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特許7552882情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023516992
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2021017158
(87)【国際公開番号】W WO2022230164
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 浩司
(72)【発明者】
【氏名】織戸 英佑
(72)【発明者】
【氏名】福司 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】黄 晨暉
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 史行
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/194598(WO,A1)
【文献】特開2002-360549(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111757232(CN,A)
【文献】国際公開第2020/230282(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105698815(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111189469(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づく情報を出力させる出力手段と、
を有し、
前記検出手段は、第1標本化周波数で標本化された前記角度を示す情報と、前記第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第1標本化周波数よりも高い第2標本化周波数で標本化された前記角度を示す情報と、前記第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
情報処理装置。
【請求項2】
ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づく情報を出力させる出力手段と、
を有し、
前記検出手段は、前記ユーザの心拍及び皮膚温度の少なくとも一方に基づいて、前記第2閾値を決定する
報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記ユーザの足の土踏まずから踵までの間のいずれかの位置に装着される前記センサに基づく情報を取得する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、外部装置から所定のコマンドを受信した際に前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第2閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記センサにより測定される加速度と角速度との少なくとも一方が閾値以上である際に前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第2閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第2閾値と、前記センサにより測定される前記ユーザの歩行方向の加速度と、に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記ユーザの属性に基づいて、前記第2閾値を決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記センサにより測定される加速度及び角速度の少なくとも一方に基づいて、前記第2閾値を決定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置の各手段の処理を実行する、
情報処理方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置の各手段の処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
センサで測定されたデータに基づいて、ユーザの歩容(歩行の様子)を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-042879号公報
【文献】特開2005-342254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、例えば、ユーザの歩容に関する情報を適切に検出できない場合があるという問題点がある。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、ユーザの歩容に関する情報を適切に検出することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づく情報を出力させる出力手段と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る第2の態様では、ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得し、取得した前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出し、検出結果に基づく情報を出力させる、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示に係る第3の態様では、情報処理装置に、ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する処理と、取得した前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する処理と、検出結果に基づく情報を出力させる処理と、を実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、ユーザの歩容に関する情報を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る生成処理を行う情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】実施形態に係るセンサが装着される位置の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る検出処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る検出処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係るセンサにより測定される、健常者が歩行する際の各時点におけるピッチ及びロールの推移の一例を示す図である。
図9】実施形態に係るセンサにより測定される、患者が歩行する際の各時点におけるピッチ及びロールの推移の一例を示す図である。
図10】実施形態に係るセンサにより測定される、健常者が歩行する際の各時点における加速度の推移の一例を示す図である。
図11】実施形態に係るセンサにより測定される、患者が歩行する際の各時点における加速度の推移の一例を示す図である。
図12】実施形態に係るセンサにより測定される、健常者が歩行する際の各時点における角速度の推移の一例を示す図である。
図13】実施形態に係るセンサにより測定される、患者が歩行する際の各時点における角速度の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
【0012】
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施の形態1)
<構成>
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の構成について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、取得部11、検出部12、及び出力部13を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムと、情報処理装置10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0014】
取得部11は、情報処理装置10内部の記憶部、または外部装置から各種の情報を取得する。取得部11は、例えば、ユーザの足に装着されるセンサにより測定される足の裏(足底)と地面との歩行方向の角度(以下で、適宜「足裏角」とも称する。)を示す情報を取得する。
【0015】
検出部12は、取得部11により取得された情報と、第1閾値とに基づいてユーザの歩行を検出できない場合、取得部11により取得された情報と、第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいてユーザの歩行を検出する。
【0016】
出力部13は、情報処理装置10内部の記憶部、または外部装置へ各種の情報を出力(送信、記録)させる。出力部13は、例えば、検出部12による検出結果に基づく情報を出力させる。
【0017】
(実施の形態2)
次に、図2を参照し、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
<システム構成>
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図2の例では、情報処理システム1は、測定装置20A、及び測定装置20B(以下で、区別する必要がない場合は、単に、「測定装置20」とも称する。)を有する。また、情報処理システム1は、ユーザ端末30、及びサーバ40を有する。なお、測定装置20、ユーザ端末30、及びサーバ40の数は図2の例に限定されない。なお、測定装置20、ユーザ端末30、及びサーバ40は、それぞれ、情報処理装置10の一例である。
【0018】
以下では、一例として、測定装置20にて検出を行う例について説明する。なお、検出処理は、測定装置20、ユーザ端末30、及びサーバ40のいずれか1以上の装置にて実行されてもよい。
【0019】
測定装置20とユーザ端末30とは、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信またはケーブル等により、通信できるように接続されてもよい。
【0020】
図2の例では、ユーザ端末30とサーバ40は、ネットワークNにより通信できるように接続されている。ネットワークNの例には、例えば、インターネット、移動通信システム、無線LAN(Local Area Network)、BLE等の近距離無線通信、LAN、及びバス等が含まれる。移動通信システムの例には、例えば、第5世代移動通信システム(5G)、第4世代移動通信システム(4G)、第3世代移動通信システム(3G)等が含まれる。
【0021】
測定装置20は、ユーザの足に装着されるセンサ21を有する。測定装置20は、センサ21を用いて測定したデータを、ユーザ端末30またはサーバ40等の外部装置に出力する。なお、測定装置20は、ユーザ端末30を介さずに、サーバ40にデータを送信してもよい。
【0022】
ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、IoT(Internet of Things)通信装置、及び携帯電話機等の装置でもよい。ユーザ端末30は、例えば、測定装置20から取得したデータを、サーバ40に送信する。ユーザ端末30は、例えば、センサ21で測定されたデータに基づいて、ユーザの歩容に関する情報を画面に表示させる。
【0023】
サーバ40は、例えば、サーバ、クラウド、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の装置である。サーバ40は、例えば、センサ21で測定されたデータを記録し、記録しているデータに基づき、ユーザの歩容に関する情報をユーザ端末30に表示させる。
<ハードウェア構成>
【0024】
図3は、実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図3の例では、情報処理装置10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0025】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0026】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0027】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0028】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0029】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
<測定装置20について>
【0030】
次に、図4から図6を参照し、実施形態に係る測定装置20の一例について説明する。図4は、実施形態に係るセンサ21が装着される位置の一例を示す図である。図5は、実施形態に係るセンサ21により測定されるデータの一例を示す図である。図6は、実施形態に係る測定装置20の構成の一例を示す図である。
【0031】
図4の例では、測定装置20は、ユーザが履く靴のインソール(中敷き)501の窪み部502に収容(設置)される。なお、測定装置20のセンサ21は、ユーザの足の裏側の位置であって、土踏まずから踵までの間のいずれかの位置に装着されてもよい。図4及び図5に示すように、センサ21により、例えば、ユーザの歩行方向(Y方向)の加速度、鉛直上向き方向(Z方向)の加速度、及び歩行方向と鉛直方向とに垂直で他の足の方向(X方向)の加速度が測定(算出、計測)されてもよい。また、図5に示すように、センサ21により、例えば、足裏角θ等が測定されてもよい。
【0032】
図6の例では、測定装置20は、センサ21、制御装置22、及び通信装置23を有する。センサ21は、例えば、加速度及び角速度を測定する。センサ21は、例えば、3軸の加速度センサ、及び3軸のジャイロセンサを有する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)でもよい。制御装置22は、センサ21を用いて測定したデータを、通信装置23を用いて外部装置に出力する。制御装置22は、図3に示すコンピュータ100と同様の構成を有してもよい。この場合、制御装置22は、例えば、マイクロコントローラ等でもよい。
【0033】
<処理>
次に、図7から図13を参照し、実施形態に係る検出処理の一例について説明する。図7は、実施形態に係る検出処理の一例を示すフローチャートである。図8は、実施形態に係るセンサ21により測定される、健常者が歩行する際の各時点におけるピッチ及びロールの推移の一例を示す図である。図9は、実施形態に係るセンサ21により測定される、患者が歩行する際の各時点におけるピッチ及びロールの推移の一例を示す図である。図10は、実施形態に係るセンサ21により測定される、健常者が歩行する際の各時点における加速度の推移の一例を示す図である。図11は、実施形態に係るセンサ21により測定される、患者が歩行する際の各時点における加速度の推移の一例を示す図である。図12は、実施形態に係るセンサ21により測定される、健常者が歩行する際の各時点における角速度の推移の一例を示す図である。図13は、実施形態に係るセンサ21により測定される、患者が歩行する際の各時点における角速度の推移の一例を示す図である。
【0034】
ステップS1において、検出部12は、センサ21を装着しているユーザの歩行が開始されたことを検出する。ここで、検出部12は、例えば、外部装置から所定のコマンドを受信した際に、ユーザの歩行が開始されたと判定してもよい。この場合、例えば、測定装置20の検出部12は、ユーザからの操作を受け付けたユーザ端末30から当該コマンドを受信してもよい。これにより、例えば、病院等で医者等からの操作に応答して、ユーザの歩容の測定を開始できる。
【0035】
また、検出部12は、センサ21により測定された加速度及び角速度の少なくとも一方が閾値以上である場合に、ユーザの歩行が開始されたと判定してもよい。これにより、例えば、ユーザによる操作等の負担を低減できる。
【0036】
続いて、検出部12は、所定の閾値と、センサ21により測定された情報とに基づき、ユーザの歩行を検出できるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、検出部12は、例えば、センサ21により測定された足裏角に基づいて、ユーザが一歩を歩行する間(例えば、一方の足を地面から上げてから再度地面に降ろすまでの間)の時間長を測定できるか否かを判定してもよい。この場合、検出部12は、例えば、特定期間における足裏角の極大値(最大値)が第1極大値用閾値(「第1閾値」の一例。例えば、45°)以上である場合、ユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定できると判定してもよい。なお、この場合、検出部12は、当該角度が極大値となった各時点間の時間長に基づいて、ユーザが一歩を歩行する間の時間長を算出(決定)してもよい。
【0037】
また、検出部12は、例えば、特定期間における足裏角の極小値(最小値)が第1極小値用閾値(「第1閾値」の一例。例えば、-20°)以上である場合、ユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定できると判定してもよい。なお、この場合、検出部12は、当該角度が極小値となった各時点間の時間長に基づいて、ユーザが一歩を歩行する間の時間長を算出(決定)してもよい。
【0038】
図8には、健常者が歩行する際の各時点における、足裏角(ピッチ)の推移801と、歩行方向に対する回転角度(ロール)の推移802との一例が示されている。図8の例では、足裏角は時点811において極大値(約65°)となり、時点812において極小値(約-30°)となっている。
【0039】
また、図9には、足に障害等を有する患者が歩行する際の各時点における、足裏角(ピッチ)の推移901と、歩行方向に対する回転角度(ロール)の推移902との一例が示されている。図9の例では、足裏角は時点911において極大値(約10°)となり、時点912において極小値(約-5°)となっている。そのため、図9に示すような足裏角の推移の場合は、検出部12によりユーザの歩行を検出できないと判定される。
【0040】
ユーザの歩行を検出できる場合(ステップS2でYES)、ステップS5の処理に進む。一方、ユーザの歩行を検出できない場合(ステップS2でNO)、検出部12は、閾値等を調整する(ステップS3)。これにより、例えば、足を負傷している、疾病り患によるふらつき、加齢による足腰の衰え等により、ユーザの足裏角の変動が健常者と比較して小さい場合でも、適切に歩行を検出できる。ここで、検出部12は、閾値の値を、現在の閾値の値よりも緩やかな値に更新する。この場合、検出部12は、現在の閾値の値に所定の係数(例えば、0.8)を乗算した値を、以降の処理における閾値の値としてもよい。
【0041】
また、検出部12は、センサ21を装着しているユーザの属性に基づいて、第2閾値を決定してもよい。これにより、例えば、歩行を検出するための閾値をより高速に調整することができる。この場合、測定装置20の検出部12は、ユーザに指定されたユーザの属性を示す情報を、ユーザ端末30から受信してもよい。そして、検出部12は、ユーザに指定された、性別、年齢、足の怪我及び病気等の程度等を含むユーザの属性に対応付けて予め設定(登録)されている値を、第2閾値の初期値として設定してもよい。
【0042】
また、検出部12は、センサ21により測定される加速度及び角速度の少なくとも一方に基づいて、第2閾値を決定してもよい。これにより、例えば、歩行を検出するための閾値をより高速に調整することができる。この場合、検出部12は、例えば、歩行方向の加速度の最大値と最小値、及び足裏角の最大値と最小値に対応付けて予め設定されている値を、第2閾値の初期値として設定してもよい。
【0043】
また、検出部12は、センサ21を装着しているユーザの心拍及び皮膚温度の少なくとも一方に基づいて、第2閾値を決定してもよい。これにより、例えば、ユーザの感情等の状態に応じてより適切に歩行を検出できる。この場合、取得部11は、例えば、ユーザに装着されたウェアラブルデバイス等により測定された心拍及び皮膚温度に基づいて推定されたユーザの感情を示す情報を取得してもよい。そして、検出部12は、ユーザの感情に対応付けて予め設定(登録)されている値を、第2閾値の初期値として設定してもよい。また、検出部12は、ユーザの歩行が検出できるように調整された第2閾値の値を、ユーザの感情毎に記録してもよい。そして、検出部12は、ユーザの現在の感情に応じた第2閾値の値を用いて、現在のユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定してもよい。
【0044】
続いて、検出部12は、調整後の閾値(第2閾値)等と、センサ21により測定された情報とに基づき、ユーザの歩行が検出できるか否かを判定する(ステップS4)。ここで、検出部12は、センサ21により測定された足裏角を示すアナログ信号の標本化周波数(サンプリングレート)を健常者用の第1標本化周波数(例えば、100Hz)から第2標本化周波数(例えば、150Hz)に増加させてもよい。そして、検出部12は、第2標本化周波数で標本化された足裏角と、第2閾値とに基づいてユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定してもよい。これにより、例えば、ユーザが足の障害等を有するため、一方の歩幅が比較的短く、一歩を歩行する間の時間長が比較的短い等の場合に、より適切にユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定できる。
【0045】
また、検出部12は、足裏角と、第2閾値と、センサ21により測定されるユーザの歩行方向の加速度とに基づいて、ユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定してもよい。これにより、例えば、ユーザが履いている靴の靴底及び中敷きの衝撃吸収性が高い等のために、センサ21により測定される鉛直方向の加速度に基づいて歩容を適切に検出できない等の場合であっても、より適切に一歩の時間長を測定できる。この場合、検出部12は、例えば、まず、センサ21により測定されたユーザの歩行方向の加速度の符号が正から負に変わる各時点間の時間長の代表値(例えば、平均値、中央値、最頻値)を算出してもよい。そして、検出部12は、当該代表値の時間長において足裏角の極値が第2閾値以上となる時点が1つ以上存在する場合は、当該代表値をユーザが一歩を歩行する間の時間長として算出してもよい。
【0046】
図10には、健常者が歩行する際の図8と同じ各時点における、歩行方向の逆方向(-Y方向)の加速度の推移1001と、鉛直上向き方向(Z方向)の加速度の推移1002と、X方向の加速度の推移1003との一例が示されている。また、図10の例では-Y方向(Y方向の符号が逆)である。そのため、歩行方向(Y方向)の加速度の極大値は値1011の符号を逆にした約2.8Gであり、極小値は値1012の符号を逆にした約-4.8Gである。図10の例では、Y方向の加速度が極大値となる時点と足裏角が極大値となる時点811は概ね一致しており、Y方向の加速度が極小値となる時点と足裏角が極小値となる時点812も概ね一致している。
【0047】
また、図11には、足に障害等を有する患者が歩行する際の図9と同じ各時点における、歩行方向の逆方向(-Y方向)の加速度の推移1101と、鉛直上向き方向(Z方向)の加速度の推移1102と、X方向の加速度の推移1103との一例が示されている。また、図11の例では-Y方向(Y方向の符号が逆)である。そのため、歩行方向(Y方向)の加速度の極大値は値1111の符号を逆にした約2Gであり、極小値は値1112の符号を逆にした約-3.5Gである。また、図11の例では、時点1121において、Y方向の加速度の符号が正から負に変わっている。図11の例では、Y方向の加速度が極大値となる時点と足裏角が極大値となる時点911は概ね一致している。一方、Y方向の加速度が極小値となる時点と足裏角が極小値となる時点912は一致していない。そのため、検出部12は、例えば、Y方向の加速度の符号が正から負に変わる時点等の情報を用いることにより、ユーザが一歩を歩行する間の時間長をより適切に測定できる。
【0048】
また、検出部12は、足裏角と、第2閾値と、足裏角の角速度と、に基づいてユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定してもよい。これにより、例えば、足裏角のピークが滑らかであり、各一歩の動作において極値となる時点にばらつきが生じる等の場合であっても、より適切にユーザが一歩を歩行する間の時間長を測定できる。この場合、検出部12は、例えば、センサ21により測定されたユーザの足裏角の角速度の符号が正から負に変わる時点を、足裏角が極大値となる時点として判定してもよい。また、検出部12は、例えば、センサ21により測定されたユーザの足裏角の角速度の符号が負から正に変わる時点を、足裏角が極小値となる時点として判定してもよい。
【0049】
図12には、健常者が歩行する際の図8と同じ各時点における足裏角(ピッチ)の角速度の推移1201と、ロールの角速度の推移1202と、ヨーの角速度の推移1203との一例が示されている。図12の例では、ユーザの足裏角の角速度の符号が正から負に変わる時点と足裏角が極大値となる時点811は概ね一致しており、ユーザの足裏角の角速度の符号が負から正に変わる時点と足裏角が極小値となる時点812も概ね一致している。
【0050】
また、図13には、足に障害等を有する患者が歩行する際の図9と同じ各時点における足裏角(ピッチ)の角速度の推移1301と、ロールの角速度の推移1302と、ヨーの角速度の推移1303との一例が示されている。図13の例では、ユーザの足裏角の角速度の符号が正から負に変わる時点と足裏角が極大値となる時点911は概ね一致しており、ユーザの足裏角の角速度の符号が負から正に変わる時点と足裏角が極小値となる時点912も概ね一致している。
【0051】
ユーザの歩行が検出できない場合(ステップS4でNO)、ステップS3の処理に進む。一方、ユーザの歩行が検出できる場合(ステップS4でYES)、検出部12は、ユーザの歩容に関する情報を算出する(ステップS5)。ここで、検出部12は、例えば、センサ21により測定された足裏角に基づいて、ユーザが一歩を歩行する間(例えば、一方の足を地面から上げてから再度地面に降ろすまでの間)の時間長を測定してもよい。そして、検出部12は、ユーザが一歩を歩行する間の時間長におけるセンサ21により測定された加速度に基づいて、歩行速度、歩幅、足上げ高さ、外回し距離等を算出してもよい。また、検出部12は、ユーザが一歩を歩行する間の時間長におけるセンサ21により測定された角速度に基づいて、接地角度、及び離地角度を算出してもよい。なお、接地角度は、足が地面に接地する際の足の裏と地面との歩行方向の角度でもよい。また、離地角度は、足が地面から離れる際の足の裏と地面との歩行方向の角度でもよい。
【0052】
続いて、出力部13は、検出部12により算出されたユーザの歩容に関する情報を出力し(ステップS6)、処理を終了する。これにより、例えば、サーバ40は、歩容改善のためのアドバイス、及びトレーニングの映像等をユーザ端末30に送信することができる。
【0053】
<変形例>
情報処理装置10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の情報処理装置10はこれに限定されない。情報処理装置10の各部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、情報処理装置10の各部は、例えば、測定装置20、ユーザ端末30、及びサーバ40のうちの複数の装置により実現されてもよい。これらのような情報処理装置10についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づく情報を出力させる出力手段と、
を有する、情報処理装置。
(付記2)
前記取得手段は、前記ユーザの足の土踏まずから踵までの間のいずれかの位置に装着される前記センサに基づく情報を取得する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記検出手段は、外部装置から所定のコマンドを受信した際に前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第2閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記検出手段は、前記センサにより測定される加速度と角速度との少なくとも一方が閾値以上である際に前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第2閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記検出手段は、第1標本化周波数で標本化された前記角度を示す情報と、前記第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記第1標本化周波数よりも高い第2標本化周波数で標本化された前記角度を示す情報と、前記第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
付記1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記検出手段は、前記第1閾値に基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第2閾値と、前記センサにより測定される前記ユーザの歩行方向の加速度と、に基づいて前記ユーザの歩行を検出する、
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記検出手段は、前記ユーザの属性に基づいて、前記第2閾値を決定する、
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記検出手段は、前記センサにより測定される加速度及び角速度の少なくとも一方に基づいて、前記第2閾値を決定する、
付記1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記検出手段は、前記ユーザの心拍及び皮膚温度の少なくとも一方に基づいて、前記第2閾値を決定する、
付記1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記10)
ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得し、
取得した前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出し、
検出結果に基づく情報を出力させる、
情報処理方法。
(付記11)
情報処理装置に、
ユーザの足に装着されるセンサに基づく情報を取得する処理と、
取得した前記足の裏と地面との歩行方向の角度を示す情報と、第1閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出できない場合、前記角度を示す情報と、前記第1閾値よりも低い第2閾値とに基づいて前記ユーザの歩行を検出する処理と、
検出結果に基づく情報を出力させる処理と、
を実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0056】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 取得部
12 検出部
13 出力部
20 測定装置
21 センサ
22 制御装置
23 通信装置
30 ユーザ端末
40 サーバ
図1
図2
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図5
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図10
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図13