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特許7552855サーバ装置、認証端末、サーバ装置の制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】サーバ装置、認証端末、サーバ装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240910BHJP
   G06Q 40/12 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06Q40/12 420
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023503332
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008773
(87)【国際公開番号】W WO2022185543
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】奥村 太一
(72)【発明者】
【氏名】平本 憲由
(72)【発明者】
【氏名】幸 ほなみ
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030678(JP,A)
【文献】特開2020-107147(JP,A)
【文献】特開2014-154105(JP,A)
【文献】特開2016-177803(JP,A)
【文献】勤怠管理は働き方改革の基礎,PC-Webzine,日本,PC-Webzine編集局,2019年06月25日,第329巻,第14-15頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する、登録部と、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、認証部と、
を備え
前記認証部は、前記第2の事業者に設置された第3の認証端末から送信された第3の認証要求に含まれる第3の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、前記第3の被認証者の生体情報が前記データベースに登録され、且つ、前記第3の被認証者が勤務中の場合に、認証成功を前記第3の認証端末に通知する、サーバ装置。
【請求項2】
前記認証部は、前記第2の事業者に設置された第2の認証端末から送信された第2の認証要求に含まれる第2の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第2の被認証者は前記第1の事業者を退勤したものと管理する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記第3の認証端末から送信された、前記第3の被認証者に関する決済情報を含む決済処理要求を受信する、決済処理部をさらに備える、請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記決済処理部は、前記決済情報を用いて前記第3の被認証者の給料天引き処理を実行する、請求項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記生体情報は、顔画像又は前記顔画像から生成された特徴量である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
第1の事業者と提携関係にある第2の事業者が提供する、商品又はサービスの注文に関する利用者の意思を取得する、注文処理部と、
前記利用者が前記商品又はサービスを注文する意思を示すと、前記利用者の生体情報を含む認証要求を、前記第1の事業者に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に前記認証要求を処理するサーバ装置に送信する、認証要求部と、
を備え、
前記認証要求部は、前記利用者が前記第1の事業者の社員、且つ、前記利用者が前記第1の事業者に勤務状態の場合に認証成功と判定された認証結果を受信し、
前記注文処理部は、
前記サーバ装置から前記認証成功を受信すると、前記利用者に対して第1のメニューを提示し、
前記サーバ装置から認証失敗を受信すると、前記利用者に対して第2のメニューを提示する、認証端末。
【請求項7】
前記第1のメニューは、前記第1の事業者の社員による業務遂行に適さない商品又はサービスを含まない、請求項6に記載の認証端末。
【請求項8】
サーバ装置において、
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、
前記取得された生体情報をデータベースに登録し、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、
認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理し、
前記第2の事業者に設置された第3の認証端末から送信された第3の認証要求に含まれる第3の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、前記第3の被認証者の生体情報が前記データベースに登録され、且つ、前記第3の被認証者が勤務中の場合に、認証成功を前記第3の認証端末に通知する、サーバ装置の制御方法。
【請求項9】
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得する処理と、
前記取得された生体情報をデータベースに登録する処理と、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する処理と、
認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する処理と、
前記第2の事業者に設置された第3の認証端末から送信された第3の認証要求に含まれる第3の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、前記第3の被認証者の生体情報が前記データベースに登録され、且つ、前記第3の被認証者が勤務中の場合に、認証成功を前記第3の認証端末に通知する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、認証端末、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
社員の福利厚生サービスに関する技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、利便性の高い福利厚生サービスを従業員に提供する、と記載されている。特許文献1のシステムは、ユーザに所定の物又は役務を提供するサービス提供者のサービス提供者端末装置を含む。サービス提供者端末装置は、ユーザからユーザのユーザ識別子を取得し、ユーザ識別子とサービス額とサービス提供者識別子とを、サーバ装置に送信する。サーバ装置は、ユーザ識別子と補助額算出情報とを予め対応付けて記憶しており、サービス提供者端末装置からユーザ識別子とサービス額とサービス提供者識別子とを受信する。サーバ装置は、受信したユーザ識別子と対応付けて記憶されている補助額算出情報と、受信したサービス額とを用いて、補助額を算出する。サーバ装置は、補助額、又は、受信したサービス額から補助額を減算した支払額を、サービス提供者端末装置に送信する。
【0004】
また、近年では、生体認証に関する技術開発が進められている。
【0005】
例えば、特許文献2には、複数の顔データを事前登録しておくとともに、常に、最新の顔画像を自動更新できるようにし、本人確認を正確かつ確実にすることのできる顔認証を用いた本人確認装置を提供する、と記載されている。特許文献2の本人確認装置は、人感センサと、撮像手段と、液晶画面と、登録手段と、CPU(Central Processing Unit)を備える。人感センサは、顔を近づけることにより作動する。撮像手段は、人感センサの作動により起動する。液晶画面は、撮像手段から得られた顔画像を表示する。登録手段は、液晶画面の顔画面と照合するための顔データを事前登録する。CPUは、登録手段の顔データと撮像手段から得た顔画像とを照合し、本人を確認したときに認証許可信号を出力する。登録手段は複数の顔データの登録ができ、登録した顔データのうち最も認証閾値の低い顔データを、照合時に得られた最新の顔データに置き換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-163475号公報
【文献】特開2015-049654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、社員の働き方が多様化している。例えば、オフィスの中で固定された席を持たずに決められた空間の中で自由な席を選択して働く「フリーアドレス」を採用する企業等が増加している。また、主として勤務する本社ビルディング等とは離れた場所で働く「サテライトオフィス」を有する企業もある。
【0008】
ここで、本社ビルディングの近くの飲食店(例えば、カフェテリア)等の施設を「職場」として利用したいというニーズが存在する。しかし、当該飲食店を「職場」として利用するためには、利用者が「社員」として当該飲食店に入店しているのか通常の「一般客」として入店しているのか判別ができず上記飲食店を「職場」として利用するのは困難である。
【0009】
なお、当該問題点は、特許文献1や特許文献2に開示された技術を適用しても解決することはできない。特許文献1は、街中の飲食店が提供するメニューを格安で社員に提供するものであり、特許文献2は、生体認証における本人確認の精度を向上させるものだからである。
【0010】
本発明は、社員等の多様な働き方を実現することに寄与する、サーバ装置、認証端末、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の視点によれば、第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する、登録部と、前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、認証部と、を備える、サーバ装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の視点によれば、第1の事業者と提携関係にある第2の事業者を訪れた被認証者の生体情報を含む認証要求を、前記第1の事業者に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に前記認証要求を処理するサーバ装置に送信する、認証端末が提供される。
【0013】
本発明の第3の視点によれば、第1の事業者と提携関係にある第2の事業者が提供する、商品又はサービスの注文に関する利用者の意思を取得する、注文処理部と、前記利用者が前記商品又はサービスを注文する意思を示すと、前記利用者の生体情報を含む認証要求を、前記第1の事業者に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に前記認証要求を処理するサーバ装置に送信する、認証要求部と、を備え、前記認証要求部は、前記利用者が第1の事業者の社員、且つ、前記利用者が前記第1の事業者に勤務状態の場合に認証成功と判定された認証結果を受信する、認証端末が提供される。
【0014】
本発明の第4の視点によれば、第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された認証端末と、前記認証端末と接続されたサーバ装置と、を含み、前記サーバ装置は、前記第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する、登録部と、前記認証端末から送信された認証要求に含まれる被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、認証部と、を備える、システムが提供される。
【0015】
本発明の第5の視点によれば、サーバ装置において、第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、前記取得された生体情報をデータベースに登録し、前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、サーバ装置の制御方法が提供される。
【0016】
本発明の第6の視点によれば、サーバ装置に搭載されたコンピュータに、第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得する処理と、前記取得された生体情報をデータベースに登録する処理と、前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する処理と、認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する処理と、を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の各視点によれば、社員等の多様な働き方を実現することに寄与する、サーバ装置、認証端末、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る認証システムの概略構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る本社ビルディングの構成を説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る提携先飲食店の構成を説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る認証システムの概略動作を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る認証システムの概略動作を説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る認証システムの概略動作を説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係る認証システムの概略動作を説明するための図である。
図9】第1の実施形態に係る認証システムの概略動作を説明するための図である。
図10】第1の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る認証情報データベースの一例を示す図である。
図12】第1の実施形態に係る社員情報データベースの一例を示す図である。
図13】第1の実施形態に係る認証部の動作を説明するための図である。
図14】第1の実施形態に係る勤怠管理データベースの一例を示す図である。
図15】第1の実施形態に係る認証部の動作を説明するための図である。
図16】第1の実施形態に係る認証部の動作を説明するための図である。
図17】第1の実施形態に係る本社端末の処理構成の一例を示す図である。
図18】第1の実施形態に係る本社端末の処理構成の一例を示す図である。
図19】第1の実施形態に係る提携先端末の処理構成の一例を示す図である。
図20】第1の実施形態に係る提携先端末の処理構成の一例を示す図である。
図21】第1の実施形態に係る認証システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図22】本願開示のサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図23】本願開示の変形例に係る本社端末の動作を説明するための図である。
図24】本願開示の変形例に係る提携先端末の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0020】
一実施形態に係るサーバ装置100は、登録部101と、認証部102と、を備える(図1参照)。登録部101は、第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する。認証部102は、第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、データベースに登録された複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する。認証部102は、認証に成功すると第1の被認証者は第1の事業者に出勤したものと管理する。
【0021】
サーバ装置100は、第1の事業者(企業等)の周辺に位置する第2の事業者(飲食店等)を第1の事業者で働く社員、従業員の「職場」として利用できるにする。サーバ装置100は、提携先に設置された第1の認証端末から取得した認証要求を用いた生体認証によって社員が提携先に勤務目的で入店したことを把握する。その結果、社員は、自社の施設や建物とは異なる場所で業務を遂行できるようになる。即ち、サーバ装置100は、社員等の多様な働き方を実現できる。
【0022】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る認証システムの概略構成の一例を示す図である。認証システムには、第1の事業者と、当該第1の事業者と提携関係にある第2の事業者と、が含まれる。図2の例では、企業(第1の事業者)の周辺に位置する飲食店が第2の事業者に相当する。企業等の建物(以下、本社ビルディング又は単に本社ビルと表記する)の周辺のカフェテリア等が第2の事業者である。
【0025】
上述のように、企業と飲食店は提携関係にあり、企業の社員等が提携先の飲食店を利用する際に様々な恩恵を得ることができる。例えば、当該企業の社員は、提携先の飲食店を「職場」として利用できる。
【0026】
提携先企業の社員は、生体認証(例えば、顔認証)を受けて飲食店の中に入り業務を行う。また、当該社員は、顔認証によって商品購入に関する決済を完了できる。
【0027】
図2に示すように、第1の実施形態に係る認証システムには、サーバ装置10と、本社端末20と、提携先端末30と、が含まれる。
【0028】
図2に示す各装置は相互に接続されている。例えば、サーバ装置10と認証端末(本社端末20、提携先端末30)は、有線又は無線の通信手段により接続され、相互に通信が可能となるように構成されている。
【0029】
サーバ装置10は、生体認証に係るサービスを提供する装置である。サーバ装置10は、企業(第1の事業者)に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を記憶している。サーバ装置10は、認証端末(本社端末20、提携先端末30)から認証要求を受信する。サーバ装置10は、記憶された生体情報を用いた生体認証を実行し、被認証者を特定する。サーバ装置10は、認証結果(認証成功、認証失敗)を認証端末に送信する。サーバ装置10は、本社ビル内に設置されていてもよいし、クラウド上に設置されていてもよい。
【0030】
本社端末20は、本社ビルの各所に配置される。例えば、図3に示すように、本社端末20-1、本社端末20-2は、建物の出入口付近に設置される。あるいは、本社端末20-3は、売店や食堂に設置される。
【0031】
本社端末20-1及び20-2は、社員による本社ビルへの入退場を制御する認証端末である。本社端末20-1及び20-2は、被認証者の認証に成功すると当該認証成功者(認証成功と判定された被認証者)がドアやゲートを通過することを許可する。
【0032】
本社端末20-3は、社員が購入した商品や提供を受けたサービスの決済を行うための認証端末である。本社端末20-3は、被認証者の生体情報と購入商品等に関する決済情報(代金、購入日、決済方法等)をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、生体認証により商品購入者を特定し、決済情報を処理する。
【0033】
提携先端末30は、提携先の飲食店の各所に配置される。例えば、図4に示すように、提携先端末30-1、提携先端末30-2は、飲食店の出入口付近に設置される。あるいは、提携先端末30-3は、商品を受け渡すカウンターに設置される。
【0034】
提携先端末30-1は、提携先の飲食店に入店する社員を把握するための認証端末である。提携先の飲食店を職場として利用したい社員は、提携先端末30-1により生体認証を受けて入店(出勤)が管理される。同様に、提携先の飲食店を職場として利用していた社員は、提携先端末30-2により生体認証を受けて退店(退勤)が管理される。
【0035】
提携先端末30-3は、社員が提携先の飲食店で購入した商品の決済を行うための認証端末である。提携先端末30-3は、社員が購入した商品等に関する決済情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、決済情報を処理する。
【0036】
なお、図2は例示であって、本願開示の認証システムの構成等を限定する趣旨ではない。例えば、認証システムには2台以上のサーバ装置10が含まれていてもよい。また、認証システムには少なくとも1以上の認証端末が含まれていればよい。
【0037】
[システムの動作概略]
続いて、第1の実施形態に係る認証システムの概略動作について説明する。
【0038】
[利用者登録]
図5に示すように、本社ビルディングに勤務する社員は、事前に利用者登録を行う。社員は、自身の生体情報、個人情報をサーバ装置10に登録する。例えば、社員者は、所持する端末を操作して生体情報をサーバ装置10に登録する。
【0039】
利用者の生体情報には、例えば、顔、指紋、声紋、静脈、網膜、瞳の虹彩の模様(パターン)といった個人に固有の身体的特徴から計算されるデータ(特徴量)が例示される。あるいは、利用者の生体情報は、顔画像、指紋画像等の画像データであってもよい。利用者の生体情報は、利用者の身体的特徴を情報として含むものであればよい。第1の実施形態では、生体情報は顔画像又は当該顔画像から生成された特徴量とする。
【0040】
社員の個人情報には、氏名、性別、所属部署、社員ID(Identifier)、連絡先等が例示される。
【0041】
サーバ装置10は、社員の生体情報と社員IDを対応付けて認証情報データベース(DB;Database)に記憶する。サーバ装置10は、認証情報データベースを用いて、複数の社員それぞれの生体情報を記憶する。また、サーバ装置10は、社員ID、社員の氏名、所属部署等を対応付けて社員情報データベースに記憶する。認証情報データベースや社員情報データベースの詳細は後述する。
【0042】
[本社ビルでの生体認証]
本社ビルに出勤した社員は、本社端末20-1の前に移動する。本社端末20-1は、社員の生体情報(例えば、顔画像)を取得し、当該取得した生体情報と端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0043】
なお、端末IDは、認証端末(本社端末20、提携先端末30)を識別するための識別情報である。端末IDには、各認証端末のMAC(Media Access Control)アドレス、IP(Internet Protocol)アドレス等を用いることができる。端末IDは、任意の手段によってサーバ装置10と認証端末の間で共有される。
【0044】
サーバ装置10は、認証要求に含まれる端末IDに基づいて認証要求の送信元を特定する。サーバ装置10は、端末IDに基づいて認証要求の送信元は本社端末20-1と判定する。
【0045】
サーバ装置10は、認証要求に含まれる生体情報と認証情報データベースに登録された生体情報を用いた生体認証(照合処理)を実行する。サーバ装置10は、認証結果(認証成功、認証失敗)を本社端末20-1に送信する。生体認証に成功した場合には、サーバ装置10は、認証時刻を社員の出勤時刻として勤怠管理データベースに記憶する。勤怠管理データベースの詳細は後述する。
【0046】
認証成功を受信すると、本社端末20-1は、ドアやゲートを開き被認証者の通過を許可する。認証失敗を受信すると、本社端末20-2は、ドアやゲートを閉じ被認証者の通過を拒否する。
【0047】
本社端末20-2に関する基本的な動作は、本社端末20-1と同様とすることができるので説明を省略する。サーバ装置10は、本社端末20-2の認証時刻を社員の退勤時刻として勤怠管理データベースに記憶する。
【0048】
売店等で商品を購入したりサービスの提供を受けたりする社員は、本社端末20-3を用いて決済を行う。例えば、本社端末20-3は、バーコード等により商品を特定し、商品購入代金を計算する。その後、本社端末20-3は、社員が決済方法を選択可能とするメニューを表示する(図6参照)。
【0049】
本社端末20-3は、社員が「現金払い」や「交通系IC(Integrated Circuit)カード払い」を選択すると、当該選択された決済手段により決済を行う。これらの決済手段に関しては、既存の処理を適用することができ、且つ、当業者にとって明らかであるので詳細な説明を省略する。
【0050】
本社端末20-3は、社員が「給料天引き」を選択すると、社員の生体情報(例えば、顔画像)を取得する。本社端末20-3は、端末ID、決済情報及び生体情報を含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0051】
サーバ装置10は、端末IDに基づいて認証要求の送信元を特定する。サーバ装置10は、端末IDに基づいて認証要求の送信元は本社端末20-3と判定する。
【0052】
サーバ装置10は、認証要求に含まれる生体情報と認証情報データベースに登録された生体情報を用いた生体認証(照合処理;1対N照合、Nは正の整数、以下同じ)を実行する。サーバ装置10は、照合処理により社員を特定すると、認証要求に含まれる決済方法(給料天引き)により商品購入代金の決済処理を行う。
【0053】
決済処理に成功すれば、サーバ装置10は、認証成功を本社端末20-3に通知する。生体認証や決済処理に失敗すれば、サーバ装置10は、認証失敗を本社端末20-3に通知する。
【0054】
認証成功を受信すると、本社端末20-3は、代金の支払いが完了した旨を社員に通知する。認証失敗を受信すると、本社端末20-3は、他の支払い手段の選択を促したり生体情報を再取得したりする。
【0055】
[提携先飲食店での生体認証]
提携先飲食店を職場として利用したい社員は、提携先端末30-1の前に移動する。提携先端末30-1は、社員の生体情報を取得し、生体情報と端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。生体認証に成功した場合、サーバ装置10は、提携先端末30-1の認証時刻を出勤時刻として扱い出勤管理データベースに記憶する。
【0056】
提携先飲食店を職場として利用した社員は、提携先端末30-2の前に移動する。提携先端末30-2は、社員の生体情報を取得し、生体情報と端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。生体認証に成功した場合、サーバ装置10は、提携先端末30-2の認証時刻を退勤時刻として扱い出勤管理データベースに記憶する。
【0057】
なお、休憩時間中の社員や有給休暇中の社員が、一般客として提携先の飲食店に入店し、退店する場合には、提携先端末30-1、30-2による生体認証を受ける必要はない。
【0058】
提携先端末30-3は、商品等の注文と決済を兼ねた端末である。提携先端末30-3は、図7に示すようなGUI(Graphical User Interface)を表示する。提携先端末30-3は、「商品注文」ボタンが押下されると、利用者の生体情報を取得する。
【0059】
提携先端末30-3は、取得した生体情報と端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0060】
サーバ装置10は、端末IDに基づいて認証要求の送信元を特定する。サーバ装置10は、端末IDに基づいて認証要求の送信元は提携先端末30-3(提携先飲食店の注文端末)と判定する。
【0061】
サーバ装置10は、認証要求に含まれる生体情報と認証情報データベースに登録された生体情報を用いた生体認証(照合処理)を実行する。サーバ装置10は、被認証者が「勤務中の社員」であれば認証成功を提携先端末30-3に送信する。なお、被認証者が勤務中の社員であれば、サーバ装置10は、当該社員の社員IDを含む肯定応答を提携先端末30-3に送信する。
【0062】
サーバ装置10は、被認証者が勤務中の社員でなければ認証失敗を提携先端末30-3に送信する。
【0063】
提携先端末30-3は、認証結果に応じて利用者に提供するメニューを変更する。具体的には、利用者が勤務中の社員の場合(認証成功の場合)、提携先端末30-3は、業務遂行に無関係な商品や不適切な商品を提供可能なメニューとして表示しない。例えば、提携先端末30-3は、図8(a)に示すように酒類をメニューとして表示しない。対して、利用者が勤務中の社員ではない場合(認証失敗の場合)、提携先端末30-3は、図8(b)に示すようなメニューを表示する。
【0064】
利用者が商品を選択し決済を希望すると、提携先端末30-3は、社員が希望する決済方法を取得する。この場合も、提携先端末30-3は、認証結果に応じて表示するGUIを変更する。
【0065】
具体的には、利用者が勤務中の社員の場合(認証成功の場合)、提携先端末30-3は、図9(a)に示すようなGUIを表示し、社員が希望する決済方法を取得する。社員が「給料天引き」を希望すると、提携先端末30-3は、端末ID、決済情報及び社員IDを含む決済処理要求をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、社員IDに該当する社員について決済処理(給料天引き処理)を行う。
【0066】
社員以外の利用者の決済については、提携先端末30-3は、図9(b)に示すように「給料天引き」がないGUIを表示すればよい。
【0067】
続いて、第1の実施形態に係る認証システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0068】
[サーバ装置]
図10は、第1の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図10を参照すると、サーバ装置10は、通信制御部201と、利用者登録部202と、認証部203と、決済処理部204と、記憶部205と、を備える。
【0069】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、本社端末20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、本社端末20に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0070】
利用者登録部202は、上述の利用者登録を実現する手段である。利用者登録部202は、企業(第1の事業者)に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、認証情報データベースに登録する。
【0071】
利用者登録部202は、任意の手段を用いて社員の生体情報、個人情報を取得する。例えば、利用者登録部202は、社員が所持する端末に生体情報、個人情報を取得するためのGUI(Graphical User Interface)や入力フォームを表示し、これらの情報を取得する。あるいは、登録を希望する社員が生体情報等を記憶した外部記憶媒体を本社の業務管理部に渡し、当該管理部の社員等が当該外部記憶媒体を用いて生体情報、個人情報をサーバ装置10に入力してもよい。
【0072】
利用者登録部202は、取得した顔画像から特徴量(複数の特徴量からなる特徴ベクトル)を生成する。なお、特徴量の生成処理に関しては既存の技術を用いることができるのでその詳細な説明を省略する。例えば、利用者登録部202は、顔画像から目、鼻、口等を特徴点として抽出する。その後、利用者登録部202は、特徴点それぞれの位置や各特徴点間の距離を特徴量として計算し、複数の特徴量からなる特徴ベクトル(顔画像を特徴づけるベクトル情報)を生成する。
【0073】
利用者登録部202は、社員IDと生体情報(例えば、特徴量)を対応付けて認証情報データベースに記憶する(図11参照)。このように、利用者登録部202は、複数の社員それぞれの生体情報を取得し、当該取得した生体情報を認証情報データベースに記憶する。
【0074】
図11に示す認証情報データベースは例示であって、記憶する項目等を限定する趣旨ではない。例えば、特徴量に代えて又は加えて顔画像に係る生体情報が認証情報データベースに記憶されていてもよい。
【0075】
また、利用者登録部202は、社員から取得した個人情報(社員ID、氏名、性別、所属部署等)を社員情報データベースに記憶する(図12参照)。
【0076】
図12に示す社員情報データベースは例示であって、記憶する項目等を限定する趣旨ではない。例えば、給料の振り込み先となる口座番号や連絡先等が社員情報データベースに記憶されていてもよい。
【0077】
認証部203は、認証端末から受信した認証要求を処理する手段である。
【0078】
認証部203は、認証要求に含まれる端末IDに基づいて認証要求の送信元を特定する。認証部203は、送信元の種類に応じて処理を変更する。具体的には、本社端末20-1や提携先端末30-1から受信した認証要求については、認証部203は、社員の出勤管理に関する処理を行う。本社端末20-2や提携先端末30-2から受信した認証要求については、認証部203は、社員の退勤管理に関する処理を行う。本社端末20-3や提携先端末30-3から受信した認証要求については、認証部203は、社員が購入した商品等の決済に関する処理を行う。
【0079】
はじめに、図13を参照しつつ、出勤管理を伴う認証部203の動作を説明する。
【0080】
認証部203は、受信した認証要求から生体情報(例えば、顔画像)を取り出す。認証部203は、取り出した顔画像から特徴量を生成する(ステップS101)。
【0081】
ステップS102において、認証部203は、当該生成された特徴量を照合側の特徴量、認証情報データベースに格納された特徴量を登録側の特徴量にそれぞれ設定し、1対N照合を実行する。具体的には、認証部203は、照合側と複数の登録側それぞれの特徴量との間の類似度を計算する。当該類似度には、カイ二乗距離やユークリッド距離等を用いることができる。なお、距離が離れているほど類似度は低く、距離が近いほど類似度が高い。
【0082】
認証部203は、認証情報データベースに登録された複数の特徴量のうち、照合対象の特徴量との間の類似度が所定の値以上の特徴量が存在するか否か判定する(ステップS103)。
【0083】
そのような特徴量が存在しない場合(ステップS103、No分岐)、認証部203は、認証に失敗したと判定する(ステップS104)。
【0084】
上記のような特徴量が存在する場合(ステップS103、Yes分岐)、認証部203は認証に成功したと判定する(ステップS105)。
【0085】
その後、認証部203は、認証情報データベースのエントリのなかから照合側の特徴量と類似度が最も高い特徴量を持つエントリを特定し、対応する社員IDを読み出す(ステップS106)。
【0086】
認証部203は、読み出した社員IDを用いて勤怠管理データベースを更新する(ステップS107)。
【0087】
図14に示すように、勤怠管理データベースは、勤務状態フィールド、出勤時刻フィールド、出勤場所フィールド及び退勤時刻フィールドを含む。勤務状態フィールドは、当日(現在時刻)における各社員の勤務状態を記憶するフィールドである。例えば、出勤時刻が勤怠管理データベースに記憶され、退勤時刻が勤怠管理データベースに記憶されていない社員の勤務状態は「勤務中」に設定される。また、退勤時刻が記憶された社員の勤務状態は「退社」に設定され、有給休暇を取得している社員の勤務状態は「有給」に設定される。
【0088】
なお、本社の稼働日に社員が有給を取得しているか否かは、サーバ装置10とは異なるサーバ等が管理する。サーバ装置10は、各社員が有給を取得しているか否かを当該サーバに問合わせることで有給を取得した社員(社員ID)を知ることができる。社員の勤怠管理に関しては本願の趣旨とは異なるのでより詳細な説明を省略する。
【0089】
認証部203は、読み出した社員IDをキーとして勤怠管理データベースを検索し、社員IDに対応するエントリの出勤時刻フィールドに認証時刻を書き込む。また、認証部203は、当該社員IDに対応する社員の勤務状態を「勤務中」に設定する。さらに、認証部203は、認証要求に含まれる端末IDから社員の出勤場所を特定し、当該特定した出勤場所を出勤場所フィールドに書き込む。
【0090】
認証部203は、認証結果を認証端末(本社端末20、提携先端末30)に送信する(ステップS108)。認証失敗の場合には、認証部203は、その旨を示す否定応答を認証端末に送信する。認証成功の場合には、認証部203は、その旨を示す肯定応答を認証端末に送信する。
【0091】
このように、認証部203は、企業(第1の事業者)と提携関係にある飲食店(第2の事業者)に設置された第1の認証端末(提携先端末30-1)から送信された第1の認証要求を受信する。認証部203は、第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、認証情報データベースに登録された複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する。認証部203は、生体認証に成功すると第1の被認証者は第1の事業者に出勤したものとして管理する。
【0092】
退勤管理に伴う認証部203の動作は、出勤管理に伴う認証部203の動作と基本的には同一であるため、その詳細な説明を省略する。本社端末20-2、提携先端末30-2から認証要求を受信し、生体認証に成功した場合には、認証部203は、勤怠管理データベースの退勤時刻に認証時刻を書き込めばよい。また、認証部203は、認証成功者の勤務状態を「退社」に設定し、勤怠管理データベースに記憶する。
【0093】
即ち、認証部203は、提携先飲食店に設置された第2の認証端末(提携先端末30-2)から送信された第2の認証要求を受信する。認証部203は、第2の認証要求に含まれる第2の被認証者の生体情報と、認証情報データベースに登録された複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する。認証部203は、生体認証に成功すると第2の被認証者は第1の事業者を退勤したものとして管理する。
【0094】
続いて、図15を参照しつつ、本社端末20-3からの認証要求を処理する際の認証部203の動作を説明する。図13に示すステップS101~S104の各処理と図15に示すステップS201~S204の各処理は同一とすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0095】
認証情報データベースに登録された複数の特徴量のうち、照合対象の特徴量との間の類似度が所定の値以上の特徴量が存在する場合(ステップS203、Yes分岐)、認証部203は、決済に関する処理を行う。
【0096】
認証部203は、認証情報データベースのエントリのなかから照合側の特徴量と類似度が最も高い特徴量を持つエントリを特定し、対応する社員IDを読み出す(ステップS205)。
【0097】
認証部203は、読み出した社員IDと認証要求に含まれる決済情報を決済処理部204に引き渡し、給料天引き処理を依頼する(ステップS206)。
【0098】
決済処理部204からの処理結果が「天引き許可」であれば(ステップS207、Yes分岐)、認証部203は、認証結果を認証成功に設定する(ステップS208)。
【0099】
決済処理部204からの処理結果が「天引き不許可」であれば、認証部203は、認証結果を認証失敗に設定する(ステップS204)。
【0100】
認証部203は、認証結果を本社端末20-3に送信する(ステップS209)。
【0101】
続いて、図16を参照しつつ、提携先端末30-3からの認証要求を処理する際の認証部203の動作を説明する。図13に示すステップS101~S104の各処理と図16に示すステップS301~S304の各処理は同一とすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0102】
認証情報データベースに登録された複数の特徴量のうち、照合対象の特徴量との間の類似度が所定の値以上の特徴量が存在する場合(ステップS303、Yes分岐)、認証部203は、ステップS305以降の処理を実行する。
【0103】
認証部203は、認証情報データベースのエントリのなかから照合側の特徴量と類似度が最も高い特徴量を持つエントリを特定し、対応する社員IDを読み出す(ステップS305)。
【0104】
認証部203は、読み出した社員IDを用いて、対応する社員が勤務中か否かを判定する(ステップS306)。具体的には、認証部203は、読み出した社員IDをキーとして勤怠管理データベースを検索し、特定したエントリの勤務状態フィールドから設定値を読み出す。認証部203は、読み出した設定値に基づいて社員が勤務中か勤務時間外(退社、有給)を判定する。
【0105】
被認証者(社員)が勤務中であれば(ステップS306、Yes分岐)、認証部203は、認証結果を認証成功に設定する(ステップS307)。
【0106】
被認証者(社員)が勤務中でなければ(ステップS306、No分岐)、認証部203は、認証結果を認証失敗に設定する(ステップS304)。
【0107】
例えば、提携先Aの提携先端末30-3から認証要求を受けた場合を考える。この場合、図14の例では、「ID01」及び「ID03」に対応する社員は勤務中なので、これらの社員に関する生体認証は認証成功となる。対して、「ID02」及び「ID04」に対応する社員は勤務中ではないので、これらの社員に関する生体認証は認証失敗となる。
【0108】
なお、「ID01」に対応する社員は本社ビルに勤務中であり、当該社員の認証要求が送信されるのは、当該社員が休み時間に提携先Aを訪れた場合と捉えることができる。
【0109】
認証部203は、認証結果を提携先端末30-3に送信する(ステップS308)。
【0110】
このように、認証部203は、提携先飲食店(第2の事業者)に設置された第3の認証端末(提携先端末30-3)から送信された第3の認証要求を受信する。認証部203は、第3の認証要求に含まれる第3の被認証者の生体情報と、認証情報データベースに登録された複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する。認証部203は、第3の被認証者の生体情報と実質的に同じ生体情報が認証情報デーベースに登録され、且つ、第3の被認証者が勤務中の場合に、認証成功を第3の認証端末に通知する。
【0111】
決済処理部204は、決済処理を行う手段である。決済処理部204は、認証部203から取得した社員ID及び決済情報を、社員の給料支払いを管理しているサーバ(システム)に送信し、給料天引き処理を依頼する。
【0112】
給料天引き処理の依頼を受けたサーバ(図2等に図示せず)は、社員に支払う予定の給料の残高が商品購入代金よりも多ければ、給料天引きを認める。当該サーバは、給料天引き処理の結果(天引き許可、天引き不許可)をサーバ装置10に送信する。
【0113】
決済処理部204は、給料天引き処理の結果を認証部203に引き渡す。
【0114】
決済処理部204は、提携先端末30-3から「決済処理要求」を受信した場合にも認証部203から決済情報を取得した場合と同様に処理する。決済処理部204は、給料天引き処理に成功すれば、その旨を示す肯定応答を提携先端末30-3に送信する。決済処理部204は、給料天引き処理に失敗すれば、その旨を示す否定応答を提携先端末30-3に送信する。
【0115】
このように、決済処理部204は、提携先端末30-3から送信された、社員に関する決済情報を含む決済処理要求を受信する。決済処理部204は、当該決済情報を用いて社員の給料天引き処理を実行する。
【0116】
記憶部205は、サーバ装置10の動作に必要な情報を記憶する手段である。例えば、記憶部205は、端末IDと認証端末(本社端末20、提携先端末30)の対応関係を規定するテーブル情報を記憶する。
【0117】
続いて、認証端末(本社端末20、提携先端末30)の詳細について説明する。はじめに、本社端末20について説明する。
【0118】
[本社端末20-1]
図17は、第1の実施形態に係る本社端末20-1の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図17を参照すると、本社端末20-1は、通信制御部301と、認証要求部302と、通行制御部303と、記憶部304と、を備える。
【0119】
通信制御部301は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、サーバ装置10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部301は、サーバ装置10に向けてデータを送信する。通信制御部301は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部301は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部301を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0120】
認証要求部302は、サーバ装置10に対して被認証者の生体認証を要求する手段である。認証要求部302は、カメラを制御し、利用者の生体情報(顔画像)を取得する。より具体的には、認証要求部302は、取得した画像に人の顔画像が含まれるか否かを判定し、顔画像が含まれる場合には取得した画像データから顔画像を抽出する。
【0121】
なお、認証要求部302による顔画像の抽出処理には既存の技術を用いることができるので詳細な説明を省略する。例えば、認証要求部302は、CNN(Convolutional Neural Network)により学習された学習モデルを用いて、画像データの中から顔画像(顔領域)を抽出してもよい。あるいは、認証要求部302は、テンプレートマッチング等の手法を用いて顔画像を抽出してもよい。
【0122】
認証要求部302は、抽出した顔画像(生体情報)と自装置の端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0123】
認証要求部302は、サーバ装置10から認証結果(認証成功、認証失敗)を取得する。認証要求部302は、認証結果(認証成功、認証失敗)を通行制御部303に引き渡す。
【0124】
通行制御部303は、利用者によるドアやゲートの通行(通過)を制御する手段である。
【0125】
認証失敗の場合には、通行制御部303は、その旨を認証失敗者(認証失敗と判定された被認証者)に通知する。例えば、通行制御部303は、ディスプレイを使った表示やスピーカを使った音声によって認証に失敗した旨を被認証者に通知する。認証失敗の場合には、通行制御部303は、認証失敗者がドアやゲートを通行することを許可しない。
【0126】
認証成功の場合には、通行制御部303は、ゲート等を開き被認証者の通行を許可する。通行制御部303は、表示や音声等を用いて認証に成功した旨を認証成功者に通知してもよい。
【0127】
記憶部304は、本社端末20-1の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0128】
[本社端末20-2]
本社端末20-2の処理構成及び動作は、本社端末20-1と同様とすることができるので詳細な説明を省略する。
【0129】
[本社端末20-3]
図18は、第1の実施形態に係る本社端末20-3の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図18を参照すると、本社端末20-3は、通信制御部401と、注文処理部402と、認証要求部403と、記憶部404と、を備える。
【0130】
通信制御部401は、本社端末20-1の通信制御部301と同様に、他の装置との間の通信を制御する手段である。
【0131】
注文処理部402は、利用者の商品注文に関する処理を行う手段である。注文処理部402は、バーコード等を利用して商品購入代金の合計額を算出し、その後、図6に示すような利用者による決済方法を選択可能とするGUIを表示する。
【0132】
注文処理部402は、利用者(社員)が「給料天引き」を選択すると、決済情報を生成し、当該生成した決済情報を認証要求部403に引き渡す。
【0133】
注文処理部402は、認証要求部403から認証結果(認証成功、認証失敗)を取得する。
【0134】
認証成功の場合には、注文処理部402は、商品代金の支払いが完了した旨を利用者に通知する。認証失敗の場合には、注文処理部402は、給料天引き以外の決済方法を選択することを促したりする。
【0135】
認証要求部403は、サーバ装置10に対して被認証者の生体認証を要求する手段である。認証要求部403は、注文処理部402から決済情報を取得したことに応じて、被認証者の生体情報を取得し、当該取得した生体情報、端末ID及び決済情報を含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0136】
認証要求部403は、サーバ装置10から認証結果(認証成功、認証失敗)を取得する。認証要求部403は、認証結果(認証成功、認証失敗)を注文処理部402に引き渡す。
【0137】
記憶部404は、本社端末20-3の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0138】
続いて、提携先端末30について説明する。
【0139】
[提携先端末30-1]
提携先端末30-1は、企業と提携関係にある飲食店を訪れた被認証者の生体情報を含む認証要求を、企業に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に認証要求を処理するサーバ装置10に送信する認証端末である。
【0140】
図19は、第1の実施形態に係る提携先端末30-1の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図19を参照すると、提携先端末30-1は、通信制御部501と、認証要求部502と、記憶部503と、を備える。
【0141】
通信制御部501は、本社端末20-1の通信制御部301と同様に、他の装置との間の通信を制御する手段である。
【0142】
認証要求部502は、本社端末20-1の認証要求部302と同様に、被認証者(提携先の飲食店等を職場として利用したい社員)の認証をサーバ装置10に要求する手段である。認証要求部502は、サーバ装置10から受信する認証結果に応じたメッセージ等を出力してもよい。
【0143】
例えば、認証に成功した場合には、認証要求部502は、提携先企業(本社ビルを使用等している企業)の名称等を表示しつつ、来店を歓迎するようなメッセージ等を出力してもよい。認証に失敗した場合には、認証要求部502は、その旨を表示しつつ、被認証者の生体情報を再取得する等の対処を行う。
【0144】
記憶部503は、提携先端末30-1の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0145】
[提携先端末30-2]
提携先端末30-2の処理構成及び動作は、提携先端末30-1と同様とすることができるので詳細な説明を省略する。
【0146】
[提携先端末30-3]
図20は、第1の実施形態に係る提携先端末30-3の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図20を参照すると、提携先端末30-3は、通信制御部601と、注文処理部602と、認証要求部603と、記憶部604と、を備える。
【0147】
通信制御部601は、本社端末20-1の通信制御部301と同様に、他の装置との間の通信を制御する手段である。
【0148】
注文処理部602は、利用者の商品注文に関する処理を行う手段である。注文処理部602は、企業と提携関係にある飲食店等が提供する、商品又はサービスの注文に関する利用者の意思を取得する。例えば、注文処理部602は、初期画面として図7に示すようなGUIを表示する。注文処理部602は、「商品注文」ボタンが押下されると、その旨を認証要求部603に通知する。
【0149】
注文処理部602は、認証要求部603から認証結果(認証成功、認証失敗)を取得する。
【0150】
認証成功(被認証者は勤務中の社員)の場合には、注文処理部602は、図8(a)に示すように、勤務時間に相応しくない商品(例えば、酒類)を選択することができないようなGUI(商品注文メニュー)を表示する。その際、注文処理部602は、勤務中の社員にはアルコール等を提供できない旨を表示してもよい。
【0151】
認証失敗(被認証者は勤務中の社員ではない)の場合には、注文処理部602は、図8(b)に示すように、通常の一般客に提供する商品注文メニューを表示する。
【0152】
このように、注文処理部602は、サーバ装置10から認証成功を受信すると、利用者に対して第1のメニューを提示する。注文処理部602は、サーバ装置10から認証失敗を受信すると、利用者に対して第2のメニューを提示する。なお、利用者に提供される第1のメニューは、企業の社員による業務遂行に適さない商品又はサービスを含まないメニューである。
【0153】
注文処理部602は、利用者が商品を選択し決済に進むと決済手段を選択するようなGUIを表示する。利用者が勤務中の社員の場合には、注文処理部602は、図9(a)に示すように、給料天引きを決済手段の選択肢として含むようなGUIを表示する。利用者が勤務中の社員でなければ場合には、注文処理部602は、図9(b)に示すように、給料天引きを決済手段の選択肢として含まないGUIを表示する。
【0154】
注文処理部602は、給料天引きが選択されると、サーバ装置10から取得した社員ID(肯定応答に含まれる社員ID)、端末ID及び決済情報を含む決済処理要求をサーバ装置10に送信する。
【0155】
注文処理部602は、決済処理要求に対する応答(肯定応答、否定応答)に応じたメッセージ等を出力する。
【0156】
認証要求部603は、サーバ装置10に対して被認証者の生体認証を要求する手段である。認証要求部603は、注文処理部602からの通知に応じて、利用者の生体情報を取得し、当該取得した生体情報及び端末IDを含む認証要求をサーバ装置10に送信する。
【0157】
認証要求部603は、サーバ装置10から認証結果(認証成功、認証失敗)を取得する。認証要求部603は、認証結果(認証成功、認証失敗)を注文処理部602に引き渡す。とりわけ、認証要求部603は、認証成功を受信した場合、認証成功者の社員IDを注文処理部602に引き渡す。
【0158】
このように、認証要求部603は、利用者が商品又はサービスを注文する意思を示すと、当該利用者の生体情報を含む認証要求を、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、被認証者が自企業の社員、且つ、当該被認証者が勤務状態の場合に認証成功と判定し、判定結果を提携先端末30-3に送信する。
【0159】
記憶部604は、提携先端末30-3の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0160】
[システムの動作]
続いて、第1の実施形態に係る認証システムの動作について説明する。ここでは、図21を参照しつつ、提携先端末30-3とサーバ装置10の動作を説明する。
【0161】
図21は、第1の実施形態に係る認証システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0162】
利用者が商品注文の意思をしめすと、提携先端末30-3は、当該利用者の生体情報を取得する(ステップS01)。
【0163】
提携先端末30-3は、生体情報を含む認証要求をサーバ装置10に送信する(ステップS02)。
【0164】
サーバ装置10は、取得した認証要求に含まれる生体情報と事前に登録された生体情報を用いた照合処理を実行する(ステップS03)。
【0165】
サーバ装置10は、照合処理によって特定された社員(被認証者)が勤務中か否か判定する(ステップS04)。
【0166】
サーバ装置10は、被認証者が勤務中であれば「認証成功」に設定する。サーバ装置10は、被認証者が勤務中でなければ、あるいは被認証者が社員でなければ「認証失敗」に設定する。
【0167】
サーバ装置10は、認証結果(認証成功、認証失敗)を提携先端末30-3に送信する(ステップS05)。
【0168】
利用者が商品を購入し給料支払いを選択すると、提携先端末30-3は、決済情報を生成する(ステップS11)。
【0169】
提携先端末30-3は、決済情報、商品購入者の社員IDを含む決済処理要求をサーバ装置10に送信する(ステップS12)。
【0170】
サーバ装置10は、社員IDに基づいて社員を特定し、決済情報を用いて天引き処理を実行する(ステップS13)。
【0171】
サーバ装置10は、天引き処理の結果を提携先端末30-3に送信する(ステップS14)。
【0172】
以上のように、第1の実施形態に係る認証システムでは、企業(本社ビル)の周辺に位置する飲食店(カフェテリア等)を当該企業の「職場」として利用できるにする。具体的には、サーバ装置10は、提携先に設置された認証端末から取得した認証要求を用いた生体認証によって社員が提携先に勤務目的で入店したことを把握する。サーバ装置10は、当該社員の勤務状態を「勤務中」に設定する。また、本社ビルに勤務する社員は、提携先での消費行動に伴う決済を給料天引きよって行うことができる。その結果、社員は、提携先の飲食店等をあたかも自社の職場、食堂のように利用することができる。即ち、社員の利便性が向上する。また、本社ビルに勤務する大勢の社員が提携先を利用することで、本社ビル周辺の経済活動が円滑に巡回するようになる。即ち、第1の実施形態に係る認証システムは、本社ビルを中心にした「城下町」のようか経済圏を形成することに寄与する。
【0173】
続いて、認証システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図22は、サーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0174】
サーバ装置10は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図22に例示する構成を備える。例えば、サーバ装置10は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0175】
但し、図22に示す構成は、サーバ装置10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。サーバ装置10は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、サーバ装置10に含まれるプロセッサ311等の数も図22の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311がサーバ装置10に含まれていてもよい。
【0176】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0177】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0178】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0179】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
【0180】
サーバ装置10の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0181】
なお、本社端末20、提携先端末30もサーバ装置10と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成はサーバ装置10と相違する点はないので説明を省略する。例えば、認証端末(本社端末20、提携先端末30)は、利用者を撮像するためのカメラを備えていればよい。
【0182】
情報処理装置であるサーバ装置10は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることでサーバ装置10の機能が実現できる。また、サーバ装置10は、当該プログラムによりサーバ装置の制御方法を実行する。
【0183】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した認証システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0184】
上記実施形態では、サーバ装置10が認証情報データベースや勤怠管理データベースを備える構成について説明した。しかし、これらのデータベースは、サーバ装置10等とは異なるデータベースサーバに構築されていてもよい。また、認証システムには、上記実施形態にて説明した各種手段(認証部203、決済処理部204等)が含まれていればよい。
【0185】
上記実施形態では、本社ビルは民間企業の本社ビルを想定して説明を行ったが、本社ビルは市役所等の建物であってもよい。即ち、第1の事業者は、民間事業者に限定されず公的機関であってもよい。
【0186】
上記実施形態では、企業の提携先として「飲食店」を例にとり説明したが、提携先は飲食店に限定されない。例えば、テーブル等を備えた書店やホテル等が提携先であってもよい。また、提携先は民間事業者に限定されず、図書館のような公共の施設が提携先であってもよい。
【0187】
上記実施形態では、3つの種類の本社端末20を例にとり説明を行った。しかし、当該3つの本社端末20とは用途の異なる本社端末20が認証システムに含まれていてもよい。例えば、会議室の入退場を制御する本社端末20が認証システムに含まれていてもよい。
【0188】
上記実施形態では、利用者登録の際、サーバ装置10が社員の生体情報と社員IDを取得することを説明した。しかし、サーバ装置10は、利用者登録の際に社員IDを生成してもよい。また、上記実施形態では、利用者登録の際、サーバ装置10が、社員情報データベースを生成することを説明したが、当該データベースは利用者登録とは異なるタイミングで生成されてもよい。即ち、サーバ装置10は、社員情報データベースを生成しなくともよい。
【0189】
上記実施形態では、認証に成功した社員が選択可能な決済手段として「給料天引き」を例にとり説明を行った。しかし、「給料天引き」に代えて又は加えて「クレジット払い」が社員の選択可能な決済手段として用いられてもよい。この場合、サーバ装置10は、利用者登録の際、社員のクレジット情報を取得し、社員情報データベースに登録する。サーバ装置10は、社員がクレジット払いを選択すると、社員情報データベースに登録されたクレジット情報を取得し、当該情報を利用した決済を行う。
【0190】
上記実施形態では、提携先で勤務する社員が当該提携先で商品を購入した際に「給料天引き」による決済手段を選択できることを説明した。しかし、勤務中ではない社員が当該提携先で商品を購入した場合にも「給料天引き」による決済手段を選択可能としてもよい。この場合、サーバ装置10は、提携先端末30-3からの認証要求を処理した結果、認証に失敗した場合、認証失敗の要因を提携先端末30-3に通知する。具体的には、サーバ装置10は、被認証者の生体情報が認証情報データベースに登録されているが、当該被認証者が勤務中ではないことを理由として認証に失敗した場合、当該認証失敗者の社員IDを含む否定応答を提携先端末30-3に送信すればよい。提携先端末30-3は、否定応答に社員IDが含まれる場合には、図9(a)に示すようなGUIを表示すればよい。このように、サーバ装置10が、生体認証に失敗した原因を認証端末に送信してもよい。
【0191】
提携先端末30-3は、被認証者が提携先の社員である場合(認証に成功した場合)、当該社員を優遇するような対応をしてもよい。例えば、提携先端末30-3は、提携先の社員が購入した商品の代金を減額する、あるいは、次回の来店時に使用可能なクーポン等を発行する。
【0192】
上記実施形態では、サーバ装置10は、提携先端末30-3からの認証要求を処理した際、認証に成功すると、被認証者の社員IDを含む肯定応答を提携先端末30-3に送信する場合について説明した。その際、サーバ装置は、被認証者の社員IDに加え、被認証者の勤務地を含む肯定応答を提携先端末30-3に送信してもよい。提携先端末30-3は、認証成功者の勤務先に応じて当該社員に与える特典を変更してもよい。例えば、提携先端末30-3は、自店舗(提携先端末30-3が置かれた店舗)で働いている社員に対してより多額の割引をしたり、より条件の良いクーポンを発行したりしてもよい。
【0193】
上記実施形態では、サーバ装置10とは異なるサーバに決済処理(給料天引き処理)を依頼する場合について説明した。しかし、サーバ装置10が決済処理を直接行ってもよい。
【0194】
上記実施形態では、認証端末からサーバ装置10に「顔画像」に係る生体情報が送信される場合について説明した。しかし、認証端末からサーバ装置10に「顔画像から生成された特徴量」に係る生体情報が送信されてもよい。この場合、サーバ装置10は、特徴量の生成処理を省略することができる。
【0195】
上記実施形態では、提携先端末30-1及び提携先端末30-2は、利用者が提携先店舗への入退場を制限するゲート等を制御しない場合について説明した。しかし、提携先端末30-1、提携先端末30-2は、ゲート等を制御して利用者の入退場を制限してもよい。
【0196】
本願開示の認証システムは、提携先に関する情報提供を社員に対して行ってもよい。例えば、社員が退社する際に、本社端末20-2は、職場として利用できる提携先の情報(名称、住所、連絡先等)を表示してもよい(図23参照)。あるいは、本社端末20-2は、提携先の住所に代えて社員にとってより分かりやすい場所の情報(例えば、本社正面玄関前等の情報)を表示してもよい。
【0197】
あるいは、提携先端末30-3は、商品代金の支払い時に、上記職場として利用できる提携先の情報を表示してもよい。あるいは、提携先端末30は、自店舗や他の提携先に関する情報を提供してもよい。より具体的には、提携先端末30-1や提携先端末30-2は、自店舗が職場として利用可能なことを入店又は退店する顧客に対して周知(案内)してもよい。あるいは、提携先端末30-1や提携先端末30-2は、職場として利用可能な店舗のリストを表示してもよい。
【0198】
あるいは、サーバ装置10は、本社と提携先店舗との位置関係、時間帯(残業時間帯)等の情報に応じて被認証者(社員)に対して提携先での勤務等を推薦してもよい。例えば、残業時間帯において本社から遠く離れた提携先にて社員の生体認証に成功した場合、サーバ装置10は、職場として利用できる提携先の情報(名称、住所等)を提供してもよい。
【0199】
提携先端末30-1等がゲートを制御する場合、提携先端末30―1は、利用者が「社員」の立場で提携先店舗に入店しようとしているのか「一般客」としての立場で入店しようとしているのか選択可能とするGUIを表示してもよい。例えば、提携先端末30-1(認証要求部502)は、図24に示すようなGUIを初期画面として表示する。提携先端末30-1は、利用者が「社員」として入店することを希望すれば、上記実施形態で説明したように当該利用者の生体認証をサーバ装置10に送信する。提携先端末30-1は、認証成功を受信すればゲートを開き被認証者の入店を許可する。提携先端末30-1は、認証失敗を受信すればゲートを閉じ被認証者の入店を拒否する。その際、提携先端末30-1は、被認証者に対して社員の立場で入店できないこと(飲食店を職場して利用できないこと)を通知してもよい。提携先端末30-1は、利用者が「一般客」として入店すること希望すれば、認証要求をサーバ装置10に送信することなく、ゲートを開き当該利用者の入店を許可する。このように、提携先端末30-1は、利用者が企業(第1の事業者)の社員として提携先(第2の事業者)を訪れたのか、利用者が一般客として第2の事業者を訪れたのか選択可能としてもよい。
【0200】
あるいは、提携先端末30-1は人感センサを備え、自装置の面前に利用者が位置していることを検出した場合に、図24に示すようなGUIを表示してもよい。同様に、提携先端末30-3は、人感センサからの検出信号により人を検出した場合、図7に示すようなGUIを表示してもよい。
【0201】
サーバ装置10は、社員の出勤情報を事前に取得し、当該出勤情報に基づいて利用者が社員として提携先を利用しているのか一般客として利用しているのか判定してもよい。あるいは、提携先端末30は、社員の出勤情報を当該社員の入店時に取得してもよい。例えば、サーバ装置10や提携先端末30は、「10時~17時;勤務、17時~;プライベート」といったような出勤情報を取得する。例えば、サーバ装置10は、上記勤務の時間内に、提携先端末30-3から認証要求を受信した場合、認証成功を当該提携先端末30に送信する。対して、プライベート時間に認証要求を受信した場合、サーバ装置10は、認証失敗を提携先端末30-3に送信する。提携先端末30-3は、認証結果に応じて提示するメニュー等を変更する。
【0202】
サーバ装置10は、本社の勤怠管理システムと連携してもよい。サーバ装置10は、提携先端末30-3からの認証要求を処理する際、被認証者が社員であって勤務中であれば「認証成功」に設定する。対して、サーバ装置10は、被認証者が社員であっても勤務中でなければ「認証失敗」に設定する。
【0203】
各装置(サーバ装置10、本社端末20、提携先端末30)間のデータ送受信の形態は特に限定されないが、これら装置間で送受信されるデータは暗号化されていてもよい。これらの装置間では、生体情報が送受信され、当該生体情報を適切に保護するためには、暗号化されたデータが送受信されることが望ましい。
【0204】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0205】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0206】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、企業や自治体等の建物及び当該建物の近辺に位置する飲食店等を含む認証システムなどに好適に適用可能である。
【0207】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する、登録部と、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、認証部と、
を備える、サーバ装置。
[付記2]
前記認証部は、前記第2の事業者に設置された第2の認証端末から送信された第2の認証要求に含まれる第2の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記第2の被認証者は前記第1の事業者を退勤したものと管理する、付記1に記載のサーバ装置。
[付記3]
前記認証部は、前記第2の事業者に設置された第3の認証端末から送信された第3の認証要求に含まれる第3の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、前記第3の被認証者の生体情報が前記データベースに登録され、且つ、前記第3の被認証者が勤務中の場合に、認証成功を前記第3の認証端末に通知する、付記1又は2に記載のサーバ装置。
[付記4]
前記第3の認証端末から送信された、前記第3の被認証者に関する決済情報を含む決済処理要求を受信する、決済処理部をさらに備える、付記3に記載のサーバ装置。
[付記5]
前記決済処理部は、前記決済情報を用いて前記第3の被認証者の給料天引き処理を実行する、付記4に記載のサーバ装置。
[付記6]
前記生体情報は、顔画像又は前記顔画像から生成された特徴量である、付記1乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
[付記7]
第1の事業者と提携関係にある第2の事業者を訪れた被認証者の生体情報を含む認証要求を、前記第1の事業者に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に前記認証要求を処理するサーバ装置に送信する、認証端末。
[付記8]
利用者が前記第1の事業者の社員として前記第2の事業者を訪れたのか、前記利用者が一般客として前記第2の事業者を訪れたのか選択可能とする、付記7に記載の認証端末。
[付記9]
第1の事業者と提携関係にある第2の事業者が提供する、商品又はサービスの注文に関する利用者の意思を取得する、注文処理部と、
前記利用者が前記商品又はサービスを注文する意思を示すと、前記利用者の生体情報を含む認証要求を、前記第1の事業者に勤務する社員それぞれの生体情報を記憶すると共に前記認証要求を処理するサーバ装置に送信する、認証要求部と、
を備え、
前記認証要求部は、前記利用者が第1の事業者の社員、且つ、前記利用者が前記第1の事業者に勤務状態の場合に認証成功と判定された認証結果を受信する、認証端末。
[付記10]
前記注文処理部は、
前記サーバ装置から前記認証成功を受信すると、前記利用者に対して第1のメニューを提示し、
前記サーバ装置から認証失敗を受信すると、前記利用者に対して第2のメニューを提示する、付記9に記載の認証端末。
[付記11]
前記第1のメニューは、前記第1の事業者の社員による業務遂行に適さない商品又はサービスを含まない、付記10に記載の認証端末。
[付記12]
第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された認証端末と、
前記認証端末と接続されたサーバ装置と、
を含み、
前記サーバ装置は、
前記第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、データベースに登録する、登録部と、
前記認証端末から送信された認証要求に含まれる被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、認証に成功すると前記被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、認証部と、
を備える、システム。
[付記13]
サーバ装置において、
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得し、
前記取得された生体情報をデータベースに登録し、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行し、
認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する、サーバ装置の制御方法。
[付記14]
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
第1の事業者に勤務する複数の社員それぞれの生体情報を取得する処理と、
前記取得された生体情報をデータベースに登録する処理と、
前記第1の事業者と提携関係にある第2の事業者に設置された第1の認証端末から送信された第1の認証要求に含まれる第1の被認証者の生体情報と、前記データベースに登録された前記複数の生体情報と、を用いた生体認証を実行する処理と、
認証に成功すると前記第1の被認証者は前記第1の事業者に出勤したものと管理する処理と、
を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【0208】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0209】
10、100 サーバ装置
101 登録部
102、203 認証部
20、20-1、20-2 本社端末
30、30-1、30-2 提携先端末
201、301、401、501、601 通信制御部
202 利用者登録部
204 決済処理部
205、304、404、503、604 記憶部
302、403、502、603 認証要求部
303 通行制御部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
402、602 注文処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24