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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】無線通信装置、及び、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/14 20180101AFI20240910BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240910BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240910BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240910BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H04W76/14
A61B5/00 102A
H04W84/10 110
H04W4/38
H04M1/00 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022572043
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044237
(87)【国際公開番号】W WO2022138042
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2020212615
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】土基 博史
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194381(WO,A1)
【文献】特開2018-063480(JP,A)
【文献】特表2016-539731(JP,A)
【文献】特開2019-048061(JP,A)
【文献】特開2012-081271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
A61B 5/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスと接続を確立して無線通信を行う無線通信装置であって、
前記無線通信デバイスとの間で電波を送受信する無線通信部と、
複数の無線通信デバイスからの電波が受信された場合に、当該複数の無線通信デバイスの中から接続する無線通信デバイスを選択する接続制御部と、を備え、
前記接続制御部は、前記無線通信部により受信された電波の電波強度が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも所定値以上又は所定割合以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイスを、接続を確立する無線通信デバイスとして選択し、
前記接続制御部は、前記複数の無線通信デバイスが前記第1条件を満足せず、いずれの無線通信デバイスとも接続が確立されていない状態にあるときに、前記複数の無線通信デバイスに含まれるいずれかの無線通信デバイスが前記第1条件を満足したとしても、前記第1条件を満足した時間が所定時間未満の場合には、当該無線通信デバイスを、接続を確立する無線通信デバイスとして選択しないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線通信デバイスと接続を確立して無線通信を行う無線通信装置であって、
前記無線通信デバイスとの間で電波を送受信する無線通信部と、
複数の無線通信デバイスからの電波が受信された場合に、当該複数の無線通信デバイスの中から接続する無線通信デバイスを選択する接続制御部と、を備え、
前記接続制御部は、前記無線通信部により受信された電波の電波強度が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも所定値以上又は所定割合以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイスを、接続を確立する無線通信デバイスとして選択し、
前記接続制御部は、前記複数の無線通信デバイスが前記第1条件を満足せず、いずれの無線通信デバイスとも接続が確立されていない状態にあるときに、前記複数の無線通信デバイスに含まれない他の無線通信デバイスが前記第1条件を満足したとしても、当該他の無線通信デバイスの電波強度の変動率又は変動幅が所定のしきい値よりも大きい場合には、当該他の無線通信デバイスを、接続を確立する無線通信デバイスとして選択しないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記接続制御部は、前記第1条件に加えて、さらに、電波強度が第2所定値以上であることという第2条件を満足する無線通信デバイスを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記接続制御部は、少なくとも前記第1条件を満足しているか否かの判定を繰り返して実行し、選択して接続を確立する無線通信デバイスを追加することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記接続制御部は、電波が受信された無線通信デバイスが一つである場合には、当該無線通信デバイスを選択することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の無線通信装置と、
前記無線通信デバイスと、を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
前記無線通信デバイスは、生体に貼り付けられて用いられ、生体の生体情報を測定し、測定データを無線で送信する貼付型生体センサであることを特徴とする請求項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記無線通信装置は、無線で受信したデジタルデータをアナログデータに変換して有線で出力する変換アダプタであることを特徴とする請求項又はに記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、及び、該無線通信装置を用いた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体に貼り付けられて、例えば生体の体温等の生体情報を測定し、その測定データを無線(電波)で送信する、無線通信機能を備えた貼付型の生体センサ(例えば貼付型体温計)が知られている(例えば特許文献1など参照)。
【0003】
また、特許文献2には、複数の送信装置(例えば上記貼付型生体センサ)の中から、特定の送信装置と接続(接続状態)を確立してデータを受信する受信装置であって、最も電波強度が強い送信装置と接続する受信装置が開示されている。より具体的には、この受信装置は、受信部と制御部とを備え、異なるチャネルを通じて生体情報を含む信号を送信する複数の送信装置と無線通信可能に構成されている。受信部は、チャネルを切り換えつつ、各送信装置から信号を受信する。制御部は、受信部により受信された複数の信号のうち、強度が最も高い信号のチャネルを判定し、判定したチャネルを以後に生体情報を監視する監視チャネルとして設定する。
【0004】
この受信装置によれば、強度が最も高い信号のチャネルを監視チャネルとして設定するので、チャネル番号等の手入力が必要なく、手軽かつ迅速に送信装置のチャネルを設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-141622号公報
【文献】特開2016-104213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常、電波強度は不安定であり、例えば周囲の環境等によっても容易に変化し得る。そのため、例えば、受信装置(無線通信装置)から同じ位の距離に、複数の送信装置(無線通信デバイス)が存在する場合、最も強い電波強度を示す送信装置(無線通信デバイス)は変動し得る。このような場合、上述した特許文献2に開示された技術(受信装置)では、意図しない送信装置(無線通信デバイス)と接続してしまうおそれがある。
【0007】
一方、接続を確立する送信装置(無線通信デバイス)を手動で選択するために、例えばディスプレイや選択スイッチ等の専用の部品等を新たに追加すると、装置のコストが上昇してしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、無線通信デバイスと接続を確立して無線通信を行う無線通信装置において、専用の部品等を新たに追加することなく(すなわち、コストアップを伴うことなく)、意図しない無線通信デバイスとの接続を防止することが可能な無線通信装置、及び、該無線通信装置を用いた無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無線通信装置は、無線通信デバイスと接続を確立して無線通信を行う無線通信装置であって、無線通信デバイスとの間で電波を送受信する無線通信部と、複数の無線通信デバイスからの電波が受信された場合に、当該複数の無線通信デバイスの中から接続する無線通信デバイスを選択する接続制御部とを備える。接続制御部は、無線通信部により受信された電波の電波強度が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも所定値以上又は所定割合以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイスを、接続を確立する無線通信デバイスとして選択する。
【0010】
本発明に係る無線通信装置によれば、複数の無線通信デバイスからの電波が受信された場合に、受信された電波の電波強度が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも所定値以上又は所定割合以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイスが、接続を確立する無線通信デバイスとして選択される。すなわち、複数の無線通信デバイスからの電波が受信された場合に、当該複数の無線通信デバイスの中から、他の無線通信デバイスよりも明らかに電波強度が強い無線通信デバイスが選択される。そのため、意図しない無線通信デバイスとの接続を防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る無線通信装置によれば、接続を確立するためにユーザは、例えば、無線通信デバイスを無線通信装置の近傍に持って行く(無線通信デバイスと無線通信装置とを近づける)だけでよく、接続を確立する無線通信デバイスを選択するために、例えばディスプレイや選択スイッチ等の専用の新たな部品等を追加する必要はない。
【発明の効果】
【0012】
その結果、本発明によれば、専用の部品等を新たに追加することなく(すなわち、コストアップを伴うことなく)、意図しない無線通信デバイスとの接続を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る無線通信装置を用いた無線通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る無線通信システム(無線通信装置)の動作を説明するための図である。
図4】実施形態に係る無線通信システム(無線通信装置)の動作を説明するための図である。
図5】実施形態に係る無線通信システム(無線通信装置)の動作を説明するための図である。
図6】実施形態に係る無線通信システム(無線通信装置)の動作を説明するための図である。
図7】変形例に係る無線通信装置を用いた無線通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1図2を併せて用いて、実施形態に係る無線通信装置20、及び、無線通信装置20を用いた無線通信システム1の構成について説明する。図1は、無線通信装置20を用いた無線通信システム1の構成を示す図である。図2は、無線通信装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0016】
無線通信システム1は、主として、無線通信デバイス10と、無線通信装置20とを備えて構成されている。無線通信デバイス10は、例えば、生体に貼り付けられて、生体の生体情報を測定し、その測定データを無線(電波)で送信する貼付型生体センサである(以下、無線通信デバイス10を貼付型生体センサ10と呼ぶこともある)。無線通信装置20は、特定の無線通信デバイス10と接続(接続状態)を確立して無線通信を行う無線通信装置である。無線通信装置20は、例えば、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10から、無線で受信した測定データ(デジタルデータ)をアナログデータに変換して有線で出力する変換アダプタである(以下、無線通信装置20を変換アダプタ20と呼ぶこともある)。
【0017】
無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10は、上述したように、測定対象(例えば入院患者や、犬・猫などの動物)に取り付けられ、該測定対象から生体情報を検出する貼付型の生体センサである(なお、犬や猫などの毛がある動物に用いる場合には、例えば紐や布などで固定してもよい)。ここで、生体情報としては、例えば、体温、深部体温、血圧、血糖値、酸素飽和度、心拍数、脈拍数、ECG、PPG、加速度、角速度などを挙げることができる。すなわち、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10としては、これらの生体情報を検出(取得)する各種生体センサ(例えば、体温センサ、光電脈波センサ、圧力センサ、血糖値センサ、酸素飽和度センサ、脈波センサ、心電電極、加速度センサ、角速度センサなど)が用いられる。
【0018】
無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10は、アナログ信号(生体信号)をデジタルデータに変換するADコンバータを備えており、検出した生体信号をデジタルデータ(生体情報)に変換する。また、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10は、無線通信モジュールを備え、AD変換したデジタルデータ(生体情報)を、無線で送信する。なお、デジタルデータ(生体情報)は、温度や圧力等の物理量であっても、心電等の波形データであってもよい。
【0019】
ここで、無線通信には、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、WiFi、LTE(Long Term Evolution)、サブギガ(900MHz帯)などの無線通信方式(無線通信規格)が用いられる。また、例えば、NFC(Near Field Communication)(ISO/IEC 18092)や、MIFARE(登録商標)(ISO/IEC 14443)などの無線通信方式(無線通信規格)を用いてもよい。なお、無線通信デバイス10は、デバイスアドレス(BLEの場合)やマックアドレス(WiFiの場合)等の情報(識別情報)も無線で送信する。
【0020】
無線通信装置(変換アダプタ)20は、上述したように、無線通信デバイス(無線式の貼付型生体センサ)10を、有線式の生体情報モニタ(ベッドサイドモニタ)100に接続するために用いられる変換装置である。無線通信装置(変換アダプタ)20は、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10と、有線式の生体情報モニタ100との間の規格や電圧などの差異を吸収することにより双方の接続を可能とする。
【0021】
生体情報モニタ100には、公知の有線式・アナログ入力式の生体情報モニタを用いることができる。生体情報モニタ100は、表示画面を備えており、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10により検出・変換・送信され、無線通信装置(変換アダプタ)20を介して受信・変換・中継された生体情報を入力して表示する。
【0022】
特に、無線通信装置20は、例えばディスプレイや選択スイッチ等の専用の部品等を新たに追加することなく(すなわち、コストアップを伴うことなく)、意図しない無線通信デバイス10との接続を防止する機能を有している。そのため、無線通信装置20は、無線通信デバイス10との間で電波を送受信する無線通信部21と、複数の無線通信デバイス10からの電波が受信された場合(すなわち電波が届く範囲に複数の無線通信デバイス10が存在する場合)に、当該複数の無線通信デバイス10の中から接続する無線通信デバイス10を選択する接続制御部22とを備えている。
【0023】
無線通信部21は、例えば、BLEチップ等を含む通信モジュールからなる。無線通信部21は、外部の無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10から、無線通信を用いて送信されるデジタルデータの生体情報を受信する。例えば、無線通信部21は、生体情報として複数の温度情報や、光電脈波情報等を受信する。無線通信部21では、上述した無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10の無線通信方式に合わせて、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、WiFi、LTE(Long Term Evolution)、サブギガ(900MHz帯)などの無線通信方式(無線通信規格)が用いられる。また、例えば、NFC(Near Field Communication)(ISO/IEC 18092)や、MIFARE(登録商標)(ISO/IEC 14443)などの無線通信方式(無線通信規格)を用いてもよい。
【0024】
また、無線通信部21は、無線通信デバイス10からの電波が受信された場合に、その無線通信デバイス10の識別情報(例えば、デバイスアドレス(BLEの場合)やマックアドレス(WiFiの場合))と、その無線通信デバイス10の電波強度(受信信号強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI))とを対応付けて(関係付けて)接続制御部22に出力する。
【0025】
接続制御部22は、MCU(Micro Control Unit)等を有して構成されている。接続制御部22は、複数の無線通信デバイス10からの電波が受信された場合(すなわち電波が届く範囲に複数の無線通信デバイス10が存在する場合)に、無線通信部21により受信された電波の電波強度(受信信号強度)が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも、所定値以上(例えば10dBm)又は所定割合(例えば10%)以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイス10を、接続を確立する無線通信デバイス10として選択する。
【0026】
ここで、例えば、図3に示した例では、無線通信デバイス10Aの電波強度が-80dBmであり、無線通信デバイス10Bの電波強度が-50dBmであり、無線通信デバイス10Cの電波強度が-75dBmであるため、接続制御部22は、無線通信デバイス10Bを接続を確立する無線通信デバイス10として選択する。
【0027】
接続制御部22は、上記第1条件に加えて、さらに、電波強度(受信信号強度)が第2所定値(例えば-90dBm)以上であることという第2条件を満足する無線通信デバイス10を、接続を確立する無線通信デバイス10として選択することが好ましい。このようにすれば、近傍の無線通信デバイス10のみを接続対象とすることができる。すなわち、遠方にある意図しない無線通信デバイス10と接続してしまうことを防止できる。より具体的には、例えば、隣の部屋でたまたま同じタイミングで接続しようとしているときに、こちらの部屋で無線通信装置20だけを先に起動してしまった場合、隣の部屋の無線通信デバイス10の電波を受信し、誤って接続してしまう、といった問題が発生することを防止することができる。
【0028】
また、接続制御部22は、上記第1条件、及び、第2条件(又は少なくとも第1条件)を満足する状態が所定時間(例えば5秒)以上継続されたことを第3条件とし、第1条件、及び、第2条件(又は少なくとも第1条件)に加えて、さらに、第3条件を満足する無線通信デバイス10を、接続を確立する無線通信デバイス10として選択することが好ましい。このようにすれば、例えば、短時間の外乱により、電波強度が一瞬変動して上記第1条件等を満たし、意図しない無線通信デバイス10と接続してしまうことを防止することができる。
【0029】
より具体的には、例えば、図5に示したように、無線通信装置20から等距離に複数台(図5の例では2台)の無線通信デバイス10A、10Bが存在し、ほぼ同じ電波強度のため、いずれとも接続されていない状態にあるときに、一方の無線通信デバイス10Aと無線通信装置20との間を人が通過すると、電波が遮られることにより、一方の無線通信デバイス10Aの電波強度が一瞬低下する。そのため、第1条件を満たしてしまい、他方の無線通信デバイス10Bと接続されてしまうおそれがある。この場合、上記第3条件を設けることにより、このような意図しない無線通信デバイス10Bと接続してしまうことを防止することができる。
【0030】
また、接続制御部22は、電波強度(受信信号強度)の変動率又は変動幅が所定のしきい値(例えば5%又は3dBm)以下であることを第4条件とし、第1条件、第2条件、及び、第3条件(少なくとも第1条件)に加えて、さらに、第4条件を満足する無線通信デバイス10を、接続を確立する無線通信デバイス10として選択することが好ましい。このようにすれば、例えば、無線通信デバイス10を装着した人が無線通信装置20の近くを通過する等した場合に、誤って接続してしまうことを防ぐことができる。
【0031】
より具体的には、例えば、図6に示したように、無線通信装置20から等距離に複数台(図6の例では2台)の無線通信デバイス10A、10Bが存在し、ほぼ同じ電波強度のため、いずれとも接続されない状態にあるときに、無線通信デバイス10Cを装着した患者が近くを通過すると、接近時にその無線通信デバイス10Cの電波強度が突出して強くなることにより、誤って無線通信デバイス10Cと接続されてしまうおそれがある。例えば、歩いている患者に装着された無線通信デバイス10Cの電波強度は、患者の移動に伴い時々刻々と変化するため、すなわち、電波強度の変化率等が所定のしきい値以下に留まらないため、上記第4条件を設けることにより、このような意図しない無線通信デバイス10Cと接続してしまうことを防止することができる。
【0032】
さらに、接続制御部22は、第1条件、第2条件、第3条件、及び、第4条件(又は少なくとも第1条件)を満足しているか否かの判定を繰り返して実行し、選択して接続を確立する無線通信デバイス10を追加することが好ましい。このようにすれば、意図しない無線通信デバイス10との接続を防止しつつ、複数の無線通信デバイス10と接続することができる。
【0033】
一方、接続制御部22は、第1条件、第2条件、第3条件、及び、第4条件(又は少なくとも第1条件)が満足されない場合には、いずれの無線通信デバイス10も選択(接続)しない。
【0034】
ここで、例えば、図4に示した例では、無線通信デバイス10Aの電波強度が-55dBmであり、無線通信デバイス10Bの電波強度が-50dBmであり、無線通信デバイス10Cの電波強度が-55dBmであるため、接続制御部22は、いずれの無線通信デバイス10A、10B、10Cも選択(接続)しない。
【0035】
ただし、接続制御部22は、電波が受信された無線通信デバイス10が一つである場合には、当該無線通信デバイス10を、接続を確立する無線通信デバイス10として選択することが好ましい。
【0036】
上述したように構成されることにより、複数の無線通信デバイス10からの電波が受信された場合に、受信された電波の電波強度(受信信号強度)が最も強く、かつ、当該電波強度が次に強い電波強度よりも、所定値以上又は所定割合以上強いという第1条件を満足する無線通信デバイス10が、接続を確立する無線通信デバイス10として選択され、接続される。そして、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10から無線で送信されるデジタルデータの生体情報が受信され、受信された生体情報が、データ処理されるとともに、外部の生体情報モニタ(ベッドサイドモニタ)100に適合したアナログデータに変換される(変換部23)。そして、接続部24を介して有線で出力される。
【0037】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、複数の無線通信デバイス10からの電波が受信された場合に、当該複数の無線通信デバイス10の中から、他の無線通信デバイス10よりも明らかに電波強度(受信信号強度)が強い無線通信デバイス10が選択され、接続される。そのため、意図しない無線通信デバイス10との接続を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、接続を確立するためにユーザは、例えば、無線通信デバイス10を無線通信装置20の近傍に持って行く(無線通信デバイス10と無線通信装置20とを近づける)だけでよく、接続を確立する無線通信デバイス10を選択するために、例えばディスプレイや選択スイッチ等の専用の部品等を新たに追加することを要しない。
【0039】
その結果、本実施形態によれば、専用の部品等を新たに追加することなく(すなわち、コストアップを伴うことなく)、意図しない無線通信デバイス10との接続を防止することが可能となる。特に、表示装置等を有しない変換アダプタ20において当該効果が発揮される。
【0040】
また、本実施形態によれば、上記第1条件に加えて、さらに、電波強度(受信信号強度)が第2所定値以上であることという第2条件を満足する無線通信デバイス10が、接続を確立する無線通信デバイス10として選択される。そのため、近傍の無線通信デバイス10のみを接続対象とすることができる。すなわち、遠方にある意図しない無線通信デバイス10と接続されてしまうことを防止できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、上記第1条件、及び、第2条件(又は少なくとも第1条件)を満足する状態が所定時間以上継続されたことを第3条件とし、第1条件、及び、第2条件(又は少なくとも第1条件)に加えて、さらに、第3条件を満足する無線通信デバイス10が、接続を確立する無線通信デバイス10として選択される。そのため、例えば、短時間の外乱により、電波強度が一瞬変動して上記第1条件等を満たし、意図しない無線通信デバイス10と接続されてしまうことを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、電波強度(受信信号強度)の変動率又は変動幅が所定のしきい値以下であることを第4条件とし、第1条件、第2条件、及び、第3条件(少なくとも第1条件)に加えて、さらに、第4条件を満足する無線通信デバイス10が、接続を確立する無線通信デバイス10として選択される。そのため、例えば、無線通信デバイス10を装着した人が無線通信装置20の近くを通過する等した場合などに、誤って接続されてしまうことを防ぐことができる。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、第1条件、第2条件、第3条件、及び、第4条件(又は少なくとも第1条件)を満足しているか否かの判定が繰り返して実行され、選択されて接続される無線通信デバイス10が追加される。そのため、意図しない無線通信デバイス10との接続を防止しつつ、複数の無線通信デバイス10と接続することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、無線通信装置20が変換アダプタである場合を例にして説明したが、無線通信装置20は、例えば、体温測定などのアプリケーションソフトがインストールされたスマートフォンであってもよい。無線通信装置20としてスマートフォンを用いる場合、図7に示されるように、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、WiFi、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)等の無線通信で無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10と通信し、その測定データを取得して、画面に表示する。さらに、無線通信装置20は、例えば、ノード(中継器)等であってもよい。
【0045】
また、無線通信部21が、無線通信デバイス(貼付型生体センサ)10に対し、無線通信を用いて情報(例えば、無線通信デバイス10との接続確認情報)を送信する構成としてもよい。この場合、例えば、接続確認スイッチ(プッシュスイッチ)を押すことにより、接続確認コマンドが送信され、無線で接続されている(ペアリングされている)無線通信デバイス10のLEDが点灯又は点滅する。なお、LEDの点灯又は点滅に代えて、振動したり、ブザーがなるようにしてもよい。本変形例によれば、複数の無線通信デバイス10が存在する場合に、接続確認情報を受けて、無線通信デバイス10側が発光すること、又は、音を出すことなどによって、接続対象を確認することができる。
【0046】
さらに、無線通信部21が、複数の異なる無線通信方式の無線通信に対応可能に構成されていてもよい。より具体的には、例えば、複数の無線通信部(無線通信ドライバ)21を備える構成としてもよい。この場合、複数の無線通信部(無線通信ドライバ)21は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、WiFi、LTE(Long Term Evolution)、サブギガ(900MHz帯)などの無線通信方式(無線通信規格)、及び、NFC(Near Field Communication)(ISO/IEC 18092)や、MIFARE(登録商標)(ISO/IEC 14443)などの無線通信方式(無線通信規格)を採用することが好ましい。本変形例によれば、一つの無線通信装置(変換アダプタ)20で、様々な異なる通信ドライバを持つ無線通信デバイス10と接続することができるため、汎用的に様々なセンサ情報を媒介することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 無線通信システム
10、10A、10B、10C 無線通信デバイス(貼付型生体センサ)
20 無線通信装置(変換アダプタ/スマートフォン/中継器)
21 無線通信部
22 接続制御部
100 生体情報モニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7