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特許7552870光増幅器、光中継器、及び光通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光増幅器、光中継器、及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20240910BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20240910BHJP
   H01S 3/0941 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01S3/10 D
H01S3/067
H01S3/0941
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023509162
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022012953
(87)【国際公開番号】W WO2022202737
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2021051265
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】竹内 剛
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158532(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/121744(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/097075(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056438(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19627156(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/02
H01S 3/04 - 3/0959
H01S 3/10 - 3/102
H01S 3/105- 3/131
H01S 3/136- 3/213
H01S 3/23 - 5/50
H04B 10/00 -10/90
H04J 14/00 -14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数系統の信号光を増幅して出力する光増幅器であって、
複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部と、複数の励起光源と、前記複数の励起光源からの励起光を分波する複数の励起光分波部と、前記複数の励起光分波部からの励起光を合波及び分波する複数の励起光合分波部と、前記複数の信号光の一つと前記複数の励起光合分波部からの励起光とを合波した後、前記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の一つに入力する複数の合波部と、前記複数の励起光源を独立に駆動する制御部と、を含み、
前記複数の励起光源の数は上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の数より少なく、
前記複数の励起光源は、第1駆動電流で共通に駆動される第1励起光源及び第2励起光源と、前記第1駆動電流とは別系統の第2駆動電流で駆動される第3励起光源と、を少なくとも含んでおり、
前記複数の励起光分波部は、第1励起光分波部、第2励起光分波部及び第3励起光分波部を少なくとも含んでおり、
前記複数の励起光合分波部は、第1励起光合分波部、第2励起光合分波部及び第3励起光合分波部を少なくとも含んでおり、
前記複数の励起光源からの励起光は、前記複数の励起光分波部及び前記複数の励起光合分波部を経由して、前記複数の合波部に入力され、
前記制御部は、前記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の各不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力がそれぞれ所定の値となるように、前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流を制御する
光増幅器。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力がお互いに実質的に等しくなるように前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流を制御する
請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
前記複数の励起光源は、前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流とは別系統の第3駆動電流で共通に駆動される第4励起光源及び第5励起光源を、さらに含み、
前記複数の励起光分波部は、第4励起光分波部及び第5励起光分波部を、さらに含み、
前記複数の励起光合分波部は、第4励起光合分波部、第5励起光合分波部を、さらに含み、
前記制御部は、前記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の各不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力がそれぞれ所定の値となるように、前記第1駆動電流乃至前記第3駆動電流を制御する
請求項1又は2に記載の光増幅器。
【請求項4】
前記複数系統の信号光を伝播する光ファイバーに挿入され、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の光増幅器を含む、光中継器。
【請求項5】
複数の端局間を結び、前記複数系統の信号光を伝播する光ファイバーと、請求項に記載の光中継器と、を含む、
光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増幅器、光中継器、及び光通信システムに関し、特に光増幅器による信号光の増幅に用いられる励起光源に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、減衰した光信号を増幅するために、ファイバー型増幅器が用いられる。この減衰した光信号を増幅するファイバー型増幅器としては、光信号が入力される希土類添加ファイバーに、励起光源から出力される励起光を入力することで、光信号の信号強度を増幅するものがある。このようなファイバー型増幅器は、高効率・高利得であり、光ファイバー通信システムの光信号中継用の増幅器として用いられる。
【0003】
このようなファイバー型増幅器は、1つの光通信経路に基本的に1つ配置され、光信号がWDM(Wavelength Division Multiplexing)信号であり波長毎に別々に光信号を増幅したい場合には、1つの光通信経路に並列に複数配置される。光信号が伝播する光通信経路が並列して複数存在する場合には、各光通信経路にファイバー型増幅器が1つ配置される。
【0004】
次に、背景技術による、このような並列する光通信経路のための光増幅器について、説明する。図9は、背景技術の光増幅器を説明するための構成図である。ここでは、信号光が伝播する光通信経路が4系統の場合で説明する。
【0005】
図9の光増幅器は、4系統の信号光のための4つのファイバー型増幅器(EDFA101、EDFA102、EDFA103、EDFA104)を含む(なおここで、EDFAはエルビウム添加光ファイバー型増幅器の略称である)。さらに図9の光増幅器は、励起光源としての4つのレーザーダイオード(LD105、LD106、LD107、LD108)を含む。LD105~LD108は、図示しないそれぞれの制御系によって駆動電流が調整され、これによってLD105~LD108が出力する励起光の強度が調整される。主に、図9の光増幅器の信号光出力が一定となるように、LD105~LD108の駆動電流が調整される。
【0006】
さらに図9の光増幅器は、各光通信経路を伝播する信号光と励起光とを合波するWDM(Wavelength Division Multiplexing)カップラー109、110、111、112を含む。さらに図9の光増幅器は、点線で示す励起光合分波部を含む。図9の励起光合分波部は、LD105及びLD106からの励起光を合波し、2つに分波する2×2カップラー113と、LD107及びLD108からの励起光を合波し、2つに分波する2×2カップラー114と、を含む。さらに図9の励起光合分波部は、2×2カップラー113からの励起光と2×2カップラー114からの励起光とを合波し、2つの励起光に分波してWDMカップラー109及びWDMカップラー110へ出力する2×2カップラー115を含む。さらに図9の励起光合分波部は、2×2カップラー113からの励起光と2×2カップラー114からの励起光とを合波し、2つの励起光に分波してWDMカップラー111及びWDMカップラー112へ出力する2×2カップラー116を含む。
【0007】
図9の光増幅器では、4つのファイバー型増幅器(EDFA101、EDFA102、EDFA103、EDFA104)はそれぞれ4つのLD105~LD108からの励起光により励起される4LD冗長構成となっている。すなわち、例えば、4つのLD105~LD108のいずれか一つのLDが故障により出力光がゼロとなっても、他の3つのLDの励起光がEDFAに入射されており、光通信は持続される構成となっている。
【0008】
また図9の光増幅器では、励起光合分波部を備えることによって、LD105、LD106、LD107、LD108で生成された励起光をそれぞれWDMカップラー109、110、111、112へ直接的に出力する構成と比べて、LD105、LD106、LD107、LD108で生成された励起光の強度ばらつきの影響を小さくすることができる。
【0009】
特許文献1は、並行する、第1の光通信経路及び第2の光信号経路のための光信号中継器に関するものであり、第1の光通信経路を伝播する光信号を第1の光通信経路に挿入された第1のファイバー型光アンプで増幅し、第2の光通信経路を伝播する光信号を第2の光通信経路に挿入された第2のファイバー型光アンプで増幅する構成が提案されている。さらに特許文献1では、第1のファイバー型光アンプ及び第2のファイバー型光アンプへの励起光源として、並列する第1の励起用半導体レーザ及び第2の励起用半導体レーザを用いることが提案されている。
【0010】
特許文献2は、光ファイバー型増幅器に関するものであり、複数のレーザーダイオードを含む合波レーザ光源を備えること、1つの光信号経路に1つの光ファイバー型増幅器を挿入し光信号を増幅すること、上記複数のレーザーダイオードからの励起光を合波した後に、希土類添加ファイバーの入力側に入射することが提案されている。さらに特許文献2では、複数のレーザーダイオードの中の1つのレーザーダイオードが故障しても、光ファイバー型増幅器で信号光出力が一定となるように、複数のレーザーダイオードのための駆動電流制御回路がレーザーダイオードの駆動電流を変化させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2014-160908号公報
【文献】特開2007-214170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、背景技術の光増幅器では、1つの光ファイバー型増幅器が1つの光通信経路に基本的に1つ配置され、光ファイバー型増幅器と同数の励起光源が用いられることが一般的である。光信号がWDM(Wavelength Division Multiplexing)信号であり波長毎に別々に光信号を増幅したい場合には、1つの光通信経路に並列に複数配置される。
【0013】
ここでこのような光増幅器の低コスト化について、検討する。例えば、8系統の信号光を増幅する8つの光ファイバー型増幅器のためには、8つの励起光源が必要である。光ファイバー型増幅器の低コスト化を検討するときに、コストがかかるのは励起光源である。よって、光ファイバー型増幅器の数よりも小さい数の励起光源で、光増幅器を構成することが望まれる。
【0014】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2では、光ファイバー増幅部の数よりも小さい数の励起光源で、光増幅器を構成することについては記載が見当たらない。
【0015】
本発明の目的は、複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化を実現できる光増幅器、光中継器、及び光通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明に係る光増幅器は、複数系統の信号光を増幅して出力する光増幅器であって、
複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部と、複数の励起光源と、上記複数の励起光源からの励起光を分波する複数の励起光分波部と、上記複数の励起光分波部からの励起光を合波及び分波する複数の励起光合分波部と、上記複数の信号光の一つと上記複数の励起光合分波部からの励起光とを合波した後、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の一つに入力する複数の合波部と、を含み、
上記複数の励起光源の数は上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の数より少なく、上記複数の励起光源は、第1駆動電流で共通に駆動される第1励起光源及び第2励起光源と、上記第1駆動電流とは別系統の第2駆動電流で駆動される第3励起光源と、を少なくとも含んでおり、
上記複数の励起光分波部は、第1励起光分波部、第2励起光分波部及び第3励起光分波部を少なくとも含んでおり、
上記複数の励起光合分波部は、第1励起光合分波部、第2励起光合分波部及び第3励起光合分波部を少なくとも含んでおり、
上記複数の励起光源からの励起光は、上記複数の励起光分波部及び上記複数の励起光合分波部を経由して、上記複数の合波部に入力され、
上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の各不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力に対する、上記第1励起光源の励起光及び上記第2励起光源による励起光の関与と、上記第3励起光源による励起光の関与とを考慮して、上記複数の励起光源、上記複数の励起光分波部、及び上記励起光合分波部が選択されている。
【0017】
本発明に係る光中継器は、上記複数系統の信号光を伝播する光ファイバーに挿入される、上記光増幅器を含む。
【0018】
本発明に係る光通信システムは、複数の端局間を結び、上記複数系統の信号光を伝播する光ファイバーと、上記光中継器と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数系統の信号光を増幅する複数の光ファイバー増幅部の数より少数の複数の励起光源を用いて、複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化を実現する光増幅器、光中継器、及び光通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の上位概念の実施形態の光増幅器の構成図である。
図2】本発明の一実施形態の光増幅器の構成図である。
図3図2の光増幅器の、励起光源の電流量と、EDFAの光出力とに関する関係式である。
図4図3の関係式から、励起光源の電流量を求めるための関係式である。
図5図4の関係式について、係数Kにシンボルを付した説明図である。
図6図5の関係式を、励起光源の電流量を求めるために、シンボルに着目して変形した関係式である。
図7図6の関係式から得られる関係式である。
図8】本発明の一実施形態の光中継器、及び光通信システムを説明するための構成図である。
図9】背景技術の光増幅器を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態の概要〕
本発明の実施形態による光通信システムは、図8に示されるような、伝送線路の一例としての光ファイバー73を含む。ここで、伝送線路は、図8に示されるような、端局Aの光伝送装置71と端局Bの光伝送装置72との間を結び、光伝送装置71と光伝送装置72との間で送受信される信号光を伝送する。さらにこの光通信システムは、光伝送装置71と光伝送装置72との間の伝送線路の一例としての光ファイバー73に挿入されて、上記信号光を増幅する光中継器74を含む。図8では、光ファイバー73に複数の光中継器74が挿入された状態を示している。さらにこの光中継器74は、伝送線路を伝播する信号光を増幅する光増幅器を含む。
【0022】
本発明の実施形態による光増幅器は、複数系統の信号光を増幅して出力する光ファイバー型増幅器であり、複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部と、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の数より少ない数の複数の励起光源と、を含む。さらに上記複数の励起光源は、第1駆動電流で共通に駆動される第1励起光源及び第2励起光源と、上記第1駆動電流とは別系統の第2駆動電流で駆動される第3励起光源と、を少なくとも含む。さらに本発明の実施形態による光増幅器は、上記複数の励起光源からの励起光を分波する複数の励起光分波部と、上記複数の励起光分波部からの励起光を合波及び分波する複数の励起光合分波部と、上記複数の信号光の一つと上記複数の励起光合分波部からの励起光とを合波した後、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の一つに入力する複数の合波部と、を含む。そして本発明の実施形態による光増幅器では、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の各不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力に対する、上記第1励起光源の励起光及び上記第2励起光源による励起光の関与と、上記第3励起光源による励起光の関与とを考慮して、上記複数の励起光源、上記複数の励起光分波部、及び上記複数の励起光合分波部が選択されている。そして励起光源の効率、励起光分波部や励起光合分波部の透過損失、不純物ドープ光ファイバー増幅部の効率が、上記複数の励起光源の内、どの励起光源が同一の駆動電流により駆動されているかに応じて調整される。さらに、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力が全て等しくなるように、複数の励起光源の駆動電流が調整される。
【0023】
〔上位概念の実施形態〕
本発明の上位概念の実施形態による光増幅器、光中継器、及び光通信システムについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の上位概念の実施形態による光増幅器の構成図である。図1に示される光増幅器は、上述した図8の光中継器74に用いられ、光伝送装置71と光伝送装置72との間の伝送線路の一例としての光ファイバー73に挿入されて、光ファイバー73を伝播する信号光を増幅する。そして本実施形態の光通信システムは、図8と同様に、端局Aの光伝送装置71と端局Bの光伝送装置72との間を結び、光伝送装置71と光伝送装置72との間で送受信される信号光を伝送する伝送線路の一例としての光ファイバー73と、光ファイバー73に挿入されて、上記信号光を増幅する光中継器74と、を含む。
【0024】
図1の光増幅器は、複数系統の信号光を増幅して出力する光ファイバー型増幅器である。図1では複数系統の信号光を増幅する構成の一例として、6系統の信号光を増幅する構成を示している。図1の光増幅器は、複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の一例としての6つのエルビウムドープファイバー増幅部55a~55f(EDFA55a~55f)と、複数の励起光源51と、を含む。図1の光増幅器はさらに、上記複数の励起光源51からの励起光を分波する複数の励起光分波部52と、上記複数の励起光分波部52からの励起光を合波及び分波する複数の励起光合分波部53と、上記複数の信号光の一つと上記複数の励起光合分波部53からの励起光とを合波した後、上記6つのEDFA55a~55fの一つに入力する複数の合波部54a~54fと、を含む。
【0025】
図1の光増幅器では、複数の励起光源51の数は上記EDFA55a~55fの数より少なく、上記複数の励起光源51は、第1駆動電流で共通に駆動される第1励起光源51a及び第2励起光源51bと、上記第1駆動電流とは別系統の第2駆動電流で駆動される第3励起光源51cと、を含んでいる。図1の光増幅器では、複数の励起光源51の数は3つである。図1の光増幅器では、上記複数の励起光分波部52は、第1励起光分波部52a、第2励起光分波部52b及び第3励起光分波部52cを含んでいる。図1の光増幅器では、上記複数の励起光合分波部53は、第1励起光合分波部53a、第2励起光合分波部53b及び第3励起光合分波部53cを含んでいる。図1の光増幅器では、上記複数の励起光源51(第1励起光源51a、第2励起光源51b、や第3励起光源51c)からの励起光は、上記複数の励起光分波部52及び上記複数の励起光合分波部53を経由して、上記複数の合波部54a~54fに入力される。そして図1の光増幅器では、上記複数の不純物ドープ光ファイバー増幅部の各不純物ドープ光ファイバー増幅部の光出力に対する、上記第1励起光源51aの励起光及び上記第2励起光源51bによる励起光の関与と、上記第3励起光源51cによる励起光の関与とを考慮して、上記複数の励起光源51、上記複数の励起光分波部52、及び上記励起光合分波部53が選択されている。
【0026】
ここでEDFA55a~55fの光出力は、各EDFAに入射する励起光源51の励起光のパワーによって制御される。そして励起光源51の第1励起光源51a、第2励起光源51b、や第3励起光源51cの出力パワーは、第1励起光源51a、第2励起光源51b、第3励起光源51cへ供給される駆動電流によって制御される。つまり、各EDFAの光出力は、第1励起光源51a、第2励起光源51bへ供給される第1駆動電流の電流量と、第3励起光源51cへ供給される第2駆動電流であって、上記第1駆動電流とは別系統の第2駆動電流の電流量とによって、制御されている。
【0027】
複数の光ファイバーチャンネルからなる光通信システムにおいては、各チャンネルの不純物ドープ光ファイバー増幅部の出力が、なるべく等しくなるよう、調節することが望ましい。図1の光増幅器では、EDFA55a~55fの光出力に対する、上記第1励起光源51aの励起光及び上記第2励起光源51bによる励起光の影響と、上記第3励起光源51cによる励起光の影響とを考慮して、上記複数の励起光源51、上記複数の励起光分波部52、及び上記励起光合分波部53などの部品の組み合わせを最適化する。例えば、EDFA55a~55fのうち一つのEDFAの光出力に対し、第1励起光源51aの励起光及び第2励起光源51bによる励起光がともに関与しているときには、関与の大きさを大きく評価しつつ、上記複数の励起光源51、上記複数の励起光分波部52、及び上記励起光合分波部53などの部品の組み合わせを最適化する。また例えば、EDFA55a~55fのうち一つのEDFAの光出力に対し、第3励起光源51cの励起光が関与していないときには、関与がないものと評価して、上記複数の励起光源51、上記複数の励起光分波部52、及び上記励起光合分波部53などの部品の組み合わせを最適化する。
【0028】
本実施形態によれば、複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化を実現できる光増幅器、光中継器、及び光通信システムを提供することができる。その理由は、複数系統の信号光を増幅する6つのEDFA55a~55fに対して、EDFA55a~55fの数より少ない数である、3つの励起光源51(第1励起光源51a、第2励起光源51b、第3励起光源51c)を含んで光増幅器を構成できるからである。またその理由は、複数の励起光源51のうち、第1励起光源51a及び第2励起光源51bを第1駆動電流で共通に駆動される構成としたことにより、第1励起光源51aと第2励起光源51bとを別々の制御系で制御する構成とした場合と比べて、構成が簡略化できるからである。またこの構成の際に、上記第1励起光源51aの励起光及び上記第2励起光源51bによる励起光の影響と、上記第3励起光源51cによる励起光の影響とを考慮して、上記複数の励起光源51、上記複数の励起光分波部52、及び上記励起光合分波部53などの部品の組み合わせを最適化しているからである。以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
〔一実施形態〕
次に、本発明の一実施形態による光増幅器、光中継器、及び光通信システムについて図面を参照して説明する。
【0030】
本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態の光増幅器を説明する図である。図2に示される光増幅器は、上述した図8の光中継器74に用いられ、光伝送装置71と光伝送装置72との間の伝送線路の一例としての光ファイバー73に挿入されて、光ファイバー73を伝播する信号光を増幅する。そして本実施形態の光通信システムは、図8と同様に、端局Aの光伝送装置71と端局Bの光伝送装置72との間を結び、光伝送装置71と光伝送装置72との間で送受信される信号光を伝送する伝送線路の一例としての光ファイバー73と、光ファイバー73に挿入されて、上記信号光を増幅する光中継器74と、を含む。
【0031】
図2の光増幅器が、図9の背景技術の光増幅器と構成上異なる点は、背景技術では、励起光源の数が4、エルビウムドープファイバーアンプ(EDFA)の数が4であったのに対し、図2の光増幅器では、励起光源の数が5、EDFAの数が10となっていること、また、図2の光増幅器では、励起光を分岐するための励起光分波部を備えている点である。
【0032】
またさらに、背景技術の光増幅器では、励起光源に対して、それぞれの制御系が備えられていたのに対し、本実施形態では、一部の励起光源が、同一の制御系により制御されている点が異なる。すなわち、本実施形態においては、励起光源のレーザーダイオード(LD1、LD2)は、共通の制御系である制御系Aから供給される電流値Aの駆動電流により駆動され、励起光源のレーザーダイオード(LD3、LD4)は、共通の制御系である制御系Bから供給される電流値Bの駆動電流により駆動されている。一方、励起光源のレーザーダイオード(LD5)は、制御系Cから供給される電流値Cの駆動電流により単独で駆動されている。なお本実施形態においては、電流値Aの駆動電流は第1駆動電流の一例であり、電流値Cの駆動電流は第2駆動電流の一例であり、電流値Bの駆動電流は第3駆動電流の一例である。
【0033】
本実施形態の光増幅器において、複数の励起光源の一例として、励起光源11a(LD1)、励起光源11b(LD2)、励起光源11c(LD3)、励起光源11d(LD4)、及び励起光源11e(LD5)を含む。なお本実施形態においては、励起光源11a(LD1)は第1励起光源の一例であり、励起光源11b(LD2)は第2励起光源の一例である。また本実施形態においては、励起光源11e(LD5)は第3励起光源の一例であり、励起光源11c(LD3)は第4励起光源の一例であり、励起光源11d(LD4)は第5励起光源の一例である。
【0034】
本実施形態の光増幅器においては、複数の励起光源の数は奇数であり、図2の光増幅器では励起光源の数は5つである。励起光源11a~11e(LD1~LD5)は、同一品種のLDであり、その光電変換効率は、ある典型値を中心に、製造ばらつきによる、ある分布幅で分布している。そして、これらLDの出力光は、励起光分波部において、それぞれ1×2カップラー12a~12eにより2系統の励起光に分波され、励起光分波部からは、合計10系統の励起光が出射される。なお本実施形態においては、1×2カップラー12aは第1励起光分波部の一例であり、1×2カップラー12bは第2励起光分波部の一例である。また本実施形態においては、1×2カップラー12eは第3励起光分波部の一例であり、1×2カップラー12cは第4励起光分波部の一例であり、1×2カップラー12dは第5励起光分波部の一例である。
【0035】
そして同図に示すように、これら10系統の励起光は、10個の2×2カップラー13a~13jで構成された励起光合分波部の10か所の入力ポートにそれぞれ入射される。なお本実施形態においては、2×2カップラー13aは第1励起光合分波部の一例であり、2×2カップラー13bは第2励起光合分波部の一例である。また本実施形態においては、2×2カップラー13eは第3励起光合分波部の一例であり、2×2カップラー13cは第4励起光合分波部の一例であり、2×2カップラー13dは第5励起光合分波部の一例である。
【0036】
そして、励起光合分波部の10か所の出力ポート出射された励起光は、それぞれWDM(Wavelength Division Multiplexing)カップラー14a~14jを介して10個のEDFA15a~15jに入射される。ここで、励起光分波部の1×2カップラー12a~12e、励起光合分波部の2×2カップラー13a~13jの分岐比は、設計中心値を50:50としているが、実際には製造ばらつきによる、ある分布幅をもって分岐比はばらついている。
【0037】
次に、本実施形態の構成として、各励起光源と、各EDFAとの対応関係について説明する。図2の各EDFA15a~15jの出力部に1~5の数字を4桁記載しているが、これは、励起光源11a~11eのLD1~LD5に対応する。例えば、EDFA15eの出力部には「3,4,1,5」と記載されているが、これは、励起光源のLD3、LD4、LD1、LD5の出力パワーが、EDFA15eに入射されていることを示す。ここで、同図に示すように、全てのEDFA15a~15jが、それぞれ、励起光源のLD1~LD5のうち異なる4つのLDにより励起されている。この構成は、図9の背景技術と同様に4LD冗長構成となっている。
【0038】
(実施形態の動作、設計)
次に、本発明の実施形態の光増幅器の動作、設計について説明する。各EDFA15a~15jの光出力は、各EDFAに入射する励起LDのパワーによって制御される。そして各励起LDの出力パワーは、制御系A、B、Cから各励起LDへ供給される駆動電流によって制御される。つまり、各EDFA15a~15jの光出力は、制御系A、B、Cから供給する電流量により制御されている。
【0039】
ここで、EDFA15aと15b、15cと15d、15eと15f、15gと15h、15iと15jの光出力はそれぞれ、ペア内で常に等しくなるよう設計されている。この設計は、制御系A、B、Cからの供給電流量によらず、それぞれペア内で常に等しくなるような設計である。このような設計は、WDMカップラー14a~14jの前段の2×2カップラー13a~13jの分岐比について、製造ばらつきによる分布幅の中で、できる限り設計中心値である50:50に近いものを選別し、さらに、WDMカップラー14a~14jの損失と、EDFA15a~15jの効率との積がペア内でよくバランスするように調整することで可能となる。
【0040】
この時、EDFA15aと15b、15cと15d、15eと15f、15gと15h、15iと15jの光出力を、それぞれP1、P2、P3、P4、P5とする。ここで、制御系A、B、Cからの供給電流量A、B、Cと、EDFAの光出力P1~P5の関係は、図3の式で表すことができる。式中のK11~K53の係数は、各励起光源(LD1~LD5)の効率、各カップラー(12a~12e、13a~13j)の透過率、EDFA15a~15jの効率によって決まる数値である。
【0041】
複数の光ファイバーチャンネルを含んで構成される光通信システムにおいては、各チャンネルの光増幅器の出力が、なるべく等しくなるよう、調節することが望ましい。制御系A、B、Cからの供給電流量A、B、Cを、どのような値とすればEDFAの光出力P1~P5が等しくなるか、を知るためには、図3の式において、P1=P2=P3=P4=P5≡Pとして、また、供給電流量A、B、Cを未知数として図4のような連立方程式とし、これを解けばよい。
【0042】
ところが、図4の連立方程式は、未知数の数が3つであるのに対し、方程式は5本あり、一般には解が存在しない。ここで、本実施形態の光増幅器では、この連立方程式に解が存在するように、LD、カップラー、EDFAの各部品の組み合わせが最適化されている。次にその最適化の方法について、図5を用いて説明する。図5の右辺の右側に記載した1~5の数字は、図2の右側に記した励起光源(LD1~LD5)の数字と同じものであり、それぞれLD1~LD5のパワーが、その式が表すEDFAの光出力P1~P5に関与していることを示す。また図では、これら1~5の数字の下段にA、B、Cの記号が記載されているが、これは、励起光源(LD1~LD5)が、図2において、電流A、電流B、電流Cの内、どの電流で駆動されているかを示す。
【0043】
ここで例えば、図4の(2)式、すなわちEDFA15cと15dの光出力P2におけるA、B、Cの記号に注目すると、Aが二つ、B、Cがそれぞれ一つずつあり、電流Aによって駆動されるLDが2系統、関与しており、一方、電流B、電流Cによって駆動されるLDは、それぞれ1系統のみ関与している。すなわち、(2)式で表されるEDFAの光出力P2に対する電流Aの影響は、電流B、電流Cの影響の、おおむね2倍程度となる。したがって、(2)式の左辺の係数K21は、K22、K23のおおむね2倍程度となっている。一方、K22とK23とは、おおむね同程度の値となっている。
【0044】
このことを、図5の上では、K21に丸印、K22とK23に四角印を付して表している。図5の他の式の係数Kに対しても同様に丸印、四角印を付している。ここで、K13には三角印を付しているが、これは、(1)式の右辺のアルファベットの記号をみるとわかるように、(1)式で表されるEDFA15aと15bの光出力P1には、電流Cは関与しておらず、すなわち、他の係数Kとは異なり、K13=0であることを示している。
【0045】
ここで、図5の各式の左辺をみると、(2)式と(5)式、(3)式と(4)式が、A、B、Cそれぞれの係数に付した印が同じ印となっており、すなわち、A、B、Cそれぞれの係数が近い値となっている。ここで、前述のように、係数Kは、励起光源(LD1~LD5)の効率、励起光分波部や励起光合分波部に含まれる各カップラー(12a~12e、13a~13j)の分岐比、あるいは透過損失、EDFA15a~15jの効率によって決まる数値であり、さらに、励起光源の効率、各カップラーの分岐比、あるいは透過損失、EDFAの効率は、ある典型値、あるいは設計中心値を中心として、製造ばらつきによる分布幅をもってばらついている値である。
【0046】
したがって、これらの部品の組み合わせを最適化することにより、もともと値が近いK値同士(同じ印を付したK値同士)を、ほぼ等しい値に調節することが可能である。本発明の実施形態の光増幅器においては、この原理により、図5の(2)式と(5)式、(3)式と(4)式の左辺において、A、B、Cそれぞれの係数を、ほぼ等しい値とする。すなわち、図5の(2)式と(5)式においては
K21=K51
K22=K52
K23=K53
とする。
【0047】
また、図5の(3)式と(4)式においては
K31=K41
K32=K42
K33=K43
とする。
【0048】
ここで、図5の(2)式と(5)式において、
K21=K51≡KX1
K22=K52≡KX2
K23=K53≡KX3
また、図5の(3)式と(4)式において、
K31=K41≡KY1
K32=K42≡KY2
K33=K43≡KY3
とすれば、図5の方程式は、図6のように表される。ここで、図6においては、(2)式と(5)式、(3)式と(4)式は同一の方程式であるから、それぞれ一方を削除すると、図6の連立方程式は、さらに図7のようになる。図7の連立方程式は、変数(未知数)がA、B、Cの3つに対し、方程式が3本であるから、一般にこれを解くことができる。すなわち、電流A、電流B、電流Cを調節することで、EDFA15a~15jの光出力P1~P5を、全て等しいパワーに調節することができる。
【0049】
(実施形態の効果)
次に、本発明の実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化を実現できる光増幅器、光中継器、及び光通信システムを提供することができる。その理由は、複数系統の信号光を増幅する10つのEDFA15a~15jに対して、EDFA15a~15jの数より少ない数である、5つの励起光源(LD1~LD5)を含んで光増幅器を構成できるからである。またその理由は、複数の励起光源(LD1~LD5)のうち、LD1及びLD2を制御系Aから供給される電流値Aの駆動電流で共通に駆動される構成としたことにより、励起光源11a(LD1)と励起光源11b(LD2)とを別々の制御系で制御する構成とした場合と比べて、構成が簡略化できるからである。また複数の励起光源(LD1~LD5)のうち、LD3及びLD4を制御系Bから供給される電流値Bの駆動電流で共通に駆動される構成としたことにより、励起光源11c(LD3)と励起光源11d(LD4)とを別々の制御系で制御する構成とした場合と比べて、構成が簡略化できるからである。
【0050】
例えば、励起光源11a(LD1)と励起光源11b(LD2)とを別々の制御系で制御する構成とした場合、EDFA15a~15jのうちの複数のEDFAの光出力を揃えることが容易であるが、その一方、コストがかかる。これに対して本実施形態によれば、励起光源11a(LD1)と励起光源11b(LD2)を制御系Aから供給される電流値Aの駆動電流で共通に駆動される構成としたことにより、制御回路を減らして構成を簡略化しつつ、EDFA15a~15jのうちの複数のEDFAの光出力を揃えることができる。
【0051】
また本実施形態によれば、複数の励起光源(LD1~LD5)、上記複数の励起光分波部を構成している1×2カップラー12a~12e、上記励起光合分波部を構成している2×2カップラー13a~13jなどのパッシブな光部品の特性のばらつきを利用して、EDFA15a~15jの光出力を揃えることができる。
【0052】
また本実施形態の光増幅器を構成する際に、EDFA15a~15jのうち一つのEDFAの光出力に対し、励起光源11a(LD1)と励起光源11b(LD2)による励起光の影響と、励起光源11c(LD3)と励起光源11d(LD4)による励起光の影響と、励起光源11e(LD5)による励起光の影響とを考慮して、上記複数の励起光源、上記複数の励起光分波部、及び上記励起光合分波部などの部品の組み合わせを最適化しているからである。
【0053】
言い換えると、本実施形態によれば、前述のように、本実施形態の光増幅器では、EDFA15a~15jの光出力P1~P5の増減に対して、制御系Aの電流A、制御系Bの電流B、制御系Cの電流Cの内、どの電流が、どの程度関与しているかに注目して、各部品の組み合わせを最適化することで、EDFAの出力P1~P5を、全て等しいパワーに調節することができるという効果が得られる。
【0054】
また、図2に示したように、本実施形態の光増幅器では、複数のLD、例えばLD1とLD2とを共通の電流(電流A)で駆動しており、駆動回路の数を減らすことができまた、複数のLD、例えばLD3とLD4とを共通の電流(電流B)で駆動しており、駆動回路の数を減らすことが可能となる。このように光増幅器を構成する複数のLDのうちの、複数のLDを共通の電流で駆動する構成を採用することにより、複数のLDを共通の電流で駆動しており、駆動回路の数を減らすことが可能となり、光アンプ構成の製造コストが削減できるという効果が得られる。
【0055】
複数の励起光源11a~11eの一部、具体的には励起光源11a及び励起光源11bが同一の駆動電流の電流量Aで駆動されており、又は励起光源11c及び励起光源11dが同一の駆動電流の電流量Bで駆動されており、かつ、複数の励起光源の効率、励起光分波部や励起光合分波部に含まれる光カップラーの透過損失、やEDFAの効率が、複数の励起光源の内、どの励起光源が同一の駆動電流により駆動されているかに応じて調整されている。各EDFAの光出力が全て等しくなるように、複数の励起光源の駆動電流を調整することにより、複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化が可能な光増幅器を提供できる。
【0056】
複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化が可能な光増幅器を実現できることによって、光伝送装置71と光伝送装置72との間の伝送線路の一例としての光ファイバー73に挿入され、この光増幅器を用いた光中継器74について、低コスト化を実現することができる。また複数系統の信号光を増幅することができ、低コスト化が可能な光増幅器を実現できることによって、端局Aの光伝送装置71と端局Bの光伝送装置72との間を結び、送受信される信号光を伝送する光ファイバー73と、光ファイバー73に挿入されて、上記信号光を増幅する光中継器74と、を含む光通信システムについて低コスト化を実現することができる。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態の光増幅器の複数の励起光源の数は、上述したような3つや5つに限られるものではなく、奇数で構成するものであればよく、7つや9つでもよい。その際、複数の励起光源の数は、光増幅器の複数のEDFAの数より少なく、かつ奇数であればよく、複数の励起光源のうち、一組のLDを共通の制御系から供給される駆動電流で共通に駆動される構成とすればよい。また上述した実施形態では不純物ドープ光ファイバー増幅部として、エルビウム(Er)が添加された光ファイバー増幅部を挙げて説明したが、本発明の実施形態の不純物ドープ光ファイバー増幅部はEDFAに限られない。エルビウム以外の不純物が添加された光ファイバー増幅部、例えばプラセオジム(Pr)が添加された光ファイバー増幅部(PDFA)、やツリウム(Tm)が添加された光ファイバー増幅部(TDFA)を用いることもでき、光増幅器で増幅される信号光の波長帯に応じて選択すればよい。請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の活用例として、長距離光通信システムにおける中継用光アンプが挙げられる。
【0059】
この出願は、2021年3月25日に出願された日本出願特願2021-51265を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0060】
10a 制御系A
10b 制御系B
10c 制御系C
11a~11e LD
12a~12e 1×2カップラー
13a~13j 2×2カップラー
14a~14j WDMカップラー
15a~15j EDFA
71、72 光伝送装置
73 光ファイバー
74 光中継器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9