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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】鍵盤楽器
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20240910BHJP
   G10B 3/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G10H1/34
G10B3/12 100
G10B3/12 130
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023077632
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2018195935の分割
【原出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2023090912
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】星野 暁久
(72)【発明者】
【氏名】谷口 弘和
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-160260(JP,A)
【文献】特開2012-145728(JP,A)
【文献】米国特許第05696340(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-7/12
G10B 1/00-3/24
G10C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵と、
前記鍵ごとに設けられ、ハンマー本体と、前記ハンマー本体を回動可能に支持する支持軸と、を備えるハンマー部材と、
を備え、
前記ハンマー部材には、押鍵時に前記支持軸を中心に前記鍵に押し下げられる接触部材が取り付けられ、
前記接触部材は、前記押鍵時に前記鍵に接触しない溝部と、前記溝部の両端側に、前記押鍵時に前記鍵に接触するように、前記溝部より上方に突出しているとともに前記鍵の配列方向にそれぞれ突出している幅広の両端部と、を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤楽器において、
前記鍵は、前記押鍵時に前記接触部材の前記両端部を押し下げる押下部を有することを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤楽器において、
前記鍵は、前記押下部における前記鍵の配列方向の中央に、前記鍵の長手方向に沿って連続して突出する鍵側突出部を有することを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項4】
請求項3に記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材における前記溝部と前記鍵側突出部との間に潤滑剤が設けられていることを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項5】
請求項4に記載の鍵盤楽器において、
前記押鍵に伴って前記鍵側突出部が前記溝内を移動することによって前記両端部に前記潤滑剤を補給することを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項6】
請求項4に記載の鍵盤楽器において、
前記鍵には、貫通孔を有するハンマー押圧部が設けられ、
前記鍵側突出部は、前記貫通孔において、前記接触部材側に突出するように設けられ、
前記鍵側突出部と前記接触部材の前記溝の内壁とのクリアランスが、前記接触部材の前記両端部の側面部分と前記貫通孔の内壁とのクリアランスより大きく設定されていることを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材の面は、湾曲面を有し、前記押鍵時に前記鍵の前記押下部が押し下げる前記接触部材の前記両端部の位置が変化することを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の鍵盤楽器において、
前記複数の鍵は、白鍵及び黒鍵であって、
前記白鍵に対応する前記ハンマー部材に用いられる前記接触部材と、前記黒鍵に対応する前記ハンマー部材に用いられる前記接触部材とは、異なる形状を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材は、前記ハンマー部材に設けられた接触部材取付け部が挿入される開口部と、前記開口部に対し、前記鍵の配列方向にそれぞれ配置される両側部と、を備え、
前記両端部における前記鍵の配列方向に突出している各先端は、前記両側部に対してそれぞれ前記鍵の配列方向に突出していることを特徴とする鍵盤楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノ等の鍵盤装置を備えた鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノ等の電子鍵盤楽器においては、アコースティックピアノと同様の鍵盤の操作感を実現するため、例えば特許文献1に記載されているような鍵盤装置が知られている。この鍵盤装置においては、鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に支持された鍵(白鍵、黒鍵)と、鍵への押鍵操作に連動して回動し、鍵にアクション荷重を付与するハンマー部材とを有し、鍵とハンマー部材との連結部において、鍵側に設けられた突起部がハンマー部材側に取り付けられた連結部材(又は受け部材)の凹部底面に摺接して移動する構造を有している。ここで、連結部材(又は受け部材)は、連結部における摺接に起因する摩耗やノイズの発生を抑制するために、可撓性材料が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-145728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような構造を有する鍵盤装置においては、鍵側の突起部の先端のみがハンマー部材側の連結部材の一面(凹部底面)に常時摺接して移動するため、可撓性を有する連結部材が摩擦により摩耗したり、押鍵時の強い衝撃により変形や脱落したりして、ハンマー部材が正常に回動せず、押鍵時の異常な振動や異音の発生等の不具合の原因になる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、押鍵時の不具合の発生を抑制して安定した押鍵操作を行うことができる鍵盤楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鍵盤楽器は、複数の鍵と、前記鍵ごとに設けられ、ハンマー本体と、前記ハンマー本体を回動可能に支持する支持軸と、を備えるハンマー部材と、を備え、前記ハンマー部材には、押鍵時に前記支持軸を中心に前記鍵に押し下げられる接触部材が取り付けられ、前記接触部材は、前記押鍵時に前記鍵に接触しない溝部と、前記溝部の両端側に、前記押鍵時に前記鍵に接触するように、前記溝部より上方に突出しているとともに前記鍵の配列方向にそれぞれ突出している幅広の両端部と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、安定した押鍵操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る鍵盤楽器の第1の実施形態を示す外観図である。
図2】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される鍵盤ユニットの一例を示す概略図である。
図3】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。
図4】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。
図5】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵を示す概略図である。
図6】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵を示す概略図である。
図7】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマーユニットを示す概略図である。
図8】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材を示す概略図である。
図9】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵用のハンマーキャップを示す概略図である。
図10】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵用のハンマーキャップを示す概略図である。
図11】第1の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材と鍵との連結構造を示す概略図である。
図12】第2の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマーキャップを示す概略図である。
図13】第2の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。
図14】第2の実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。
図15】第2の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材と鍵との連結状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
<第1の実施形態>
(鍵盤楽器)
図1は、本発明に係る鍵盤楽器の第1の実施形態を示す外観図である。また、図2は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される鍵盤ユニットの一例を示す概略図である。ここでは、鍵盤楽器の一例として電子ピアノを示して説明するが、ユーザ(演奏者)の押鍵操作に応じて楽音を発音するものであれば他の電子鍵盤楽器であってもよい。
【0010】
本発明に係る鍵盤楽器100の外観は、例えば図1に示すように、楽器本体102に対してユーザ側となる一面側(図面手前側)の上部に、演奏操作子としての複数の鍵を有し、音高を指定するための鍵盤ユニット104と、鍵盤ユニット104の後方側(図面奥側)にあって、図示を省略したスピーカ等が収納される楽器本体102の上面を覆う天板106と、天板106に付設された譜面台108と、ユーザの足下となる楽器本体102の下部に、主に押鍵時の音の響きを調整するためのピアノペダル110と、を備えている。なお、図示を省略したが、鍵盤楽器100は、鍵盤ユニット104の周辺に、音量調整や音色選択等の操作を行うためのスイッチ類や、演奏中の楽曲に関する情報や各種の設定情報等を表示するための表示パネル等が配置されているものであってもよい。
【0011】
鍵盤ユニット104は、図1図2に示すように、鍵盤楽器100の左右方向(図面左右方向;鍵の配列方向)に複数の白鍵20及び黒鍵30が所定の順序で規則的に配列されている。ここでは、鍵盤ユニット104は、合計88個の白鍵20及び黒鍵30が配列されている。鍵盤ユニット104の後方側(図面奥側)は、楽器本体102の内部に収納され、楽器本体102から露出した前方側(図面手前側)の領域がユーザによる押鍵操作が行われる領域となる。なお、本願明細書においては、「鍵」と記載した場合には、特に言及しない限り白鍵及び黒鍵に共通する事項を指す。また、以降の説明では白鍵について詳しく説明し、黒鍵について白鍵と同等又は同一の構成や動作を有する場合にはその説明を簡略化又は省略する。
【0012】
図3は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵の鍵盤機構を示す概略断面図であり、図4は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。ここで、図3(a)、図4(a)は、押鍵操作を行っていない初期状態を示す図であり、図3(b)、図4(b)は、押鍵操作を行っている状態を示す図である。
【0013】
鍵盤ユニット104の白鍵20は、例えば図3に示すような鍵盤機構を有し、また、黒鍵30は、例えば図4に示すような鍵盤機構を有している。白鍵20及び黒鍵30の鍵盤機構は、具体的には図3及び図4に示すように、白鍵20及び黒鍵30が上下方向に回動可能に取り付けられた共通の鍵盤シャーシ10と、鍵盤シャーシ10に取り付けられた白鍵20及び黒鍵30のそれぞれに対する押鍵操作に伴ってアクション荷重を付与するためのハンマーユニット12と、白鍵20及び黒鍵30に対する押鍵操作に応じてオン動作するスイッチ部14と、を備えている。ここで、鍵盤ユニット104のうちの白鍵20及び黒鍵30以外は、楽器本体102の内部に収納されている。
【0014】
白鍵20が取り付けられる鍵盤シャーシ10の部分には、図3(a)、(b)に示すように、ユーザ側となる前端部(図面右端部)に、鍵盤シャーシ10の底部から図面上方の白鍵20に向かって突出する前脚部202が設けられている。この前脚部202の上部には、白鍵20の回動時に鍵の配列方向(図の紙面に垂直方向)への横振れを防ぐための白鍵ガイド部204が各白鍵20に対応して設けられている。また、鍵盤シャーシ10の前脚部202の前方側(図面右方側)の上部及び下部には、白鍵20への押鍵操作に応じて、白鍵20が回動する際の上限位置及び下限位置を規制するための上限ストッパ部206及び下限ストッパ部208が設けられている。また、鍵盤シャーシ10の前脚部202の後方側(図面左方側)には、前脚部202と同等の高さで鍵盤シャーシ10の底部から突出するように、後述するハンマーユニット12が取り付けられるユニット取付け部210が設けられている。
【0015】
また、鍵盤シャーシ10のユニット取付け部210の後方側(図面左方側)には、基板取付け部212が設けられ、白鍵20への押鍵操作に応じてオン動作するスイッチ部14を搭載した発音用基板214が基板取付け部212に取り付けられている。ここで、発音用基板214は、複数配列されている白鍵20及び黒鍵30に対して共通に設けられ、発音用基板214上には各白鍵20及び黒鍵30に個別に対応するようにスイッチ部14が複数搭載されている。また、発音用基板214には、白鍵20への押鍵操作に応じてオン動作したスイッチ部14から出力されるオン信号に基づいて楽音情報を生成し、この楽音情報に基づいて楽器本体102の内部に収納されたスピーカから楽音を発音させる発音部(図示を省略)が設けられている。
【0016】
また、鍵盤シャーシ10の基板取付け部212のさらに後方側(図面左方側)には、白鍵取付け部216が設けられ、白鍵20の後端部(図面左端部)が、白鍵20を上下方向に回動可能に支持する支持軸218を介して白鍵取付け部216に取り付けられている。
【0017】
また、鍵盤シャーシ10の白鍵取付け部216の後方側(図面左方側)の後端部(図面左端部)には、白鍵取付け部216が設けられた鍵盤シャーシ10の上部から底部に向けて垂下する後脚部220が設けられている。この後脚部220の上部及び下部には、白鍵20への押鍵操作に応じて後述するハンマーユニット12のハンマー部材40が回動する際の上限位置及び下限位置を規制するための上限ストッパ部222及び下限ストッパ部224が設けられている。上述した鍵盤シャーシ10の前脚部202に設けられる上限ストッパ部206及び下限ストッパ部208、並びに、後脚部220に設けられる上限ストッパ部222及び下限ストッパ部224は、例えばフェルト等の弾性部材が適用される。
【0018】
一方、黒鍵30が取り付けられる鍵盤シャーシ10の部分には、図4(a)、(b)に示すように、図3(a)、(b)に示した鍵盤シャーシ10のユニット取付け部210の上部に、黒鍵30の回動時に鍵の配列方向(図の紙面に垂直方向)への横振れを防ぐための黒鍵ガイド部232が各黒鍵30に対応して設けられている。なお、鍵盤シャーシ10のユニット取付け部210の後方側(図面左方側)に設けられる基板取付け部212や発音用基板214、及び、鍵盤シャーシ10の後端部(図面左端部)に設けられる後脚部220や上限ストッパ部222、下限ストッパ部224は、図3(a)、(b)に示した鍵盤シャーシ10と同等又は同一である。
【0019】
また、鍵盤シャーシ10の基板取付け部212の後方側(図面左方側)には、黒鍵取付け部234が設けられ、図3(a)、(b)に示した鍵盤シャーシ10と同様に、黒鍵30の後端部(図面左端部)が、黒鍵30を上下方向に回動可能に支持する支持軸236を介して黒鍵取付け部234に取り付けられている。ここで、白鍵取付け部216及び黒鍵取付け部234は、複数配列されている白鍵20及び黒鍵30の配列方向(図の紙面に垂直方向)に沿って等間隔で個別に設けられている。
【0020】
図5は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵を示す概略図であり、図6は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵を示す概略図である。ここで、図5(a)、図6(a)は、鍵の斜視図であり、図5(b)、図6(b)は、鍵の断面図である。
【0021】
白鍵20は、図3及び図5に示すように、ユーザにより押鍵操作される上面21がユーザ側となる前方側(図3図5(b)の右方側、図5(a)の手前側)から楽器本体102の内部側となる後方側(図3図5(b)の左方側、図5(a)の奥側)に向かって延在し、後端部(図3図5(b)の左端部、図5(a)の奥側端部)が、白鍵20を上下方向に回動可能に支持する支持軸218を介して鍵盤シャーシ10の白鍵取付け部216に取り付けられている。
【0022】
白鍵20が延在する長手方向(図3図5(b)の左右方向)の中央から後方寄り(図3図5(b)の左方寄り)には、白鍵20への押鍵操作の際に、鍵盤シャーシ10の基板取付け部212に取り付けられたスイッチ部14を押圧してオン動作させるためのスイッチ押圧部22が白鍵20の下面側から図面下方の鍵盤シャーシ10に向かって突出して設けられている。
【0023】
また、白鍵20のスイッチ押圧部22の前方側(図3図5(b)の右方側)には、貫通孔を有するハンマー連結部24を備えたハンマー押圧部23が白鍵20の下面側から図面下方の鍵盤シャーシ10に向かって突出して設けられている。ハンマー連結部24の貫通孔には、上側の内壁における鍵の配列方向(図3図5(b)の紙面に垂直方向)の中央付近に、貫通孔の貫通方向(鍵の長手方向)に沿って連続して突出する鍵側突出部29が設けられている。そして、ハンマー連結部24の貫通孔には、後述するハンマーユニット12のハンマー部材40の力点部である鍵連結部50が挿入されて、貫通孔の内壁に摺接するように係合されている。
【0024】
また、白鍵20の前端部(図3図5(b)の右端部、図5(a)の手前側端部)には、白鍵20の上面21から図面下方の鍵盤シャーシ10に向かって突出する前脚部25が設けられている。この前脚部25には、押鍵操作に応じて白鍵20が回動する際に横振れを防ぐために設けられた鍵盤シャーシ10の白鍵ガイド部204に摺接するガイド面26と、回動する白鍵20の上限位置及び下限位置を規制するための鍵盤シャーシ10の上限ストッパ部206及び下限ストッパ部208に当接するストッパ面27、28とが設けられている。
【0025】
一方、黒鍵30は、図4及び図6に示すように、押鍵操作される上面31が前方側(図4図6(b)の右方側、図6(a)の手前側)から後方側(図4図6(b)の左方側、図6(a)の奥側)に向かって延在し、後端部(図4図6(b)の左端部、図6(a)の奥側端部)が、黒鍵30を上下方向に回動可能に支持する支持軸236を介して鍵盤シャーシ10の黒鍵取付け部234に取り付けられている。
【0026】
黒鍵30が延在する長手方向(図4図6(b)の左右方向)の中央付近には、黒鍵30への押鍵操作の際に、鍵盤シャーシ10の基板取付け部212に取り付けられたスイッチ部14を押圧してオン動作させるためのスイッチ押圧部32が黒鍵30の下面側から図面下方の鍵盤シャーシ10に向かって突出して設けられている。
【0027】
また、黒鍵30の前端部(図4図6(b)の右端部、図6(a)の手前側端部)には、黒鍵30の上面31から図面下方の鍵盤シャーシ10に向かって突出するハンマー押圧部33が設けられている。このハンマー押圧部33には、貫通孔を有するハンマー連結部34と、押鍵操作に応じて黒鍵30が回動する際に横振れを防ぐために設けられた鍵盤シャーシ10の黒鍵ガイド部232に摺接するガイド面35とが設けられている。ハンマー連結部34の貫通孔には、上側の内壁における鍵の配列方向(図4図6(b)の紙面に垂直方向)の中央付近に、貫通孔の貫通方向(鍵の長手方向)に沿って連続して突出する鍵側突出部36が設けられている。そして、ハンマー連結部34の貫通孔には、後述するハンマーユニット12のハンマー部材40の力点部である鍵連結部50が挿入されて、貫通孔の内壁に摺接するように係合されている。
ここで、白鍵20及び黒鍵30は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等の合成樹脂部材が適用される。
【0028】
図7は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマーユニットを示す概略図であり、図8は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材を示す概略図である。ここで、図8(a)、(b)は、白鍵用のハンマー部材を示す図であり、図8(c)、(d)は、黒鍵用のハンマー部材を示す図である。また、図9は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵用のハンマーキャップを示す概略図であり、図10は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵用のハンマーキャップを示す概略図である。ここで、図9(a)、図10(a)は、ハンマーキャップの斜視図であり、図9(b)、図10(b)は、ハンマーキャップの側面図及び断面図である。
【0029】
ハンマーユニット12は、図3図4図7に示すように、複数の白鍵20及び黒鍵30のそれぞれに対する押鍵操作に応じて回動して各鍵にアクション荷重を付与する複数のハンマー部材40と、複数配列される白鍵20及び黒鍵30に対して共通に設けられ、各鍵に対応するハンマー部材40を支持軸42を介してそれぞれ回動可能に支持するハンマーホルダ60と、を備えている。ハンマーホルダ60は、鍵盤シャーシ10のユニット取付け部210の下面側に取り付けられている。
【0030】
ハンマー部材40は、図7図8(a)、(c)に示すように、金属材料からなるハンマー本体44と、ハンマー本体44の一端側(図8右端側)に設けられた力点部である鍵連結部50と、ハンマー本体44の他端側(図8左端側)に設けられた荷重点部である錘部46と、ハンマー本体44の錘部46と鍵連結部50との間に設けられ、ハンマー本体44を回動可能に支持する支持軸42と、を備えている。ここで、ハンマー部材40は、図7図8(a)、(c)に示すように、白鍵用と黒鍵用とで略同等の外観を有しているが、白鍵20と黒鍵30の押鍵時の特性等に応じて、支持軸42から錘部46や鍵連結部50までの寸法や形状等が若干異なるように設計されている。
【0031】
ハンマー部材40の錘部46は、図7図8に示すように、錘部46と支持軸42との間のハンマー本体44に比較して、鍵の配列方向から見た平面形状、及び、鍵の配列方向の厚みが大きくなるように形成されていることにより、鍵に所定のアクション荷重を付与するための重量が設定されている。
【0032】
ハンマー部材40の鍵連結部50は、図8に示すように、ハンマー本体44の一端側のキャップ取付け部48を覆うようにハンマーキャップ(接触部材)51が取り付けられている。ハンマーキャップ51は、鍵連結部50が係合されるハンマー連結部24、34を有する白鍵20及び黒鍵30よりも高い弾性を有するエラストマーやシリコン等の弾性部材が適用される。ここで、ハンマーキャップ51は、図8(b)、(d)、図9図10に示すように、白鍵用と黒鍵用とで略同等の外観を有しているが、白鍵20と黒鍵30の押鍵時の特性等に応じて、外観形状や寸法等が若干異なるように設計されている。また、ハンマー本体44のキャップ取付け部48は、図8(b)、(d)に示すように、ハンマーキャップ51が取り付けられる先端部分が、後述するハンマーキャップ51の天面53方向(図面上方向)にL字状に屈曲した形状を有している。
【0033】
ハンマーキャップ51は、具体的には図9図10に示すように、ハンマー本体44のキャップ取付け部48が挿入されて装着固定される開口部52と、白鍵20又は黒鍵30のハンマー押圧部23、33に設けられるハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁に接触する天面(図面上面)53と、天面53の鍵の配列方向(図9(b)、図10(b)の左図及び右図の左右方向)の中央領域に、天面53の鍵の長手方向に沿って設けられた溝部54と、天面53の溝部54に沿って溝部54よりも上方に突出して設けられた端部側突出部(両端部)55と、ハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁に接触する底面に設けられた底面突出部56と、を備えている。
【0034】
ハンマーキャップ51の開口部52は、図9(b)、図10(b)の断面図に示すように、ハンマー本体44のキャップ取付け部48の形状に対応し、ハンマーキャップ51をキャップ取付け部48に取り付けた状態でキャップ取付け部48の先端部分が係止される内部形状を有している。天面53は、図9図10に示すように、外方(図面上方)に突出した湾曲面を有し、溝部54は、天面53の湾曲面に沿って天面53よりも窪んだ連続する凹部により形成されている。また、端部側突出部55は、図9(b)、図10(b)に示すように、天面53において溝部54の鍵の配列方向に隣接する両端側に、溝部54よりも上方(図9(b)、図10(b)の中央図の湾曲する天面53に対して法線方向)に突出するとともに、ハンマーキャップ51の鍵の配列方向(図9(b)、図10(b)の左図及び右図の左右方向)に突出し、図9(a)、図10(a)に示すように、天面53の湾曲面に沿って連続する突出部により形成されている。底面突出部56は、図9(b)、図10(b)示すように、ハンマーキャップ51の底面(下面)において鍵の配列方向の中央領域から突出し、ハンマー連結部24、34の貫通孔の貫通方向(鍵の長手方向)に連続する突出部により形成されている。
【0035】
図11は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材と鍵との連結構造を示す概略図である。ここで、図11(a)、(b)は、白鍵側の連結構造を示す平面図及び断面図であり、図11(a)、(b)は、黒鍵側の連結構造を示す平面図及び断面図である。
【0036】
上述したような形状を有するハンマー部材40の鍵連結部50と白鍵20又は黒鍵30のハンマー連結部24、34との連結構造は、図11に示すように、ハンマー連結部24、34の貫通孔にハンマー部材40の一端側のハンマーキャップ51が挿入されて係合されている。ここで、ハンマーキャップ51の天面53には、鍵の配列方向の中央領域に天面53の湾曲面に沿って鍵の長手方向に溝部54が設けられていることにより、天面53の溝部54の両端側が溝部54よりも上方に相対的に突出した端部側突出部55が設けられている。また、端部側突出部55は、鍵の配列方向(図11(a)、(c)の左右方向)にも突出して設けられていることにより、端部側突出部55の天面部分が幅広に形成されている。また、ハンマーキャップ51の底面には、ハンマー連結部24、34の貫通孔の貫通方向に連続して突出する底面突出部56が設けられている。
【0037】
これにより、ハンマーキャップ51の端部側突出部55の天面部分がハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに対して広い面積を有して接触する。また、ハンマーキャップ51の端部側突出部55の天面部分に隣接する側面部分とハンマー連結部24、34の貫通孔の側方(鍵の配列方向)側の内壁24b、34bとのクリアランス(間隙)が小さく設定され、両者が極めて近接した状態、又は、端部側突出部55の側面部分が当該内壁24b、34bのいずれか一方に接触した状態に保持されている。また、ハンマーキャップ51の底面突出部56がハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁24c、34cに対して底面突出部56の突出頂点である線状又は点状領域の狭い面積で接触する。
【0038】
次に、上述したような鍵盤機構を備えた鍵盤楽器の動作について、図3図4を参照して説明する。
ユーザが白鍵20及び黒鍵30の押鍵操作を行っていない状態(初期状態)においては、図3(a)、図4(a)に示すように、ハンマー部材40が荷重点部である錘部46の重量によって支持軸42を中心に反時計回りに回動するように付勢されて、ハンマー部材40の錘部46が鍵盤シャーシ10に設けられた下限ストッパ部224に当接して下限位置が規制される。また、ハンマー部材40の鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33を押し上げることにより、白鍵20及び黒鍵30を上限位置である初期位置に規制する。ここで、白鍵20の上限位置は、ハンマー部材40の錘部46が下限ストッパ部224の上面に当接するとともに、白鍵20の前脚部25のストッパ面27が鍵盤シャーシ10の上限ストッパ部206の下面に当接した位置に規制される。黒鍵30の上限位置は、ハンマー部材40の錘部46が下限ストッパ部224の上面に当接した位置に規制される。
【0039】
この状態においては、鍵連結部50のハンマーキャップ51の端部側突出部55の天面部分が、ハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに接触した状態が保持される。また、鍵の下面側に設けられたスイッチ押圧部22、32が、鍵盤シャーシ10に取り付けられたスイッチ部14に対して上方の位置に離間した状態が保持される。
【0040】
次いで、ユーザが白鍵20又は黒鍵30を指で押して押鍵操作を行った状態においては、図3(b)、図4(b)に示すように、白鍵20又は黒鍵30が支持軸218、236を中心に時計回りに回動する。これにより、ハンマー部材40の鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33により荷重点部である錘部46の重量に抗して押し下げられて、ハンマー部材40が支持軸42を中心に時計回りに回動して錘部46が上昇するとともに、鍵にアクション荷重が付与される。このとき、ハンマー部材40の鍵連結部50のハンマーキャップ51は、ハンマー押圧部23、33が下方に押し下げられることにより、ハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動する。また、この押鍵操作においては、白鍵20又は黒鍵30の鍵の配列方向の横振れが白鍵ガイド部204、黒鍵ガイド部232により規制されて、白鍵20又は黒鍵30が上下方向に移動する。
【0041】
そして、押鍵操作に伴ってハンマー部材40の鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33によりさらに押し下げられると、ハンマー部材40の錘部46がさらに上昇して鍵盤シャーシ10に設けられた上限ストッパ部222に当接することによりハンマー部材40の回動が停止して上限位置が規制されるとともに、白鍵20及び黒鍵30の下限位置が規制される(鍵下限状態)。ここで、白鍵20の下限位置は、ハンマー部材40の錘部46が上限ストッパ部222の下面に当接し、さらに白鍵20が押し下げられて白鍵20の前脚部25のストッパ面28が鍵盤シャーシ10の下限ストッパ部208の上面に当接した位置に規制される。黒鍵30の下限位置は、ハンマー部材40の錘部46が上限ストッパ部222の下面に当接した位置に規制される。なお、本実施形態に示した鍵盤機構においては、鍵への押鍵操作によりハンマー部材40が支持軸42を中心に回動する際に、慣性モーメントによって鍵にアクション荷重を付与するために、ハンマー部材40は、支持軸42よりも錘部46側のハンマー本体44の長さが鍵連結部50側よりも十分に長くなるように設定されている。
【0042】
この押鍵操作において、ハンマー部材40の錘部46が上限ストッパ部222に当接するまでの間に、鍵盤シャーシ10に取り付けられたスイッチ部14が鍵のスイッチ押圧部22、32により押圧されることにより、スイッチ部14がオン動作してスイッチ信号を出力すると、楽音情報が生成されてスピーカから楽音の発音が開始される。
【0043】
その後、ユーザが白鍵20又は黒鍵30から指を離して押鍵操作を終了した場合には、ハンマー部材40が錘部46の重量によって支持軸42を中心に反時計回りに回動して、ハンマー部材40の鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33を押し上げ、錘部46が下限ストッパ部224の上面に当接することにより、白鍵20及び黒鍵30が上限位置である初期位置に再び規制される。
【0044】
このような白鍵20及び黒鍵30の押鍵操作において、鍵のハンマー連結部24、34の貫通孔に係合されたハンマー部材40のハンマーキャップ51は、天面53の湾曲面に沿って設けられた溝部54により両端側に突出する幅広の端部側突出部55を有しているので、ハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに対して、端部側突出部55の天面部分が広い面積で接触して押し下げられるとともに、当該接触位置が天面53の湾曲面に沿って変化しながら摺動する。また、ハンマーキャップ51の端部側突出部55とハンマー連結部24、34の貫通孔の側方側の内壁24b、34bとのクリアランスが小さく設定されているので、端部側突出部55は、側面部分においてもハンマー連結部24、34の貫通孔内で対向する側方側の内壁24b、34bの一方に対して摺動する。また、ハンマーキャップ51は、底面に連続して突出する底面突出部56を有しているので、ハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁24c、34cに対して、狭い面積で接触しながら摺動する。
【0045】
このように、本実施形態においては、ハンマー連結部24、34の貫通孔内で、ハンマー部材40の鍵連結部50のハンマーキャップ51を、湾曲面を有する天面53において端部側突出部55により広い面積で接触させるとともに、側面におけるクリアランスを小さくして安定して摺動させることができ、また、底面において底面突出部56により狭い面積で接触させて大きな摩擦抵抗が生じないようにして円滑に摺動させることができる。これにより、ハンマー部材40と鍵との連結状態を良好に保持して回動させることができ、押鍵時の異常な振動や異音等の不具合の発生を抑制しつつ、ハンマー部材40の回動時における横ブレを抑制して押鍵操作に伴う力を適切にハンマー部材40に伝達することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、ユーザが鍵を強打した場合等においても、弾性部材からなるハンマーキャップ51に設けられた溝部54の両端側に突出する端部側突出部55により衝撃が吸収又は緩和されるので、ハンマーキャップ51の変形や回転、脱落等を抑制することができる。特に、ハンマーキャップ51が取り付けられるハンマー本体44のキャップ取付け部48の先端部分がハンマーキャップ51の天面53方向にL字状に屈曲した形状を有しているので、ハンマーキャップ51に変形が生じた場合であっても回転や脱落等を良好に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、ハンマー部材40のハンマーキャップ51の天面53に溝部54を設けるとともに、鍵の配列方向に突出させた端部側突出部55を有しているので、ハンマーキャップ51の成形材料の使用量を増やすことなく、ハンマー連結部24、34の貫通孔内での摺動による摩擦を抑制しつつ、幅広の天面53を有するハンマーキャップ51を実現することができる。また、天面53の溝部54の両端側に幅広の端部側突出部55が形成されているので、ハンマーキャップ51の天面53のクッション性(弾力性)が増してハンマー部材40にしなりを生じさせて、ハンマー部材40の慣性モーメントを上げることができる。
【0048】
また、本実施形態においては、ハンマーキャップ51の天面53に設けられた溝部54に潤滑剤を充填、保持することにより潤滑剤溜まりとして適用することができる。さらに、ハンマー部材40のハンマーキャップ51がハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動する際に、貫通孔の上側の内壁24a、34aから突出する鍵側突出部29、36が溝部54内を移動して、溝部54に保持された潤滑剤を掻き分けることにより、溝部54に隣接する端部側突出部55に適切に潤滑剤を補給、浸透させることができ、ハンマーキャップ51の摩耗を抑制しつつ、ハンマーキャップ51を円滑に摺動させることができる。ここで、鍵側突出部29、36とハンマーキャップ51の溝部54の内壁とのクリアランスを、ハンマーキャップ51の端部側突出部55の側面部分とハンマー連結部24、34の貫通孔の内壁24b、34bとのクリアランスよりも大きく設定することにより、鍵側突出部29、36を溝部54の内壁に接触することなく移動させることができるので、摩擦による摩耗や抵抗によってハンマーキャップ51の摺動が妨げられることがない。
【0049】
なお、本実施形態においては、ハンマーキャップ51の天面53に鍵の配列方向に突出した端部側突出部55が設けられているが、鍵盤ユニット104の組付け時にハンマー部材40の鍵連結部50をハンマー連結部24、34の貫通孔に良好に挿入して係合させるために、図9(a)及び図9(b)の右図、又は、図10(a)及び図10(b)の右図に示すように、貫通孔への挿入方向(図面手前方向)に向けて端部側突出部55の幅寸法(鍵の配列方向への突出寸法)が小さくなるテーパ形状を適用するものであってもよい。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る鍵盤楽器の第2の実施形態について説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成や動作についてはその説明を簡略化する。
図12は、第2の実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマーキャップを示す概略図である。
【0051】
上述した第1の実施形態においては、鍵の押鍵操作に応じて、ハンマー部材40のハンマーキャップ51が鍵のハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動する際に、貫通孔内に突出して設けられた鍵側突出部29、36をハンマーキャップ51の溝部54の内壁に接触させることなく移動させる形態について説明した。第2の実施形態においては、ハンマーキャップ51の溝部54内に突出部が設けられ、ハンマーキャップ51がハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動する際に、所定のタイミングで鍵側突出部29、36と溝部54内の突出部とが所定の抵抗を有して接触する形態を有している。
【0052】
本実施形態においては、ハンマー部材40のハンマーキャップ51は、図12に示すように、上述した第1の実施形態に示したハンマーキャップと同等の構成に加え、天面53の鍵の長手方向(又は、天面53の湾曲方向)に沿って設けられた溝部(第1の実施形態に示した溝部54に対応し、本実施形態では端部側突出部55間にあって、後述する溝部突出部57が設けられる溝部全体を指す;便宜的に「溝部54」と記す)内に、溝部54の両端側に形成される端部側突出部55相互を、鍵の配列方向(図12(b)、(d)の紙面に垂直方向)に連結するように突出する溝部突出部(中央突出部)57を備えている。これにより、天面53に設けられた溝部54が溝部突出部57により2つに分割されて、鍵の長手方向に沿って溝部(第1溝部)54aと溝部(第2溝部)54bとが形成されている。
【0053】
具体的には、白鍵用のハンマーキャップ51においては、例えば図12(a)、(b)に示すように、溝部54a、54bのそれぞれの大きさが略同等になるように、溝部突出部57の位置が設定されている。また、黒鍵用のハンマーキャップ51においては、例えば図12(c)、(d)に示すように、溝部54bが溝部54aよりも大きくなるように、溝部突出部57の位置が設定されている。又は、溝部54aがなく溝部54bのみが形成されるように、溝部突出部57の位置が溝部54の一方の端部(図12(d)の左方端)に設定されている。
【0054】
ここで、詳しくは後述するが、溝部突出部57は、鍵の押鍵操作に応じて、ハンマー部材40のハンマーキャップ51が鍵のハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動する際に、ハンマー連結部24の貫通孔内に突出して設けられた鍵側突出部29、36に所定のタイミングで所定の抵抗(摩擦抵抗)を有して接触するように、溝部54内での設置位置や突出高さ、断面形状等が設定される。
【0055】
なお、本実施形態においては、溝部突出部57として、図12(a)、(c)に示すように、溝部54の両端側に形成される端部側突出部55相互を鍵の配列方向に連結したものを示したが、貫通孔内に突出して設けられた鍵側突出部29、36の位置や突出高さ、断面形状等に対応するように、少なくとも溝部54において鍵の配列方向の中央付近に突出して設けられているものであればよい。また、溝部突出部57は、ハンマーキャップ51と同一の弾性部材により形成されているものであってもよいし、溝部突出部57が別の特性(例えばハンマーキャップ51よりも高い剛性)を有する部材により形成されているものであってもよい。
【0056】
次に、上述したような鍵盤機構を備えた鍵盤楽器の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される白鍵の鍵盤機構を示す概略断面図であり、図14は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用される黒鍵の鍵盤機構を示す概略断面図である。ここで、図13(a)~(c)は、白鍵におけるレットオフフィール前後における鍵盤機構の状態を示す図であり、図14(a)~(c)は、黒鍵におけるレットオフフィール前後における鍵盤機構の状態を示す図である。なお、本実施形態において、押鍵操作を行っていない初期状態(上限位置)、及び、押鍵操作における鍵の下限位置については、上述した第1の実施形態に示した図3及び図4と同等であるので、図示を省略する。図15は、本実施形態に係る鍵盤楽器に適用されるハンマー部材と鍵との連結状態を示す概略図である。ここで、図15(a)~(c)は、白鍵におけるレットオフフィール前後における連結状態の変化を示す断面図であり、図15(d)~(f)は、黒鍵におけるレットオフフィール前後における連結構造の変化を示す断面図である。
【0057】
本実施形態に係る鍵盤ユニットに適用される鍵盤機構は、図13図14に示すように、上述した第1の実施形態に示した白鍵20及び黒鍵30と同等の鍵盤機構(図3図4参照)において、図12に示した溝部突出部57が設けられたハンマーキャップ51が、ハンマー部材40の鍵連結部50に適用されている。
【0058】
本実施形態に係る鍵盤機構を備えた鍵盤楽器の動作は、上述した第1の実施形態と同様に、ユーザが押鍵操作を行っておらず、鍵が上限位置にある初期状態(図3(a)、図4(a))と、図13図14に示すように、押鍵操作に伴って楽音の発音を開始する状態と、押鍵操作により鍵が下限位置に達した鍵下限状態(図3(b)、図4(b))と、の間を変化する。
【0059】
ユーザが押鍵操作を行っていない初期状態においては、図3(a)、図4(a)に示した状態と同様に、ハンマー部材40の錘部46の重量により、ハンマー部材40は、錘部46が下限ストッパ部224に当接した下限位置に規制されるとともに、鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33を押し上げることにより、白鍵20及び黒鍵30を上限位置(初期位置)に規制する。このとき、ハンマー部材40の鍵連結部50と白鍵20及び黒鍵30のハンマー連結部24、34との連結状態は、上述した第1の実施形態と同様に、鍵連結部50のハンマーキャップ51の端部側突出部55の天面部分が、ハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに接触した状態が保持される。また、ハンマーキャップ51の底面に設けられる底面突出部56が、ハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁24c、34cに接触した状態が保持される。
【0060】
この初期状態においては、ハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに突出して設けられた鍵側突出部29、36は、ハンマーキャップ51の天面53に設けられた溝部54b内にあって、溝部54bの内壁や溝部突出部57には接触していない。
【0061】
次いで、ユーザが押鍵操作を行い、楽音の発音が開始される状態においては、図13図14に示すように、ハンマー部材40の錘部46が上昇して上限ストッパ部222に当接するまでの間に、白鍵20及び黒鍵30の下面側に設けられたスイッチ押圧部22、32により鍵盤シャーシ10に取り付けられたスイッチ部14が押圧されることにより、スイッチ部14がオン動作してスイッチ信号が出力され、楽音情報が生成されてスピーカから楽音の発音が開始される。
【0062】
このとき、ハンマー部材40の鍵連結部50と鍵のハンマー連結部24、34との連結状態は、まず、図13(a)、図14(a)及び図15(a)、(d)に示すように、少なくともハンマーキャップ51の端部側突出部55がハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34aに摺接した状態で、ハンマーキャップ51がハンマー連結部24、34の貫通孔内で摺動して、貫通孔に設けられた鍵側突出部29、36がハンマーキャップ51の溝部54b側から鍵の長手方向に溝部突出部57に当接する。
【0063】
次いで、図13(b)、図14(b)及び図15(b)、(e)に示すように、ハンマーキャップ51がハンマー連結部24、34の貫通孔内でさらに摺動すると、鍵側突出部29、36が溝部突出部57に乗り上げて、鍵連結部50を押し下げる方向に圧接する。この状態においては、貫通孔に設けられた鍵側突出部29、36は、ハンマーキャップ51の溝部54b側から溝部突出部57に接触して所定の抵抗を生じる。
【0064】
具体的には、鍵側突出部29、36は溝部突出部57に対して溝部54b側から当接した状態から、溝部突出部57の表面に沿って摺接しながら乗り上がる。これにより、鍵側突出部29、36と溝部突出部57との間に摩擦抵抗が生じるとともに、鍵連結部50が押し下げられてハンマーキャップ51の底面突出部56がハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁24c、34cに摺接した状態で、ハンマーキャップ51が貫通孔内で摺動する。このとき、ハンマーキャップ51の溝部突出部57は、鍵側突出部29、36により圧接されて、突出頂点付近を中心にして変形が生じる。
【0065】
次いで、図13(c)、図14(c)及び図15(c)、(f)に示すように、ハンマーキャップ51がハンマー連結部24、34の貫通孔内でさらに摺動すると、鍵側突出部29、36が溝部突出部57を乗り越える。この状態においては、貫通孔に設けられた鍵側突出部29、36は、溝部突出部57との間に生じていた抵抗から一気に開放される。このとき、ハンマー押圧部23、33及び鍵連結部50に衝撃が生じて、ハンマー押圧部23、33を介して白鍵20及び黒鍵30の上面21、31に指を載せているユーザに、クリック感として伝達される。
【0066】
すなわち、鍵側突出部29、36が、図15(a)、(d)に示したように溝部突出部57に当接した状態から、図15(b)、(e)に示したように溝部突出部57に乗り上げる際に、ユーザが白鍵20及び黒鍵30を押鍵する荷重(アクション荷重)が増加して、溝部突出部57の突出頂点付近で当該荷重が最大となり、図15(c)、(f)に示したように溝部突出部57を乗り越えることにより当該荷重が減少することによりクリック感が生じる。このクリック感は、アコースティックピアノ等を演奏する際に、鍵盤をゆっくり押し込んだときに感じる独特の操作感である、レットオフフィールに相当するものである。すなわち、電子鍵盤楽器において、アコースティックピアノと同様の鍵盤の操作感(レットオフフィール)が再現される。
【0067】
ここで、図15に示したように、貫通孔に設けられた鍵側突出部29、36が溝部突出部57に接触するタイミングは、図13図14に示したように、押鍵操作において、上述した楽音の発音開始のタイミングの前後から鍵下限状態に至るまでの期間に設定される。具体的なタイミングの設定方法は、溝部54の鍵の長手方向(又は、天面53の湾曲方向)における溝部突出部57の設置位置や断面形状、又は、貫通孔の貫通方向(鍵の長手方向)における鍵側突出部29、36の設置位置や断面形状等のうち、少なくともいずれかを調整することにより実現される。これにより、楽音の発音開始のタイミングの前後から鍵下限状態に至るまでの期間のうちの、任意のタイミングで鍵側突出部29、36を溝部突出部57に接触させて、ユーザにクリック感を伝達することができる。
【0068】
また、鍵側突出部29、36が溝部突出部57に接触した際にユーザに伝達されるクリック感は、鍵側突出部29、36が溝部突出部57に接触した際に生じる抵抗の大きさや性質等により設定される。具体的なクリック感の調整方法は、溝部54に設けられる溝部突出部57の突出高さや断面形状、材質(硬度)、又は、貫通孔に設けられる鍵側突出部29、36の突出高さや断面形状、材質(硬度)等のうち、少なくともいずれかを調整することにより実現される。これにより、ユーザに伝達されるクリック感の強弱等の感触を任意に設定することができる。
【0069】
また、鍵側突出部29、36が溝部突出部57に接触した後、乗り越える際には、鍵連結部50をハンマー連結部24、34の貫通孔の下側の内壁24c、34cに押し付ける方向に力が生じる。本実施形態においては、ハンマーキャップ51の底面に、ハンマー連結部24、34の貫通孔の貫通方向に連続して突出する底面突出部56を設けていることにより、ハンマーキャップ51の底面と貫通孔の下側の内壁24c、34cとの間に大きな摩擦抵抗が生じないようにして、ハンマー連結部24、34の貫通孔内で鍵連結部50のハンマーキャップ51を円滑に摺動させることができる。
【0070】
次いで、ユーザが鍵をさらに押し込むと、図3(b)、図4(b)に示した状態と同様に、ハンマー部材40の錘部46がさらに上昇して上限ストッパ部222に当接して上限位置が規制されるとともに、白鍵20及び黒鍵30の下限位置が規制される鍵下限状態に移行する。このとき、ハンマー部材40の鍵連結部50と鍵のハンマー連結部24、34との連結状態は、上述した第1の実施形態と同様に、ハンマーキャップ51の端部側突出部55及び底面突出部56がハンマー連結部24、34の貫通孔の上側の内壁24a、34a及び下側の内壁24c、34cに摺接した状態で、ハンマーキャップ51が貫通孔内で摺動する。
【0071】
また、この鍵下限状態においては、貫通孔に設けられた鍵側突出部29、36がハンマーキャップ51の溝部突出部57を乗り越えて、溝部54a内にあって、溝部54aの内壁や溝部突出部57には接触していない、又は、抵抗や応力を生じることなく接触している。その後、ユーザが押鍵操作を終了すると、ハンマー部材40の錘部46が下降することにより鍵連結部50が鍵のハンマー押圧部23、33を押し上げ、錘部46が下限ストッパ部224に当接することにより、白鍵20及び黒鍵30が上限位置である初期位置に再び規制される。
【0072】
このような押鍵操作に応じたハンマー部材40の鍵連結部50と鍵のハンマー連結部24、34との連結状態の変化により、上述した第1の実施形態と同様に、ハンマー連結部24、34の貫通孔内で、ハンマー部材40の鍵連結部50のハンマーキャップ51を安定かつ円滑に摺動させることができるので、押鍵時の異常な振動や異音等の不具合の発生を抑制しつつ、ハンマー部材40の回動時における横ブレを抑制して押鍵操作に伴う力を適切にハンマー部材40に伝達することができる。また、ユーザが鍵を強打した場合等においても、ハンマーキャップ51に設けられた端部側突出部55により衝撃が吸収又は緩和されるので、ハンマーキャップ51の変形や回転、脱落等を抑制することができる。
【0073】
加えて、本実施形態においては、ハンマーキャップ51の天面53の溝部54内に溝部突出部57が設けられ、押鍵操作に伴うハンマー連結部24、34の貫通孔内でのハンマーキャップ51の摺動時に、貫通孔内に設けられた鍵側突出部29、36が端部側突出部55に接触することにより生じる抵抗をユーザにクリック感として伝達することにより、電子鍵盤楽器において、アコースティックピアノと同様の鍵盤の操作感(レットオフフィール)を再現することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、ハンマーキャップ51の天面53に設けられた溝部54が溝部突出部57により分割されるとともに、各溝部54a、54bが端部側突出部55及び溝部突出部57からなる壁面で囲まれているので、溝部54a、54bを潤滑剤溜まりとして適用した場合に、充填された潤滑剤の流出を良好に防止することができる。
【0075】
さらに、本発明においては、上述した第1及び第2の本実施形態に示したように、ハンマーキャップ51における溝部突出部57の有無という部品形状の僅かな変更により、異なる鍵盤の操作感(レットオフフィールの有無)を設定することができるので、部品点数の増加や製造工程の変更を招くことなく、簡易に仕様や特徴の異なる製品群を提供することができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とを含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0077】
(付記)
[1]
鍵ごとに、一端側に、前記鍵に接触することによって押鍵時に押し下げられる接触部材を有する力点部が設けられ、他端側に、前記押鍵される前記鍵に対して荷重を加える錘部が設けられているハンマー部材を備え、
前記接触部材は、前記押鍵時に前記鍵に接触することがないように上面に前記鍵の長手方向に沿って設けられている溝部と、前記鍵の配列方向における前記溝部の両端側に、前記押鍵時に前記鍵に接触するように前記溝部より上方に突出している両端部と、を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
【0078】
[2]
[1]に記載の鍵盤楽器において、
前記鍵は、前記押鍵時に前記接触部材の前記両端部を押し下げる押下部を有することを特徴とする鍵盤楽器。
【0079】
[3]
[2]に記載の鍵盤楽器において、
前記鍵は、前記押下部における前記鍵の配列方向の中央に、前記鍵の長手方向に沿って連続して突出する鍵側突出部を有することを特徴とする鍵盤楽器。
【0080】
[4]
[3]に記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材における前記溝部内に、前記押鍵時に前記鍵側突出部と接触する中央突出部を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
【0081】
[5]
[4]に記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材の前記中央突出部は、前記鍵の配列方向に沿って連続して突出し、前記両端部相互を連結することにより、前記溝部を第1溝部と、第2溝部と、に分割することを特徴とする鍵盤楽器。
【0082】
[6]
[4]に記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材の前記中央突出部は、前記上面における前記鍵の長手方向の一方側の端部に設けられていることを特徴とする鍵盤楽器。
【0083】
[7]
[2]から[6]のいずれかに記載の鍵盤楽器において、
前記接触部材の前記上面は、湾曲面を有し、前記押鍵時に前記鍵の前記押下部が押し下げる前記接触部材の前記両端部の位置が変化することを特徴とする鍵盤楽器。
【0084】
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載の鍵盤楽器において、
前記鍵は、白鍵又は黒鍵であって、
前記白鍵に対応する前記ハンマー部材に用いられる前記接触部材と、前記黒鍵に対応する前記ハンマー部材に用いられる前記接触部材とは、異なる形状を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
【符号の説明】
【0085】
10 鍵盤シャーシ
12 ハンマーユニット
20 白鍵
24、34 ハンマー連結部(押下部)
23、33 ハンマー押圧部(押下部)
29、36 鍵側突出部
30 黒鍵
40 ハンマー部材
44 ハンマー本体
46 錘部
48 キャップ取付け部
50 鍵連結部(力点部)
51 ハンマーキャップ(接触部材)
52 開口部
53 天面
54 溝部
54a 溝部(第1溝部)
54b 溝部(第2溝部)
55 端部側突出部(両端部)
56 底面突出部
57 溝部突出部(中央突出部)
60 ハンマーホルダ
100 鍵盤楽器
102 楽器本体
104 鍵盤ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
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