した電気コネクタセットを構成するメス型の電気コネクタの斜視図である。
【
図7】
図6に示したメス型の電気コネクタの平面図である。
【
図8】
図6に示したメス型の電気コネクタの分解斜視図である。
【
図9】
図6に示したメス型の電気コネクタの要部拡大斜視図である。
【
図10】
図5に示したオス型の電気コネクタのX-X線に沿った断面図である。
【
図11】
図7に示したメス型の電気コネクタのXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】
図3に示した電気コネクタセットのXII-XII線に沿った断面図である。
【
図13】非嵌合状態におけるメス型の電気コネクタを説明する断面図である。
【
図14】嵌合状態におけるメス型の電気コネクタを説明する断面図である。
【
図15】第2実施形態に係るメス型の電気コネクタを説明する断面図である。
【
図16】第3実施形態に係るメス型の電気コネクタを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る電気コネクタ10および該電気コネクタ10を備える電気コネクタセット1についての実施の形態を説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。この明細書においては、電気コネクタ10の長辺方向、短辺方向、挿抜方向のそれぞれを、X軸、Y軸、Z軸で定義している。
【0010】
〔電気コネクタセット〕
図1は、第1実施形態に係る電気コネクタセット1が非嵌合状態にあることを示す斜視図である。
図2は、
図1に示した電気コネクタセット1が嵌合状態にあることを示す斜視図である。
図3は、
図2に示した電気コネクタセット1の平面図である。
【0011】
図1から
図3に示すように、電気コネクタセット1は、メス型の電気コネクタ10と、メス型の電気コネクタ10に対して挿抜方向(Z軸方向)に挿抜可能に嵌合するオス型の電気コネクタ20とを備える。電気コネクタセット1は、オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に対向させた状態でオス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に向けて挿抜方向(Z軸方向)に移動させることによって、メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が互いに嵌合するように構成されている。なお、この開示では、メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20は、オス型の電気コネクタ20の全体サイズが、メス型の電気コネクタ10の全体サイズよりも小さくて、オス型の電気コネクタ20がメス型の電気コネクタ10の中に収容されて嵌まり込む構成を意味している。
【0012】
〔オス型の電気コネクタ〕
図4および
図5を参照しながら、オス型の電気コネクタ20の構成を説明する。
図4は、
図1に示した電気コネクタセット1を構成するオス型の電気コネクタ20の斜視図である。
図5は、
図4に示したオス型の電気コネクタ20の平面図である。
【0013】
オス型の電気コネクタ20は、第2保持部材21と、第2内部端子22と、第2シールド端子25と、第2外部端子26とを有する。第2保持部材21としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。第2保持部材21は、2つの第2端子保持部23,23と、2つの第2側方支持部24,24とを有する。2つの第2端子保持部23,23は、オス型の電気コネクタ20の長辺方向(X軸方向)に延在するとともに、短辺方向(Y軸方向)に離間している。2つの第2側方支持部24,24は、オス型の電気コネクタ20の長辺方向(X軸方向)の両端部において離間して配設される。
【0014】
第2端子保持部23は、複数の凹状の第2内部端子用装着部を有する。第2内部端子22を第2内部端子用装着部に装着することによって、複数の第2内部端子22が保持される。複数の第2内部端子22は、オス型の電気コネクタ20の長辺方向(X軸方向)に沿って配設される。第2内部端子22は、後述する第1内部端子12に対して一対一で対応する。第2内部端子22は、対応する第1内部端子12に係合して電気的接続を形成する。
【0015】
第2内部端子22は、例えば、信号電位または接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2内部端子22としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2内部端子22の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第2内部端子22は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第2内部実装部22aを有する。第2内部実装部22aは、短辺方向(Y軸方向)の側端であり且つ挿抜方向(Z軸方向)の下端に形成される。
【0016】
長辺方向(X軸方向)において隣り合う2つの第2内部端子22,22の間での電磁波の干渉を抑制する(すなわち、第2内部端子22の列間でアイソレーションする)ため、長辺方向(X軸方向)において隣り合う2つの第2内部端子22,22の間には、導電性の第2シールド端子25が設けられる。第2シールド端子25は、例えば、凹状の第2シールド端子用装着部に装着して保持される。第2シールド端子25は、短辺方向(Y軸方向)に沿って延在する。
【0017】
第2シールド端子25は、例えば、接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2シールド端子25としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2シールド端子25の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第2シールド端子25は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第2シールド実装部25aを有する。第2シールド実装部25aは、短辺方向(Y軸方向)の側端であり且つ挿抜方向(Z軸方向)の下端に形成される。
【0018】
第2外部端子26が、第2側方支持部24に装着して支持される。第2外部端子26は、図示しない回路基板の接地電極に実装するための第2外部実装部26aを有する。第2外部実装部26aは、挿抜方向(Z軸方向)の下端に形成される。
【0019】
第2外部端子26は、接地電位に接続される導体である。第2外部端子26は、接地電位に接続されることで、外部からの電磁波や第2内部端子22からの不要輻射をシールドして、第2外部端子26で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。つまり、第2外部端子26は、第2内部端子22を電磁的にシールドするための部材である。第2外部端子26としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2外部端子26は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0020】
〔メス型の電気コネクタ〕
図6から
図9を参照しながら、メス型の電気コネクタ10の構成を説明する。
図6は、
図1に示した電気コネクタセット1を構成するメス型の電気コネクタ10の斜視図である。
図7は、
図6に示したメス型の電気コネクタ10の平面図である。
図8は、
図6に示したメス型の電気コネクタ10の分解斜視図である。
図9は、
図6に示したメス型の電気コネクタ10の要部拡大斜視図である。
【0021】
メス型の電気コネクタ10は、第1保持部材(保持部材)11と、第1内部端子(内部端子)12と、第1シールド端子(シールド端子)15と、第1外部端子(外部端子)16とを有する。第1保持部材11としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。第1保持部材11は、メス型の電気コネクタ10の長辺方向および短辺方向に延在する矩形状を有する。第1保持部材11は、2つの第1端子側方保持部(端子保持部)13,13と、2つの第1側方支持部14,14とを有する。2つの第1端子側方保持部13,13は、長辺方向(X軸方向)に延在するとともに、短辺方向(Y軸方向)に離間している。2つの第1側方支持部14,14は、メス型の電気コネクタ10の長辺方向(X軸方向)の両端部において離間して配設される。
【0022】
第1端子中央保持部13aと第1端子側方保持部13の第1延在部13dとは、複数の凹状の第1内部端子用装着部を有する。第1内部端子用装着部に第1内部端子12を装着することによって、複数の第1内部端子12が保持される。複数の第1内部端子12は、メス型の電気コネクタ10の長辺方向(X軸方向)に沿って配設される。第1内部端子12は、前述した第2内部端子22に対して一対一で対応する。第1内部端子12は、対応する第2内部端子22に係合して電気的接続を形成する。
【0023】
図6から
図8に示した第1内部端子12では、長辺方向に沿って1列に配列された複数個(例えば4個)の第1内部端子12が、短辺方向(Y軸方向)の第1の列および第2の列として、短辺方向(Y軸方向)に離間して配置されている。当該構成によれば、限られた大きさを有する第1端子側方保持部13の領域において、多くの第1内部端子12を配置できる。なお、複数の第1内部端子12の配列は、第1の列および第2の列のように2列に限られず、1列や3列以上にすることができる。また、第1内部端子12の1列当たりの個数は、4個に限られず、3個以下や5個以上にすることができる。
【0024】
第1内部端子12は、例えば、信号電位又は接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1内部端子12としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1内部端子12の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第1内部端子12は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第1内部実装部12aを有する。第1内部実装部12aは、短辺方向の側端に形成されている。
【0025】
長辺方向(X軸方向)において隣り合う2つの第1内部端子12,12の間での電磁波の干渉を抑制する(すなわち、第1内部端子12の列間でアイソレーションする)ため、長辺方向(X軸方向)において隣り合う2つの第1内部端子12,12の間には、導電性の第1シールド端子(シールド端子)15が設けられている。第1シールド端子15は、例えば、凹状の第1シールド端子用装着部に装着して保持される。第1シールド端子15は、短辺方向(Y軸方向)に沿って延在する。なお、第1内部端子12として、複数の凹型接続端子が配列されているが、複数の凸型接続端子が配列されていてもよい。この場合、第1内部端子12と係合する第2内部端子22には、複数の凸型接続端子に代えて、複数の凹型接続端子が配列される。
【0026】
第1シールド端子15は、例えば、接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1シールド端子15としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1シールド端子15の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第1シールド端子15は、図示しない回路基板のランド電極に実装するための第1シールド実装部(図示しない)を有する。第1シールド実装部は、短辺方向(Y軸方向)の側端であり且つ挿抜方向(Z軸方向)の下端に形成される。
【0027】
第1外部端子16は、挿抜方向(Z軸方向)から見て、複数の第1内部端子12を取り囲むように周状に閉じた、矩形の枠形状を有する。すなわち、矩形の枠形状を有する第1外部端子16において、長辺は長辺方向(X軸方向)に延在するとともに、短辺は短辺方向(Y軸方向)に延在する。ここで、周状とは、必ずしも多角の周状に限定されるものではなく、たとえば円周状、楕円周状、多角の周状と円周状を組み合わせた形状などであってもよい。
【0028】
第1外部端子16は、接地電位に接続される導体である。第1外部端子16は、接地電位に接続されることで、外部からの電磁波や第1内部端子12からの不要輻射をシールドして、第1外部端子16で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。つまり、第1外部端子16は、第1内部端子12を取り囲むことによって第1内部端子12を電磁的にシールドするための部材である。第1外部端子16としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1外部端子16は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0029】
第1保持部材11の第1側方支持部14には、対応する第1外部端子16の第1外部側方部16bが装着されて支持される。第1外部側方部16bは、図示しない回路基板の接地電極に実装するための第1外部実装部16aを複数個有する。第1外部実装部16aは、挿抜方向(Z軸方向)の下端に形成される。
【0030】
第1外部端子16は、2つの第1外部側方部(外部側方部)16b,16bと、2つの第1外部延在部(外部延在部)16c,16cと、2つのガイド部17,17と、2つの装着開口部18,18と、2つの第1接触壁部19a,19aと、2つの第2接触壁部19c,19cとを有する。第1外部側方部16bは、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)の側部および他側(例えば
図7の左側)の側部にそれぞれ設けられる。
【0031】
第1外部端子16において長辺および短辺が交わるところには、それぞれ、コーナー19g,19h,19i,19jが形成される。すなわち、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置するコーナーには、第1右コーナー19gが形成される。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置するコーナーには、第2右コーナー19hが形成される。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置するコーナーには、第1左コーナー19iが形成される。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置するコーナーには、第2左コーナー19jが形成される。
【0032】
長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第1外部側方部16bは、ガイド部17と装着開口部18と第1接触壁部19aと第2接触壁部19cと第1側方外面部16gとを含む。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第1接触壁部19aは、長辺方向(X軸方向)において複数の第1内部端子12の一側端(例えば
図7の右側端)よりも第1右コーナー19gに寄って位置するとともに、短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)の内側に設けられる。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第2接触壁部19cは、長辺方向(X軸方向)において複数の第1内部端子12の一側端(例えば
図7の右側端)よりも第2右コーナー19hに寄って位置するとともに、短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)の内側に設けられる。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、短辺方向(Y軸方向)において互いに対向するように配設される。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cと、複数の第1内部端子12とは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)における重なりを有していない。言い換えると、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第1接触壁部19aの他側端(例えば
図7の左側端)は、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12の一側端(例えば
図7の右側端)よりも第1右コーナー19gに寄って位置する。そして、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に設けられる第2接触壁部19cの他側端(例えば
図7の左側端)は、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12の一側端(例えば
図7の右側端)よりも第2右コーナー19hに寄って位置する。
【0033】
長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第1外部側方部16bは、ガイド部17と装着開口部18と第1接触壁部19aと第2接触壁部19cと第1側方外面部16gとを含む。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第1接触壁部19aは、長辺方向(X軸方向)において複数の第1内部端子12の他側端(例えば
図7の左側端)よりも第1左コーナー19iに寄って位置するとともに、短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)の内側に設けられる。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第2接触壁部19cは、長辺方向(X軸方向)において複数の第1内部端子12の他側端(例えば
図7の左側端)よりも第2左コーナー19jに寄って位置するとともに、短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)の内側に設けられる。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、短辺方向(Y軸方向)において互いに対向するように配設される。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cと、複数の第1内部端子12とは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)における重なりを有していない。言い換えると、長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第1接触壁部19aの一側端(例えば
図7の右側端)は、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12の他側端(例えば
図7の左側端)よりも第1左コーナー19iに寄って位置する。そして、長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に設けられる第2接触壁部19cの一側端(例えば
図7の右側端)は、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12の他側端(例えば
図7の左側端)よりも第2左コーナー19jに寄って位置する。
【0034】
一対の第1規制部43aおよび第2規制部43bが、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)および他側(例えば
図7の左側)のそれぞれに設けられる。言い換えると、一対の第1規制部43aおよび第2規制部43bが、長辺方向(X軸方向)に直交する面を挟んだ反対側にもさらに設けられる。これにより、嵌合状態におけるオス型の電気コネクタ20の位置ずれをより効果的に規制して接触部の接触不良を防止できる。また、一対の第1規制部43aおよび第2規制部43bが、長辺方向(X軸方向)に直交する面を挟んで対称的に設けられる。これにより、メス型の電気コネクタ10の構造が簡単になり、低コスト化できる。第1規制部43aおよび第2規制部43bは、第1保持部材11の母材11aと同じ樹脂材料であり且つ一体に形成される。これにより、第1保持部材11を低コストで作ることができる。
【0035】
第1接触壁部19aの内側面には、短辺方向(Y軸方向)の内方に向けて突出する形状を有する第1接触係止部19bが形成されている。第2接触壁部19cの内側面には、短辺方向(Y軸方向)の内方に向けて突出する形状を有する第2接触係止部19dが形成されている。メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が嵌合状態にあるとき、第1外部端子16における凸形状の第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dが、第2外部端子26における凹形状の第2被係止部29aに係止する。当該構成によれば、第1内部端子12や第1シールド端子15などに影響を及ぼすことなく確実な嵌合が得られる。なお、第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dは、それぞれ、第1外部端子16および第2外部端子26を電気的に接続する接触部として働く。
【0036】
第1外部側方部16bは、挿抜方向(Z軸方向)から見て略U字状を有する。ガイド部17は、挿抜方向(Z軸方向)から見て略U字状を有して、外側から内側に向けて下向きに傾斜した形状を有する。ガイド部17は、オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に対して挿抜方向に挿入するときに、第2外部端子26を装着開口部18に正確に導くためのガイドとして利用される。装着開口部18は、ガイド部17の内側に形成された開口であり、挿抜方向(Z軸方向)から見て略矩形形状を有する。第1外部側方部16bは、その短辺方向(Y軸方向)の外面において、第1側方外面部16gを有する。第1側方外面部16gは、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する。
【0037】
2つの第1外部延在部16c,16cは、長辺方向(X軸方向)における一側の側部の第1外部側方部16bおよび他側の第1外部側方部16bをつなぐように長辺方向(X軸方向)に延びている。第1外部延在部16cは、例えば、長辺方向(X軸方向)に直線状に延在する。当該構成によれば、第1外部延在部16cは、複雑な加工を必要としない。2つの第1外部延在部16c,16cは、短辺方向(Y軸方向)に離間して配設される。第1外部延在部16cの下部には、図示しない回路基板の接地電極に実装するための第1外部実装部16aが複数個形成される。
【0038】
図8に示すように、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、第1外部側方部16bからガイド部17を介して大略挿抜方向(Z軸方向)に延びており、第1外部側方部16bに対して片持ちで支持される。これにより、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、短辺方向(Y軸方向)において弾性的に変位できる。
【0039】
詳細には、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、挿抜方向(Z軸方向)の上側から下側にかけて、短辺方向(Y軸方向)の内向きに斜めに突出した形状を有する。相手方であるオス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に挿入するとき、内向きに傾斜して突出する第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、短辺方向(Y軸方向)の外側に向けて弾性的に変位して、第2外部端子26に弾性的に当接する。オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に挿入するとき、第1外部端子16の第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dが、第2外部端子26の第2被係止部29aに係止する。これにより、オス型の電気コネクタ20がメス型の電気コネクタ10に対して嵌合する。
【0040】
図6から
図9に示すように、第1保持部材11は、第1接触壁部19aの近傍に設けられることによって嵌合状態における位置ずれを規制する第1規制部43aと、第2接触壁部19cの近傍に設けられることによって嵌合状態における位置ずれを規制する第2規制部43bとを有する。
【0041】
長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置する第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第1規制面44aを有する。第1規制部43aの第1規制面44aは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第1接触壁部19aと重なる位置に位置するおよび/または第1接触壁部19aよりも第1右コーナー19gの側に位置する。
【0042】
図9に示すように、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置する第1規制部43aは、第1接触壁部19aと重なる位置に位置する重なりの第1規制部48と、第1接触壁部19aよりも第1右コーナー19gの側に位置する外側の第1規制部46とを有する。また、第1規制面44aは、第1接触壁部19aと重なる位置に位置する重なりの第1規制面49と、第1接触壁部19aよりも第1右コーナー19gの側に位置する外側の第1規制面47とを有する。外側の第1規制部46が、重なりの第1規制部48よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。同様に、外側の第1規制面47が、重なりの第1規制面49よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第1規制面44aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。
【0043】
長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置する第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第1規制面44aを有する。第1規制部43aの第1規制面44aは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第1接触壁部19aと重なる位置に位置するおよび/または第1接触壁部19aよりも第1左コーナー19iの側に位置する。
【0044】
図8に示すように、長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第1の側(例えば
図7の上側)に位置する第1規制部43aは、第1接触壁部19aと重なる位置に位置する重なりの第1規制部48と、第1接触壁部19aよりも第1左コーナー19iの側に位置する外側の第1規制部46とを有する。また、第1規制面44aは、第1接触壁部19aと重なる位置に位置する重なりの第1規制面49と、第1接触壁部19aよりも第1左コーナー19iの側に位置する外側の第1規制面47とを有する。外側の第1規制部46が、重なりの第1規制部48よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。同様に、外側の第1規制面47が、重なりの第1規制面49よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第1規制面44aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。
【0045】
長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第2規制面44bを有する。第2規制部43bの第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第2接触壁部19cと重なる位置に位置するおよび/または第2接触壁部19cよりも第2右コーナー19hの側に位置する。
【0046】
長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第2規制面44bを有する。第2規制部43bの第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第2接触壁部19cと重なる位置に位置するおよび/または第2接触壁部19cよりも第2右コーナー19hの側に位置する。
【0047】
長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、第2接触壁部19cと重なる位置に位置する重なりの第2規制部と、第2接触壁部19cよりも第2右コーナー19hの側の位置に位置する外側の第2規制部とを有する。また、第2規制面44bは、第2接触壁部19cと重なる位置に位置する重なりの第2規制面と、第2接触壁部19cよりも第2右コーナー19hの側の位置に位置する外側の第2規制面とを有する。外側の第2規制部が、重なりの第2規制部よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。同様に、外側の第1規制面が、重なりの第2規制面よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。
【0048】
長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第2規制面44bを有する。第2規制部43bの第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第2接触壁部19cと重なる位置に位置するおよび/または第2接触壁部19cよりも第2左コーナー19jの側に位置する。
【0049】
長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)の内側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第2規制面44bを有する。第2規制部43bの第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、第2接触壁部19cと重なる位置に位置するおよび/または第2接触壁部19cよりも第2左コーナー19jの側に位置する。
【0050】
長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置し且つ短辺方向(Y軸方向)における第2の側(例えば
図7の下側)に位置する第2規制部43bは、第2接触壁部19cと重なる位置に位置する重なりの第2規制部と、第2接触壁部19cよりも第2左コーナー19jの側の位置に位置する外側の第2規制部とを有する。また、第2規制面44bは、第2接触壁部19cと重なる位置に位置する重なりの第2規制面と、第2接触壁部19cよりも第2左コーナー19jの側の位置に位置する外側の第2規制面とを有する。外側の第2規制部が、重なりの第2規制部よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。同様に、外側の第1規制面が、重なりの第2規制面よりも挿抜方向(Z軸方向)の上方に長く延在するので、第2規制面44bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有する。
【0051】
第1保持部材11は、第1規制部43aに対して短辺方向(Y軸方向)の外方に後退した(切り欠かれた)第1後退部41aを有する。言い換えると、第1後退部41aは、第1規制面44aから第1外部側方部16bの第1側方外面部16gに向けて後退した凹部である。第1後退部41aによって、第1接触壁部19aが短辺方向(Y軸方向)の外側に向けて弾性的に変位できる。第1後退部41aは、短辺方向(Y軸方向)の外側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第1後退面42aを有する。
【0052】
第1保持部材11は、第2規制部43bに対して短辺方向(Y軸方向)の外方に後退した(切り欠かれた)第2後退部41bを有する。言い換えると、第2後退部41bは、第2規制面44bから第1外部側方部16bの第1側方外面部16gに向けて後退した凹部である。第2後退部41bによって、第2接触壁部19cが短辺方向(Y軸方向)の外側に向けて弾性的に変位できる。第2後退部41bは、短辺方向(Y軸方向)の外側において、長辺方向(X軸方向)および挿抜方向(Z軸方向)に延在する第2後退面42bを有する。
【0053】
〔電気コネクタセットにおける非嵌合状態および嵌合状態〕
図10から
図12を参照しながら、電気コネクタセット1における非嵌合状態および嵌合状態について説明する。
図10は、
図5に示したオス型の電気コネクタ20のX-X線に沿った断面図である。
図11は、
図7に示したメス型の電気コネクタ10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12は、
図3に示した電気コネクタセット1のXII-XII線に沿った断面図である。
【0054】
図10に示すように、オス型の電気コネクタ20の第2外部端子26の側部は、挿抜方向(Z軸方向)に延在する。これに対して、
図11に示すように、非嵌合状態にあるとき、メス型の電気コネクタ10の第1外部端子16における第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cは、挿抜方向(Z軸方向)の上側から下側にかけて、短辺方向(Y軸方向)の内向きに傾斜して突出する形状を有する。また、第1保持部材11には、短辺方向(Y軸方向)の外方に後退した(切り欠かれた)第1後退部41aおよび第2後退部41bが形成されている。言い換えると、第1規制面44aが、第1後退面42aに対して短辺方向(Y軸方向)の内側に突出するとともに、第2規制面44bが、第2後退面42bに対して短辺方向(Y軸方向)の内側に突出する。これにより、オス型の電気コネクタ20がメス型の電気コネクタ10に挿入されると、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cが短辺方向(Y軸方向)の外側に向けて弾性的に変位できる。
【0055】
そして、
図12に示すように、第1外部端子16における凸形状の第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dが、第2外部端子26における凹形状の第2被係止部29aに係合して、オス型の電気コネクタ20がメス型の電気コネクタ10に対して嵌合する。これによって、電気コネクタセット1が嵌合状態になる。なお、電気コネクタセット1の嵌合では、第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dが凹形状を有するとともに、第2被係止部29aが凸形状を有する態様にすることもできる。
【0056】
〔第1規制部および第2規制部における各突出距離〕
図13および
図14を参照しながら、第1規制部43aおよび第2規制部43bにおける各突出距離を説明する。
図13は、非嵌合状態におけるメス型の電気コネクタ10を説明する断面図である。
図14は、嵌合状態におけるメス型の電気コネクタ10を説明する断面図である。
【0057】
図13および
図14において、A1、A2、B1、B2、C1、C2、L1およびL2は、以下のことを意味している。
【0058】
A1は、非嵌合状態での第1突出距離であり、非嵌合状態における、第1後退面42aから第1接触壁部19aの第1接触係止部19bの先端部までの短辺方向(Y軸方向)の距離である。A2は、非嵌合状態での第2突出距離であり、非嵌合状態における、第2後退面42bから第2接触壁部19cの第2接触係止部19dの先端部までの短辺方向(Y軸方向)の距離である。
【0059】
B1は、嵌合状態での第1突出距離であり、嵌合状態における、第1後退面42aから第1接触壁部19aの第1接触係止部19bの先端部までの短辺方向(Y軸方向)の距離である。B2は、嵌合状態での第2突出距離であり、嵌合状態における、第2後退面42bから第2接触壁部19cの第2接触係止部19dの先端部までの短辺方向(Y軸方向)の距離である。
【0060】
C1は、第1変位距離であり、嵌合の前後において第1接触係止部19bの先端部が変位する短辺方向(Y軸方向)の距離である。C2は、第2変位距離であり、嵌合の前後において第2接触係止部19dの先端部が変位する短辺方向(Y軸方向)の距離である。
【0061】
L1は、第1突出距離であり、第1後退面42aから第1規制面44aまでの距離であり、すなわち第1規制部43aの短辺方向(Y軸方向)の突出距離である。L2は、第2突出距離であり、第2後退面42bから第2規制面44bまでの距離であり、すなわち第2規制部43bの短辺方向(Y軸方向)の突出距離である。
【0062】
なお、第1変位距離C1は、非嵌合状態での第1突出距離A1-嵌合状態での第1突出距離B1である。第2変位距離C2は、非嵌合状態での第2突出距離A2-嵌合状態での第2突出距離B2である。
【0063】
メス型の電気コネクタ10の第1の側では、第1後退距離L1は、第1規制部43aの第1規制面44aが嵌合の妨げにならないように、嵌合状態での第1突出距離B1よりも小さいことが必要である。
したがって、第1後退距離L1<嵌合状態での第1突出距離B1・・・(1)となる。
【0064】
また、第1後退距離L1が小さすぎると、メス型の電気コネクタ10が第1の側に片寄って位置することにより、第2の側における第2接触壁部19cの第2接触係止部19dが接触不良になる。このような第1の側への片寄りによる接触不良が生じないように、第1後退距離L1と第2変位距離C2とを足し合わせたものは、嵌合状態での第1突出距離B1よりも大きいことが必要である。
したがって、第1後退距離L1+第2変位距離C2>嵌合状態での第1突出距離B1となり、この不等式を変形すると、
嵌合状態での第1突出距離B1-第2変位距離C2<第1後退距離L1・・・(2)となる。
【0065】
(1)の不等式および(2)の不等式を組み合わせると、
B1-C2<L1<B1となり、C2=A2-B2であるから、
B1-(A2-B2)<L1<B1・・・(3)となる。
【0066】
同様に、メス型の電気コネクタ10の第2の側では、第2後退距離L2は、第2規制部43bの第2規制面44bが嵌合の妨げにならないように、嵌合状態での第2突出距離B2よりも小さいことが必要である。
したがって、第2後退距離L2<嵌合状態での第2突出距離B2・・・(4)となる。
【0067】
また、第2後退距離L2が小さすぎると、メス型の電気コネクタ10が第2の側に片寄って位置することにより、第1の側における第1接触壁部19aの第1接触係止部19bが接触不良になる。このような第2の側への片寄りによる接触不良が生じないように、第2後退距離L2と第1変位距離C1とを足し合わせたものは、嵌合状態での第2突出距離B2よりも大きいことが必要である。
したがって、第2後退距離L2+第1変位距離C1>嵌合状態での第2突出距離B2となり、この不等式を変形すると、
嵌合状態での第2突出距離B2-第1変位距離C1<第2後退距離L2・・・(5)となる。
【0068】
(4)の不等式および(5)の不等式を組み合わせると、
B2-C1<L2<B2となり、C1=A1-B1であるから、
B2-(A1-B1)<L2<B2・・・(6)となる。
【0069】
第1後退距離L1が不等式(3)の関係を満たし且つ第2後退距離L2が不等式(6)の関係を満たすことにより、嵌合状態におけるメス型の電気コネクタ10とオス型の電気コネクタ20との間での位置ずれが規制されるとともに、接触部としての第1接触係止部19bおよび第2接触係止部19dの接触不良を防止できる。
【0070】
また、第1接触壁部19a、第1規制部43a、第1後退部41aおよび第1接触係止部19bと、第2接触壁部19c、第2規制部43b、第2後退部41bおよび第2接触係止部19dとが、短辺方向(Y軸方向)に直交する面を挟んで対向して設けられる。これにより、メス型の電気コネクタ10の構造が簡単になり、低コスト化できる。また、第1接触壁部19a、第1規制部43a、第1後退部41aおよび第1接触係止部19bと、第2接触壁部19c、第2規制部43b、第2後退部41bおよび第2接触係止部19dとが、短辺方向(Y軸方向)に直交する面を挟んで対称的に設けられる。これにより、メス型の電気コネクタ10の構造がさらに簡単になり、より低コスト化できる。
【0071】
〔第2実施形態〕
図15を参照しながら、第2実施形態を説明する。
図15は、第2実施形態に係るメス型の電気コネクタ10を説明する断面図である。
【0072】
第2実施形態に係るメス型の電気コネクタ10では、第1保持部材11の母材11aが、樹脂部材であるとともに、第1規制部43aおよび第2規制部43bが、金属部材11bであることを特徴としている。
【0073】
第1保持部材11の母材11aが、樹脂部材であるとともに、第1規制部43aおよび第2規制部43bが、金属部材11bであるので、第1規制部43aおよび第2規制部43bは、母材11aよりも硬質である。これにより、嵌合するときの摺接による耐摩耗性が向上する。
【0074】
金属部材11bからなる第1規制部43aおよび第2規制部43bが、例えばハンダや導電性接着剤のような導電性接合材による実装を可能にするように構成されている。これにより、メス型の電気コネクタ10が実装される回路基板に対して強固に結合されて、嵌合状態における位置ずれの発生が抑制される。
【0075】
〔第3実施形態〕
図16を参照しながら、第3実施形態を説明する。
図16は、第3実施形態に係るメス型の電気コネクタ10を説明する断面図である。
【0076】
第3実施形態に係るメス型の電気コネクタ10では、第1保持部材11の母材11aが、樹脂部材であるとともに、第1規制部43aおよび第2規制部43bが、母材11aよりも硬質であるとともに電気絶縁性を有する硬質部材11cであることを特徴としている。母材11aよりも硬質であるとともに電気絶縁性を有する硬質部材11cは、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)などの樹脂材料であり、例えばアルミナなどのセラミック材料である。これにより、嵌合するときの摺接による耐摩耗性が向上する。
【0077】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0078】
上記実施形態では、第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12よりも第1右コーナー19gまたは第1左コーナー19iに寄って位置する第1接触壁部19aと重なる位置に位置する重なりの第1規制部48および/または第1接触壁部19aよりも第1右コーナー19gまたは第1左コーナー19iの側に位置する外側の第1規制部46を有する。言い換えると、第1規制部43aは、重なりの第1規制部48および外側の第1規制部46の少なくとも一方を有する。それとともに、第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)から見て、長辺方向(X軸方向)において、複数の第1内部端子12よりも第2右コーナー19hまたは第2左コーナー19jに寄って位置する第2接触壁部19cと重なる位置に位置する重なりの第2規制部および/または第2接触壁部19cよりも第2右コーナー19hまたは第2左コーナー19jの側に位置する外側の第2規制部を有する。言い換えると、第1規制部43aは、重なりの第2規制部および外側の第2規制部の少なくとも一方を有する。これにより、嵌合状態におけるオス型の電気コネクタ20の位置ずれをより効果的に規制して接触部の接触不良を防止できる。さらに、メス型の電気コネクタ10の長辺方向(X軸方向)の長さを短くできる。
【0079】
上記実施形態では、長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置する第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有するが、重なりの第1規制部48の高さで長辺方向(X軸方向)に、第1右コーナー19gの側まで直線状に延在する態様にすることもできる。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置する第1規制部43aは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有するが、重なりの第1規制部48の高さで長辺方向(X軸方向)に、第1左コーナー19iの側まで直線状に延在する態様にすることもできる。長辺方向(X軸方向)における一側(例えば
図7の右側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有するが、重なりの第2規制部の高さで長辺方向(X軸方向)に、第2右コーナー19hの側まで直線状に延在する態様にすることもできる。長辺方向(X軸方向)における他側(例えば
図7の左側)に位置する第2規制部43bは、短辺方向(Y軸方向)から見てL字形状を有するが、重なりの第2規制部の高さで長辺方向(X軸方向)に、第2左コーナー19jの側まで直線状に延在する態様にすることもできる。
【0080】
第1接触壁部19aの近傍として、複数の第1内部端子12の長辺方向(X軸方向)の外側部分と、第1接触壁部19aとの間に第1規制部43aを設けることもできる。また、第2接触壁部19cの近傍として、複数の第1内部端子12の長辺方向(X軸方向)の外側部分と、第2接触壁部19cとの間に第2規制部43bを設けることもできる。これにより、メス型の電気コネクタ10の長辺方向(X軸方向)の長さが若干長くなるものの、嵌合状態におけるオス型の電気コネクタ20の位置ずれを規制して接触部の接触不良を防止できる。
【0081】
また、上述した第1規制部43aおよび第2規制部43bによって、複数の第1内部端子12や第1シールド端子15における接触部の接触不良も防止できる。
【0082】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0083】
この発明の一態様に係る電気コネクタ10は、
複数の内部端子12と、
前記複数の内部端子12を取り囲む外部端子16と、
前記複数の内部端子12および前記外部端子16を保持するとともに、長辺方向(X軸方向)および短辺方向(Y軸方向)に延在する保持部材11とを備えるメス型の電気コネクタ10であって、
前記複数の内部端子12は、前記長辺方向(X軸方向)に沿って配列され、
前記外部端子16は、前記長辺方向(X軸方向)において前記複数の内部端子12よりもコーナー19g,19i;19h,19j寄りに位置し且つ前記短辺方向(Y軸方向)において互いに対向する第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cを有し、
前記保持部材11は、前記第1接触壁部19aの近傍に設けられることによって、嵌合状態における位置ずれを規制する第1規制部43aと、前記第2接触壁部19cの近傍に設けられることによって、嵌合状態における位置ずれを規制する第2規制部43bとを有することを特徴とする。
【0084】
上記構成によれば、長辺方向(X軸方向)においてコーナー19g,19i;19h,19j寄りに位置する第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cの近傍に設けられる第1規制部43aおよび第2規制部43bによって、嵌合状態における位置ずれが規制されるので、接触部の接触不良を防止できる。
【0085】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1規制部43aが、前記短辺方向(Y軸方向)から見て、前記長辺方向(X軸方向)において、前記第1接触壁部19aと重なる位置に位置するおよび/または前記第1接触壁部19aよりも前記コーナー19g,19iの側に位置するとともに、前記第2規制部43bが、前記短辺方向(Y軸方向)から見て、前記長辺方向(X軸方向)において、前記第2接触壁部19cと重なる位置に位置するおよび/または前記第2接触壁部19cよりも前記コーナー19h,19jの側に位置する。
【0086】
上記実施形態によれば、嵌合状態における位置ずれをより効果的に規制して接触部の接触不良を防止できる。さらに、メス型の電気コネクタ10の長辺方向(X軸方向)の長さを短くできる。
【0087】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bが、前記長辺方向(X軸方向)に直交する面を挟んだ反対側にもさらに設けられる。
【0088】
上記実施形態によれば、嵌合状態における位置ずれをより効果的に規制して接触部の接触不良を防止できる。
【0089】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記保持部材11が、前記第1規制部43aに対して前記短辺方向(Y軸方向)の外方に後退した第1後退部41aと、前記第2規制部43bに対して前記短辺方向(Y軸方向)の外方に後退した第2後退部41bとを有する。
【0090】
上記実施形態によれば、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cが短辺方向(Y軸方向)の外側に向けて弾性的に変位できる。
【0091】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記保持部材11において、前記保持部材11の母材と、前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bとが、同じ樹脂材料であり且つ一体に形成される。
【0092】
上記実施形態によれば、保持部材11を低コストで作ることができる。
【0093】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bが、前記保持部材11の母材11aよりも硬質である。
【0094】
上記実施形態によれば、嵌合するときの摺接による耐摩耗性が向上する。
【0095】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記保持部材11の前記母材11aが、樹脂部材であるとともに、前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bが、前記母材11aよりも硬質の樹脂部材である。
【0096】
上記実施形態によれば、嵌合するときの摺接による耐摩耗性が向上する。
【0097】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記保持部材11の前記母材11aが、樹脂部材であるとともに、前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bが、金属部材である。
【0098】
上記実施形態によれば、嵌合するときの摺接による耐摩耗性が向上する。
【0099】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1規制部43aおよび前記第2規制部43bが、導電性接合材による回路基板への実装を可能にするように構成される。
【0100】
上記実施形態によれば、電気コネクタ10が実装される回路基板に対して強固に結合されて、嵌合状態における位置ずれの発生が抑制される。
【0101】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1接触壁部19aが、片持ちで支持されるとともに第1接触係止部19bを有し、前記第2接触壁部19cが、片持ちで支持されるとともに第2接触係止部19dを有する。
【0102】
上記実施形態によれば、第1接触壁部19aおよび第2接触壁部19cが、短辺方向(Y軸方向)において弾性的に変位できるとともに、確実な嵌合が得られる。
【0103】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1接触係止部19bおよび前記第2接触係止部19dが、前記短辺方向(Y軸方向)の内方に向けて突出する形状を有する。
【0104】
上記実施形態によれば、確実な嵌合が得られる。
【0105】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
非嵌合状態における前記第1後退部41aの第1後退面42aから前記第1接触係止部19bまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第1突出距離をA1、
非嵌合状態における前記第2後退部41bの第2後退面42bから前記第2接触係止部19dまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第2突出距離をA2、
嵌合状態における前記第1後退部41aの前記第1後退面42aから前記第1接触係止部19bまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第1突出距離をB1、
嵌合状態における前記第2後退部41bの前記第2後退面42bから前記第2接触係止部19dまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第2突出距離をB2、
前記第1規制部43aの第1規制面44aから前記第1後退面42aまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第1後退距離をL1、および、
前記第2規制部43bの第2規制面44bから前記第2後退面42bまでの前記短辺方向(Y軸方向)の第2後退距離をL2とするとき、
B1-(A2-B2)<L1<B1の関係、および、
B2-(A1-B1)<L2<B2の関係を有する。
【0106】
上記実施形態によれば、嵌合状態における位置ずれが規制されるとともに、接触部の接触不良を防止できる。
【0107】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記第1接触壁部19a、前記第1規制部43a、前記第1後退部41aおよび前記第1接触係止部19bと、前記第2接触壁部19c、前記第2規制部43b、前記第2後退部41bおよび前記第2接触係止部19dとが、前記短辺方向(Y軸方向)に直交する面を挟んで対向して設けられる。
【0108】
上記実施形態によれば、電気コネクタ10の構造が簡単になり、低コスト化できる。
【0109】
この発明の一態様に係る電気コネクタセット1は、
上述した電気コネクタ10と、前記電気コネクタ10に対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合するオス型の電気コネクタ20とを備えることを特徴とする。
【0110】
上記構成によれば、嵌合状態における位置ずれが規制されて接触部の接触不良を防止できる電気コネクタセット1を提供できる。
【符号の説明】
【0111】
1…電気コネクタセット
10…メス型の電気コネクタ(電気コネクタ)
11…第1保持部材(保持部材)
11a…母材
11b…金属部材
11c…硬質部材
12…第1内部端子(内部端子)
12a…第1内部実装部(内部実装部)
13…第1端子側方保持部(端子保持部)
13a…第1端子中央保持部(端子保持部)
13d…第1延在部(絶縁延在部)
13f…第1端子間支持部(端子間支持部)
14…第1側方支持部
15…第1シールド端子(シールド端子)
16…第1外部端子(外部端子)
16a…第1外部実装部
16b…第1外部側方部(外部側方部)
16c…第1外部延在部(外部延在部)
16g…第1側方外面部
17…ガイド部
18…装着開口部
19a…第1接触壁部
19b…第1接触係止部(接触部)
19c…第2接触壁部
19d…第2接触係止部(接触部)
19g…第1右コーナー(コーナー)
19h…第2右コーナー(コーナー)
19i…第1左コーナー(コーナー)
19j…第2左コーナー(コーナー)
20…オス型の電気コネクタ(電気コネクタ)
21…第2保持部材
22…第2内部端子
22a…第2内部実装部
23…第2端子保持部
24…第2側方支持部
25…第2シールド端子
25a…第2シールド実装部
26…第2外部端子
26a…第2外部実装部
29a…第2被係止部
41a…第1後退部
41b…第2後退部
42a…第1後退面
42b…第2後退面
43a…第1規制部
43b…第2規制部
44a…第1規制面
44b…第2規制面
46…外側の第1規制部
47…外側の第1規制面
48…重なりの第1規制部
49…重なりの第1規制面
A1…非嵌合状態での第1突出距離
A2…非嵌合状態での第2突出距離
B1…嵌合状態での第1突出距離
B2…嵌合状態での第2突出距離
C1…第1変位距離
C2…第2変位距離
L1…第1後退距離
L2…第2後退距離