(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】吸気ダクトの配設構造
(51)【国際特許分類】
B60K 13/02 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B60K13/02 C
(21)【出願番号】P 2023541162
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2021029613
(87)【国際公開番号】W WO2023017575
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】宮原 一樹
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-41491(JP,A)
【文献】特開2009-126415(JP,A)
【文献】特開2008-284953(JP,A)
【文献】特開2008-296853(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004889(WO,A1)
【文献】米国特許第5660243(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部から外気を導入する空気取入口と、
前記空気取入口から導入された導入外気に放熱する放熱器と、
前記導入外気の一部を吸入する吸気口を有し、前記車両のエンジンに接続された吸気ダクトと、
前記導入外気の流路を画定するとともに、前記導入外気の流れから前記吸気口を遮蔽する第1遮蔽部材と、を備え、
前記第1遮蔽部材は、前記空気取入口から前記放熱器まで前記流路の上部を画定する上壁部と、前記流路の側部を画定する側壁部と、を少なくとも含み、
前記吸気口は、前記上壁部の上に位置する、
吸気ダクトの配設構造。
【請求項2】
前記上壁部と、前記吸気ダクトと、の間には、前記導入外気に含まれる、当該導入外気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な第1蓄溜部が形成され、
前記第1蓄溜部は、前記吸気口の下縁部と前記上壁部との間で開口する、請求項1に記載の吸気ダクトの配設構造。
【請求項3】
前記上壁部は、上下に貫通する開口を有し、
前記吸気ダクトの前記吸気口側の端部は、吸気上流側に向かうほど径方向外方に湾曲し拡大するベルマウス形状を備え、
前記吸気口から前記ベルマウス形状の曲面を仮想的に延長して形成される仮想延長面は、前記開口の開口面と交差する、請求項2に記載の吸気ダクトの配設構造。
【請求項4】
前記吸気ダクトは、前記端部から延在する上流ダクト部を含み、
前記開口は、前記上流ダクト部の延在方向に垂直かつ水平な方向において、前記吸気口の側方に配設されている、請求項3に記載の吸気ダクトの配設構造。
【請求項5】
前記吸気ダクトは、当該吸気ダクト内に吸入された空気をろ過するフィルタ部に接続され、
前記吸気ダクトの前記フィルタ部と、前記吸気口との間には、少なくとも一つの曲がり部が形成され、
前記少なくとも一つの曲がり部の外周側には、前記空気に含まれている、当該空気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な第2蓄溜部が配設されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸気ダクトの配設構造。
【請求項6】
前記車両のフードと、
前記フードにより閉塞される前記車両のフード開口と、
前記フード開口の内周縁部と、前記フードの外周縁部と、の間に形成される隙間と、
前記隙間のうち少なくとも前記吸気口に最も近い部分と、前記吸気口と、の間を遮るように延在する第2遮蔽部材と、
を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸気ダクトの配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気ダクトの配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、ラジコアサポートアッパパネルを後方に開口する縦断面C字状に形成し、当該C字状断面の縦壁面に複数の通気孔を設けるとともに、ラジコアサポートアッパパネル後方に吸気ダクトの導入口を配置した、自動車の吸気ダクト取付部構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の吸気ダクトの配設構造では、ラジエータ等の放熱器で加熱された空気が吸気ダクトの吸気口に向けて流れ、吸気ダクト内に吸入されるおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、加熱された空気が吸気ダクト内に吸入されるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吸気ダクトの配設構造は、空気取入口と、放熱器と、吸気口を有する吸気ダクトと、第1遮蔽部材と、を備える。第1遮蔽部材は、空気取入口から放熱器まで流路の上部を画定する上壁部と、流路の側部を画定する側壁部と、を少なくとも含み、吸気口は、上壁部の上に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱された空気が吸気ダクト内に吸入されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る吸気ダクトの配設構造の、車両における空気取入口と、吸気ダクトと、第1遮蔽部材と、第2遮蔽部材と、の配設関係を示す部分斜視図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った断面における要部を示す図であり、空気取入口と、放熱器と、吸気ダクトと、第1遮蔽部材と、第2遮蔽部材と、の配設関係を示す部分断面図である。
【
図3】空気取入口と、放熱器と、吸気ダクトと、第1遮蔽部材と、の配設関係を示す部分正面図である。
【
図4】吸気ダクトと、第1遮蔽部材と、の配設関係を示す部分斜視図である。
【
図7】吸気ダクトの配設位置を示す部分斜視図である。
【
図8】吸気ダクトについて説明するための、
図7のB-B線に沿った断面を示す部分断面図である。
【
図9】吸気ダクトの端部と仮想延長面との関係を説明する図であって、第2断面に垂直な軸方向視における模式的部分断面図である。
【
図10】吸気ダクトの端部と仮想延長面との関係を説明する図であって、第2断面に垂直な軸方向視における模式的部分断面図である。
【
図11】吸気ダクトの端部と仮想延長面との関係を説明する図であって、第2断面に垂直な軸方向視における模式的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両前後方向前方、後方を、LH,RHは、車幅方向左方、右方を、UP,DNは、車両上下方向上方、下方のそれぞれを示す。以下の説明では、車両前後方向前方、後方、車幅方向左方、右方、車両上下方向上方、下方を、それぞれ単に「車両前方」「車両後方」「車両左方」「車両右方」「上方」「下方」と称する。なお、同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1乃至
図3に例示するように、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造は、車両Vの車両前方側に設けられたエンジンルーム70に用いることができる。車両Vは、例えば、エンジンルーム70内に配設されたエンジン71と、図示しない電動モータと、を動力源とするハイブリッド車である。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造は、空気取入口10と、放熱器20と、吸気ダクト30と、第1遮蔽部材40と、を備える。また、図に例示するように、放熱器20と、吸気ダクト30と、第1遮蔽部材40と、はエンジン71よりも車両前方側に配設されていてもよい。
【0011】
空気取入口10は、車両Vの外部からエンジンルーム70内に外気を導入するための開口である。空気取入口10は、ボディパネル、バンパー、又はフード等の車両Vの外装を構成する車体外装部材72のうち、車両前方側を所定の範囲で開口することにより形成されている。図示した例では、空気取入口10は、車幅方向中央部に位置しており、車両前後方向視で略矩形の形状を有する。また、空気取入口10は、例えば網目状、又は格子状のフロントグリル11で覆われていてもよい。空気取入口10を備えることにより、例えば、車両Vが車両前方に向けて走行する際に、外気が空気取入口10からエンジンルーム70内に導入される。
【0012】
空気取入口10から導入された導入外気には放熱器20の熱が放熱される。導入外気は例えば空気である。
図2、又は
図3に示す例では、放熱器20はコンデンサ20aと、ラジエータ20bと、を含むが、これに限定されない。例えば、放熱器20は、コンデンサ20a、又はラジエータ20bのいずれか一方であってもよい。
【0013】
コンデンサ20aは、車両Vが搭載する空調装置の、冷媒の熱を導入外気に放熱するための熱交換器である。図示した例のように、コンデンサ20aは、空気取入口10から車両後方に所定の間隔を隔てて配設され、車両前後方向視で略矩形の形状を備えてもよい。ラジエータ20bは、エンジン71の冷却水の熱を導入外気に放熱するための熱交換器である。図示した例のように、ラジエータ20bは、コンデンサ20aから車両後方に所定の間隔を隔てて配設され、車両前後方向視で略矩形の形状を備えてもよい。なお、ラジエータ20bは、車両Vの電動モータの冷却水の熱を導入外気に放熱するための熱交換器であってもよい。
図3に示すように、車両前後方向視において、放熱器20は、車幅方向中央部よりも車両左方寄りに配設されていてもよい。また、空気取入口10と放熱器20とは、車両前後方向視において少なくとも一部が重なってもよい。
【0014】
図1乃至
図3に示すように、空気取入口10とコンデンサ20aとの間には第1遮蔽部材40が配設されている。第1遮蔽部材40は、少なくとも上壁部41と、側壁部45,46と、を備えており、空気取入口10と放熱器20との間の空間Sを、上方及び側方から覆う。なお、第1遮蔽部材40は、例えば耐熱性の樹脂材を成形することにより構成されてもよい。なお、図示した例では、第1遮蔽部材40の空気取入口10側は車両前方側に相当し、空気取入口10側とは反対側は車両後方側に相当する。このような第1遮蔽部材40が配設されているため、導入外気が空間Sから上方、車両左方、又は車両右方に向けて流れるのを抑制することができる。そのため、導入外気は空気取入口10から放熱器20に向けて流れることとなる。その結果、
図2に示すように、空気取入口10と放熱器20との間には、空気取入口10から放熱器20に向かう流路Pが形成される。従って、第1遮蔽部材40は、導入外気の流路Pを画定する部材である。
【0015】
図に示すように、吸気ダクト30の吸気口31と空間Sとの間には、第1遮蔽部材40の上壁部41が延在している。また、空間Sの車幅方向側方には側壁部45,46が延在している。そのため、第1遮蔽部材40は導入外気の流れから吸気口31を遮蔽している。これにより、流路Pに導入された導入外気の流れは第1遮蔽部材に遮られ、吸気口31に向けて流れることが抑制される。
【0016】
上壁部41は、空気取入口10から放熱器20まで流路Pの上部を画定する。
図2、又は
図6に示す例のように、上壁部41は、車両前後方向に延在し空間Sを上方から覆う板状部であり、平面視で略矩形の形状を備えてもよい。上壁部41は、放熱器20の上部との間に所定の隙間を形成するようにして、放熱器20の上方に配設されてもよい。また、上壁部41と放熱器20とは、平面視において少なくとも一部が重なるように配設されてもよい。なお、放熱器20は、図示しないボルト等の締結具を介して上壁部41と締結されていてもよい。
【0017】
上壁部41の車両前方側の端部である上壁前端部41aの少なくとも一部は、車体外装部材72の車両前方側のうち、空気取入口10の上縁部10aよりも上方に位置する部分に、エンジンルーム70内方側から当接するように構成されていてもよい。図示した例では、上壁部41の車両後方側の端部である上壁後端部41bは、コンデンサ20aよりも車両後方側に位置しているが、これに限定されない。例えば、上壁後端部41bは、ラジエータ20bよりも車両後方側に位置していてもよい。
【0018】
また、上壁後端部41bには、上方に延出する縦壁部42が形成されていてもよい。ラジエータ20bの上方において、縦壁部42と、車体骨格部材73とを図示しないボルト等の締結具を用いて締結することにより、上壁部41を固定することができる。なお、車体骨格部材73はエンジンルーム70内で車幅方向に延在する部材であり、例えば樹脂製、又は金属製のラジエータコアサポートであってもよい。
【0019】
上壁部41は、上下に貫通する開口43を有する。図示した例では、開口43は、上壁前端部41aの一部を切り欠くことにより形成された開口43a、及び開口43bである。開口43aは上壁前端部41aにおける上壁側端部41c寄りの位置に設けられた開口である。開口43bは上壁前端部41aにおける上壁側端部41d寄りの位置に設けられた開口である。なお、上壁側端部41cは、上壁部41の車両左方側の端部であり、上壁側端部41dは、上壁部41の車両右方側の端部である。
【0020】
側壁部45,46は、空気取入口10から放熱器20まで流路Pの側部を画定する。図示した例では、第1遮蔽部材40は、その車両左方側、及び車両右方側の各々に、空間Sを側方から覆う側壁部45,46を有するが、これに限定されない。例えば、第1遮蔽部材40は、その車両左方側、又は車両右方側のいずれか一方に側壁部を有するように構成されていてもよい。
【0021】
側壁部45は、空間Sを車両左方から覆っており、例えば、側面視で略矩形の形状を備える、車両前後方向に延在する板状部であってもよい。側壁部45は、空気取入口10から放熱器20まで流路Pの車両左方側の側部を画定している。図示した例のように、側壁部45の車両後方側の端部は、コンデンサ20aの車両左方側端部に当接してもよい。また、側壁部45の車両前方側の端部は、車体外装部材72の車両前方側のうち、空気取入口10の車両左方に位置する部分に、エンジンルーム70内方側から当接してもよい。また、側壁部45の上端部は上壁側端部41cにボルト等の締結具を介して固定されていてもよい。
【0022】
側壁部46は、空間Sを車両右方から覆っており、例えば、側面視で略矩形の形状を備える、車両前後方向に延在する板状部であってもよい。側壁部46は、空気取入口10から放熱器20まで流路Pの車両右方側の側部を画定している。図に示すように、側壁部46は、後方側壁部46bと、前方側壁部46cと、中間壁部47と、を含み、平面視で略Z字状の形状を備えてもよい。
【0023】
後方側壁部46bは、側壁部46の車両後方側を構成している。後方側壁部46bの車両後方側の端部は、コンデンサ20aの車両右方側端部に当接してもよい。前方側壁部46cは、側壁部46の車両前方側を構成している。なお、前方側壁部46cの車両前方側の端部は、車体外装部材72の車両前方側のうち、空気取入口10の車両右方に位置する部分に、エンジンルーム70内方側から当接してもよい。また、側壁部46の上端部は上壁側端部41dにボルト等の締結具を介して固定されていてもよい。図示した例では、後方側壁部46bの上端部と、上壁側端部41dとが締結されている。
【0024】
中間壁部47は、後方側壁部46bの車両前方側の端部と、前方側壁部46cの車両後方側の端部と、の間に延在する壁部である。このような中間壁部47を備えることにより、コンデンサ20aの車両右方側端部よりも車両右方に、前方側壁部46cを配設することができる。そのため、車幅方向において、側壁部45,46同士の間の距離を、放熱器20の寸法よりも大きく構成することができる。これにより、導入外気の流路Pをより大きく形成し、空気取入口10から取り入れられた外気を、より多く放熱器20に向けて導入することができる。従って、放熱器20をより確実に冷却することができる。
【0025】
なお、側壁部46は、中間壁部47を含まなくてもよい。例えば、側壁部46は、空気取入口10と、コンデンサ20aの車両右方側端部と、の間で車両前後方向に延在する壁部であってもよい。また、側壁部46は、その車両前方側の端部が車両後方側の端部よりも車幅方向右方に位置するように、車両前後方向に対して斜め方向に延在してもよい。
【0026】
なお、第1遮蔽部材40の車両前方側の端部、又は車両後方側の端部は、例えば樹脂から構成された弾性部48を備えてもよい。図示した例では、上壁前端部41a、並びに、側壁部45,46の各々の車両前方側の端部、及び車両後方側の端部が、弾性部48を備える。このようにすることで、第1遮蔽部材40の車両前方側の端部と、車体外装部材72の車両前方側の内壁面との間や、第1遮蔽部材40の車両後方側の端部と、放熱器20との間における隙間の形成を抑制することができる。従って、流路Pを流れる導入外気の、流路P外部への漏れを抑制し、より効率的な、放熱器20における熱交換を実現することができる。
【0027】
なお、側壁部45,46の形状は、車両V、空気取入口10、又は放熱器20等の、形状、寸法、又は配設方法等に応じて適宜設定することができる。例えば、放熱器20を車幅方向中央部に配設する場合には、側壁部46と同様に、側壁部45は、後方側壁部と、前方側壁部と、中間壁部とを含み、平面視で略Z字状の形状を備えるように構成されてもよい。
【0028】
なお、
図1乃至
図3に例示するように、側壁部45,46の一部に車幅方向に貫通する開口を形成し、当該開口に、車両前後方向に入力された衝撃を吸収するためのバンパレインフォース74を配設してもよい。バンパレインフォース74は車幅方向に延在する長尺部材であり、例えばアルミニウム等の金属から構成されていてもよい。また、バンパレインフォース74の車両前方側には、ポリプロピレン等の樹脂を成形して構成したエネルギー吸収材75が配設されていてもよい。
【0029】
第1遮蔽部材40の上方には、導入外気の一部を吸入する吸気口31を有する吸気ダクト30が配設されている。吸気ダクト30は導入外気をエンジン71に向けて吸入するための配管部材であり、図示した例では、フィルタ部32に接続されている。また、吸気ダクト30は、端部33と、上流ダクト部34と、曲がり部35と、を備えてもよい。なお、吸気ダクト30は、例えば樹脂等を成形して構成されていてもよい。吸気ダクト30は、例えば
図4の矢印Dで示すように、開口43を介して、空気取入口10から取り入れられた導入外気の一部を吸入することができる。そして、吸気ダクト30に吸入された導入外気は、フィルタ部32を介してエンジン71に導入され、燃料と混合される。
【0030】
吸気口31は、吸気ダクト30の端部33の吸気上流側の縁部である。
図3に示す例のように、吸気口31は車両前方側に向けて開口し、車両前後方向視で略矩形の形状を備えてもよい。また、吸気口31は、上壁部41の上に位置する。換言すれば、吸気口31の下縁部31aは、上壁部41の上面よりも上方の位置に配設され、かつ、吸気口31と、上壁部41と、は平面視で少なくとも一部が重なるように配設されている。なお、図に示す例のように、吸気口31の下縁部31aと、上壁部41の上面と、は所定の距離を隔てて離間してもよい。また、下縁部31aと、上壁部41の上面と、は接していてもよい。
【0031】
図7、又は
図8に例示するように、吸気ダクト30は、端部33から延在する上流ダクト部34を備える。図示した例では、上流ダクト部34は車両前後方向に延在する管状部分であり、端部33から車両後方に向けて延伸している。また、上流ダクト部34は、車両前後方向視で、流路高さよりも流路幅の方が大きい略矩形の流路断面を有する。なお、流路高さは、当該流路断面の上下方向の寸法である。また、流路幅は、当該流路断面の、上流ダクト部34の延在方向に垂直かつ水平な方向における寸法である。図に示すように、上流ダクト部34の吸気下流側は曲がり部35に接続されていてもよく、両者の間には中間配管部36が介在してもよい。
【0032】
なお、吸気上流側とは、上流ダクト部34が延在する方向と平行な方向における、上流ダクト部34に吸入された空気の流れの上流側のことをいう。吸気下流側とは、上流ダクト部34が延在する方向と平行な方向における、上流ダクト部34に吸入された空気の流れの下流側のことをいう。図示した例では、車両前方が吸気上流側に相当し、車両後方が吸気下流側に相当する。
【0033】
曲がり部35は、フィルタ部32と、吸気口31との間で、吸気ダクト30の配管の一部を曲げて形成されている配管部である。図示した例では、上流ダクト部34の吸気下流側から車両右後方に向けて延在する中間配管部36を、車両左方に向けて略120度曲げることで、曲がり部35が形成されている。なお、図示した例では、吸気ダクト30は1つの曲がり部35を備えるが、これに限定されず、複数の曲がり部35を備えてもよい。換言すれば、吸気ダクト30のフィルタ部32と、吸気口31との間には、少なくとも一つの曲がり部35を形成することができる。
【0034】
フィルタ部32は、吸気ダクト30内に吸入された空気をろ過するフィルタであり、吸気ダクト30に接続されている。図示した例では、フィルタ部32は平面視で略矩形の中空箱形構造を備えるエアクリーナである。また、フィルタ部32の内部には図示しないフィルタエレメントが配設されている。吸気ダクト30に吸入された空気はフィルタ部32を介して、エンジン71の図示しないインテークマニホールドに導入される。その際、当該空気に含まれる粉塵等をフィルタエレメントに吸着させ、当該空気をろ過することができる。
【0035】
吸気ダクト30は、レゾネータ37を備えてもよい。図示した例では、上流ダクト部34の車両左方側にレゾネータ37aが、車両右方側にレゾネータ37bが配設されている。レゾネータ37a,37bは、平面視で略矩形の中空箱形構造を備える。レゾネータ37a,37bの各々の内部空間は中間配管部36に連通しており、吸気ダクト30に導入された空気の一部はレゾネータ37a,37bに導入される。このようなレゾネータ37を備えることにより、エンジン71の吸気音をレゾネータ37の内部空間で共鳴させ、吸気音に含まれる所定の周波数帯域を減衰させることができる。従って、レゾネータ37により吸気音の発生を抑制することができる。
【0036】
曲がり部35の外周側には、空気に含まれている、当該空気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な第2蓄溜部39が配設されていてもよい。図示した例では、平面視で略矩形の中空箱形構造を有する第2蓄溜部39a,39bが、曲がり部35の外周側である車両右方側に設けられている。また、第2蓄溜部39は、レゾネータとしても機能する。なお、第2蓄溜部39の底部は、上下方向に貫通する開口を備えてもよい。
【0037】
次に、吸気ダクト30の端部33について、より詳細に説明する。なお、以下の説明において、上流ダクト部34の延在方向と平行な軸であって、上流ダクト部34の流路断面の幾何中心を通る軸を、上流ダクト中心軸C1という。また、開口43aの開口面上方側における車幅方向中心を通る軸であって、上流ダクト部34の延在方向と平行な軸を、開口中心軸C2という。なお、開口43の開口面は、開口43の内周縁によって規定される面である。また、上流ダクト部34の上流ダクト中心軸C1を含む断面を第1断面という。また、上流ダクト中心軸C1、及び開口中心軸C2を通る断面を第2断面という。
【0038】
図2乃至
図4に示すように、吸気ダクト30の吸気口31側の端部33は、吸気上流側に向かうほど径方向外方に湾曲し拡大するベルマウス形状に形成されている。端部33のベルマウス形状の第1断面における形状は、吸気口31、又は第1遮蔽部材40等の配設位置、形状、又は寸法等に応じて適宜設定することができる。例えば、当該ベルマウス形状は、第2断面において円弧、楕円弧、放物線、又はそれらの幾つかを滑らかに接続した曲線等を備えるように構成することができる。
【0039】
図示した例では、端部33の内面は、第2断面において曲線Lに沿う形状を有している。曲線Lは、上流ダクト部34の流路内面に滑らかに接続された楕円弧である。従って、端部33のうち、少なくとも開口43aに向かって延在する部分の内面は、吸気上流側に向かうほど径方向外方に位置するように湾曲した形状を有する。なお、上記の通り、曲線Lは、円弧、放物線等であってもよい。
【0040】
次に、吸気口31からベルマウス形状の曲面を仮想的に延長して形成される仮想延長面Fについて説明する。仮想延長面Fは、吸気口31、即ち端部33の縁部において、端部33の内面と滑らかに接続される。
【0041】
図9に示す例では、第2断面において、端部33の内面が形成する曲線と、仮想延長面Fが形成する曲線と、は同一の曲線に沿うように構成されている。また、
図2乃至
図4に示す例では、第2断面において、端部33のうち開口43aに向かって延在する部分の内面が形成する曲線と、当該部分の仮想延長面Fが形成する曲線とが一つの曲線Lを構成している。なお、「同一の曲線に沿う」とは、端部33の内面が形成する曲線と、仮想延長面Fが形成する曲線とが、少なくとも上流ダクト中心軸C1方向の位置座標を変数とする一つの方程式で表される曲線に沿うことをいう。
【0042】
図10に示す例のように、仮想延長面Fは、第2断面において、端部33の内面と端部33の縁部で滑らかに接続され、当該縁部から径方向外方へ延びる半直線を含むように設定されてもよい。即ち、第2断面において、仮想延長面Fが形成する半直線は、当該第2断面において端部33の内面が形成する曲線の、端部33の縁部における接線に一致してもよい。なお、第2断面において、仮想延長面Fが形成する半直線と、上流ダクト中心軸C1とが形成する交角のうち、小さい方の角度は90度以下である。即ち、仮想延長面Fが形成する半直線と上流ダクト中心軸C1とのなす角は、90度以下である。
【0043】
図11に示す例では、第2断面において、端部33の内面が形成する曲線と、仮想延長面Fが形成する曲線と、が同一の曲線に沿うように、仮想延長面Fが端部33の縁部から延長されている。そして、第2断面における仮想延長面Fの接線Tと上流ダクト中心軸C1とが形成する交角のうち、小さい方の角度である角度θが90度を超えるときは、角度θが90度になるように、仮想延長面Fを構成している。即ち、第2断面において、端部33の内面が形成する曲線と、仮想延長面Fが形成する曲線と、は同一の曲線に沿うように構成され、かつ、当該第2断面における、仮想延長面Fの接線Tと上流ダクト中心軸C1とが形成する角度θは90度以下となるように構成されてもよい。
【0044】
上記のように設定された仮想延長面Fのいずれかが、開口43の開口面と交差するように構成されていてもよい。
図4に示した例では、曲線Lは、開口43aの開口面と交差する。従って、端部33のうち開口43aに向かって延在する部分から仮想的に延長されて形成される仮想延長面Fの少なくとも一部は、開口43aの開口面と交差する。なお、仮想延長面Fと、開口43bの開口面とが交差するように、開口43bの位置を設定してもよい。
【0045】
また、
図3に示す例のように、吸気口31の、車両前後方向視における車両左方に上壁部41の開口43aが配設し、車両右方に開口43bを配設してもよい。換言すれば、上壁部41の開口43は、吸気口31の、上流ダクト部34の延在方向に垂直かつ水平な方向における側方に配設されていてもよい。
【0046】
また、図示した例のように、吸気ダクト30と上壁部41とは、上下方向に所定の距離を隔てて離間していてもよい。これにより、吸気口31の下縁部31aと上壁部41の上面との間、及びレゾネータ37の底面と上壁部41の上面との間には隙間が形成される。そのため、上壁部41と、吸気ダクト30と、の間には第1蓄溜部38が形成される。第1蓄溜部38は、導入外気に含まれる、当該導入外気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な空間である。また、第1蓄溜部38は、吸気口31の下縁部31aと上壁部41との間で開口している。なお、上下方向において、下縁部31aと上壁部41の上面との間の隙間は、レゾネータ37の底面と上壁部41の上面との間の隙間よりも大きく構成されていてもよい。ある実施形態では、下縁部31aと上壁部41の上面との間の隙間の上下方向の寸法は10mm~30mmであってもよい。また、レゾネータ37の底面と上壁部41の上面との間の隙間の上下方向の寸法は5mm~25mmであってもよい。
【0047】
図1、又は
図2に示すように、吸気ダクト30と、車両Vのフード60と、の間には第2遮蔽部材50が配設されていてもよい。フード60は車両Vのエンジンルーム70を上方から覆う外装部材であり、例えば鉄等の金属から構成されている。フード60は、エンジンルーム70の車両後方側において、図示しないヒンジによって軸周りに所定の角度範囲で回転可能に支持されており、フード開口61を閉塞可能に構成されている。フード開口61は、車体外装部材72のうち、エンジンルーム70の上方側を所定の範囲で開口することにより形成されている。当該開口は、フード開口61の内周縁部61aにより画成されている。
【0048】
フード開口61がフード60によって閉塞された状態では、フード開口61の内周縁部61aは、フード60の外周縁部60aを取り囲む。そして、フード開口61の内周縁部61aと、フード60の外周縁部60aと、の間には隙間62が形成される。
【0049】
第2遮蔽部材50は、隙間62のうち少なくとも吸気口31に最も近い部分と、吸気口31と、の間を遮るように延在する部材である。
図2、又は
図5に例示するように、第2遮蔽部材50は、本体部51と、フランジ部52と、を含んでいてもよい。図示した例のように、本体部51は、樹脂等の材料を成形して構成された、平面視で略矩形の形状を有する板状部材であってもよい。また、フランジ部52は、内周縁部61aのうち車両前方側の部分から、車両後方に向けて延出する壁部であってもよい。フランジ部52と、本体部51の車両前方側の端部である前端部51aと、を図示しないボルト等の締結具を用いて締結することで、本体部51をエンジンルーム70内に配設することができる。また、側面視において、本体部51の車両後方側の端部である後端部51bは、ラジエータ20bよりも車両後方まで延在するように構成されてもよい。
【0050】
図示した例では、隙間62のうち、内周縁部61aの車両前方側の部分と、フード60の外周縁部60aの車両前方側の部分と、の間には隙間前方部62aが形成されている。そして、隙間前方部62aと、エンジンルーム70の車両前方側に配設された吸気口31と、の間に、第2遮蔽部材50としてのフランジ部52、及び本体部51が延在している。そのため、隙間前方部62aと、吸気口31と、は第2遮蔽部材50によって遮蔽される。
【0051】
なお、第2遮蔽部材50の態様は図示した例に限定されない。ある実施形態では、第2遮蔽部材50はフランジ部52を含まなくてもよい。その場合には、例えば、本体部51の前端部51aと、フード開口61の内周縁部61aと、が当接するように第2遮蔽部材50を配設してもよい。また、前端部51aが、車体外装部材72のうちフード開口61の車両前方側に延在する領域に、エンジンルーム70内方から当接するように構成してもよい。また、第2遮蔽部材50が配設される位置、又は形状は図示した例に限定されず、吸気口31、又は隙間62の位置、形状、又は大きさ等に応じて、適宜設定することができる。
【0052】
以下、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造の作用効果について説明する。
【0053】
(1)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造は、車両Vの外部から外気を導入する空気取入口10と、空気取入口10から導入された導入外気に放熱する放熱器20と、導入外気の一部を吸入する吸気口31を有する吸気ダクト30と、導入外気の流路Pを画定するとともに、導入外気の流れから吸気口31を遮蔽する第1遮蔽部材40と、を備え、第1遮蔽部材40は、空気取入口10から放熱器20まで流路Pの上部を画定する上壁部41と、流路Pの側部を画定する側壁部45,46と、を少なくとも含み、吸気口31は、上壁部41の上に位置する。空気取入口10から取り入れられた導入外気は、流路Pを通って、コンデンサ20a等の放熱器20に到達する。放熱器20は当該導入外気に放熱するため、当該導入外気は放熱器20により加熱される。ここで、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、流路Pを通り放熱器20で加熱された導入外気が、流路Pの上方、又は側方に向けて流れる際に、第1遮蔽部材40によって遮られることとなる。そのため、当該加熱された導入外気が、吸気口31に向けて流れることが抑制される。そのため、当該加熱された導入外気が吸気口31から吸気ダクト30内に吸入されるのを抑制することができる。ひいては、車両Vの動力性能を向上させることができる。
【0054】
なお、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造は、上壁部41の空気取入口10とは反対側の上壁後端部41bにおいて上方に延出する縦壁部42を備え、縦壁部42は、縦壁部42を挟んで空気取入口10とは反対側から、吸気口31に向けて流れる空気の流れの少なくとも一部を遮蔽するように構成されていてもよい。このようにすることで、例えば
図1に示すように、吸気ダクト30、及び第1遮蔽部材40よりも車両後方に、エンジン71のような発熱体が配設されている場合であっても、当該発熱体によって加熱された空気の少なくとも一部は、縦壁部42で遮蔽される。そのため、当該加熱された空気が吸気口31から吸気ダクト30内に吸入されるのを抑制することができる。
【0055】
(2)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造では、上壁部41と、吸気ダクト30と、の間には、導入外気に含まれる、当該導入外気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な第1蓄溜部38が形成され、第1蓄溜部38は、吸気口31の下縁部31aと上壁部41との間で開口する。空気取入口10から吸気口31へ向けて導入される導入外気には、当該導入外気よりも比重が大きな混入物が含まれている場合がある。混入物は、例えば、雪、雨の水滴等である。そのような混入物は、導入外気の一部が吸気ダクト30に吸入される前に、吸気口31の下方に向けて落下することとなる。例えば、第1遮蔽部材40の開口43aを介して導入された導入外気に含まれる雪等は、
図4の矢印Eに示すように、吸気ダクト30に吸入される前に、重力に従って吸気口31の下縁部31aの下方に向けて落下する。ここで、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、吸気ダクト30と、上壁部41と、の間には、吸気口31の下縁部31aと、上壁部41と、の間で開口する第1蓄溜部38が形成されている。そのため、落下した雪等は、下縁部31aと上壁部41との間の開口から第1蓄溜部38へと導入され、第1蓄溜部38に蓄溜される。そのため、吸気口31の車両前方側に、導入外気に含まれていた雪等が堆積するのを抑制し、吸気ダクト30内に当該雪等が吸入されるのを抑制することができる。
【0056】
(3)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造では、上壁部41は、上下に貫通する開口43を有し、吸気ダクト30の吸気口31側の端部33は、吸気上流側に向かうほど径方向外方に湾曲し拡大するベルマウス形状を備え、吸気口31からベルマウス形状の曲面を仮想的に延長して形成される仮想延長面Fは、開口43の開口面と交差する。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、吸気ダクト30は、第1遮蔽部材40の上壁部41の開口43を介して、より確実に導入外気を吸入することができる。更に、例えば
図4に示すように、第2断面における曲線Lに沿って導入された導入外気に雪等が含まれている場合であっても、当該雪等は吸気ダクト30に吸入される前に重力に従って落下する。そして、落下した雪等は第1蓄溜部38に蓄溜される。従って、導入外気に含まれる混入物を吸気口31の下方に落下させ、より確実に第1蓄溜部38に蓄溜することができる。このため、より確実に吸気ダクト30内に雪等が吸入されるのを抑制することができる。
【0057】
(4)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造では、吸気ダクト30は、端部33から延在する上流ダクト部34を含み、開口43は、上流ダクト部34の延在方向に垂直かつ水平な方向において、吸気口31の側方に配設されている。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、導入外気は、例えば車両前後方向視で吸気口31の車両左方、又は車両右方に配設されている開口43a,43bを介して、吸気ダクト30に吸入される。そのため、吸気口31の車両前下方の領域を経由した導入外気が、吸気ダクト30に吸入されるのを抑制することができる。即ち、吸気ダクト30の上流ダクト部34の延在方向における、吸気口31の前下方から、導入外気が吸気ダクト30内に吸入されるのを抑制することができる。そのため、導入外気に含まれる雪等の混入物を、より確実に吸気口31の下方に落下させ、第1蓄溜部38に蓄溜することができる。従って、吸気ダクト30内に雪等が吸入されるのをより確実に抑制することができる。
【0058】
なお、実施形態に係る吸気ダクトの配設構造では、上流ダクト部34の延在方向に垂直かつ水平な方向において、吸気口31の側縁部と、開口43の内周縁のうち当該吸気口31に最も近い部分と、の間の距離は、少なくとも上流ダクト部34の流路幅よりも大きく構成されてもよい。このようにすることで、上壁部41のうち、吸気口31の車両前下方に位置する領域から十分に離れた位置に開口43を配設することができる。そのため、吸気口31の車両前下方の領域、及び当該領域の近傍を経由した導入外気が、吸気ダクト30に吸入されるのを抑制することができる。これにより、導入外気に含まれる雪等の混入物を、より確実に吸気口31の下方に落下させ、第1蓄溜部38に蓄溜することができる。従って、吸気ダクト30内に雪等が吸入されるのをより確実に抑制することができる。
【0059】
(5)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造では、吸気ダクト30は、当該吸気ダクト30内に吸入された空気をろ過するフィルタ部32に接続され、吸気ダクト30のフィルタ部32と、吸気口31との間には、少なくとも一つの曲がり部35が形成され、少なくとも一つの曲がり部35の外周側には、空気に含まれている、当該空気よりも比重の大きな混入物を蓄溜可能な第2蓄溜部39が配設されている。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、吸気ダクト30に吸入された空気は、曲がり部35を経由してフィルタ部32に導入される。ここで、吸気ダクト30内に吸入された空気に雪等が含まれていた場合には、当該雪等は慣性力により、曲がり部35の外周側に配設された第2蓄溜部39に導入される。そのため、当該雪等がフィルタ部32の内部へ吸入され、フィルタエレメントに吸着するのを抑制することができる。従って、フィルタエレメントの目詰まりを抑制し、車両Vの動力性能の低下を抑制することができる。
【0060】
なお、第2蓄溜部39の底部は、上下方向に貫通する開口を備えてもよい。このようにすることで、第2蓄溜部39に蓄溜された雪等の混入物を、当該開口から下方に向けて排出することができる。
【0061】
(6)実施形態に係る吸気ダクトの配設構造は、車両Vのフード60と、フード60により閉塞される車両Vのフード開口61と、フード開口61の内周縁部61aと、フード60の外周縁部60aと、の間に形成される隙間62と、隙間62のうち少なくとも吸気口31に最も近い部分と、吸気口31と、の間を遮るように延在する第2遮蔽部材50と、を備える。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造によれば、車両Vのフード60の外周縁部60aと、フード開口61の内周縁部61aとの間の隙間62から、例えば雪が侵入した場合であっても、当該雪は第2遮蔽部材50によって遮られる。そのため、吸気口31の周辺に当該雪が堆積するのを抑制することができる。従って、当該雪が吸気ダクト30内に吸入されるのを、より確実に抑制することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、ハイブリッド車としての車両Vを例にとって説明したが、これに限定されない。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造が、エンジン等の内燃機関のみを動力源とする車両にも適用できることは勿論である。なお、上記説明では、車両前方側にエンジンルーム70を有する車両Vを例にとって説明したが、これに限定されない。実施形態に係る吸気ダクトの配設構造が、車両後方側にエンジンルーム70を有する車両にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
V 車両、P 流路、F 仮想延長面、10 空気取入口、20 放熱器、30 吸気ダクト、31 吸気口、31a 下縁部、32 フィルタ部、33 端部、34 上流ダクト部、35 曲がり部、38 第1蓄溜部、39,39a,39b 第2蓄溜部、40 第1遮蔽部材、41 上壁部、43,43a,43b 開口、45,46 側壁部、50 第2遮蔽部材、60 フード、60a 外周縁部、61 フード開口、61a 内周縁部、62 隙間