(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】物体特定方法、物体特定装置及び物体特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2023093619
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022096191の分割
【原出願日】2017-04-03
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2016076511
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】白石 壮馬
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-009231(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140851(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/136559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
カメラによって撮像された画像に基づいて、物体が取り出されたかを判定し、
前記物体が取り出されたと判定された場合に、前記カメラによって撮像された画像
から特定される人物の部位の前記画像における2次元座標と、該2次元座標と前記人物が動作の対象とする前記物体が配置された実空間での物体座標の対応付けと、に基づいて、取り出された前記物体の前記物体座標を取得し、
取得された前記物体座標と、前記物体座標における前記物体の種類を示す対応情報とに基づいて、取り出された前記物体を特定し、
取り出された前記物体の特定結果に基づいて、取り出された前記物体のリストを生成する、
処理を実行する物体特定方法。
【請求項2】
前記生成する処理では、前記物体が取り出された時刻
を含む前記リストを生成する、
請求項1に記載の物体特定方法。
【請求項3】
前記生成する処理では、リアルタイムに前記リストを生成する、
請求項1または請求項2に記載の物体特定方法。
【請求項4】
前記リストは、前記物体の商品名を含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の物体特定方法。
【請求項5】
前記生成する処理では、新たに物体が取り出されると、新たに取り出された前記物体の商品名を前記リストに追加する、
請求項4に記載の物体特定方法。
【請求項6】
カメラによって撮像された画像に基づいて、物体が取り出されたかを判定する判定手段と、
前記物体が取り出されたと判定された場合に、前記カメラによって撮像された画像
から特定される人物の部位の前記画像における2次元座標と、該2次元座標と前記人物が動作の対象とする前記物体が配置された実空間での物体座標の対応付けと、に基づいて、取り出された前記物体の前記物体座標を取得し、取得された前記物体座標と、前記物体座標における前記物体の種類を示す対応情報とに基づいて、取り出された前記物体を特定する物体特定手段と、
取り出された前記物体の特定結果に基づいて、取り出された前記物体のリストを生成する生成手段とを備えた
物体特定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
カメラによって撮像された画像に基づいて、物体が取り出されたかを判定する判定処理、
前記物体が取り出されたと判定された場合に、前記カメラによって撮像された画像
から特定される人物の部位の前記画像における2次元座標と、該2次元座標と前記人物が動作の対象とする前記物体が配置された実空間での物体座標の対応付けと、に基づいて、取り出された前記物体の前記物体座標を取得し、取得された前記物体座標と、前記物体座標における前記物体の種類を示す対応情報とに基づいて、取り出された前記物体を特定する物体特定処理、および、
取り出された前記物体の特定結果に基づいて、取り出された前記物体のリストを生成する生成処理
を実行させるための物体特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象とする物体の種類を特定する物体種類特定装置、物体種類特定方法及び物体種類特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の位置に置かれた物体の種類を特定する方法が各種知られている。例えば、特許文献1には、顧客や陳列商品を撮影し、この撮影画像に基づいて商品が不正に持ち出されることを自動監視するシステムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムは、物体が置かれた棚に向けてカメラが配置され、そのカメラで撮影された画像を解析して人物がどの商品を手に取ったかという動作認識を行う。そして、特許文献1に記載されたシステムは、メモリに記憶された情報を用いて、その人物が手に取った商品を特定する。
【0003】
また、特許文献2には、棚に陳列された商品の状態を撮影画像で監視し、商品整理が必要か否かを判定する装置が記載されている。特許文献2に記載された装置も、物体が置かれた棚に向けてカメラが配置され、撮影された画像に基づいて、店員が商品整理しているか否かを判断する。
【0004】
なお、特許文献3には、棚上にカメラを配置して、人物の動作認識を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-171240号公報
【文献】特許第5673888号公報
【文献】米国特許出願公開第2014/0132728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特許文献1に記載されたシステムの場合、画像解析に基づいて動作認識が行われるため、人物の動作を正確に認識することは難しく、商品の種類を特定できない場合がある。
【0007】
また、特許文献1に記載されたシステムの場合、人物が誤って商品を別の場所に移動させたり、新たな別の商品が棚に配置されたりすると、メモリに記憶された情報との対比が正しく行うことができない。そのため、人物が手に取った商品の種類を正しく特定できないという問題がある。これは、特許文献3に記載された方法を用いた場合も同様である。
【0008】
また、特許文献2に記載された装置は、店員が商品整理しているか否かを判断するものであり、そもそも商品の種類を特定することは困難である。
【0009】
そこで、本発明は、人物が手に取った物体の種類を正しく特定できる物体種類特定装置、物体種類特定方法及び物体種類特定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による物体種類特定装置は、物体の位置を取得する位置取得手段と、各物体の位置におけるその物体の種類を示す情報を記憶する記憶手段と、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する判定手段と、判定手段により物体が取り出されたと判定された場合に、位置取得手段の出力と記憶手段に記憶された情報とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する物体特定手段と、判定手段により物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて、記憶手段に記憶された情報を更新する更新手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明による物体種類特定方法は、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定し、物体が取り出されたと判定された場合に物体の位置を取得し、各物体の位置におけるその物体の種類を示す情報を記憶する記憶手段に記憶されたその情報と、取得された物体の位置とに基づいて、取り出された物体の種類を特定し、物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて、記憶手段に記憶された情報を更新することを特徴とする。
【0012】
本発明による記録媒体は、コンピュータに、物体の位置を取得する位置取得処理、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する判定処理、判定処理で物体が取り出されたと判定された場合に、位置取得の取得結果と、各物体の位置におけるその物体の種類を示す情報を記憶する記憶手段に記憶されたその情報とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する物体特定処理、および、判定処理で物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて、記憶手段に記憶された情報を更新する更新処理を実行させる物体種類特定プログラムを記録する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人物が手に取った物体の種類を正しく特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の物体種類特定方法が用いられる状況の例を示す説明図である。
【
図2】実施形態の物体種類特定方法を実現する構成の一例を示す説明図である。
【
図3】実施形態の物体種類特定装置の概略を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態の物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】撮影された画像に基づいて対応関係を設定する例を示す説明図である。
【
図6】物体が変更された後のカメラ画像の例を示す説明図である。
【
図7】対応関係を更新する処理の例を示す説明図である。
【
図8】第1の実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】取り出された商品を特定する処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】対応関係記憶部に記憶された情報の例を示す説明図である。
【
図11】取り出し商品のリストの例を示す説明図である。
【
図12】対応関係記憶部に記憶された情報を更新する処理の例を示すフローチャートである。
【
図13】第1の実施形態の物体種類特定装置の変形例を示すブロック図である。
【
図14】第2の実施形態の物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図15】第2の実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図16】第3の実施形態の物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】第3の実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図18】実施形態の物体種類特定装置の概要を示すブロック図である。
【
図19】実施形態の物体種類特定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず初めに、
図1を参照して、実施形態の物体種類特定方法を概説する。
図1は、物体種類特定方法が用いられる状況の例を示す説明図である。
図1に示す例では、棚11に複数の物体が配され、カメラ12および情報処理端末13を用いて、棚11の前に存在する人物の動作が認識される。なお、物体の一例として商品が挙げられるが、物体とは、販売を目的とする商品に限定されるものではない。物体とは、形があり、人が見たり触ったりできる物、品物、品、物品を意味する。また、情報処理端末13は、物体の種類と、その物体の位置を示す座標(以下、物体座標と記す。)とを対応付けた対応テーブル14を保持する。以下では、物体座標に基づいて各物体の位置を特定する方法を説明するが、物体の位置を特定する方法は、物体座標に限定されない。
【0016】
物体座標は、例えば、実空間上のある点を原点とする3次元空間の位置(x,y,z)で表されていてもよく、棚11の前面上のある点を原点とする、その前面上の2次元空間の位置(x,y)で表されていてもよい。
図1に示す例では、各物体の位置が、棚11の前面の左上を原点とする2次元の座標で表されている。
図1に示す例では、物体座標(1,0)で特定される物体の種類が、「C」であることを表わしている。
【0017】
ここで、ある物体が、その物体の物体座標が示す位置から移動した場合、対応テーブル14に設定された物体と物体座標との対応関係と、実際の対応関係との間に齟齬が発生する。このような齟齬が発生すると、物体の認識精度が低下してしまう。そこで、本実施形態の物体種類特定方法では、実際の物体の位置に合わせて物体位置が適切に更新される。
【0018】
図2は、物体種類特定方法を実現する構成の一例を示す説明図である。
図2に例示する物体種類特定システム20は、本願発明の物体種類特定装置を含むシステムの一例である。物体種類特定システム20は、カメラ22に接続された情報処理端末23を用いて、棚21の前に存在する人物の動作を認識して、棚21上の物体座標を取得すると、対応テーブル(例えば、対応テーブル14)を用いて対象とされる物体を認識する。また、物体種類特定システム20は、カメラ24および情報処理端末25を用いて、棚21の前面(正面側)の画像を撮影し、画像認識により物体の種類および物体座標を取得して、対応テーブル14を更新する。なお、画像認識により取得される物体の種類は、例えば、物体の名称、商品名、大きさ、値段などである。
【0019】
図3は、物体種類特定装置の概略を示す説明図である。
図3に例示する表Tは、
図1に例示する対応テーブル14に対応する。
図3に示す例では、商品の位置が二次元の座標で表され、時刻ごとの商品の位置が累積的に記録された結果を示す。表Tの内容は、決定された更新タイミングまたは定期的に更新される。表Tの時刻は、例えば更新タイミングを示している。
図3に示す例では、累積的に対応関係が記録されているが、1つのマスタが設けられ、その内容が上書きされて更新されることもある。
【0020】
また、
図3の上側には、物体を特定する動作が例示されている。RGBカメラやデプスカメラなどのイメージセンサが、人物Pが棚Sへ手を入れる動作を検知すると、物体種類特定装置は、センサの情報に基づいて、その手を入れた位置を検知する(ステップS1)。例えば、検知された位置が物体座標(4,4)で特定される位置であり、時刻が16:45であるとすると、物体種類特定装置は、表Tを参照し、その物体が商品Bであると特定する(ステップS2)。
【0021】
また、
図3の下側には、物体の種類を認識する動作が例示されている。各物体の配置を正面側から撮像するカメラCが設置されており、このカメラCで棚Sに設置された各物体が撮像される。カメラCは、
図2のカメラ24に対応する。本願発明では、棚に物体が載置されるタイミング、または、予め定めたタイミングで表Tが更新される(ステップS3)。このように、表Tが必要に応じて適切に更新されるため、画像認識の精度が向上される結果、人物が手に取った物体の種類を正しく特定できるようになる。
【0022】
以下、各実施形態を図面を参照して説明する。
実施形態1.
図4は、第1の実施形態における物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の物体種類特定装置200は、動作認識部201と、物体座標取得部202と、物体認識部203と、対応関係記憶部204と、対応関係更新部205と、更新方法決定部206とを備えている。
【0023】
動作認識部201は、主体の動作を認識する。本実施形態で主体とは、物体の状態に対して何らかの変化を及ぼすものであり、例えば、人やロボットなどが挙げられる。動作認識部201が主体の動作を認識する方法は任意である。本実施形態では、動作認識部201は、カメラ22(センサ)の情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する。このため、動作認識部201のことを判定部ということができる。
【0024】
動作認識部201は、カメラ22として、例えば、RGBカメラもしくはデプスカメラなどのイメージセンサを用い、手などの特定の部位の周辺の色や体積の変化から、主体の「物体を取り出した」、「物体を載置した」、「動作無し」などの動作を認識してもよい。デプスカメラは、通常の撮像により取得されるRGB情報と共に、カメラから撮像対象までの深度情報を計測できるカメラである。
【0025】
また、例えば、物体の載置場所(例えば、物体が配置されている面)に予め圧力センサが設置されている場合、動作認識部201は、カメラ22の代わりに圧力センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定してもよい。
【0026】
なお、動作の判定に用いられるセンサは圧力センサに限定されず、例えば、赤外線を用いたセンサなどであってもよい。また、他にも、動作認識部201は、動作を判断可能な任意の方法を用いて、人やロボットなどの動作を認識してもよい。
【0027】
物体座標取得部202は、動作の対象とされた物体の位置を取得する。本実施形態では、物体座標取得部202は、物体の位置として物体座標を取得するものとする。そのため、物体座標取得部202は、物体の位置取得部と言うことができる。上述するように、物体座標は、人やロボットなどが動作の対象とする物体の配置された座標を指す。
【0028】
物体座標取得部202は、例えば、カメラ22により撮影された画像を用いて物体座標を取得する。具体的には、物体座標取得部202は、例えば、監視カメラ等のRGBカメラで取得可能な画像情報から、顔や手など、人物の部位の画像上の2次元座標を特定する。物体座標取得部202は、特定した2次元座標と、実空間での物体座標とを予め対応付けておくことで、その画像から物体座標を取得してもよい。
【0029】
また、RGBカメラではなくデプスカメラを用いた場合、人物の部位の実空間3次元座標を取得することが可能であるため、物体座標取得部202は、これを物体座標としてもよい。
【0030】
また、画像を用いる方法以外に、物体座標取得部202は、上述する圧力センサを用いて物体座標を取得してもよい。例えば、物体が配置されている面に予め圧力センサなどのセンサが設置されている場合、物体座標取得部202は、物体に対して「取得する」(取り出される)動作が行われたときに圧力が大きく変化した座標を物体座標として取得してもよい。
【0031】
ただし、物体座標取得部202が、物体座標を取得する方法は、上述する方法に限定されない。
【0032】
対応関係記憶部204は、各物体の位置における物体の種類を示す情報を記憶する。具体的には、対応関係記憶部204は、認識対象の物体の種類と、その物体の位置する座標である物体座標との対応関係を記憶する。また、対応関係記憶部204は、物体と物体座標との対応関係以外にも、その対応関係を更新した更新時刻を対応付けて記憶してもよい。本実施形態では、対応関係記憶部204が、
図1に例示する対応テーブル14(すなわち、物体座標と物体の種類との対応関係)を保持しているものとする。
【0033】
物体座標と物体の種類の対応関係は、予め設定される。
図5は、撮影された画像に基づいて対応関係を設定する例を示す説明図である。例えば、物体種類特定装置200が
図2に例示するカメラ24および情報処理端末25に接続されているとする。この場合、カメラ24が
図5に例示するようなカメラ画像31を取得した場合、情報処理端末25が、カメラ画像31のどの2次元座標が棚32の2次元座標に対応するかを決定し、それぞれの物体ごとに物体座標を決定して対応テーブルに設定してもよい。また、対応関係記憶部204は、物体と物体座標との対応関係だけでなく、カメラ画像31や他の画像により抽出された各物体の画像特徴量を物体データベース33に記憶していてもよい。物体データベース33は、例えば、対応関係記憶部204に記憶される。
【0034】
物体認識部203は、動作の対象とされた物体の種類を認識する。具体的には、物体認識部203は、動作認識部201により物体が取り出されたと判定された場合、物体座標取得部202により取得された物体の位置および対応関係記憶部204に記憶された情報に基づいて、取り出された物体の種類を特定する。そのため、物体認識部203は、物体特定部と言うことができる。
【0035】
物体認識部203は、物体座標取得部202が取得した物体座標と、対応関係記憶部204の保持する対応テーブル14を参照し、物体座標に対応付けられた物体の種類を認識結果としてもよい。また、物体認識部203は、認識された物体の種類に加え、動作認識部201が認識した主体の動作を併せて認識結果としてもよい。
【0036】
例えば、対応関係記憶部204が
図1に例示する対応テーブル14を記憶しているとする。そして、動作認識部201が、主体の“取得”の動作を認識し、物体座標取得部202が、物体座標(1,0)を取得したとする。この場合、物体認識部203は、取得された物体座標が示す位置により、動作の対象とされた物体を「C」と認識する。このとき、物体認識部203は、物体「C」を認識結果としてもよく、動作も含めた『物体「C」を“取得”』という内容を認識結果としてもよく、さらに物体座標も含めた『物体「C」を物体座標(1,0)から“取得”』という内容を認識結果としてもよい。
【0037】
ただし、物体認識部203が、動作の対象とされた物体を認識する方法は、上述する方法に限定されない。上述する例では、物体認識部203が、物体座標が一致する物体の種類を対応テーブル14から取得しているが、物体座標が一定の範囲内の場合にも、対応する物体の種類を取得してもよい。
【0038】
例えば、p(o)が対応テーブル14の物体oに紐づけられた物体座標、Distance(p1,p2)がp1とp2の距離、thresholddistを閾値、対応テーブル14の物体の種類を集合Oとすると、物体の同一性は、以下に例示する式1で表される。
【0039】
【0040】
対応関係更新部205は、対応関係記憶部204に記憶された物体の種類を示す情報とその物体の位置との対応関係を更新する。具体的には、対応関係更新部205は、動作認識部201により物体が載置されたと判定された場合に、その物体の種類および位置を更新する。本実施形態では、対応関係更新部205は、カメラ24によって各物体の配置を正面側から撮影した画像を用いて対応関係記憶部204に記憶された情報を更新する。
【0041】
対応関係更新部205は、カメラ24で撮影された画像(例えば、
図5に例示するカメラ画像31)から物体座標および物体の種類を認識し、その画像とデータベース(例えば、
図5に例示する物体データベース33)に記憶された画像特徴量とのマッチングを行うことで、物体の種類と画像上での物体座標とを特定する。そして、対応関係更新部205は、対応関係記憶部204に記憶された対応関係を参照し、特定した物体座標と物体の種類との対応関係を更新する。
【0042】
図6は、物体が変更された後のカメラ画像の例を示す説明図である。また、
図7は、対応関係を更新する処理の例を示す説明図である。例えば、カメラ24が、
図6に例示するカメラ画像を撮影した場合、対応関係更新部205は、撮影されたカメラ画像から物体の種類と画像上での物体座標とを特定する。この例の場合、対応関係更新部205は、
図5に例示する初期状態から、物体座標(1,0)で示す位置の物体が「C」から「X」に変更され、物体座標(1,1)で示す位置の物体が「D」から「Y」に変更されていると特定する。そこで、対応関係更新部205は、物体座標(1,0)に対応する物体を「X」に更新し、物体座標(1,1)に対応する物体を「Y」に更新する。
【0043】
更新方法決定部206は、対応関係記憶部204が記憶する対応関係の更新方法を決定する。すなわち、対応関係更新部205は、更新方法決定部206の決定に基づいて対応関係記憶部204の情報を更新する。なお、更新方法が予め定められている場合、物体種類特定装置200は、更新方法決定部206を備えていなくてもよい。
【0044】
なお、本実施形態では、動作認識部201により物体が載置されたと判定された場合に、対応関係更新部205がその物体の種類および位置を更新する。そのため、更新方法決定部206は、動作認識部201により物体が載置されたことを検出し、検出されたタイミングを更新タイミングT100と決定する。ただし、更新方法決定部206が決定する更新タイミングは、物体が載置されたタイミングに限定されない。以下、更新タイミングを決定する他の方法を説明する。
【0045】
更新方法決定部206は、例えば、更新タイミングT101を予め定めた時間間隔と決定してもよい。例えば、時間間隔を予め30分と定めた場合、更新方法決定部206は、更新タイミングT101を、9:00,9:30,10:00・・・と決定してもよい。
【0046】
また、更新方法決定部206は、カメラ画像を用いて更新タイミングT102を決定してもよい。具体的には、更新方法決定部206は、前回の対応関係記憶部204の更新時に用いられた画像と、新たに撮影された画像との差分が大きい(すなわち、両画像の差分が所定の閾値を上回る)場合、その画像が撮影した時刻を更新タイミングT102と決定してもよい。
【0047】
更新方法決定部206は、例えば、固定カメラで撮影された複数の時刻のカメラ画像を取得し、画像中の対象領域の背景差分を算出する。このとき、更新方法決定部206は、一定以上の変化が検出された時刻を更新タイミングT102と決定してもよい。ここで、対象領域とは、例えば、物体が設置された棚の前面であってもよいし、棚の周辺の環境であってもよい。
【0048】
また、更新方法決定部206は、物体を配置した面に設置されたセンサから取得される情報を用いて、更新タイミングT103を決定してもよい。例えば、物体を配置した面に圧力センサが設置されている場合、更新方法決定部206は、その圧力センサから時系列に出力値を受信し、その出力値の変化が予め指定した閾値を超過した時刻を更新タイミングT103としてもよい。
【0049】
また、更新方法決定部206は、考慮される複数の更新タイミングに基づいて、新たな更新タイミングを再決定してもよい。更新方法決定部206は、例えば、上述する更新タイミングT100,T101,T102,T103のいずれかが決定された場合に更新のキューを発生させ、そのキューが存在する場合に、別の方法によって更新タイミングT104を再決定してもよい。
【0050】
例えば、更新のキューが発生したか否かを示すフラグとしてIsToUpdatedを準備する。
更新方法決定部206は、更新のキューが発生した場合、フラグIsToUpdated=trueに設定する。フラグIsToUpdated=trueの場合にのみ、更新方法決定部206は、カメラで撮影された画像の対象領域中に、認識対象である物体以外の他の物体または人物の検出を行う。
他の物体または人物が検出されなかった場合、更新方法決定部206は、検出されないタイミングを更新タイミングT104としてもよい。なお、更新方法決定部206は、更新タイミングT104を決定したタイミングで、フラグIsToUpdated=falseに設定しておけばよい。
【0051】
例えば、カメラによる更新方法だけで判断すると、更新タイミング対象を遮るもの(例えば、人物など)が存在した場合、更新が適切に行われないおそれがある。しかし、本実施形態では、更新方法決定部206が、複数の情報に基づいて更新方法を決定するため、不適切な更新が行われることを抑制できる。
【0052】
動作認識部201と、物体座標取得部202と、物体認識部203と、対応関係更新部205と、更新方法決定部206とは、プログラム(物体種類特定プログラム)に従って動作するコンピュータのCPU(Central Processing Unit)によって実現される。例えば、
図19に示すように、プログラムは、物体種類特定装置200の記憶部(例えば、対応関係記憶部204)に記憶され、CPUは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、動作認識部201、物体座標取得部202、物体認識部203、対応関係更新部205および更新方法決定部206として動作してもよい。
【0053】
また、動作認識部201と、物体座標取得部202と、物体認識部203と、対応関係更新部205と、更新方法決定部206とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、上記物体種類特定装置は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線または無線で接続されることにより構成されていてもよい。対応関係記憶部204は、例えば、磁気ディスク装置により実現される。
【0054】
次に、本実施形態の物体種類特定装置の動作を説明する。
図8は、本実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。なお、対応関係記憶部204は、各物体の位置における物体の種類を示す情報を記憶しているとする。
【0055】
まず、動作認識部201は、人物が棚に手を入れる動作を行ったか否かを検出する(ステップS101)。動作認識部201は、例えば、RGBカメラやデプスカメラから取得される情報に基づいて、人物が棚に手を入れる動作を検出する。
【0056】
人物が棚に手を入れる動作が検出された場合(ステップS102におけるYES)、動作認識部201は、その動作が、物体を取り出す動作か物体を載置する動作かを判定する(ステップS103)。動作認識部201は、例えば、カメラ22で撮影された画像や棚のスイッチ(圧力センサ)から取得される情報に基づいて、人物の動作内容を判定する。
【0057】
物体を取り出す動作が検出された場合(ステップS103における「取り出し」)、物体認識部203は、取り出された商品を特定する(ステップS104)。その後、処理はステップS108の処理に移行する。
【0058】
一方、物体を載置する動作が検出された場合(ステップS103における「載置」)、更新方法決定部206は、更新タイミングを決定する(ステップS105)。なお、人物が棚に手を入れる動作が検出されない場合(ステップS102におけるNO)、かつ定期更新時刻になった場合(ステップS106におけるYES)、更新方法決定部206は、更新タイミングを決定する(ステップS105)。
【0059】
対応関係更新部205は、決定された更新タイミングに基づいて対応関係記憶部204に記憶された情報を更新する(ステップS107)。その後、処理はステップS108の処理に移行する。
【0060】
ステップS106において更新時刻になっていない場合(ステップS106におけるNO)、または、ステップS104もしくはステップS107の後、動作認識部201は、一連の処理の終了時刻になっているか否かを判断する(ステップS108)。終了時刻になっていない場合(ステップS108におけるNO)、ステップS101以降の処理が行われる。一方、終了時刻になっている場合(ステップS108におけるYES)、処理が終了する。
【0061】
図9は、
図8のステップS104において、取り出された商品を特定する処理の例を示すフローチャートである。動作認識部201が物体を取り出す動作を検出すると、物体座標取得部202は、動作の対象とされた物体座標を特定する(ステップS111)。物体認識部203は、対応関係記憶部204に記憶された対応する座標の情報を読み取る(ステップS112)。
【0062】
図10は、対応関係記憶部204に記憶された情報の例を示す説明図である。
図10に示す例では、物体座標(1,0)で表される位置に商品Aが配置され、物体座標(1,1)で表される位置に商品Bが配置されていることを示す。例えば、物体座標取得部202が物体座標(1,1)を取得した場合、物体認識部203は、対応関係記憶部204から座標(1,1)の商品Bを読み取る。これにより、物体認識部203は、取り出された商品を特定する。
【0063】
その後、物体認識部203は、取り出された商品のリストを作成してもよい(ステップS113)。
図11は、取り出し商品のリストの例を示す説明図である。
図11に示す例では、リストが、取得した物体座標、商品名および時刻を含むことを示す。なお、物体認識部203は、リアルタイムで商品名をリストに書き出してもよく、このリストを用いて、後にオフライン解析してもよい。
【0064】
図12は、
図8のステップS107において、対応関係記憶部204に記憶された情報を更新する処理の例を示すフローチャートである。更新タイミングが決定されると、更新方法決定部206は、カメラ24で撮影された画像の対象領域中の人物を認識する(ステップS121)。画像の対象領域中に人物が認識された場合(ステップS122におけるYES)、ステップS121の処理に戻る。一方、画像の対象領域中に人物が認識されなかった場合(ステップS122におけるNO)、物体認識部203は、載置された商品を認識する(ステップS123)。
【0065】
そして、対応関係更新部205は、対応関係記憶部204に記憶された対応テーブル14の情報を更新する(ステップS124)。このとき、対応関係更新部205は、対応関係記憶部204の同じテーブルを更新する代わりに、新たなテーブルまたはレコードを作成することで、商品と位置との対応関係を管理させてもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態では、動作認識部201が、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する。動作認識部201により物体が取り出されたと判定された場合に、物体認識部203が、物体の位置を取得する物体座標取得部202の出力と、対応関係記憶部204に記憶された情報(物体の種類とその物体の位置との関係)とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する。一方、動作認識部201により物体が載置されたと判定された場合に、対応関係更新部205は、カメラ24により撮像された画像を用いて対応関係記憶部204に記憶された情報を更新する。そのような構成により、人物が手に取った物体の種類を正しく特定できる。
【0067】
すなわち、本実施形態では、2つのハードウェア(カメラ22(センサ)およびカメラ24)を互いに連携させており、一方のハードウェアによる検知をトリガとして他方のハードウェアを動作させている。そのような構成により、人物が手に取った物体の種類を正しく特定することが可能になる。
【0068】
一般に、陳列棚の同じ位置には、同じ商品が配置される。そのため、物体が取り出されても、一般に物体の種類は変わらないため、対応テーブル14の内容を更新する必要性は少ない。一方、陳列棚のある位置に物体が載置された場合、その物体の内容は不明であることが多いため、本実施形態では、物体の載置を検知して対応テーブル14の更新が行われる。
【0069】
また、本実施形態では、更新方法決定部206が対応テーブル14を更新するタイミングを適切に決定し、対応関係更新部205が、対応テーブル14を実際の状態に合わせて更新する。そのため、動作の対象とされる物体の認識を精度よく行うことができる。
【0070】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
図13は、第1の実施形態の物体種類特定装置200の変形例を示すブロック図である。
図13に例示する物体種類特定装置200aは、動作認識部201と、物体座標取得部202と、物体認識部203と、対応関係記憶部204と、対応関係更新部205と、更新方法決定部206と、特徴量変換部207とを備えている。すなわち、本変形例の物体種類特定装置200は、第1の実施形態の物体種類特定装置200に対し、さらに特徴量変換部207を備えている。
【0071】
第1の実施形態では、対応関係記憶部204に記憶された情報(データベース)を複数の装置(カメラ22、カメラ24などのセンサ)で共有している。そこで、特徴量変換部207は、カメラ24で撮影された画像中の物体の色情報や大きさなどの特徴量を対応関係記憶部204(例えば、物体データベース33)に登録し、さらに、その特徴量をカメラ22(センサ)で使用可能な形式に変換する。具体的には、特徴量変換部207は、カメラ24によって撮影された画像を物体認識部203による物体の種類の特定に使用可能な形式に変換する。
【0072】
この場合、物体認識部203は、カメラ24で撮影された物体のサイズに基づいて、カメラ22(センサ)側で大きさを基準に物体を認識することが可能になる。また、物体認識部203は、カメラ24で撮影された色情報に基づいて、カメラ22(センサ)側でマッチングを行うことも可能になる。すなわち、このような変換された情報を用いることで、物体の認識精度を上げることが可能になる。さらに、このような変換を行う場合、物体の位置を特徴量の一つとして用いることも可能になる。
実施形態2.
次に、第2の実施形態を説明する。
図14は、第2の実施形態の物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の物体種類特定装置300は、動作認識部301と、物体座標取得部302と、物体認識部303と、対応関係記憶部304と、対応関係更新部305と、更新方法決定部306とを備えている。
【0073】
本実施形態の動作認識部301、物体座標取得部302、物体認識部303および対応関係記憶部304は、それぞれ、第1の実施形態の動作認識部201、物体座標取得部202、物体認識部203および対応関係記憶部204と同様である。物体種類特定装置300は、第1の実施形態の変形例の特徴量変換部207を備えていてもよい。
【0074】
更新方法決定部306は、少なくとも動作認識部301による認識結果および物体座標取得部302により取得された物体座標の情報に基づいて、更新タイミングおよび更新方法を決定する。ここで、更新方法とは、更新を行う物体座標を決定する方法や、更新を行う物体の種類の候補を決定する方法を意味する。更新タイミングを決定する方法には、例えば、第1の実施形態で更新方法決定部206が更新タイミングを決定する方法が用いられる。
【0075】
更新方法決定部306は、物体座標取得部302により取得された物体座標から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定する。そして、対応関係更新部305は、対応関係記憶部304に記憶された情報のうち、決定された対象(具体的には、物体の位置と種類の対応関係)を更新する。
【0076】
更新方法決定部306は、例えば、物体座標取得部302が取得した物体座標に基づいて更新方法を決定してもよい。具体的には、更新方法決定部306は、更新を行う物体座標に関して、物体座標取得部302が取得した物体座標から一定の閾値以下の距離にある座標を更新の対象と決定してもよい。
【0077】
また、更新方法決定部306は、動作認識部301が物体を移動させたという動作を認識した場合に、更新方法を決定してもよい。この場合、更新方法決定部306は、物体座標取得部302により取得される移動元の物体座標および移動先の物体座標から、閾値以下の距離にある座標を更新の対象と決定してもよい。また、この場合、更新方法決定部306は、更新する移動先の物体の種類に関して、もともとその場所に配置されていた物体の種類、または、移動元の物体の種類の2種類に更新の候補を限定すると決定してもよい。
【0078】
対応関係更新部305は、更新方法決定部306により決定された更新タイミングおよび更新方法に基づいて、対応関係記憶部304の情報(具体的には、対応テーブル14の情報)を更新する。本実施形態では、対応関係更新部305は、更新方法決定部306が決定した物体座標のみにおいて、また、更新方法決定部306が決定した物体の種類の候補のみについて対応関係記憶部304が保持する対応テーブル14を更新してもよい。
【0079】
なお、第1の実施形態と同様、動作認識部301と、物体座標取得部302と、物体認識部303と、対応関係更新部305と、更新方法決定部306とは、プログラム(物体種類特定プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。
【0080】
次に、本実施形態の物体種類特定装置の動作を説明する。
図15は、本実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。なお、対応関係記憶部304は、各物体の位置における物体の種類を示す情報を記憶しているとする。
【0081】
本実施形態の動作は、
図8に例示する第1の実施形態と同様である。ただし、ステップS205において、更新方法決定部306が更新タイミングおよび更新方法を決定する点において、第1の実施形態と異なる。
【0082】
ステップS205において、更新方法決定部306は、物体座標取得部302により取得された物体座標から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定する。
【0083】
そして、ステップS107において、対応関係更新部305は、決定された更新タイミングおよび更新方法に基づいて、対応関係記憶部304に記憶された情報を更新する。具体的には、対応関係更新部305は、決定された更新タイミングで、対応関係記憶部304に記憶された情報のうち、決定された対象(具体的には、物体の位置と種類の対応関係)を更新する。それ以外の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0084】
以上のように、本実施形態では、更新方法決定部306が、物体座標取得部302により取得された物体の位置から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定する。そして、対応関係更新部305が、対応関係記憶部304に記憶された情報のうち、決定された対象を更新する。そのような構成により、第1の実施形態の効果に加え、対応テーブル14の更新を効率的かつ正確に行うことができる。
実施形態3.
次に、第3の実施形態を説明する。
図16は、第3の実施形態の物体種類特定装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の物体種類特定装置400は、動作認識部401と、物体座標取得部402と、物体認識部403と、対応関係記憶部404と、対応関係更新部405と、更新方法決定部406と、陳列数記憶部407とを備えている。すなわち、本実施形態の物体種類特定装置400は、第1の実施形態の物体種類特定装置200または第2の実施形態の物体種類特定装置300に対し、さらに陳列数記憶部407を備えている。
【0085】
本実施形態の動作認識部401、物体座標取得部402および対応関係記憶部404は、それぞれ、第1の実施形態の動作認識部201、物体座標取得部202および対応関係記憶部204と同様である。物体種類特定装置400は、第1の実施形態の変形例の特徴量変換部207を備えていてもよい。
【0086】
陳列数記憶部407は、一つの物体座標に配置されている物体の種類と物体の数を含む陳列情報を記憶する。具体的には、陳列数記憶部407は、物体座標ごとに物体の種類とその個数を対応付けた陳列情報を保持する。陳列数記憶部407は、陳列順を含む陳列情報を保持してもよい。陳列数記憶部407には、陳列情報が予め設定される。陳列数記憶部407は、例えば、磁気ディスク等により実現される。
【0087】
物体認識部403は、物体認識結果に基づいて陳列情報を更新する。具体的には、物体認識部403は、動作認識部401による動作の認識結果(具体的には、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを示す判定結果)に基づいて、物体の個数を更新する。
【0088】
例えば、認識結果が『物体「C」を物体座標(1,0)から“取得”』である場合、物体認識部403は、陳列数記憶部407が記憶する陳列情報に含まれる物体座標(1,0)における物体「C」の個数を1減算する。
【0089】
対応関係更新部405および更新方法決定部406は、第1の実施形態の対応関係更新部205および更新方法決定部206と同様である。さらに、本実施形態では、更新方法決定部406は、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報に基づいて、更新タイミングを決定する。
【0090】
更新方法決定部406は、動作認識部401により物体が取り出されたと判定され、取り出された位置の物体の個数が減算された結果、その位置の物体の個数が0になったときに対応関係記憶部404に記憶された情報を更新してもよい。例えば、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報のうち、物体座標(1,0)における物体「C」の個数が0になると、更新方法決定部406は、物体座標(1,0)を即座に「物体なし」と更新すると決定する。対応関係更新部405は、更新方法決定部406の決定に基づいて、対応関係記憶部404が記憶する対応テーブル14の物体座標(1,0)に対応する物体の種類を「物体なし」と更新する。
【0091】
なお、一つの物体座標に配置されている物体の種類は、一種類に限られない。すなわち、陳列数記憶部407は、各物体座標で物体の陳列順を陳列情報として保持してもよい。
例えば、陳列数記憶部407が、物体座標(1,0)において「C」「A」「A」(先頭に物体「C」が配置され、その後ろに物体「A」が2点存在)という陳列順を含む陳列情報を記憶しているとする。そして、物体認識部403が、『物体「C」を物体座標(1,0)から“取得”』と認識したとする。
【0092】
この場合、更新方法決定部406は、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報から、物体座標(1,0)に物体「A」が配置されたことを検出する。この検出により、物体の種類が変わったことが検出されるため、更新方法決定部406は、物体座標(1,0)の物体の種類を即座に「A」と更新すると決定する。対応関係更新部405は、更新方法決定部406の決定に基づいて、対応関係記憶部404が記憶する対応テーブル14の物体座標(1,0)に対応する物体の種類を「A」と更新する。
【0093】
なお、第1の実施形態と同様、動作認識部401と、物体座標取得部402と、物体認識部403と、対応関係更新部405と、更新方法決定部406とは、プログラム(物体種類特定プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。
【0094】
次に、本実施形態の物体種類特定装置の動作を説明する。
図17は、本実施形態の物体種類特定装置の動作例を示すフローチャートである。なお、対応関係記憶部404は、各物体の位置における物体の種類を示す情報を記憶しているとする。
【0095】
本実施形態の動作は、
図8に例示する第1の実施形態と同様である。ステップS104で取り出された商品が特定されたあと、陳列情報を更新する処理(ステップS301)が追加され、陳列情報の更新に基づいて更新タイミングを決定する処理(ステップS302)が変更されている点において、第1の実施形態と異なる。
【0096】
ステップS301において、物体認識部403は、特定した物体の種類に応じて、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報を更新する。ステップS302において、更新方法決定部406は、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報に基づいて、更新タイミングを決定する。具体的には、更新方法決定部406は、物体が取り出されたと判定された場合に、取り出された位置の物体の個数が0になる、または、その位置の物体の種類が変更された場合に、対応関係記憶部404に記憶された情報を更新すると決定してもよい。それ以外の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0097】
以上のように、本実施形態では、陳列数記憶部407が、物体の位置とその物体の種類および個数を対応付けた陳列情報を記憶する。そして、物体認識部403が、特定した物体の種類に応じて陳列情報を更新する。具体的には、物体認識部403は、動作認識部401により物体が取り出されたと判定された場合に、陳列数記憶部407に記憶された陳列情報のうち取り出された位置の物体の個数を減算し、その個数が0になったときに記憶部に記憶された情報を更新する。そのような構成により、第1の実施形態の効果に加え、対応テーブル14の更新を効率的かつ正確に行うことができる。
【0098】
すなわち、本実施形態では、少なくとも陳列数記憶部407の保持する陳列情報に基づいて更新方法決定部406が更新タイミングおよび更新方法を決定し、それに基づいて対応関係更新部405が対応テーブル14を更新する。そのため、対応テーブル14の更新を効率的かつ正確に行うことが可能になる。
【0099】
次に、物体種類特定装置の概要を説明する。
図18は、物体種類特定装置の概要を示すブロック図である。物体種類特定装置80は、物体の位置(例えば、物体座標)を取得する位置取得部81(例えば、物体座標取得部202)と、各物体の位置におけるその物体の種類を示す情報を記憶する記憶部82(例えば、対応関係記憶部204)と、センサ(例えば、RGBカメラやデプスカメラなどのイメージセンサ)の情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する判定部83(例えば、動作認識部201)と、判定部83により物体が取り出されたと判定された場合に、位置取得部81の出力と記憶部82に記憶された情報とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する物体特定部84(例えば、物体認識部203)と、判定部83により物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラ(例えば、カメラ24)により撮像された画像を用いて、記憶部82に記憶された情報を更新する更新部85(例えば、更新方法決定部206、対応関係更新部205)とを備えている。
【0100】
そのような構成により、人物が手に取った物体の種類を正しく特定できる。
【0101】
また、更新部85(例えば、更新方法決定部306、対応関係更新部305)は、位置取得部81により取得された物体の位置から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定し、記憶部82に記憶された情報のうち、決定された対象を更新してもよい。
【0102】
また、物体種類特定装置80は、物体の位置とその物体の種類および個数とを対応付けた陳列情報を記憶する陳列数記憶部(例えば、陳列数記憶部407)を備えていてもよい。そして、物体特定部84(例えば、物体認識部403)は、特定した物体の種類に応じて陳列情報を更新してもよい。
【0103】
具体的には、物体特定部84は、判定部83により物体が取り出されたと判定された場合に、陳列数記憶部に記憶された陳列情報のうち取り出された位置の物体の個数を減算し、その個数が0になったときに記憶部82に記憶された情報を更新してもよい。
【0104】
また、更新部85は、カメラ(例えば、カメラ24)により撮像された画像中に対象とする以外の物体または人物が検出されなかった場合に、記憶部82に記憶された情報を更新してもよい。
【0105】
また、更新部85は、前回の記憶部の更新時に用いられた画像と新たに撮影された画像との差分が予め定めた閾値を上回る場合に、記憶部82に記憶された情報を更新してもよい。
【0106】
また、物体種類特定装置80は、カメラによって撮影された画像を、物体特定部84による物体の種類の特定に使用可能な形式に変換する特徴量変換部(例えば、特徴量変換部207)を備えていてもよい。
【0107】
また、判定部83は、物体の載置場所に設けられる圧力センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定してもよい。
【0108】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0109】
(付記1)物体の位置を取得する位置取得部と、各物体の位置における当該物体の種類を示す情報を記憶する記憶部と、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する判定部と、前記判定部により物体が取り出されたと判定された場合に、前記位置取得部の出力と前記記憶部に記憶された情報とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する物体特定部と、前記判定部により物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて、前記記憶部に記憶された情報を更新する更新部とを備えたことを特徴とする物体種類特定装置。
【0110】
(付記2)更新部は、位置取得部により取得された物体の位置から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定し、記憶部に記憶された情報のうち、決定された対象を更新する付記1記載の物体種類特定装置。
【0111】
(付記3)物体の位置と当該物体の種類および個数とを対応付けた陳列情報を記憶する陳列数記憶部を備え、物体特定部は、特定した物体の種類に応じて前記陳列情報を更新する付記1または付記2記載の物体種類特定装置。
【0112】
(付記4)物体特定部は、判定部により物体が取り出されたと判定された場合に、陳列数記憶部に記憶された陳列情報のうち取り出された位置の物体の個数を減算し、当該個数が0になったときに記憶部に記憶された情報を更新する付記3記載の物体種類特定装置。
【0113】
(付記5)更新部は、カメラにより撮像された画像中に対象とする以外の物体または人物が検出されなかった場合に、記憶部に記憶された情報を更新する付記1から付記4のうちのいずれか1つに記載の物体種類特定装置。
【0114】
(付記6)更新部は、前回の記憶部の更新時に用いられた画像と新たに撮影された画像との差分が予め定めた閾値を上回る場合に、記憶部に記憶された情報を更新する付記1から付記5のうちのいずれか1つに記載の物体種類特定装置。
【0115】
(付記7)カメラによって撮影された画像を、物体特定部による物体の種類の特定に使用可能な形式に変換する特徴量変換部を備えた付記1から付記6のうちのいずれか1つに記載の物体種類特定装置。
【0116】
(付記8)判定部は、物体の載置場所に設けられる圧力センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する付記1から付記7のうちのいずれか1つに記載の物体種類特定装置。
【0117】
(付記9)センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定し、物体が取り出されたと判定された場合に物体の位置を取得し、各物体の位置における当該物体の種類を示す情報を記憶する記憶部に記憶された当該情報と、取得された物体の位置とに基づいて、取り出された物体の種類を特定し、物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて前記記憶部に記憶された情報を更新することを特徴とする物体種類特定方法。
【0118】
(付記10)取得された物体の位置から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定し、記憶部に記憶された情報のうち、決定された対象を更新する付記9記載の物体種類特定方法。
【0119】
(付記11)コンピュータに、物体の位置を取得する位置取得処理、センサの情報に基づいて、物体が取り出されたか又は物体が載置されたかを判定する判定処理、前記判定処理で物体が取り出されたと判定された場合に、前記位置取得の取得結果と、各物体の位置における当該物体の種類を示す情報を記憶する記憶部に記憶された当該情報とに基づいて、取り出された物体の種類を特定する物体特定処理、および、前記判定処理で物体が載置されたと判定された場合に、各物体の配置を正面側から撮像するカメラにより撮像された画像を用いて前記記憶部に記憶された情報を更新する更新処理を実行させるための物体種類特定プログラム。
【0120】
(付記12)コンピュータに、更新処理で、位置取得処理で取得された物体の位置から予め定めた範囲内に存在する物体の位置または物体の種類を更新する対象と決定させ、記憶部に記憶された情報のうち、決定された対象を更新させる付記11記載の物体種類特定プログラム。
【0121】
この出願は、2016年4月6日に出願された日本出願特願2016-076511を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0122】
上記実施形態で説明した物体種類特定装置は、例えばコンビニ等の小売店舗において、売上の良い棚配置の分析等に好適に適用される。このような分析等に物体種類特定装置を利用することで、役立つマーケティング情報を得ることが可能になる。
【0123】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
11,21,32 棚
12,22 カメラ(センサ)
13,23,25 情報処理端末
14 対応テーブル
24 カメラ
31 カメラ画像
33 物体データベース
201,301,401 動作認識部
202,302,402 物体座標取得部
203,303,403 物体認識部
204,304,404 対応関係記憶部
205,305,405 対応関係更新部
206,306,406 更新方法決定部
207 特徴量変換部
407 陳列数記憶部