(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ポリエーテル樹脂
(51)【国際特許分類】
C08G 65/38 20060101AFI20240910BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20240910BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240910BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240910BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240910BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08G65/38
G03F7/038 501
G03F7/027 502
G03F7/20 501
H05K3/28 D
H05K3/28 F
H05K3/46 T
(21)【出願番号】P 2024503262
(86)(22)【出願日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2023006758
(87)【国際公開番号】W WO2023163111
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2022028105
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 将毅
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-041184(JP,A)
【文献】特表2020-532612(JP,A)
【文献】特開2022-025704(JP,A)
【文献】特開2022-025705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G65/00- 67/48
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
G03F 7/00- 7/42
H05K 3/28
H05K 3/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO
2、-COH、-R、-OR、-COR、-COOR、-CONHR、-CONR
2、-SR、-SOR、又は-SO
2Rを示し、R
1及びR
2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、置換基を示し;
環X
1及び環X
2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭素環を示し;
Yは、単結合、又は有機基を示し;
aは、0、又は1を示し;
p及びqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリエーテル樹脂。
【請求項2】
式(3):
【化2】
[式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、-R、-COR、又は-COORを示し、R
1及びR
2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;
R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、置換基を示し;
R
A及びR
Bは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R
A及びR
Bは一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
a及びbは、それぞれ独立して、0、又は1を示し;
p、q、r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。]
で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載のポリエーテル樹脂。
【請求項3】
aが0である場合、
sが1以上であり、且つR
6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが0である場合、
r及びsの合計が1以上であり、且つR
5及びR
6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが1である場合、
(1)r及びsの合計が1以上であり、且つR
5及びR
6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり、且つ/或いは
(2-1)R
A及びR
Bが水素原子、若しくはアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4以上のアルキル基であるか、又は(2-2)R
A及びR
Bが一緒になって結合し、アルキル基で置換されていてもよい5員以上の単環系の非芳香族飽和炭素環、若しくはアルキル基で置換されていてもよい6員以上の二環系以上の非芳香族飽和炭素環を形成する、請求項2に記載のポリエーテル樹脂。
【請求項4】
重量平均分子量が、5,000以上である、請求項1に記載のポリエーテル樹脂。
【請求項5】
誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.012以下である、請求項1に記載のポリエーテル樹脂。
【請求項6】
請求項1に記載のポリエーテル樹脂を含む絶縁材料。
【請求項7】
請求項1に記載のポリエーテル樹脂、及び硬化性架橋剤を含む樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のポリエーテル樹脂、光硬化性架橋剤、及び光重合開始剤を含む樹脂組成物。
【請求項9】
さらに光増感剤を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
支持体と、当該支持体上に設けられた請求項7~9の何れか1項に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
【請求項11】
請求項7~9の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体パッケージ基板。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
【請求項13】
下記工程(I)~(III)をこの順に含む半導体パッケージ基板の製造方法。
(I)回路基板上に、請求項8又は9に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を形成する工程
(II)樹脂組成物層に活性光線を照射する工程
(III)樹脂組成物層を現像する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に広く使用されているプリント配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、薄型化や回路の微細配線化が求められている。
【0003】
プリント配線板の製造技術としては、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させて形成される。このような樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示される樹脂組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年通信機器における通信の高速化、大容量化に伴い、通信機器の半導体パッケージ基板の製造に使用される樹脂は、誘電正接がより低い、即ち誘電特性により優れることが求められている。また、さらなる精密性の確保のため、半導体パッケージ基板の製造に使用される樹脂組成物は、より優れた解像性が求められている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、誘電特性に優れる樹脂を提供することを目的とする。また、より優れた解像性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、誘電特性に優れたポリエーテル樹脂を新たに見出し、本発明を完成するに至った。また、このようなポリエーテル樹脂を使用した樹脂組成物がより優れた解像性を備えることも見出した。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 式(1):
【0009】
【0010】
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-OR、-COR、-COOR、-CONHR、-CONR2、-SR、-SOR、又は-SO2Rを示し、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;
R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基を示し;
環X1及び環X2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭素環を示し;
Yは、単結合、又は有機基を示し;
aは、0、又は1を示し;
p及びqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリエーテル樹脂。
[2] 式(3):
【0011】
【0012】
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-R、-COR、又は-COORを示し、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;
R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換基を示し;
RA及びRBは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
a及びbは、それぞれ独立して、0、又は1を示し;
p、q、r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。]
で表される繰り返し単位を有する、上記[1]に記載のポリエーテル樹脂。
[3] aが0である場合、
sが1以上であり、且つR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが0である場合、
r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが1である場合、
(1)r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり、且つ/或いは
(2-1)RA及びRBが水素原子、若しくはアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4以上のアルキル基であるか、又は(2-2)RA及びRBが一緒になって結合し、アルキル基で置換されていてもよい5員以上の単環系の非芳香族飽和炭素環、若しくはアルキル基で置換されていてもよい6員以上の二環系以上の非芳香族飽和炭素環を形成する、上記[2]に記載のポリエーテル樹脂。
[4] 重量平均分子量が、5,000以上である、上記[1]~[3]の何れかに記載のポリエーテル樹脂。
[5] 誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.012以下である、上記[1]~[4]の何れかに記載のポリエーテル樹脂。
[6] 上記[1]~[5]の何れかに記載のポリエーテル樹脂を含む絶縁材料。
[7] 上記[1]~[5]の何れかに記載のポリエーテル樹脂、及び硬化性架橋剤を含む樹脂組成物。
[8] 上記[1]~[5]の何れかに記載のポリエーテル樹脂、光硬化性架橋剤、及び光重合開始剤を含む樹脂組成物。
[9] さらに光増感剤を含む、上記[8]に記載の樹脂組成物。
[10] 支持体と、当該支持体上に設けられた上記[7]~[9]の何れかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
[11] 上記[7]~[9]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む半導体パッケージ基板。
[12] 上記[11]に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
[13] 下記工程(I)~(III)をこの順に含む半導体パッケージ基板の製造方法。
(I)回路基板上に、上記[8]又は[9]に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を形成する工程
(II)樹脂組成物層に活性光線を照射する工程
(III)樹脂組成物層を現像する工程
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誘電特性に優れたポリエーテル樹脂を提供することができる。また、より優れた解像性を有する樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0015】
<ポリエーテル樹脂>
本発明のポリエーテル樹脂は、式(1):
【0016】
【0017】
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-OR、-COR、-COOR、-CONHR、-CONR2、-SR、-SOR、又は-SO2Rを示し、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;
R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基を示し;
環X1及び環X2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭素環を示し;
Yは、単結合、又は有機基を示し;
aは、0、又は1を示し;
p及びqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。]
で表される繰り返し単位を有する。このようなポリエーテル樹脂は、より優れた誘電特性を有する。したがって、プリント配線板などにおける絶縁材料として好適に使用することができる。
【0018】
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-OR、-COR、-COOR、-CONHR、-CONR2、-SR、-SOR、又は-SO2Rを示し、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0019】
R1及びR2は、一実施形態において、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-COR、-COOR、-CONHR、又は-CONR2であり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0020】
R1及びR2は、一実施形態において、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-COR、又は-COORであり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0021】
R1及びR2は、一実施形態において、さらに好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、-R、-COR、又は-COORであり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0022】
R1及びR2は、一実施形態において、特に好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、-COR、又は-COORであり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0023】
R1及びR2が形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx、=O等の1価の置換基又は2価の置換基が挙げられる。
【0024】
Rxは、それぞれ独立して、(1)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジ(アルキル)アミノ基、アルケニルアミノ基、アルキルアルケニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルケニルカルボニルアミノ基、アルキルカルバモイル基、及びアルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;(2)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジ(アルキル)アミノ基、アルケニルアミノ基、アルキルアルケニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルケニルカルボニルアミノ基、アルキルカルバモイル基、及びアルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は(3)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジ(アルキル)アミノ基、アルケニルアミノ基、アルキルアルケニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルケニルカルボニルアミノ基、アルキルカルバモイル基、及びアルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基である。
【0025】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。
【0026】
アルキル基とは、直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の炭素数は、特に指定がない限り、1~18が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0027】
アルケニル基とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基の炭素数は、特に指定がない限り、2~18が好ましく、2~10がより好ましく、2~6がさらに好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基等)等が挙げられる。
【0028】
アリール基とは、芳香族炭素環の1個の水素原子を除いてなる1価の芳香族炭化水素基を意味する。アリール基の炭素数は、特に指定がない限り、6~18が好ましく、6~10が特に好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
【0029】
アラルキル基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアリール基で置換されたアルキル基を意味する。アラルキル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロシンナミル基、α-メチルベンジル基、α-クミル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0030】
アルキル置換アリール基とは、1個又は2個以上のアルキル基で置換されたアリール基を意味する。アルキル置換アリール基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アルキル置換アリール基としては、例えば、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、2-エチルフェニル基等が挙げられる。
【0031】
アルケニル置換アリール基とは、1個又は2個以上のアルケニル基で置換されたアリール基を意味する。アルケニル置換アリール基の炭素数は、特に指定がない限り、8~20が好ましく、8~12が特に好ましい。アルケニル置換アリール基としては、例えば、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、2-ビニルフェニル基、2,4-ジビニルフェニル基、3,5-ジビニルフェニル基、4-イソプロペニルフェニル基、3-イソプロペニルフェニル基、2-イソプロペニルフェニル基、4-アリルフェニル基等が挙げられる。
【0032】
アルコキシ基とは、アルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs1-O-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルコキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、1~18が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
アルケニルオキシ基とは、アルケニル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs2-O-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、2~18が好ましく、2~10がより好ましく、2~6がさらに好ましい。アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基(アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基)等が挙げられる。
【0034】
アリールオキシ基とは、アリール基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs3-O-(Rs3はアリール基)で表される基)を意味する。アリールオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、6~18が好ましく、6~10が特に好ましい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフトキシ基、2-ナフトキシ基等が挙げられる。
【0035】
アラルキルオキシ基とは、アラルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs4-O-(Rs4はアラルキル基)で表される基)を意味する。アラルキルオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α-メチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
アルキルカルボニル基とは、アルキル基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs1-C(=O)-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルキルカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基等が挙げられる。
【0037】
アルケニルカルボニル基とは、アルケニル基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs2-C(=O)-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、3~19が好ましく、3~11がより好ましく、3~7がさらに好ましい。アルケニルカルボニル基としては、例えば、ビニルカルボニル基、プロペニルカルボニル基(アリルカルボニル基、1-プロペニルカルボニル基、イソプロペニルカルボニル基)等が挙げられる。
【0038】
アリールカルボニル基とは、アリール基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs3-C(=O)-(Rs3はアリール基)で表される基)を意味する。アリールカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基等が挙げられる。
【0039】
アラルキルカルボニル基とは、アラルキル基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs4-C(=O)-(Rs4はアラルキル基)で表される基)を意味する。アラルキルカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アラルキルカルボニル基としては、例えば、ベンジルカルボニル基、α-メチルベンジルカルボニル基等が挙げられる。
【0040】
アルキルカルボニルオキシ基とは、アルキルカルボニル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs1-C(=O)-O-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルキルカルボニルオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基等が挙げられる。
【0041】
アルケニルカルボニルオキシ基とは、アルケニルカルボニル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs2-C(=O)-O-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルカルボニルオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、3~19が好ましく、3~11がより好ましく、3~7がさらに好ましい。アルケニルカルボニルオキシ基としては、例えば、ビニルカルボニルオキシ基、プロペニルカルボニルオキシ基(アリルカルボニルオキシ基、1-プロペニルカルボニルオキシ基、イソプロペニルカルボニルオキシ基)等が挙げられる。
【0042】
アリールカルボニルオキシ基とは、アリールカルボニル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs3-C(=O)-O-(Rs3はアリール基)で表される基)を意味する。アリールカルボニルオキシ基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基、1-ナフトイルオキシ基、2-ナフトイルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
アラルキルカルボニルオキシ基とは、アラルキルカルボニル基が酸素原子に結合してなる1価の基(すなわちRs4-C(=O)-O-(Rs4はアラルキル基)で表される基)を意味する。アラルキルカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アラルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンジルカルボニルオキシ基、α-メチルベンジルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
アルコキシカルボニル基とは、アルコキシ基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs1-O-C(=O)-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルコキシカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
【0045】
アルケニルオキシカルボニル基とは、アルケニルオキシ基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs2-O-C(=O)-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルオキシカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、3~19が好ましく、3~11がより好ましく、3~7がさらに好ましい。アルケニルオキシカルボニル基としては、例えば、ビニルオキシカルボニル基、プロペニルオキシカルボニル基(アリルオキシカルボニル基、1-プロペニルオキシカルボニル基、イソプロペニルオキシカルボニル基)等が挙げられる。
【0046】
アリールオキシカルボニル基とは、アリールオキシ基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs3-O-C(=O)-(Rs3はアリール基)で表される基)を意味する。アリールオキシカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、1-ナフトキシカルボニル基、2-ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0047】
アラルキルオキシカルボニル基とは、アラルキルオキシ基がカルボニル基の一方に結合してなる1価の基(すなわちRs4-O-C(=O)-(Rs4はアラルキル基)で表される基)を意味する。アラルキルカルボニル基の炭素数は、特に指定がない限り、7~19が好ましく、7~11が特に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、α-メチルベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0048】
アルキルアミノ基とは、アルキル基でモノ置換されたアミノ基(すなわちRs1-NH-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルキルアミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、1~18が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。アルキルアミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基等が挙げられる。ジ(アルキル)アミノ基とは、アルキル基でジ置換されたアミノ基(すなわち(Rs1-)2N-(Rs1は独立してアルキル基)で表される基)を意味する。ジ(アルキル)アミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、2~18が好ましく、2~10がより好ましく、2~6がさらに好ましい。ジ(アルキル)アミノ基としては、例えば、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0049】
アルケニルアミノ基とは、アルケニル基でモノ置換されたアミノ基(すなわちRs2-NH-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルアミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルケニルアミノ基としては、例えば、N-ビニルアミノ基、N-アリルアミノ基等が挙げられる。アルキルアルケニルアミノ基とは、アルキル基及びアルケニル基の両方で置換されたアミノ基(すなわち(Rs1-)(Rs2-)N-(Rs1はアルキル基、Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルキルアルケニルアミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、3~19が好ましく、3~11がより好ましく、3~7がさらに好ましい。アルキルアルケニルアミノ基としては、例えば、N-メチル-N-ビニルアミノ基、N-アリル-N-メチルアミノ基等が挙げられる。
【0050】
アルキルカルボニルアミノ基とは、アルキルカルボニル基でモノ置換されたアミノ基(すなわちRs1-C(=O)-NH-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルキルカルボニルアミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルキルカルボニルアミノ基としては、例えば、N-アセチルアミノ基、N-プロパノイルアミノ基、N-ブタノイルアミノ基等が挙げられる。
【0051】
アルケニルカルボニルアミノ基とは、アルケニルカルボニル基でモノ置換されたアミノ基(すなわちRs2-C(=O)-NH-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルカルボニルアミノ基の炭素数は、特に指定がない限り、3~20が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルケニルカルボニルアミノ基としては、例えば、N-ビニルカルボニルアミノ基、N-アリルカルボニルアミノ基、N-(1-プロペニルカルボニル)アミノ基、N-イソプロペニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0052】
アルキルカルバモイル基とは、アルキル基でモノ置換されたカルバモイル基(すなわちRs1-NH-C(=O)-(Rs1はアルキル基)で表される基)を意味する。アルキルカルバモイル基の炭素数は、特に指定がない限り、2~19が好ましく、2~11がより好ましく、2~7がさらに好ましい。アルキルカルバモイル基としては、例えば、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基等が挙げられる。
【0053】
アルケニルカルバモイル基とは、アルケニル基でモノ置換されたカルバモイル基(すなわちRs2-NH-C(=O)-(Rs2はアルケニル基)で表される基)を意味する。アルケニルカルバモイル基の炭素数は、特に指定がない限り、3~20が好ましく、3~12がより好ましく、3~8がさらに好ましい。アルケニルカルバモイル基としては、例えば、N-ビニルカルバモイル基、N-アリルカルバモイル基等が挙げられる。
【0054】
非芳香環とは、環全体に芳香族性を有する芳香環以外の環を意味する。非芳香環は、炭素原子のみを環構成原子とする非芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する非芳香族複素環であり得る。非芳香環は、単環式の非芳香環であっても、多環式の非芳香環であってもよく、一部に芳香環が縮合して部分的に芳香族性を有する縮合環も含む。非芳香環は、単結合のみからなる飽和環であっても、単結合に加えて二重結合を有する不飽和環であってもよい。非芳香環は、3~21員の非芳香環が好ましく、4~18員の非芳香環がより好ましく、5~14員の非芳香環がさらに好ましい。
【0055】
R1及びR2が形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「非芳香環」の好適な具体例としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、1,3-シクロヘキサジエン環、1,4-シクロヘキサジエン環等の単環式の非芳香族炭素環;1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキソラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、2,3-ジヒドロ-2H-ピラン環、4,5-ジヒドロ-2H-ピラン環、2H-ピラン環、4H-ピラン環、2,3-ジヒドロフラン環、2,5-ジヒドロフラン環等の単環式の非芳香族複素環等が挙げられる。
【0056】
R1及びR2が「置換基を有していてもよい非芳香環」を形成している場合、式(A):
【0057】
【0058】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される部分構造は、一実施形態において、式(AA1)~(AA10):
【0059】
【0060】
[式中、
A1及びA2は、それぞれ独立して、-CO-又は-CRaRb-を示し;
B1及びB2は、それぞれ独立して、-O-、-NRc-又は-CRaRb-を示し;
C1は、-O-又は-NRc-を示し;
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を示し、隣り合う炭素原子に結合した2個のRaが一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環、又は置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、同一炭素原子に結合したRa及びRbが一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい;
Rcは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。]
で表される構造であることが好ましく;式(AA1)又は(AA3)で表される構造であることがより好ましく;式(Aa1)~(Aa5):
【0061】
【0062】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される構造であることが特に好ましい。
【0063】
A1及びA2は、それぞれ独立して、-CO-又は-CRaRb-を示し;一実施形態において、好ましくは、-CRaRb-である。
【0064】
B1及びB2は、それぞれ独立して、-O-、-NRc-又は-CRaRb-を示し;一実施形態において、好ましくは、-O-又は-CRaRb-である。
【0065】
C1は、-O-又は-NRc-を示し;一実施形態において、好ましくは、-O-である。
【0066】
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を示し、隣り合う炭素原子に結合した2個のRaが一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環、又は置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、同一炭素原子に結合したRa及びRbが一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0067】
Ra及びRb又は2個のRaが形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「非芳香環」の好適な具体例としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環等の単環系の非芳香族飽和炭素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(ノルボルナン環)、ビシクロ[4.4.0]デカン環(デカリン環)、ビシクロ[5.3.0]デカン環、ビシクロ[4.3.0]ノナン環(ヒドリンダン環)、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[5.4.0]ウンデカン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環(テトラヒドロジシクロペンタジエン環)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン環(アダマンタン環)、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環等の二環系以上の非芳香族飽和炭素環;インダン環、インデン環、テトラリン環、1,2-ジヒドロナフタレン環、1,4-ジヒドロナフタレン環、フルオレン環、9,10-ジヒドロアントラセン環、9,10-ジヒドロフェナントレン環等の一部に芳香環(ベンゼン環又はナフタレン環等)が縮合した非芳香族炭素環等が挙げられる。
【0068】
Ra及びRbが示す「置換基」及び2個のRaが形成する「置換基を有していてもよい芳香環」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0069】
Ra及びRb又は2個のRaが形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx、=O等の1価の置換基又は2価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0070】
芳香環とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4p+2個(pは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味する。芳香環は、炭素原子のみを環構成原子とする芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり得る。芳香環は、単環式の芳香環であっても、多環式の芳香環であってもよい。芳香環は、一実施形態において、5~14員の芳香環が好ましく、6~14員の芳香環がより好ましく、6~10員の芳香環がさらに好ましい。
【0071】
2個のRaが形成する「置換基を有していてもよい芳香環」における「芳香環」としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
【0072】
Ra及びRbは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はアラルキルオキシカルボニル基であり;より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基であり;さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、又はアルケニル置換アリール基であり;特に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。
【0073】
Rcは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
【0074】
Rcが示す「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」及びRcが示す「置換基を有していてもよいアルケニル基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0075】
Ryは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジ(アルキル)アミノ基、アルケニルアミノ基、アルキルアルケニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルケニルカルボニルアミノ基、アルキルカルバモイル基、及びアルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基である。
【0076】
Rcが示す「置換基を有していてもよいアリール基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0077】
Rcは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、又はアルケニル置換アリール基であり;特に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。
【0078】
R1及びR2が「置換基を有していてもよい非芳香環」を形成していない場合、式(A):
【0079】
【0080】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される部分構造は、一実施形態において、式(Ab1)~(Ab10):
【0081】
【0082】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される構造であることが特に好ましい。
【0083】
Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
【0084】
Rが示す「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」及びRが示す「置換基を有していてもよいアルケニル基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rx及びRyは上記の通り)。
【0085】
Rが示す「置換基を有していてもよいアリール基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0086】
Rは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、
(1)ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;
(2)ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は
(3)ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアリール基である(Rx及びRyは上記の通り)。
【0087】
Rは、一実施形態において、それぞれ独立して、より好ましくは、
(1)-Ry、-CORx、-ORx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;
(2)-Ry、-CORx、-ORx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は
(3)-Rx、-CORx、-ORx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、及び-NHCORxから選ばれる基で置換されていてもよいアリール基である(Rx及びRyは上記の通り)。
【0088】
Rは、一実施形態において、それぞれ独立して、さらに好ましくは、
(1)(a)アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びジ(アルキル)アミノ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、(i)アルケニルオキシカルボニル基、(j)ジ(アルキル)アミノ基、(k)アルキルカルボニルアミノ基、(l)アルケニルカルボニルアミノ基、(m)アルキルカルバモイル基、及び(n)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;
(2)(a)アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びジ(アルキル)アミノ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、(i)アルケニルオキシカルボニル基、(j)ジ(アルキル)アミノ基、(k)アルキルカルボニルアミノ基、(l)アルケニルカルボニルアミノ基、(m)アルキルカルバモイル基、及び(n)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は
(3)(a)アルキル基、及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルキル基、(c)アルケニル基、(d)アルコキシ基、(e)アルケニルオキシ基、(f)アルキルカルボニル基、(g)アルケニルカルボニル基、(h)アルキルカルボニルオキシ基、(i)アルケニルカルボニルオキシ基、(j)アルキルオキシカルボニル基、(k)アルケニルオキシカルボニル基、(l)ジ(アルキル)アミノ基、(m)アルキルカルボニルアミノ基、(n)アルケニルカルボニルアミノ基、(o)アルキルカルバモイル基、及び(p)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基
である。
【0089】
Rは、一実施形態において、それぞれ独立して、特に好ましくは、
(1)(a)アリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、及び(i)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;
(2)(a)アリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、及び(i)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は
(3)(a)アリール基、(b)アルキル基、(c)アルケニル基、(d)アルコキシ基、(e)アルケニルオキシ基、(f)アルキルカルボニル基、(g)アルケニルカルボニル基、(h)アルキルカルボニルオキシ基、(i)アルケニルカルボニルオキシ基、(j)アルキルオキシカルボニル基、及び(k)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基
である。
【0090】
式(A):
【0091】
【0092】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される部分構造の具体例としては、特に限定されるものではないが、式(A-1)~(A-437):
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
で表される構造が挙げられる。
【0112】
R3及びR4は、それぞれ独立して、置換基を示す。
【0113】
R3及びR4が示す「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0114】
R3及びR4は、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基であり;より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、又はアルケニル置換アリール基であり;さらに好ましくは、アルキル基であり;さらにより好ましくは、炭素数4以上のアルキル基であり;なお一層より好ましくは、炭素数4~14のアルキル基であり;特に好ましくは、tert-ブチル基である。
【0115】
環X1及び環X2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭素環を示す。
【0116】
芳香族炭素環とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4p+2個(pは自然数)であるヒュッケル則に従う炭化水素環を意味する。芳香族炭素環は、炭素原子のみを環構成原子とする。芳香族炭素環は、単環式の芳香族炭素環であっても、多環式の縮合芳香族炭素環であってもよい。芳香族炭素環は、一実施形態において、6~18員の芳香族炭素環が好ましく、6~14員の芳香族炭素環がより好ましく、6~10員の芳香族炭素環がさらに好ましい。
【0117】
環X1及び環X2を示す「置換基を有していてもよい芳香族炭素環」における「芳香族炭素環」としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
【0118】
環X1及び環X2を示す「置換基を有していてもよい芳香族炭素環」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0119】
環X1及び環X2は、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、(1)アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環、又は(2)アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいナフタレン環であり;より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環であり;さらに好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、及びアルケニル置換アリール基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環;特に好ましくは、アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環である。
【0120】
Yは、単結合、又は有機基を示す。
【0121】
有機基とは、特に限定されるものではないが、一実施形態において、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる1個以上(例えば1~100個、好ましくは1~50個、特に好ましくは1~20個)の骨格原子で構成された2価の基であり、非骨格原子は水素原子、又はハロゲン原子で構成され、直鎖構造、分岐鎖構造及び/又は環状構造を含み得、芳香環を含まない基であっても、芳香環を含む基であってもよい。有機基としては、例えば、-CRARB-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-等が挙げられる(ただし、RA及びRBは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。)。
【0122】
aは、0、又は1を示す。
【0123】
p及びqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示し;一実施形態において、好ましくは、0、1、2、又は3であり;より好ましくは、0、1、又は2であり;さらに好ましくは、0、又は1であり;特に好ましくは、0である。
【0124】
式(B):
【0125】
【0126】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される部分構造は、一実施形態において、式(Ba):
【0127】
【0128】
[式中、
Y1は、単結合、-CRARB-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;
RA及びRBは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換基を示し;
r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示し;
その他は上記の通り。]
で表される構造であることが好ましく、式(Bb):
【0129】
【0130】
[式中、
bは、0、又は1を示し;
その他の記号は、上記の通り。]
で表される構造であることが特に好ましい。
【0131】
Y1は、単結合、-CRARB-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;一実施形態において、好ましくは、単結合、-CRARB-、又は-O-であり;より好ましくは、単結合、又は-CRARB-であり;特に好ましくは、-CRARB-である。
【0132】
RA及びRBは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0133】
RA及びRBが形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「非芳香環」の好適な具体例としては、Ra及びRb又は2個のRaが形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「非芳香環」の好適な具体例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0134】
RA及びRBが示す「置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rx及びRyは上記の通り)。
【0135】
RA及びRBが示す「置換基を有していてもよいアリール基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0136】
RA及びRBが形成する「置換基を有していてもよい非芳香環」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx、=O等の1価の置換基又は2価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0137】
RA及びRBは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、アリール基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基、又は(3)ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、及びオキソ基から選ばれる基で置換されていてもよい非芳香環を形成していてもよい。
【0138】
RA及びRBは、一実施形態において、それぞれ独立して、より好ましくは、(1)水素原子、又は(2)ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、(A)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよい単環系の非芳香族飽和炭素環、(B)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよい二環系以上の非芳香族飽和炭素環、又は(C)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよく且つ一部に芳香環(ベンゼン環又はナフタレン環等)が縮合した非芳香族炭素環を形成していてもよい。
【0139】
RA及びRBは、一実施形態において、それぞれ独立して、さらに好ましくは、水素原子、又はアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4以上のアルキル基であるか、或いはRA及びRBは一緒になって結合し、アルキル基で置換されていてもよい5員以上(好ましくは6員以上)の単環系の非芳香族飽和炭素環、又はアルキル基で置換されていてもよい6員以上の二環系以上の非芳香族飽和炭素環を形成する。
【0140】
RA及びRBは、一実施形態において、それぞれ独立して、さらにより好ましくは、水素原子、又はアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4~18のアルキル基であるか、或いはRA及びRBは一緒になって結合し、炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよい5~18員(好ましくは6~18員)の単環系の非芳香族飽和炭素環を形成する。
【0141】
RA及びRBは、一実施形態において、特に好ましくは、RA及びRBが一緒になって結合し、シクロドデカン環を形成する。
【0142】
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換基を示す。
【0143】
R5及びR6が示す「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Rx、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rxは上記の通り)。
【0144】
R5及びR6は、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基であり;より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、又はアルケニル置換アリール基であり;さらに好ましくは、アルキル基であり;さらにより好ましくは、炭素数4以上のアルキル基であり;なお一層より好ましくは、炭素数4~18のアルキル基であり;特に好ましくは、tert-ブチル基である。
【0145】
R5及びR6は、一実施形態において、好ましくは、R5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;さらに好ましくは、R5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4~18のアルキル基であり;特に好ましくは、R5及びR6のうち少なくとも1個がtert-ブチル基である。
【0146】
r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示し;一実施形態において、好ましくは、0、1、2、又は3であり;より好ましくは、0、1、又は2であり;さらに好ましくは、0、又は1である。
【0147】
bは、0、又は1を示し;一実施形態において、好ましくは、1である。したがって、aが0を示すか、或いはaが1を示し且つbが0又は1を示し;一実施形態において、好ましくは、aが0であるか、或いはaが1であり且つbが1である。
【0148】
式(B):
【0149】
【0150】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される部分構造の具体例としては、特に限定されるものではないが、式(B-1)~(B-41):
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される構造が挙げられる。
【0155】
式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である場合の一実施形態において、好ましくは、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-CN、-NO2、-COH、-R、-COR、又は-COORであり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、(1)(a)アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びジ(アルキル)アミノ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、(i)アルケニルオキシカルボニル基、(j)ジ(アルキル)アミノ基、(k)アルキルカルボニルアミノ基、(l)アルケニルカルボニルアミノ基、(m)アルキルカルバモイル基、及び(n)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;(2)(a)アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びジ(アルキル)アミノ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、(i)アルケニルオキシカルボニル基、(j)ジ(アルキル)アミノ基、(k)アルキルカルボニルアミノ基、(l)アルケニルカルボニルアミノ基、(m)アルキルカルバモイル基、及び(n)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は(3)(a)アルキル基、及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基、(b)アルキル基、(c)アルケニル基、(d)アルコキシ基、(e)アルケニルオキシ基、(f)アルキルカルボニル基、(g)アルケニルカルボニル基、(h)アルキルカルボニルオキシ基、(i)アルケニルカルボニルオキシ基、(j)アルキルオキシカルボニル基、(k)アルケニルオキシカルボニル基、(l)ジ(アルキル)アミノ基、(m)アルキルカルボニルアミノ基、(n)アルケニルカルボニルアミノ基、(o)アルキルカルバモイル基、及び(p)アルケニルカルバモイル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基であり;
R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基であり;
RA及びRBは、それぞれ独立して、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、アリール基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基、又は(3)ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルケニル置換アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、及びオキソ基から選ばれる基で置換されていてもよい非芳香環を形成していてもよく;
a及びbは、それぞれ独立して、0、又は1を示し;
p、q、r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。
【0156】
式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である場合の一実施形態において、より好ましくは、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、-R、-COR、又は-COORであり、R1及びR2は一緒になって結合し、置換基を有していてもよい非芳香環を形成していてもよく;
Rは、それぞれ独立して、(1)(a)アリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、及び(i)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキル基;(2)(a)アリール基、(b)アルコキシ基、(c)アルケニルオキシ基、(d)アルキルカルボニル基、(e)アルケニルカルボニル基、(f)アルキルカルボニルオキシ基、(g)アルケニルカルボニルオキシ基、(h)アルキルオキシカルボニル基、及び(i)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアルケニル基;又は(3)(a)アリール基、(b)アルキル基、(c)アルケニル基、(d)アルコキシ基、(e)アルケニルオキシ基、(f)アルキルカルボニル基、(g)アルケニルカルボニル基、(h)アルキルカルボニルオキシ基、(i)アルケニルカルボニルオキシ基、(j)アルキルオキシカルボニル基、及び(k)アルケニルオキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基であり;
R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキル置換アリール基、又はアルケニル置換アリール基であり;
RA及びRBは、一実施形態において、それぞれ独立して、より好ましくは、(1)水素原子、又は(2)ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、RA及びRBは一緒になって結合し、(A)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよい単環系の非芳香族飽和炭素環、(B)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよい二環系以上の非芳香族飽和炭素環、又は(C)アルキル基、及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよく且つ一部に芳香環(ベンゼン環又はナフタレン環等)が縮合した非芳香族炭素環を形成していてもよく;
a及びbは、それぞれ独立して、0、又は1を示し;
p、q、r及びsは、それぞれ独立して、0、1、2、3、又は4を示す。
【0157】
式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である場合の一実施形態において、好ましくは、
aが0である場合、
sが1以上であり、且つR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが0である場合、
r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり;
aが1であり且つbが1である場合、
(1)r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり、且つ/或いは
(2-1)RA及びRBが水素原子、若しくはアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4以上のアルキル基であるか、又は(2-2)RA及びRBが一緒になって結合し、アルキル基で置換されていてもよい5員以上(好ましくは6員以上)の単環系の非芳香族飽和炭素環、若しくはアルキル基で置換されていてもよい6員以上の二環系以上の非芳香族飽和炭素環を形成する。
【0158】
式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である場合の一実施形態において、より好ましくは、
aが0である場合、
sが1以上であり、且つR6のうち少なくとも1個が炭素数4~18のアルキル基であり;
aが1であり且つbが0である場合、
r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4~18のアルキル基であり;
aが1であり且つbが1である場合、
(1)r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個が炭素数4以上のアルキル基であり、且つ/或いは
(2-1)RA及びRBが水素原子、若しくはアルキル基を示し、且つ少なくとも一方が炭素数4~18のアルキル基であるか、又は(2-2)RA及びRBが一緒になって結合し、炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよい5~18員(好ましくは6~18員)の単環系の非芳香族飽和炭素環を形成する。
【0159】
式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である場合の一実施形態において、特に好ましくは、
aが0である場合、
sが1以上であり、且つR6のうち少なくとも1個がtert-ブチル基であり;
aが1であり且つbが0である場合、
r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個がtert-ブチル基であり;
aが1であり且つbが1である場合、
(1)r及びsの合計が1以上であり、且つR5及びR6のうち少なくとも1個がtert-ブチル基であるか、且つ/或いは
(2)RA及びRBが一緒になって結合し、シクロドデカン環を形成する。
【0160】
本発明のポリエーテル樹脂は、一実施形態において、さらに好ましくは、式(1)において式(B)で表される部分構造が式(Ba)で表される構造である、式(2):
【0161】
【0162】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される繰り返し単位を有する。式(2)における各構造の好適な範囲及び具体例は上記で説明した通りである。
【0163】
本発明のポリエーテル樹脂は、一実施形態において、特に好ましくは、式(1)において式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造である、式(3):
【0164】
【0165】
[式中、各記号は、上記の通り。]
で表される繰り返し単位を有する。式(3)における各構造の好適な範囲及び具体例は上記で説明した通りである。
【0166】
本発明のポリエーテル樹脂は、一実施形態において、最も好ましくは、式(1)において式(A)で表される部分構造が式(Aa1)~(Aa5)又は(Ab1)~(Ab10)で表される構造であり、式(B)で表される部分構造が式(Bb)で表される構造(aが0、或いはaが1且つbが1)である、式(4-1)~(4-30):
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
[式中、各記号は、上記の通り。]
の何れかで表される繰り返し単位を有する。式(4-1)~(4-30)における各構造の好適な範囲及び具体例は上記で説明した通りである。本発明のポリエーテル樹脂分子中における式(1)(さらに好ましくは式(2)、特に好ましくは式(3)、最も好ましくは式(4-1)~(4-30))で表される繰り返し単位の質量割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。
【0176】
本発明のポリエーテル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、一実施形態において、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、特に好ましくは30,000以上である。本発明のポリエーテル樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは300,000以下、特に好ましくは200,000以下である。ポリエーテル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0177】
本発明のポリエーテル樹脂の誘電正接(Df)は、特に限定されるものではないが、5.8GHz、23℃で測定した場合、一実施形態において、好ましくは0.012以下、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.009以下、さらにより好ましくは0.008以下、なお一層より好ましくは0.007以下、特に好ましくは0.006以下である。ポリエーテル樹脂の誘電正接(Df)は、下記試験例A2のように測定することができる。
【0178】
本発明のポリエーテル樹脂の比誘電率(Dk)は、特に限定されるものではないが、5.8GHz、23℃で測定した場合、一実施形態において、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.2以下、さらにより好ましくは3.0以下、なお一層より好ましくは2.9以下、特に好ましくは2.8以下となり得る。ポリエーテル樹脂の比誘電率(Dk)は、下記試験例A2のように測定することができる。
【0179】
本発明のポリエーテル樹脂は、一実施形態において、半導体パッケージ基板の製造において現像液として使用さえ得る有機溶剤に溶解し易い傾向があり得る。現像液として使用される有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの有機溶剤に対する溶解度は、特に限定されるものではないが、例えば、100℃で30質量%以上であり得る。
【0180】
式(1)で表される繰り返し単位を有する本発明のポリエーテル樹脂は、例えば、下記式(1’)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル樹脂(PEEK)に対して、Ph3P=CR1R2〔ただし各記号は上記の通り。〕で表されるウィッティヒ試薬(リンイリド化合物)、又は(RhO)2(O=)P-CHR1R2〔ただしRhはアルキル基、その他の記号は上記の通り。〕で表されるホスホン酸ジエステル化合物を塩基条件下で反応させることにより製造することができる(ウィッティヒ反応又はホーナー・ワズワース・エモンズ反応)。
【0181】
また、式(1)で表される繰り返し単位を有する本発明のポリエーテル樹脂は、式(1)中のR1及びR2が共に-COR又は-COORであるか或いはこれらが一緒になって環を形成している場合、下記式(1’)で表される繰り返し単位を有するPEEKに対して、CH2R1R2〔ただし各記号は上記の通り。〕で表されるβ-ジカルボニル化合物を塩基条件下で反応させることによっても製造することができる(クネーフェナーゲル縮合反応)。
【0182】
また、式(1)で表される繰り返し単位を有する本発明のポリエーテル樹脂は、式(1)中のR1及びR2の一方が水素原子であり且つ他方が-COORである場合、下記式(1’)で表される繰り返し単位を有するPEEKに対して、塩基条件下で、メルドラム酸を反応させた後、R-OHで表されるアルコール化合物を反応させることによっても製造することができる(クネーフェナーゲル縮合反応)。
【0183】
【0184】
[式中、各記号は、上記の通り。]
上記の反応条件としては、ウィッティヒ反応、ホーナー・ワズワース・エモンズ反応、又はクネーフェナーゲル縮合反応の一般的な反応条件をそのまま或いはそれに準ずる反応条件を使用することができる。塩基としては、例えば、ピペラジン、炭酸カリウムなどを用いることができる。また、反応には溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテルなどを用いることができる。反応温度は、-80℃~250℃の範囲内で適宜設定することができる。反応時間は、0.1時間~50時間の範囲内であり得る。また、反応後、公知の方法で精製してもよい。
【0185】
また、式(1’)で表される構造単位に対する上記の反応率は、100mol%未満であってもよく、それにより、本発明のポリエーテル樹脂には、式(1’)で表される繰り返し単位が残存していてもよい。また、式(1’)で表される構造単位に対する上記の反応率は、一実施形態において、好ましくは10mol%以上、より好ましくは20mol%以上、さらに好ましくは30mol%以上、特に好ましくは40mol%以上であり得る。したがって、本発明のポリエーテル樹脂における、式(1’)で表される繰り返し単位の残存率は、一実施形態において、好ましくは90mol%未満、より好ましくは80mol%未満、さらに好ましくは70mol%未満、特に好ましくは60mol%未満であり得る。
【0186】
下記式(1’)で表される繰り返し単位を有するPEEKは、下記式(1’’-a)で表されるジフルオロ化合物もしくはジクロロ化合物、及び下記式(1’’-b)で表されるジヒドロキシ化合物を、塩基条件下で、重合反応させることにより製造することができる。
【0187】
【0188】
[式中、Halは、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子を示し、その他の記号は、上記の通り。]
上記の反応条件としては、重合反応の一般的な反応条件をそのまま或いはそれに準ずる反応条件を使用することができる。塩基としては、例えば、炭酸カリウムなどを用いることができる。また、反応には溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドンなどを用いることができる。反応温度は、100℃~300℃の範囲内で適宜設定することができる。反応時間は、0.1時間~50時間の範囲内であり得る。また、反応後、公知の方法で精製してもよい。
【0189】
また、上記で説明した製造方法では、さらに、脱炭酸反応、脱保護反応、酸化反応、還元反応、ラジカル環化反応、求核置換反応、アルキル化反応、ハロゲン化反応、縮合反応等の公知の反応を組み合わせてもよい。
【0190】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、本発明のポリエーテル樹脂に加えて、硬化性架橋剤を含む。硬化性架橋剤は、例えば、エポキシ基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を2個以上有する化合物であり得る。硬化性架橋剤は、自己重合して硬化するか、或いは硬化剤を架橋して硬化する成分であり得る。このような樹脂組成物は、加熱又は光照射により硬化させることができ得る。このような樹脂組成物は、一実施形態において、より優れた誘電特性を有し得る。
【0191】
本発明の樹脂組成物中の本発明のポリエーテル樹脂の含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1~99質量%、より好ましく5~95質量%、さらに好ましく10~90質量%、さらにより好ましく15~90質量%、なお一層より好ましく30~95質量%、特に好ましくは50~90質量%である。
【0192】
硬化性架橋剤は、光硬化性架橋剤であることが好ましい。したがって、本発明の樹脂組成物は、好適な実施形態において、本発明のポリエーテル樹脂に加えて、光硬化性架橋剤、及び光重合開始剤を含む。このような樹脂組成物は、より優れた解像性を有し得る。
【0193】
光硬化性架橋剤は、例えば、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のラジカル重合性基を2個以上有する化合物であり得る。光硬化性架橋剤としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,3-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。光硬化性架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0194】
本発明の樹脂組成物における本発明のポリエーテル樹脂に対する光硬化性架橋剤の含有量は、特に限定されるものではないが、本発明のポリエーテル樹脂100質量部に対して、好ましくは3~25質量部、より好ましくは5~20質量部、さらに好ましくは8~15質量部である。本発明の樹脂組成物中の光硬化性架橋剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。
【0195】
光重合開始剤としては、例えば、α-アミノケトン系光重合開始剤、ホスフィンオキシド系光重合開始剤、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤等が挙げられる。光重合開始剤は、オキシムエステル系光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0196】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1-オン(OXE01)、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート(OXE02)等が挙げられる。
【0197】
ホスフィンオキシド系光重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ポリオキシエチレングリセリンエーテルトリス[フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート](Polymeric TPO-L)等が挙げられる。
【0198】
α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。
【0199】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンジルケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
【0200】
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-ヘキシルフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-エチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルフェニルメチル)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等が挙げられる。光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0201】
本発明の樹脂組成物における本発明のポリエーテル樹脂に対する光重合開始剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、本発明のポリエーテル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部、さらに好ましくは1~3質量部である。本発明の樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1~10質量%、より好ましく0.5~5質量%、さらに好ましくは1~3質量%である。
【0202】
本発明の樹脂組成物は、さらに光増感剤を含むことが好ましい。
【0203】
光増感剤としては、例えば、式(5):
【0204】
【0205】
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。]
で表される光増感剤を含むことが好ましい。
【0206】
R11、R12、R13、R14及びR15が示す「置換基を有していてもよいアルキル基」及び「置換基を有していてもよいアルコキシ基」における「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-Ry、-CORx、-ORx、-SRx、-SORx、-SO2Rx、-NHRx、-N(Rx)2、-COORx、-OCORx、-CONH2、-CONHRx、-CON(Rx)2、-NHCORx等の1価の置換基が挙げられる(Rx及びRyは上記の通り)。
【0207】
R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、又はアルコキシ基であり;より好ましくは、水素原子、又はヒドロキシ基であり;さらに好ましくは、R11、R12、R14及びR15が水素原子であり且つR13が水素原子、又はヒドロキシ基であり;特に好ましくは、水素原子である。
【0208】
本発明の樹脂組成物における本発明のポリエーテル樹脂に対する光増感剤の含有量は、特に限定されるものではないが、本発明のポリエーテル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~17質量部、さらに好ましくは1~15質量部である。本発明の樹脂組成物中の光増感剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。
【0209】
本発明の樹脂組成物は、さらにその他の添加剤を更に含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤等の熱硬化性樹脂;硬化促進剤;シリカ等の無機充填材;密着助剤;フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;熱可塑性樹脂;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、フェノチアジン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤;エポキシ樹脂、アンチモン化合物、リン系化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤等が挙げられる。その他の添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。各成分の含有量は、当業者が適宜設定することができる。
【0210】
本発明の樹脂組成物は、さらに有機溶剤を含んでいていてもよい。有機溶剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン系溶剤;ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びデカリン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、安息香酸メチル、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等の塩素系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0211】
乾燥前のワニス状の樹脂組成物中の有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、本発明のポリエーテル樹脂100質量部に対して、好ましくは100~5000質量部であり、より好ましくは300~3000質量部であり、さらに好ましくは500~1500質量部である。
【0212】
本発明の樹脂組成物は、各成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー、高速回転ミキサー等の撹拌手段により混練または撹拌することにより、製造することができる。
【0213】
本発明の樹脂組成物は、解像性に優れ得る。したがって、本発明の樹脂組成物は、一実施形態において、露光及び現像を行った場合に形成できるビアホールの最小開口径(最小ビア径)がより小さいという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例B1のように試験した場合の最小開口径は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは18μm以下、さらにより好ましくは15μm以下、なお一層より好ましくは12μm以下、特に好ましくは10μm以下であり得る。
【0214】
本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)は、特に限定されるものではないが、5.8GHz、23℃で測定した場合、一実施形態において、好ましくは0.018以下、0.016以下、0.014以下、0.012以下、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.009以下、さらにより好ましくは0.008以下、なお一層より好ましくは0.007以下、特に好ましくは0.006以下である。樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)は、下記試験例B2のように測定することができる。
【0215】
本発明の樹脂組成物の硬化物の比誘電率(Dk)は、特に限定されるものではないが、5.8GHz、23℃で測定した場合、一実施形態において、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.2以下、さらにより好ましくは3.0以下、なお一層より好ましくは2.9以下、特に好ましくは2.8以下となり得る。樹脂組成物の硬化物の比誘電率(Dk)は、下記試験例B2のように測定することができる。
【0216】
本発明の樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、樹脂フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、絶縁材料、シリコンウェハ、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、バッファーコート膜、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、広範囲に使用できる。なかでも、プリント配線板の絶縁層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたプリント配線板)、層間絶縁層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を層間絶縁層としたプリント配線板)、メッキ形成用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物上にメッキが形成されたプリント配線板)、及びソルダーレジスト用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物をソルダーレジストとしたプリント配線板)、ウェハレベルパッケージの再配線形成層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたウェハレベルパッケージ)、ファンアウトウェハレベルパッケージの再配線形成層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトウェハレベルパッケージ)、ファンアウトパネルレベルパッケージの再配線形成層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を再配線形成層としたファンアウトパネルレベルパッケージ)、バッファーコート用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物をバッファーコートとした半導体装置)、ディスプレイ用絶縁層用の樹脂組成物(樹脂組成物の硬化物を絶縁層としたディスプレイ)として好適に使用することができる。
【0217】
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層を形成するための樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適である。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に、更に再配線層が形成されてもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
【0218】
上述した樹脂組成物は、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも、使用することができる。
【0219】
<絶縁材料>
本発明の絶縁材料は、本発明のポリエーテル樹脂を含む。
【0220】
<樹脂フィルム>
本発明の樹脂フィルムは、支持体と、当該支持体上に設けられた本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を有する。
【0221】
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0222】
また、金属箔を支持体として使用してもよい。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0223】
市販の支持体としては、例えば、王子製紙社製の製品名「アルファンMA-410」、「E-200C」、タマポリ社製の製品名「GF-1」、「GF-8」信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製の製品名「PS-25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これらに限られたものではない。
【0224】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0225】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0226】
樹脂組成物層の厚さは、特に制限は無く、例えば1μm以上100μm以下でありうる。中でも、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0227】
樹脂組成物層は、保護フィルムで保護されていてもよい。樹脂組成物層が保護フィルムで保護されることにより、樹脂組成物層の表面へのゴミの付着やキズを抑制できる。保護フィルムとしては、例えば、上記の支持体と同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1μm~40μmの範囲であることが好ましく、5μm~30μmの範囲であることがより好ましく、10μm~30μmの範囲であることが更に好ましい。保護フィルムは、樹脂組成物層と支持体との接着力に対して、樹脂組成物層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
【0228】
樹脂フィルムは、例えば、ダイコーター等を用いて樹脂組成物を支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0229】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0230】
樹脂フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0231】
<半導体パッケージ基板>
本発明の半導体パッケージ基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。該絶縁層は、再配線形成層、層間絶縁層、バッファーコート膜またはソルダーレジストとして使用することが好ましい。
【0232】
本発明の第1実施形態の半導体パッケージ基板は、本発明の樹脂組成物の第1実施形態である樹脂組成物を用いて製造することができ、樹脂組成物の硬化物は絶縁層として用いられる。具体的には、半導体パッケージ基板の製造方法は、
(I)回路基板上に、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を形成する工程、
(II)樹脂組成物層に活性光線を照射する工程、及び
(III)樹脂組成物層を現像する工程、
をこの順に含む。
【0233】
<工程(I)>
樹脂組成物層の形成方法としては、ワニス状の樹脂組成物を直接的に回路基板上に塗布する方法、及び樹脂フィルムを用いる方法が挙げられる。
【0234】
ワニス状の樹脂組成物を直接的に回路基板上に塗布する場合、乾燥し、有機溶剤を揮発させることにより、回路基板上に樹脂組成物層を形成する。
【0235】
樹脂組成物の塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スプレーコート方式、ディップコート方式、ホットメルトコート方式、バーコート方式、アプリケーター方式、エアナイフコート方式、カーテンフローコート方式、オフセット印刷方式、刷毛塗り方式、スクリーン印刷法による全面印刷方式等が挙げられる。
【0236】
樹脂組成物は、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよく、また異なる方式を複数組み合わせて塗布してもよい。中でも、均一塗工性に優れる、ダイコート方式が好ましい。また、異物混入等をさけるために、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で塗布工程を実施することが好ましい。
【0237】
樹脂組成物を塗布後、必要に応じて熱風炉あるいは遠赤外線炉等で乾燥を行う。乾燥条件は、80℃~120℃で3分間~13分間とすることが好ましい。このようにして、回路基板上に樹脂組成物層が形成される。
【0238】
回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような支持基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0239】
一方、樹脂フィルムを用いる場合には、樹脂組成物層側を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。ラミネート工程において、樹脂フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて樹脂フィルム及び回路基板をプレヒートし、樹脂組成物層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。樹脂フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
【0240】
ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70℃~140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm2~11kgf/cm2(9.8×104N/m2~107.9×104N/m2)、圧着時間を好ましくは5秒間~300秒間とし、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下とする減圧下でラミネートすることが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0241】
<工程(II)>
回路基板上に樹脂組成物層が設けられた後、次いで、マスクパターンを通して、樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射する露光工程を行う。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量はおおむね10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。露光方法にはマスクパターンを回路基板に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とがあるが、どちらを用いてもかまわない。
【0242】
工程(II)では、マスクパターンとして、例えば、丸穴パターン等のビアパターンを用いてビアを形成することができる。ビア径(開口径)としては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。下限は特に限定されないが、0.1μm以上、0.5μm以上等としうる。
【0243】
<工程(III)>
露光工程後、樹脂組成物層の露光されなかった部分を現像液により除去する現像工程を行うことにより、パターンを形成することができる。現像は、通常ウェット現像により行う。
【0244】
上記ウェット現像の場合、現像液としては、アルカリ性溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられる。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
【0245】
現像液として使用されるアルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩の水溶液や、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられ、金属イオンを含有せず、半導体チップに影響を与えないという点で水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好ましい。
【0246】
これらのアルカリ性水溶液には、現像効果の向上のため、界面活性剤、消泡剤等を含むことができる。上記アルカリ性水溶液のpHは、例えば、8~12の範囲であることが好ましく、9~11の範囲であることがより好ましい。また、上記アルカリ性水溶液の塩基濃度は、0.1質量%~10質量%とすることが好ましい。上記アルカリ性水溶液の温度は、樹脂組成物層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、20℃~50℃とすることが好ましい。
【0247】
現像液として使用される有機溶剤は、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノンである。
【0248】
このような有機溶剤の濃度は、現像液全量に対して2質量%~90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、このような有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトンが挙げられる。
【0249】
パターン形成においては、必要に応じて、2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。スプレー方式を採用する場合のスプレー圧としては、0.05MPa~0.3MPaが好ましい。
【0250】
<熱硬化(ポストベーク)工程>
上記工程(III)終了後、必要に応じて、熱硬化(ポストベーク)工程を行う。上述した工程(I)~(III)において樹脂組成物層の硬化が進行することはありえるが、熱硬化工程により樹脂組成物の硬化を更に進行させて、機械的強度も優れる絶縁層を得ることができる。ポストベーク工程としては、クリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられる。熱硬化時の雰囲気は、空気中であっても良いし、窒素などの不活性気体雰囲気下でも良い。また加熱の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で選択される。
【0251】
<その他の工程>
半導体パッケージ基板の製造方法は、硬化した樹脂組成物層として絶縁層を形成後、さらに穴あけ工程、デスミア工程を含んでもよい。これらの工程は、半導体パッケージ基板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
【0252】
絶縁層を形成した後、所望により、回路基板上に形成された絶縁層に穴あけ工程を行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけ工程は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ工程が好ましい。
【0253】
デスミア工程は、デスミア処理する工程である。穴あけ工程において形成された開口部内部には、一般に、樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、電気接続不良の原因となるため、この工程においてスミアを除去する処理(デスミア処理)を実施する。
【0254】
デスミア処理は、乾式デスミア処理、湿式デスミア処理又はこれらの組み合わせによって実施してよい。
【0255】
乾式デスミア処理としては、例えば、プラズマを用いたデスミア処理等が挙げられる。プラズマを用いたデスミア処理は、市販のプラズマデスミア処理装置を使用して実施することができる。市販のプラズマデスミア処理装置の中でも、半導体パッケージ基板の製造用途に好適な例として、ニッシン社製のマイクロ波プラズマ装置、積水化学工業社製の常圧プラズマエッチング装置等が挙げられる。
【0256】
湿式デスミア処理としては、例えば、酸化剤溶液を用いたデスミア処理等が挙げられる。酸化剤溶液を用いてデスミア処理する場合、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアホール等の形成された基板を、60℃~80℃に加熱した膨潤液に5分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、膨潤処理後の基板を、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間~30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ド-ジングソリューション・セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化処理後の基板を、30℃~50℃の中和液に3分間~10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
【0257】
乾式デスミア処理と湿式デスミア処理を組み合わせて実施する場合、乾式デスミア処理を先に実施してもよく、湿式デスミア処理を先に実施してもよい。
【0258】
絶縁層を、再配線形成層、層間絶縁層、及びソルダーレジストのいずれとして形成する場合でも、熱硬化工程後に、穴あけ工程及びデスミア工程を行ってもよい。また、半導体パッケージ基板の製造方法では、更に、メッキ工程を行ってもよい。
【0259】
メッキ工程は、絶縁層上に導体層を形成する工程である。導体層は、絶縁層形成後にスパッタにより導体層を形成してもよく、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて形成してもよく、また、導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成してもよい。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
【0260】
本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ基板は、上述の樹脂組成物を用いて製造することができ、樹脂組成物の硬化物は再配線形成層として用いられる。具体的には、半導体パッケージ基板の製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、
(F)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(G)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程、
を含んでいてもよい。
【0261】
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムとの積層条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70℃~140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm2~11kgf/cm2、圧着時間を好ましくは5秒間~300秒間とし、空気圧を20mmHg以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0262】
基材としては、例えば、シリコンウェハ;ガラスウェハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
【0263】
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
【0264】
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
【0265】
<工程(C)>
工程(C)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができ、本発明の樹脂組成物を用いてもよい。封止層は、通常、半導体チップ上に封止用樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を熱硬化又は光硬化させて封止層を形成する工程とを含む方法で形成する。
【0266】
封止用樹脂組成物層の形成は、圧縮成型法によって行うことが好ましい。圧縮成型法では、通常、半導体チップ及び封止用樹脂組成物を型に配置し、その型内で封止用樹脂組成物に圧力及び必要に応じて熱を加えて、半導体チップを覆う封止用樹脂組成物層を形成する。
【0267】
圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにし得る。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。また、前記のように仮固定フィルム上に仮固定された半導体チップに、封止用樹脂組成物を塗布する。封止用樹脂組成物を塗布された半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に、下型に取り付ける。その後、上型と下型とを型締めして、封止用樹脂組成物に熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
【0268】
また、圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにしてもよい。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。下型に、封止用樹脂組成物を載せる。また、上型に、半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に取り付ける。その後、下型に載った封止用樹脂組成物が上型に取り付けられた半導体チップに接するように上型と下型とを型締めし、熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
【0269】
成型条件は、封止用樹脂組成物の組成により異なり、良好な封止が達成されるように適切な条件を採用できる。例えば、成型時の型の温度は、封止用樹脂組成物が優れた圧縮成型性を発揮できる温度が好ましく、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは150℃以下である。また、成形時に加える圧力は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上、特に好ましくは5MPa以上であり、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。キュアタイムは、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、特に好ましくは5分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、特に好ましくは20分以下である。通常、封止用樹脂組成物層の形成後、型は取り外される。型の取り外しは、封止用樹脂組成物層の熱硬化前に行ってもよく、熱硬化後に行ってもよい。
【0270】
圧縮成型法は、カートリッジ内に充填した封止用樹脂組成物を下型に吐出させることによって行ってもよい。
【0271】
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
【0272】
仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、紫外線を照射して仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。
【0273】
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。再配線形成層は、本発明の樹脂組成物を用いる。再配線形成層の形成方法は、第1実施形態における工程(I)の樹脂組成物層の形成方法と同様である。
【0274】
再配線形成層を形成するとき、半導体チップと再配線層とを層間接続するために、再配線形成層にビアホールを形成してもよい。
【0275】
ビアホールは、通常、再配線形成層の形成のための樹脂組成物層の表面に、マスクパターンを通して活性光線を照射する露光工程と、活性光線が照射されていない非露光部を現像して除去する現像工程と、を行うことで形成することができる。活性光線の照射量及び照射時間は、樹脂組成物層に応じて適切に設定できる。露光方法としては、例えば、マスクパターンを樹脂組成物層に密着させて露光する接触露光法、マスクパターンを樹脂組成物層に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法等が挙げられる。活性光線、アルカリ水溶液、露光現像方法は上記したとおりである。
【0276】
ビアホールの形状は、特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。ここで、ビアホールのトップ径とは、再配線形成層の表面でのビアホールの開口の直径をいう。
【0277】
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、第1実施形態における絶縁層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
【0278】
<工程(G)>
工程(G)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、本発明の樹脂組成物を用いてもよい。
【0279】
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(E)と同様に行うことができる。
【0280】
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に、工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
【0281】
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、本発明の半導体チップパッケージを含む。半導体チップパッケージが実装された半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例】
【0282】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度の指定が無い場合の温度条件は、室温(23℃)下であり、特に圧力の指定が無い場合の圧力条件は、大気圧(1atm)下である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0283】
<比較例A1:ポリエーテル樹脂(A)の合成>
【0284】
【0285】
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、ハイドロキノン11.0g、炭酸カリウム15.1gを、500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させ、ポリエーテル樹脂(A)を28g得た。ポリエーテル樹脂(A)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は80,000であった。
【0286】
<実施例A1:ポリエーテル樹脂(1)の合成>
【0287】
【0288】
比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)31.8g、炭酸カリウム15.1g、ジメチルメチルホスホネート12.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(1)を25g得た。ポリエーテル樹脂(1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は80,000であった。
【0289】
IR(cm-1):2937, 2862, 2370, 2325, 1657, 1593, 1498, 1472, 1444, 1415, 1306, 1278, 1241, 1160, 1112, 1068, 1014, 929, 874, 850, 767, 725, 687, 598, 553, 528
【0290】
<実施例A2:ポリエーテル樹脂(2)の合成>
【0291】
【0292】
比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)31.8g、炭酸カリウム15.1g、ジエチルベンジルホスホネート22.8gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(2)を30g得た。
【0293】
<実施例A3:ポリエーテル樹脂(3)の合成>
【0294】
【0295】
比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)31.8g、炭酸カリウム15.1g、ジメチル(2-オキソプロピル)ホスホネート16.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(3)を25g得た。
【0296】
<実施例A4:ポリエーテル樹脂(4)の合成>
【0297】
【0298】
比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)31.8g、炭酸カリウム15.1g、トリメチルホスホノアセテート16.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(4)を29g得た。
【0299】
<実施例A5:ポリエーテル樹脂(5)の合成>
【0300】
【0301】
比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)31.8g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、マロン酸ジメチル13.2gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(5)を28g得た。
【0302】
<試験例A1:溶解性試験>
各実施例及び比較例で製造したポリエーテル樹脂を、30質量%となるようにシクロペンタノンに加え、100℃で1時間加熱した。完全に溶解したものを「〇」、完全に溶解しなかったものを「×」と評価した。
【0303】
<試験例A2:比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定>
各実施例及び比較例で製造したポリエーテル樹脂を、10質量%となるようにN-メチルピロリドンに加え、100℃で1時間加熱した。次に溶解させたポリマーをアルキド系離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、リンテック社製「AL-5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂の層の厚みが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80~110℃(平均95℃)で5分間乾燥し、180℃で2時間加熱し、支持体であるPETフィルムを剥離することにより硬化フィルムを作製した。
【0304】
硬化フィルムから、幅2mm、長さ80mmの試験片を切り取った。切り出した試験片について、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製の測定装置「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。
【0305】
実施例A1~A5及び比較例A1で得られたポリエーテル樹脂に対して行った試験例A1及びA2の測定結果及び評価結果を下記表1に示す。
【0306】
【0307】
<参考例A1:ポリエーテル樹脂(B)の合成>
【0308】
【0309】
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、t-ブチルヒドロキノン16.6g、炭酸カリウム15.1gを、500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(B)を35g得た。ポリエーテル樹脂(B)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は150,000であった。
【0310】
<実施例A6:ポリエーテル樹脂(6)の合成>
【0311】
【0312】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ジメチル(2-オキソプロピル)ホスホネート16.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(6)を31g得た。
【0313】
<実施例A7:ポリエーテル樹脂(7)の合成>
【0314】
【0315】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ジエチルメチルホスホネート22.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(7)を25g得た。
【0316】
<実施例A8:ポリエーテル樹脂(8)の合成>
【0317】
【0318】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、トリエチルホスホノアセテート16.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、180℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(8)を32g得た。ポリエーテル樹脂(8)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は90,000であった。
【0319】
IR(cm-1):2925, 2849, 2353, 2028, 1652, 1592, 1496, 1471, 1415, 1305, 1277, 1238, 1159, 1065, 1013, 927, 873, 837, 766, 724, 597, 553
【0320】
<実施例A9:ポリエーテル樹脂(9)の合成>
【0321】
【0322】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、メルドラム酸14.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、60℃になるまで加温し、8時間攪拌した。t-ブチルアルコール7.4gを加えて130℃で2時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(9)を35g得た。
【0323】
<実施例A10:ポリエーテル樹脂(10)の合成>
【0324】
【0325】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、メルドラム酸14.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、60℃になるまで加温し、8時間攪拌した。ヒドロキシエチルアクリレート11.6gを加えて130℃で2時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(10)を37g得た。ポリエーテル樹脂(10)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は80,000であった。
【0326】
IR(cm-1):2929, 2848, 1723, 1650, 1591, 1496, 1471, 1415, 1367, 1305, 1277, 1238, 1159, 1062, 1034, 1013, 927, 873, 836, 766, 684, 597, 553, 503, 429
【0327】
<実施例A11:ポリエーテル樹脂(11)の合成>
【0328】
【0329】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、マロン酸ジメチル13.2gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(11)を38g得た。
【0330】
<実施例A12:ポリエーテル樹脂(12)の合成>
【0331】
【0332】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、マロン酸ジエチル15.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(12)を38g得た。
【0333】
<実施例A13:ポリエーテル樹脂(13)の合成>
【0334】
【0335】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、ジt-ブチルマロネート20.5gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(13)を38g得た。
【0336】
<実施例A14:ポリエーテル樹脂(14)の合成>
【0337】
【0338】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、アセチルアセトン10.0gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(14)を38g得た。
【0339】
<実施例A15:ポリエーテル樹脂(15)の合成>
【0340】
【0341】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、ジメドン13.8gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(15)を39g得た。
【0342】
<実施例A16:ポリエーテル樹脂(16)の合成>
【0343】
【0344】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、ピペラジン0.43g、メルドラム酸14.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、60℃になるまで加温し、10時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lのアセトンに滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて40℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(16)を39g得た。
【0345】
<実施例A17:ポリエーテル樹脂(17)の合成>
【0346】
【0347】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、エチルアセトアセテート12.8gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lのアセトンに滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて40℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(17)を35g得た。
【0348】
<実施例A18:ポリエーテル樹脂(18)の合成>
【0349】
【0350】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、t-ブチルアセトアセテート15.6gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lのアセトンに滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて40℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(18)を37g得た。
【0351】
<実施例A19:ポリエーテル樹脂(19)の合成>
【0352】
【0353】
参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)37.4g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、エチレングリコールモノアセトアセテートモノメタクリレート21.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lのアセトンに滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて40℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(19)を42g得た。ポリエーテル樹脂(19)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は100,000であった。
【0354】
IR(cm-1):3303, 2948, 1650, 1593, 1497, 1462, 1415, 1385, 1365, 1307, 1279, 1241, 1160, 1113, 1058, 1014, 966, 929, 874, 842, 768, 698, 607, 587, 563, 530
【0355】
実施例A6~A19及び参考例A1で得られたポリエーテル樹脂に対して行った試験例A1及びA2の測定結果及び評価結果を下記表2及び3に示す。
【0356】
【0357】
【0358】
<参考例A2:ポリエーテル樹脂(C)の合成>
【0359】
【0360】
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン21.8g、BisP-CDE(ビスフェノール体、本州化学社製)35.5g、炭酸カリウム15.1gを、500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、N-メチル-2-ピロリドン150mLを入れ、窒素下、室温下で30分撹拌した。185℃になるまで加温し、3時間重合した。次に、得られた反応液を2Lの超純水に滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて80℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(C)を52g得た。ポリエーテル樹脂(C)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は180,000であった。
【0361】
IR(cm-1):2932, 2861, 1651, 1592, 1497, 1472, 1444, 1415, 1346, 1305, 1278, 1239, 1160, 1114, 1067, 1036, 1013, 964, 928, 873, 849, 766, 725, 684, 598, 563
【0362】
<実施例A20:ポリエーテル樹脂(20)の合成>
【0363】
【0364】
参考例A2で得られたポリエーテル樹脂(C)56.0g、炭酸カリウム15.1g、ピペラジン0.43g、エチレングリコールモノアセトアセテートモノメタクリレート21.4gを、N-メチルピロリドン150mLに溶かし、140℃になるまで加温し、5時間攪拌した。次に、得られた反応液を2Lのアセトンに滴下して、ポリマーを析出させることで精製した。精製したポリマーを濾別した後、真空乾燥にて40℃加熱下乾燥させポリエーテル樹脂(20)を58g得た。ポリエーテル樹脂(20)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
【0365】
IR(cm-1):2933, 2862, 1726, 1651, 1592, 1496, 1472, 1445, 1415, 1367, 1307, 1278, 1238, 1159, 1143, 1067, 1014, 953, 928, 873, 837, 766, 726, 683, 597, 553, 526, 500, 429, 420, 410
【0366】
実施例A20及び参考例A2で得られたポリエーテル樹脂に対して行った試験例A1及びA2の測定結果及び評価結果を下記表4に示す。
【0367】
【0368】
<実施例B1>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)100質量部、光硬化性架橋剤(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート)16質量部、オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製「Irgacure-OXE02」、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート)2質量部、光増感剤(1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、下記式(5’)で表される光増感剤)4質量部を、N-メチルピロリドン900質量部に溶解して、樹脂組成物を調製した。
【0369】
【0370】
<実施例B2>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の実施例A8で得られたポリエーテル樹脂(8)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0371】
<実施例B3>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の実施例A10で得られたポリエーテル樹脂(10)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0372】
<実施例B4>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の実施例A16で得られたポリエーテル樹脂(16)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0373】
<実施例B5>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の実施例A17で得られたポリエーテル樹脂(17)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0374】
<比較例B1>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の比較例A1で得られたポリエーテル樹脂(A)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0375】
<参考例B1>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の参考例A1で得られたポリエーテル樹脂(B)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0376】
<参考例B2>
実施例A4で得られたポリエーテル樹脂(4)の代わりに同量の参考例A2で得られたポリエーテル樹脂(C)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
【0377】
<試験例B1:限界解像性(解像性)の評価>
実施例B1~B5、比較例B1、並びに参考例B1及びB2で得られた樹脂組成物を、シリコンウエハー上に10μm膜厚で銅めっきを積層し、1%塩酸水溶液で10秒間疎化処理した基板上に、スピンコーターを用いて膜厚が10μmになるに適した回転数で塗布後、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、樹脂組成物層を作製した。これを積層体という。
【0378】
作製した積層体を、紫外線(波長365nm、強度40mW/cm2)で露光を行った。露光量は50mJ/cm2から1000mJ/cm2の範囲の最適値を設定した。露光パターンは開口10μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、30μmの丸穴(ビア)を描画させる石英ガラスマスクを使用した。
【0379】
次に、該積層板上の樹脂組成物層の全面に、現像液としてシクロペンタノンをスプレー圧0.2MPaにて30秒から300秒の間の最適時間でスプレー現像を行い、続いて、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル(PGMEA)をスプレー圧0.2MPaにて30秒間スプレーリンスを行った。さらに180℃、120分間の加熱処理を行って樹脂組成物層を硬化させた。
【0380】
硬化させた樹脂組成物層の露光パターンの開口10μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、30μmのビアの底部の径をSEMで観察(倍率1000倍)して測定した。開口可能な最小サイズを限界解像性とした。
【0381】
<試験例B2:比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定>
実施例B1~B5、比較例B1、並びに参考例B1及びB2で得られた樹脂組成物を、アルキド系離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、リンテック社製「AL-5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布した。このPETフィルム上の樹脂組成物を、80~110℃(平均95℃)で5分間乾燥し、180℃で2時間加熱し、PETフィルムを剥離することにより硬化フィルムを作製した。
【0382】
硬化フィルムから、幅2mm、長さ80mmの試験片を切り取った。切り出した試験片について、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製の測定装置「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。
【0383】
実施例B1~B5、比較例B1、並びに参考例B1及びB2で調製した樹脂組成物の各成分の含有量、並びに試験例B1及びB2の測定結果を下記表5に示す。
【0384】
【0385】
本願は、日本国特許庁に出願された特願2022-028105(出願日2022年2月25日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。