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特許7552896情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023523843
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2021020114
(87)【国際公開番号】W WO2022249372
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔大
(72)【発明者】
【氏名】岡島 常夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智史
(72)【発明者】
【氏名】池谷 亮平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 研二
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109936(JP,A)
【文献】特開2012-164227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、を備え
前記第1の行動は、前記ユーザが移動することを含み、
前記検出手段は、前記変化として、前記ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化を検出し、
前記第2の行動は、前記ユーザが商品を購入することを含み、
前記推定手段は、前記ユーザの特性を、前記ユーザが購入した商品を参照して推定し、
前記推定手段は、
前記商品の購入の履歴を示す情報に含まれる、前記商品に関連付けられたユーザの特性に基づいて、前記ユーザの特性の候補を抽出し、
抽出した候補のうち何れかを、前記変化の前後の前記領域又は前記移動経路における前記環境の履歴を示す情報の対比結果に基づいて、前記ユーザの特性として推定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記ユーザの特性として、前記変化により回避可能な事象を前記ユーザが回避する傾向を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザの特性に応じた推奨情報を出力する出力手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記推奨情報を前記ユーザが利用する端末に出力する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、複数のユーザについて前記情報を取得し、
前記検出手段は、前記複数のユーザの一部又は全部による前記第1の行動の変化に基づく事象の発生をさらに検出し、
前記推定手段は、前記事象の発生の要因として、前記複数のユーザの各々について推定された前記ユーザの特性を集約した情報を推定し、
前記出力手段は、前記集約した情報に応じた推奨情報を出力する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、所定のサービス又はエリアを利用した複数のユーザについて前記情報を取得し、
前記出力手段は、前記推奨情報を、前記サービス又は前記エリアの管理者が利用する端末に出力する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得すること、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出すること、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定すること、
を含み、
前記第1の行動は、前記ユーザが移動することを含み、
前記第1の行動における変化を検出することにおいて、前記情報処理装置が、前記変化として、前記ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化を検出し、
前記第2の行動は、前記ユーザが商品を購入することを含み、
前記ユーザの特性を推定することにおいて、前記情報処理装置が、前記ユーザの特性を、前記ユーザが購入した商品を参照して推定し、
前記ユーザの特性を推定することにおいて、前記情報処理装置が、
前記商品の購入の履歴を示す情報に含まれる、前記商品に関連付けられたユーザの特性に基づいて、前記ユーザの特性の候補を抽出し、
抽出した候補のうち何れかを、前記変化の前後の前記領域又は前記移動経路における前記環境の履歴を示す情報の対比結果に基づいて、前記ユーザの特性として推定する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、
として機能させ
前記第1の行動は、前記ユーザが移動することを含み、
前記検出手段は、前記変化として、前記ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化を検出し、
前記第2の行動は、前記ユーザが商品を購入することを含み、
前記推定手段は、前記ユーザの特性を、前記ユーザが購入した商品を参照して推定する、
前記推定手段は、
前記商品の購入の履歴を示す情報に含まれる、前記商品に関連付けられたユーザの特性に基づいて、前記ユーザの特性の候補を抽出し、
抽出した候補のうち何れかを、前記変化の前後の前記領域又は前記移動経路における前記環境の履歴を示す情報の対比結果に基づいて、前記ユーザの特性として推定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの行動に応じた処理を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの行動に応じた処理を実行する技術が提案されている。例えば特許文献1には、販促の対象となる促進対象行動(例えば、節電行動)についてのユーザの行動状態を示す指標である行動指標(例えば、電気使用量)の変化と、ユーザの動機タイプ(例えば、金銭メリットタイプ、面倒タイプ、等)における典型行動の変化と、に基づいてユーザの動機変化を推定し、推定結果として出力する動機変化推定手段と、推定結果に基づいた情報収集処理を実行する情報収集手段と、を備える情報処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2014-109936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、ユーザの動機変化を推定するために用いる動機タイプを、ユーザの新規登録時にアンケート又はユーザの申告等によって決定しておくことが前提であり、動機タイプそのものを推定することはできない。ユーザの行動の変化の要因として、動機タイプのようなユーザの特性を推定することができれば、ユーザの行動に応じた処理をより精度よく実行することができる。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る情報処理装置は、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る情報処理方法は、情報処理装置が、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得すること、前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出すること、前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定すること、を含む。
【0008】
本発明の一側面に係るプログラムは、コンピュータを情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理方法の流れを示すフロー図である。
図3】本発明の例示的実施形態2に係る推奨情報提供システムの構成を示す模式図である。
図4】本発明の例示的実施形態2に係る購入履歴情報の具体例を示す図である。
図5】本発明の例示的実施形態2に係る推奨情報提供方法の流れを示すフロー図である。
図6】本発明の例示的実施形態2に係るユーザの移動経路の具体例を示す図である。
図7】本発明の例示的実施形態2に係る環境履歴情報の具体例を示す図である。
図8】本発明の例示的実施形態3に係る第2の推奨情報提供方法の流れを示すフロー図である。
図9】本発明の例示的実施形態4に係る推奨情報提供システムの構成を示す模式図である。
図10】本発明の例示的実施形態4に係る第3の推奨情報提供方法の流れを示すフロー図である。
図11】本発明の例示的実施形態1~4に係る情報処理装置等として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0012】
<情報処理装置の構成>
本例示的実施形態に係る情報処理装置10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、ユーザの行動の変化を特定し、特定した変化の要因となるユーザの特性を推定する装置である。情報処理装置10は、取得部11、検出部12、及び推定部13を備える。取得部11は、請求の範囲に記載した取得手段を実現する構成の一例である。検出部12は、請求の範囲に記載した検出手段を実現する構成の一例である。推定部13は、請求の範囲に記載した生成手段を実現する構成の一例である。
【0013】
取得部11は、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、ユーザによる第2の行動の履歴を示す情報及びユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する。検出部12は、第1の行動の履歴を示す情報を参照して、第1の行動における変化を検出する。推定部13は、変化の要因となるユーザの特性を、第2の行動の履歴を示す情報及び環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する。
【0014】
(ユーザの第1の行動)
ユーザの第1の行動は、一例として、ユーザが移動することを含む。また、ユーザの第1の行動は、一例として、ユーザが商品を購入すること、店舗等の施設を訪れること、スポーツジム、博物館若しくは病院等の施設で役務の提供を受けること、サングラスを装用していること、又は、日傘をさしていること、を含む。ユーザの第1の行動は、上述したものに限られず、他の行動であってもよい。
【0015】
(ユーザの第2の行動)
ユーザの第2の行動は、第1の行動とは異なるユーザの行動である。ユーザの第2の行動は、一例として、ユーザが商品を購入することを含む。また、ユーザの第2の行動は、一例として、ユーザが移動すること、店舗等の施設を訪れること、スポーツジム、博物館若しくは病院等の施設で役務の提供を受けること、サングラスを装用していること、又は、日傘をさしていること、を含む。ユーザの第2の行動は、上述したものに限られず、第1の行動と異なるものであれば、他の行動であってもよい。
【0016】
(ユーザの周辺の環境)
ユーザの周辺の環境は、一例として、ユーザの周辺の気温、室温、風力、天候、日照、花粉である。そのような環境は、例えば、任意の各地点に設置されたセンサによって計測される。
【0017】
(ユーザの特性)
ユーザの特性は、ユーザの第1の行動の変化の要因であるユーザの特徴である。ユーザの特性は、一例として、ユーザが所定の事象を好むという特徴を示す。そのような特性の具体例として、日当たりの良い場所を好む、賑やかな場所を好む、という特徴が挙げられる。例えば、日当たりの良い場所を好むユーザは、日当たりの悪い経路を避けて日当たりの良い経路を選択する傾向がある。また、賑やかな場所を好むユーザは、人の少ない場所を避けて人の多い場所を選択する傾向がある。
【0018】
また、ユーザの特性は、一例として、ユーザが所定の事象を好まない(回避したい)という特徴を示す。そのような特性の具体例として、日焼けを好まない、花粉症である、人混みを好まない、雨天では屋外を避ける、という特徴が挙げられる。例えば、日焼けを好まないユーザは、日当たりの良い経路を避けて日陰の多い経路を選択する傾向がある。また、例えば、人ごみを好まないユーザは、人の多い場所を避ける傾向がある。また、例えば、花粉症であるユーザは、花粉の多い場所を避ける傾向がある。ユーザの特性は上述したものに限られず、他の特性であってもよい。
【0019】
<情報処理方法の流れ>
本例示的実施形態に係る情報処理方法S10の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、情報処理方法S10の流れを示すフロー図である。
【0020】
(ステップS11)
ステップS11(取得処理)において、取得部11は、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、ユーザによる第2の行動の履歴を示す情報及びユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する。
【0021】
取得部11は、一例として、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、ユーザによる第2の行動の履歴を示す情報及びユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方とを、ネットワークを介して接続された装置から取得してもよい。また、取得部11は、一例として、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、ユーザによる第2の行動の履歴を示す情報及びユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を入力装置から取得してもよいし、メモリから読み込むことにより取得してもよい。また、取得部11は、ひとりのユーザの上記情報を取得してもよく、また、複数のユーザについて上記情報を取得してもよい。
【0022】
例えば、第1の行動が移動することを含む場合、ユーザは、測位機能を有するユーザ端末を所持したユーザであってもよい。この場合、取得部11は、第1の行動の履歴を示す情報としてユーザの位置情報の履歴を示す情報を、ユーザ端末からその位置情報を随時取得して記憶するサーバから取得する。
【0023】
例えば、第2の行動が商品を購入することを含む場合、ユーザは、商品を購入するための会員登録を行ったユーザであってもよい。この場合、取得部11は、第2の行動の履歴を示す情報として購入情報の履歴を示す情報を、会員による商品の購入に関する情報を記録するサーバから取得する。
【0024】
例えば、取得部11は、ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報を、各地に設置された上述のセンサから計測値を収集して記録するサーバから取得する。具体的には、この場合、ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報は、ユーザが過去に存在した位置の周辺に設置されたセンサが、当該ユーザが存在した時点又はその時点付近で計測した計測値の履歴である。
【0025】
(ステップS12)
ステップS12(検出処理)において、検出部12は、第1の行動の履歴を示す情報を参照して、第1の行動における変化を検出する。検出部12は、一例として、ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化を検出する。
【0026】
例えば、第1の行動の履歴を示す情報としてユーザの位置情報の履歴を示す情報を取得している場合、検出部12は、ユーザの直近の位置情報が所定の領域に含まれるか否かを繰り返し判定する。これにより、検出部12は、ユーザの位置情報が当該領域に含まれることが一定時間以上続いた状態から、含まれないことが一定時間以上続いた状態に変化したことを、滞在する領域の変化として検出する。
【0027】
また、例えば、第1の行動の履歴を示す情報としてユーザの位置情報の履歴を示す情報を取得している場合、検出部12は、ユーザが過去に所定の地点Aから地点Bまで移動した移動経路に基づきユーザが最も多く利用する常用ルートを特定する。また、検出部12は、ユーザが直近に地点Aから地点Bまで移動した移動経路が常用ルートと異なる不規則ルートである場合、当該不規則ルートで移動したことを、移動経路の変化として検出する。
【0028】
(ステップS13)
ステップS13(推定処理)において、推定部13は、変化の要因となるユーザの特性を、第2の行動の履歴を示す情報及び環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する。例えば、推定部13は、第1の行動の変化前後における、第2の行動の履歴を示す情報及び環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照する。
【0029】
例えば、第2の行動の履歴を示す情報としてユーザの商品の購入の履歴を示す情報を取得している場合、検出部12は、変化を検出した時点を含む所定期間においてユーザが購入した1又は複数の商品を特定する。また、検出部12は、特定した1又は複数の商品にそれぞれ関連付けられたユーザの特性を、当該変化の要因となるユーザの特性として推定する。なお、この場合、商品には、当該商品を購入するユーザの顕著な特性が事前に関連付けられているものとする。
【0030】
また、ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報としてユーザの周辺の天候の履歴を示す情報を取得している場合、検出部12は、第1の行動の変化前である常用ルート利用時の当該常用ルート周辺の天候を示す情報を特定する。また、検出部12は、第1の行動の変化後である不規則ルート利用時の当該不規則ルート周辺の天候を示す情報を特定する。また、検出部12は、特定したこれらの天候を示す情報を比較することにより、当該変化の要因となるユーザの特性として推定する。
【0031】
<本例示的実施形態の効果>
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置10においては、ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報を参照して、第1の行動における変化を検出し、検出した変化の要因となるユーザの特性を、ユーザによる第2の行動の履歴を示す情報、及びユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置10によれば、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【0032】
〔例示的実施形態2〕
本発明の例示的実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0033】
<システムの構成>
図3は、本例示的実施形態2に係る推奨情報提供システム1の構成を示す模式図である。推奨情報提供システム1は、管理対象エリア2におけるエンドユーザの移動の変化の要因となるエンドユーザの特性を推定し、推定したエンドユーザの特性に応じた推奨情報を提供するシステムである。以下の説明では、説明の便宜上、推奨情報提供システム1のエンドユーザを、単に「ユーザ」ともいう。
【0034】
(管理対象エリア)
管理対象エリア2は、推奨情報提供システム1の管理対象のエリアであり、一例として、複合商業施設のエリアである。図3において、管理対象エリア2は、複数の施設201a~201dと、その周辺の領域とを含む。複数の施設201a~201dは、推奨情報提供システム1のエンドユーザが利用する施設であり、一例として、病院、オフィスビル、店舗、薬局、スポーツジム、美術館、博物館、体育館、商業施設、又は複合商業施設の各テナントである。図3の例では、4つの施設201a~201dを図示しているが、管理対象エリア2に含まれる施設の数は4に限られず、これより多くても少なくてもよい。
【0035】
管理対象エリア2には、複数のセンサ202a~202fが設置されている。複数のセンサ202a~202fは、管理対象エリア2の環境に関する情報を収集するためのセンサである。複数のセンサ202a~202fは、一例として、気温、湿度、若しくは風力を測定するためのセンサ、又は、天候、若しくは日照を観測するためのセンサである。また、複数のセンサ202a~202fは、一例として、花粉の飛散状況を観測するためのセンサ、又は、管理対象エリア2を撮影するカメラであってもよい。以下の説明において、複数のセンサ202a~202fを各々区別する必要がない場合には、これらの各々を「センサ202」と称する。図3の例では、個のセンサ202a~202fを図示しているが、管理対象エリア2に含まれるセンサ202の数はに限られず、これより多くても少なくてもよい。
【0036】
複数のセンサ202のそれぞれは、少なくとも1つの環境因子と関連付けられている。複数のセンサ202のうちの少なくとも一つは、一例として、照度を測定するセンサである。照度を測定するセンサ202は、一例として、「環境因子:『日照』、測定値:**、位置(緯度、経度)、時間(yyyy/mm/dd、hh/mm)」というデータを生成し、生成したデータを管理装置20に送信する。
【0037】
推奨情報提供システム1は、図3に示すように、管理装置20、分析装置30、及びユーザ端末40を備える。管理装置20及び分析装置30は、管理対象エリア2に設置されていてもよく、また、管理対象エリア2以外の場所に設置されていてもよい。管理装置20及び分析装置30は、通信ネットワーク3を介して、センサ202、及びユーザ端末40と通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、一例として、有線LAN(local Area Network)、無線LAN、インターネット、又はこれらの組み合わせである。
【0038】
(管理装置20)
管理装置20は、ユーザの第1の行動の履歴を示す情報、ユーザの第2の行動の履歴を示す情報、ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報を蓄積する装置である。本例示的実施形態において、ユーザの第1の行動は、ユーザの移動であり、ユーザの第2の行動は、ユーザによる商品の購入である。管理装置20は、記憶装置を備える。管理装置20の記憶装置は、移動履歴情報、購入履歴情報、及び環境履歴情報を記憶する。
【0039】
(移動履歴情報)
移動履歴情報は、ユーザの移動の履歴を示す情報である。移動履歴情報は、請求の範囲に記載した第1の行動の履歴を示す情報の一例である。管理装置20は、ユーザが所持しているユーザ端末40からユーザの位置を示す情報を取得し、取得した情報に時刻情報を付した移動履歴情報を記憶装置に記憶する。
【0040】
ユーザの位置を示す情報は、一例として、GPS(Global Positioning System)の信号に基づき特定される位置を示す情報であってもよく、また、ビーコンが発信する信号に基づき特定される位置を示す情報であってもよい。ユーザの位置を示す情報がビーコンの信号に基づき特定される情報である場合、管理対象エリア2には1又は複数のビーコン発信装置が設置され、ビーコン発信装置が発信する信号をユーザ端末40が受信し、受信した信号に基づき位置が特定される。
【0041】
(購入履歴情報)
購入履歴情報は、ユーザによる商品の購入履歴を示す情報である。購入履歴情報は、請求の範囲に記載した第2の行動の履歴を示す情報の一例である。購入履歴情報は、一例として、各店舗の決済システムで管理されるユーザ毎の購入履歴を示す情報である。管理装置20は、一例として、各店舗(各テナント)が利用している決済用のプラットフォームを介して店舗毎の決済情報を収集することによりユーザの購入履歴情報を収集してもよい。また、管理装置20は、一例として、ユーザ毎に管理された購入履歴情報を他の装置又は他のシステムから取得してもよい。
【0042】
(環境履歴情報)
環境履歴情報は、ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報であり、センサ202の測定結果を示す情報、及び、気象サービス等から提供されるオープンデータの一方又は両方である。管理装置20は、センサ202の測定結果を示す情報、又は、気象サービス等から提供されるデータを、位置情報及び時刻情報に関連付けて、管理装置20の記憶装置に蓄積する。
【0043】
(分析装置)
分析装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性に応じた推奨情報を出力する装置である。分析装置は、請求の範囲に記載した情報処理装置の一例である。
【0044】
(ユーザ端末)
ユーザ端末40は、ユーザが利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンである。ユーザ端末40は、一例として、ユーザが携帯する端末である。ユーザ端末40は、一例として、出力デバイスとして機能する表示パネルと、入力デバイスとして機能するタッチセンサとが一体化したタッチパネルを備える。図3には、1つのユーザ端末40を図示しているが、推奨情報提供システム1は、複数のユーザ端末40を含んでいてもよい。
【0045】
<分析装置の構成>
本例示的実施形態に係る分析装置30の構成について、図3を参照して説明する。分析装置30は、取得部31、検出部32、推定部33、及び出力部34を備える。取得部31は、請求の範囲に記載した取得手段を実現する構成の一例である。検出部32は、請求の範囲に記載した検出手段を実現する構成の一例である。推定部33は、請求の範囲に記載した推定手段を実現する構成の一例である。出力部34は、請求の範囲に記載した出力手段を実現する構成の一例である。
【0046】
取得部31は、移動履歴情報、購入履歴情報、及び環境履歴情報を取得する。検出部32は、移動履歴情報を参照して、ユーザの第1の行動における変化を検出する。本例示的実施形態において、検出部32は、ユーザの第1の行動における変化として、ユーザの移動経路の変化を検出する。
【0047】
推定部33は、ユーザの第1の行動における変化の要因となるユーザの特性を、購入履歴情報及び環境履歴情報を参照して推定する。出力部34は、ユーザの特性に応じた推奨情報を出力する。
【0048】
(推奨情報)
推奨情報は、ユーザの特性に対応する、ユーザに推奨する事項又は商品等を示す情報である。推奨情報は、例えば、ユーザに対して推奨する移動経路、複合商業施設に入っている店舗、又は商品を示す情報である。より具体的には、推奨情報は、例えば、花粉の飛散量の少ない移動経路を示す情報、又は、日陰の多い移動経路を示す情報である。また、推奨情報は、例えば、花粉症若しくは日除けに効果的な商品を販売する店舗、又はそのような商品自体を示す情報である。
【0049】
(購入履歴情報の具体例)
図4は、本例示的実施形態に係る購入履歴情報の具体例を示す図である。図4において、購入履歴情報は、「ユーザID」、「日時」、「店舗」、「購入品」、「値段」、及び「ユーザの特性」の各項目を含む。これらの項目のうち、「ユーザID」の項目には、ユーザを識別する識別情報であるユーザIDが格納される。ひとりのユーザに対し一つのユーザIDが割り当てられていてもよく、また、ひとりのユーザに対し複数のユーザIDが割り当てられていてもよい。例えばひとりのユーザがテナント毎に異なるユーザIDを利用する場合、管理装置20がそれらの複数のユーザIDの紐付けを行うことにより、ユーザ毎のデータの管理を行ってもよい。
【0050】
「日時」の項目には、ユーザが商品を購入した日時を示す情報が格納される。「店舗」の項目には、ユーザが商品を購入した店舗を示す情報が格納される。店舗を示す情報は、例えば「アパレルA」、「スーパーB」、又は「病院C」等の店舗名である。「購入品」の項目には、ユーザが購入した商品を示す情報が格納される。商品を示す情報は、例えば商品名である。なお、「購入品」の項目には、ユーザが提供を受けた役務を示す情報が格納されてもよい。
【0051】
「値段」の項目には、ユーザが購入した商品の値段を示す情報が格納される。「ユーザの特性」の項目には、商品に対応するユーザの特性を示す情報が格納される。本例示的実施形態では、商品とユーザの特性とが所定のデータベース等により予め関連付けられており、管理装置20は、商品に関連づけられるユーザの特性を「ユーザの特性」の項目に格納する。商品に関連付けられるユーザの特性は、当該商品がターゲットとするユーザの特性であってもよい。本例示的実施形態では、商品に関連付けられるユーザの特性は、ユーザが所定の事象を好まない(回避したい)という傾向を示す。例えば、日焼け止めクリーム及び日傘等の商品には「日焼けを好まない」というユーザ特性が関連付けられ、マスク、花粉対策機能を備えるアウター、目薬、医薬処方箋等の商品には「花粉症」というユーザ特性が関連付けられる。
【0052】
<移動履歴情報の収集方法>
管理装置20がユーザの移動履歴情報を収集する方法について説明する。ユーザはユーザ端末40を携帯して管理対象エリア2を移動する。管理装置20は、ユーザ端末40の位置を示す情報を、ユーザ端末40又は他のサーバ装置から取得し、取得した情報に時刻情報を付した移動履歴情報を記憶装置に蓄積する。位置を示す情報は、一例として、ユーザ端末40が受信するGPSの信号に基づく情報、又はビーコンの信号に基づく情報である。管理装置20は、ユーザの移動履歴情報を定期的に収集してもよく、また、ユーザ端末40が移動したタイミングで位置履歴情報を取得してもよい。
【0053】
<購入履歴情報・環境履歴情報の収集方法>
また、管理装置20は、ユーザの購入履歴情報及び環境履歴情報を収集し、記憶装置に蓄積する。管理装置20は、一例として、通信ネットワーク3を介して接続された他のサーバ装置から購入履歴情報を取得し、記憶装置に蓄積する。また、管理装置20は、一例として、センサ202及び通信ネットワーク3を介して接続された他のサーバ装置から環境履歴情報を取得し、記憶装置に蓄積する。管理装置20は、時刻情報が付された購入履歴情報及び環境履歴情報を取得してもよい。また、管理装置20は、他の装置から受信した購入履歴情報及び環境履歴情報に時刻情報を付して記憶装置に蓄積してもよい。
【0054】
<推奨情報提供方法の流れ>
次いで、分析装置30が行う推奨情報提供方法S100について、図面を参照しつつ説明する。図5は、分析装置30が行う推奨情報提供方法S100の流れを示すフロー図である。なお、推奨情報提供方法S100に含まれる一部のステップは並行して、又は、順序を替えて実行されてもよい。
【0055】
推奨情報の提供を受けたいユーザは、ユーザ端末40を操作して、推奨情報の提供を要求する。ユーザ端末40は、ユーザの操作内容に応じて推奨情報の提供の要求を分析装置30に送信する。ユーザ端末40が送信する要求は、ユーザを識別する識別情報であるユーザIDを含む。
【0056】
(ステップS101)
ステップS101において、分析装置30の取得部31は、推奨情報の提供の要求を受け付けるまで待機する(ステップS101にてNO)。取得部31は、推奨情報の提供の要求を受け付けると(ステップS101にてYES)、ステップS102に処理に進む。
【0057】
(ステップS102)
ステップS102において、取得部31は、受け付けた要求に対応するユーザ、すなわち推奨情報の提供対象であるユーザの購入履歴情報を、管理装置20から取得する。
【0058】
(ステップS103)
ステップS103において、検出部32は、提供対象であるユーザの移動履歴情報を管理装置20から取得し、取得した移動履歴情報に基づき、提供対象であるユーザの移動経路の変化を検出する。
【0059】
検出部32が移動経路の変化を検出する方法の具体例について、図6を参照しつつ説明する。図6は、提供対象であるユーザの移動経路の具体例を示す図である。図6の例で、ユーザは、地点Aから地点Fまで移動する。ユーザが地点Aから地点Fまで移動する移動経路は複数あり、ユーザはそのときどきによって自身の特性に応じた移動経路を移動する。例えば、花粉症であるユーザは、花粉が飛散している時期においては花粉の多い地点を避けて移動したり、日焼けを好まないユーザは、時間帯によって日陰の多い移動経路を選択したりする。
【0060】
図6の例で、検出部32は、提供対象であるユーザの移動履歴情報に基づき、地点Aから地点Fまで移動するユーザの移動経路P11、及び移動経路P12を特定する。移動経路P11は、地点A→地点B→地点C→地点D→地点F、の順にユーザが移動する経路である。移動経路P12は、地点A→地点G→地点H→地点I→地点F、の順にユーザが移動する経路である。また、検出部32は、選択率が閾値以上である移動経路を「常用ルート」とし、閾値よりも低い移動経路を「不規則ルート」として特定する。本例示的実施形態において、ユーザは、平日の朝の時間帯において、基本的に移動経路P11を利用するが、ときどき移動経路P12を利用する。すなわち、提供対象であるユーザが移動経路P11を移動する頻度は、提供対象であるユーザが移動経路P12を移動する頻度よりも高い。そのため、検出部32は、移動経路P11を「常用ルート」と特定し、移動経路P12を「不規則ルート」と特定する。
【0061】
図6の例において、例えば、提供対象であるユーザの移動経路が、移動経路P11から移動経路P12に変化した場合、検出部32はその変化を検出する。
【0062】
(ステップS104)
図5のステップS104~ステップS107において、推定部33は、購入履歴情報及び環境履歴情報を参照して、ユーザの特性を推定する。換言すると、本例示的実施形態において、推定部33は、ユーザが購入した商品を参照してユーザの特性を推定する。
【0063】
まず、ステップS104において、推定部33は、購入履歴情報からユーザの特性の候補を抽出する。具体的には、推定部33は、提供対象であるユーザのユーザIDの購入履歴情報に含まれるユーザの特性を抽出する。例えば、購入履歴情報が図4に示す内容の情報であり、提供対象のユーザが「ユーザA」である場合、推定部33は、購入履歴情報において「ユーザA」が購入した商品に関連付けられたユーザの特性である「花粉症」及び「日焼けを好まない」の2つを、ユーザの特性の候補として抽出する。
【0064】
より具体的には、例えば、移動経路が変化した時点を含む所定の期間(例えば、直近の1ヵ月)において、ユーザAがアパレル店舗B11で花粉対策機能を備えた衣服を購入し、スーパーB12で日傘を購入し、病院B13で花粉症向けの処方箋に基づく医薬品を購入したとする。この場合、購入された商品に関連付けられたユーザの特性として、「日焼けを好まない」、「花粉症」の2つが抽出される。
【0065】
(ステップS105)
ステップS105において、取得部31は、提供対象であるユーザの移動経路の変化に関わる環境履歴情報を、管理装置20から取得する。移動経路の変化に関わる環境履歴情報は、一例として、変化前の移動経路において収集された環境履歴情報と、変更後の移動経路において収集された環境履歴情報とを含む。例えば、ステップS103において、提供対象であるユーザの移動経路が常用ルートから不規則ルートに変化していると検出部32が検出した場合、取得部31は、常用ルートにおいて収集された環境履歴情報と、不規則ルートにおいて収集された環境履歴情報とを取得する。ここで、常用ルートにおいて収集された環境履歴情報とは、ユーザAが常用ルートを利用した時期、及び不規則ルートを利用した時期の一方又は両方において、当該常用ルート周辺において収集された環境履歴情報である。また、不規則ルートにおいて収集された環境履歴情報とは、ユーザAが常用ルートを利用した時期、及び不規則ルートを利用した時期の一方又は両方において、当該不規則ルート周辺において収集された環境履歴情報である。なお、利用した時期とは、利用した時点を含む所定の期間である。
【0066】
(ステップS106)
ステップS106において、推定部33は、変化前の環境履歴情報と、変化後の環境履歴情報とを対比する。
【0067】
図7は、ステップS106で対比される環境履歴情報の具体例を示す図である。図7において、環境履歴情報21aは変化前である時期T11の環境履歴情報である。環境履歴情報21b、21cは、変化後である時期T12の環境履歴情報である。
【0068】
環境履歴情報21a~21cは、常用ルート又は不規則ルートに含まれる各地点において、「花粉」、「日照」及び「混雑」の複数の環境因子の測定結果を示す情報である。環境履歴情報21a~21cは、複数の地点のそれぞれについて、「花粉」、「日照」及び「混雑」の各項目を含む。一例として、複数の地点のそれぞれにおいて、所定の期間における花粉の飛散量が所定の閾値以上である場合、「花粉」の項目に「1」が格納され、飛散量が閾値未満である場合、「0」が格納される。また、一例として、複数の地点のそれぞれにおいて、所定の期間における日照時間が閾値以上である場合、「日照」の項目に「1」が格納され、閾値未満である場合、「0」が格納される。また、一例として、複数の地点のそれぞれにおいて、所定の期間における混雑の程度が閾値以上である場合、「混雑」の項目に「1」が格納され、閾値未満である場合、「0」が格納される。
【0069】
環境履歴情報21aは、変化前である時期T11における、常用ルートに含まれる地点A、地点B、地点C、地点D、及び地点Fのそれぞれにおける、「花粉」、「日照」及び「混雑」の複数の環境因子の測定結果を示す情報である。環境履歴情報21aにおいて、地点A~地点Fの全てにおいて「花粉」の項目が「0」であるため、時期T11では常用ルートには花粉は飛散していない、又は飛散量が少ない。また、地点B、C、Dにおいて「日照」の項目が「1」であり、他の地点の「日照」の項目が「0」であるため、地点B、C、Dでは日陰がない、又は日陰が少ない。また、地点A~地点Fの全てにおいて「混雑」の項目が「0」であるため、時期T11では常用ルートは混雑していない。
【0070】
一方、環境履歴情報21bは、変化後である時期T12における、常用ルートに含まれる地点A、地点B、地点C、地点D、及び地点Fのそれぞれにおける、「花粉」、「日照」及び「混雑」の複数の環境因子の測定結果を示す情報である。環境履歴情報21aと環境履歴情報21bとを比較すると、環境履歴情報21aの地点Dの「花粉」の項目が「0」である一方、環境履歴情報21bの「花粉」の項目は「1」である。すなわち、提供対象であるユーザの第1の行動の変化前と変化後では、常用ルートにおいて花粉の散量が増えている。
【0071】
環境履歴情報21cは、変化後である時期T12における、不規則ルートに含まれる地点A、地点G、地点H、地点I、及び地点Fのそれぞれにおける、「花粉」、「日照」及び「混雑」の複数の環境因子の測定結果を示す情報である。環境履歴情報21cにおいて、地点A、G、H、I、Fのうち、地点Fは「花粉」の項目が「1」であり、それ以外の地点では「花粉」の項目が「0」である。そのため、時期T12では、地点Fにおいて花粉が飛散している。また、不規則ルートに含まれる全ての地点において、「日照」の項目が「0」であるため、時期T12において不規則ルートでは日陰が多い。また、不規則ルートに含まれる全ての地点において「混雑」の項目が「0」であるため、時期T12では不規則ルートは混雑していない。
【0072】
環境履歴情報21aと環境履歴情報21cとを比較すると、ユーザの第1の行動の変化前と変化後で、「花粉」の測定結果が変化しているとともに、「日照」の測定結果が変化している。
【0073】
(ステップS107)
ステップS107において、推定部33は、ステップS106の対比結果に基づき、ステップS104で抽出したユーザの特性の候補の中から、1又は複数のユーザの特性を推定する。本例示的実施形態において、推定部33は、ユーザの特性として、第1の行動の変化により回避可能な事象をユーザが回避する傾向を推定する。
【0074】
推定部33が行う推定処理の具体例について、図7を参照しつつ説明する。図7の例で、環境履歴情報21aと環境履歴情報21bとを比較すると、環境履歴情報21bにおいて「花粉」の項目が「1」である地点の数が、環境履歴情報21aのそれよりも2箇所多い。また、環境履歴情報21aと環境履歴情報21cとを比較すると、環境履歴情報21cにおいて「花粉」の項目が「1」である地点の数が、環境履歴情報21aのそれよりも1箇所多く、また、環境履歴情報21cにおいて「日照」の項目が「1」である地点の数が、環境履歴情報21aにおけるそれよりも3箇所少ない。
【0075】
環境履歴情報21aと環境履歴情報21cでは、「花粉」と「日照」との項目について測定結果が変化している。一方、環境履歴情報21aと環境履歴情報21bとでは、「日照」についての測定結果は変化していないことから、推定部33は、「日照」の環境因子はユーザの第1の行動の変化の要因ではないと判別する。すなわち、推定部33は、環境履歴情報21aと環境履歴情報21bとの対比結果、及び、環境履歴情報21aと環境履歴情報21cとを対比結果に基づき、ユーザの第1の行動の変化の要因となる環境因子が「花粉」であると推定する。この推定結果に基づき、推定部33は、提供対象であるユーザの特性が「花粉症」であると推定する。
【0076】
上述の例では、推定部33が1つの特性を推定する場合について説明したが、ステップS107において、推定部33は、提供対象であるユーザの特性として、複数の特性を推定してもよい。推定部33が複数の特性を推定する場合、複数の特性について重み付けを行ってもよい。推定部33は、一例として、提供対象ユーザの購入履歴情報を参照し、複数の特性のうち、対応する商品の数の多い順に重み付けを行ってもよい。例えば、提供対象ユーザの購入履歴情報が図4に示す内容である場合、「花粉症」という特性に対応する商品の数は2であり、「日焼けを好まない」という特性に対応する商品の数は1である。この場合、推定部33は例えば、「花粉症」の重み係数を「2/3」とし、「日焼けを好まない」の重み係数を「1/3」とする。
【0077】
(ステップS108)
ステップS108において、出力部34は、ステップS107で推定部33が推定したユーザの特性に応じた推奨情報を生成する。推定部33が複数の特性を推定した場合、出力部34は、推定部33が推定した複数の特性の各々について、推奨情報を生成する。
【0078】
推奨情報は、一例として、ユーザに推奨する移動経路を示す情報である。推定部33が推定したユーザの特性が「花粉症」である場合、推奨情報は、一例として、花粉の飛散量が少ない移動経路を示す情報である。この場合、出力部34は、一例として、提供対象であるユーザの過去の移動経路を示す情報に基づき、移動元から移動先までの移動経路を複数特定する。また、出力部34は、特定した複数の移動経路の中から、各移動経路に含まれる、「花粉」の環境因子の項目が「1」である地点の数をカウントし、数が最も少ない移動経路を示す情報を推奨情報として生成する。
【0079】
なお、出力部34が推奨情報を生成するのではなく、推奨情報とユーザの特性とが予め関連付けられていてもよい。この場合、出力部34は、推定部33がステップS107で推定したユーザの特性に対応する推奨情報を、所定のデータベースから読み出す処理を行う。
【0080】
また、推奨情報は上述したものに限られず、他の情報であってもよい。例えば、出力部34は、花粉症の対策機能を備えた衣服、日傘、抗アレルギー薬を示す情報を、推奨情報としてもよい。また、例えば、出力部34は、抗アレルギー薬を販売している店舗に関する情報(店舗名、店舗の位置、等)を推奨情報としてもよい。
【0081】
(ステップS109)
ステップS109において、出力部34は、ユーザの特性に応じた推奨情報を、ユーザが利用する端末に出力する。出力部34は、一例として、推奨情報の提供要求の送信元であるユーザ端末40に、推奨情報を出力する。推定部33が複数の特性を推定した場合、出力部34は、複数の特性のそれぞれに対応する推奨情報を、重み付けにしたがって出力する。
【0082】
ユーザ端末40は、分析装置30から推奨情報を受信し、受信した推奨情報をタッチパネルに表示する等してユーザに提示する。一例として、ユーザ端末40は、推奨される移動経路を表す画像(地図等)をタッチパネル等の表示装置に表示する。また、ユーザ端末40は、一例として、推奨される商品が販売されている店舗を表す画像(地図等)を表示装置に表示する。これにより、ユーザは、自身の特性に適した情報を得ることができる。例えば、花粉症であるユーザは、本システムにより、花粉の影響の少ない経路や、花粉対策に適した商品を知ることができる。
【0083】
<本例示的実施形態の効果>
ところで、ユーザの行動パターンは様々な要因に基づいて定まるが、ユーザの特性に応じてユーザへ提供するサービスの最適化を図る場合、特性の推定に誤りがあると、ユーザが所望するサービスを提供できない。そのため、ユーザの特性を精度よく推定することが求められている。
【0084】
従来、ユーザの購入情報を収集し、ユーザの購入傾向に応じたサービスの提供等は行われているが、それに対し、本例示的実施形態に係る分析装置30は、ユーザの移動履歴の変化の要因となるユーザの特性を推定する。そのため、本例示的実施形態によれば、購入情報の収集により得られる傾向分析だけでは得られない推定結果を得ることができる。
【0085】
本例示的実施形態に係る分析装置30は、提供対象であるユーザの移動履歴情報(第1の行動の履歴を示す情報)を参照して、移動経路の変化を検出し、検出した変化の要因となるユーザの特性を、ユーザの購入履歴情報(第2の行動の履歴を示す情報)、及び環境履歴情報(ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報)を参照して推定する。また、分析装置30は、推定したユーザの特性に応じた推奨情報を出力する。このため、本例示的実施形態に係る分析装置30によれば、ユーザの移動経路の変化の要因となるユーザの特性に応じた推奨情報をユーザ等に提示することができる。
【0086】
分析装置30が出力する推奨情報は、例えばユーザの特性に適した移動経路である。そのため、分析装置30がユーザの特性に適した移動経路を提示することにより、自身の特性に適した移動経路を把握できる。これにより、ユーザは管理対象エリア2の施設にアクセスし易くなる。また、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを(人々に安全で包摂的かつ利用が容易な公共スペースへの普遍的アクセスを提供する)」の達成に貢献できる。
【0087】
<変形例>
上述の例示的実施形態では、ユーザの第1の行動がユーザの移動である場合について説明した。ユーザの第1の行動は、上述の例示的実施形態で示したものに限られない。ユーザの第1の行動は、一例として、サングラスの装用、日傘の利用、等であってもよい。この場合、例えば、管理対象エリア2に1又は複数のカメラを設置し、カメラが撮影した画像を分析装置30が解析することにより、ユーザがサングラスを装用しているか否かを判別したり、日傘を利用しているか否かを判別したりしてもよい。この場合、例えば、ユーザがサングラスを装用していない状態からサングラスを装用する動作を行った場合、分析装置30がその動作の変化を検出する。また、例えばユーザが日傘をさしていない状態から日傘をさす動作を行った場合、分析装置30がその動作の変化を検出する。
【0088】
また、上述の例示的実施形態では、ユーザの第2の行動がユーザによる商品の購入である場合について説明した。ユーザの第2の行動は、上述の例示的実施形態で示したものに限られない。ユーザの第2の行動は、一例として、病院等での受診、又は、スポーツジムの利用であってもよい。
【0089】
また、上述の例示的実施形態では、推定部33は、第2の行動の履歴を示す情報及び環境履歴情報の両方を参照して、ユーザの特性を推定した。推定部33は、第2の行動の履歴を示す情報又は環境履歴情報を参照してユーザの特性を推定してもよい。
【0090】
また、上述の例示的実施形態では、ユーザの特性が、ユーザが所定の事象を好まない傾向を示すものであり、また、出力部34が、ユーザが好まない事象(回避要因)を回避させるための推奨情報を出力する場合について説明した。ユーザの特及び推奨情報は、上述した例示的実施形態で示したものに限られない。ユーザの特は、ユーザが所定の事象を好む傾向(嗜好傾向)を示すものであり、また、推奨情報は、ユーザの嗜好傾向に合う情報であってもよい。例えば、推定部33が、購入履歴情報にタンニングクリームを購入した旨の情報が含まれているユーザの特性として「日焼けを好む」という特性を推定し、出力部34が、日陰の少ない移動経路を示す推奨情報を出力してもよい。
【0091】
また、上述の例示的実施形態では、分析装置30は、ユーザ端末40から推奨情報の提供要求を受信した場合に、推奨情報提供方法S100を行って推奨情報を出力した。分析装置30が推奨情報を出力するトリガは上述した例示的実施形態で示したものに限られない。分析装置30は、予め定められたタイミング(例えば、1日1回、等)で推奨情報の出力を行ってもよい。
【0092】
また、例えば、分析装置30は、ユーザ端末40の位置情報に基づき、提供対象であるユーザが推奨情報の示す移動経路とは異なる経路を利用するか否かを判別し、異なる経路を利用しようとした場合に、推奨情報をユーザ端末40に送信してもよい。
【0093】
また、例えば、分析装置30は、ユーザが特性に対応する対策を行っているかを判別し、対策を行っているか否かによって、出力する推奨情報を異ならせてもよい。分析装置30は、一例として、ユーザの購入履歴情報に基づき、ユーザが特性に対応する対策を行っているか否かを判別する。分析装置30は、ユーザの特性が関連付けられた商品を購入している場合、ユーザが対策を行っていると判別する。ユーザが対策を行っていない場合、分析装置30は、特性の影響度を「1」として、屋内のみを通る移動経路を推奨する。一方、ユーザが対策を行っている場合、分析装置30は、影響度を「0.5」とし、一部の区間において屋外を通る移動経路を推奨する。
【0094】
〔例示的実施形態3〕
本発明の例示的実施形態3について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0095】
本例示的実施形態において、分析装置30は、上述の例示的実施形態2において図5に示した推奨情報提供方法S100を行う。また、図5の推奨情報提供方法S100において、分析装置30の推定部33は、ステップS107で推定したユーザの特性を示す情報を、分析装置30の記憶装置に蓄積する。複数のユーザについて、かつ、複数のタイミングにおいて推定部33がユーザの特性を推定することにより、分析装置30の記憶装置には、複数のユーザのそれぞれについて、ユーザの特性を示す情報が蓄積される。換言すると、本例示的実施形態において、複数のユーザのそれぞれに、1又は複数のユーザの特性が予め関連付けられている。
【0096】
図8は、分析装置30が行う第2の推奨情報提供方法S200の流れを示すフロー図である。分析装置30は、例えばユーザ端末40から推奨情報の提供要求を受信した場合に第2の推奨情報提供方法S200を開始してもよく、また、例えば、予め定められたタイミング(例えば、1日1回、等)で第2の推奨情報提供方法S200を開始してもよい。
【0097】
(ステップS201)
ステップS201において、分析装置30の推定部33は、記憶装置に記憶された複数のユーザの特性を示す情報を集約する。上述したように、本例示的実施形態においては、複数のユーザのそれぞれに、1又は複数の特性が予め関連付けられている。推定部33は、複数のユーザの特性を集計し、複数の特性の中から所定の条件を満たす特性を特定する。所定の条件は、一例として、出現頻度が最も大きい、出現頻度が閾値より大きい、といった条件である。
【0098】
(ステップS202)
ステップS202において、出力部34は、ステップS201で推定部33が集約したユーザの特性に基づく推奨情報を出力する。推奨情報は、一例として、電車等の交通機関の乗換パターンを表す経路情報であって、最短ルートを示す経路情報、乗り換えが少ないルートを示す経路情報である。また、推奨情報は、一例として、提供対象であるユーザに対応する複数の移動経路のうち、乗換駅に書店がある等、ユーザの特性に対応する店舗が経路の途中に存在する経路情報であってもよい。
【0099】
<本例示的実施形態の効果>
本例示的実施形態によれば、推定部33は、ユーザの複数の特性を集約し、集約した結果に基づき推奨情報を出力する。これにより、分析装置30は、ユーザの特性により精度よく適した推奨情報をユーザに提示することができる。
【0100】
<変形例>
上述の例示的実施形態では、分析装置30は推奨情報をユーザ端末40に出力したが、推奨情報の出力先はユーザ端末40に限られず、他の装置であってもよい。分析装置30は例えば、管理対象エリア2等を管理する管理者が利用する端末に、推奨情報を出力してもよい。例えば、情報提供先が管理者である場合であって、複数のユーザ特性の集約結果が「日焼けを好まない」という特性である場合、推奨情報は一例として、移動経路の変更を推奨する情報であってもよい。
【0101】
〔例示的実施形態4〕
本発明の例示的実施形態4について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の例示的実施形態1~3にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0102】
図9は、本例示的実施形態に係る推奨情報提供システム1Bの構成を示す模式図である。推奨情報提供システム1Bは、上述の例示的実施形態2の推奨情報提供システム1の分析装置30に代えて分析装置30Bを含むとともに、顧客端末50を含む。
【0103】
分析装置30Bは、取得部31B、検出部32B、推定部33B及び出力部34Bを備える。取得部31Bは、複数のユーザについて情報を取得する。本例示的実施形態において、取得部31Bは特に、所定のサービス又はエリアを利用した複数のユーザについて、情報を取得する。検出部32Bは、複数のユーザの一部又は全部による第1の行動の変化に基づく事象の発生をさらに検出する。第1の行動の変化に基づく事象は、例えば、所定のエリアの滞在人数の減少である。
【0104】
推定部33Bは、事象の発生の要因として、複数のユーザの各々について推定された前記ユーザの特性を集約した情報を推定する。出力部34Bは、変化を検出した各ユーザの特性を集約した情報に応じた推奨情報を出力する。本例示的実施形態において、出力部34Bは特に、推奨情報を、上記サービス又は上記エリアの管理者が利用する顧客端末50に出力する。
【0105】
顧客端末50は、上記サービス又は上記エリアの管理者が利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンである。
【0106】
本例示的実施形態においても、分析装置30Bは、上述の例示的実施形態2において図5に示した推奨情報提供方法S100を行う。また、また、図5の推奨情報提供方法S100において、分析装置30の推定部33は、上述の例示的実施形態3と同様に、ステップS107で推定したユーザの特性を示す情報を、分析装置30の記憶装置に蓄積する。複数のユーザについて、かつ、複数のタイミングにおいて推定部33がユーザの特性を推定することにより、分析装置30の記憶装置には、複数のユーザのそれぞれについて、ユーザの特性を示す情報が蓄積される。換言すると、本例示的実施形態において、複数のユーザのそれぞれに、1又は複数のユーザの特性が予め関連付けられている。
【0107】
図10は、分析装置30Bが行う第3の推奨情報提供方法S300の流れを示すフロー図である。なお、第3の推奨情報提供方法S300に含まれる一部のステップは、並行して、又は順序を替えて実行されてもよい。分析装置30は、例えば管理装置20から推奨情報の提供要求を受信した場合に第3の推奨情報提供方法S300を開始する。
【0108】
(ステップS301)
ステップS301において、検出部32Bは、所定のエリアの滞在人数を測定する。所定のエリアは、一例として、管理対象エリアの一部又は全部のエリアである。検出部32Bは、一例として、ユーザ端末40の位置を示す情報に基づき、滞在人数を測定してもよい。検出部32Bは、所定のエリアの滞在人数を時刻情報とともに記憶装置に記憶する。
【0109】
また、検出部32Bは、上記エリアに滞在しているユーザを識別するユーザIDを特定し、特定したユーザIDを時刻情報とともに記憶装置に蓄積する。検出部32Bは、一例として、ユーザID又はユーザIDに紐付けられている識別情報(端末ID、等)をユーザ端末40から取得することにより、ユーザIDを特定する。検出部32Bが特定した、上記エリアに滞在しているユーザを識別する情報(ユーザID)は、後段のステップS303及びステップS304で推定部33Bが参照する。
【0110】
(ステップS302)
ステップS302において、検出部32Bは、所定のエリア内の滞在人数が減少したかを判別する。所定のエリアの滞在人数の減少は、本明細書に係る「第1の行動の変化に基づく事象」の一例である。検出部32Bは、一例として、所定のエリア内に滞在している現在のユーザ数と、所定時間前に滞在していたユーザ数とを比較し、減少率が所定の閾値を超える場合に、滞在人数が減少したと判別する。滞在人数が減少したか否かの判別方法は上述した方法に限られず、他の方法であってもよい。例えば、検出部32Bは、上記エリア内の滞在人数が閾値を下回った場合に、滞在人数が減少したと判別してもよい。
【0111】
滞在人数が減少した場合(ステップS302にてYES)、検出部32BはステップS303の処理に進む。一方、滞在人数が減少していない場合(ステップS302にてNO)、検出部32BはステップS301の処理に戻る。
【0112】
(ステップS303)
ステップS303において、推定部33Bは、所定のエリア内に現在滞在中のユーザの特性を集計する。より具体的には、推定部33Bは、上記エリア内に滞在中のユーザのユーザIDに対応するユーザの特性を示す情報を、記憶装置から読み出して集計する。
【0113】
(ステップS304)
また、ステップS304において、推定部33Bは、減少前に所定のエリア内に滞在していたユーザの特性を集計する。より具体的には、推定部33Bは、減少前に上記エリア内に滞在していたユーザのユーザIDに対応するユーザの特性を示す情報を、記憶装置から読み出して集計する。
【0114】
(ステップS305)
ステップS305において、推定部33Bは、ステップS303の集計結果と、ステップS304の集計結果との対比に基づき、上記エリアから他のエリアに移動した複数のユーザの各々について推定されたユーザの特性を集約する。上述したように、本例示的実施形態においては、複数のユーザのそれぞれに、1又は複数の特性が予め関連付けられている。推定部33Bは、上記エリア外に移動したユーザの特性を集計し、複数の特性の中から所定の条件を満たす特性ものを特定する。所定の条件は、一例として、関連付けられたユーザ数が最も多い、関連付けられたユーザ数が閾値よりも多い、といった条件である。
【0115】
(ステップS306)
ステップS306において、推定部33Bは、集約した情報に応じた推奨情報を出力する。本例示的実施形態において、推奨情報は、サービス又はエリアの管理者に推奨する事項又は商品等を示す情報である。例えば、ステップS305で特定されたユーザの特性が「日焼けを好まない」である場合、上記エリアの滞在人数の減少理由は、日焼けを避けたいユーザが主であると考えられる。この場合、推奨情報は、一例として、「日除けのための屋根を設置する」旨をリコメンドする情報である。また、例えば、ステップS305で特定されたユーザの特性が「強すぎる空調を好まない」である場合、上記エリアの滞在人数の減少理由は、空調が強すぎることであると考えられる。この場合、推奨情報は、一例として、「空調の温度を上げる」旨をリコメンドする情報である。
【0116】
顧客端末50は、分析装置30Bから推奨情報を受信し、受信した推奨情報を表示装置に表示する等して管理者に提示する。これにより、管理者は、管理対象であるサービス又はエリアを利用するユーザの特性に適した情報を得ることができる。これにより、例えば、管理者は、所定のエリアの滞在人数が減少した要因(例えば、日差しが強い、等)を解消するための情報を得ることができる。
【0117】
<本例示的実施形態の効果>
以上説明したように本例示的実施形態によれば、分析装置30Bは、所定のエリアの滞在人数が減少した場合、エリアに滞在しているユーザ、及び滞在していたユーザの特性を収集して傾向分析を行う。これにより、管理者は、減少した人数の情報だけではなく、人数が減少した要因を把握することができる。
【0118】
分析装置30Bが、ユーザ特性に応じた推奨情報を管理者に提示することにより、管理者は、管理対象エリア2を利用するユーザの特性に応じて管理対象エリア2の施設の環境を改善することができる。そのため、ユーザは管理対象エリア2の施設にアクセスし易くなる。これにより、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを(人々に安全で包摂的かつ利用が容易な公共スペースへの普遍的アクセスを提供する)」の達成に貢献できる。
【0119】
<変形例>
上述の例示的実施形態では、検出部32Bは、所定のエリアに滞在しているユーザの人数の減少を検出した(図10のステップS302)が、検出部32Bが検出する事象は、上述した実施形態で示したものに限られない。検出部32Bが検出する、ユーザの第1の行動の変化に基づく事象の発生は、他の事象の発生であってもよい。例えば、検出部32Bが、所定のエリアにおけるユーザの特性毎の滞在人数を算出し、特性毎の滞在人数の変化量が所定の閾値を下回ったことを契機として、推奨情報を出力する処理を行ってもよい。
【0120】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置10、管理装置20、分析装置30、30B、ユーザ端末40、顧客端末50(以下、「情報処理装置10等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0121】
後者の場合、情報処理装置10等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図11に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを情報処理装置10等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、情報処理装置10等の各機能が実現される。
【0122】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0123】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0124】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0125】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0126】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0127】
(付記1)
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、を備えた情報処理装置。
【0128】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【0129】
(付記2)
前記第1の行動は、前記ユーザが移動することを含み、
前記検出手段は、前記変化として、前記ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化を検出する、付記1に記載の情報処理装置。
【0130】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザが滞在する領域の変化、又は移動経路の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【0131】
(付記3)
前記第2の行動は、前記ユーザが商品を購入することを含み、
前記推定手段は、前記ユーザの特性を、前記ユーザが購入した商品を参照して推定する、
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0132】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【0133】
(付記4)
前記推定手段は、前記ユーザの特性として、前記変化により回避可能な事象を前記ユーザが回避する傾向を推定する、付記1から3の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0134】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となる、変化により回避可能な事象をユーザが回避する傾向を精度よく推定することができる。
【0135】
(付記5)
前記ユーザの特性に応じた推奨情報を出力する出力手段をさらに備える、付記1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0136】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性に応じた推奨情報をユーザ等に提示することができる。
【0137】
(付記6)
前記出力手段は、前記推奨情報を前記ユーザが利用する端末に出力する、付記5に記載の情報処理装置。
【0138】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性をユーザに提示することができる。
【0139】
(付記7)
前記取得手段は、複数のユーザについて前記情報を取得し、
前記検出手段は、前記複数のユーザの一部又は全部の各々について前記第1の行動における変化を検出し、
前記推定手段は、前記変化を検出した各ユーザについて前記ユーザの特性を推定し、
前記出力手段は、前記変化を検出した各ユーザの特性を集約した情報に応じた推奨情報を出力する、付記5に記載の情報処理装置。
【0140】
上記の構成によれば、情報処理装置は、複数のユーザの特性を集約した情報に応じた推奨情報をユーザ等に提示することができる。その結果、ユーザは、自身の特性の傾向に応じた推奨情報を得ることができる。
【0141】
(付記8)
前記取得手段は、所定のサービス又はエリアを利用した複数のユーザについて前記情報を取得し、
前記出力手段は、前記推奨情報を、前記サービス又は前記エリアの管理者が利用する端末に出力する、付記7に記載の情報処理装置。
【0142】
上記の構成によれば、情報処理装置は、所定のサービス又はエリアを利用したユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性に応じた推奨情報を、上記サービス又はエリアの管理者に提示することができる。その結果、管理者は、推奨情報を確認することにより、そのようなユーザの特性に応じてユーザの行動を変化させない、又は変化させるための対策を講じることができる。
【0143】
(付記9)
情報処理装置が、
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得すること、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出すること、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定すること、
を含む情報処理方法。
【0144】
上記の構成によれば、情報処理装置は、ユーザの行動の変化の要因となるユーザの特性を精度よく推定することができる。
【0145】
(付記10)
コンピュータを情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得手段と、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出手段と、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定手段と、
として機能させるプログラム。
【0146】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0147】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
ユーザによる第1の行動の履歴を示す情報と、前記ユーザによる前記第1の行動とは異なる第2の行動の履歴を示す情報及び前記ユーザの周辺の環境の履歴を示す情報の一方又は両方と、を取得する取得処理と、
前記第1の行動の履歴を示す情報を参照して、前記第1の行動における変化を検出する検出処理と、
前記変化の要因となる前記ユーザの特性を、前記第2の行動の履歴を示す情報及び前記環境の履歴を示す情報の一方又は両方を参照して推定する推定処理と、を実行する情報処理装置。
【0148】
なお、この情報処理装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記検出処理と、前記推定処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 システム
2 管理対象エリア
10 情報処理装置
11、31 取得部(取得手段)
12、32 検出部(検出手段)
13、33、33B 推定部(推定手段)
20 管理装置
30、30B 分析装置
34、34B 出力部
40 ユーザ端末
50 顧客端末
201a、201b、201c、201d 建物
202a、202b、202c、202d、202e、202f センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11