(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/86 20060101AFI20240910BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20240910BHJP
G01N 30/30 20060101ALI20240910BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01N30/86 Q
G01N30/02 B
G01N30/30
G01N30/32 A
(21)【出願番号】P 2023203834
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2021504667の分割
【原出願日】2019-03-12
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和也
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-286663(JP,A)
【文献】特開2002-333438(JP,A)
【文献】特開2014-163855(JP,A)
【文献】特開2001-296301(JP,A)
【文献】特開平09-160632(JP,A)
【文献】特開2009-145272(JP,A)
【文献】特開2000-304751(JP,A)
【文献】特開2007-024650(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189893(WO,A1)
【文献】米国特許第06386014(US,B1)
【文献】稲田洋文,ラズパイ・コントロール!オシロ&マルチメータ自動計測システム,Interface,2015年,No.10,p.116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/86
G01N 30/02
G01N 30/30
G01N 30/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作主体である本体と、該本体に電力を供給する第1電源と、外部から入力される制御信号に応じて該本体を動作させ、また該第1電源と該本体の間の通電状態/非通電状態を切り替えるユニット制御部と、該ユニット制御部に電力を供給する、前記第1電源よりも電圧が低い第2電源と、をそれぞれが有する
複数の分析ユニットと
、
前記
複数の分析ユニットのそれぞれのユニット制御部に制御信号を送信する本体制御部と
を備え、
前記分析ユニットは送液ユニット、オートサンプラ、カラムオーブン、または検出ユニットのいずれかであ
り、
該複数の分析ユニットが送液用の流路で接続されている、液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記本体制御部は、前記
複数の分析ユニットのユニット制御部に、前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号、及び、前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部からの前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を非通電状態に切り替え、かつ、前記本体制御部からの前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を通電状態に切り替える、請求項1に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記分析ユニットがそれぞれ独立した筐体に収容されている、請求項1に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記本体制御部が、
前記
複数の分析ユニットのうち、前記第1電源を非通電状態に切り替える対象の分析 ユニットを指定する入力を受け付ける設定入力受付部と、
前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対して前記第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理を記載したシャットダウンメソッドを設定し、前記分析ユニットのユニット制御部に送信するシャットダウンメソッド設定部と、を備え、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部から送信された前記シャットダウンメソッドを受信し、前記シャットダウンメソッドに記載された処理を実行する、請求項1に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項5】
前記本体制御部は、前記
複数の分析ユニットにおいて前記第1電源を非通電状態に切り換える際に実行すべき所定の処理を記憶しており、
該本体制御部は、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対して、前記第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理を記載したシャットダウンメソッドファイルを作成するシャットダウンメソッドファイル作成部をさらに備え、
前記シャットダウンメソッド設定部は、前記シャットダウンメソッドファイル作成部によって作成された前記シャットダウンメソッドファイルに基づいて前記シャットダウンメソッドを前記ユニット制御部に設定する、請求項
4に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項6】
前記本体制御部は、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対する、前記第1電源を非通電状態に切り替える際の所定の処理のうち、実行に最も長時間を要する所定の処理の所要時間を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項
4に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項7】
前記本体制御部は、前記ユニット制御部が前記シャットダウンメソッドに記載された処理の実行を開始してから所定時間経過した後、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットのユニット制御部に、前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部からの前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を非通電状態に切り替える、請求項
4に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項8】
前記送液ユニットの前記所定の処理が移動相の送液停止を含む、又は
前記オートサンプラの前記所定の処理が温調停止を含む、又は、
前記カラムオーブンの前記所定の処理が温調停止を含む、又は、
前記検出ユニットの前記所定の処理がランプ消灯又は温調停止を含む、請求項
4に記載の
液体クロマトグラフ。
【請求項9】
前記本体制御部が、前記
複数の分析ユニットに対する制御信号をそのまま、各分析ユニットに送信し、
前記ユニット制御部は、受信した制御信号のうち、当該分析ユニットに関する制御信号に対応する処理を実行する、請求項1に記載の
液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ装置等の分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中の成分を同定したり定量したりするために、液体クロマトグラフが広く用いられている。液体クロマトグラフでは、試料中の成分をカラムで分離し、各成分を検出する。液体クロマトグラフでは、所定の流量で送液される移動相の流れに乗せて試料をカラムに導入し、試料中の複数の化合物を分離して測定する。
【0003】
液体クロマトグラフには、一体型のものと、複数のユニット(モジュールとも呼ばれる。)を組み合わせてなるユニット型のものがある。一体型の液体クロマトグラフは、分析動作の主体である本体と、該本体を動作させるための制御信号を送信するシステムコントローラと、本体及びシステムコントローラに電力を供給する電源とを一体で構成したものである。
【0004】
ユニット型の液体クロマトグラフは、移動相が貯留された移動相容器や移動相を吸引して送給するポンプを備えた送液ユニット、移動相中に試料液を注入するインジェクタを備えたオートサンプラ、試料液に含まれる成分を分離するカラムを収容したカラムオーブン、カラムから溶出する成分を検出する検出器を備えた検出ユニット、及びシステムコントローラを備えたものである。送液ユニット、オートサンプラ、カラムオーブン、及び検出ユニットは、それぞれ独立した分析ユニットであり、各ユニットは、本体、ユニット制御部、及びそれらに電力を供給する電源を備えている。ユニット型の液体クロマトグラフでは、分析目的に応じて分析ユニットの組み合わせを変更したり、分析ユニットを更新したりすることができる。
【0005】
一体型の液体クロマトグラフには、分析終了時にシャットダウン状態に移行させることが可能なものがある(例えば特許文献1)。シャットダウン状態とは、本体への通電を停止し、システムコントローラへの通電のみを維持した状態である。例えば、分析を終了した後、しばらくの間、次の分析を行う予定がない場合に、使用者がシステムコントローラにシャットダウン状態への移行を指示する入力操作を行うと、システムコントローラから電源に、本体への通電停止を指示する制御信号が送信されて通電が停止される。使用者がシステムコントローラにシャットダウン状態を解除する入力操作を行うと、システムコントローラから電源に、本体への通電再開を指示する制御信号が送信されて電力の供給が再開される。分析終了時にシャットダウン状態へと移行することにより、分析待機中の消費電力が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユニット型の液体クロマトグラフでも、システムコントローラから各分析ユニットのユニット制御部に対して制御信号を送信することにより、各分析ユニットの電源を切ることが可能である。しかし、分析ユニットの電源を切るとユニット制御部への通電が停止し、ユニット制御部が動作しなくなるため、使用者がシステムコントローラから或る分析ユニットへの通電を再開しようとして入力操作を行っても、その分析ユニットの本体を動作させることはできない。そのため、従来、ユニット型の液体クロマトグラフでは、分析待機中も各分析ユニットにおいて通電を維持しなければならず、消費電力を抑えることが難しいという問題があった。
【0008】
ここでは液体クロマトグラフを一例に従来技術の課題を説明したが、ユニット型のガスクロマトグラフや、その他の各種のユニット型の分析装置においても上記同様の問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、制御部による制御の下で1乃至複数の分析ユニットを動作させて所定の分析動作を実行するユニット型の分析装置において、該制御部から設定及び解除可能であり、かつ消費電力を抑えたシャットダウン状態を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分析装置は、
動作主体である本体と、該本体に電力を供給する第1電源と、外部から入力される制御信号に応じて該本体を動作させ、また該第1電源と該本体の間の通電状態/非通電状態を切り替えるユニット制御部と、該ユニット制御部に電力を供給する、前記第1電源よりも電圧が低い第2電源と、をそれぞれが有する1乃至複数の分析ユニットと
前記1乃至複数の分析ユニットのそれぞれのユニット制御部に制御信号を送信する本体制御部と
を備え、
前記分析ユニットは送液ユニット、オートサンプラ、カラムオーブン、または検出ユニットのいずれかである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る分析装置は、1乃至複数の分析ユニットと本体制御部を備えている。各分析ユニットは、動作主体である本体と、本体に電力を供給する第1電源と、本体を動作させるとともに第1電源と本体の間の通電状態/非通電状態を切り替えるユニット制御部と、ユニット制御部に電力を供給する、第1電源よりも電圧が低い第2電源を備えている。本体制御部から各ユニットに分析動作を指示する制御信号が入力されると、各分析ユニットのユニット制御部は第1電源から本体に通電し(通電状態)、該本体を動作可能な状態とする(分析状態)。そして、ユニット制御部は本体制御部からの制御信号に応じて本体を動作させる。一方、本体制御部から各ユニットに分析待機を指示する制御信号が入力されると、各分析ユニットのユニット制御部は第1電源から本体への通電を停止し、非通電状態(シャットダウン状態)とする。このように、本発明に係る分析装置では、本体制御部への入力操作により分析ユニットのユニット制御部に所定の制御信号を送信することによってシャットダウン状態を設定することができる。このシャットダウン状態では第1電源から本体への通電が停止されるため、消費電力を抑えることができる。
一方、シャットダウン状態でも分析ユニット内で第2電源からユニット制御部への通電は維持されるため、本体制御部から分析ユニットのユニット制御部に所定の制御信号を送信することによってシャットダウン状態を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る分析装置の一実施形態である液体クロマトグラフの要部構成図。
【
図2】本実施例の液体クロマトグラフを構成するユニットについて説明する図。
【
図3】本実施例の液体クロマトグラフが有する分析ユニットの構成を説明する図。
【
図4】本実施例においてシャットダウン状態に移行させる分析ユニットを設定する画面の表示例。
【
図5】本実施例においてシャットダウン状態に移行する流れを説明するフローチャート。
【
図6】本実施例においてシャットダウン状態を解除する流れを説明するフローチャート
【
図7】変形例の液体クロマトグラフが有する分析ユニットの構成を説明する図。
【
図8】変形例においてシャットダウン状態に移行させる分析ユニットを設定する画面の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る分析装置の実施例について、以下、図面を参照して説明する。本実施例の分析装置は液体クロマトグラフである。
【0014】
図1は、本実施例の液体クロマトグラフ1の要部構成図である。この液体クロマトグラフ1は、送液ユニット10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出ユニット40、システムコントローラ50、及び制御・処理部70を備えている。
図2に示すように、送液ユニット10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、及び検出ユニット40はそれぞれ独立した筐体に収容された分析ユニットである。分析ユニット間は送液用の流路80で接続されている。制御・処理部70とシステムコントローラ50の間、及びシステムコントローラ50と各分析ユニットの間は通信ケーブル90で接続されている。
【0015】
送液ユニット10は、移動相の溶液を収容した容器11a、11bと、該容器11a、11b内の溶液を送液する送液ポンプ12a、12bと、2種類の溶液を混合するミキサー13とを含んでいる。カラムオーブン30にはカラム31が収容されている。
【0016】
送液ユニット10で調製された移動相は、オートサンプラ20を経てカラムオーブン30内の複数のカラム31に導入される。オートサンプラ20には、予め1乃至複数の分析対象の液体試料がセットされている。オートサンプラ20の内部は液体試料が揮発したり変質したりするのを防止するために、温調機構21(典型的にはクーラー)によって所定の温度に維持されている。オートサンプラ20では、その内部にセットされた1乃至複数の分析対象の液体試料が順次、移動相に注入される。移動相に注入された液体試料は移動相の流れに乗ってカラム31を通過する。
【0017】
カラムオーブン30は、内部にカラム31と、該カラム31の温調機構32(典型的にはヒータ)を備えている。カラム31を通過する間に試料中の各成分が時間的に分離され、カラム31から溶出した成分は検出ユニット40に順次導入される。
【0018】
本実施例の検出ユニット40はUV検出器であり、フローセル41、ランプ42、及び分光検出部43を備えている。検出ユニット40では、ランプ42を点灯した状態で、カラム31から溶出した成分を順次、フローセル41に流入させ、フローセル41を通過した光の強度を測定する。また、検出ユニット40の内部を温調する温調機構44(典型的にはヒータ)を備えている。
【0019】
制御・処理部70は、記憶部71に加え、機能ブロックとして、設定入力受付部72、メソッドファイル作成部73、及び制御実行部74を備えている。記憶部71には、分析ユニット毎に、シャットダウン時の処理とウォームアップ時の処理をそれぞれ実行するためにシステムコントローラ50に送信するコマンド、及び各処理の所要時間の情報が保存されている。記憶部71には、試料の測定条件を記載した分析メソッドファイルや、試料の測定時に取得したデータ、あるいはその解析結果なども保存される。制御・処理部70の実体はパーソナルコンピュータであり、コンピュータに予めインストールされている所定のプログラムを実行することにより上記の機能ブロックが具現化される。制御・処理部70には、キーボードやマウスを含む入力部75と表示部76が接続されている。
【0020】
図3は各分析ユニット60の構成を示すブロック図である。以降の説明では、送液ユニット10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出ユニット40に共通の事項を説明する場合に、これらを分析ユニット60と記載する。各分析ユニットは、本体61と、ユニット制御部62と、第1電源63と、第2電源64とを備えている。本体61は、分析ユニット60の動作主体にあたる部分であり、例えば送液ユニット10の場合、移動相を送液する送液ポンプ12a、12bやミキサー13が本体61に含まれる。オートサンプラ20の場合、オートサンプラ20の温調機構21や、試料を採取するサンプリングニードルの駆動部(図示略)などが本体61に含まれる。カラムオーブン30の場合、カラム31を温調する温調機構32が本体61に含まれる。検出ユニット40の場合、ランプ42の駆動源、分光検出部43の駆動源、及び検出ユニット40の温調機構が本体61に含まれる。
【0021】
本体61には第1電源63から電力が供給される。本実施例における第1電源63は出力24Vの電源であり、第2電源64は出力5Vの電源である。これらの出力の大きさは本体61及びユニット制御部62の実体に応じて適宜に決めればよい。後述のとおり、ユニット制御部62の実体はプロセッサ等であるため、第2電源64には第1電源63よりも出力の小さいものを使用することができる。
【0022】
ユニット制御部62は、プロセッサとメモリを有しており、プロセッサが本体61の動作を司る。プロセッサはまた、第1電源63と本体61の間の通電状態/非通電状態を切り替える。ユニット制御部62には第2電源64から電力が供給される。
【0023】
次に、
図4及び
図5を参照し、本実施例の液体クロマトグラフ1において、分析終了時に液体クロマトグラフ1をシャットダウン状態へと移行させる手順及び処理の内容を説明する。シャットダウン状態とは、一部又は全部の分析ユニット60において第1電源63から本体61への通電を停止した状態をいう。
【0024】
使用者が入力部75を通じた所定の操作によりシャットダウン状態への移行を指示すると、設定入力受付部72は、使用者にシャットダウン状態に移行させる分析ユニット60を選択させる画面を表示部76に表示する。
【0025】
図4は設定入力受付部72により表示される画面の一例である。この画面には、分析ユニットの名称と、シャットダウン状態に移行させる際に実行すべき動作(例えば、液体クロマトグラフ1のシャットダウン状態において停止する動作)が記載されている。具体的には、例えば、送液ユニット10では、送液ポンプ12a、12bによる移動相の送液を停止することが可能である。オートサンプラ20では、温調機構21による内部の温調を停止することが可能である。カラムオーブン30では、温調機構32によるカラム31の温調を停止することが可能である。検出ユニット40では、ランプ42を消灯し、温調機構44による検出ユニット40内の温調を停止することが可能である。
図4では、送液ユニット10、カラムオーブン30、及び検出ユニット40の動作を停止させ、オートサンプラ20のみ温調を継続するようにシャットダウン状態が設定されている。これは、オートサンプラ20の温調機構21のみを動作させておき試料の揮発や変質を防止する目的で設定された例である。その他、例えば次の分析を行うまでの時間が比較的短い場合には送液ユニット10の動作のみを停止するように設定することもできる。
【0026】
使用者が表示部76に表示された分析ユニットの中から、シャットダウン時に動作を停止させる分析ユニットのチェックボックスにチェックを入れると、メソッドファイル作成部73は、チェックが入れられた分析ユニットの動作を停止させるコマンドを記憶部71から読み出して、シャットダウン処理を実行するメソッドファイル(シャットダウンメソッドファイル)を作成し(ステップ1)、記憶部71に保存する。また、使用者が分析ユニット60のチェックボックスにチェックを入れると、設定入力受付部72は、チェックされた分析ユニット60のシャットダウンのための前処理(クールダウン)の所要時間を記憶部71から読み出す。そして、読み出した時間の中で最も長いものを画面上部の「クールダウン時間」欄に表示する。
【0027】
ここでは、使用者に、シャットダウン時に停止する分析ユニットを選択させてシャットダウンメソッドファイルを作成する場合を例に説明したが、同じ内容のシャットダウンの前処理(クールダウン)の内容が記載されたシャットダウンメソッドファイルが記憶部71に既に保存されている場合は、そのファイルを読み出すのみでもよい。
【0028】
メソッドファイル作成部73によりシャットダウンメソッドファイルが作成される(あるいは記憶部71から読み出される)と、制御実行部74は、システムコントローラ50にシャットダウンメソッドを設定する(ステップ2)。システムコントローラ50にシャットダウンメソッドが設定されると、制御実行部74は、表示部76にシャットダウンを実行するボタンを表示する。
【0029】
システムコントローラ50は、シャットダウンメソッドが設定されると、各分析ユニット60のユニット制御部62にシャットダウンメソッドを設定する(ステップ3)。本実施例では、シャットダウンメソッドに記載されている動作が複数の分析ユニット60の動作に関する内容を含んでいる場合でも、それらを分析ユニット60毎に分割することなく、そのまま各分析ユニット60に送信(ブロードキャスト)する。分析ユニット60では、ユニット制御部62が、受信したメソッドのうち、当該分析ユニット60に対応する部分を抽出しメモリに保持する。
【0030】
使用者が、表示部76に表示されたシャットダウン実行ボタンを押すと、制御実行部74はシステムコントローラ50にシャットダウンメソッドの実行を指示する(ステップ4)。ここでいうシャットダウンメソッドの実行とは、シャットダウンそのものを行うわけではなく、いわゆるシャットダウン前に必要なクールダウン(シャットダウンの前処理)を実行することを意味する。クールダウンとは、例えば送液ユニット10の場合、送液ポンプ12a、12bによる移動相の送液流量を徐々に下げて0にする処理である。また、オートサンプラ20やカラムオーブン30の場合、温調機構21、32への出力を徐々に下げて0にする処理である。即ち、各分析ユニット60において第1電源63から本体61への通電を停止しても問題が発生しない状態に移行する処理である。
【0031】
システムコントローラ50は、シャットダウンメソッドの実行指示を受けると、各分析ユニット60に対してシャットダウンメソッドの実行を指示する(ステップ5)。
【0032】
各分析ユニット60では、シャットダウンメソッドの実行指示を受けると、ユニット制御部62は、本体61のクールダウンを開始する。
【0033】
制御実行部74は、使用者によりシャットダウン実行ボタンが押されてからの経過時間をモニタリングし、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ6)。この所定時間は、シャットダウンメソッドを作成する際に表示部76の画面に表示されていた時間、即ち、各分析ユニット60におけるクールダウンに要する時間のうちの最長の時間である。あるいはそれに所定の時間(各部の間の通信に要する時間等を考慮した時間)を追加した時間としてもよい。
【0034】
制御実行部74は、所定時間が経過すると(ステップ6でYES)、システムコントローラ50にシャットダウンの実行を指示する(ステップ7)。システムコントローラ50はシャットダウンの実行指示を受けると、各分析ユニット60にシャットダウンの実行を指示する(ステップ8)。また、制御実行部74は、表示部76にシャットダウン解除を指示するボタンを表示する。
【0035】
各分析ユニット60では、シャットダウンの実行指示を受けると、ユニット制御部62は、第1電源63から本体61への通電を停止する。こうして、シャットダウン状態への移行が完了する。シャットダウン状態においても第2電源64からユニット制御部62への通電は維持される。
【0036】
本実施例の液体クロマトグラフでは、分析終了時など、その後、しばらく分析を行わない場合に上記の手順でシャットダウン状態へと移行することにより、各分析ユニット60において第1電源63から本体61への通電が停止される。そのため、分析待機中の消費電力を抑えることができる。また、シャットダウン状態にあっても、各分析ユニット60では、第2電源64からユニット制御部62への通電が維持されており、システムコントローラ50と通信可能となっている。従って、制御・処理部70からシャットダウン状態を解除する操作を行うことにより、システムコントローラ50を介して各分析ユニット60のシャットダウン状態を解除することができる。
【0037】
次に、
図6を用いてシャットダウン状態を解除する手順を説明する。
【0038】
使用者が、表示部76に表示されたシャットダウン解除ボタンを押すと、制御実行部74はシステムコントローラ50にスタートアップ処理の開始を指示する(ステップ11)。スタートアップ処理とは、各分析ユニット60を分析可能な状態(スタンバイ状態)へと移行する処理(オートパージやウォームアップ)をいう。オートパージとは、液体クロマトグラフ1内の流路に移動相を流通させてカラム31を平衡化する処理である。
【0039】
システムコントローラ50は、スタートアップ処理の開始指示を受けると、各分析ユニット60に対してスタートアップ処理の開始を指示する(ステップ12)。
【0040】
各分析ユニット60では、スタートアップ処理の開始指示を受けると、ユニット制御部62が、第1電源63から本体61への通電を再開する(本体61への通電を停止していた場合)。ユニット制御部62はさらに、本体61への通電再開後、本体のオートパージ/ウォームアップを実行する。具体的には、送液ユニット10では、送液ポンプ12a、12bによる移動相の送液量を、予め決められた流量まで段階的に上昇させる。オートサンプラ20では、筐体内部が所定の温度となるように温調を開始する。カラムオーブン30では、カラム31が所定の温度となるように温調を開始する。検出ユニット40では、ランプ42を点灯させるとともに、検出ユニット40が所定の温度となるように温調を開始する。
【0041】
制御実行部74は、使用者によりシャットダウン解除ボタンが押されてからの経過時間をモニタリングし、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ13)。この所定時間は、各分析ユニットにおいて上記のオートパージ/ウォームアップに要する時間のうちの、最長の時間である。
【0042】
以上の各ステップを経て、液体クロマトグラフ1のシャットダウン状態が解除され、分析可能な状態となる。
【0043】
なお、制御・処理部70はソフトウェアにより作成された画面でシャットダウン状態の設定の詳細等を容易に設定及び確認するために用いられるものであり、本発明に必須の構成ではない。制御・処理部70を用いない場合には、使用者はシステムコントローラ50において、液体クロマトグラフ1のシャットダウン状態の設定/解除に係る操作を行えばよい。
【0044】
次に、変形例の液体クロマトグラフについて説明する。上記実施例の液体クロマトグラフでは、全ての分析ユニット60が、
図3に示す構成を有していたが、変形例では一部の分析ユニット100が
図7に示す構成を有している。即ち、一部の分析ユニット100は、本体101とユニット制御部102に共通の第1電源103のみを有している。分析ユニット100は、例えば分析ユニット60よりも旧型のものであり、また、そのユニット制御部102は当該分析ユニットに対するコマンドのみを処理することが可能(ブロードキャストに非対応)である。
【0045】
変形例の液体クロマトグラフでは、分析ユニット60、100をシステムコントローラ50に接続すると、システムコントローラ50は接続された分析ユニット60、100の型を判定する。例えば、システムコントローラ50から、分析ユニット60においてのみ処理可能なコマンドを各分析ユニット60、100に送信し、コマンドに対する反応(応答の有無)に基づいて分析ユニットの型を判定する。システムコントローラ50は分析ユニットの型の判定結果を制御・処理部70に送信する。制御・処理部70では、分析ユニット60、100の型の情報を記憶部71に保存する。以下、検出ユニット40が旧型の分析ユニット100である場合を一例として、上記実施例と異なる点を説明する。
【0046】
変形例の液体クロマトグラフにおいても、使用者が入力部75を通じた所定の操作によりシャットダウン状態への移行を指示すると、設定入力受付部72は、動作を停止させる分析ユニット60を使用者に選択させる画面を表示部76に表示する。ただし、表示される画面の内容が上記実施例(
図4)とは一部異なる。
【0047】
図8は、変形例において設定入力受付部72により表示される画面の一例である。この画面にも、分析ユニットの名称と、シャットダウン状態への移行時に停止することが可能な動作が、チェックボックスとともに表示されている。ただし、旧型の分析ユニット100である検出ユニット40では、第1電源103からの通電を停止するとユニット制御部102の動作が停止してしまい、制御・処理部70やシステムコントローラ50から当該分析ユニット100のシャットダウン状態を解除することができなくなる。そのため、検出ユニット40については、チェックボックスにチェックを入力することができないようになっている。
【0048】
メソッドファイル作成部73によりシャットダウンメソッドファイルが作成されると、制御実行部74はシステムコントローラ50にシャットダウンメソッドを設定する。シャットダウンメソッドが設定されると、システムコントローラ50では、検出ユニット40に対してスリープ状態への移行を指示するコマンドを、他の分析ユニット60(送液ユニット10、オートサンプラ20、及びカラムオーブン30)に対するコマンドから切り分けて送信(ユニキャスト)する。他の分析ユニット60に対しては、上記実施例と同様に、設定されたシャットダウンメソッドの内容をそのまま送信(ブロードキャスト)する。検出ユニット40はコマンドを受信すると表示部を消灯(スリープ状態に移行)する。また、オートパージ/スタートアップを行う場合にも、検出ユニット40に対するコマンドのみを他の分析ユニットに対するコマンドから分離して送信し、検出ユニット40のスリープ状態を解除する。
【0049】
上記実施例及び変形例はいずれも一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
【0050】
上記実施例及び変形例はいずれも液体クロマトグラフとしたが、他のユニット型の分析装置においても上記同様に構成することができる。
【0051】
制御・処理部70を有しない分析装置の場合、シャットダウン状態の設定/解除に係る操作を容易にするために、システムコントローラ50の画面上に表示される所定のボタンを押すことにより予め決められた分析ユニットをシャットダウン状態に移行させ、またそれらのシャットダウン状態を解除するように構成することができる。
【0052】
システムコントローラ50が画面を有しないものである場合には、システムコントローラ50の電源を切る場合は電源ボタンを長く押すような設定としておき、システムコントローラ50の電源ボタンを短く押すことによって予め決められた分析ユニットをシャットダウン状態に移行させ、またそれを解除するように構成することもできる。あるいは、システムコントローラ50と特定の分析ユニット60(例えば送液ユニット10)に予め連携機能を持たせておき、その分析ユニット60において所定の操作(例えば送液ポンプ12a、12bの電源ボタンを押す)ことにより、予め決められた分析ユニット60に対するシャットダウン状態の設定/解除を行うようにしてもよい。
【0053】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0054】
(第1態様)
本発明の第1態様に係る分析装置は、
動作主体である本体と、該本体に電力を供給する第1電源と、外部から入力される制御信号に応じて該本体を動作させ、また該第1電源と該本体の間の通電状態/非通電状態を切り替えるユニット制御部と、該ユニット制御部に電力を供給する、前記第1電源よりも電圧が低い第2電源と、をそれぞれが有する1乃至複数の分析ユニットと
前記1乃至複数の分析ユニットのそれぞれのユニット制御部に制御信号を送信する本体制御部と
を備える。
【0055】
第1態様の分析装置は、1乃至複数の分析ユニットと本体制御部を備えている。各分析ユニットは、動作主体である本体と、本体に電力を供給する第1電源と、本体を動作させるとともに第1電源と本体の間の通電状態/非通電状態を切り替えるユニット制御部と、ユニット制御部に電力を供給する、第1電源よりも電圧が低い第2電源を備えている。本体制御部から各ユニットに分析動作を指示する制御信号が入力されると、各分析ユニットのユニット制御部は第1電源から本体に通電し、該本体を動作可能状態とする(分析状態)。そして、ユニット制御部は本体制御部からの制御信号に応じて本体を動作させる。一方、本体制御部から各ユニットに分析待機を指示する制御信号が入力されると、各分析ユニットのユニット制御部は第1電源から本体への通電を停止し、非通電状態(シャットダウン状態)とする。このように、本発明に係る分析装置では、本体制御部への入力操作により分析ユニットのユニット制御部に所定の制御信号を送信することによってシャットダウン状態を設定することができる。このシャットダウン状態では第1電源から本体への通電が停止されるため、消費電力を抑えることができる。
一方、シャットダウン状態でも分析ユニット内で第2電源からユニット制御部への通電は維持されるため、本体制御部から分析ユニットのユニット制御部に所定の制御信号を送信することによってシャットダウン状態を解除することができる。
【0056】
(第2態様)
【0057】
本発明の第2態様に係る分析装置は、上記第1態様の分析装置において、
前記本体制御部は、前記1乃至複数の分析ユニットのユニット制御部に、前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号、及び、前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部からの前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を非通電状態に切り替え、かつ、前記本体制御部からの前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を通電状態に切り替える。
【0058】
第2態様の分析装置では、本体制御部から1乃至複数の分析ユニットのユニット制御部に、前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号、及び、前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号を送信し、ユニット制御部はそれらの制御信号に従って第1電源の非通電状態と通電状態を切り替える。第2態様の分析装置では、本体制御部から分析ユニットのユニット制御部に対し、第1電源を非通電状態に切り替える制御信号、及び、前記第1電源を通電状態に切り替える制御信号をそれぞれ送信し、ユニット制御部はそれぞれの制御信号に応答して動作するため、ユニット制御部において制御信号の読み替えや変換などの処理を行う必要がなく、該ユニット制御部を簡素に構成することができる。
【0059】
(第3態様)
【0060】
本発明の第3態様に係る分析装置は、上記第1態様又は第2態様の分析装置において、
前記本体制御部が、
前記1乃至複数の分析ユニットのうち、前記第1電源を非通電状態に切り替える対象の分析ユニットを指定する入力を受け付ける設定入力受付部と、
前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対して、前記第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理を記載したシャットダウンメソッドを前記ユニット制御部に設定するシャットダウンメソッド設定部と、を備え、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部から送信された前記シャットダウンメソッドファイルを受信し、前記シャットダウンメソッドファイルに記載された処理を実行する。
【0061】
第3態様の分析装置では、分析ユニット単位で選択的にシャットダウン状態に移行させることができる。例えば、液体クロマトグラフでは、送液ユニットの第1電源から送液ポンプへの通電を開始してから所定の流量で移動相を送液するまでに要する時間が短い一方、カラムオーブンや検出ユニットの第1電源から温調機構への通電を開始してから対象部の温度が安定化するには時間がかかる。第3態様の分析装置では、分析ユニットによってウォームアップに要する時間が異なる場合に、所要時間が短いもののみをシャットダウン状態に移行させる等の柔軟な運用が可能となる。なお、上記実施例では、制御実行部74とシステムコントローラ50によって上記シャットダウンメソッド設定部の機能が実行される。
【0062】
(第4態様)
本発明の第4態様の分析装置は、上記第3態様の分析装置において、
前記本体制御部は、前記1乃至複数の分析ユニットにおいて前記第1電源を非通電状態に切り換える際に実行すべき所定の処理を記憶しており、
該本体制御部は、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対して、前記第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理を記載したシャットダウンメソッドファイルを作成するシャットダウンメソッドファイル作成部をさらに備え、
前記シャットダウンメソッド設定部は、前記シャットダウンメソッドファイル作成部によって作成された前記シャットダウンメソッドファイルに基づいて前記シャットダウンメソッドを前記ユニット制御部に設定する。
【0063】
第4態様の分析装置では、分析ユニットにおいて第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理が本体制御部に記憶されており、また、本体制御部は、設定入力受付部に入力された分析ユニットに対して、第1電源を非通電状態に切り替える際に実行すべき所定の処理を記載したシャットダウンメソッドファイルを作成するメソッドファイル作成部を有している。そのため、設定入力受付部に分析ユニットが入力された時点で、入力された分析ユニットの組み合わせに応じたシャットダウンメソッドファイルをその都度、作成することができる。従って、分析ユニットの全ての組み合わせに対応するシャットダウンメソッドファイルを事前に用意しておく必要がない。
【0064】
(第5態様)
本発明の第5態様の分析装置は、上記第3態様又は第4態様の分析装置において、
前記本体制御部は、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットに対する、前記第1電源を非通電状態に切り替える際の所定の処理のうち、実行に最も長時間を要する所定の処理の所要時間を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える。
【0065】
一般に、第1電源を非通電状態に切り換える際に実行すべき所定の処理に要する時間は分析ユニットごとに異なる。第5態様の分析装置では、表示部を確認するのみで、設定入力受付部に入力された各分析ユニットにおいて第1電源を非通電状態に切り替える際の所定の処理のうち、実行に最も長時間を要する所定の処理の所要時間を簡便に把握することができる。なお、上記実施例では、設定入力受付部72によって上記表示制御部の機能が実行される。
【0066】
(第6態様)
本発明の第6態様の分析装置は、上記第3態様から第5態様のいずれかの分析装置において、
前記本体制御部は、前記ユニット制御部が前記シャットダウンメソッドファイルに記載された処理の実行を開始してから所定時間経過した後、前記設定入力受付部に入力された分析ユニットのユニット制御部に、前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記本体制御部からの前記第1電源を非通電状態に切り替える制御信号に応答して前記第1電源を非通電状態に切り替える。
【0067】
第6態様の分析装置では、ユニット制御部が前記シャットダウンメソッドファイルに記載された処理を実行開始してから所定時間経過した後、第1電源が非通電状態に切り替えられる。例えば、この所要時間を、設定入力受付部に入力された各分析ユニットに対する、前記第1電源を非通電状態に切り替える際の所定の処理のうち、実行に最も長時間を要する所定の処理の所要時間、あるいはそれ以上の時間としておくことにより、分析ユニットにおける上記所定の処理を確実に終了させ、かつそれらの分析ユニットの第1電源を自動的に非通電状態に切り替えることができる。
【0068】
(第7態様)
本発明の第7態様の分析装置は、上記第3態様から第6態様のいずれかの分析装置において、
前記分析装置が液体クロマトグラフであり、
前記分析ユニットとして、送液ユニット、オートサンプラ、カラムオーブン、検出ユニットの少なくとも1つを含み、
前記送液ユニットの前記所定の処理が移動相の送液停止を含む、又は
前記オートサンプラの前記所定の処理が温調停止を含む、又は、
前記カラムオーブンの前記所定の処理が温調停止を含み、又は、
前記検出ユニットの前記所定の処理がランプ消灯又は温調停止を含む。
【0069】
第7態様の分析装置は、分析ユニットとして、送液ユニット、オートサンプラ、カラムオーブン、検出ユニットの少なくとも1つを含む液体クロマトグラフであり、各分析ユニットに特有の上記所定の処理を適宜に組み合わせて用いることができる。
【0070】
(第8態様)
本発明の第8態様の分析装置は、上記第1態様から第7態様のいずれかの分析装置において、
前記本体制御部が、前記1乃至複数の分析ユニットに対する制御信号をそのまま、各分析ユニットに送信し、
前記ユニット制御部は、受信した制御信号のうち、当該分析ユニットに関する制御信号に対応する処理を実行する。
【0071】
第8態様の分析装置では、分析ユニットごとに制御信号を分割する処理が不要となるため、シャットダウン状態への移行時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…液体クロマトグラフ
10…送液ユニット
11a、11b…容器
12a、12b…送液ポンプ
13…ミキサー
20…オートサンプラ
21…温調機構
30…カラムオーブン
31…カラム
32…温調機構
40…検出ユニット
41…フローセル
42…ランプ
43…分光検出部
44…温調機構
50…システムコントローラ
60、100…分析ユニット
61、101…本体
62、102…ユニット制御部
63、103…第1電源
64…第2電源
70…制御・処理部
71…記憶部
72…設定入力受付部
73…メソッドファイル作成部
74…制御実行部
75…入力部
76…表示部
80…流路
90…通信ケーブル