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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/18 20130101AFI20240910BHJP
   G01P 15/00 20060101ALI20240910BHJP
   G01M 17/013 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01P15/18
G01P15/00 F
G01M17/013
G01P15/00 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023044101
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】目黒 貴之
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-248784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0125428(US,A1)
【文献】特開2005-329907(JP,A)
【文献】特開平04-212609(JP,A)
【文献】特開2006-162479(JP,A)
【文献】特開2010-221814(JP,A)
【文献】特開2011-116290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/00 ~ 15/18
G08C 13/00 ~ 25/04
B60B 7/00 ~ 7/20
B60C 1/00 ~ 29/06
G01M 17/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数の車輪の各々に設けられて加速度を検出するセンサに、同一の検出タイミングにて前記加速度を検出させる指示部と、
各センサが前記同一の検出タイミングにて検出した前記加速度を、各センサからそれぞれ異なる取得タイミングにて無線通信を介して取得する取得部と、
を有する取得装置。
【請求項2】
前記指示部は、複数の前記センサのうちの第1センサに前記加速度を検出する時刻を示す時刻情報を通知した後、前記第1センサに通知した前記時刻情報を前記第1センサと異なる第2センサに通知することにより、前記同一の検出タイミングにて前記加速度を検出させる、
請求項1に記載の取得装置。
【請求項3】
前記指示部は、前記加速度の検出を開始する検出開始時刻と、前記加速度の検出を終了する検出終了時刻と、前記加速度を検出する検出間隔とを含む前記時刻情報を各センサに通知することにより、前記検出開始時刻から前記検出終了時刻まで前記検出間隔で前記加速度を各センサに検出させ、
前記取得部は、複数の前記同一のタイミングにて検出された前記加速度を前記無線通信で取得する、
請求項2に記載の取得装置。
【請求項4】
前記取得部は、
複数の前記センサのうちの第1センサが検出した前記加速度を送信させる第1送信指示を前記無線通信で前記第1センサに通知し、
前記第1送信指示を受けた前記第1センサが前記無線通信で送信した前記加速度を取得し、
前記第1センサが送信した前記加速度を取得した後に、前記第1センサと異なる第2センサが検出した前記加速度を前記第2センサに送信させる第2送信指示を前記無線通信で通知し、
前記第2送信指示を受けた前記第2センサが前記無線通信で送信した前記加速度を取得する、
請求項1に記載の取得装置。
【請求項5】
前記同一のタイミングで各センサが検出した車軸方向の前記加速度に基づいて前記車輪が脱輪するか否かを判定する判定部を有する、
請求項1に記載の取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の加速度を取得する取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪に関する情報を取得する技術が知られている。特許文献1には、車輪に設けられた加速度センサが、検出した加速度を無線通信で送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-19950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の複数の車輪の各々に設けられた加速度センサが任意のタイミングで加速度を検出して送信すると、通信の輻輳により加速度が適切に送信されなかったり、異なる路面状況下で各センサが加速度を検出することで解析に適していなかったりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、解析に適した加速度を適切に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の複数の車輪の各々に設けられて加速度を検出するセンサに、同一の検出タイミングにて前記加速度を検出させる指示部と、各センサが前記同一の検出タイミングにて検出した前記加速度を、各センサからそれぞれ異なる取得タイミングにて無線通信を介して取得する取得部と、を有する取得装置を提供する。
【0007】
前記指示部は、複数の前記センサのうちの第1センサに前記加速度を検出する時刻を示す時刻情報を通知した後、前記第1センサに通知した前記時刻情報を前記第1センサと異なる第2センサに通知することにより、前記同一の検出タイミングにて前記加速度を検出させてもよい。
【0008】
前記指示部は、前記加速度の検出を開始する検出開始時刻と、前記加速度の検出を終了する検出終了時刻と、前記加速度を検出する検出間隔とを含む前記時刻情報を各センサに通知することにより、前記検出開始時刻から前記検出終了時刻まで前記検出間隔で前記加速度を各センサに検出させ、前記取得部は、複数の前記同一のタイミングにて検出された前記加速度を前記無線通信で取得してもよい。
【0009】
前記取得部は、複数の前記センサのうちの第1センサが検出した前記加速度を送信させる第1送信指示を前記無線通信で前記第1センサに通知し、前記第1送信指示を受けた前記第1センサが前記無線通信で送信した前記加速度を取得し、前記第1センサが送信した前記加速度を取得した後に、前記第1センサと異なる第2センサが検出した前記加速度を前記第2センサに送信させる第2送信指示を前記無線通信で通知し、前記第2送信指示を受けた前記第2センサが前記無線通信で送信した前記加速度を取得してもよい。
【0010】
前記同一のタイミングで各センサが検出した車軸方向の前記加速度に基づいて前記車輪が脱輪するか否かを判定する判定部を有してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、車両に搭載されたコンピュータが実行する、前記車両の複数の車輪の各々に設けられて加速度を検出するセンサに、同一の検出タイミングにて前記加速度を検出させるステップと、各センサが前記同一の検出タイミングにて検出した前記加速度を、各センサからそれぞれ異なる取得タイミングにて無線通信を介して取得するステップと、を有する取得方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、解析に適した加速度を適切に取得できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】取得システムを説明するための図である。
図2】車輪にかかる加速度を説明するための図である。
図3】取得装置の構成を説明するための図である。
図4】加速度を取得する処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[取得システムSの構成]
図1は、取得システムSを説明するための図である。取得システムSは、車両1の車輪2に設けられたセンサ3から加速度を取得するシステムである。取得システムSは、第1センサ31、第2センサ32及び取得装置4を含む。第1センサ31は、車両1の複数の車輪2のうちの左前輪のホイール21に設けられている。第2センサ32は、車両1の複数の車輪2のうちの左後輪のホイール21に設けられている。また、車両1の右前輪のホイールには、第3センサが設けられており、右後輪のホイールには、第4センサが設けられている。以下の説明において、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ及び第4センサを区別する必要のない場合、センサ3と言う。
【0015】
センサ3は、車輪2にかかる加速度を検出する加速度センサである。図2は、車輪2にかかる加速度を説明するための図である。センサ3は、車輪2の車軸方向Xの加速度、半径方向Yの加速度、及び車軸方向X及び半径方向Yに垂直な円周方向Zの加速度を検出する。
【0016】
センサ3は、取得装置4と通信するための無線通信モジュールを有する。センサ3は、検出した加速度を取得装置4に無線通信で送信する。具体的には、センサ3は、取得装置4からの指示を受け付けて加速度を検出する。また、センサ3は、取得装置4からの指示を受け付けて検出した加速度を無線通信で取得装置4に送信する。また、センサ3は、電池を内蔵しており、電池の電力で動作する。
【0017】
各センサ3には時計が内蔵されており、各センサ3の時刻は同期されている。例えば、各センサ3の時刻は、センサ3がホイール21に取り付けられる直前に同期されて、各センサ3の時刻が同期された状態でホイール21に取り付けられる。また、各センサ3は、衛星から送信された時刻情報を含む信号を受信することにより、自身の時刻を更新してもよい。具体的には、各センサ3は、GPS(Global Positioning System)受信機を備え、原子時計を搭載した衛星から送信された原子時計に基づく時刻情報を受信して自身の時計の時刻を更新する。これにより、各センサ3は、内蔵された時計の時刻を同一にできる。また、各センサ3は、車両1に備えられたプロセッサと定期的に同期処理を行うことにより、時刻同期を実現してもよい。複数のセンサ3の同期の方法は、公知の技術を採用可能であり、上記の方法に限らない。
【0018】
ところで、複数のセンサ3の各々が任意のタイミングで加速度を検出すると、異なる路面状況下で各センサ3が加速度を検出してしまうことになる。異なる路面状況下で検出された各加速度は、路面から受けている影響が異なるので異常な加速度が検出されたとしても、検出された値が脱輪の予兆であるのか、路面の影響によるものであるのかを判定できない。そこで、取得装置4は、同一の検出タイミングにて各センサ3に加速度を検出させる。これにより、取得装置4は、同一の路面状況における加速度を検出させることができるので、異常な加速度が検出された場合に路面からの影響をうけたものか、脱輪の予兆であるかを判定可能な解析に適した加速度を取得できる。
【0019】
また、各センサ3が任意のタイミングで加速度を送信すると、複数のセンサ3が加速度を同時に送信した場合には通信の輻輳により加速度が適切に取得できなくなってしまう。そこで、取得装置4は、異なる取得タイミングにて各センサ3から加速度を取得する。これにより、取得装置4は、通信の輻輳を抑制して適切に加速度を取得できる。
【0020】
図3は、取得装置4の構成を説明するための図である。取得装置4は、通信部41、報知部42、記憶部43及び制御部44を有する。通信部41は、無線通信で情報を送受信するための無線通信モジュールである。通信部41は、センサ3と通信することができる。具体的には、通信部41は、各センサ3と一対一で通信する。通信部41とセンサ3が無線通信する周波数は、例えば315MHzであるが、これに限定するものではない。
【0021】
報知部42は、車両1のユーザに情報を報知する。例えば、報知部42は、ディスプレイを有し、文字情報及び画像情報の少なくともいずれかをディスプレイに表示させる。また、報知部42は、スピーカを有していてもよく、情報を示すメッセージをスピーカに出力させる。
【0022】
記憶部43は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部43は、制御部44が実行するプログラムを記憶する。
【0023】
制御部44は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部44は、記憶部43に記憶されたプログラムを実行することにより、指示部441、取得部442、判定部443及び報知制御部444としての機能を実現する。
【0024】
指示部441は、同一の検出タイミングにて各センサ3に加速度を検出させる。例えば、指示部441は、無線通信で加速度を検出する時刻を示す検出時刻を各センサ3に通知する。具体的には、指示部441は、複数のセンサ3のうちの第1センサ31に検出時刻を通知した後、第1センサ31に通知した検出時刻を第1センサと異なる第2センサ32に通知する。指示部441は、車両1に搭載された全てのセンサ3に検出時刻を通知する。各センサ3は、指示部441が通知した検出時刻になったら加速度を検出する。各センサ3の時刻は同期されているので、指示部441が同一の検出時刻を各センサ3に通知することにより、各センサ3は、同一の検出タイミングにて加速度を検出できる。
【0025】
取得部442は、各センサ3が同一の検出タイミングにて検出した加速度を、無線通信を介して、各センサからそれぞれ異なる取得タイミングにて取得する。具体的には、まず、取得部442は、第1センサ31が検出した加速度を送信させる第1送信指示を無線通信で第1センサ31に通知する。第1センサ31は、第1送信指示を受け付けると、検出した加速度を無線通信で取得装置4に送信する。取得部442は、第1センサ31が無線通信で送信した加速度を取得する。
【0026】
取得部442は、第1センサ31から加速度を取得した後に、第2センサ32が検出した加速度を第2センサ32に送信させる第2送信指示を無線通信で第2センサに通知する。第2センサ32は、第2送信指示を受け付けると、検出した加速度を無線通信で取得装置4に送信する。取得部442は、第2センサ32が無線通信で送信した加速度を取得する。取得部442は、車両1に搭載された全てのセンサ3から加速度を取得するまで上記の処理を繰り返す。これにより、取得部442は、単一の周波数で通信する際に無線通信の輻輳の発生を抑制できる。
【0027】
指示部441は、検出開始時刻、検出終了時刻、及び検出間隔を含む時刻情報を通知してもよい。検出開始時刻は、加速度の検出を開始する時刻である。検出終了時刻は、加速度の検出を終了する時刻である。検出間隔は、加速度を検出する間隔であり、例えば20ミリ秒(50Hz)であるが、これに限定するものではない。各センサ3は、検出開始時刻になった後、検出間隔で加速度を検出し続ける。各センサ3は、検出終了時刻になったら加速度の検出を終了する。言い換えると、各センサ3は、検出開始時刻から検出終了時刻まで検出間隔で加速度を検出し続ける。そして、取得部442は、検出終了時刻を過ぎた場合、各センサ3が検出間隔で検出した複数の加速度を無線通信で各センサ3から取得する。
【0028】
指示部441は、検出終了時刻に替えて検出時間を指示してもよい。この場合、各センサ3は、検出開始時刻から検出時間が経過するまで検出間隔で加速度を検出し続ける。そして、取得部442は、検出開始時刻から検出時間が経過したら、各センサ3が検出間隔で検出した複数の加速度を各センサ3から取得する。
【0029】
判定部443は、同一のタイミングで各センサ3が検出した車軸方向Xの加速度に基づいて車輪2が脱輪するか否かを判定する。例えば、判定部443は、所定期間内に取得された車軸方向Xの複数の加速度の統計量が閾値以上か否かに応じて車輪2が脱輪するか否かを判定する。所定期間は、実験などにより適宜定めればよく、所定期間の具体的な値は例えば1分であるが、これに限らない。加速度の統計量は、所定期間内の加速度の平均値、中央値、最頻値又は積算値である。閾値は、実験などにより適宜定めればよい。判定部443は、所定期間内に取得された車軸方向Xの複数の加速度の統計量が閾値以上の場合には車輪2が脱輪すると判定し、加速度の統計量が閾値未満の場合には車輪2が脱輪しないと判定する。加速度の統計量では路面からのノイズの影響が低減されるので、判定部443は、加速度の統計量に基づいて脱輪するか否かを判定することにより判定精度を向上できる。
【0030】
同一のタイミングで各センサ3が検出した車軸方向Xの複数の加速度が全て閾値以上の場合には、全ての車輪2が路面の影響を受けて異常な加速度を検出したと言える。そこで、判定部443は、複数の加速度が全て閾値以上の場合には車輪2が脱輪しないと判定する。一方、一部の車輪2の加速度が閾値以上であり、他の車輪2の加速度が閾値未満の場合には路面の影響を受けた異常な値ではないと言え、車輪2が脱輪する蓋然性が高い。そこで、判定部443は、同一のタイミングで各センサ3が検出した車軸方向Xの複数の加速度のうちの一部の加速度が閾値以上であり、かつ他の加速度が閾値未満の場合、閾値以上の加速度を検出したセンサ3が設けられている車輪2が脱輪すると判定する。このように、同一のタイミングで複数の加速度が検出されていることにより、判定部443は、異常な加速度が路面の影響を受けたものであるか、脱輪するおそれがあるものであるかを適切に判定できる。
【0031】
判定部443は、同一のタイミングで各センサ3が検出した半径方向Y及び円周方向Zの加速度に基づいて路面状態を判定してもよい。例えば、判定部443は、所定期間内に検出された半径方向Y及び円周方向Zの加速度から鉛直方向の加速度を算出し、算出した鉛直方向の加速度の統計量が所定の値未満であれば路面状態が舗装路であると判定する。判定部443は、所定期間内に検出された鉛直方向の加速度の統計量が所定の値以上であれば路面状態が未舗装道路であると判定する。具体的には、判定部443は、同一のタイミングで検出された各車輪2の加速度の統計量が全て所定の値以上であれば路面状態が未舗装道路であると判定する。これにより、判定部443は、例えば、舗装路を走行している際に、複数の車輪2のうちの一部の車輪2が路面の凸部や異物を踏んでしまった場合に未舗装道路であると誤判定することを抑制できる。
【0032】
判定部443は、舗装路である場合の閾値を、未舗装道路である場合の閾値よりも小さくする。これにより、判定部443は、未舗装路を走行することにより加速度が大きくなっている場合に脱輪すると誤判定することを抑制できる。
【0033】
報知制御部444は、車輪2が脱輪すると判定されたら、車輪2が脱輪することを報知する。例えば、報知制御部444は、報知部42に脱輪すること示す文字情報や画像情報をディスプレイに表示させる。また、報知制御部444は、脱輪することを示すメッセージを報知部42のスピーカに出力させる。
【0034】
[加速度を取得する処理]
図4は、加速度を取得する処理の一例を示すシーケンス図である。図4のシーケンスは、車両1が始動している間、繰り返し実行される。
【0035】
まず、指示部441は、通信部41を介して無線通信で検出時刻を第1センサ31に通知する(ステップS1)。続いて、指示部441は、第2センサ32に検出時刻を通知する(ステップS2)。なお、指示部441は、ステップS2をステップS1の前に実行してもよい。
【0036】
第1センサ31は、検出時刻に加速度を検出する(ステップS31)。また、第2センサ32は、第1センサ31が加速度を検出する検出時刻に加速度を検出する(ステップS32)。つまり、各センサ3は、同一の検出時刻に加速度を検出するので、同一の検出タイミングにて加速度を検出できる。
【0037】
取得装置4の取得部442は、現在時刻が検出時刻になったら、第1センサ31に検出した加速度の送信指示を通知する(ステップS4)。第1センサ31は、送信指示を受け付けると、検出時刻に検出した加速度を取得装置4に送信する(ステップS5)。取得装置4の取得部442は、第1センサ31が送信した加速度を取得する。
【0038】
取得部442は、第1センサ31が送信した加速度を取得した後、第2センサ32に送信指示を通知する(ステップS6)。第2センサ32は、送信指示を受け付けると、検出時刻に検出した加速度を取得装置4に送信する(ステップS7)。取得装置4の取得部442は、第2センサ32が送信した加速度を取得する。
【0039】
取得装置4の判定部443は、取得された加速度が閾値以上か否かを判定する(ステップS8)。具体的には、判定部443は、所定期間内に取得された加速度の積算値が閾値以上か否かを判定する。報知制御部444は、加速度が閾値以上である場合(ステップS8でYes)、脱輪することを報知する(ステップS9)。具体的には、報知制御部444は、脱輪することを示す情報を報知部42のディスプレイに表示させる。報知制御部444は、加速度が閾値未満である場合(ステップS8でNo)、脱輪することを報知しない。
【0040】
(変形例)
なお、報知制御部444は、車輪2が脱輪することを示す情報を、通信部41を介して、ネットワーク上に設けられたクラウドサーバに出力する機能を有してもよい。この場合、通信部41は、例えばインターネットを介して、クラウドサーバと接続できる。クラウドサーバに設けられた車両1の管理装置は、車輪2が脱輪することを示す情報を受信した場合、あらかじめ定められた管理者に対して、異常が発生したことを報知する。また、管理装置は、車輪2が脱輪することを示す情報を記憶媒体に記録するものであってもよい。これにより、管理者が車両1に関する車両情報の1つとして、当該情報をモニタリングすることが可能となる。
【0041】
[取得装置4の効果]
以上説明したとおり、取得装置4は、車両1の複数の車輪2の各々に設けられて加速度を検出するセンサ3に、同一の検出タイミングにて加速度を検出させる。これにより、取得装置4は、同一の路面状況における加速度を検出させることができるので、異常な加速度が路面の影響を受けたものか、脱輪の予兆であるかを判定可能な解析に適した加速度を取得できる。そして、取得装置4は、各センサが同一の検出タイミングにて検出した加速度を、各センサからそれぞれ異なる取得タイミングにて無線通信を介して取得する。これにより、取得装置4は、無線通信の輻輳を生じさせることなく適切に取得できる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0043】
S 取得システム
1 車両
2 車輪
21 ホイール
3 センサ
4 取得装置
41 通信部
42 報知部
43 記憶部
44 制御部
441 指示部
442 取得部
443 判定部
444 報知制御部
【要約】
【課題】解析に適した加速度を適切に取得する。
【解決手段】取得装置4は、車両1の複数の車輪2の各々に設けられて車輪2にかかる加速度を検出する複数のセンサ3の各々に、同一の検出タイミングにて車輪2の車軸方向Xの加速度を検出させる指示部441と、複数のセンサ3の各々が同一の検出タイミングにて検出した加速度を、各センサ3からそれぞれ異なる取得タイミングにて無線通信を介して取得する取得部442と、を有する。
【選択図】図3


図1
図2
図3
図4