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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/01 20060101AFI20240910BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240910BHJP
   E04F 21/165 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B05C17/01
B05C5/00 A
E04F21/165 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023559600
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2022041132
(87)【国際公開番号】W WO2023085200
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2021185017
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 英樹
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】平塚 翔太
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-284709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008999(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0006605(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0055834(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0094062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/00-17/12
B05C 5/00
E04F 21/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を収容するハウジングと、
前記ハウジングから延びる把持部と、
前記ハウジングに接続され、充填剤が充填された収容部を着脱可能に保持する保持部と、
前記収容部に充填された前記充填剤を押出す押出し部と、を含む作業機本体を備え、
前記把持部が上方に延びるように前記作業機本体を接地した状態で支持可能な複数の支持部を有し、
前記複数の支持部は、少なくとも前記ハウジング及び前記押出し部に設けられ
前記複数の支持部は、前記ハウジングに設けられた第1支持部を含み、前記第1支持部は、左右に設けられた2つの接地部を有する、作業機。
【請求項2】
前記複数の支持部には、前記収容部の重さが第1状態において使用可能な第1状態支持部と、前記収容部の重さが前記第1状態よりも重い第2状態において使用可能な第2状態支持部と、が含まれる、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
駆動部を収容するハウジングと、
前記ハウジングから延びる把持部と、
前記ハウジングに取り付けられ、充填剤が充填された収容部を着脱可能に保持する保持部と、
前記収容部に充填された前記充填剤を押出す押出し部と、
を含む作業機本体を備え、
前記把持部が上方に延びるように前記作業機本体を支持可能な複数の支持部を有し、
前記複数の支持部には、前記収容部の重さが第1状態において使用可能な第1状態支持部と、前記収容部の重さが前記第1状態よりも重い第2状態において使用可能な第2状態支持部と、が含まれ
前記複数の支持部は、前記ハウジングに設けられた第1支持部を含み、前記第1支持部は、左右に設けられた2つの接地部を有する、作業機。
【請求項4】
前記第1状態支持部は、前記押出し部に設けられた第2支持部を含み、
前記第2状態支持部は、前記ハウジングに設けられた前記第1支持部と、前記保持部に設けられた第3支持部と、を含む、請求項2または3に記載の作業機。
【請求項5】
前記押出し部は、ピストンとラックとハンドルとを有し、
前記第2支持部は、前記ハンドルに設けられている、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記作業機本体は、前記駆動部の電源となる電池パックを装着可能な装着部を有し、
前記作業機本体に前記収容部及び前記電池パックを装着した状態の前記作業機本体の重心は、
前記第1状態においては、前記第1支持部と前記ハンドルとの間に位置し、
前記第2状態においては、前記第1支持部と前記保持部との間に位置する、請求項5に記載の作業機
【請求項7】
前記第2支持部は、2つの接地部を有する、請求項4に記載の作業機。
【請求項8】
前記第3支持部は、1つの接地部を有する、請求項4に記載の作業機。
【請求項9】
前記第1状態における接地部の数は、4つである、請求項2または3に記載の作業機。
【請求項10】
前記第2状態における接地部の数は、3つである、請求項2または3に記載の作業機。
【請求項11】
前記複数の支持部は、前記押出し部に設けられた第2支持部を含み、前記第2支持部は、左右に設けられた2つの接地部を有する、請求項1または3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性を向上させることが可能な作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例として、ハウジングの内部にモータ、減速機構及び付属部品が組み込まれ、かつ、上記ハウジングの上部にプレートを設けて作業機本体の逆さ置きを可能にした作業機が提案されている。
【0003】
上述のような作業機として、例えば、特許文献1には、上部に突起部を有した支持用プレートを上記ハウジングに嵌着することにより、作業機本体の逆さ置きを可能にした作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-15255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1には、作業機において安定した逆さ置きを可能にするために、突起部を有した支持用プレートを上記ハウジングに嵌着することが記載されている。この作業機は、作業機本体を逆さ置きした際に接地する突起部が作業機本体の1箇所に配置された構造である。
【0006】
ところが、上記構造をコーキングガン等の作業機に採用しようとすると、充填剤の残量等により作業機本体の重心の位置が変化した場合には、作業機本体を安定して逆さ置きすることができず、操作性が悪くなることが懸念されていた。そこで、作業機本体の重心の位置が変化した場合でも操作性が良い作業機が求められている。
【0007】
本発明の目的は、操作性を向上させた作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業機は、駆動部を収容するハウジングと、前記ハウジングから延びる把持部と、前記ハウジングに接続され、充填剤が充填された収容部を着脱可能に保持する保持部と、前記収容部に充填された前記充填剤を押出す押出し部と、を含む作業機本体を備え、前記把持部が上方に延びるように前記作業機本体を接地した状態で支持可能な複数の支持部を有し、前記複数の支持部は、少なくとも前記ハウジング及び前記押出し部に設けられ、前記複数の支持部は、前記ハウジングに設けられた第1支持部を含み、前記第1支持部は、左右に設けられた2つの接地部を有する
【0009】
また、本発明の他の作業機は、駆動部を収容するハウジングと、前記ハウジングから延びる把持部と、前記ハウジングに取り付けられ、充填剤が充填された収容部を着脱可能に保持する保持部と、前記収容部に充填された前記充填剤を押出す押出し部と、を含む作業機本体を備え、前記把持部が上方に延びるように前記作業機本体を支持可能な複数の支持部を有し、前記複数の支持部には、前記収容部の重さが第1状態において使用可能な第1状態支持部と、前記収容部の重さが前記第1状態よりも重い第2状態において使用可能な第2状態支持部と、が含まれ、前記複数の支持部は、前記ハウジングに設けられた第1支持部を含み、前記第1支持部は、左右に設けられた2つの接地部を有する
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1の作業機の内部構造を示す概略図である。
図2図1に示す作業機をラックハンドル前方位置として逆さ置きした状態を示す外観図である。
図3】(a)は図2に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図2に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図4図2に示す作業機の外観斜視図である。
図5図1に示す作業機をラックハンドル後方位置として逆さ置きした状態を示す外観図である。
図6】(a)は図5に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図5に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図7図5に示す作業機の外観斜視図である。
図8図1に示す作業機において300mlカートリッジを搭載して逆さ置きした状態を示す外観図である。
図9】(a)は図8に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図8に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図10図8に示す作業機の外観斜視図である。
図11】実施形態1の変形例の作業機において大容量カートリッジを搭載して逆さ置きした状態を示す外観図である。
図12】(a)は図11に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図11に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図13図11に示す作業機の外観斜視図である。
図14】本発明の実施形態2の作業機を逆さ置きした状態を示す外観図である。
図15】(a)は図14に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図14に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図16図14に示す作業機の外観斜視図である。
図17】本発明の実施形態3の作業機の構造を示す外観図である。
図18】(a)は図17に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図17に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図19図17に示す作業機の外観斜視図である。
図20図17に示す作業機を単管パイプに引っ掛けた状態を示す外観図である。
図21】本発明の実施形態3の作業機を逆さ置きした状態を示す外観図である。
図22】(a)は図21に示す作業機を前方から眺めた外観図、(b)は図21に示す作業機を後方から眺めた外観図である。
図23図21に示す作業機の外観斜視図である。
図24】(a)は本発明の実施形態4の作業機を前方から眺めた外観図、(b)は本発明の実施形態4の作業機の外観図である。
図25】(a)は本発明の実施形態4の作業機をスタンド置きした状態を前方から眺めた外観図、(b)はスタンド置きした実施形態4の作業機の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本実施形態では、作業機の一例として、充填剤(シーリング剤またはコーキング剤)を吐出するコーキングガンを取り上げて説明する。
【0014】
(実施形態1) 図1図4に示されるように、コーキングガン(作業機)20は、駆動部である電動モータ2と、電動モータ2と係合するギヤが収容されたギヤボックス12と、電動モータ2及びギヤボックス12を収容するハウジング3と、ハウジング3に接続され、充填剤7が充填されたカートリッジ(収容部)13を着脱可能に保持する筒状のホルダ(保持部)4と、を有している。なお、ホルダ4は、ホルダ固定部21を介してハウジング3に接続されている。また、コーキングガン20は、ハウジング3から延びる把持部5と、電動モータ2により駆動され、ホルダ4に保持されたカートリッジ13の内部の充填剤7を押出す1つの押出し部6と、電動モータ2を制御する制御回路が設けられた制御基板8と、を有している。ここで、コーキングガン20の作業機本体1は、少なくとも電動モータ2と、ハウジング3と、ホルダ4と、把持部5と、押出し部6と、ギヤボックス12と、ホルダ固定部21と、を含む本体部である。
【0015】
また、押出し部6は、電動モータ2とギヤを介して係合するラック6aと、ラック6aの充填剤吐出側(前側)の端部に設けられ、充填剤7を押出すピストン6bと、ラック6aの充填剤吐出側と反対側(後側)の端部に設けられたラックハンドル(ハンドル)6cと、を含んでいる。ラック6aは、図1に示されるように、筒状のホルダ4の軸線C1に沿って設けられており、ラック6aのギヤ部6dとギヤボックス12内のギヤとが係合している。したがって、電動モータ2の駆動によりラック6aが駆動され、該ラック6aが前側に向かって移動する。また、ラックハンドル6cは、作業者が手動でラック6aを引き戻す際に把持する部分であり、作業者が引き易いように、ラック6aの後側の端部に把持部5が延びる方向と反対方向に向けて設けられている。これにより、ラック6aとピストン6bとラックハンドル6cとが一体となって図1に示される軸線C1に沿って移動する。
【0016】
また、作業機本体1には、作業者によって把持される把持部5が配置されており、この把持部5には、スイッチ9が設けられている。スイッチ9は、トリガスイッチである。さらに、把持部5のスイッチ9と反対側には、電動モータ2に電源を供給する電池パック10を装着可能な装着部16が設けられている。また、把持部5には、スイッチ9と並んでダイヤル11が設けられている。ダイヤル11は、充填剤7の吐出後の液だれ防止のためのラック6aの後退量を調整するものである。具体的には、作業者がスイッチ9をオフした際に、電動モータ2を逆回転させラック6aを後退させて充填剤7の漏れ(液だれ)を防止する機能であり、充填剤7の粘度や気温等に応じてダイヤル11によりラック6aの後退量を適宜調整することが可能である。
【0017】
以上のようにコーキングガン20は、充填剤7が充填されたカートリッジ13をホルダ4に装着し、押出し部6のピストン6bによって充填剤7をカートリッジ13のノズル13bから押出すものである。カートリッジ13は、筒状のカートリッジ本体13aと、カートリッジ本体13aの先端に取り付けられたノズル13bと、を有する。
【0018】
コーキングガン20では、スイッチ9及びダイヤル11がそれぞれ制御基板8の制御回路と電気的に接続されている。すなわち、スイッチ9をオンにすると、電池パック10から電源が供給され電流が印加されることで電動モータ2が駆動する。電動モータ2が駆動すると、ギヤボックス12内のギヤを介してラック6aが駆動され、該ラック6aが前側に向かって移動を開始する。ラック6aの移動に伴ってピストン6bによる充填剤7の押出しを開始する。なお、コーキングガン20には、押出し部6の位置を検出可能なマグネットセンサ15が設けられており、マグネットセンサ15は、制御基板8の制御回路に電気的に接続されている。そして、マグネット(磁石)6eが、例えば、押出し部6のラック6aの一部に設けられており、マグネットセンサ15が、ラック6aに設けられたマグネット6eを検出することにより、移動中のラック6aの位置を検出する。したがって、制御基板8の制御回路は、予め設定された所定位置まで押出し部6が移動したことをマグネットセンサ15によって検出し、この検出によって電動モータ2の出力を停止させる制御を行う。
【0019】
また、充填剤7の押出し停止後に電動モータ2を逆回転させてラック6aを所定距離後退させることで、ノズル13bからの液だれを防止する。この液だれ防止機能においては、上述したようにダイヤル11によりラック6aの後退量を調整することが可能である。
【0020】
次に、コーキングガン20の逆さ置きについて説明する。コーキングガン20は、地面やブロック材等の接地面14に対して、把持部5が上方に延びるように作業機本体1を設置することが可能な作業機である。このように把持部5が上方に延びるように作業機本体1を接地した状態で置くことを「逆さ置き」と定義する。すなわち、コーキングガン20は、接地面14に対して逆さ置きすることが可能な作業機である。
【0021】
そして、コーキングガン20は、作業機本体1の逆さ置きを可能にする複数の支持部を有しており、本実施形態1のコーキングガン20では、複数の支持部が、ハウジング3、押出し部6のラックハンドル6c及びホルダ4に設けられている。ただし、複数の支持部は、少なくともハウジング3及び押出し部6のラックハンドル6cに設けられていればよい。
【0022】
図2に示されるコーキングガン20では、複数の支持部が、ハウジング3の平坦な上端部3dと、ラックハンドル6cの平坦な上端部6nと、に設けられている。ここで、ハウジング3の上端部3dは、図1に示されるハウジング3においてギヤボックス12を基点として把持部5側と反対側の端部であり、以降、この部分をハウジング3の上端部3dと呼ぶ。また、ラックハンドル6cの上端部6nは、図1に示されるラックハンドル6cにおいてラック6aとの接続部と反対側の端部であり、以降、この部分をラックハンドル6cの上端部6nと呼ぶ。
【0023】
つまり、図2に示されるコーキングガン20は、逆さ置きを可能にする支持部が、ハウジング3の平坦な上端部3dとラックハンドル6cの平坦な上端部6nとに設けられている。そして、ハウジング3の上端部3dには、図3(a),(b)及び図4に示されるように、左右の支持部として2つの第1支持部3aが設けられ、右側の第1支持部3aが接地面14に接触する接地部3bとなっており、一方、左側の第1支持部3aが接地面14に接触する接地部3cとなっている。つまり、第1支持部3aは、2つの接地部3b,3cを有している。同様に、図2に示されるラックハンドル6cの上端部6nには、図3(a),(b)及び図4に示されるように、左右の支持部として2つの第2支持部6fが設けられ、右側の第2支持部6fが接地面14に接触する接地部6gとなっており、一方、左側の第2支持部6fが接地面14に接触する接地部6hとなっている。つまり、第2支持部6fも2つの接地部6g,6hを有している。
【0024】
なお、図2に示されるコーキングガン20は、図1に示されるようなカートリッジ13がホルダ4に装着されていない状態である。ここで、コーキングガン20に設けられた上記複数の支持部は、カートリッジ13の重さが第1状態において使用可能な第1状態支持部と、カートリッジ13の重さが上記第1状態よりも重い第2状態において使用可能な第2状態支持部と、を有している。具体的には、上記第1状態は、コーキングガン20の逆さ置きにおいて、カートリッジ13内の充填剤7の残量が比較的少なくカートリッジ13の重さが軽い状態、もしくは、図2に示されるようにホルダ4にカートリッジ13が装着されていない状態であり、このような第1状態では、作業機本体1は、第1状態支持部によって支持される。
【0025】
一方、上記第2状態は、コーキングガン20の逆さ置きにおいて、カートリッジ13内の充填剤7の残量が比較的多くカートリッジ13の重さが重い状態であり、このような第2状態では、作業機本体1は、第2状態支持部によって支持される。
【0026】
例えば、図2に示されるコーキングガン20は、電動モータ2の電源となる電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着された状態で逆さ置きされ、かつ、第1状態の場合である。このようなコーキングガン20の作業機本体1では、該作業機本体1の重心17は、作業機本体1の前後方向において、第1支持部3aのハウジング3の上端部3dと、ラックハンドル6cの上端部6nとの間に位置する。さらに、図2に示されるコーキングガン20は、ラックハンドル6cが前方位置に配置された状態である。ここで、第1状態の作業機本体1は、第1状態支持部によって支持される。そして、第1状態支持部は、ハウジング3の上端部3dに設けられた第1支持部3a(接地部3b,3c)と、押出し部6のラックハンドル6cの上端部6nに設けられた第2支持部6f(接地部6g,6h)と、を含んでいる。したがって、ラックハンドル6cが前方位置に配置された状態であっても、作業機本体1の前後方向において、作業機本体1の重心17の両側で作業機本体1が支持されるため、コーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。さらに、第1状態の作業機本体1において、第1状態支持部として4つの接地部3b,3c,6g,6hによる4点で作業機本体1が支持されるため、コーキングガン20の逆さ置きの安定度を高めることができる。
【0027】
次に、図5図7に示されるコーキングガン20は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着された状態であるとともに、ホルダ4にカートリッジ13が装着されていない第1状態の作業機本体1が逆さ置きされ、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態となっている。このように電池パック10が装着され、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態のコーキングガン20においても、該コーキングガン20の作業機本体1の重心17は、作業機本体1の前後方向において、第1支持部3aのハウジング3の上端部3dと、ラックハンドル6cの上端部6nとの間に位置する。このようなコーキングガン20においても、第1状態の作業機本体1は、第1状態支持部によって支持される。ここで、第1状態支持部は、図6及び図7に示されるように、ハウジング3の上端部3dに設けられた第1支持部3a(接地部3b,3c)と、押出し部6のラックハンドル6cの上端部6nに設けられた第2支持部6f(接地部6g,6h)と、を含んでいる。したがって、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態のコーキングガン20であっても、作業機本体1の前後方向において、作業機本体1の重心17の両側で作業機本体1を支持することができる。これにより、コーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。
【0028】
次に、図8図10に示されるコーキングガン20は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着されるとともに、内部に比較的多くの充填剤7が残った状態のカートリッジ13をホルダ4に装着した第2状態の作業機本体1を有している。さらに、該作業機本体1が逆さ置きされ、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態となっている。つまり、内部に比較的多くの充填剤7が残っていることでカートリッジ13の重さが上記第1状態よりも重い第2状態のコーキングガン20を逆さ置きした場合である。図8に示されるカートリッジ13は、例えば、容量が300mlのカートリッジ13である。なお、図8に示されるコーキングガン20は、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態である。このように電池パック10が装着され、かつ、重さが重いカートリッジ13が装着された第2状態の作業機本体1の重心17は、作業機本体1の前後方向において、第1支持部3aのハウジング3の上端部3dと、ホルダ4との間に位置する。このような第2状態の作業機本体1は、第2状態支持部によって支持される。ここで、第2状態支持部は、図9及び図10に示されるように、ハウジング3の上端部3dに設けられた第1支持部3a(接地部3b,3c)と、ホルダ4に設けられた切欠部4cの端部である第3支持部4a(接地部4b)と、を含んでいる。したがって、電池パック10が装着され、かつ、重さが重いカートリッジ13が装着された第2状態の作業機本体1であっても、作業機本体1の前後方向において、作業機本体1の重心17の両側で作業機本体1を支持することができる。これにより、第2状態のコーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。さらに、第2状態の作業機本体1において、第2状態支持部として3つの接地部3b,3c,4bによる3点で作業機本体1が支持されるため、第2状態のコーキングガン20の逆さ置きの安定度を高めることができる。
【0029】
また、実施形態1のコーキングガン(作業機)20によれば、ハウジング3の上端部3dと、ラックハンドル6cの上端部6nと、に支持部が設けられたことで、ラックハンドル6cの位置が前方位置と後方位置とで作業機本体1の重心17の位置が変わった場合であっても、それぞれに対応した状態で作業機本体1を安定して逆さ置きすることができる。その結果、作業機本体1が安定して逆さ置きされるため、作業者が逆さ置きされた作業機本体1を把持する際に把持し易くなり、作業効率を向上させることができるとともに、作業者の身体への負荷を低減することができる。したがって、作業機本体1の重心の位置が変化した場合でもコーキングガン20の操作性を向上させることができる。言い換えると、コーキングガン20の作業性を向上させることができる。
【0030】
また、ホルダ4にカートリッジ13を装着した状態であっても作業機本体1を安定して逆さ置きすることができるため、コーキングガン20の転倒防止を図ることができる。
【0031】
さらに、カートリッジ13の重さの違いによる第1状態と第2状態とで作業機本体1を支持可能とする第1状態支持部と第2状態支持部とを備えるとともに、これら第1状態支持部と第2状態支持部とにおいてハウジング3の上端部3dに設けられた第1支持部3aを共通の支持部として用いることが可能なため、コーキングガン20のコストを削減することができる。
【0032】
次に、図11図13に示される変形例のコーキングガン20について説明する。図11に示される変形例のコーキングガン20は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着されるとともに、直径が大きく、かつ、長さが長い大容量カートリッジ18をホルダ4に装着した第2状態の作業機本体1を有している。さらに、該作業機本体1が逆さ置きされ、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態となっている。つまり、直径が大きく、かつ、長さが長い大容量カートリッジ18を装着したことで第2状態のコーキングガン20となっており、この第2状態のコーキングガン20を逆さ置きした場合である。このように電池パック10が装着され、かつ、大容量カートリッジ18を装着したことで第2状態となった作業機本体1の重心17は、作業機本体1の前後方向において、第1支持部3aのハウジング3の上端部3dと、ホルダ4との間に位置する。このような大容量カートリッジ18を装着した第2状態の作業機本体1も第2状態支持部によって支持される。ここで、変形例のコーキングガン20の第2状態支持部も、図12及び図13に示されるように、ハウジング3の上端部3dに設けられた第1支持部3a(接地部3b,3c)と、ホルダ4に設けられた切欠部4cの端部である第3支持部4a(接地部4b)と、を含んでいる。したがって、図11に示されるように、電池パック10が装着され、かつ、大容量カートリッジ18を装着した第2状態の作業機本体1であっても、作業機本体1の前後方向において、作業機本体1の重心17の両側で作業機本体1を支持することができる。これにより、大容量カートリッジ18が装着された第2状態のコーキングガン20であっても安定して逆さ置きすることができる。さらに、大容量カートリッジ18が装着された第2状態の作業機本体1においても、第2状態支持部として3つの接地部3b,3c,4bによる3点で作業機本体1が支持されるため、大容量カートリッジ18が装着された第2状態のコーキングガン20の逆さ置きの安定度を高めることができる。
【0033】
(実施形態2) 図14図16に示される実施形態2のコーキングガン20について説明する。図14に示される実施形態2のコーキングガン20は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着されるとともに、内部に比較的多くの充填剤7が残った状態のカートリッジ13をホルダ4に装着した第2状態の作業機本体1を有している。さらに、該作業機本体1が逆さ置きされ、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態となっている。つまり、カートリッジ13の重さが重い第2状態のコーキングガン20を逆さ置きした場合であり、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された状態である。このように電池パック10が装着されるとともに重さが重いカートリッジ13が装着され、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された第2状態の作業機本体1の重心17は、ホルダ固定部21付近にある。言い換えると、図14に示される第2状態の作業機本体1の重心17は、作業機本体1の前後方向において、ラックハンドル6cの上端部6nとホルダ4との間に位置する。そこで、図14に示されるコーキングガン20では、ラックハンドル6cの上端部6nに設けられた第2支持部6f(接地部6g,6h)が、高さが高い突起部6i,6jを備えており、ラックハンドル6cの上端部6nがハウジング3より高い位置に配置されている。さらに、ラックハンドル6cの上端部6nは、図15及び図16に示されるように、左右方向に幅広となっている。なお、図14に示される第2状態の作業機本体1においても、作業機本体1は、第2状態支持部によって支持される。そして、本実施形態2のコーキングガン20においては、第2状態支持部は、図15及び図16に示されるように、ラックハンドル6cの上端部6nに設けられた第2支持部6f(接地部6g,6h)と、ホルダ4に設けられた切欠部4cの端部である第3支持部4a(接地部4b)と、を含んでいる。さらに、接地部6g,6hは、高さが高く、かつ、左右方向に幅広の突起部6i,6jを備えている。このように接地部6g,6hが、高さが高く、かつ、左右方向に幅広の突起部6i,6jを備えているため、電池パック10が装着されるとともに重さが重いカートリッジ13が装着され、かつ、ラックハンドル6cが後方位置に引き出された第2状態の作業機本体1であっても、作業機本体1の前後方向において、作業機本体1の重心17の両側で作業機本体1を支持することができる。これにより、本実施形態2の第2状態のコーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。また、作業機本体1の重心17の位置がホルダ固定部21付近に変わった場合においても、ラックハンドル6cの上端部6nの接地部6g,6hが、高さが高く、かつ、左右方向に幅広の突起部6i,6jを備えているため、作業機本体1を安定して逆さ置きすることができる。
【0034】
(実施形態3) 図17図23に示される実施形態3のコーキングガン20について説明する。図17に示される実施形態3のコーキングガン20は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着されるとともに、カートリッジ13が装着されていない第1状態の作業機本体1を有している。そこで、本実施形態3のコーキングガン20は、図20に示されるように単管パイプ19に引っ掛けて保持される状態と、図21に示されるように作業機本体1が逆さ置きされる状態とに使い分けを可能にするものである。
【0035】
図17図20は、単管パイプ19に引っ掛けて保持することが可能なコーキングガン20の構造を示しており、図18及び図19に示されるように、ラックハンドル6cにそれぞれL字型の可動ハンドル6k,6mが連結されており、可動ハンドル6k,6mが閉じた状態となっていてL字型部分が合致している(閉状態)。これにより、ラックハンドル6cのハンドリング部分が長さL1となっており、実施形態1のラックハンドル6cに比較して長くなっている。ラックハンドル6cのハンドリング部分の長さL1を、図20の単管パイプ19の直径(例えば、48.6mm)より僅かに長くすることで、作業場等において、コーキングガン20を単管パイプ19に引っ掛けて保持することが可能になる。
【0036】
また、可動ハンドル6k及び可動ハンドル6mは、図22及び図23に示されるように、それぞれ支点P1で外側に向けて90°倒すことが可能になっている(開状態)。これにより、図21に示されるように、可動ハンドル6k,6mとホルダ固定部21とによって作業機本体1を支持してコーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。なお、可動ハンドル6kと可動ハンドル6mは、それぞれが鉄材から成るとともにそれぞれにマグネットが設けられていることで、互いの開状態が閉状態になること、もしくは閉状態が開状態になることを抑制することができ、可動ハンドル6k,6mによる閉状態及び開状態をそれぞれ維持することが可能になる。
【0037】
さらに、可動ハンドル6k及び可動ハンドル6mを倒した状態で逆さ置きすることで、逆さ置きした際の作業機本体1の高さを低くすることができる。
【0038】
以上のように実施形態3のコーキングガン20は、単管パイプ19に引っ掛けて保持される状態と逆さ置きされる状態とで、2つの支持状態の使い分けを可能にすることができる。
【0039】
(実施形態4) 図24及び図25に示される実施形態4のコーキングガン25について説明する。図24に示される実施形態4のコーキングガン25は、電池パック10が作業機本体1の装着部16に装着されるとともに、カートリッジ13が装着された状態の作業機本体1を有している。本実施形態4では、コーキングガン25をスタンド22によって立てかけ置きする場合を示している。図24(b)に示されるように、コーキングガン25は、ホルダ4の先端の下部に、ヒンジ23を支点として180°回動できるスタンド22を備えている。そして、スタンド22が、例えば、鉄からなるとともに、ホルダ4のスタンド22との接点にはマグネット24が設けられており、スタンド22がホルダ4から容易に離脱しないような構造となっている。また、図25(a)に示されるように、スタンド22の先端部は、筒状のホルダ4に合わせて円弧状となっているため、図24(b)に示されるように、スタンド22をホルダ4に収容する際には、スタンド22が不必要に突出しないような形状となっている。図25(b)に示されるように、スタンド22を回動方向Q1に回動させ、コーキングガン25をスタンド22を用いて接地面14に対して立てかけ置きする際には、円弧状のスタンド22が接地面14に対して2点支持となるため、作業機本体1を安定して立てかけ置きすることができる。
【0040】
本発明は上記実施形態1~4に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施形態3において作業機本体1を逆さ置きする際、ホルダ4の第3支持部4aの接地部4bを高さの高い突起形状とすることで、可動ハンドル6k及び可動ハンドル6mと、ホルダ4の第3支持部4aの接地部4bとによって作業機本体1を支持してもよく、この場合にもコーキングガン20を安定して逆さ置きすることができる。また、ダイヤル11は、充填剤7の吐出を行なうラック6aの押出速度を調整するものであってもよい。具体的には、充填剤7の粘度や気温等に応じてダイヤル11によりラック6aの押出速度を適宜調整することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…作業機本体、2…電動モータ(駆動部)、3…ハウジング、3a…第1支持部(支持部第1状態支持部第2状態支持部)、3b,3c…接地部、3d…上端部、4…ホルダ(保持部)、4a…第3支持部(支持部第2状態支持部)、4b…接地部、4c…切欠部、5…把持部、6…押出し部、6a…ラック、6b…ピストン、6c…ラックハンドル、6d…ギヤ部、6e…マグネット、6f…第2支持部(支持部第1状態支持部)、6g,6h…接地部、6i,6j…突起部、6k,6m…可動ハンドル、6n…上端部、7…充填剤、8…制御基板、9…スイッチ、10…電池パック、11…ダイヤル、12…ギヤボックス、13…カートリッジ(収容部)、13a…カートリッジ本体、13b…ノズル、14…接地面、15…マグネットセンサ、16…装着部、17…重心、18…大容量カートリッジ(収容部)、19…単管パイプ、20…コーキングガン(作業機)、21…ホルダ固定部、22…スタンド、23…ヒンジ、24…マグネット、25…コーキングガン(作業機)、C1…軸線、L1…長さ、P1…支点、Q1…回動方向
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