(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】セルトレイ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20240910BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240910BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240910BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20240910BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/655
H01M50/569
H01M50/291
H01M50/503
(21)【出願番号】P 2023535530
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2022015883
(87)【国際公開番号】W WO2023075269
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0143958
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヒェオン ジン
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0294657(US,A1)
【文献】特開2020-043076(JP,A)
【文献】特開平11-271409(JP,A)
【文献】特開2019-117753(JP,A)
【文献】特表2010-527127(JP,A)
【文献】特表2011-508366(JP,A)
【文献】特表2018-502425(JP,A)
【文献】国際公開第2021/040293(WO,A2)
【文献】特表2019-501477(JP,A)
【文献】中国特許第103985831(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20- 50/298
H01M 50/50- 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放され、内部空間を区画する仕切り壁を備え、前記仕切り壁の間に複数個の円筒形セルがそれぞれ収容されるトレイ本体と、
前記仕切り壁の上部に回動可能に設けられ、前記仕切り壁の間に収容された円筒形セルの上部電極タブと接触するように前記上部電極タブに向かって回動する第1コネクタと、
前記仕切り壁の間の前記トレイ本体に設けられ、前記仕切り壁の間に収容された前記円筒形セルの下部電極タブと接触する第2コネクタと、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタに電気的に連結されて、前記円筒形セルの電気的特性を測定する電気的特性測定器と、を含むセルトレイ。
【請求項2】
前記仕切り壁は格子状に形成される、請求項1に記載のセルトレイ。
【請求項3】
前記トレイ本体は、前記トレイ本体の下部を形成する床板と、前記床板上に設けられる格子状の前記仕切り壁と、前記格子状の前記仕切り壁を囲んで前記床板に結合されるか、または前記床板と一体に形成される外郭枠と、を含む、請求項2に記載のセルトレイ。
【請求項4】
前記外郭枠は、前記第1コネクタの回転半径を超える高さだけ前記仕切り壁の高さより高く形成される、請求項3に記載のセルトレイ。
【請求項5】
前記仕切り壁の上部にヒンジフレームが設けられ、
前記第1コネクタは、前記ヒンジフレームにヒンジ結合されるヒンジ軸を備えた、請求項1に記載のセルトレイ。
【請求項6】
前記電気的特性測定器は、収容された前記円筒形セルの抵抗、電圧および電流のうち、少なくとも1つ以上の特性を測定する、請求項1に記載のセルトレイ。
【請求項7】
前記電気的特性測定器と連結され、前記電気的特性測定器によって測定された前記円筒形セルの電気的特性値を外部に伝達可能な無線通信装置が前記トレイ本体に設けられる、請求項1に記載のセルトレイ。
【請求項8】
前記円筒形セルを冷却させる冷却部材が前記トレイ本体の前記床板に設けられる、請求項3に記載のセルトレイ。
【請求項9】
前記床板に冷却部材収容溝が形成され、前記冷却部材が前記冷却部材収容溝に設けられ、前記冷却部材上に前記第2コネクタが設けられる、請求項8に記載のセルトレイ。
【請求項10】
前記冷却部材は熱電素子である、請求項8に記載のセルトレイ。
【請求項11】
前記トレイ本体の開放された上部を覆い、前記トレイ本体に結合されるトレイ上板をさらに含む、請求項1に記載のセルトレイ。
【請求項12】
前記トレイ上板は、前記仕切り壁の間に収容された前記円筒形セルに対応される位置に下部に突出される絶縁部材を含む、請求項11に記載のセルトレイ。
【請求項13】
前記電気的特性測定器は、前記トレイ本体または前記トレイ上板に設けられる、請求項11に記載のセルトレイ。
【請求項14】
前記ヒンジフレームは、前記仕切り壁の前後、左右、または前後左右に位置した円筒形セルの上部電極タブに向かって回動する複数個の前記第1コネクタとヒンジ結合される、請求項5に記載のセルトレイ。
【請求項15】
前記仕切り壁は格子状に形成され、
前記ヒンジフレームは4つのヒンジ結合部を備え、4つの前記第1コネクタが前記ヒンジ結合部にそれぞれヒンジ結合され、
前記ヒンジフレームは、前記格子状の前記仕切り壁が交差する地点の前記仕切り壁の上部で、前記4つのヒンジ結合部が前記仕切り壁を形成する格子状空間の対角線方向を向くように設けられ、前記第1コネクタが前記格子状空間の対角線方向で上下に回動する、請求項14に記載のセルトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルトレイに関するものであって、詳細には、活性化のための充放電工程や熟成工程などで円筒形セルを収容または保管するか、または各工程間で上記円筒形セルを運搬するセルトレイに関するものである。
【0002】
本出願は、2021年10月26日付の韓国特許出願第10-2021-0143958号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイル、自動車、およびエネルギー貯蔵装置分野に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と放電電圧のリチウム二次電池に対して多くの研究が行われ、また、商用化されて広く使用されている。
【0004】
特に、リチウム二次電池は作動電圧が3.6V以上であって、携帯用電子機器の電源として多く使用されているニッケル-カドミウム電池やニッケル-水素電池より3倍も高く、単位重量当たりのエネルギー密度が高いという側面から急速に伸長されている傾向にある。
【0005】
一方、リチウム二次電池はセルを組立てる過程と電池を活性化する過程を経て製造される。そのため、電池活性化段階ではトレイに電池を搭載し、活性化に必要な条件で充放電を行うことになる。
【0006】
上記リチウム二次電池は、構造および形状に応じて、スタック型電池、パウチ型電池、および円筒形電池に区分され得る。
【0007】
図1は、円筒形セルを多数個収納する従来のトレイを示したものである。上記
図1を参考すると、多数の円筒形セル30を個別的に収容し得る電池収容部11を備え、上部が開放された本体10と、上記本体10の上部を覆って収容された円筒形セル30を保護するカバー20とが備えられている。
【0008】
このように、従来のトレイは円筒形セルを単純に収容または運搬する機能を達成するのみであり、各工程中または工程間移動中にセルの特性や状態をモニタリングすることができなかった。例えば、初期充放電工程時にトレイに収容されたセルのリードに充放電器の端子を連結して充放電時の電圧を測定することはできるが、工程間移動または保管中のセルの電圧を測定することはできなかった。また、充放電工程の特性上、電圧外のインピーダンスなど他の電気的特性を測定することは困難であった。活性化工程または熟成工程前後のセルはまだその電気的特性が確立されておらず、時間に応じて電圧、インピーダンス、電流などの電気的特性が可変され得る状態にあるため、その電気的特性の推移を持続的にモニタリングする必要がある。
【0009】
一方、トレイに収容されたセルに各工程を遂行する過程で熱が発生し得るが、大部分閉鎖型の構造を有するトレイの特性上、上記トレイに収容されたセルはセルの性能に影響を受ける程度の発熱環境に置かれる場合が頻繁だった。そのため、収容されたセルの電気的特性の推移を持続的にモニタリングし得る構造のみならず、収容されたセルから発生する熱を効果的に制御し得るセルトレイが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0094830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するために作られたものであって、充放電工程、工程間移動および熟成工程などで円筒型セルの電気的特性を測定してモニタリングし得るセルトレイを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、セルトレイに収納された円筒型セルが上記の電気的特性を測定する過程などで発生した熱によってセルが毀損されるか、またはセルの性能が低下される問題を解決し得るセルトレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、上部が開放され、内部空間を区画する仕切り壁を備え、上記仕切り壁の間に複数個の円筒形セルがそれぞれ収容されるトレイ本体と、上記仕切り壁の上部に回動可能に設けられ、上記仕切り壁の間に収容された円筒形セルの上部電極タブと接触するように上記上部電極タブに向かって回動する第1コネクタと、上記仕切り壁の間のトレイ本体に設けられ、上記仕切り壁の間に収容された円筒形セルの下部電極タブと接触する第2コネクタと、上記第1コネクタおよび第2コネクタに電気的に連結されて、上記円筒形セルの電気的特性を測定する電気的特性測定器と、を含むことを特徴とするセルトレイを提供する。
【0014】
具体的には、上記仕切り壁は格子状に形成され得る。
【0015】
また、上記トレイ本体は、上記トレイ本体の下部を形成する床板と、上記床板上に設けられる格子状の仕切り壁と、上記格子状の仕切り壁を囲んで上記床板に結合されるか、または上記床板と一体に形成される外郭枠を含む。
【0016】
また、上記外郭枠は、上記第1コネクタの回転半径を超える高さだけ上記仕切り壁の高さより高く形成され得る。
【0017】
一方、上記仕切り壁の上部にヒンジフレームが設けられ、上記第1コネクタは上記ヒンジフレームにヒンジ結合され得る。
【0018】
上記電気的特性測定器は、収容された円筒形セルの抵抗、電圧および電流のうち、少なくとも1つ以上の特性を測定し得る。
【0019】
一方、上記電気的特性測定器と連結され、上記電気的特性測定器によって測定された円筒形セルの電気的特性値を外部に伝達可能な無線通信装置が上記トレイ本体に設けられ得る。
【0020】
また、上記円筒形セルを冷却させる冷却部材が上記トレイ本体の床板に設けられ得る。
【0021】
具体的には、上記床板に冷却部材収容溝が形成され、上記冷却部材が上記冷却部材収容溝に設けられ、上記冷却部材上に上記第2コネクタが設けられ得る。
【0022】
より具体的には、上記冷却部材は熱電素子であり得る。
【0023】
一実施形態によると、上記トレイ本体の開放された上部を覆い、上記トレイ本体に結合されるトレイ上板をさらに含み得る。
【0024】
具体的には、上記トレイ上板は、上記仕切り壁の間に収容された円筒形セルに対応される位置に下部に突出される絶縁部材を含み得る。
【0025】
一方、上記電気的特性測定器は、上記トレイ本体またはトレイ上板に設けられ得る。
【0026】
一方、上記ヒンジフレームは、上記仕切り壁の前後、左右、または前後左右に位置した円筒形セルの上部電極タブに向かって回動する複数個の第1コネクタとヒンジ結合され得る。
【0027】
別の実施形態によると、上記仕切り壁は格子状に形成され、上記ヒンジフレームは4つのヒンジ結合部を備え、4つの第1コネクタが上記ヒンジ結合部にそれぞれヒンジ結合され、上記ヒンジフレームは、上記格子状の仕切り壁が交差する地点の仕切り壁の上部で、上記4つのヒンジ結合部が仕切り壁を形成する格子状空間の対角線方向を向くように設けられ、上記第1コネクタが上記格子状空間の対角線方向で上下に回動し得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、充放電工程や熟成工程、または各工程間で単方向電池セルの電圧、インピーダンス電流などの電気的特性を簡便にモニタリングし得るという効果を有する。
【0029】
また、本発明は、内部に収納された多数の円筒形セルから発生する熱を効果的に制御して、上記セルの熱安定性問題を解決するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の円筒形セルトレイを示したものである。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るセルトレイの断面図および平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るセルトレイに含まれたヒンジ部材および第1リードコネクタを示したものである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るセルトレイに含まれたトレイ本体および上板の構成を示したものである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るセルトレイに含まれたヒンジ部材および第1リードコネクタを示したものである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るセルトレイの断面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面と様々な実施形態によって本発明の細部構成を詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、また添付された図面は、発明の理解を助けるために実際の縮尺で図示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて図示され得る。
【0032】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0033】
本発明は、2つの電極タブが上部および下部にそれぞれ形成されている複数個の円筒形セルCを収容するセルトレイ100に関するものである。
【0034】
本発明のセルトレイ100は、複数個の円筒形セルCが収容され、上部が開放され、内部空間を区画する仕切り壁111を備えて、上記仕切り壁111の間に複数個の円筒形セルCがそれぞれ収容されるトレイ本体110と、上記仕切り壁111の上部に回動可能に設けられ、上記仕切り壁111の間に収容された円筒形セルCの上部電極タブと接触するように上記上部電極タブに向かって回動する第1コネクタ131と、上記仕切り壁111の間のトレイ本体に設けられ、上記仕切り壁111の間に収容された円筒形セルの下部電極タブと接触する第2コネクタ132と、上記第1コネクタ131および第2コネクタ132に電気的に連結されて上記円筒形セルCの電気的特性を測定する電気的特性測定器140と、を含むことが特徴である。
【0035】
上記トレイ本体110は、円筒形セルCが載置される床板113と、上記床板113上に設けられ、上記円筒形セルCが収納される格子状の仕切り壁111と、上記仕切り壁111を囲む外郭枠112と、を含む。
【0036】
図2~
図4は、本発明の第1実施形態に係るセルトレイ100の構成を示したものであり、
図5~
図6は、本発明の第2実施形態に係るセルトレイ100の構成を示したものである。
【0037】
以下、上記図面を参照して本発明のセルトレイ100の構成および機能などについて説明する。
【0038】
(第1実施形態)
本発明のセルトレイ100の基本構造は、前の背景技術で参考した
図1とほぼ同一である。ただし、本発明のセルトレイ100は、既存の構造で収容されている円筒形セルCの電気的特性の推移を持続的にモニタリングするための別途の構成が追加されている。
【0039】
具体的には、本発明のセルトレイ100は、収容された円筒形セルCのそれぞれの電気的特性を把握するために、上記セルの上下部にそれぞれ形成された電極タブと接触されて電気的に連結され得るコネクタを含む。以下、
図2~
図4を参照して説明する。
【0040】
図2は、本発明の第1実施形態に係るセルトレイ100の断面図(
図2の(a))および平面図(
図2の(b))である。
【0041】
上記
図2を参照すると、本発明のセルトレイ100は、基本的に複数個の円筒形セルCがそれぞれ分離されて収容され得るように形成される仕切り壁111と、上記仕切り壁111で形成された収容部Aに収容された円筒形セルCを全て包むように側面を囲んで支持する外郭枠112と、上記仕切り壁111および外郭枠112の下部に結合されて上記収容された円筒形セルCの下部を支持する床板113とを含むトレイ本体110で構成されている。
【0042】
本発明のトレイ本体110は、円筒形セルCが収容される収容部Aを形成する仕切り壁111を含む。
【0043】
上記仕切り壁111は、円筒形セルCがトレイ本体110に1つずつ分離されて収容され得るように格子状に設計され、上記格子状構造によって形成された複数個の収容部Aを含む。
【0044】
上記仕切り壁111は、
図2の(b)から分かるように格子状に設計されており、収容部Aに収容された円筒形セルCの側面部を上記仕切り壁111が支持している。必要に応じて、最外郭部に収容された一部の円筒形セルCの側面の一部は、外郭枠112によっても支持され得る。
【0045】
上記仕切り壁111は、以後に説明する第1コネクタ131と結合され得るヒンジフレーム111aをさらに含み得る。具体的には、上記ヒンジフレーム111aは、上記仕切り壁111の上部に設けられ得る。
【0046】
上記ヒンジフレーム111aは、上記仕切り壁111の前後、左右、または前後左右に位置した円筒形セルCの上部電極タブに向かって回動する複数個の第1コネクタ131とヒンジ結合され得る。
【0047】
上記ヒンジフレーム111aに関しては、以後、
図3などを参照して第1コネクタ131を説明するとき、再び扱う。
【0048】
本発明のトレイ本体110は、仕切り壁111を囲む外郭枠112を含む。
【0049】
上記外郭枠112は、上記仕切り壁111および収容された円筒形セルC全体を囲む形状でそれらを支持し、外部から円筒形セルCを保護する役割を果たす。
【0050】
上記外郭枠112の高さは、上記仕切り壁111の高さより高いことがあり得るが、上記外郭枠は、上記第1コネクタの回転半径を超える高さだけ上記仕切り壁の高さより高く形成されることが好ましい。
【0051】
本発明のトレイ本体110は、円筒形セルCが載置される床板113を含む。
【0052】
上記床板113は、上記仕切り壁111および外郭枠112の下面と結合され、上記仕切り壁111および外郭枠112を下部から支持する役割を果たす。また、上記床板113は、収容された円筒形セルCの下部を支持する。
【0053】
上記仕切り壁111と外郭枠112と床板113とは、一体型に設計され得、必要に応じて分離型に設計され得、本発明においてこれに対して特に限定はしない。
【0054】
本発明のセルトレイ100は、収容された円筒形セルCの両側に形成された電極タブと電気的に連結されるコネクタを含む。上記コネクタは、電気電導性の金属材質、例えば銅などからなり得る。具体的には、上記コネクタは、上記仕切り壁111の上部に設けられる第1コネクタ131と上記床板113上に設けられる第2コネクタ132とを含む。
【0055】
上記第1コネクタ131は、仕切り壁111の上部に設けられ、円筒形セルCの上部電極タブと接触する。具体的には、上記第1コネクタ131は、上記仕切り壁111の上部にヒンジ結合されて形成される。
【0056】
上記第1コネクタ131は、上記ヒンジフレーム111aにヒンジ結合されるヒンジ軸を備え得る。具体的には、上記第1コネクタ131が仕切り壁111の上部に位置したヒンジフレーム111aとヒンジ結合され、ヒンジ軸130aを基点としてヒンジ回動することが分かる。上記のように第1コネクタ131がヒンジ回動することは、円筒形セルCの収容部Aへの出入が妨げられないようにするためである。
【0057】
上記第1コネクタ131がヒンジ軸130aを基点として上部にヒンジ回動すると、収容部Aの入口がオープンされ、円筒型セルCの出入が可能になるが、上記第1コネクタ131がヒンジ軸130aを基点として下部にヒンジ回動すると、収容部Aの入口が上記第1コネクタ131によって構造的に塞がれるようになり、円筒型セルCの出入が不可能になる。図面上に図示されていないが、円筒形セルCがセルトレイ100に収容されているとき、上記第1コネクタ131が下部にヒンジ回動すると、上記円筒形セルCの上部電極タブと、上記第1コネクタ131の先端部が接触されるようになり電気的連結が可能になる。逆に、上記第1コネクタ131が上部にヒンジ回動すると、上記第1コネクタ131が上記円筒形セルCの上部電極タブから外れるようになり電気的連結が不可能になる。
【0058】
図3は、本発明の第1実施形態に係るセルトレイ100に含まれたヒンジフレーム111aおよび第1コネクタ131を示したものである。
【0059】
上記
図3を参照すると、上記第1コネクタ131の両端部のうち、後端部にヒンジ軸130aが形成されており、先端部は下方に突出されている形状を有することが分かる。上記第1コネクタ131の先端部が下方に突出されていることは、円筒形セルCの電極タブと効果的に接触するためである。ただし、上記第1コネクタ131の形状は上記図面によって限定されるものではなく、上記先端部が下方に突出されなくても円筒型セルCの上部電極タブと接触可能な形態であれば十分である。
【0060】
上記ヒンジフレーム111aは、第1コネクタ131が挿入され得る空間であるコネクタ挿入口を含み得る。また、上記ヒンジフレーム111aは、上記第1コネクタ131が上記コネクタ挿入口に挿入されるとき、上記第1コネクタ131のヒンジ軸130aと結合し得る溝111a1をさらに含み得る。
【0061】
ただし、上記ヒンジフレーム111aの形状が上記
図3によって限定される必要はなく、上記第1コネクタ131が仕切り壁111の上部でヒンジ結合され、円筒形セルCの出入が妨げられないように上記第1コネクタ131をヒンジ回動させ得る構造であればいかなる形態も可能である。
【0062】
上記第1コネクトがヒンジ軸130aを基点として下部にヒンジ回動すると、収容された円筒型セルCの上部電極タブと接触されて電気的連結が可能になり、上記第1コネクタ131が上記ヒンジ軸130aを基点として上部にヒンジ回動すると電気的連結が切れるようになる。
【0063】
本発明のヒンジフレーム111aは、少なくとも1つ以上の第1コネクタ131とヒンジ結合され得る。上記複数個の第1コネクタ131が連結されるヒンジフレーム111aに関連して、以後、本発明の第2実施形態で再び扱う。
【0064】
上記第2コネクタ132は上記床板113上に設けられて円筒形セルCの下部に接触される。
【0065】
上記第2コネクタ132は床板113の上部に形成され得る。具体的には、上記第2コネクタ132は、収容部Aに収容された円筒形セルCの下部電極タブと電気的接触をしなければならないため、上記収容部Aの位置に対応される床板113の上部に形成される。
【0066】
上記第2コネクタ132は、上記床板113から突出されて形成され得、または床板113に陥没されて形成され得、これに対して本発明において特に限定はしない。ただし、収容された円筒形セルCの下部に位置した電極タブと完全に電気的連結が可能な構造であれば十分である。
【0067】
本発明のセルトレイ100は、上記コネクタと電気的に連結されて上記円筒形セルCの電気的特性を特定する電気的特性測定器140を含む。
【0068】
上記電気的特性測定器140は、上記第1コネクタ131および第2コネクタ132と導線160を介して電気的に連結され、上記それぞれのコネクタと接触した円筒形セルCの電流、電圧および抵抗のうち、少なくとも1つ以上の特性を測定し得る。
【0069】
上記電気的特性測定器はトレイ本体110に設けられ得る。
【0070】
具体的には、上記電気的特性測定器140は仕切り壁111に設けられ得るが、収容部Aへ円筒形セルCの出入が妨げられないように、好適に仕切り壁111の内部に挿入された形態で設けられ得る。
【0071】
上記電気的特性測定器140は、測定された円筒形セルCの特性値を外部に伝送し得る。具体的には、本実施形態は、上記電気的特性測定器140と連結される無線通信装置150をトレイ本体110に設けている。上記無線通信装置150として、例えばリーダー機の役割を果たす外部のNFC(Near Field Communication)タグと無線通信し得るNFCタグを備えるNFCパッドを使用し得る。あるいは、無線通信装置150として、外部のRFID(Radio Frequency Identification)リーダー機と無線通信し得るRFIDタグなどを使用し得る。しかしながら、無線通信装置および無線通信方式は上述した例に限定されるものではなく、円筒型セルの特性値を効果的に外部に伝達し得るならば他の方式の無線通信装置などを使用し得る。このような無線通信装置150は、トレイ外部の受信装置と通信することにより、電気的特性測定器140から伝達されたデータを外部に送信し得る。
【0072】
上記無線通信装置150は、セルトレイ100に収容された円筒型セルCの電気的特性などを外部に効果的に送信するためにトレイ本体110に含まれた外郭枠112または床板113の外側の側面に設けられ得る。
【0073】
円筒形セルCの個数に対応して、上記無線通信装置150も複数個設けられ得る。この場合、各セルに対応する無線通信装置150からそれぞれの特性値が導出され得、各セルの無線通信装置150間の通信も可能である。したがって、各セルの無線通信装置150から特性値を受け入れるマスター無線通信装置150(例えば、マスターNFCパッド)を設け、このマスター無線通信装置150から一括的に複数個のセルの特性値を外部に伝送し得る。外部の受信装置は、例えば、電池セルトレイ100を移送するスタッカークレーンに設けることもでき、上記電池セルトレイ100が保管される倉庫の保管ラックに設けることも可能である。
【0074】
本発明のセルトレイ100は、収容された円筒形セルCが発熱されるとき、上記円筒形セルCおよびセルトレイ100を冷却させ得る冷却部材170を含む。
【0075】
上記冷却部材170は、好ましくは熱電素子などであり得る。
【0076】
上記冷却部材170は、冷媒の使用なしで、収容された円筒形セルCを所望するだけ冷却させ得る機能を含んでいるいかなる装置も代替可能である。
【0077】
上記冷却部材170は、トレイ本体110に内蔵される別途の電力源(図示せず)から電力を供給されて稼動し得、またはトレイ本体110に収容されている円筒型セルCと電気的に連結されて電力を供給されることもできる。
【0078】
上記冷却部材170は別途の冷媒を必要とせず、電力が供給されるとき、一側が吸熱を進行し、上記一側に対向される他側が発熱を進行する。具体的には、上記冷却部材170は、一面に熱を吸収する吸熱部(図示せず)を含み、上記一面と反対となる他面に熱を放出する発熱部(図示せず)を含む。上記冷却部材170は、好適に、上記吸熱部を含む一面および発熱部を含む他面がそれぞれ収容部Aおよび外部を向くように、床板113に設けられる。
【0079】
上記冷却部材170は、
図2から分かるように、トレイ本体110の床板113に設けられることが好ましい。より具体的には、上記床板113は、上記冷却部材170が設けられ得る空間である収容溝(図示せず)を含み、上記冷却部材170は上記収容溝に挿入されて設けられ得る。このとき、上記第2コネクタ132は上記冷却部材170上に位置することが好ましい。これは、上記床板113の一面が収容された全ての円筒形セルCと接触され得るため、効果的に上記収容部Aから発生する熱を吸熱し得、また上記吸熱された熱を効果的に外部排出が可能な構造であるからである。
【0080】
このとき、上記冷却部材170は、上記吸熱を進行する一側がトレイ本体110の収容部A方向を向くようにして、上記発熱を進行する他側がトレイ本体110の外側方向を向くように設けることが好ましい。
【0081】
本発明のセルトレイ100は、上記トレイ本体110の上部で上記トレイ本体110の開放された上部を覆い、上記トレイ本体110と結合されるトレイ上板120をさらに含み得る。
【0082】
図4は、本発明の第1実施形態に係るセルトレイ100に含まれたトレイ本体110およびトレイ上板120の構成を示したものである。
【0083】
上記
図4を参照すると、本発明のセルトレイ100は、上記トレイ本体110に含まれた外郭枠112と結合されて収容された円筒形セルCを覆い得るトレイ上板120をさらに含み得る。
【0084】
本発明のセルトレイ100は、上記トレイ上板120を備えることにより異物質のトレイ本体110の内部への混入を防止し得るのみならず、第1コネクタ131および円筒型セルCの電極タブ接触が安定的に行われるように加圧する役割も遂行し得る。
【0085】
上記トレイ上板120は、上記トレイ本体110の上部で外郭枠112と結合されるとき、上記トレイ本体110に収容された円筒形セルCに対応される位置から下部に突出された絶縁部材121を含み得る。
【0086】
上記
図4を参照すると、上記絶縁部材121が第1コネクタ131の上部を押すことにより、上記第1コネクタ131および電極タブの電気的連結が切れないようにしていることがわかる。特に、セルトレイ100が移動中に外部衝撃を受けても、上記トレイ上板120の絶縁部材121により、上記第1コネクタ131と円筒型セルCの電極タブとの電気的連結は維持され続け得る。
【0087】
上記トレイ上板120は、必要に応じて上記電気的特性測定器140をさらに含むこともできる。
【0088】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係るセルトレイ100に含まれたヒンジフレーム111aおよび第1コネクタ131を示したものである。
【0089】
上記
図5を参照すると、1つのヒンジフレーム111aが4つのヒンジ結合部Sを含んでおり、上記それぞれのヒンジ結合部Sに4つの第1コネクタ131がヒンジ結合されることがわかる。
【0090】
上記のようなヒンジフレーム111aおよび第1コネクタ131の構成を適用したセルトレイ100の構造が
図6に示されている。
【0091】
図6は、本発明の第2実施形態に係るセルトレイ100の断面図および平面図である。
【0092】
上記ヒンジフレーム111aは4つのヒンジ結合部Sを備え、4つの第1コネクタ131が上記ヒンジ結合部Sにそれぞれヒンジ結合され、上記ヒンジフレーム111aは上記格子状の仕切り壁111が交差する地点の仕切り壁111の上部で、上記4つのヒンジ結合部Sが、仕切り壁111が形成する格子状空間の対角線方向を向くように設けられ、上記第1コネクタ131が、上記格子状空間の対角線方向で上下に回動するようにする。
【0093】
上記
図6を参照すると、上記ヒンジフレーム111aが仕切り壁111の上部に位置し、1つのヒンジフレーム111aに4つの第1コネクタ131がヒンジ結合されていることが分かる。上記第1コネクタ131は、上記第1実施形態に係るセルトレイ100に含まれた第1コネクタ131と異なり、対角線方向に位置した収容部Aに向かってヒンジ回動するように設けられる。
【0094】
すなわち、1つのヒンジフレーム111aを介して4つの電気的連結が可能に設計されるため、第2実施形態に係るセルトレイ100は、トレイ本体110の内部空間の余裕性をさらに確保し得、より使用便宜性が改善されたことがわかる。
【0095】
以上、図面と実施形態などにより本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0096】
10:(従来技術)本体
11:(従来技術)電池収容部
20:(従来技術)カバー
30:(従来技術)円筒形セル
100:セルトレイ
110:トレイ本体
111:仕切り壁
111a:ヒンジフレーム
111a1:溝
112:外郭枠
113:床板
120:トレイ上板
121:絶縁部材
130a:ヒンジ軸
131:第1コネクタ
132:第2コネクタ
140:電気的特性測定器
150:無線通信装置
160:導線
170:冷却部材
C:円筒形セル
A:収容部
S:ヒンジ結合部