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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240910BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/175 115
B41J2/01 301
B41J2/175 119
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023060530
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2019005741の分割
【原出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2023076576
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161642(JP,A)
【文献】特開2008-006770(JP,A)
【文献】特開2013-176885(JP,A)
【文献】特開2017-081121(JP,A)
【文献】特開2018-144239(JP,A)
【文献】特開2019-089214(JP,A)
【文献】特開2019-115999(JP,A)
【文献】特開2019-202464(JP,A)
【文献】特開2020-100067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
高さ方向において上記筐体の上端の開口を閉じる被覆位置及び上記筐体の上記開口を開放する開放位置へ移動可能に上記筐体によって支持されたカバーと、
シートに記録された画像を読み取るスキャナと、
上記筐体の内部に配置されており、液体が貯留されるタンクと、
上記タンクと接続可能であり、液体が貯留される貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、
上記貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記タンクは、上記タンクから上方へ向けて延び、上記貯留体の上記液体流通孔に接続可能な流通管を備え、
上記カバーが上記被覆位置に位置し、かつ、上記貯留体が上記タンクに接続されているとき、上記貯留体の上端は上記スキャナの下端よりも上方にあるシステム。
【請求項2】
上記カバーは、
上記被覆位置において上記筐体の上方にある第1壁と、
上記第1壁の縁部から下方へ延びた第2壁と、を備え、
上記カバーが上記被覆位置であり且つ上記貯留体が上記タンクに接続されているとき、上記貯留体の上端は、高さ方向と交差する奥行き方向において上記第2壁と上記スキャナとの間に位置する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記カバーは、上記スキャナを備える請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
上記第2壁は、高さ方向と交差する奥行き方向の手前側を向く壁であり、
上記タンクと接続されている上記貯留体は、上記奥行き方向において上記筐体の中央よりも上記第2壁の近くにある請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
上記第2壁は、高さ方向と交差する奥行き方向において、上記タンクと接続されている上記貯留体よりも奥側にあり、当該奥側を向く壁であり、
上記カバーは、上記第1壁の縁部から下方へ延びており、上記タンクと接続されている上記貯留体よりも上記奥行き方向の手前側にあり、当該手前側を向く第3壁を備え、
上記カバーが上記被覆位置であり且つ上記貯留体が上記タンクに接続されているとき、上記第3壁の下端は、上記貯留体の上端よりも上方にある請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
上記筐体は、高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有しており、
上記システムは、上記タンク及び上記貯留体を、複数備えており、
複数の上記タンク及び上記貯留体は、上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において、上記搬送路より一方及び他方に分けて配置されている請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
上記タンクは、
上記タンクの内部空間を大気に連通させる大気連通孔と、
一端が上記内部空間における上記大気連通孔よりも下方にあり、他端が上記流通管を通じて外部に開口された第1流路と、
一端が上記内部空間における上記第1流路の一端よりも下方にあり、他端が上記流通管を通じて外部に開口された第2流路と、を備える請求項1から5のいずれかに記載のシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留する貯留体と当該貯留体が接続可能なタンクとを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を貯留する貯留体と当該貯留体が接続可能なタンクとを備えるシステムが、従来から知られている。例えば、特許文献1には、インクを貯留する貯留体と、当該貯留体が接続可能なタンクを備えたインクジェット記録装置とで構成されるシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、4つのタンクを備えており、各タンクに貯留体が接続される。これにより、貯留体からタンクへ液体(インク)が注入される。ユーザが画像記録装置を操作するときに(例えば、ユーザが画像記録装置のタッチパネルを操作したり、画像記録装置に用紙をセットしたりするときに)当該ユーザから見て、4つのタンクのうちの3つが、排出トレイよりも右方に配置されている。4つのタンクのうちの1つが、排出トレイよりも左方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-81121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貯留体に貯留可能な液体の容量を増やすためには、例えば、貯留体を左右方向にサイズアップすればよい。また、例えば、貯留体を前後方向(左右方向及び上下方向と直交する方向)にサイズアップすればよい。
【0006】
しかしながら、貯留体を左右方向や前後方向などの水平方向にサイズアップする手段では、筐体の設置面積が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体の設置面積を大きくすることなく、貯留体を大容量化することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係るシステムは、筐体と、上記筐体の上端を覆う被覆位置及び上記筐体の上端を開放する開放位置へ移動可能に上記筐体によって支持されたカバーと、上記筐体の内部に配置されており、液体が貯留されるタンクと、上記タンクと接続可能であり、液体が貯留される貯留体と、上記筐体の内部に配置されており、上記タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備える。上記貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備える。上記タンクは、上記タンクから上方へ向けて延び、上記貯留体の上記液体流通孔に接続可能な流通管を備える。上記カバーは、上記被覆位置において上記筐体の上方にある第1壁と、上記第1壁の縁部から下方へ延びた第2壁と、を備える。上記カバーが上記被覆位置であり且つ上記貯留体が上記タンクに接続されているとき、上記貯留体の上端は、上記第2壁の下端よりも上方にある。
【0009】
本構成によれば、貯留体は、カバーの第2壁の下端より上方まで延びている。つまり、本構成の貯留体は、上下方向の長さを、カバーの第2壁の下端より下方までしか延びていない貯留体よりも長くすることができる。これにより、筐体の設置面積を大きくすることなく貯留体を大容量化することができる。
【0010】
(2) 上記第2壁は、高さ方向と交差する奥行き方向の手前側を向く壁である。上記タンクと接続されている上記貯留体は、上記奥行き方向において上記筐体の中央よりも上記第2壁の近くに配置されている。
【0011】
本構成によれば、カバーが開放位置へ移動したときに、貯留体に近い第2壁が貯留体から離れるため、貯留体が取り出しやすくなる。
【0012】
(3) 上記第2壁は、上記タンクと接続されている上記貯留体よりも高さ方向と交差する奥行き方向の奥側にあり、当該奥側を向く壁である。上記カバーは、上記第1壁の縁部から下方へ延びており、上記タンクと接続されている上記貯留体よりも上記奥行き方向の手前側にあり、当該手前側を向く第3壁を備える。上記カバーが上記被覆位置であり且つ上記貯留体が上記タンクに接続されているとき、上記第3壁の下端は、上記貯留体の上端よりも上方にある。
【0013】
本構成によれば、第3壁の下端が貯留体の上端より上方にあるため、タンクと接続されている貯留体よりも奥行き方向の手前側にあり、当該手前側を向く筐体の壁を、貯留体の上端より上方へ延ばすことができる。これにより、奥行き方向における筐体の手前側から奥側へ向けた衝撃が貯留体へ直接及ぶことを、当該壁によって規制することができる。
【0014】
(4) 上記筐体は、上記タンクと接続されている上記貯留体よりも上記奥行き方向の手前側であって上記被覆位置の上記カバーの上記第3壁の下方にある前壁を備える。上記前壁は、透光性を有する透光部を備える。上記透光部は、上記タンクと接続されている上記貯留体と上記奥行き方向に対向している。
【0015】
仮に、カバーが被覆位置であり且つ貯留体がタンクに接続されているときに、第3壁が貯留体の上端よりも下方まで延びている場合、前壁が透光部を備えていても、カバーが被覆位置のときに貯留体の上部(貯留体における奥行き方向に第3壁と対向している部分)を透光部を通じて視認することは、第3壁によって阻害されるために不可能である。しかし、本構成では、カバーが被覆位置であり且つ貯留体がタンクに接続されているときに、第3壁は貯留体の上端よりも上方までしか延びていない。そのため、貯留体の上部を視認可能な位置にまで、透光部を設けることができる。
【0016】
(5) 本発明に係るシステムは、上記タンクの上端を被覆及び開放する位置に回動可能に上記筐体によって支持されたサブカバーを備える。上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記サブカバーを覆っている。
【0017】
(6) 本発明に係るシステムは、上記タンクの上端を被覆及び開放する位置にスライド可能に上記筐体によって支持されたサブカバーを備える。上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記サブカバーを覆っている。
【0018】
貯留体が筐体より上方まで延びている場合、貯留体の上部が上方からの衝撃によって破損するおそれがある。(5)及び(6)の構成によれば、サブカバーによって、前記の破損の可能性を低くすることができる。
【0019】
(7) 上記カバーは、シートに記録された画像を読み取るスキャナを備える。
【0020】
本構成によれば、カバーのうちスキャナが占めていない空間を貯留体の上部が占めることができる。
【0021】
(8) 上記筐体は、高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有している。上記システムは、上記タンク及び上記貯留体を、複数備えている。複数の上記タンク及び上記貯留体は、上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において、上記搬送路より一方及び他方に分けて配置されている。
【0022】
本構成によれば、筐体における搬送路の側方の領域にタンク及び貯留体を配置する場合、搬送路の一方側に全てのタンク及び貯留体を配置する場合よりも、搬送路の両側方の領域に分けてタンク及び貯留体を分けたほうが、筐体の幅方向のサイズを大型化することなく各タンクのサイズを幅方向に大型化することが容易である。
【0023】
(9) 上記タンクは、上記タンクの内部空間を大気に連通させる大気連通孔と、一端が上記内部空間における上記大気連通孔よりも下方にあり、他端が上記流通管を通じて外部に開口された第1流路と、一端が上記内部空間における上記第1流路の一端よりも下方にあり、他端が上記流通管を通じて外部に開口された第2流路と、を備える。
【0024】
本構成によれば、貯留体がタンクに接続された状態において、タンクに貯留された液体が消費されて液体の液面が第1流路の下端にある開口よりも低くなると、空気が大気連通孔からタンク内に入り込み、第1流路を通じて貯留体内に入り込む。そして、貯留体内に入り込んだ空気の体積分の液体が貯留体から第2流路を通じてタンク内へ供給される。タンク内の液体の液面が第1流路の開口に達すると、液体の供給は停止される。これにより、タンクに貯留された液体の液面を一定に維持することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、筐体の設置面積を大きくすることなく、貯留体を大容量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、インクカートリッジ30が装着された複合機10の斜視図である。
図2図2は、複合機10の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、下部筐体13の平面図である。
図4図4(A)は、インクカートリッジ30の斜視図であり、図4(B)は、タンク103の斜視図である。
図5図5は、装着状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図6図6は、インクカートリッジ30が装着されていない状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図7図7は、変形例における複合機10の縦断面図である。
図8図8は、変形例における装着状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図9図9は、変形例におけるインクカートリッジ30が装着されていない状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図10図10は、変形例における装着状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図11図11は、変形例におけるインクカートリッジ30が装着されていない状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図12図12は、変形例における装着状態のタンク103周辺の縦断面図である。
図13図13は、変形例における複合機10の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0028】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、全体として概ね直方体形状である。
【0029】
複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢を基準として、重力方向が下方向53と定義され、下方向53と逆方向が上方向54と定義される。また、複合機10の開口17が設けられている壁を前壁44として、前方向51、及び前方向51と逆方向の後方向52が定義される。また、複合機10を前方から見て右方向55及び左方向56が定義される。上方向54及び下方向53と、前方向51及び後方向52と、右方向55及び左方向56とは、互いに直交している。前方向51及び後方向52は、前後方向(奥行き方向の一例)と定義される。上方向54及び下方向53は、上下方向(高さ方向の一例)と定義される。右方向55及び左方向56は、左右方向(幅方向の一例)と定義される。
【0030】
複合機10は、プリンタ11及びスキャナ12を備える。スキャナ12は、プリンタ11の上方にある。複合機10と、後述するインクカートリッジ30とによって、システムが構成される。
【0031】
プリンタ11は、インクジェット記録方式に基づいて、用紙2(図2参照)に対してインク滴を吐出することにより画像を記録する画像記録装置であり、例えばインクジェットプリンタである。スキャナ12は、フラットベッドスキャナである。
【0032】
プリンタ11は、複合機10の下部筐体13(筐体の一例)にある。スキャナ12は、複合機10のカバー14にある。
【0033】
下部筐体13は、上端の少なくとも一部が開放された箱形状である。下部筐体13は、前壁44、後壁43、右側壁45、左側壁46を備える。前壁44は、上下方向及び左右方向に拡がる壁であり、開口17を有する。後壁43は、上下方向及び左右方向に拡がる壁であり、前壁44と前後方向に対向している。右側壁45は、上下方向及び前後方向に拡がる壁であり、前壁44の右端と後壁43の右端とを繋いでいる。左側壁46は、上下方向及び前後方向に拡がる壁であり、前壁44の左端と後壁43の左端とを繋いでいる。
【0034】
カバー14が、下部筐体13の上方にある。カバー14は、複合機10の後端部において下部筐体13と連結されている。カバー14は、下部筐体13によって支持されている。カバー14は、下部筐体13との連結部分に位置する軸106を中心として矢印104の方向に回動可能である。これにより、カバー14は、図1に破線で示される被覆位置と、図1に実線で示される開放位置とに回動可能である。被覆位置のカバー14は、下部筐体13の上端を覆っている。開放位置のカバー14は、下部筐体13の上端を開放している。
【0035】
カバー14は、下方が開放された箱形状である。カバー14は、天壁161(第1壁の一例)、前側壁162(第2壁の一例)、後側壁163、右側壁164、左側壁165、及びスキャナ12を備えている。
【0036】
天壁161は、カバー14が被覆位置のときに前後方向及び左右方向に拡がる壁である。天壁161は、下部筐体13の上方にあり、カバー14が被覆位置のときに上方から下部筐体13を覆っている。
【0037】
前側壁162、後側壁163、右側壁164、及び左側壁165は、天壁161の縁部から下方へ延びている。本実施形態において、前側壁162、後側壁163、右側壁164、及び左側壁165の上下方向の長さは、同一である。
【0038】
前側壁162は、天壁161の前端部から下方へ延びている。前側壁162は、前方(奥行き方向の手前側)を向く壁である。後側壁163は、天壁161の後端部から下方へ延びている。後側壁163は、後方(奥行き方向の奥側)を向く壁である。前側壁162及び後側壁163は、前後方向に対向している。
【0039】
右側壁164は、天壁161の右端部から下方へ延びている。左側壁165は、天壁161の左端部から下方へ延びている。右側壁164及び左側壁165は、左右方向に対向している。
【0040】
右側壁164の前端は、前側壁162の右端と繋がっている。右側壁164の後端は、後側壁163の右端と繋がっている。左側壁165の前端は、前側壁162の左端と繋がっている。左側壁165の後端は、後側壁163の左端と繋がっている。
【0041】
カバー14が被覆位置のとき、前側壁162は下部筐体13の前壁44の上方にあり、後側壁163は下部筐体13の後壁43の上方にあり、右側壁164は下部筐体13の右側壁45の上方にあり、左側壁165は下部筐体13の左側壁46の上方にある。
【0042】
天壁161、前側壁162、後側壁163、右側壁164、及び左側壁165によって、カバー14の内部空間166が構成されている。
【0043】
なお、カバー14の形状は、図1に示されたような形状に限らない。例えば、前側壁162、後側壁163、右側壁164、及び左側壁165は、互いに繋がっていなくてもよい。また、例えば、カバー14は、天壁161、前側壁162、及び後側壁163を備えており、右側壁164及び左側壁165を備えていなくてもよい。この場合、内部空間166は、天壁161、前側壁162、及び後側壁163によって構成される。
【0044】
スキャナ12は、天壁161と一体に形成された、または、天壁161に取り付けられたスキャナ筐体167と、スキャナカバー168とを備えている。
【0045】
スキャナ筐体167は、天壁161から下方へ突出しており、内部空間166の一部を占めている。カバー14が被覆位置のときの複合機10を上方から見た場合に、スキャナ筐体167は、後述する装着部110と重複していない。スキャナ筐体167には、原稿(シートの一例)がセットされるプラテンガラス(不図示)や、プラテンガラスにセットされた原稿に記録された画像を読み取るイメージセンサ(不図示)などが配設されている。プラテンガラスは、天壁161の上面161A(内部空間166の上端を構成する天壁161の下面161Bの裏面)の少なくとも一部を構成している。原稿は、天壁161の上面161Aにセットされる。つまり、天壁161の上面161Aが、原稿の読み取り面である。
【0046】
スキャナカバー168は、スキャナ筐体167の上方にある。スキャナカバー168は、カバー14の端部(本実施形態ではカバー14の後端部であるが、右端部などでもよい。)において天壁161、後側壁163、右側壁164、左側壁165の少なくとも一つによって回動可能に支持されている。スキャナカバー168は、図1に実線で示される被覆位置と、図1に破線で示される開放位置とに回動可能である。被覆位置のスキャナカバー168は、天壁161の上面161A(上面161Aに原稿がセットされている場合には上面161A及び原稿)を覆う。開放位置のスキャナカバー168は、天壁161の上面161Aを開放する。
【0047】
図2に示されるように、複合機10は、記録ヘッド21(液体吐出ヘッドの一例)と、装着部110と、インクチューブ20とを備えている。装着部110には、インクを貯留可能な少なくとも1つのタンク103が配置されている。装着部110には、インクカートリッジ30が装着される。インクカートリッジ30には、記録ヘッド21に供給するインク(液体の一例)が貯留される。装着部110に装着されたインクカートリッジ30は、タンク103と接続されている。インクチューブ20は、記録ヘッド21と少なくとも1つのタンク103とを接続する。装着部110の上端に開口112が形成されている。
【0048】
インクカートリッジ30は、開口112を通じて上方から下方へ向けて装着部110に挿入されて装着される。インクカートリッジ30は、開口112を通じて下方から上方へ向けて装着部110から抜き出される。図1図2、及び図5には、インクカートリッジ30の装着部110への装着が完了した状態である装着状態が示されている。
【0049】
図2に示されるように、装着状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、タンク103及びインクチューブ20を介して接続されている。記録ヘッド21は、下部筐体13の内部に配置されている。記録ヘッド21は、サブタンク28を備えている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板(不図示)から各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29からインクが吐出される。記録ヘッド21は、キャリッジ34に搭載されている。キャリッジ34は、下部筐体13のフレーム(不図示)によって、左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0050】
複合機10は、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排出トレイ16と、を備えている。給送トレイ15から給送ローラ23によって搬送路24へ給送された用紙2は、搬送ローラ対25によって搬送向き19に搬送される。搬送向き19は、図2に一点鎖線の矢印で示されている。用紙2が搬送ローラ対25によってプラテン26へ搬送されると、キャリッジ34が左右方向に沿って移動する。このとき、記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する用紙に対してインクを吐出する。これにより、用紙2に画像が記録される。プラテン26を通過した用紙2は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流に設けられた排出トレイ16に支持される。排出トレイ16に支持された用紙2は、開口17を通じて排出される。
【0051】
図3に示されるように、搬送路24は、搬送ローラ対25から記録ヘッド21及びプラテン26の間を経て排出ローラ対27へ、前後方向に延びている。搬送路24は、下部筐体13の概ね左右方向の中央部に形成されている。キャリッジ34は、搬送路24が形成された領域(図3における2本の一点鎖線の間の領域)、搬送路24より右方の領域、及び搬送路24より左方の領域へ移動可能である。
【0052】
[装着部110]
図1に示されるように、装着部110は、下部筐体13の右端部に配置された装着部110Aと、下部筐体13の左端部に配置された装着部110Bとを備える。図3に示されるように、装着部110Aは、搬送路24より右方にある。装着部110Bは、搬送路24より左方にある。装着部110A及び装着部110Bは、概ね同構成である。そのため、以下において、装着部110Aの構成が説明され、装着部110Bの構成については、原則省略され、必要に応じて説明される。
【0053】
図2に示されるように、装着部110Aは、ホルダ101と、タンク103と、光学センサ113と、コネクタ130とを備えている。なお、装着部110Aは、光学センサ113を備えていなくてもよい。
【0054】
[ホルダ101]
図2に示されるように、ホルダ101は、装着部110Aの筐体を構成する。ホルダ101は、奥壁81と、底壁82とを備える。奥壁81は、下部筐体13の前壁44の後方に位置しており、前後方向において前壁44と対向している。底壁82は、奥壁81の下端部から前方へ延びている。奥壁81、底壁82、下部筐体13の前壁44、及び下部筐体13の右側壁45によって、ホルダ101の内部空間108が形成されている。右側壁45は、前壁44の右端部から後方へ延びており、下部筐体13の右端を構成している。
【0055】
なお、装着部110Bの場合、ホルダ101の内部空間108は、奥壁81、底壁82、下部筐体13の前壁44、及び下部筐体13の左側壁46によって形成されている。左側壁46は、前壁44の左端部から後方へ延びており、下部筐体13の左端を構成している。
【0056】
図1に示されるように、前壁44の右端部及び左端部に、開口47(透光部の一例)が形成されている。
【0057】
図2に示されるように、底壁82と上下方向に対向するホルダ101の上端は、ホルダ101の内部空間108とホルダ101の外部とを連通する開口112である。
【0058】
図1及び図2に示されるように、ホルダ101の開口112付近には、サブカバー18がある。サブカバー18は、奥壁81の上端部によって回動可能に支持されている。サブカバー18は、カバー14が開位置のときに、奥壁81との連結部分に位置する軸107を中心として矢印105の方向に回動可能である。これにより、サブカバー18は、図1及び図2に破線で示されており開口112を塞ぐ被覆位置と、図1及び図2に実線で示されており開口112を外部へ露出させる開放位置とに回動可能である。
【0059】
図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ30がタンク103に接続されているとき、サブカバー18は開放位置にある。このとき、サブカバー18の被覆位置への移動は、インクカートリッジ30によって阻害されている(図5参照)。一方、インクカートリッジ30がタンク103に接続されていないとき、サブカバー18は被覆位置に回動可能である(図6参照)。サブカバー18は、カバー14が開放位置のときに、回動可能である。カバー14が開放位置のとき、サブカバー18は被覆位置にあってカバー14に上方から覆われている。なお、複合機10は、サブカバー18を備えていなくてもよい。
【0060】
ホルダ101の内部空間108は、不図示の隔壁によって、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。タンク103、光学センサ113、及びコネクタ130は、仕切られた内部空間108それぞれの部屋に配置され得る。なお、内部空間108は、隔壁を備えていなくてもよい。この場合、1つの部屋である内部空間108に、配置すべき全てのタンク103、光学センサ113、及びコネクタ130が配置される。
【0061】
本実施形態において、装着部110Bには、1つのインクカートリッジ30が装着される。そのため、装着部110Bのホルダ101の内部空間108は、複数の部屋に仕切られていない(1つの部屋で構成されている。)。
【0062】
本実施形態では、装着部110Aの3つの部屋の各々には、タンク103及び光学センサ113が配置され、コネクタ130は配置されていない。一方、装着部110Bの1つの部屋には、タンク103、光学センサ113、及びコネクタ130が配置されている。
【0063】
なお、装着部110A、110Bのホルダ101の内部空間108の部屋の数、並びに、当該部屋の各々に配置されるタンク103、光学センサ113、及びコネクタ130の数は、前記の数に限定されない。
【0064】
[タンク103]
図2に示されるように、ホルダ101の内部空間108の下部に、タンク103がある。タンク103は、底壁82に支持されている。
【0065】
上述したように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108は、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。つまり、図3に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108には、3つのタンク103が、左右方向に沿って並列に配置されている。なお、装着部110Bに複数のタンク103が配置される場合に、当該複数のタンク103も左右方向に沿って並列に配置されてもよい。
【0066】
図4(B)に示されるように、タンク103は、概ね直方体形状の筐体117を有している。
【0067】
筐体117は、前壁91と、後壁92と、上壁93と、下壁94と、右側壁95と、左側壁96とを備える。前壁91、右側壁95、及び左側壁96は、第1壁の一例である。前壁91と後壁92とは前後方向に離れている。上壁93は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の上端から後壁92の上端へ延びている。下壁94は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の下端から後壁92の下端へ延びている。上壁93及び下壁94は、前壁91及び後壁92を繋いでいる。右側壁95は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の右端から後壁92の右端へ延びている。左側壁96は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の左端から後壁92の左端へ延びている。右側壁95及び左側壁96は、前壁91及び後壁92を繋いでいる。上壁93と下壁94とは上下方向に離れている。右側壁95と左側壁96とは左右方向に離れている。右側壁95及び左側壁96の周縁は、前壁91、後壁92、上壁93、及び下壁94と連続している。
【0068】
図5に示されるように、筐体117は、内部空間119を有する。内部空間119は、前壁91と、後壁92と、上壁93と、下壁94と、右側壁95と、左側壁96とによって構成される空間である。内部空間119に、インクが貯留可能である。
【0069】
本実施形態では、図1に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋には、左の部屋から順に、シアン色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Cと称する。)、マゼンタ色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Mと称する。)、及びイエロー色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Yと称する。)が配置されている。装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋には、ブラック色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Bと称する。)が配置されている。以下、タンク103C、103M、103Y、103Bを総称してタンク103とも記す。また、本実施形態では、全てのタンク103に、染料インクが貯留されている。
【0070】
なお、各タンク103に貯留されるインクの色は、上述した色に限定されない。また、各タンク103に貯留されるインクの材質は、染料に限定されない。例えば、装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋に配置されたタンク103には、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋に配置されたタンク103に貯留されたインクの比重(第1の比重)よりも大きな比重(第2の比重)のインクが貯留されていてもよい。第2の比重のインクとしては、例えばホワイト色のインクや、顔料インクが挙げられる。第1の比重のインクとしては、例えばシアン、マゼンタ、イエロー色のインクや、染料インクが挙げられる。
【0071】
なお、各部屋に配置されるタンク103に貯留されるインクの色や材質は、前記の例に限らず、適宜設定可能であることは言うまでもない。
【0072】
筐体117は、内部空間119に貯留されたインクを外部から視認可能な透光性を有する。
【0073】
図1に示されるように、筐体117の前壁91は、下部筐体13の前壁44に形成された開口47と前後方向に対向している。これにより、下部筐体13を前方から見た場合に、前壁91は、開口47を通じて視認可能である。前壁91は、透光性を有する。そのため、下部筐体13を前方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、開口47及び前壁91を通じて視認可能である。本実施形態では、タンク103C、103M、103Yに貯留されたインクが、前壁44の右端部に形成された開口47及び前壁91を通じて視認可能であり、タンク103Bに貯留されたインクが、前壁44の左端部に形成された開口47及び前壁91を通じて視認可能である。
【0074】
なお、装着部110Aに装着されるタンク103(本実施形態では、タンク103C、103M、103Y)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁91が、透光性を有していればよい。また、装着部110Bに装着されるタンク103(本実施形態では、タンク103B)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁91が、透光性を有していればよい。
【0075】
また、タンク103B、103C、103M、103Yの全てが、透光性を有する壁を備えていなくてもよいが、タンク103B、103C、103M、103Yの少なくとも一つが、透光性を有する壁を備えていることが好ましく、さらにタンク103B、103C、103M、103Yの全てが、透光性を有する壁を備えていることがなお好ましい。
【0076】
なお、下部筐体13の右側壁45に、筐体117の右側壁95と対向した開口が形成されていてもよい。この場合、右側壁95が透光性を有することによって、下部筐体13を右方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、当該開口及び右側壁95を通じて視認可能である。また、なお、下部筐体13の左側壁46に、筐体117の左側壁96と対向した開口が形成されていてもよい。この場合、左側壁96が透光性を有することによって、下部筐体13を左方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、当該開口及び左側壁96を通じて視認可能である。
【0077】
図4(B)に示されるように、タンク103の筐体117の上壁93に、上壁93を貫通する大気連通孔124が形成されている。これにより、内部空間119は、大気と連通している。また、内部空間119は、インクチューブ20と連通している。これにより、内部空間119に貯留されたインクがインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
【0078】
図5に示されるように、タンク103は、流通管120を備える。流通管120は、上下方向に延びており、上壁93を貫通している。流通管120は、上壁93から上方へ延びている。
【0079】
流通管120は、外周壁122と、隔壁123とを備えている。隔壁123は、外周壁122よりも上方まで延びている。隔壁123は、外周壁122の内部空間を2つの空間に分けている。2つの空間の一方は第1流路125である。2つの空間の他方は第2流路126である。
【0080】
第1流路125は、外周壁122の後部と隔壁123とで囲まれた空間である。第1流路125の一端には開口125Aが形成されており、第1流路125の他端には開口125Bが形成されている。
【0081】
第2流路126は、外周壁122の前部と隔壁123とで囲まれた空間である。第2流路126の一端には開口126Aが形成されており、第2流路126の他端には開口126Bが形成されている。
【0082】
開口125A、126Aは、内部空間119にある。開口125A、126Aは、大気連通孔124より下方にある。開口126Aは、開口125Aより下方にある。
【0083】
開口125B、126Bは、タンク103の外部にある。開口125Bは、内部空間119を第1流路125を介してタンク103の外部に連通させる。開口126Bは、内部空間119を第2流路126を介してタンク103の外部に連通させる。
【0084】
[光学センサ113]
図2及び図5に示されるように、ホルダ101の奥壁81に、光学センサ113が配置されている。光学センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部及び受光部は、左右方向に間隔を空けて対向配置されている。
【0085】
光学センサ113は、発光部から左右方向に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる検知信号をコントローラ1(図2参照)へ出力する。光学センサ113及びコントローラ1は、ケーブル4によって接続されている。例えば、光学センサ113は、発光部から照射された光が受光部で受光できない(つまり、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号をコントローラ1へ出力する。一方、光学センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(つまり、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号をコントローラ1へ出力する。
【0086】
コントローラ1は、複合機10の動作を制御するものであり、例えばCPU、ROM、RAMなどからなるものである。CPU、ROM、RAMなどは制御基板3に実装されている。図1に示されるように、制御基板3は、下部筐体13の内部の右後部に配置されている。図3に示されるように、装着部110Bの光学センサ113と制御基板3とを接続するケーブル4は、装着部110Bから装着部110Aへ向けて、搬送路24の上方であって、記録ヘッド21の前方の空間を通り右方へ配線され、装着部110Aの各タンク103C、103M、103Yに対応して配置された光学センサ113から延びるケーブル4と共に、制御基板3へ向けて後方へ配線されている。装着部110Aの光学センサ113と制御基板3とを接続するケーブル4は、装着部110Aから制御基板3へ向けて後方へ配線されている。なお、制御基板3の配置位置は、下部筐体13の内部の右後部以外であってもよい。ケーブル4の配線は、制御基板3の配置位置に応じて適宜決定される。
【0087】
[コネクタ130]
図2及び図5に示されるように、ホルダ101の奥壁81に、コネクタ130が配置されている。コネクタ130は、4つの接点132を備える。4つの接点132は、左右方向に間隔を空けて並列配置されている。各接点132は、インクカートリッジ30の回路基板64の電極65の各々に対応している。なお、接点132の数は、4つに限らない。
【0088】
接点132は、導電性及び弾性を有する部材で構成されている。接点132は、コネクタ130よりも前方へ突出している。接点132は、不図示の基板に接続されている。これにより、接点132は、同じく当該基板に実装された電気回路と電気的に接続されている。当該電気回路は、ケーブル5によってコントローラ1(図2参照)と電気的に接続されている。ケーブル5は、ケーブル4と同様に配線されている(図2参照)。
【0089】
なお、本実施形態において、コネクタ130は、タンク103B、103C、103M、103Yのうち、タンク103Bに対応するもののみ設けられている。つまり、コネクタ130は、装着部110Bの1つの部屋に対応して設けられており、装着部110Aには設けられていない。しかし、コネクタ130は、タンク103C、103M、103Yの少なくとも1つに対応して設けられていてもよい。つまり、コネクタ130は、装着部110Aの3つの部屋の少なくとも1つの部屋に設けられていてもよい。
【0090】
[インクカートリッジ30]
図4(A)に示されるインクカートリッジ30(貯留体の一例)は、インクが貯留される容器である。3つのインクカートリッジ30が、装着部110Aのホルダ101の3つに区切られた内部空間108(図3参照)の各々の部屋に収容される。また、1つのインクカートリッジ30が、装着部110Bのホルダ101の内部空間108(図3参照)に収容される。
【0091】
上述したように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108は、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。つまり、図3に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108に装着された3つのインクカートリッジ30が、左右方向に沿って並列に配置されている。なお、装着部110Bに複数のインクカートリッジ30が配置される場合に、当該複数のインクカートリッジ30も左右方向に沿って並列に配置されてもよい。
【0092】
内部空間108の各部屋に配置されるインクカートリッジ30に貯留されたインクの色は、当該各部屋に配置されたタンク103に貯留されたインクの色と同色である。つまり、本実施形態では、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋には、左の部屋から順に、シアン色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Cと称する。)、マゼンタ色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Mと称する。)、及びイエロー色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Yと称する。)が装着される。装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋には、ブラック色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Bと称する。)が装着される。すなわち、インクカートリッジ30Cはタンク103Cと接続され、インクカートリッジ30Mはタンク103Mと接続され、インクカートリッジ30Yはタンク103Yと接続され、インクカートリッジ30Bはタンク103Bと接続される。以下、インクカートリッジ30C、30M、30Y、30Bを総称してインクカートリッジ30とも記す。
【0093】
なお、内部空間108に配置されるインクカートリッジ30の数や、各部屋に配置されるインクカートリッジ30に貯留されたインクの色、材質は、装着部110の構成(装着部110のホルダ101の内部空間108の部屋の数や、各タンク103に貯留されるインクの色、材質)に応じて決定される。
【0094】
インクカートリッジ30C、30M、30Y、30Bは、インクカートリッジ30Bがインクカートリッジ30C、30M、30Yよりも大きいことを除いて概ね同構成である。そのため、以下において、インクカートリッジ30Bの構成が説明され、インクカートリッジ30C、30M、30Yの構成については、原則省略され、必要に応じて説明される。なお、以下では、インクカートリッジ30Bの構成が説明されるが、便宜上、インクカートリッジ30Bをインクカートリッジ30と記す。
【0095】
図4(A)及び図5に示されるように、インクカートリッジ30は、筐体31と、突起67と、回路基板64とを備える。以下のインクカートリッジ30の構成の説明において、特に記載のない限り、インクカートリッジ30が起立姿勢(タンク103に接続された姿勢であり、図5に示された姿勢)であるとして、前後方向、上下方向、及び左右方向が定義される。
【0096】
図4(A)に示されるように、筐体31は、概ね直方体形状である。筐体31は、全体として、左右方向に沿った寸法が前後方向に沿った寸法よりも小さく、上下方向及び前後方向それぞれに沿った寸法が、左右方向に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。
【0097】
筐体31は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、右側壁37と、左側壁38とを備える。前壁40と後壁41とは前後方向に離れている。上壁39は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の上端から後壁41の上端へ延びている。下壁42は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の下端から後壁41の下端へ延びている。上壁39及び下壁42は、前壁40及び後壁41を繋いでいる。右側壁37は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の右端から後壁41の右端へ延びている。左側壁38は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の左端から後壁41の左端へ延びている。右側壁37及び左側壁38は、前壁40及び後壁41を繋いでいる。上壁39と下壁42とは上下方向に離れている。右側壁37と左側壁38とは左右方向に離れている。右側壁37及び左側壁38の周縁は、前壁40、後壁41、上壁39、及び下壁42と連続している。
【0098】
図5に示されるように、筐体31は、内部空間151を有する。内部空間151は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、右側壁37と、左側壁38とによって構成される空間である。内部空間151には、インクが貯留可能である。
【0099】
図2に示されるように、筐体31は、サブカバー18が開放位置である状態で、開口112を通じてホルダ101に対して下方に向けて挿入されて装着され、上方に向けて抜き出される。
【0100】
筐体31は、内部空間151に貯留されたインクを外部から視認可能な透光性を有する。
【0101】
図1に示されるように、装着状態において、筐体31の前壁40は、下部筐体13の前壁44に形成された開口47と前後方向に対向している。これにより、下部筐体13を前方から見た場合に、前壁40は、開口47を通じて視認可能である。また、前壁40は、透光性を有するため、下部筐体13を前方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、開口47及び前壁40を通じて視認可能である。本実施形態では、インクカートリッジ30C、30M、30Yに貯留されたインクが、前壁44の右端部に形成された開口47及び前壁40を通じて視認可能であり、インクカートリッジ30Bに貯留されたインクが、前壁44の左端部に形成された開口47及び前壁40を通じて視認可能である。
【0102】
なお、装着部110Aに装着されるインクカートリッジ30(本実施形態では、インクカートリッジ30C、30M、30Y)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁40とが、透光性を有していればよい。また、装着部110Bに装着されるインクカートリッジ30(本実施形態では、インクカートリッジ30B)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁40が、透光性を有していればよい。
【0103】
なお、下部筐体13の右側壁45に、筐体31の右側壁37と対向した開口が形成されていてもよい。この場合、右側壁37が透光性を有することによって、下部筐体13を右方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、当該開口及び右側壁37を通じて視認可能である。また、なお、下部筐体13の左側壁46に、筐体31の左側壁38と対向した開口が形成されていてもよい。この場合、左側壁38が透光性を有することによって、下部筐体13を左方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、当該開口及び左側壁38を通じて視認可能である。
【0104】
また、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの全てが、透光性を有する壁を備えていなくてもよいが、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの少なくとも一つが、透光性を有する壁を備えていることが好ましく、さらにインクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの全てが、透光性を有する壁を備えていることがなお好ましい。
【0105】
図4(A)に示されるように、筐体31の下壁42に、貫通孔152が形成されている。内部空間151は、貫通孔152を通じて外部と連通している。内部空間151に貯留されたインクは、貫通孔152を通じて外部へ流通可能である。但し、本実施形態において、下壁42の外面に貼付されたシール153によって、貫通孔152は塞がれている。そのため、内部空間151に貯留されたインクの外部へ流通は規制されている。
【0106】
なお、貫通孔152を塞ぐ手段は、シール153に限らない。例えば、所謂ダックビル型のバルブが貫通孔152に取り付けられていてもよい。また、例えば、内部空間151に配置された移動可能なバルブがコイルバネに付勢されることによって貫通孔152が閉じられ、当該バルブが流通管120に押されて移動することによって貫通孔152が開かれるような構成でもよい。
【0107】
図3に示されるように、インクカートリッジ30が装着部110に装着されているとき(換言すると、インクカートリッジ30がタンク103に接続されているとき)、インクカートリッジ30は、下部筐体13の前後方向の中央位置P1よりも前方にある。つまり、インクカートリッジ30は、中央位置P1よりも前側壁162に近い位置にある。
【0108】
図5に示されるように、インクカートリッジ30が装着部110に装着されているとき、インクカートリッジ30の上端部は、下部筐体13よりも上方に突出している。これにより、カバー14が被覆位置のとき、インクカートリッジ30の上端部は、カバー14の内部空間166にある。つまり、カバー14が被覆位置のとき、インクカートリッジ30の上端(本実施形態では、上壁39の上面)は、前側壁162の下端162Aよりも上方にある。また、図5に示されるように、インクカートリッジ30が装着部110に装着されているとき、インクカートリッジ30に貯留されているインクの液面は、前側壁162の下端162Aよりも上方にある。もちろん、インクカートリッジ30に貯留されているインクが消費されると、インクカートリッジ30に貯留されているインクの液面が前側壁162の下端162Aよりも下方になり得る。
【0109】
ここで、上述したように、カバー14が被覆位置のときの複合機10を上方から見た場合に、スキャナ筐体167は、後述する装着部110と重複していない。そのため、内部空間166にあるインクカートリッジ30の上端部は、スキャナ筐体167と干渉することはない。
【0110】
[突起67]
図4(A)及び図5に示されるように、筐体31の後壁41に、後方に突出する突起67がある。突起67は、上下方向に延びている。
【0111】
突起67の右面または左面は、装着部110の光学センサ113が照射する光が当たる面である。本実施形態において、突起67は、例えば光を遮断または減衰可能な色材料(黒色顔料)を含む樹脂製の板である。その他の形態としては、突起67の少なくとも光遮断面に、アルミ箔などの光が透過不能な材料が貼り付けられたものであってもよい。
【0112】
[回路基板64]
図4(A)及び図5に示されるように、筐体31の後壁41に回路基板64が取り付けられている。回路基板64は、突起67より下方にある。なお、回路基板64の位置は、突起67より下方に限らない。回路基板64は、基板63と、メモリ(不図示)と、電極65とを有する。
【0113】
なお、本実施形態において、回路基板64は、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yのうち、インクカートリッジ30Bにのみ設けられている。つまり、回路基板64は、インクカートリッジ30C、30M、30Yには設けられていない。しかし、回路基板64は、インクカートリッジ30C、30M、30Yの少なくとも1つに設けられていてもよい。
【0114】
回路基板64は、ガラスエポキシなどで形成されたリジッド基板である基板63に、メモリが搭載され、4つの電極65が形成されたものである。なお、電極65の数は、装着部110の接点132の数に応じて決定されるものであり、4つに限定されない。
【0115】
メモリは、基板63の裏面(後壁41を向く面)に実装されている。なお、本実施形態では、基板63が後壁41に取り付けられる際に、後壁41におけるメモリに対応する位置には、メモリを収容可能な凹部(不図示)が形成されている。なお、メモリの実装位置は、基板63の裏面に限らない。
【0116】
メモリには、インクカートリッジ30に関する情報が複合機10のコントローラ1(図2参照)によって読み出し可能に格納されている。インクカートリッジ30に関する情報は、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータである。ほかにも、インクの消費量などインクカートリッジ30に貯留されるインク量に関する情報などが記憶されてもよい。メモリは、例えばFRAM(登録商標)などの不揮発性メモリや、SRAMなどの揮発性メモリといった半導体メモリである。
【0117】
4つの電極65の各々は、装着部110の4つの接点132の各々に対応している。図4(A)に示されるように、4つの電極65は、電気的に接続可能に露出されている。各電極65は、それぞれが上下方向に沿って延びている。各電極65は、左右方向に離間されて並んでいる。各電極65はメモリと電気的に接続されている。
【0118】
[インクカートリッジ30が装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30が装着部110のホルダ101に装着される動作が説明される。
【0119】
図4(A)に示されるように、装着部110に装着されていないインクカートリッジ30において、貫通孔152はシール153によって封止されているため、内部空間151に貯留されたインクが外部へ流出することが防止されている。
【0120】
また、インクカートリッジ30が装着されていない装着部110において、光学センサ113の発光部と受光部との間には、他の部材がない。これにより、光が発光部から受光部に進むことができる。このとき、光学センサ113は、ハイレベルの検知信号をコントローラ1(図2参照)へ出力する。コントローラ1は、光学センサ113からハイレベルの検知信号を受け取ると、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていないと判断する。
【0121】
最初に、カバー14(図1参照)が被覆位置から開放位置へ回動される。これにより、下部筐体13の上端が開放され、サブカバー18が露出される。次に、サブカバー18が被覆位置から開放位置へ回動される。これにより、開口112が露出される。
【0122】
インクカートリッジ30は、ホルダ101の上方から開口112を通じてホルダ101の内部空間108へ挿入される。なお、本実施形態において、インクカートリッジ30は、下方へ向けてホルダ101へ挿入されるが、これに限らず、インクカートリッジ30は、上下方向に対して傾斜した方向(下斜め方向)へ向けてホルダ101へ挿入されてもよい。
【0123】
図5に示されるように、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、流通管120が、インクカートリッジ30の下方からシール153を突き破って貫通孔152を貫通して、インクカートリッジ30の内部空間151へ進入する。つまり、流通管120が貫通孔152に接続される。これにより、内部空間151に貯留されているインクが、流通管120を介してタンク103の内部空間119へ流通することが可能になる。
【0124】
なお、貫通孔152の周縁には、ゴムなどの弾性体で構成されたリング部材(不図示)が取り付けられている。リング部材は、貫通孔152を貫通した流通管120の外周面に液密に密着する。
【0125】
また、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、突起67が光学センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、突起67は、光が発光部から受光部に進むのを遮断している。このとき、光学センサ113は、ローレベルの検知信号をコントローラ1(図2参照)へ出力する。コントローラ1は、光学センサ113からローレベルの検知信号を受け取ると、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていると判断する。
【0126】
また、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、回路基板64の各電極65は、前方から対応する各接点132に接触する。各電極65が対応する接点132と接触して導通することによって、電圧Vcが電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。また、接点132と電極65との導通により、回路基板64に実装されたメモリがコントローラ1(図2参照)と導通する。これにより、コントローラ1は、メモリにアクセス可能となる。その結果、メモリに格納されたデータは、コントローラ1に入力される。
【0127】
インクカートリッジ30がホルダ101から抜き出されるとき、カバー14が被覆位置から開放位置へ回動される。次に、ユーザは、インクカートリッジ30を把持して、インクカートリッジ30を上方へ引っ張る。これにより、貫通孔152から流通管120が抜けて、インクカートリッジ30がホルダ101から抜き出される。その後、サブカバー18が開放位置から被覆位置へ回動され、カバー14が開放位置から被覆位置へ回動される。
【0128】
以下、図5に示される装着状態におけるインクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給が説明される。本実施形態では、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、以下に詳述するように、所謂チキンフィード方式で行われる。
【0129】
インクカートリッジ30がタンク103へ接続されて、流通管120の開口125B、126Bがインクカートリッジ30の内部空間151に位置するようになると、内部空間151とタンク103の内部空間119とが第1流路125及び第2流路126を通じて連通する。これにより、図5に一点鎖線の矢印で示されるように、内部空間151に貯留されたインクが、開口126Bを介して第2流路126へ流通し、第2流路126の開口126Aから内部空間119へ流通する。また、インクの流通に際して、図5に破線の矢印で示されるように、空気が大気連通孔124から内部空間119に入り込み、第1流路125から開口125Bを介して内部空間151に流入する。ここで、インクカートリッジ30からタンク103へ流通するインクの体積と、タンク103からインクカートリッジ30へ流通する空気の体積とは、ほぼ同じである。このようにして、いわゆる気液置換が行われる。
【0130】
内部空間119にインクが流入することにより、内部空間119のインクの液面が上昇して第1流路125の開口125Aに達すると、第1流路125と内部空間151との間の空気の流通が遮断される。これにより、内部空間119から内部空間151への空気の流通が停止される。そのため、内部空間151から内部空間119へのインクの流通が停止される。
【0131】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、インクカートリッジ30は、カバー14の前側壁162の下端より上方まで延びている。つまり、本実施形態のインクカートリッジ30は、上下方向の長さを、カバー14の前側壁162の下端より下方までしか延びていないインクカートリッジ30よりも長くすることができる。これにより、下部筐体13の設置面積を大きくすることなくインクカートリッジ30を大容量化することができる。
【0132】
本実施形態によれば、カバー14が開放位置へ移動したときに、インクカートリッジ30に近い前側壁162がインクカートリッジ30から離れるため、インクカートリッジ30が取り出しやすくなる。
【0133】
インクカートリッジ30が下部筐体13より上方まで延びている場合、インクカートリッジ30の上部が上方からの衝撃によって破損するおそれがある。本実施形態によれば、カバー14によって、前記の破損の可能性を低くすることができる。
【0134】
本実施形態によれば、カバー14のうちスキャナ12が占めていない空間をインクカートリッジ30の上部が占めることができる。
【0135】
本実施形態によれば、下部筐体13における搬送路24の左右の領域にタンク103及びインクカートリッジ30を配置する場合、搬送路24の左右の一方側に全てのタンク103及びインクカートリッジ30を配置する場合よりも、搬送路24の左右両側方の領域に分けてタンク103及びインクカートリッジ30を分けたほうが、下部筐体13の左右方向のサイズを大型化することなく各タンク103のサイズを左右方向に大型化することが容易である。
【0136】
本実施形態によれば、インクカートリッジ30がタンク103に接続された状態において、タンク103に貯留されたインクが消費されてインクの液面が第1流路125の下端にある開口125Aよりも低くなると、空気が大気連通孔124からタンク103内に入り込み、第1流路125を通じてインクカートリッジ30内に入り込む。そして、インクカートリッジ30内に入り込んだ空気の体積分のインクがインクカートリッジ30から第2流路126を通じてタンク103内へ供給される。タンク103内のインクの液面が第1流路125の開口125Aに達すると、インクの供給は停止される。これにより、タンク103に貯留されたインクの液面を一定に維持することができる。
【0137】
[変形例]
上記実施形態において、前側壁162、後側壁163、右側壁164、及び左側壁165の上下方向の長さは、同一であったが、異なっていてもよい。
【0138】
例えば、図7及び図13に示されるように、カバー14において、後側壁163が前側壁162よりも長く下方まで延びていてもよい。図7に示される構成では、後側壁163が第2壁に相当し、前側壁162が第3壁に相当する。
【0139】
図7及び図13に示される構成では、カバー14が被覆位置であり且つインクカートリッジ30がタンク103に接続されているとき、前側壁162の下端162Aは、インクカートリッジ30の上端よりも上方にある。
【0140】
図7及び図13に示される構成においても、上記実施形態と同様に、前壁44の右端部及び左端部に、開口47が形成されている。タンク103に接続されたインクカートリッジ30と前後方向に対向している。開口47は、開口47の上端47Aは、タンク103に接続されたインクカートリッジ30よりも上方にある。
【0141】
図7及び図13に示される構成によれば、前側壁162の下端がインクカートリッジ30の上端より上方にあるため、下部筐体13の前壁44を、インクカートリッジ30の上端より上方へ延ばすことができる。これにより、前方からの下部筐体13への衝撃がインクカートリッジ30へ直接及ぶことを、前壁44によって規制することができる。
【0142】
仮に、カバー14が被覆位置であり且つインクカートリッジ30がタンク103に接続されているときに、前側壁162がインクカートリッジ30の上端よりも下方まで延びている場合、前壁44が開口47を備えていても、カバー14が被覆位置のときにインクカートリッジ30の上部(インクカートリッジ30における前後方向に前側壁162と対向している部分)を開口47を通じて視認することは、前側壁162によって阻害されるために不可能である。しかし、図7及び図13に示される構成では、カバー14が被覆位置であり且つインクカートリッジ30がタンクに接続されているときに、前側壁162の下端はインクカートリッジ30の上端よりも上方にある。そのため、図7及び図13に示されるように、インクカートリッジ30の上部を視認可能な位置にまで、開口47を設けることができる。
【0143】
上記実施形態では、図5及び図6に示されるように、開放位置のサブカバー18(図5参照)は、被覆位置のサブカバー18(図6参照)よりも上方に位置していた。しかし、上記実施形態とは逆に、図8及び図9に示されるように、開放位置のサブカバー18(図8参照)は、被覆位置のサブカバー18(図9参照)よりも下方に位置していてもよい。なお、この場合、サブカバー18を被覆位置へ付勢するコイルバネなどの付勢部材(不図示)が設けられることが望ましい。
【0144】
上記実施形態では、図5及び図6に示されるように、サブカバー18は、回動することによって開放位置及び被覆位置に移動していた。しかし、サブカバー18の移動手段は、回動に限らない。例えば、サブカバー18は、図10及び図11に示されるように、前後方向にスライド可能に下部筐体13によって支持されていてもよい。この場合、サブカバー18は、前後方向にスライドすることによって、図10に示される開放位置、及び図11に示される被覆位置に移動する。
【0145】
上記実施形態では、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、チキンフィード方式で行われたが、チキンフィード方式以外で行われてもよい。例えば、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、インクカートリッジ30の内部空間151に貯留されたインクの液面と、タンク103の内部空間119に貯留されたインクの液面との水頭差によって行われてもよい。この場合、インクカートリッジ30の筐体31に、内部空間151を外部と連通させて大気開放する大気開放孔が形成される。
【0146】
上記実施形態では、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクは、下部筐体13に形成された透光部の一例である開口47を介して視認可能であった。しかし、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクを視認するための手段は、透光性を有するものであればよく、開口47に限らない。例えば、開口47に透明な板が張り付けられていてもよい。この場合、当該板は、透光性を有するため、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクは、当該板を介して視認可能である。前壁44に設けられた板は、透光部の一例である。
【0147】
上記実施形態では、カバー14は、回動によって被覆位置及び開放位置に移動したが、回動以外(例えば前後へのスライド)によって被覆位置及び開放位置に移動してもよい。
【0148】
上記実施形態では、回路基板64や突起67を備えたインクカートリッジ30がタンク103に接続されたが、タンク103に接続される貯留体は、インクカートリッジ30に限らない。例えば、貯留体として、回路基板64や突起67を備えていないボトルがタンク103に接続されてもよい。この場合、ボトルに貯留されたインクがタンク103へ流通される手段は、上述したようなチキンフィード方式による手段や水頭差による手段でもよいし、それ以外の手段(例えば、ボトルがポンピングされることによって、ボトルに貯留されたインクがタンク103へ流通される手段)でもよい。
【0149】
貯留体の形状は、インクカートリッジ30のように直方体であってもよいし、それ以外の形状でもよい。上記のボトルが円筒形状に構成されていてもよい。また、タンク103の形状も直方体に限らない。
【0150】
例えば、図12に示されるように、装着部110の内部空間108の上方において、スキャナ筐体167によって示されていないカバー14の内部空間166が内部空間108より大きく拡がっている場合、インクカートリッジ30のうち内部空間166に位置する部分が、インクカートリッジ30のうち内部空間108に位置する部分よりも大きく構成されていてもよい。
【0151】
上記実施形態では、装着部110は、下部筐体13における搬送路24より右方に配置された装着部110Aと、下部筐体13における搬送路24より左方に配置された装着部110Bとを備えていた。しかし、装着部110は、下部筐体13における搬送路24より右方または左方の一方にのみ配置されていてもよい。
【0152】
上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液が液体カートリッジに貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水が液体カートリッジに貯留されていてもよい。
【符号の説明】
【0153】
13・・・下部筐体(筐体)
14・・・上部筐体(カバー)
21・・・記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
30・・・インクカートリッジ(貯留体)
103・・・タンク
120・・・流通管
152・・・貫通孔(液体流通孔)
161・・・天壁(第1壁)
162・・・前側壁(第2壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13