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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】プロジェクター及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20240910BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240910BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240910BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240910BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20240910BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240910BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/67 200
F21S2/00 375
F21S2/00 377
H04N5/74 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024044938
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2020071104の分割
【原出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2024079750
(43)【公開日】2024-06-11
【審査請求日】2024-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼谷 雅人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼樋 祐樹
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103009(JP,A)
【文献】特開2009-229955(JP,A)
【文献】特開2008-217041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171092(US,A1)
【文献】特開2017-045002(JP,A)
【文献】特開2015-094824(JP,A)
【文献】特開2017-227658(JP,A)
【文献】特開2007-264247(JP,A)
【文献】特開2009-128947(JP,A)
【文献】特開2007-207835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0103477(US,A1)
【文献】国際公開第2019/035282(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0165566(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334091(US,A1)
【文献】特開2012-004975(JP,A)
【文献】特開2008-122472(JP,A)
【文献】特開2015-121597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 29/67
F28D 15/00-15/06
G02F 1/13
G02F 1/137-1/141
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、
前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、
少なくとも前記光源装置を収容する外装筐体と、を備え、
前記光源装置は、
光を出射する第1光学素子と、
光を出射する第2光学素子と、
前記第1光学素子及び前記第2光学素子を支持する支持部材と、
前記第1光学素子と熱伝達可能に接続される第1放熱部材と、
前記第2光学素子の熱が伝達される第2放熱部材と、
前記第2光学素子の熱を前記第2放熱部材に輸送する熱輸送部材と、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材の両方に冷却気体を送出する冷却ファンと、を備え、
前記外装筐体は、天面部と、前記天面部とは反対の底面部と、を有し、
前記第2放熱部材は、前記第1放熱部材と隣り合って配置され、
前記第2放熱部材の少なくとも一部は、前記冷却気体の流通方向に沿って見て、前記第1放熱部材と重なり、
前記熱輸送部材は、前記支持部材に対して前記天面部側又は前記底面部側に配置され、
前記熱輸送部材は、前記支持部材の前記第2光学素子が配置される一方側から前記支持部材の前記一方側とは反対の他方側まで延在していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1光学素子の発熱量は、前記第2光学素子の発熱量よりも大きいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2光学素子の発熱量は、前記第1光学素子の発熱量よりも大きいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1光学素子の発熱量は、前記第2光学素子の発熱量と等しいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1放熱部材の表面積は、前記第2放熱部材の表面積よりも大きいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1放熱部材の表面積は、前記第2放熱部材の表面積と等しいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1放熱部材の表面積は、前記第2放熱部材の表面積よりも小さいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2放熱部材は、前記第1放熱部材に対して前記流通方向の上流側に配置されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1放熱部材は、前記第2放熱部材に対して前記流通方向の上流側に配置されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1光学素子は、光を出射する光源であり、
前記第2光学素子は、前記光源から出射され第1波長帯を有する光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する光に変換する波長変換素子であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2光学素子は、光を出射する光源であり、
前記第1光学素子は、前記光源から出射され第1波長帯を有する光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する光に変換する波長変換素子であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記流通方向に沿ってみた場合、前記熱輸送部材は、前記支持部材を跨いで配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記支持部材は、前記第2光学素子が配置される本体部と、カバー部材と、を含み、
前記熱輸送部材は、前記カバー部材側に配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項14】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のプロジェクターおいて、
前記支持部材は、前記第2光学素子が配置される本体部と、カバー部材と、を含み、
前記熱輸送部材は、前記本体部と前記底面部との間に配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項15】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプロジェクターおいて、
前記第1光学素子は、光を出射する光源であり、
前記光源は、
前記光を射出する発光素子と、
前記発光素子が配置される基板と、を有し、
前記基板は、
前記発光素子が配置される第1面と、
前記第1面とは反対の第2面と、を含み、
前記冷却ファンから送出された前記冷却気体は、前記光源の前記第2面の延在方向に沿う方向に沿って流通することを特徴とするプロジェクター。
【請求項16】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記冷却ファンの一部は、前記第1光学素子に対して、前記第1光学素子の光の出射側とは反対側に配置されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体は、前記投射光学装置に対して、前記投射光学装置の光軸に交差する方向に前記冷却気体を吸気する吸気口を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項18】
光を出射する第1光学素子と、
光を出射する第2光学素子と、
前記第1光学素子及び前記第2光学素子を支持する支持部材と、
前記第1光学素子と熱伝達可能に接続される第1放熱部材と、
前記第2光学素子の熱が伝達される第2放熱部材と、
前記第2光学素子の熱を前記第2放熱部材に輸送する熱輸送部材と、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材の両方に冷却気体を送出する冷却ファンと、を備え、
前記第2放熱部材は、前記第1放熱部材と隣り合って配置され、
前記第2放熱部材の少なくとも一部は、前記冷却気体の流通方向に沿って見て、前記第1放熱部材と重なり、
記第1光学素子、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材は、同一の仮想平面上において並び、
前記熱輸送部材は、前記支持部材に対して、前記仮想平面に交差する方向に配置されることを特徴とする光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロジェクター及び光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源を冷却可能な光源装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
特許文献1に記載の光源装置は、本体部、光源、冷却装置及び蛍光発光素子を備える。光源は、本体部に収容され、蛍光発光素子は、本体部に支持されている。蛍光発光素子は、蛍光体層と、蛍光体層を支持する基板と、蛍光体層及び基板の間に設けられる反射層とを備え、基板は、本体部に直接接触している。
冷却装置は、ヒートシンクと冷却ファンとを含み、ヒートシンクは、光源を支持する支持面と、支持面の反対側に設けられる複数のフィンと、を有する。ヒートシンクは、本体部の外面と熱的に接続されており、ヒートシンクには、光源の熱だけでなく、蛍光発光素子の熱も伝達される。冷却ファンは、複数のフィンに冷却気体を送風することによって、ヒートシンクを冷却し、ひいては、光源及び蛍光発光素子を冷却する。
【0003】
特許文献2に記載のプロジェクターが備える光源装置は、光源ユニットと冷却ファンとによって構成されている。光源ユニットは、略直方体形状に構成されており、光源ユニットは、赤、緑及び青の3色のLED(Light Emitting Diode)を備え、各LEDには、放熱部材が設けられている。これらのうち、赤色LEDに設けられる放熱部材は、受熱部、ヒートパイプ及び放熱フィンを有し、ヒートパイプは、赤色LEDと接続される受熱部と、放熱フィンとを接続している。緑色LEDに設けられる放熱部材も同様である。各放熱部材の放熱フィンは、冷却ファンによる送風方向に対して略一直線上に配置され、冷却ファンによって送風された冷却風によって、各放熱部材が冷却され、ひいては、各色のLEDが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-180107号公報
【文献】特開2017-45002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光源装置のように、2つの冷却対象の熱が伝達される1つのヒートシンクが、1つの冷却ファンから送風される冷却気体によって冷却される構成では、各冷却対象の冷却のバランスを調整することが難しい。
これに対し、特許文献2に記載の光源装置のように、光学素子毎にヒートパイプと放熱フィンとを設け、各放熱フィンに1つの冷却ファンによって冷却風を送風することが考えられる。しかしながら、このような構成では、光源装置全体が大型化してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る光源装置は、光を出射する第1光学素子と、光を出射する第2光学素子と、前記第1光学素子及び前記第2光学素子が固定され、前記第1光学素子及び前記第2光学素子を支持する支持部材と、前記第1光学素子と熱伝達可能に接続される第1放熱部材と、前記第2光学素子の熱が伝達される第2放熱部材と、前記第2光学素子の熱を前記第2放熱部材に輸送する熱輸送部材と、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材の両方に冷却気体を送出する冷却ファンと、を備え、前記第1放熱部材は、前記第1光学素子から出射される光の出射方向とは反対側に配置され、前記第2放熱部材は、間隔を空けて前記第1放熱部材と隣り合って配置され、前記第2放熱部材の少なくとも一部は、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材に送出される前記冷却気体の流通方向に沿って見た場合、前記第1放熱部材と重なっている。
【0007】
本開示の第2態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
図2】一実施形態における光源装置の構成を示す模式図。
図3】一実施形態における支持部材を示す斜視図。
図4】一実施形態における冷却部を示す斜視図。
図5】一実施形態における冷却部を示す斜視図。
図6】一実施形態におけるダクト及び冷却ファンを省略した冷却部を示す斜視図。
図7】一実施形態におけるダクト及び冷却ファンを省略した冷却部を示す斜視図。
図8】一実施形態における第1放熱部材及び第2放熱部材を示す平面図。
図9】一実施形態における第1放熱部材及び第2放熱部材と冷却ファンの送出口との位置関係を示す図。
図10図9に示すX-X線における冷却ファンの断面と第1放熱部材及び第2放熱部材との位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投射面に拡大投射する。プロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2及び画像投射装置3を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、及び、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
【0010】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、プロジェクター1の外装を構成し、画像投射装置3、電源装置、制御装置及び冷却装置を内部に収容する。
外装筐体2は、正面部21、背面部22、左側面部23及び右側面部24を有する。図示を省略するが、外装筐体2は、各面部21~24における一方の端部間を接続する天面部と、各面部21~24における他方の端部間を接続する底面部と、を有する。外装筐体2は、例えば略直方体形状に形成される。
【0011】
右側面部24は、吸気口241を有する。吸気口241は、外装筐体2の外部の空気を外装筐体2の内部に導入する。吸気口241には、吸気口241を通過する空気に含まれる塵埃を捕集するフィルターが設けられていてもよい。
正面部21は、正面部21における略中央に位置する通過口211を有する。後述する投射光学装置36から投射された光は、通過口211を通過する。
正面部21は、正面部21における左側面部23側に位置する排気口212を有する。排気口212は、外装筐体2内に設けられた冷却対象を冷却した空気を、外装筐体2の外部に排出する。
【0012】
以下の説明では、互いに直交する三つの方向を、+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。本実施形態では、+X方向を、左側面部23から右側面部24に向かう方向とし、+Y方向を、底面部から天面部に向かう方向とし、+Z方向を、背面部22から正面部21に向かう方向とする。+Y方向から見て、+Z方向は、後述する投射光学装置36が光を投射する方向である。
図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。
【0013】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、制御装置から入力される画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像を投射する。画像投射装置3は、光源装置4、均一化部31、色分離部32、リレー部33、画像形成部34、光学部品用筐体35及び投射光学装置36を備える。
なお、光源装置4の構成については、後に詳述する。
【0014】
均一化部31は、光源装置4から出射された光を均一化する。均一化された光は、色分離部32及びリレー部33を経て、後述する光変調装置343の変調領域を照明する。均一化部31は、2つのレンズアレイ311,312、偏光変換素子313及び重畳レンズ314を備える。
色分離部32は、均一化部31から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離部32は、2つのダイクロイックミラー321,322と、ダイクロイックミラー321によって分離された青色光を反射させる反射ミラー323と、を備える。
【0015】
リレー部33は、他の色光の光路より長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー部33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333、反射ミラー332,334を備える。なお、本実施形態では、赤色光の光路上にリレー部33を設けることとした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー部33を設ける構成としてもよい。
【0016】
画像形成部34は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、画像を形成する。画像形成部34は、入射される色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ341、3つの入射側偏光板342、3つの光変調装置343、3つの視野角補償板344及び3つの出射側偏光板345と、1つの色合成部346と、を備える。
【0017】
光変調装置343は、光源装置4から出射された光を画像情報に応じて変調する。光変調装置343は、赤色光を変調する光変調装置343R、緑色光を変調する光変調装置343G、及び、青色光を変調する光変調装置343Bを含む。光変調装置343は、透過型の液晶パネルによって構成されており、入射側偏光板342、光変調装置343、出射側偏光板345によって液晶ライトバルブが構成される。
色合成部346は、光変調装置343B,343G,343Rによって変調された3つの色光を合成して画像を形成し、形成した画像を投射光学装置36に出射する。本実施形態では、色合成部346は、クロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、これに限らず、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
【0018】
光学部品用筐体35は、上記した各部31~34を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体35は、照明光軸Axにおける所定位置に各部31~34を保持する。光源装置4及び投射光学装置36は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
【0019】
投射光学装置36は、画像形成部34から入射される画像を被投射面に拡大して投射する投射レンズである。すなわち、投射光学装置36は、光変調装置343によって変調された光を投射する。投射光学装置36としては、複数のレンズと、複数のレンズが内部に収容される筒状の鏡筒とを有する組レンズを例示できる。
【0020】
[光源装置の構成]
図2は、光源装置4の構成を示す模式図である。
光源装置4は、光を均一化部31に出射する。光源装置4は、図2に示すように、光源41、拡散透過部42、光分離部43、第1集光素子44、波長変換素子45、第2集光素子46、拡散反射素子47及び位相差部48と、これらを支持する支持部材5と、を備える。本実施形態において、光源41は、第1光学素子に相当し、波長変換素子45は、第2光学素子に相当する。更に、図2では図示を省略するが、光源装置4は、光源41と波長変換素子45とを冷却する冷却部6(図4参照)を備える。
【0021】
光源41、拡散透過部42、光分離部43、第1集光素子44及び波長変換素子45は、光源装置4に設定された照明光軸Ax1上に配置されている。
光分離部43、第2集光素子46、拡散反射素子47及び位相差部48は、光源装置4に設定され、かつ、照明光軸Ax1に直交する照明光軸Ax2上に配置されている。すなわち、光分離部43は、照明光軸Ax1と照明光軸Ax2との交差部に配置されている。
なお、照明光軸Ax2は、レンズアレイ311の位置にて、照明光軸Axと一致する。換言すると、照明光軸Ax2は、照明光軸Axの延長線上に設定されている。
【0022】
[光源の構成]
光源41は、基板411、発光素子412及びコリメーターレンズ413を備える。光源41は、光を出射する光学素子である。
基板411は、発光素子412及びコリメーターレンズ413を支持する。基板411において発光素子412及びコリメーターレンズ413が配置される面とは反対側の面には、後述する第1放熱部材62(図4参照)が熱伝達可能に接続される。
発光素子412は、光を出射する。発光素子412は、図示を省略するが、青色光を出射する複数の半導体レーザーによって構成されている。
コリメーターレンズ413は、発光素子412から出射された光を平行化する。
【0023】
[拡散透過部の構成]
拡散透過部42は、入射された光を拡散させて、出射される光の照度分布を均一化する。拡散透過部42は、ホログラムを有する構成、複数の小レンズが光軸直交面に配列された構成、及び、光が通過する面が粗面である構成を例示できる。
なお、拡散透過部42に代えて、一対のマルチレンズアレイを有するホモジナイザー光学素子を光源装置4に採用してもよい。一方、拡散透過部42が採用される場合には、ホモジナイザー光学素子が採用される場合に比べて、光源41から光分離部43までの距離を短くできる。
【0024】
[光分離部の構成]
拡散透過部42から出射された光は、光分離部43に入射する。
光分離部43は、光源41から拡散透過部42を介して入射される光のうち、一部の光を通過させ、他の光を反射させるハーフミラーの機能を有する。光分離部43は、拡散反射素子47から入射される青色光を通過させ、波長変換素子45から入射され、青色光の波長よりも長い波長を有する光を反射させるダイクロイックミラーの機能を有する。
詳述すると、光分離部43は、拡散透過部42から入射される青色光のうち、一部の青色光である第1部分光を通過させて第1集光素子44に入射させ、他の青色光である第2部分光を反射させて第2集光素子46に入射させる。
本実施形態では、波長変換素子45における光の吸収を考慮して、光分離部43は、第1部分光の光量を、第2部分光の光量よりも大きくしている。しかしながら、これに限らず、第1部分光の光量は、第2部分光の光量と同じでもよく、第2部分光の光量よりも小さくてもよい。
【0025】
[第1集光素子の構成]
第1集光素子44は、光分離部43を通過した第1部分光を波長変換素子45に集光する。また、第1集光素子44は、波長変換素子45から入射される光を平行化する。
本実施形態では、第1集光素子44は、2つのレンズ441,442を有するが、第1集光素子44を構成するレンズの数は、2に限定されない。
【0026】
[波長変換素子の構成]
波長変換素子45は、光を出射する光学素子である。波長変換素子45は、入射される光の波長を変換した光を、入射される光の入射方向とは反対方向に拡散させて出射する。詳述すると、波長変換素子45は、青色光が入射されることによって励起されて、入射された青色光よりも波長が長い蛍光を第1集光素子44に向けて拡散させて出射する。すなわち、波長変換素子45は、光源41から出射された第1波長帯を有する光を、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する光に変換する。波長変換素子45から出射される光は、例えば、ピーク波長が500~700nmの蛍光である。
【0027】
波長変換素子45は、基板451、波長変換層452及び反射層453を有する。
基板451は、金属によって形成された板状体であり、波長変換層452及び反射層453を支持する。基板451は、後述する支持部材5に固定され、基板451には、後述する熱輸送部材64が接続される。
波長変換層452は、基板451において第1集光素子44に対向する位置に設けられている。波長変換層452は、第1集光素子44から入射される青色光の波長を変換した非偏光光である蛍光を拡散して出射する蛍光体を含む蛍光体層である。
反射層453は、波長変換層452に対して青色光の入射側とは反対側に位置し、波長変換層452から入射される蛍光を波長変換層452側に反射させる。
波長変換素子45から出射された蛍光は、照明光軸Ax1に沿って第1集光素子44を通過した後、光分離部43に入射される。光分離部43に入射された蛍光は、光分離部43にて照明光軸Ax2に沿う方向に反射されて、位相差部48に入射される。
【0028】
[第2集光素子の構成]
第2集光素子46は、光分離部43にて反射されて入射される第2部分光を拡散反射素子47に集光する。また、第2集光素子46は、拡散反射素子47から入射される青色光を平行化する。
本実施形態では、第2集光素子46は、第1集光素子44と同様に、2つのレンズ461,462を有するが、第2集光素子46を構成するレンズの数は、2に限定されない。
【0029】
[拡散反射素子の構成]
拡散反射素子47は、基板471と、基板471において第2集光素子46に対向する位置に設けられる拡散反射層472と、を有する。
拡散反射層472は、波長変換素子45から出射される蛍光と同様の拡散角で、第2集光素子46から入射される青色光を反射して拡散させる。すなわち、拡散反射層472は、入射された光の波長を変換せずに、入射される光を反射して拡散させる。
拡散反射層472にて反射された青色光は、第2集光素子46を通過した後、光分離部43を通過して、位相差部48に入射される。すなわち、光分離部43から位相差部48に入射される光は、青色光及び蛍光が混在した白色光である。
【0030】
[位相差部の構成]
位相差部48は、光分離部43から入射される白色光をs偏光及びp偏光が混在する光に変換する。このように変換された白色の照明光は、上記した均一化部31に入射される。
【0031】
[支持部材の構成]
図3は、光源装置4が備える支持部材5を示す斜視図である。
上記のように、光源装置4は、図3に示す支持部材5を備える。
支持部材5は、光源41、拡散透過部42、光分離部43、第1集光素子44、波長変換素子45、第2集光素子46、拡散反射素子47及び位相差部48を支持する略立方体形状の光源用筐体である。
支持部材5は、本体部51及びカバー部材52を備える。
【0032】
[本体部の構成]
本体部51は、第1側面部511、第2側面部512、第3側面部513、第4側面部514、第5側面部515、台座部516を有する。図示を省略するが、本体部51は、拡散透過部42、光分離部43、第1集光素子44、第2集光素子46及び位相差部48のそれぞれが固定される固定部を有する。
【0033】
第1側面部511は、本体部51において+Z方向に位置する側面部である。第1側面部511には、光源41が取り付けられる。また、第1側面部511には、後述する冷却部6を構成するダクト61における-Z方向の端部が接続される。
第2側面部512は、本体部51において-Z方向に位置する側面部である。すなわち、第2側面部512は、支持部材5において第1側面部511とは反対側に位置する側面部である。第2側面部512には、波長変換素子45が取り付けられる。具体的に、第2側面部512には、波長変換素子45の基板451が固定具FMによって固定される。すなわち、本実施形態において波長変換素子45は、モーター等の駆動部によって回転せず、支持部材5に固定される光学素子である。なお、基板451と第2側面部512との間には、発泡樹脂等によって形成された封止部材SM1が介装される。
【0034】
第3側面部513は、本体部51において-X方向に位置する側面部である。第3側面部513には、拡散反射素子47が取り付けられる。具体的に、第3側面部513には、拡散反射素子47の基板471が固定具FMによって固定される。すなわち、本実施形態において拡散反射素子47は、モーター等の駆動部によって回転せず、支持部材5に固定される光学素子である。なお、基板471と第3側面部513との間には、封止部材SM1と同様の封止部材SM2が介装される。
【0035】
第4側面部514は、本体部51において+X方向に位置する側面部である。すなわち、第4側面部514は、支持部材5において第3側面部513とは反対側に位置する側面部である。
第5側面部515は、本体部51において+Y方向に位置する側面部である。
第4側面部514及び第5側面部515は、本体部51に取り付けられるカバー部材52によって覆われる。
カバー部材52は、図3では省略するが、第4側面部514を覆う部位に、位相差部48から出射された光が通過する開口部521(図6参照)が設けられている。開口部521は、図示しない透光性部材によって閉塞される。
【0036】
台座部516は、本体部51において-Y方向に位置する。すなわち、台座部516は、支持部材5において第5側面部515とは反対側に位置する側面部である。台座部516は、外装筐体2における所定の位置、例えば外装筐体2の内面に固定される。
【0037】
[冷却部の構成]
図4及び図5は、光源装置4が備える冷却部6を示す斜視図である。詳述すると、図4は、冷却部6を+Y方向かつ+Z方向から見た斜視図であり、図5は、冷却部6を-Y方向及び-Z方向から見た斜視図である。
上記のように、光源装置4は、図4及び図5に示す冷却部6を備える。
冷却部6は、支持部材5に固定された光源41及び波長変換素子45を冷却する。具体的に、冷却部6は、後述する冷却ファン65から送出される冷却気体によって、光源41及び波長変換素子45を冷却する。
冷却部6は、ダクト61、第1放熱部材62、第2放熱部材63、熱輸送部材64、冷却ファン65及び取付部材66(図6及び図7参照)を備える。
【0038】
[ダクトの構成]
ダクト61は、第1放熱部材62、第2放熱部材63及び冷却ファン65を内部に収容し、第1放熱部材62、第2放熱部材63及び冷却ファン65を覆っている。ダクト61は、冷却ファン65から送出された冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63に流通させる。ダクト61は、+Z方向に沿って延出し、支持部材5の第1側面部511に接続されるように配置される。ダクト61は、隔壁611及び開口部612を有する。
【0039】
隔壁611は、ダクト61内において-Z方向に位置して、第1放熱部材62及び第2放熱部材63が配置される放熱部材配置部61Aと、ダクト61内において+Z方向に位置して、冷却ファン65が配置されるファン配置部61Bとを区画する。隔壁611には、冷却ファン65の送出口652が接続される。隔壁611によって、ファン配置部61Bに配置された冷却ファン65から放熱部材配置部61Aに送出された冷却気体の一部が、ファン配置部61Bに流通することが抑制される。
【0040】
開口部612は、放熱部材配置部61Aとダクト61の外部とを連通させる連通口である。開口部612は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に向けて送出された冷却気体の流通方向DR(図8参照)に対して交差する交差方向に開口している。詳しくは後述するが、冷却ファン65から送出されて第1放熱部材62及び第2放熱部材63を冷却した冷却気体は、開口部612を介して、ダクト61の外部に排出される。ダクト61の外部に排出された冷却気体は、外装筐体2の排気口212(図1参照)を介して外装筐体2の外部に排出される。
なお、ダクト61は、図5に示すように、-Y方向に開口する開口部613を有する。開口部613において、冷却ファン65の吸気口651に対応する部位を除く部位は、光源装置4が所定の位置に固定された場合に閉塞される。
【0041】
[第1放熱部材の構成]
図6及び図7は、ダクト61及び冷却ファン65の図示を省略した冷却部6を+Y方向かつ+Z方向から見た斜視図である。なお、図6は、+X方向から見た冷却部6を示し、図7は、-X方向から見た冷却部6を示している。なお、図6及び図7では、見易さを考慮して、複数のフィン622のうち、一部のフィン622についてのみ符号を付し、複数のフィン633のうち、一部のフィン633についてのみ符号を付す。
第1放熱部材62は、支持部材5に固定された光源41の基板411において、発光素子412及びコリメーターレンズ413が配置される面とは反対側の面に配置され、光源41と熱伝達可能に接続されている。換言すると、第1放熱部材62は、光源41から出射される光の出射方向(-Z方向)とは反対側に配置されている。
第1放熱部材62は、図6及び図7に示すように、基板411に接続される基部621と、複数のフィン622と、を有するヒートシンクである。複数のフィン622のそれぞれは、XZ平面に沿って基部621から+Z方向に起立し、+Y方向に沿って配列されている。すなわち、複数のフィン622は、冷却ファン65から送出された冷却気体の流通方向DRに沿って見て、流通方向DRに交差する-X方向である交差方向に沿って延出している。
【0042】
基部621は、基板411を介して光源41の発光素子412の熱が伝達される板状部である。基部621に伝達された熱は、複数のフィン622のそれぞれに伝達される。複数のフィン622の間には、冷却ファン65によって冷却気体が流通し、複数のフィン622に伝達された熱が、冷却気体に伝達される。これにより、第1放熱部材62が冷却され、ひいては、光源41が冷却される。
【0043】
図8は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を+Y方向から見た平面図である。
第1放熱部材62は、図8に示すように、凹部623を有する。
凹部623は、第1放熱部材62の外縁において+X方向かつ+Z方向の一部が切り欠かれたように-Z方向に凹んだ凹部である。すなわち、凹部623は、第1放熱部材62において、冷却ファン65から送出された冷却気体の流通方向DRに交差する+Y方向から見て、外縁が切り欠かれた部分である。詳述すると、凹部623は、第2放熱部材63の形状に応じて-Z方向に凹んだ部位である。凹部623には、第2放熱部材63が、第1放熱部材62との間に間隔を空けて配置されている。
【0044】
[第2放熱部材の構成]
第2放熱部材63は、熱輸送部材64を介して波長変換素子45の熱が伝達され、伝達された熱を放熱する。すなわち、第2放熱部材63は、熱輸送部材64を介して波長変換素子45と熱伝達可能に接続されている。第2放熱部材63は、図8に示すように、+Y方向から見て略平行四辺形状に形成されている。
第2放熱部材63は、熱輸送部材64の端部が嵌合される孔部632が設けられた接続部631と、接続部631から径方向外側に延出する複数のフィン633と、を有するヒートシンクである。
複数のフィン633のそれぞれは、複数のフィン622のそれぞれと同様に、XZ平面と略平行に形成され、+Y方向に沿って配列されている。すなわち、複数のフィン633は、冷却ファン65から送出された冷却気体の流通方向DRに沿って見て、流通方向DRに交差する-X方向である交差方向に沿って延出している。
【0045】
接続部631には、熱輸送部材64を介して波長変換素子45の熱が伝達される。接続部631に伝達された熱は、複数のフィン633のそれぞれに伝達される。複数のフィン633の間には、冷却ファン65によって冷却気体が流通し、複数のフィン633に伝達された熱は、冷却気体に伝達される。これにより、第2放熱部材63が冷却され、第2放熱部材63に熱輸送部材64を介して熱伝達可能に接続された波長変換素子45が冷却される。
なお、第2放熱部材63の詳しい配置については、後に詳述する。
【0046】
[熱輸送部材の構成]
熱輸送部材64は、図6及び図7に示すように、波長変換素子45と第2放熱部材63とを熱伝達可能に接続し、波長変換素子45にて生じた熱を第2放熱部材63に輸送する。本実施形態では、熱輸送部材64は、ヒートパイプによって構成されており、一端が波長変換素子45の基板451と熱伝達可能に接続され、他端が第2放熱部材63の孔部632に嵌合されている。
なお、熱輸送部材64は、冷却部6に1つ設けられているが、熱輸送部材64の数は、第2放熱部材63に輸送する熱量に応じて適宜変更可能である。
また、熱輸送部材64は、熱輸送部材64の中央部が支持部材5に対する+Y方向に位置するように、波長変換素子45と第2放熱部材63とを接続している。しかしながら、これに限らず、熱輸送部材64の中央部は、支持部材5に対する-Y方向又は-X方向に配置されてもよく、光源装置4から出射される光を遮らなければ、支持部材5に対する+X方向に配置されてもよい。
【0047】
[取付部材の構成]
取付部材66は、図6及び図7に示すように、第1放熱部材62を挟んで第2放熱部材63を支持部材5に取り付けるものであり、本実施形態では金属によって形成されている。取付部材66は、XZ平面に沿う第1固定部661と、第1固定部661における+Z方向の端部から-Y方向に屈曲する第2固定部662とを有する。
第1固定部661は、ねじ等の固定具によって、支持部材5に固定される。
第2固定部662には、第2放熱部材63が固定される。なお、第2固定部662は、放熱部材配置部61A内において、冷却ファン65から送出された冷却気体が直接流通しない位置に配置されている。
このような取付部材66は、第2放熱部材63と一体化されている熱輸送部材64が、落下等の衝撃によって変形することを抑制する機能も有する。
【0048】
[冷却ファンの構成]
冷却ファン65は、外装筐体2内に導入された空気を冷却気体として吸引し、吸引した冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63に送出する。詳述すると、冷却ファン65は、図5に示すように、ダクト61内のファン配置部61Bに配置され、放熱部材配置部61Aに配置された第1放熱部材62及び第2放熱部材63に、吸引した冷却気体を送出する。これにより、ダクト61は、冷却ファン65から送出された冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63に流通させる。
本実施形態では、冷却ファン65は、-Y方向に開口する吸気口651と、-Z方向に開口する送出口652とを有するシロッコファンによって構成されている。送出口652は、放熱部材配置部61A内に配置され、第1放熱部材62及び第2放熱部材63と対向している。
なお、図9に示したように、冷却ファン65によって送出された冷却気体の流通方向DRは、-Z方向と平行ではなく、-Z方向に向かうに従って-X方向に向かうように、-Z方向に対して傾斜している。このような流通方向DRの-Z方向に対する傾斜については、後に詳述する。
【0049】
[第2放熱部材の配置]
図9は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63と冷却ファン65の送出口652との位置関係を示す図である。換言すると、図9は、第1放熱部材62、第2放熱部材63及び冷却ファン65を+Y方向から見た図である。図10は、図9に示すX-X線における冷却ファン65の断面と第1放熱部材62及び第2放熱部材63との位置関係を示す図である。
第2放熱部材63は、図6図9に示すように、-X方向及び-Z方向において所定の間隔を空けて第1放熱部材62と隣り合って配置されている。詳述すると、第2放熱部材63は、第1放熱部材62との間に所定の間隔を空けて、第1放熱部材62に対して+X方向かつ+Z方向に配置されている。すなわち、第2放熱部材63は、第1放熱部材62に対して、冷却ファン65によって送出された冷却気体の流通方向DRの上流側に配置されている。換言すると、第2放熱部材63は、第1放熱部材62に対して流通方向DRとは反対方向に位置している。
【0050】
また、第2放熱部材63の少なくとも一部は、図8図10に示すように、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、第1放熱部材62と重なっている。すなわち、第2放熱部材63の少なくとも一部は、冷却ファン65から見て、第1放熱部材62と重なっている。
本実施形態では、第2放熱部材63は、送出口652から見て、第1放熱部材62に比べて小さく形成されている。このことから、図10に示すように、冷却ファン65の送出口652から見て、第2放熱部材63の少なくとも一部は、第1放熱部材62と重なっている。詳述すると、送出口652から見て、第2放熱部材63の全体は、第1放熱部材62と重なっている。
一方、第1放熱部材62の一部は、流通方向DRに沿って見て、第2放熱部材63に対してずれて配置されている。詳述すると、第1放熱部材62は、冷却気体の流通方向DRに交差する方向、具体的には+X方向に、第2放熱部材63に対してずれて配置されている。
なお、第2放熱部材63は、図8及び図9に示すように、冷却気体の流通方向DRに対して交差する方向である+Y方向から見て、第2放熱部材63の平行四辺形状の一辺が冷却気体の流通方向DRに対して直交するように配置される。
【0051】
このように第2放熱部材63が配置されていることにより、冷却ファン65の送出口652において-X方向の部位及び略中央の位置から送出された冷却気体CG1,CG2は、第2放熱部材63に流通する。第2放熱部材63を流通した冷却気体CG1,CG2は、第1放熱部材62に流通する。
一方、送出口652において+X方向の位置から送出された冷却気体CG3は、第2放熱部材63に流通せずに、冷却気体の流通方向DRに沿って見て第1放熱部材62において第2放熱部材63に対して+X方向にずれた部位に流通する。
このように、第1放熱部材62及び第2放熱部材63のそれぞれに、冷却ファン65から送出されたばかりの冷却空気が流通する。
【0052】
なお、複数のフィン633のそれぞれの+Y方向における間隔は、複数のフィン622のそれぞれの+Y方向における間隔と略同じである。このため、第2放熱部材63の表面積は、第1放熱部材62の表面積よりも小さい。換言すると、第1放熱部材62の表面積は、第2放熱部材63の表面積よりも大きい。ここで、本実施形態において放熱部材の表面積は、基部及び複数のフィンにおいて空気と接触する部分の面積である。
そして、第1放熱部材62が接続される光源41の発熱量は、第2放熱部材63が熱輸送部材64を介して接続される波長変換素子45の発熱量よりも大きい。
更に、第1放熱部材62には、冷却ファン65から直接送出された冷却気体が流通するだけでなく、第2放熱部材63を通過して冷却気体が流通する。これにより、第1放熱部材62での冷却気体との熱交換を促進でき、第1放熱部材62を効果的に冷却できる。
【0053】
[各放熱部材に対する冷却気体の流通方向]
第1放熱部材62の複数のフィン622に沿って流通した冷却気体は、光源41の基板411と接続される基部621に向かって流通する。基部621に到達した冷却気体は、-X方向に位置する開口部612を介して、ダクト61の外部に排出される。-X方向は、第1放熱部材62に対して流通方向DRに交差する交差方向である。
ここで、基板411において基部621と接触する面は、XY平面と略平行な面であり、基部621において冷却気体が流通する面も、XY平面と略平行な面である。このため、冷却ファン65から送出された冷却気体の流通方向DRが-Z方向と平行である場合、すなわち、基部621が流通方向DRに対して直交する場合、第1放熱部材62の各フィン622に沿って流通した冷却気体は、基部621に衝突して、基部621付近に滞留するおそれがある。この場合、第1放熱部材62から外部への冷却気体の排出効率が低下し、第1放熱部材62の冷却効率が低下するおそれがある。
【0054】
これに対し、冷却気体の流通方向DRは、-Z方向に向かうに従って-X方向に向かうように、-Z方向に対して傾斜している。
これにより、基部621に衝突した冷却気体を基部621に沿って-X方向に導くことができ、開口部612を介してダクト61の外部に排出しやすくすることができる。従って、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を冷却した冷却気体のダクト61からの排出効率を高めることができる。
【0055】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏し得る。
プロジェクター1の光源装置4は、光を出射する第1光学素子としての光源41と、光を出射する第2光学素子としての波長変換素子45と、支持部材5、第1放熱部材62、第2放熱部材63、熱輸送部材64及び冷却ファン65を備える。
支持部材5は、光源41及び波長変換素子45を支持する。支持部材5には、光源41及び波長変換素子45が固定される。
第1放熱部材62は、光源41と熱伝達可能に接続される。
第2放熱部材63には、波長変換素子45の熱が伝達される。
熱輸送部材64は、波長変換素子45の熱を第2放熱部材63に輸送する。
冷却ファン65は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63の両方に冷却気体を送出する。
第1放熱部材62は、光源41から出射される光の出射方向とは反対側に配置されている。
第2放熱部材63は、間隔を空けて第1放熱部材62と隣り合って配置されている。第2放熱部材63の少なくとも一部は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に送出される冷却気体の流通方向DRに沿って見た場合、第1放熱部材62と重なっている。
【0056】
このような構成によれば、光源41の熱が伝達される第1放熱部材62と、波長変換素子45の熱が伝達される第2放熱部材63とが、間隔を空けて配置されているので、第1放熱部材62と第2放熱部材63との冷却のバランス、ひいては、光源41と波長変換素子45との冷却のバランスを調整しやすくすることができる。
また、第2放熱部材63の少なくとも一部は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に送出される冷却気体の流通方向DRに沿って見て、第1放熱部材62と重なっている。このことから、冷却ファン65から送出された冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63のそれぞれに流通させることができる。従って、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を冷却でき、ひいては、光源41及び波長変換素子45を冷却できる。更に、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、第1放熱部材62及び第2放熱部材63が互いに重ならずに離間して配置されている場合に比べて、光源装置4が大型化することを抑制できる。
【0057】
第1光学素子としての光源41の発熱量は、第2光学素子としての波長変換素子45の発熱量よりも大きい。
このような構成によれば、熱輸送部材64は、光源41の発熱量に比べて発熱量が小さい波長変換素子45の熱を第2放熱部材63に輸送することとなる。これによれば、熱輸送部材64が、発熱量が大きい光源41の熱を輸送する場合に比べて、光学素子の冷却に必要な熱輸送部材64の数を減らすことができる。従って、光源装置4の製造コストが増大することを抑制できるとともに、光源装置4の大型化を抑制できる。
【0058】
第1放熱部材62の表面積は、第2放熱部材63の表面積よりも大きい。
このような構成によれば、第2放熱部材63に比べて伝達される熱量が大きい第1放熱部材62を冷却気体によって冷却しやすくすることができる。すなわち、第1放熱部材62に伝達された熱と、第1放熱部材62に流通する冷却気体との間の熱交換を促進できる。従って、第1放熱部材62、ひいては、光源41の冷却効率を高めることができる。
【0059】
第2放熱部材63は、第1放熱部材62に対して冷却気体の流通方向DRの上流側に位置している。すなわち、第2放熱部材63は、第1放熱部材62に対して冷却気体の流通方向DRの反対方向に配置されている。
このような構成によれば、第1放熱部材62を流通した後の冷却気体ではなく、温度が比較的低い冷却気体を第2放熱部材63に流通させることができる。これによれば、第2放熱部材63を効果的に冷却でき、ひいては、波長変換素子45を効果的に冷却できる。従って、光源41よりも冷却の要求が高い波長変換素子45を効果的に冷却でき、これにより、光源装置4を安定して使用できる。
【0060】
光源装置4は、第1光学素子として、光を出射する光源41と、第2光学素子として、光源41から出射され第1波長帯を有する光を、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する光に変換する波長変換素子45と、を有する。
このような構成によれば、光源41と波長変換素子45との冷却のバランスを調整しやすくすることができるとともに、光源41及び波長変換素子45の冷却効率を高めることができる。
【0061】
光源装置4は、第1放熱部材62を挟んで第2放熱部材63を支持部材5に取り付ける取付部材66を備える。
このような構成によれば、光源41、波長変換素子45及び第1放熱部材62が支持される支持部材5に、第1放熱部材62に対して冷却気体の流通方向DRの上流側に位置するように、第2放熱部材63を取り付けることができる。従って、第2放熱部材63を安定して配置できる。
【0062】
第1放熱部材62は、冷却気体の流通方向DRに交差する方向である+Y方向から見て外縁の一部が切り欠かれた凹部623を有する。第2放熱部材63は、凹部623に配置されている。
このような構成によれば、第1放熱部材62及び第2放熱部材63をコンパクトに配置できる。従って、光源装置4の大型化を抑制できる。
【0063】
第1放熱部材62の一部は、流通方向DRに沿って見て、第2放熱部材63に対してずれて配置されている。詳述すると、第1放熱部材62の一部は、流通方向DRに沿って見て、第2放熱部材63に対して+X方向にずれて配置されている。
このような構成によれば、第2放熱部材63に流通しない冷却気体を第1放熱部材62に流通させることができる。すなわち、第2放熱部材63だけでなく、第1放熱部材62にも、比較的温度が低い冷却気体を流通させることができる。従って、第1放熱部材62の冷却効率を高めることができ、ひいては、光源41の冷却効率を高めることができる。
更に、冷却ファン65による冷却気体の流通方向DRが上記のように-Z方向に対して傾斜し、冷却気体をダクト61の外部に排出する開口部612が第1放熱部材62に対して-X方向に位置している。これによれば、送出口652から第2放熱部材63を介さずに第1放熱部材62に流通する温度が低い冷却気体を、第1放熱部材62における+X方向の端部から-X方向の端部に亘って流通させることができる。従って、第1放熱部材62、ひいては、光源41の冷却効率を一層高めることができる。
【0064】
光源装置4は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を覆うダクト61を備える。ダクト61は、冷却ファン65から送出された冷却気体を、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に流通させる。
このような構成によれば、冷却ファン65から送出された冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63に効率よく流通させることができる。このため、ダクト61が設けられていない場合のように、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に流通する冷却気体が拡散してしまうことを抑制できる。従って、第1放熱部材62及び第2放熱部材63の冷却効率、ひいては、光源41及び波長変換素子45の冷却効率を高めることができる。
【0065】
ダクト61は、冷却気体の流通方向DRに対して交差する交差方向である-X方向に開口し、冷却ファン65から送出されて第1放熱部材62及び第2放熱部材63を冷却した冷却気体を排出する開口部612を有する。第1放熱部材62及び第2放熱部材63は、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、-X方向に沿って延出する複数のフィン622,633を有する。
このような構成によれば、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を流通した冷却気体の流通方向は、開口部612に向かう方向に変化される。これによれば、流通方向が変更されずに、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を冷却した冷却気体が直進する場合に比べて、光源装置4の大型化を抑制できる。
このとき、複数のフィン622,633の延出方向が、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、開口部612に向かう方向に沿うので、複数のフィン622,633の間を冷却気体が流通しやすくすることができる。更に、複数のフィン622,633によって熱を帯びた冷却気体を迅速に排出できる。従って、各放熱部材62,63の冷却効率、ひいては、光源41及び波長変換素子45の冷却効率を高めることができる。
【0066】
プロジェクター1は、光源装置4と、光源装置4から出射された光を変調する光変調装置343と、光変調装置343によって変調された光を投射する投射光学装置36と、を備える。
このような構成によれば、上記した光源装置4と同様の効果を奏することができる。更に、光源装置4を安定して点灯させることができるので、プロジェクター1を安定して動作させることができる。また、光源41及び波長変換素子45の長寿命化を図ることができるので、プロジェクター1の長寿命化を図ることができる。
【0067】
[実施形態の変形]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記実施形態では、第1光学素子は光源41であり、第2光学素子は波長変換素子45であるとした。しかしながら、これに限らず、第1放熱部材62に熱が伝達される第1光学素子、及び、第2放熱部材63に熱が伝達される第2光学素子は、他の構成であってもよい。
例えば、上記実施形態とは逆に、第1光学素子は波長変換素子45であり、第2光学素子は光源41であってもよい。また、第1光学素子は光源41であり、第2光学素子は拡散反射素子47であってもよい。更に、第1光学素子は拡散反射素子47であり、第2光学素子は光源41であってもよい。
【0068】
上記実施形態では、第2放熱部材63は、第1放熱部材62と+X方向において隣り合うように配置されるとした。しかしながら、これに限らず、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、冷却気体の流通範囲において、第2放熱部材63の少なくとも一部が第1放熱部材62と重なっていれば、第2放熱部材63は、第1放熱部材62と+Y方向において隣り合っていてもよい。
また、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、第2放熱部材63の全体が第1放熱部材62と重なっている必要はなく、第2放熱部材63の少なくとも一部が第1放熱部材62と重なっていればよい。
【0069】
上記実施形態では、第2放熱部材63は、第1放熱部材62と-X方向及び-Z方向において間隔を空けて配置されるとした。しかしながら、これに限らず、第2放熱部材63が第1放熱部材62に対して離間して配置されていればよい。
【0070】
上記実施形態では、第1光学素子である光源41の発熱量は、第2発光素子である波長変換素子45の発熱量よりも大きいとした。しかしながら、これに限らず、第1光学素子の発熱量は、第2発光素子の発熱量以下であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、第1放熱部材62の表面積は、第2放熱部材63の表面積よりも大きいとした。しかしながら、これに限らず、第1光学素子と接続される第1放熱部材の表面積は、第2光学素子と熱輸送部材を介して接続される第2放熱部材の表面積以下であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、第2放熱部材63は、第1放熱部材62に対して、冷却気体の流通方向DRの上流側に位置しているとした。しかしながら、これに限らず、第1放熱部材62が、第2放熱部材63に対して、冷却気体の流通方向DRの上流側に位置していてもよい。
【0073】
上記実施形態では、取付部材66は、第1放熱部材62を挟んで第2放熱部材63を支持部材5に取り付けるとした。しかしながら、これに限らず、例えば第2放熱部材63は、熱輸送部材64に固定され、熱輸送部材64が支持部材5に固定されることによって、支持部材5に固定されていてもよい。すなわち、取付部材66は、無くてもよい。
【0074】
上記実施形態では、第1放熱部材62は、第2放熱部材63が間隔を空けて配置される凹部623を有するとした。しかしながら、これに限らず、凹部623は無くてもよい。第1放熱部材62における凹部623の位置は、上記に限らず他の位置であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、第1放熱部材62の一部は、第2放熱部材63に対してずれているとした。しかしながら、これに限らず、冷却気体の流通方向DRに沿って見て、冷却気体が流通する範囲において、第1放熱部材62と第2放熱部材63のうち一方の放熱部材の全体が、他方の放熱部材に重なっていてもよい。すなわち、第1放熱部材及び第2放熱部材のうち、冷却気体の流通方向の下流側に位置する放熱部材には、流通方向の上流側に位置する放熱部材を流通した冷却気体が流通し、流通方向の上流側に位置する放熱部材を流通しない冷却気体が流通しないように、第1放熱部材及び第2放熱部材を配置してもよい。
【0076】
上記実施形態では、ダクト61は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を覆い、冷却ファン65から送出された冷却気体を第1放熱部材62及び第2放熱部材63に流通させるとした。しかしながら、これに限らず、ダクト61は、無くてもよい。また、ダクト61が設けられる場合でも、冷却ファン65は、必ずしもダクト61の内部に設けられなくてもよい。
なお、冷却ファン65は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に対する冷却気体の流通方向DRの上流側、すなわち、流通方向DRの反対側に位置していなくてもよい。例えば、冷却ファンは、第1放熱部材及び第2放熱部材に対する冷却気体の流通方向に位置していてもよい。この場合、冷却ファンが冷却気体を吸引することによって、第1放熱部材及び第2放熱部材に冷却気体が流通する構成とすることができる。このような冷却ファンは、軸流ファンであってもよい。
【0077】
上記実施形態では、ダクト61は、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を流通した冷却気体を排出する開口部612を有するとした。ここで、第1放熱部材62及び第2放熱部材63を流通した冷却気体は、他の冷却対象に流通してもよい。
また、開口部612の位置は、適宜変更してよい。例えば、第1放熱部材62及び第2放熱部材63に対して開口部612は、+Y方向又は-Y方向に位置していてもよく、この場合、複数のフィン622,633は、YZ平面に沿って延出していてもよい。
【0078】
上記実施形態では、熱輸送部材64として、ヒートパイプを採用した。しかしながら、これに限らず、ヒートパイプ以外の熱輸送部材を、熱輸送部材64に代えて光源装置4に採用してもよい。
【0079】
上記実施形態では、図2及び図3に示すように、波長変換素子45の基板451、波長変換層452及び反射層453と、第1集光素子44のレンズ442の少なくとも一部とが、支持部材5の外側に配置されている構成とした。しかしながら、これに限らず、基板451、波長変換層452、反射層453及びレンズ442のうち少なくとも一部、又は、全てが、支持部材5の内部に配置されていてもよい。
同様に、上記実施形態では、拡散反射素子47の基板471及び拡散反射層472と、第2集光素子46のレンズ462の少なくとも一部とが、支持部材5の外側に配置されている構成とした。しかしながら、これに限らず、基板471、拡散反射層472及びレンズ462のうち少なくとも一部、又は、全てが、支持部材5の内部に配置されていてもよい。
【0080】
上記実施形態では、プロジェクター1は、図1に示した光学部品及びレイアウトを有する画像投射装置3を備え、画像投射装置3は、図2に示した光源装置4を有するものとした。しかしながら、これに限らず、画像投射装置3が有する光学部品の構成及びレイアウトは、適宜変更可能であり、光源装置4が有する光学部品の構成及びレイアウトは、適宜変更可能である。例えば、光源装置4が有する波長変換素子45は、波長変換層452にて生成した蛍光を、青色光の入射側に出射する反射型の波長変換素子であるが、青色光の入射方向に沿って蛍光を出射する透過型の波長変換素子を、光源装置に採用してもよい。
【0081】
上記実施形態では、光源装置4の光源41は、半導体レーザーによって構成される発光素子412を有するとした。しかしながら、これに限らず、光源装置4は、超高圧水銀ランプ等の光源ランプや、LED等の他の固体光源を、光源として有するものであってもよい。また、光源装置4は、赤、緑及び青の色光をそれぞれ出射するLDやLED等の他の固体光源や光源ランプを、光源として有するものであってもよい。この場合、冷却部6の冷却対象は、他の固体光源や光源ランプを含んでいてもよい。
【0082】
上記実施形態では、プロジェクター1は、3つの光変調装置343B,343G,343Rを備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本開示を適用可能である。
上記実施形態では、光変調装置343は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルであるとした。しかしながら、これに限らず、光変調装置として、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
【0083】
上記実施形態では、本開示の光源装置を備える構成として、プロジェクター1を例示した。しかしながら、これに限らず、光源装置は、単体で利用できる他、プロジェクター以外の電子機器や装置に本開示の光源装置を適用してもよい。
【0084】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
本開示の第1態様に係る光源装置は、光を出射する第1光学素子と、光を出射する第2光学素子と、前記第1光学素子及び前記第2光学素子が固定され、前記第1光学素子及び前記第2光学素子を支持する支持部材と、前記第1光学素子と熱伝達可能に接続される第1放熱部材と、前記第2光学素子の熱が伝達される第2放熱部材と、前記第2光学素子の熱を前記第2放熱部材に輸送する熱輸送部材と、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材の両方に冷却気体を送出する冷却ファンと、を備え、前記第1放熱部材は、前記第1光学素子から出射される光の出射方向とは反対側に配置され、前記第2放熱部材は、間隔を空けて前記第1放熱部材と隣り合って配置され、前記第2放熱部材の少なくとも一部は、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材に送出される前記冷却気体の流通方向に沿って見た場合、前記第1放熱部材と重なっている。
【0085】
このような構成によれば、第1光学素子の熱が伝達される第1放熱部材と、第2光学素子の熱が伝達される第2放熱部材とが、間隔を空けて配置されているので、第1放熱部材と第2放熱部材との冷却のバランス、ひいては、第1光学素子と第2光学素子との冷却のバランスを調整しやすくすることができる。
また、第2放熱部材の少なくとも一部は、第1放熱部材及び第2放熱部材に送出される冷却気体の流通方向に沿って見て、第1放熱部材と重なっている。このことから、冷却気体を第1放熱部材及び第2放熱部材のそれぞれに流通させることができる。従って、第1放熱部材及び第2放熱部材を冷却でき、ひいては、第1光学素子及び第2光学素子を冷却できる。更に、冷却気体の流通方向に沿って見て、第1放熱部材及び第2放熱部材が互いに重ならずに離間して配置されている場合に比べて、光源装置が大型化することを抑制できる。
【0086】
上記第1態様では、前記第1光学素子の発熱量は、前記第2光学素子の発熱量よりも大きくてもよい。
このような構成によれば、熱輸送部材は、第1光学素子の発熱量に比べて発熱量が小さい第2光学素子の熱を第2放熱部材に輸送することとなる。これによれば、熱輸送部材が、発熱量が大きい第1光学素子の熱を輸送する場合に比べて、光学素子の冷却に必要な熱輸送部材の数を減らすことができる。従って、光源装置の製造コストが増大することを抑制できるとともに、光源装置の大型化を抑制できる。
【0087】
上記第1態様では、前記第1放熱部材の表面積は、前記第2放熱部材の表面積よりも大きくてもよい。
このような構成によれば、第2放熱部材に比べて伝達される熱量が大きい第1放熱部材を冷却気体によって冷却しやすくすることができる。すなわち、第1放熱部材に伝達された熱と、第1放熱部材に流通する冷却気体との間の熱交換を促進できる。従って、第1放熱部材、ひいては、第1光学素子の冷却効率を高めることができる。
【0088】
上記第1態様では、前記第2放熱部材は、前記第1放熱部材に対して前記流通方向の上流側に配置されていてもよい。
このような構成によれば、第1放熱部材を流通した後の冷却気体ではなく、温度が比較的低い冷却気体を第2放熱部材に流通させることができる。これによれば、第2放熱部材を効果的に冷却でき、ひいては、第2光学素子を効果的に冷却できる。特に、第2光学素子の冷却の要求が、第1光学素子の冷却の要求に比べて高い場合に、第2光学素子を効果的に冷却できることにより、光源装置を安定して使用できる。
【0089】
上記第1態様では、前記第1光学素子は、光を出射する光源であり、前記第2光学素子は、前記光源から出射され第1波長帯を有する光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する光に変換する波長変換素子であってもよい。
このような構成によれば、光源と波長変換素子との冷却のバランスを調整しやすくすることができるとともに、光源及び波長変換素子の冷却効率を高めることができる。
【0090】
上記第1態様では、前記第1放熱部材を挟んで前記第2放熱部材を前記支持部材に取り付ける取付部材を備えていてもよい。
このような構成によれば、第1光学素子、第2光学素子及び第1放熱部材が支持される支持部材に、第1放熱部材に対して冷却気体の流通方向の上流側に位置するように、第2放熱部材を取り付けることができる。従って、第2放熱部材を安定して配置できる。
【0091】
上記第1態様では、前記第1放熱部材は、前記流通方向に交差する方向から見て外縁の一部が切り欠かれた凹部を有し、前記第2放熱部材は、前記凹部に配置されていてもよい。
このような構成によれば、第1放熱部材及び第2放熱部材をコンパクトに配置できる。従って、光源装置の大型化を抑制できる。
【0092】
上記第1態様では、前記流通方向に沿って見て、前記第1放熱部材の一部は、前記第2放熱部材に対してずれて配置されていてもよい。
このような構成によれば、第2放熱部材に流通しない冷却気体を第1放熱部材に流通させることができる。すなわち、第2放熱部材だけでなく、第1放熱部材にも、比較的温度が低い冷却気体を流通させることができる。従って、第1放熱部材の冷却効率を高めることができ、ひいては、第1光学素子の冷却効率を高めることができる。
【0093】
上記第1態様では、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材を覆い、前記冷却ファンから送出された前記冷却気体を、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材に流通させるダクトを備えていてもよい。
このような構成によれば、冷却ファンから送出された冷却気体を第1放熱部材及び第2放熱部材に効率よく流通させることができる。このため、ダクトが設けられていない場合のように、第1放熱部材及び第2放熱部材に流通する冷却気体が拡散してしまうことを抑制できる。従って、第1放熱部材及び第2放熱部材の冷却効率、ひいては、第1光学素子及び第2光学素子の冷却効率を高めることができる。
【0094】
上記第1態様では、前記ダクトは、前記流通方向に対して交差する交差方向に開口し、前記冷却ファンから送出されて前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材を冷却した前記冷却気体を排出する開口部を有し、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材は、前記流通方向に沿って見て前記交差方向に沿って延出する複数のフィンを有していてもよい。
このような構成によれば、第1放熱部材及び第2放熱部材を流通した冷却気体の流通方向は、開口部に向かう方向に変化される。これによれば、流通方向が変更されずに、第1放熱部材及び第2放熱部材を冷却した冷却気体が直進する場合に比べて、光源装置の大型化を抑制できる。
このとき、複数のフィンの延出方向が開口部に向かう方向に沿うので、複数のフィンの間を冷却気体が流通しやすくすることができるとともに、複数のフィンによって熱を帯びた冷却気体を排出しやすくすることができる。従って、各放熱部材の冷却効率、ひいては、各光学素子の冷却効率を高めることができる。
【0095】
本開示の第2態様に係るプロジェクターは、上記光源装置と、前記光源装置から出射された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
このような構成によれば、第1態様に係る光源装置と同様の効果を奏することができる。更に、光源装置を安定して点灯させることができるので、プロジェクターを安定して動作させることができる。また、第1光学素子及び第2光学素子の長寿命化を図ることができるので、プロジェクターの長寿命化を図ることができる。
【符号の説明】
【0096】
1…プロジェクター、343(343B,343G,343R)…光変調装置、36…投射光学装置、4…光源装置、41…光源(第1光学素子)、45…波長変換素子(第2光学素子)、5…支持部材、6…冷却部、61…ダクト、612…開口部、62…第1放熱部材、622…フィン、623…凹部、63…第2放熱部材、633…フィン、64…熱輸送部材、65…冷却ファン、66…取付部材、DR…流通方向。
図1
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図10