(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】溶接及び切断におけるパターン認識及びデータ分析を提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/10 20060101AFI20240910BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20240910BHJP
B23K 7/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B23K9/10 Z
B23K9/095 501A
B23K7/00 505E
B23K7/00 505Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020022041
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ エー.ダニエル
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-530561(JP,A)
【文献】特表2016-525016(JP,A)
【文献】特公昭63-025866(JP,B2)
【文献】特表2016-523424(JP,A)
【文献】特開2001-016664(JP,A)
【文献】特表2016-512171(JP,A)
【文献】特開2019-005809(JP,A)
【文献】特開平05-057436(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154709(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/170600(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059650(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102922089(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00、9/06 - 9/133、
10/00
B23K 31/00
B23K 7/00
G06F 18/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接製作監視及びデータ分析のためのシステムであって、
分析コンポーネントを有する少なくとも1つのサーバコンピュータと、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータに動作可能に接続される少なくとも1つのデータストアを備え、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータは、
コンピュータネットワークを介して、前記コンピュータネットワークに動作可能に接続され、同じ種類の部品の複数のインスタンスを製作するよう複数の溶接を生成するために用いられる複数の溶接システムからコア溶接データ及び非コア溶接データを含む溶接データを受信することであって、前記溶接データは前記複数の溶接に対応し、
前記溶接データに関する分析を実行して、前記分析の一部として前記複数の溶接システムから受信した溶接プロファイル識別番号に依存することなく、前記複数の溶接の同じ個々の溶接を識別及びグループ化することであって、前記同じ個々の溶接のグループは、前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上の同じ溶接位置に対応するよう構成され、
前記少なくとも1つのデータストアは、前記同じ個々の溶接の個々の溶接それぞれに対応する前記溶接データを前記サーバコンピュータから受信し、前記溶接データを識別及びグループ化されるようにデジタルで格納するよう構成さ
れ、
前記コア溶接データは、溶接出力電圧、溶接出力電流、ワイヤ送給速度、アーク長、突出し長さ、コンタクトチップから母材までの距離(CTWD)、作業角度、移動角度、移動速度、ガス流量、溶接ツールの溶接動作、ワイヤ種類、用いられるワイヤの量、及び溶着速度のうちの少なくとも1つに関するデータを含み、
前記非コア溶接データは、
(i)前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上で溶接が開始される前のアイドル時間であるプレアイドル時間に関するデータであって、該プレアイドル時間に関するデータは、溶接出力電圧及び電流に関するデータが溶接が生成されていることを示していない場合の時間に基づいて溶接コントローラ内のタイマー回路によって生成される、プレアイドル時間に関するデータ、
(ii)
前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上の連続溶接間の前記溶接ツールの非溶接動作に関するデータであって、該非溶接動作に関するデータは、前記溶接ツールに取り付けられるか又は前記溶接ツールに一体化され、前記溶接コントローラに接続されるジャイロスコープ、加速度計又は他の種類の慣性測定ユニットによって生成される、非溶接動作に関するデータ、及び
(iii)
前記複数の溶接の各溶接が生成された後の前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンスの温度に関するデータであって、該温度に関するデータは、前記溶接コントローラに接続される溶接システムのうちの1つの赤外線センサ又は他の種類の温度センサによって生成される、温度に関するデータ、
のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項2】
前記分析はクラスター分析である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記複数の溶接システムから遠隔に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の溶接は、前記複数の溶接システムによってロボットで生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の溶接は、前記複数の溶接システムを用いて人間の作業者によって手動で生成されるか、又は半自動で生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのサーバコンピュータ及び前記少なくとも1つのデータストアは、前記コンピュータネットワークに動作可能に接続されるクライアントコンピュータによって、格納されたような溶接データを照会できるデータベースシステムとして構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
金属切断製作監視及びデータ分析のためのシステムであって、
分析コンポーネントを有する少なくとも1つのサーバコンピュータと、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータに動作可能に接続される少なくとも1つのデータストアを備え、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータは、
コンピュータネットワークを介して、前記コンピュータネットワークに動作可能に接続され、同じ種類の部品の複数のインスタンスを製作するよう複数の切断を生成するために用いられる複数の金属切断システムからコア切断データ及び非コア切断データを含む切断データを受信することであって、前記切断データは前記複数の切断に対応し、
前記切断データに関する分析を実行して、前記分析の一部として前記複数の金属切断システムから受信した切断プロファイル識別番号に依存することなく、前記複数の切断の同じ個々の切断を識別及びグループ化することであって、前記同じ個々の切断のグループは、前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上の同じ切断位置に対応するよう構成され、
前記少なくとも1つのデータストアは、前記同じ個々の切断の個々の切断それぞれに対応する前記切断データを前記サーバコンピュータから受信し、前記切断データを識別及びグループ化されるようにデジタルで格納するよう構成さ
れ、
前記コア切断データは、アーク電圧、切断電流、様々なガス圧、様々なガス流量、初期穿孔高さ、切断ツールの作業角度、前記切断ツールの移動角度、前記切断ツールの切断速度、ツールから母材までの距離、及び前記切断ツールの切断動作のうちの少なくとも1つに関するデータを含み、
前記非コア切断データは、
(i)前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上で切断が開始される前のアイドル時間であるプレアイドル時間に関するデータであって、該プレアイドル時間に関するデータは、アーク電圧及び切断電流に関するデータが切断が生成されていることを示していない場合の時間に基づいて切断コントローラ内のタイマー回路によって生成される、プレアイドル時間に関するデータ、
(ii)前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンス上の連続切断間の前記切断ツールの非切断動作に関するデータであって、該非切断動作に関するデータは前記切断ツールに取り付けられるか、又は前記切断ツールに一体化され、前記切断コントローラに接続されるジャイロスコープ、加速度計又は他の種類の慣性測定ユニットによって生成される、非切断動作に関するデータ、及び
(iii)前記複数の切断の各切断が生成された後の前記同じ種類の部品の前記複数のインスタンスの温度に関するデータであって、該温度に関するデータは、前記切断コントローラに接続される切断システムのうちの1つの赤外線センサ又は他の種類の温度センサによって生成される、温度に関するデータ、
のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項8】
前記分析はクラスター分析である、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記複数の金属切断システムから遠隔に位置する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の切断は、前記複数の金属切断システムによってロボットで生成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の切断は、前記複数の金属切断システムを用いて人間の作業者によって生成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのサーバコンピュータ及び前記少なくとも1つのデータストアは、前記コンピュータネットワークに動作可能に接続されるクライアントコンピュータによって、格納されたような切断データを照会できるデータベースシステムとして構成される、請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、溶接及び切断に関するシステム及び方法に関し、より詳細には、溶接及び切断においてパターン認識及びデータ分析を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
競争の激しい世界経済において、効率は生産現場において、特に、それが全体的な機器の効率となると、最上として支配する。管理状態の良い製造工場は、生産サイクルのあらゆる面においてより高いレベルの生産性及び品質を達成するよう努めながら、コストを抑えることに絶えず注意を怠っていない。溶接及び切断作業も例外ではない。
【0003】
任意の溶接又は切断プロセスを改善するには、成功例を基準に従って評価及び測定する能力が必要である。コストを増加させることなく生産性を向上させたいという要望がある。実際のプロセスを合理化する自動化及び他の方法のようなツールに目を向ける者もいるが、生産性及びスループットの評価及び分析を可能にするより単純なツールは、企業の収益に多大な影響を与える可能性がある。
【0004】
溶接及び切断業界は、ネットワーク化された任意の溶接又は切断電源がその性能データを送信できる監視ツールにアクセスしている。これらのシステムは、生産性ベンチマーク、サポート、トラブルシューティング機能等を確立するために、ある特定のシフト中の特定の溶接機又は切断機において特定の作業者によって実行された単一の溶接又は切断のレベルに至るまで測定基準を追跡し、分析を提供することができる。
【0005】
過去10年程で、製造工場及び製造業者のニーズ及び中核技術に基づき、特注の追跡ソリューション開発を支援するため、溶接又は切断の生産環境に詳細な画像を提供する方法で、ソリューションは進化している。これらのプログラムの最初のものは特定の電源にリンクされたPCで実行され、リモートトラッキング機能を備えていなかったが、今日のシステムの一部はデスクトップ環境の制限を超えて拡張され、自動的にデータを「クラウド」に移動している。これにより、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、iPad(登録商標)又は他のタブレットであろうとなかろうと、ほぼ全てのデバイスで世界中のどこからでも24時間体制で生産を監視する概念を機能的に現実のものとしている。
【0006】
生産監視により、組織のあらゆるレベルのユーザが各溶接機又は切断機に関する適切なライブ情報を見ることができ、極めて詳細なレベルで性能を分析することができる。また、これらのシステムは、組織が生産ライン内の任意の拠点における予防保守活動並びに注意すべき溶接又は切断関連問題を追跡することを支援し、技術者が問題を発生前に防止することを可能にしている。
【0007】
生産監視ソリューションは当初、生産測定基準のみに焦点を当てるよう設計されていたが、記録保持及び他の品質評価サポートに対するユーザの需要が高まり、これらのシステムの機能を拡張し始めた。監視技術自体は、品質測定基準に重点を置くよう進化し続けている。品質追跡は現在、あらゆる優れた生産監視システムの特徴である。新しいツールは、各拠点で作成された溶接を確実に評価することができ、実際の品質保証試験方法に代わるものではないが、部品が良質であるかどうかの強い見込みを反映するベンチマークを提供することができる。
【0008】
しかし、これらのシステムの過去数年にわたる顕著な進化はそれだけではない。複数の場所に工場を持つ大企業がテクノロジーを採用し、広範な手段のモバイル通信が成長するにつれて、ユーザは、走行中に道路から又は工場内の溶接又は切断拠点において、自社のコンピュータサーバ及びイントラネットアクセスに依存することなく、任意のデバイスから、ローカルだけではなく全世界的にデータにアクセスすることを可能にする更にユーザフレンドリなものを要求し始めた。
【0009】
更に、高度な機械学習(ML)アルゴリズムにより収集された溶接又は切断データを分析しようとする場合、個々の溶接又は切断用のデータをクラスタリングする際の難易度は高い。溶接又は切断データはトレーサビリティの観点からラベルが付けられていないことが多いため、これは困難である。データソースは既知であり、通常、部品種類の部品番号は簡単に記録できるが、部品で発生する溶接又は切断の個々の識別は、多くの場合、不明/ラベルなしである。加えて、データパラメータは似ているが、溶接(又は切断)を異なるクラスターに割り当てる必要があるため、クラスタリングの観点から、幾つかの溶接(又は切断)は簡単に重複させることができる。
【0010】
溶接情報のデータ収集は、10数年間市販されているLincoln Electric CheckPoint(商標)プロジェクトに存在している。このシステムには、特定の部品上の溶接を一意に識別することに役立つ溶接プロファイルを選択及び定義する機能がある。しかし、溶接プロファイルの識別番号が知らないうちに再利用されるリスクがあり、これにより、異なる種類のバッチの溶接レコード(異なる種類の溶接に対する溶接データ)が誤ってグループ化される可能性がある。間違った識別は、欠陥検出、トレーサビリティ、及び分析のためのデータのグループ化による別の問題を引き起こす可能性がある。別の実施例において、溶接プロファイルの識別番号が定義されていないか、又はシステムコントローラによって部分的にのみ定義されている可能性があり、これもまた、欠陥検出、トレーサビリティ、及びデータのグループ化による問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、溶接及び切断に関するシステム及び方法を含み、より詳細には、溶接及び切断においてパターン認識及びデータ分析を提供するシステム及び方法を含む。
【0013】
一実施形態において、溶接製作監視及びデータ分析のためのシステムが提供される。システムは、分析コンポーネントを有する少なくとも1つのサーバコンピュータと、少なくとも1つのサーバコンピュータに動作可能に接続される少なくとも1つのデータストアとを含む。サーバコンピュータは、コンピュータネットワークを介して、コンピュータネットワークに動作可能に接続され、同じ種類の部品の複数のインスタンスを製作するよう複数の溶接を生成するために用いられる複数の溶接システムからコア溶接データ及び非コア溶接データを含む溶接データを受信するよう構成され、溶接データは複数の溶接に対応する。サーバコンピュータは、また、溶接データに関する分析を実行して、分析の一部として複数の溶接システムから受信した溶接プロファイル識別番号に依存することなく、複数の溶接の同じ個々の溶接を識別及びグループ化するよう構成される。同じ個別の溶接のグループは、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の同じ溶接位置に対応する。データストアは、同じ個々の溶接の個々の溶接それぞれに対応する溶接データをサーバコンピュータから受信し、溶接データを識別及びグループ化されるようにデジタルで格納するよう構成される。一実施形態において、分析はクラスター分析である。一実施形態において、システムは、複数の溶接システムから遠隔に位置する。一実施形態において、コア溶接データは、溶接出力電圧、溶接出力電流、ワイヤ送給速度、アーク長、突出し長さ、コンタクトチップから母材までの距離(CTWD)、作業角度、移動角度、移動速度、ガス流量、溶接ツールの溶接動作、ワイヤ種類、用いられるワイヤの量、及び溶着速度のうちの少なくとも1つに関するデータを含む。一実施形態において、非コア溶接データは、プレアイドル時間(すなわち、溶接が開始される前のアイドル時間)に関するデータを含む。一実施形態において、非コア溶接データは、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の連続溶接間の溶接ツール(トーチ)の非溶接動作に関するデータを含む。一実施形態において、非コア溶接データは、複数の溶接の各溶接が生成された後の同じ種類の部品の複数のインスタンスの温度に関するデータを含む。一実施形態において、非コア溶接データは、時間、曜日、及び日付(例えば、溶接が生成された場合)のうちの1つ以上に関するデータを含む。一実施形態において、複数の溶接は、複数の溶接システムによってロボットで生成される。一実施形態において、複数の溶接は、複数の溶接システムを用いる人間の作業者によって生成される。一実施形態において、サーバコンピュータ及びデータストアは、コンピュータネットワークに動作可能に接続されるクライアントコンピュータによって、格納されたような溶接データを照会できるデータベースシステムとして構成される。
【0014】
一実施形態において、金属切断製作監視及びデータ分析のためのシステムが提供される。システムは、分析コンポーネントを有する少なくとも1つのサーバコンピュータと、少なくとも1つのサーバコンピュータに動作可能に接続される少なくとも1つのデータストアとを含む。サーバコンピュータは、コンピュータネットワークに動作可能に接続され、同じ種類の部品の複数のインスタンスを製作するよう複数の切断を生成するために用いられる複数の金属切断システムからコア切断データ及び非コア切断データを含む切断データを受信するよう構成され、切断データは複数の切断に対応する。サーバコンピュータは、また、切断データに関する分析を実行して、分析の一部として複数の金属切断システムから受信した切断プロファイル識別番号に依存することなく、複数の切断の同じ個々の切断を識別及びグループ化するよう構成される。同じ個別の切断のグループは、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の同じ切断位置に対応する。データストアは、同じ個々の切断の個々の切断それぞれに対応する切断データをサーバコンピュータから受信し、切断データを識別及びグループ化されるようにデジタルで格納するよう構成される。一実施形態において、分析はクラスター分析である。一実施形態において、システムは、複数の金属切断システムから遠隔に位置する。一実施形態において、コア切断データは、アーク電圧、切断電流、様々なガス圧、様々なガス流量、初期穿孔高さ、切断ツールの作業角度、切断ツールの移動角度、切断ツールの切断速度、ツールから母材までの距離、及び切断ツールの切断動作のうちの少なくとも1つに関するデータを含む。一実施形態において、非コア切断データは、プレアイドル時間(すなわち、切断が開始される前のアイドル時間)に関するデータを含む。一実施形態において、非コア切断データは、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の連続切断間の切断ツール(トーチ)の非切断動作に関するデータを含む。一実施形態において、非コア切断データは、複数の切断の各切断が生成された後の同じ種類の部品の複数のインスタンスの温度に関するデータを含む。一実施形態において、非コア切断データは、時間、曜日、及び日付(例えば、切断が生成された場合)のうちの1つ以上に関するデータを含む。一実施形態において、複数の切断は、複数の金属切断システムによってロボットで生成される。一実施形態において、複数の切断は、複数の金属切断システムを用いる人間の作業者によって生成される。一実施形態において、少なくとも1つのサーバコンピュータ及び少なくとも1つのデータストアは、コンピュータネットワークに動作可能に接続されるクライアントコンピュータによって、格納されたような切断データを照会できるデータベースシステムとして構成される。
【0015】
一般的発明概念の多数の態様は、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から、特許請求の範囲から、及び添付図面から、容易に明らかとなるであろう。
【0016】
明細書の一部に組み込まれ、それらを構成する添付図面は、開示の様々な実施形態を示している。図面内に図示する構成要素の境界(例えば、ボックス、ボックスの群、又は他の形状)は境界の一実施形態を表していることは、正しく認識されるであろう。幾つかの実施形態において、1つの構成要素は多数の構成要素として設計されてもよいか、又は、その多数の構成要素が1つの構成要素として設計されてもよい。幾つかの実施形態において、別の構成要素の内部コンポーネントとして示す構成要素は外部コンポーネントとして実装されてもよく、その逆もまた可能である。更に、構成要素は正確な縮尺で描かれなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】複数の溶接システム及びクライアントコンピュータから、例えば、クラウド内に遠隔に位置するシステム(サーバコンピュータ及びデータストア)を有する第1の実施形態のシステムアーキテクチャを示す。
【
図2】
図1のシステムアーキテクチャの溶接システムの実例となる一実施形態のブロック略図を示す。
【
図3】複数の金属切断システム及びクライアントコンピュータから、例えば、クラウド内に遠隔に位置するシステム(サーバコンピュータ及びデータストア)を有する第2の実施形態のシステムアーキテクチャを示す。
【
図4】
図3のシステムアーキテクチャの金属切断システムの実例となる一実施形態のブロック略図を示す。
【
図5】ハードウェアアーキテクチャを強調した
図1及び
図3のサーバコンピュータの実例となる一実施形態を示す。
【
図6】サーバコンピュータの機能コンポーネントアーキテクチャを強調した
図1及び
図3のシステムの実例となる一実施形態を示す。
【
図7】例えば、
図1、
図3、又は
図6のシステムを用いて、同じ個々の溶接(又は切断)に対応する溶接(又は切断)データを識別及びグループ化する方法の一実施形態のフロー図である。
【
図8A-8B】
図7の方法の一実施例を提供する部品及び表をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
生産監視ソリューションを会社所在地のサーバでホストするのではなく、本発明の幾つかの実施形態は、各顧客に対して個別のデータベースを提供する中央サーバにデータがアップロードされるクラウドにおいて実装されてもよい。しかし、他の実施形態はそのようにクラウドに実装されなくてもよい。クラウドでの生産監視は、データが会社の溶接又は切断電源から安全なデータセンターまで、及び、例えば、デスクトップPC若しくはラップトップ上の一般的なインターネットブラウザを介して、又はスマートフォン若しくはタブレット上のモバイルアプリを介して、任意のデバイスに至るまで定期的に流れる常時接続を提供する。
【0019】
クラウドベースの生産監視は、特に複数の所在地を有する企業にとって、これらの所在地から簡単にアクセスできる中央データベースにデータを蓄積するどこからでもアクセスできる簡単な方法を提供することによって、以前のVPNプラットフォームよりも大きな利点を提供する。
【0020】
携帯端末用のモバイル対応アプリは情報の収集及び確認を更に簡素化する。クラウドを介して実行されるこれらの専用アプリは、ユーザが見たい情報のみを指先で提供する。ユーザがiPhone(登録商標)上で詳細なレポートを作成しようと試みる可能性は低いが、ライン管理者が、工場内でワークステーションにいる間又は勤務時間後の現場を離れている場合に問題を解決するために特定の機械の出力を見たいと望む可能性はある。モバイルアプリにより、デスクトップに接続せずに必要な関連情報を取得することができる。また、クラウドから監視することにより、現場でのサーバがもはや不要となるため、ITの人材及び設備に投資する必要がなくなる。現場でのソフトウェアのインストールも必要としない。ソフトウェアのメンテナンス及びアップグレードはクラウドサーバで自動的に処理される。
【0021】
一実施形態において、ユーザは、イーサネットを介して溶接機又は切断機を単に接続し、一意のログイン及び安全なパスワードでログインすることができる。セットアップ後、ユーザはログインし、システム内の任意の溶接機又は切断機に関する溶接性能データの追跡を開始することができ、これらの全ては一意のシリアル番号により識別される。それは、基本的には、インターネット接続を用いるプラグアンドプレイである。
【0022】
オンラインになると、溶接又は切断電源はサーバとの通信を開始し、データパケットを定期的にクラウドデータベースに送信する。シリアル番号追跡のおかげで、工場内の全ての溶接機若しくは切断機、又は複数所在地における会社全体でさえ、クラウドで行動を把握することができる。これは、暗号化、ユーザ認証、及びその他のセキュリティ機能(例えば、ブロックチェーン技術を用いて)により安全に行われる。ユーザは、安全なユーザ名及びパスワードを用いて、1日のうちのいつでも関連データにアクセスすることができる。
【0023】
ログインすると、ユーザはシステムのインターフェースをカスタマイズして自身の要件に合わせ、1つ以上の所在地における工場レイアウトにシステムをミラーリングすることができる。また、これらのシステムは、あらゆるレベルのユーザに対する異なる層の役割ベースのアクセス及びデータ配布を提供できる。例えば、経営幹部は資産活用の目的で「50,000フィートビュー」のみを必要とする可能性があるが、生産管理者及び現場監督は、分析及び迅速な意思決定のために、シフト統計、日産統計、及びその他の測定基準等のような事柄に更に注力する可能性がある。生産監視ソリューションは、持続的なボトルネック等の問題を戦略的に識別する生産レベル管理を支援し、その情報を用いて生産の観点から長期的なソリューションを考案することに役立つことができる。
【0024】
溶接/切断技術者及び監督者レベルにおいて、確認されるデータは、通常、品質に焦点を当てている。例えば、生産監視は、これらの地位にいる従業員が、幾つかのパラメータだけを挙げると、曜日、時間、ワイヤの種類及び使用状況、溶接金属の使用量、ワイヤ送給速度、並びに溶着速度を追跡することに役立つことができる。要するに、任意の製造役割が必要とする溶接(又は切断)に関する情報の全てを提供することができる。また、システムに接続されている全ての機械に関する全ての溶接(又は切断)に対して捕捉する。
【0025】
一実施形態において、システムはまた、溶接ワイヤの消耗使用量及び交換を追跡することができる。そのレベルのワイヤが消費されるように、各溶接機の消耗材料種類及びパッケージの大きさを設定することができ、デジタルで測定することができる。監視システムは、次いで、ワイヤの供給が少なくなると、指定された個人に電子メールで警告する。
【0026】
現場溶接又は切断作業に携わる者でさえも、クラウドのおかげで詳細な追跡のための選択肢をここで有する。過去には、ネットワークを建設現場における溶接機のラインに配線すること又はアラスカパイプラインプロジェクトはそれほど簡単ではなかった。クラウドコンピューティングにより、必要なのはMiFi(登録商標)等のような低価格で簡単に入手できるモバイルホットスポットデバイスを介してインターネットにアクセスすることだけである。クラウド機能を超えた重要な相違点の1つは、PCからの完全なレポート又はモバイルデバイスからの概略でアクセスすることのできるトレーサビリティである。
【0027】
ソリューションは、これは、ひいては溶接消耗材料検定に関する顧客レビュー用の記録を保持し、品質イニシアチブ及びその他同様の活動の記録を保持する必要がある製造業者にとって重要な考慮事項であるトレーサビリティレポートを提供する。一実施形態において、3つのユーザ特定フィールド、すなわち、オペレータID、部品ID、及び消耗材料、要するに、誰が、どの部品で、どの溶接ワイヤ消耗材料スプール又はパッケージで溶接したかを追跡することができる。この全ては、モバイルデバイスで簡単に表示したり、記録保持のためにダウンロードしたりすることができる。
【0028】
製造及び材料の移動を最小化するフローを追跡する支援から機器又は作業者のパフォーマンスを調査することに至るまで、本明細書中で説明する監視ソリューションは、基本的な生産追跡及び測定基準を超えて、組織のあらゆるレベルの詳細な分析及びカスタマイズされた情報に移行している。中央に位置する信頼性の高いデータベースは、関連する監査証跡データを取り込むことによって継続的な記録保持を維持することを支援する。
【0029】
しかし、クラウドに保存されているかどうかにかかわらず、データを有効にするには、データを溶接(又は切断)システムから適切に収集し、適切に編成する必要がある。本発明の一実施形態は、コア溶接データ以外の追加パラメータを利用することによって部品における個々の溶接用のデータ(例えば、クラウド内の)を識別及びグループ化する方法である。実施例は、プレアイドル時間(すなわち、溶接が開始される前のアイドル時間)、及び/又は溶接間のツール(トーチ)又は部品の非溶接動作に関するデータを含む。この追加の非コア溶接データをコア溶接データと共に用いること(すなわち、2つの別個のカテゴリの溶接データを用いること)により、部品を溶接/製作する完全なサイクルに関する事象(及び溶接)の時系列パターンを認識するための改善された方法が提供される。特定部品のための時系列パターンに従って、溶接プロファイル識別番号を明示的に用いることなく、個々の溶接を識別し(例えば、機械学習アルゴリズムによる後続使用のためにラベル付けし)、正しくグループ化することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態は、コア切断データ以外の追加パラメータを利用することによって金属部品における個々の切断用のデータ(例えば、クラウド内の)を識別及びグループ化するための方法である。実施例は、プレアイドル時間(すなわち、切断が開始される前のアイドル時間)、及び/又は切断間の切断ツール又は部品の非切断動作に関するデータを含む。この追加の非コア切断データをコア切断データと共に用いること(すなわち、2つの別個のカテゴリの切断データを用いること)により、部品を切断/製作する完全なサイクルに関する事象(及び切断)の時系列パターンを認識するための改善された方法が提供される。特定部品のための時系列パターンに従って、切断プロファイル識別番号を明示的に用いることなく、個々の切断を識別し(例えば、機械学習アルゴリズムによる後続使用のためにラベル付けし)、正しくグループ化することができる。
【0031】
本明細書中の実施例及び図は説明するためだけのものであり、特許請求の範囲の適用範囲及び精神によって判断される主題発明を制限することを意味するものではない。ここで図面を参照すると、示されているのは、主題発明の例示的な実施形態を示すことだけを目的とし、それらを制限することを目的としておらず、
図1及び
図3は、主題発明の実施形態を文脈に置いている。
【0032】
図1を参照すると、
図1は、例えば、複数の溶接システム200、クライアントコンピュータ140(例えば、デスクトップ又はラップトップPC)、及びモバイルデバイス150(例えば、スマートフォン)から遠隔のクラウド内に位置するシステム110(サーバコンピュータ114及びデータストア112を含む)を有する第1の実施形態のシステムアーキテクチャ100を示している。代替の実施形態において、システム110はクラウド内に位置しない(例えば、システム110は溶接システム200と共に製造施設内に位置する)。モバイルデバイス150は、事実上、一種のクライアントコンピュータでもある。従って、本明細書中で時として、用語「クライアントコンピュータ」は、あらゆる種類のクライアントコンピュータを指すために広く用いられる可能性がある。各溶接システム200(例えば、アーク溶接システム)は、例えば、電源、溶接ツール(トーチ)、ワイヤ送給装置、及び部品上で溶接を行うよう互いに対して溶接ツール(トーチ)又は溶接される部品を動かすロボットサブシステムを含んでいてもよい。代替として、ロボットサブシステムを有する代わりに、人間の作業者が、溶接作業(例えば、手溶接作業又は半自動溶接作業)中に部品に対して溶接ツール(トーチ)を移動させてもよい。
【0033】
図1において、溶接システム200、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150は、コンピュータネットワーク120を介してシステム110と通信する。一実施形態によれば、コンピュータネットワーク120はインターネットであり、システム110は、クラウド内の溶接システム200、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150から遠隔に位置する。他の実施形態によれば、コンピュータネットワーク120は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、又は、システム110が、溶接システム200、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150に関して存在する環境に適した幾つかの他の種類のコンピュータネットワーク(例えば、クラウド、構内、又は製造施設)であってもよい。更に、コンピュータネットワーク120は、様々な実施形態に従って、有線、無線、又はそれらの幾つかの組み合わせであってもよい。一実施形態によれば、溶接システム200は、イーサネット接続を介してコンピュータネットワーク120に接続する。
【0034】
本明細書中でより詳細に後述するように、一実施形態において、サーバコンピュータ114は、コンピュータネットワーク120を介して溶接システム200から溶接データを受信し、溶接データを分析し、分析結果(例えば、グループ化された溶接データ)をデータストア112内に格納するよう構成される。更に、一実施形態において、サーバコンピュータ114は、クライアントコンピュータ140及びモバイルデバイス150からデータに対するクライアント要求を受信し、データストア112から要求されたデータを検索して取り出し、要求されたデータを、コンピュータネットワーク120を介してクライアントコンピュータ140及びモバイルデバイス150に提供するよう構成される。かかる実施形態において、サーバコンピュータ114及びデータストア112は、コンピュータネットワーク120に動作可能に接続されたクライアントコンピュータ140又はモバイルデバイス150によって、格納されたような溶接データを照会できるデータベースシステムとして構成されてもよい。
【0035】
図2は、消耗ワイヤ電極272に動作可能に接続される
図1のシステムアーキテクチャ100の溶接システム200の実例となる一実施形態のブロック略図を示している。溶接システム200は、ワイヤ272と被加工部品274との間に溶接出力電力を供給してワイヤ272と部品274との間にアークを形成することにより溶接中にワイヤ272を溶融させる電力変換回路210とブリッジスイッチング回路280とを有するスイッチング電力供給部205を含んでいる。電力変換回路210は、ハーフブリッジ出力トポロジーをベースにした変圧器であってもよい。例えば、電力変換回路210は、例えば、溶接変圧器の一次側及び二次側によってそれぞれ明確化されるような入力電力側及び出力電力側を含むインバータ型のものであってもよい。DC出力トポロジーを有するチョッパー型等の、他の種類の電力変換回路も同様に可能である。例えば、溶接システム200はまた、電力変換回路210に動作可能に接続され、溶接出力電流の極性方向を切り替えるよう(例えば、AC動作のため)構成されるブリッジスイッチング回路280(任意)も含んでいてもよい。
【0036】
溶接システム200は、更に、波形発生器220及びコントローラ230を含む。波形発生器220は、コントローラ230の命令により溶接波形を生成する。波形発生器220によって生成された波形は、電力変換回路210の出力を変調してワイヤ272と被加工部品274との間に出力電流を生成する。コントローラ230は、また、ブリッジスイッチング回路280の切り換えも命令し、電力変換回路210に制御命令を提供してもよい。
【0037】
一実施形態において、溶接システムは、更に、ワイヤ272と被加工部品274との間の溶接出力電圧及び電流を監視し、監視した電圧及び電流をコア溶接データとしてコントローラ230に戻すよう電圧フィードバック回路240及び電流フィードバック回路250を含んでいる。フィードバック電圧及び電流は、波形発生器220によって生成された溶接波形を修正することに関する決定を行うか、及び/又は、例えば、溶接システム200の動作に影響を及ぼす他の決定を行うためにコントローラ230によって用いられてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、スイッチング電力供給部205、波形発生器220、コントローラ230、電圧フィードバック回路240、電流フィードバック回路250、及びネットワークインターフェース260は溶接電源を構成する。溶接システム200は、また、一実施形態に従って、選択されたワイヤ送給速度(WFS)で溶接ツール(トーチ)(図示せず)を介して被加工部品274に向けて消耗金属ワイヤ272を供給するワイヤ送給装置270を含んでいてもよい。ワイヤ送給装置270、消耗金属ワイヤ272、及び被加工部品274は、溶接電源の一部ではないが、例えば、1つ以上の出力ケーブルを介して電源に動作可能に接続されてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、コントローラ230は、コア溶接データ及び非コア溶接データを含む、作成された各溶接について溶接システム200から様々な種類の溶接データを測定、計算、及び収集する。様々な種類のコア溶接データを測定、計算、及び収集する技術は、当該技術において周知である。コア溶接データは、例えば、溶接出力電圧、溶接出力電流、ワイヤ送給速度、アーク長、突出し長さ、コンタクトチップから母材までの距離(CTWD)、作業角度、移動角度、移動速度、ガス流量、溶接ツール(トーチ)の溶接動作、ワイヤ種類、用いられるワイヤの量、及び溶着速度のうちの1つ以上のパラメータに関するデータを含んでいてもよい。かかるコア溶接パラメータは当該技術において周知である。
【0040】
非コア溶接データは、例えば、プレアイドル時間(すなわち、溶接が開始される前のアイドル時間)、部品上で連続溶接を生成する間の溶接ツール(トーチ)の非溶接動作、各溶接後の部品の温度、時間、曜日、及び日付に関するデータを含んでいてもよい。他の種類のコア溶接データ及び非コア溶接データも、他の実施形態により同様に可能である。例えば、他のデータは、作業者ID、部品ID、消耗材料スプール種類、又はパッケージ種類を含んでいてもよい。
【0041】
プレアイドル時間(すなわち、溶接が開始される前のアイドル時間)に関するデータは、一実施形態により、溶接出力電圧及び電流に関するデータが、例えば、溶接が生成されていることを示していない場合の時間に基づいて、例えば、コントローラ230内のタイマー回路(図示せず)によって生成されてもよい。溶接中の溶接ツール(トーチ)の動作又は部品上で連続溶接を生成する間の溶接ツール(トーチ)の非溶接動作に関するデータは、様々な実施形態により、例えば、溶接ツール(トーチ)に取り付けられるか、又はそれに一体化され、コントローラ230に動作可能に接続されるジャイロスコープ、加速度計、又は幾つかの他の種類の慣性測定ユニット(図示せず)によって生成されてもよい。各溶接後の部品の温度に関するデータは、様々な実施形態により、例えば、コントローラ230に動作可能に接続される赤外線センサ(図示せず)又は溶接システム200の幾つかの他の種類の温度センサによって生成されてもよい。
【0042】
ネットワークインターフェース260(例えば、一実施形態におけるイーサネットインターフェース)は、溶接システム200によって部品上に生成された各溶接について、コントローラ230からコア溶接データ及び非コア溶接データを取得し、コンピュータネットワーク120(例えば、インターネット)を介してシステム110(例えば、クラウド内)にコア溶接データ及び非コア溶接データを通信するよう構成される。このようにして、システム110は、分析のためにシステムアーキテクチャ100の各溶接システム200から溶接データ(コア及び非コア)を収集することができる。一実施形態によれば、ネットワークインターフェース260はコントローラ230の一部である。
【0043】
図1と同様に、
図3は、例えば、複数の金属切断システム400、クライアントコンピュータ140(例えば、デスクトップ又はラップトップPC)、及びモバイルデバイス150(例えば、スマートフォン)から遠隔のクラウド内に位置するシステム110(サーバコンピュータ114及びデータストア112を含む)を有する第2の実施形態のシステムアーキテクチャ300を示している。代替の実施形態において、システム110はクラウド内に位置しない(例えば、システム110は切断システム400と共に製造施設内に位置する)。モバイルデバイス150は、事実上、一種のクライアントコンピュータでもある。従って、本明細書中で時として、用語「クライアントコンピュータ」は、あらゆる種類のクライアントコンピュータを指すために広く用いられる可能性がある。各金属切断システム400(例えば、プラズマ切断システム)は、例えば、電源、切断ツール(トーチ)、及び金属部品上で切断を行うよう互いに対して切断ツール(トーチ)又は切断される部品を動かすロボットサブシステムを含んでいてもよい。代替として、ロボットサブシステムを有する代わりに、人間の作業者が、切断作業(例えば、手動切断作業)中に金属部品に対して切断ツール(トーチ)を移動させてもよい。
【0044】
図3において、金属切断システム400、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150は、コンピュータネットワーク120を介してシステム110と通信する。一実施形態によれば、コンピュータネットワーク120はインターネットであり、システム110は、クラウド内の切断システム400、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150から遠隔に位置する。他の実施形態によれば、コンピュータネットワーク120は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、又は、システム110が、切断システム400、クライアントコンピュータ140、及びモバイルデバイス150に関して存在する環境に適した幾つかの他の種類のコンピュータネットワーク(例えば、クラウド、構内、又は製造施設)であってもよい。更に、コンピュータネットワーク120は、様々な実施形態に従って、有線、無線、又はそれらの幾つかの組み合わせであってもよい。一実施形態によれば、金属切断システム400は、イーサネット接続を介してコンピュータネットワーク120に接続する。
【0045】
本明細書中でより詳細に後述するように、一実施形態において、サーバコンピュータ114は、コンピュータネットワーク120を介して金属切断システム400から切断データを受信し、切断データを分析し、分析結果(例えば、グループ化された切断データ)をデータストア112内に格納するよう構成される。更に、一実施形態において、サーバコンピュータ114は、クライアントコンピュータ140及びモバイルデバイス150からデータに対するクライアント要求を受信し、データストア112から要求されたデータを検索して取り出し、要求されたデータを、コンピュータネットワーク120を介してクライアントコンピュータ140及びモバイルデバイス150に提供するよう構成される。かかる実施形態において、サーバコンピュータ114及びデータストア112は、コンピュータネットワーク120に動作可能に接続されたクライアントコンピュータ140又はモバイルデバイス150によって、格納されたような切断データを照会できるデータベースシステムとして構成されてもよい。
【0046】
図4は、
図3のシステムアーキテクチャ300の金属切断システム400の実例となる一実施形態のブロック略図を示している。金属切断システム400は、切断プロセス及びシステム400の全体的な動作を制御することができるコンピュータ数値制御(CNC)装置401を含んでいる。一実施形態において、CNC401は、公知の自動化システムに従って構成、使用、及び構築され、本明細書中で詳細に説明する必要はない。システム400は、切断電流をトーチ450(切断ツール)に供給して切断用のプラズマアークを生成する電力供給装置403を含む。一般的に知られているように、CNC401は、電力供給装置403を制御して、切断作業内の所望の時間に電線425を介して所望の出力を提供することができる。本発明の実施形態は、電力供給装置403の設計及び構造によって制限されず、公知の電力供給装置と一致して構築することができる。更に、システム400は、一般に公知のガスコンソールと同様に構成することができるガスコンソール405を含み、必要なガスを切断ツール(トーチ)450に送出するガスライン及びバルブを含む。図示の実施形態において、コンソールは、タンク等のソース(図示せず)からコンソールに供給される4つのガスラインを有している。図示するように、空気ライン409、窒素ライン411、酸素ライン413、及び切断ガスライン415がある。これらのガスは切断プラズマの生成に用いることができ、空気、窒素、酸素はシールドに用いることができる。これらのガスは、トーチにシールドガス及びプラズマガスを供給するために用いられ、組み合わされる。これらのガスの混合及び使用は一般に知られており、本明細書中で詳細に検討する必要はない。図示するように、ガスラインは、ガスの流れ及び混合を制御する複数のバルブ(図示せず)を含むことができるマニホルド417に供給される。これらのバルブのそれぞれは、デジタル信号プロセッサDSP407等のコントローラを介して制御できるように、電子制御バルブにすることができる。DSPは、コントローラ/CNC401から制御信号を受信し、従って、それぞれのガスの流れを制御することができる。幾つかの例示的な実施形態において、コントローラ/CNC401は必要なガスの種類を選択するために用いることができ、流量制御はDSPによって制御される。図示するように、マニホルド417の出力として、これらそれぞれのガス混合物のそれぞれをトーチ450に供給するシールドガスライン421及びプラズマガスライン423がある。更に、
図4に示すように、幾つかの例示的な実施形態において、各ライン(流入及び流出)のそれぞれの圧力を検出し、DSP407、及び最終的にコントローラ401に信号を送信することができるように、マニホルド417上及び/又はその内部に位置決めされる複数の圧力センサ(圧力トランスデューサ等)がある。
【0047】
例えば、幾つかの例示的な実施形態において、流入ガスライン409、411、413、及び415はそれぞれ、コンソール及び/又はマニホルドへの流入ガスの圧力を検出する圧力検知デバイス410、412、414、及び416をそれぞれ有する。この圧力データは、適切な流入圧力が達成されることを確実なものにするためにCNC/コントローラ401によって用いることができる。例えば、特定の切断作業は、それぞれのガスソースのそれぞれから一定量の圧力/流量を必要とする可能性があり、コントローラ401は、ガスソースからの適切な圧力/流量が利用できることを確実なものにするために、これらセンサのそれぞれからの検知圧力を用いている。
【0048】
更に、図示するように、本発明の例示的な実施形態において、シールド及びプラズマガスライン(それぞれ、421及び423)の上流端のそれぞれは、これらのラインのそれぞれにおける開始圧力を検出する圧力センサ419及び420を有することができる。この圧力データは、また、DSP407を介してコントローラ401にも送信され、ここでコントローラ401は、適切なガスの流れがトーチに供給されていることを確実なものにするために、再度、この検出された圧力データを用いることができる。すなわち、コントローラ401は、ガスの適切な流量/圧力が任意の所定の切断動作に対して達成されることを確実なものにするために、この圧力データを用いてそれぞれの流量制御バルブ(図示せず)のそれぞれを制御することができる。従って、開ループ制御方法又はガスコンソールからのフィードバックのみに制限される閉ループフィードバックを用いるのではなく、本発明の実施形態は、所望量のガス圧及び/又はガス流がガスライン421及び423に供給されていることを確実なものにするために、コントローラによって検知圧力が用いられる、閉ループフィードバック制御方法を用いることができる。コントローラ401は、所定の切断作業及び/又は切断作業における所定の状態(例えば、パージ、穿孔、切断、テールアウト等)に対して所望のガス流を達成するようバルブを制御する。
【0049】
図示するように、シールド及びプラズマガスのそれぞれは切断ツール(トーチ)アセンブリ450に向けられる。トーチアセンブリ450は、例えば、自動プラズマ切断作業で用いられる液冷プラズマ切断ツール(トーチ)を含む公知のプラズマ切断ツール(トーチ)と同様に構築することができる。かかるツール(トーチ)の構造は一般的に知られているため、それらの機能及び構造の詳細な検討は本明細書中に含まれていない。しかし、公知のツール(トーチ)とは異なり、本発明の一実施形態のツール(トーチ)アセンブリは、ツール(トーチ)450内の異なる位置でガスの圧力を検出する圧力センサを含む。これらの検出された圧力は、再度、ツール(トーチ)450へのガスの流れを制御するためにDSP407及び/又はコントローラ401によって用いられる。
【0050】
例えば、図示するように、本発明の例示的な実施形態において、圧力センサ451(シールドガス)及び453(プラズマガス)を用いてトーチアセンブリに流入するガスの圧力を検出することができる。例えば、これらのセンサ451/453は、トーチアセンブリ450の上流端に位置してトーチ450に入る際のガスの圧力を検出することができる。センサは、ガスラインからトーチ本体アセンブリへのガス接続部に位置することができるか、又はトーチ本体アセンブリとトーチヘッドアセンブリとの間に位置することができる。圧力センサは、ガスライン及び/又は接続部内に嵌合することができ、流れ又はトーチの動作に支障を来すようにガスの流れを妨げない種類でなければならない。これらのセンサは、次いで、もしあれば、コンソール405からトーチ450への圧力降下を検出するためにコントローラ401が用いることができる。
【0051】
更に、
図4に示すように、トーチアセンブリは、少なくともシールドキャップ454、ノズル455、及び電極456を含む。無論、トーチアセンブリは、渦流リング、保持キャップ等のような他の構成部品も同様に含むことができる。図示するように、トーチアセンブリ450は、トーチ450内の異なる位置においてトーチガスの圧力を検知する追加の圧力センサ(例えば、トランスデューサ)を含む。例えば、図示するように、センサ457は作業中のシールドガスの圧力を検出するように、シールドキャップの内面上に位置し、プラズマチャンバ圧力計458は、プラズマガスチャンバ内のプラズマガスの圧力を検出するようノズル455と電極456との間のキャビティ内に位置する。これらのセンサ457/458は、コントローラ401が検知された圧力を用いて切断プロセス/トーチの動作を監視し、検出された圧力に基づいて切断作業の動的制御を提供することができるように、検知された圧力データをDSP407及び/又はコントローラ401に提供する。
【0052】
一実施形態によれば、コントローラ401は、コア切断データ及び非コア切断データを含む、作成された各切断について金属切断システム400からの様々な種類の切断データを測定、計算、及び収集する。様々な種類のコア切断データを測定、計算、及び収集する技術は、当該技術において周知である。コア切断データは、例えば、アーク電圧、切断電流、様々なガス圧、様々なガス流量、初期穿孔高さ、切断ツール(トーチ)の作業角度、切断ツール(トーチ)の移動角度、切断ツール(トーチ)の切断速度、ツール(トーチ)から母材までの距離、及び切断ツール(トーチ)の切断動作のうちの1つ以上のパラメータに関するデータを含んでいてもよい。かかるコア切断パラメータは当該技術において周知である。
【0053】
非コア切断データは、例えば、プレアイドル時間(すなわち、切断が開始される前のアイドル時間)、部品上で連続切断を生成する間の切断ツール(トーチ)の非切断動作、各切断後の部品の温度、時間、曜日、及び日付に関するデータを含んでいてもよい。他の種類のコア切断データ及び非コア切断データも、他の実施形態により同様に可能である。例えば、他のデータは作業者ID及び部品IDを含んでいてもよい。
【0054】
プレアイドル時間(すなわち、切断が開始される前のアイドル時間)に関するデータは、一実施形態により、アーク電圧及び/又は切断電流に関するデータが、例えば、切断が生成されていることを示していない場合の時間に基づいて、例えば、コントローラ401内のタイマー回路(図示せず)によって生成されてもよい。部品上で連続切断を生成する間の切断ツール(トーチ)の非切断動作に関するデータは、様々な実施形態により、例えば、切断ツール(トーチ)に取り付けられるか、又はそれに一体化され、コントローラ401に動作可能に接続されるジャイロスコープ、加速度計、又は幾つかの他の種類の慣性測定ユニット(図示せず)によって生成されてもよい。各切断後の部品の温度に関するデータは、様々な実施形態により、例えば、コントローラ401に動作可能に接続される赤外線センサ(図示せず)又は金属切断システム400の幾つかの他の種類の温度センサによって生成されてもよい。
【0055】
金属切断システム400は、一実施形態によれば、コントローラ401に動作可能に接続されるネットワークインターフェース460を含む。ネットワークインターフェース460(例えば、一実施形態におけるイーサネットインターフェース)は、金属切断システム400によって部品上に生成された各切断について、コントローラ401からコア切断データ及び非コア切断データを取得し、コンピュータネットワーク120(例えば、インターネット)を介してシステム110(例えば、クラウド内)にコア切断データ及び非コア切断データを通信するよう構成される。このようにして、システム110は、分析のためにシステムアーキテクチャ100の各金属切断システム400から切断データ(コア及び非コア)を収集することができる。一実施形態によれば、ネットワークインターフェース460はコントローラ401の一部である。
【0056】
図5は、ハードウェアアーキテクチャを強調した
図1及び
図3のサーバコンピュータ114の実例となる一実施形態を図示している。サーバコンピュータ114は、バスサブシステム512を介して多数の周辺装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ514を含んでいる。これらの周辺装置は、例えば、メモリサブシステム528及びファイルストレージサブシステム526を含むストレージサブシステム524、ユーザインターフェース入力デバイス522、ユーザインターフェース出力デバイス520、及びネットワークインターフェースサブシステム516を含んでいてもよい。入出力デバイスはサーバコンピュータ114とのユーザの対話を可能にする。ネットワークインターフェースサブシステム516は外部ネットワーク(例えば、インターネット)とのインターフェースを提供し、他のコンピュータシステム内の対応するインターフェースデバイスに接続される。例えば、溶接システム200のコントローラ230及び金属切断システム400のコントローラ/CNC401は、サーバコンピュータ114と1つ以上の特性を共有してもよく、また、例えば、従来のコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、及び/又は他のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0057】
ユーザインターフェース入力デバイス522は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はグラフィックスタブレット等のポインティングデバイス、スキャナ、ディスプレイに組み込まれるタッチスクリーン、音声認識システム等のオーディオ入力デバイス、マイクロフォン、及び/又は他の種類の入力デバイスを含んでいてもよい。一般に、用語「入力デバイス」の使用は、情報をサーバコンピュータ114又は通信ネットワークに入力する可能な全ての種類のデバイス及び方法を含むことを意図している。
【0058】
ユーザインターフェース出力デバイス520は、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファックス機、又はオーディオ出力デバイス等の非視覚的表示を含んでいてもよい。ディスプレイサブシステムは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネル装置、プロジェクション装置、又は可視画像を作成するための他の幾つかの機構を含んでいてもよい。ディスプレイサブシステムは、また、オーディオ出力デバイスを介するもの等の非視覚的表示を提供してもよい。一般に、用語「出力デバイス」の使用は、情報をサーバコンピュータ114からユーザ又は別の機械若しくはコンピュータシステムに出力する可能な全ての種類のデバイス及び方法を含むことを意図している。
【0059】
ストレージサブシステム524は、本明細書中で説明する幾つか又は全ての機能を提供又は支援するプログラミング及びデータ構造体を(例えば、ソフトウェアモジュール/コンポーネントとして)格納している。例えば、ストレージサブシステム524は、溶接及び切断を識別及びグループ化するための分析ソフトウェアモジュール(例えば、クラスター分析モジュール)を含んでいてもよい。
【0060】
ソフトウェアモジュールは、一般に、プロセッサ514単体又は他のプロセッサと組み合わせることによって実行される。ストレージサブシステム内で用いられるメモリ528は、プログラム実行中に命令及びデータを格納するためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)530及び固定命令が格納される読出し専用メモリ(ROM)532を含む多数のメモリを含むことができる。ファイルストレージサブシステム526は、プログラム及びデータファイルのための持続性ストレージを提供することができ、ハードディスクドライブ、関連するリムーバブルメディアに加えてフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、光学式ドライブ、又はリムーバブルメディアカートリッジを含んでいてもよい。ある特定の実施形態の機能を実装するモジュールは、ストレージサブシステム524内のファイルストレージサブシステム526によって、又は、プロセッサ514によってアクセス可能な他の機械内に格納されてもよい。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、
図1及び
図3のデータストア112は、
図5のストレージサブシステム524の構成要素と同様の構成要素を有していてもよい。データストア112内の情報は、例えば、リスト、配列、及び/又はデータベースを含む様々なデータ構造内に格納することができる。更に、データストア112に格納される情報は、以下の、リレーショナルデータベース内に格納されたデータ、階層型データベース内に格納されたデータ、テキスト文書、グラフィックイメージ、音声情報、ストリーミングビデオ、及び溶接又は切断に関連する他の情報のうちの1つ以上を含むことができる。
【0062】
バスサブシステム512はサーバコンピュータ114の種々のコンポーネント及びサブシステムに意図したような互いとの通信を行わせるための機構を提供する。バスサブシステム512を単一バスとして略図的に示しているが、バスサブシステムの代替実施形態は多重バスを用いてもよい。
【0063】
コンピューティングデバイス及びネットワークの絶えず変化する性質のため、
図5に示すサーバコンピュータ114の説明は幾つかの実施形態を示すための特定の実施例としてのみを目的としている。
図5に示すサーバコンピュータよりも多くの又は少ないコンポーネントを有するサーバコンピュータ114の他の多くの構成が可能である。
【0064】
図6は、サーバコンピュータ114の機能コンポーネントアーキテクチャを強調した
図1及び
図3のシステム110の実例となる一実施形態を図示している。
図6において、サーバコンピュータ114は、分析コンポーネント610、セキュリティコンポーネント620、クエリコンポーネント630、検索コンポーネント640、及びフィルタコンポーネント650を含んでいる。一実施形態によれば、これらのコンポーネントは、例えば、
図5のプロセッサ514で実行されるソフトウェアコンポーネント又はソフトウェアモジュールである。
【0065】
セキュリティコンポーネント620は、溶接システム、切断システム、クライアントコンピュータ、及び/又はそれらのユーザ間の安全な接続を確立するよう構成され得る。加えて、セキュリティコンポーネント620は、溶接システム、切断システム、クライアントコンピュータ、及び/又はそれらのユーザのためのアクセス権を確立するよう構成される。溶接データ又は切断データが、例えば、インターネット等の公衆ネットワークを介して転送される場合、セキュリティコンポーネント620は、システム110と溶接システム、切断システム、又はクライアントコンピュータとの間で認証及び認可サービスと共に暗号化されたデータ通信を提供することができる。かかる暗号化、認証、及び認可技術は周知であり、サーバコンピュータ114において適用されてもよい。例えば、引用して本明細書中に組み込む(特許文献1)は、かかる技術について詳述している。
【0066】
クエリコンポーネント630は、データストア112に格納されているような溶接データ又は切断データを見つけるために検索コンポーネント640によって用いられる検索基準をユーザが策定することを支援するよう構成される。クエリが策定されると、検索コンポーネント640は、クライアントコンピュータから受信した情報及びクエリコンポーネント630を用いて策定された検索基準に基づいてデータストア112を検索する。例えば、一実施形態において、クエリコンポーネント630は、ユーザクエリから溶接情報又は切断情報を抽出するよう(例えば、自然言語入力に基づいて)適合させることができる。かかるクエリ技術は周知であり、サーバコンピュータ114において適用されてもよい。例えば、引用して本明細書中に組み込む(特許文献1)は、かかる技術について詳述している。クエリコンポーネント630からクエリを受信することに応じて、検索コンポーネント640は溶接情報又は切断情報を検索する。検索コンポーネント640は、溶接又は切断データを検索する場合に、様々な技術(例えば、ベイジアンモデル、人工知能モデル、確率ツリーネットワーク、ファジー論理、及び/又はニューラルネットワークに基づく)を採用してもよい。かかる検索技術は周知であり、サーバコンピュータ114において適用されてもよい。例えば、引用して本明細書中に組み込む(特許文献1)は、かかる技術について詳述している。
【0067】
フィルタコンポーネント650は、検索コンポーネント640の結果をフィルタリングして、例えば、機械学習(ML)アルゴリズムへの入力データとして用いられるデータセットの準備を容易にするよう構成される。フィルタリングは、少なくとも部分的に、検索を要求しているクライアントコンピュータから受信した情報に基づいている。例えば、一実施形態において、フィルタコンポーネント650は、入力データに作用して、例えば、生産ライン内の任意の拠点における予防保守活動及び注意すべき溶接又は切断関連問題を追跡するよう構成されるMLアルゴリズムを用いることに備えて、検索結果をフィルタリングしてもよく、エンジニアが問題を発生前に防止することを可能にしている。かかるフィルタリング技術は周知であり、サーバコンピュータ114において適用されてもよい。例えば、引用して本明細書中に組み込む(特許文献1)は、かかる技術について詳述している。一実施形態によれば、サーバコンピュータ114の分析コンポーネント610はMLアルゴリズムを実装してもよい。代替として、MLアルゴリズムは、例えば、クライアントコンピュータで実装されてもよい。
【0068】
しかし、一実施形態によれば、分析コンポーネント610は、データストア112にデータを格納する前に、従って、クライアントコンピュータがシステム110に接続し、データストア112に格納されたデータを検索する前に、データの前処理分析を実行するよう構成される。本明細書中で先に示したように、高度な機械学習(ML)アルゴリズムにより収集された溶接又は切断データを分析しようとする場合、個々の溶接又は切断用のデータをクラスタリングする際の難易度は高い。溶接又は切断データはトレーサビリティの観点からラベルが付けられていないことが多いため、これは困難である。データソースは既知であり、通常、部品タイプの部品番号は簡単に記録できるが、部品で発生する溶接又は切断の個々の識別は、多くの場合、不明/ラベルなしである。加えて、データパラメータは似ているが、溶接(又は切断)を異なるクラスターに割り当てる必要があるため、クラスタリングの観点から、幾つかの溶接(又は切断)は簡単に重複させることができる。従って、一実施形態において、サーバコンピュータ114の分析コンポーネント610は、溶接データ(又は切断データ)に関する分析を実行して、本明細書中に以下で検討するように、分析の一部として溶接プロファイル識別番号(又は切断プロファイル識別番号)に依存することなく、同じ種類の部品の複数のインスタンスに関して行われる同じ個々の溶接(又は切断)を識別及びグループ化するよう構成される。
【0069】
図7は、例えば、
図1、
図3、又は
図6のシステム110を用いて、同じ個々の溶接(又は切断)に対応する溶接(又は切断)データを識別及びグループ化する方法700の一実施形態のフロー図である。方法700のステップ710において、分析コンポーネント610を有するサーバコンピュータ114は、コンピュータネットワーク120に動作可能に接続され、同じ種類の部品の複数のインスタンスを製作するよう複数の溶接(又は切断)を生成するために用いられる複数の溶接(又は切断)システム200(又は400)からコンピュータネットワーク120を介して、コア溶接(又は切断)データ及び非コア溶接(又は切断)データを含む溶接(又は切断)データを受信する。溶接(又は切断)データは複数の溶接(又は切断)に対応する。同じ種類の部品の複数のインスタンスは、例えば、ブリッジ用のトラスの複数のインスタンスであってもよい。
【0070】
方法700のブロック720において、サーバコンピュータ114は、溶接(又は切断)データに関する分析を実行して、分析の一部として溶接(又は切断)プロファイル識別番号に依存することなく、複数の溶接(又は切断)の同じ個々の溶接(又は切断)を識別及びグループ化する。同じ個々の溶接(又は切断)のグループ化は、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の同じ溶接(又は切断)位置に対応する。
【0071】
溶接(又は切断)プロファイル識別番号は、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の同じ位置に対応する個々の溶接(又は切断)を理想的に識別する数値である。しかし、本明細書中で先に検討したように、溶接(又は切断)プロファイル識別番号は知らないうちに再利用される可能性があり、結果として異なるバッチの溶接(又は切断)レコード(異なる種類の溶接又は切断に対する溶接又は切断データ)を誤ってグループ化する可能性がある。間違った識別は、欠陥検出、トレーサビリティ、及び更なる分析のためのデータのグループ化による別の問題を引き起こす可能性がある。別の実施例において、溶接(又は切断)プロファイル識別番号は定義されなくてもよいか、又はシステムコントローラによって部分的にのみ定義されてもよい。これもまた、欠陥検出、トレーサビリティ、及びデータのグループ化による問題を引き起こす。方法700において、データの2つの異なるカテゴリ(すなわち、コア溶接(又は切断)データに加えて非コア溶接(又は切断)データ)の使用により、部品上の特定の溶接(又は切断)位置を明確に識別しようと試みるプロファイル識別番号又はその他の種類の指標を用いるか又はそれに依存することなく、溶接(又は切断)の正しいグループ化が可能となる。
【0072】
方法700のブロック730において、データストア112は、同じ個々の溶接(又は切断)の個々の溶接(又は切断)それぞれに対応する溶接(又は切断)データをサーバコンピュータ114から受信し、溶接(又は切断)データを識別及びグループ化されるようにデジタルで格納する。このようにして、溶接(又は切断)システムから当初受信した溶接(又は切断)データは、例えば、機械学習(ML)アルゴリズムによる更なる処理のために更に有用な方法で効果的に前処理及び格納されている。かかるMLアルゴリズムは、例えば、溶接(又は切断)性能の分析並びに予防保守活動のスケジューリング及び追跡に用いられてもよい。
【0073】
一実施形態によれば、方法700のブロック720において実行される分析は、製造される同じ種類の部品の複数のインスタンス上の同じ位置に対応する溶接(又は切断)に関するデータを適切にグループ化するクラスター分析を含む。クラスター分析におけるコア溶接(又は切断)データと共に非コア溶接(又は切断)データの使用により、溶接(又は切断)データの正しいグループが形成される可能性が大幅に向上する。
【0074】
一般に、クラスター分析は、結果として生じるグループ(又はクラスター)の構成要素が他のグループにおける構成要素よりも互いに類似しているような方法でデータのセット(例えば、オブジェクトに対応するデータ)をグループ化する分類分析の一種である。クラスター分析アルゴリズムは、クラスター分析を実行するために用いられる。幾つかの種類のクラスター分析アルゴリズムは、接続性ベースのクラスタリングアルゴリズム、中心ベースのクラスタリングアルゴリズム、分布ベースのクラスタリングアルゴリズム、及び密度ベースのクラスタリングアルゴリズムを含む。かかる種類のクラスター分析アルゴリズムは、クラスター分析において周知である。他の種類のクラスタリングアルゴリズムは同様に可能性があってもよい。
【0075】
図8A及び
図8Bは、
図7の方法700の一実施例を提供する部品800及び表850をそれぞれ示している。
図8Aを参照すると、製造された部品の種類は、第1の溶接810、第2の溶接820、第3の溶接830、及び第4の溶接840を含む4つの溶接を含む。部品800の種類は、例えば、結果として生じるフレーム構造の角部において共に溶接された4つの側面を有する金属フレーム構造であってもよい。同じ種類の部品800の複数のインスタンスは、4つの溶接を生成することによって同じ方法で作成されてもよい。
【0076】
図8Bは、製造された同じ種類の部品800のうちの4つに対する4つの溶接に対応するデータの表850を示している。表850内に8行のデータがある。一実施形態によれば、溶接の各インスタンスについてシステム110に実際に送信されるデータは、溶接番号、電圧、アンペア数(電流)、及びプレアイドル時間である。溶接番号は、個々の溶接を単に示しているが、どの溶接であるかのその他の指示を提供しない。更に、部品上の溶接位置に対応する溶接プロファイル識別番号は提供されない。電圧は溶接を行うために用いられる溶接出力電圧であり、アンペア数は溶接を行うために用いられる溶接出力電流である。電圧及びアンペア数はコア溶接データを構成する。
【0077】
しかし、コア溶接データ(電圧及びアンペア数)のみがクラスター分析において処理された場合、クラスター分析は2つの溶接グループ、24.0ボルトの電圧及び200アンペアのアンペア数を有する第1の溶接グループ、並びに26.5ボルトの電圧及び350アンペアのアンペア数を有する第2の溶接グループのみを生成する。しかし、我々は
図8A(及びシステム110に送信されない
図8Bの部品溶接ID列)から、部品800が実際には4つの異なる溶接位置に対応する4つの異なる溶接(810、820、830、及び840)を有することを知っている。従って、グループ化は不正確であり、これらの誤った溶接データのグループ化を用いる後続のアルゴリズム(例えば、MLアルゴリズム)を誤った方向に導く可能性がある。
【0078】
しかし、プレアイドル時間の非コア溶接データを追加することにより、クラスター分析は4つの異なる溶接を正しく識別し、グループ化することができる。本明細書中で先に検討したように、プレアイドル時間は、溶接(又は切断)が開始される前のアイドル時間である。
図8Bに示すように、表850は、同じ種類(すなわち、部品種類800)の少なくとも2つの異なる部品からの4つの異なる溶接に対する溶接データを含む。従って、プレアイドル時間の非コア溶接データを含めることにより、クラスター分析は同じ個々の溶接の4つのグループ(クラスター)を正しく形成する。
図8の表850において、これらの部品溶接IDが分析のためにシステム110に実際に送信される溶接データの一部ではない場合であっても、第1のグループ(クラスター)は部品溶接IDの1によって示され、第2のグループ(クラスター)は部品溶接IDの2によって示され、第3のグループ(クラスター)は部品溶接IDの3によって示され、また、第4のグループ(クラスター)は部品溶接IDの4によって示される。
【0079】
このように、部品上の同じ溶接位置(又は切断位置)に対する溶接データ(又は切断データ)の適切なグループ化(クラスタリング)は、例えば、溶接システム200(又は切断システム400)から送信されるプロファイル識別番号を用いずに達成することができる。更に、溶接システム200(又は切断システム400)からシステム110に入る他のパラメータ(例えば、データのタイムスタンプ)に応じて、分析(例えば、ある種のパターン認識分析)が、他のパラメータ(非コアデータとも見なされる)と共にコアデータ及び非コアデータに対して実行されて、特定の部品上で複数の溶接(又は切断)が生成されたシーケンス(すなわち、時間順序)を適切に特定してもよい。
【0080】
本明細書中で先に検討したように、溶接の場合、コア溶接データは、溶接出力電圧、溶接出力電流、ワイヤ送給速度、アーク長、突出し長さ、コンタクトチップから母材までの距離(CTWD)、作業角度、移動角度、移動速度、ガス流量、溶接ツール(トーチ)の溶接動作、ワイヤ種類、用いられるワイヤの量、及び溶着速度のうちの1つ以上を含んでいてもよい。切断の場合、コア切断データは、アーク電圧、切断電流、様々なガス圧、様々なガス流量、初期穿孔高さ、切断ツール(トーチ)の作業角度、切断ツール(トーチ)の移動角度、切断ツール(トーチ)の切断速度、ツール(トーチ)から母材までの距離、及び切断ツール(トーチ)の切断動作のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0081】
非コア溶接(又は切断)データはプレアイドル時間データを含んでいてもよい。非コア溶接(又は切断)データは、同じ種類の部品の複数のインスタンス上の連続溶接(又は切断)間の溶接ツール(トーチ)(又は切断ツール(トーチ))の非溶接(又は非切断)動作に関するデータを含んでいてもよい。非コア溶接(又は切断)データは、例えば、各溶接(又は切断)が行われた後の、同じ種類の部品の複数のインスタンスの温度に関するデータを含んでいてもよい。他の種類のコア及び非コア溶接(又は切断)データも、他の実施形態により同様に可能である。
【0082】
再度、溶接システム(又は切断システム)の実施形態は、ロボット溶接システム(又はロボット切断システム)、手溶接システム(又は手動切断システム)、又は半自動溶接システムを含んでいてもよい。更に、一実施形態により、本明細書中で先に検討したように、サーバコンピュータ114及びデータストア112は、コンピュータネットワーク120に動作可能に接続されたクライアントコンピュータ(例えば、140又は150)によってデータストア112に格納されたような溶接データ(又は切断データ)を照会することができるデータベースシステムとして構成されてもよい。
【0083】
システム110において識別、グループ化、及び格納されるような溶接データ又は切断データは、その後、システム110の機械学習(ML)アルゴリズムによって(又は他の外部システムのMLアルゴリズムによって)効果的に用いられて、例えば、1つ以上の仕様を満たすか又は満たさないものとして溶接(又は切断)を分類してもよい。MLアルゴリズムは、他の目的(例えば、予測及び/又は予防保守目的)にも同様に採用されてもよい。様々な実施形態により、機械学習(ML)アルゴリズムは、線形回帰技術、ロジスティック回帰技術、決定ツリー技術、K近傍法技術、K平均法技術、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、テンソルプロセッシングユニット、遺伝的アルゴリズム、進化アルゴリズム、学習分類子システム、勾配ブースティング技術、又はAdaBoost技術のうちの少なくとも1つを用いて開発(例えば、訓練)されてもよい。他の技術も、他の実施形態により同様に可能であってもよい。
【0084】
開示する実施形態をかなり詳細に示し、説明してきたが、添付特許請求の範囲の適用範囲をかかる詳細に制限するか、又は、何らかの方法で限定することは、意図するものではない。無論、主題の様々な態様を説明するために、コンポーネント又は手法の想定できる組み合わせの全てを説明することは不可能である。従って、開示は、図示し、説明した特定の詳細又は例示する実施例に限定されるものではない。それ故に、本開示は、米国特許法第101条(35U.S.C.§101)の法定主題要件を満足させる添付特許請求の範囲の適用範囲に入る変更、修正、及び変形例を包含することを目的としている。特定の実施形態の上記の説明は、一例として与えられている。与えた開示から、当業者は、一般的発明概念及び付随する利点を理解するだけでなく、開示した構造及び方法に対する明白な、様々な変更及び修正を見出すであろう。従って、添付特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるように、一般的発明概念の精神及び適用範囲に入るような全てのかかる変更及び修正をカバーすることが求められている。
【符号の説明】
【0085】
110 システム
112 データストア
114 サーバコンピュータ
120 コンピュータネットワーク
140 クライアントコンピュータ
200 溶接システム
272 ワイヤ
400 金属切断システム
450 切断ツール(トーチ)
610 分析コンポーネント
800 部品種類
810,820,830,840 溶接