(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ティシューペーパー及びティシューペーパーの製造方法
(51)【国際特許分類】
A47K 10/16 20060101AFI20240910BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A47K10/16 C
A47K10/16 D
D21H27/00 F
(21)【出願番号】P 2020198096
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176482(JP,A)
【文献】特開2016-204773(JP,A)
【文献】特開2020-124339(JP,A)
【文献】特開2020-033672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟剤を含有し、
縦方向の乾燥引張強度が250cN/25mm以上400cN/25mm以下であり、
引張弾性率が7N/mm
2以上15N/mm
2以下あり、
ソフトネス測定装置TSAにより測定したハンドフィール値HFが80以上で
あり、
前記ソフトネス測定装置TSAにより測定した柔らかさピークTS7が10.8以下である、
ティシューペーパー。
【請求項2】
前記柔軟剤は、ジエチルエーテルで抽出される油分を前記柔軟剤中に0.1質量%以上1.5質量%以下含む、
請求項1に記載のティシューペーパー。
【請求項3】
前記ソフトネス測定装置TSAにより測定した滑らかさピークTS750が9.5以下である、
請求項1
または2に記載のティシューペーパー。
【請求項4】
算術平均高さが3μm以上7μm以下である、
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のティシューペーパー。
【請求項5】
表面性状のアスペクト比が0.4以下である、
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のティシューペーパー。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のティシューペーパーの製造方法であって、
前記柔軟剤が添加されたパルプスラリーを抄紙して湿紙にする抄紙工程と、
前記湿紙をヤンキードライヤーで乾紙にする乾燥工程と、
前記乾紙をクレーピングドクターで前記ヤンキードライヤーから剥がす剥離工程と、を有し、
前記ヤンキードライヤーの表面に0.5mg/m
2以上3.5mg/m
2以下の接着剤が塗布されている、
ティシューペーパーの製造方法。
【請求項7】
前記接着剤がポリアミド系樹脂を含有する、
請求項
6に記載のティシューペーパーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシューペーパー及びティシューペーパーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシューペーパーには、紙を柔らかくするために柔軟剤が含まれている。また、紙が破れないように所定の引張強度を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、柔らかいティシューペーパーのニーズが高まっているが、柔軟剤の添加量を増やすと乾燥時ドライヤーに紙が貼り付かず紙にクレープが入りにくくなり却って柔らかくならない。また、引張強度を下げると紙は柔らかくなるが破れやすくなる。そのため、従来のティシューペーパーでは、柔らかさの向上に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、柔らかさに優れるティシューペーパーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、柔軟剤を含有し、縦方向の乾燥引張強度が250cN/25mm以上400cN/25mm以下であり、引張弾性率が7N/mm2以上15N/mm2以下あり、ソフトネス測定装置TSAにより測定したハンドフィール値HFが80以上である、ティシューペーパーを提供する。
【0007】
第1の態様では、縦方向の乾燥引張強度を250cN/25mm以上400cN/25mm以下にすることで、破れにくいティシューペーパーが得られる。また、柔軟剤を含有し、引張弾性率を7N/mm2以上15N/mm2以下にし、TSAのHF値を80以上にすることで、柔らかさに優れたティシューペーパーが得られる。
【0008】
本発明に係る第2の態様は、前記柔軟剤が、ジエチルエーテルで抽出される油分を前記柔軟剤中に0.1質量%以上1.5質量%以下含む、ティシューペーパーを提供する。第2の態様では、柔軟剤中にジエチルエーテルで抽出される油分が0.1質量%以上1.5質量%以下含まれる柔軟剤を含有することで、ティシューペーパーの柔らかさを向上させることができる。
【0009】
本発明に係る第3の態様は、前記ソフトネス測定装置TSAにより測定した柔らかさピークTS7が11以下である、ティシューペーパーを提供する。第3の態様では、TSAのTS7を11以下にすることで、ティシューペーパーの柔らかさをさらに向上させることができる。
【0010】
本発明に係る第4の態様は、前記ソフトネス測定装置TSAにより測定した滑らかさピークTS750が9.5以下である、ティシューペーパーを提供する。第4の態様では、TSAのTS750を9.5以下にすることで、柔らかさとともに滑らかさに優れたティシューペーパーが得られる。
【0011】
本発明に係る第5の態様は、算術平均高さが3μm以上7μm以下である、ティシューペーパーを提供する。第5の態様では、算術平均高さを3μm以上7μm以下にすることで、ティシューペーパーの滑らかさをさらに向上させることができる。
【0012】
本発明に係る第6の態様は、表面性状のアスペクト比が0.4以下である、ティシューペーパーを提供する。第6の態様では、表面性状のアスペクト比を0.4以下にすることで、ティシューペーパーの滑らかさをさらに向上させることができる。
【0013】
本発明に係る第7の態様は、上記第1乃至第6の態様のいずれかのティシューペーパーの製造方法であって、前記柔軟剤が添加されたパルプスラリーを抄紙して湿紙にする抄紙工程と、前記湿紙をヤンキードライヤーで乾紙にする乾燥工程と、前記乾紙をクレーピングドクターで前記ヤンキードライヤーから剥がす剥離工程と、を有し、前記ヤンキードライヤーの表面に0.5mg/m2以上3.5mg/m2以下の接着剤が塗布されている、ティシューペーパーの製造方法を提供する。
【0014】
第7の態様では、ヤンキードライヤーの表面に0.5mg/m2以上3.5mg/m2以下の接着剤が塗布されていることで、ヤンキードライヤーの表面に厚い皮膜を形成することができる。この厚い皮膜により、剥離工程の際にヤンキードライヤーと乾紙の間にクレーピングドクターの先端が入り込み、乾紙の表面を皮膜で保護しながら乾紙が剥ぎ取られる。これにより、均一で細かいクレープが形成されたティシューペーパーが得られる。
【0015】
また、第7の態様では、ヤンキードライヤーの表面に形成された厚い皮膜により、剥離工程の際にクレーピングドクターの先端がヤンキードライヤーの表面に接触するのを避けることができる。そのため、第7の態様では、この厚い皮膜によりヤンキードライヤーの表面を保護することができる。
【0016】
また、第7の態様では、ヤンキードライヤーの表面と乾紙の間に形成された厚い皮膜により、上述のように皮膜を介して乾紙にクレープが形成され、またクレーピングドクターの先端がヤンキードライヤーの表面に接触しにくいことで、剥離工程の際にヤンキードライヤー自体も保護することができる。
【0017】
本発明に係る第8の態様は、前記接着剤が熱硬化性ポリアミド系樹脂を含有する、ティシューペーパーの製造方法を提供する。ヤンキードライヤーの表面に塗布される接着剤が熱硬化性ポリアミド系樹脂を含有することで、ヤンキードライヤーの表面に厚い皮膜が形成される際に、ヤンキードライヤーの近傍では強い加熱により皮膜の一部が固くなり、ヤンキードライヤーから離れた乾紙側では弱い加熱により皮膜の一部が柔らかくなる。
【0018】
これにより、第8の態様では、ヤンキードライヤーの表面に形成された柔らかい皮膜により、乾紙が接着されやすくなり、乾燥工程の際に乾紙のピックアップ(ヤンキードライヤーに対する湿紙の接着)が容易になる。また、ヤンキードライヤーの表面に形成された固い皮膜により、ヤンキードライヤーの表面の保護を強化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、柔らかさに優れたティシューペーパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るティシューペーパーの表面を画像解析により測定した画像を示す図である。
【
図2】算術平均高さを説明するためのイメージ図である。
【
図3】表面性状のアスペクト比を説明するためのイメージ図である。
【
図4】
図1においてティシューペーパーの流れ方向の断面を示す模式図である。
【
図5】従来のティシューペーパーの表面を画像解析により測定した画像を示す図である。
【
図6】
図5においてティシューペーパーの流れ方向の断面を示す模式図である。
【
図7】
図5においてティシューペーパーの流れ方向の断面を示す模式図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るティシューペーパーの引張弾性率を示すグラフである。
【
図9】従来のティシューペーパーの引張弾性率を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施形態に係るティシューペーパーの製造方法を実行するフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態に係るティシューペーパーを製造する装置の模式図である。
【
図13】従来のティシューペーパーの製造工程の一部を示す図である。
【
図14】従来のティシューペーパーの製造工程の一部を示す図である。
【
図15】従来のティシューペーパーの製造工程の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0022】
<ティシューペーパー>
本実施形態に係るティシューペーパーについて説明する。
図1は、本実施形態のティシューペーパーの表面を画像解析により測定した画像を示す図である。本実施形態において、ティシューペーパーの材質は紙である。紙のパルプ組成は、紙における公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0023】
また、紙の坪量(米坪ともいう)は、特に限定されず、ティシューペーパーのプライ数に応じて、例えば、5g/m2以上80g/m2以下であり、好ましくは7g/m2以上50g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上13g/m2以下である。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。
【0024】
また、紙の厚み(以下、紙厚という)は、特に限定されず、例えば、2プライあたり、50μm以上500μm以下であり、好ましくは60μm以上330μm以下、より好ましくは100μm以上150μm以下である。なお、紙厚は、JIS P 8111(1998)の規定に準拠して測定することができる。
【0025】
ティシューペーパーの態様は、特に限定されないが、汎用のティシューペーパー(保湿成分を含んだものは含まれない)であることが好ましい。また、ティシューペーパーの用途は、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できるが、これらの中でも家庭用のティシューペーパーに好ましく用いられる。
【0026】
本実施形態のティシューペーパーは、柔軟剤を含有する。本明細書において、柔軟剤は、ティシューペーパーを構成する紙に柔軟性を与える成分を含む。具体的には、柔軟剤が、パルプ繊維間を広げる機能を有し、パルプ繊維の間に空気層を形成し、パルプ繊維間にも入り込むことで、パルプ繊維を可疎化して、紙を柔らかくすることができる。また、パルプ表面に柔軟剤が付くことで、肌との摩擦を低下させ、紙に滑らかさを与えることができる。
【0027】
柔軟剤に含まれる成分は、特に限定されず、例えば、脂肪酸エステル系化合物、脂肪酸アミド系化合物等が挙げられる。脂肪酸エステル系化合物および脂肪酸アミド系化合物を用いる場合は、いずれか一方を用いてもよいし、両方を併用してもよい。なお、該両方を用いる場合は、柔軟剤中の脂肪酸エステル系化合物と脂肪酸アミド系化合物との配合割合は任意であるが、脂肪酸エステル系化合物と脂肪酸アミド系化合物との含有割合は1:1~1:5であることが好ましい。
【0028】
柔軟剤に含まれる肪酸エステル系化合物としては、炭素数が6~24のアルコールと炭素数7~25の脂肪酸との化合物であるのが好ましい。アルコールは、直鎖アルコール、分岐鎖を有するアルコール、飽和アルコール、及び不飽和アルコールの何れでも良い。特に、炭素数が10~22のアルコールが好ましく、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びオレイルアルコールが好ましい。
【0029】
また、炭素数7~25の脂肪酸としては、直鎖脂肪酸、分岐鎖を有する脂肪酸、飽和脂肪酸、及び不飽和脂肪酸の何れでも良い。中でも、炭素数が10~22の脂肪酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びオレイン酸が好ましい。これらはその一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
【0030】
柔軟剤に含まれる脂肪酸アミド系化合物は、ポリアルキレンポリアミンおよびカルボン酸を反応させて得ることができる。好適なポリアルキレンポリアミンは、分子中に少なくとも3個のアミノ基を有する、下記一般式(1)で示されるものである。
【0031】
H2N-(R1-NH-)n-R1-NH2・・・(1)
(R1は各々独立して炭素数1~4のアルキレン基、nは1~3の整数)
【0032】
このポリアクリルアミンにおいては、分子中に異なるR1が存在していてもよい。また、2種以上のポリアルキレンポリアミンを用いることも可能である。好ましいR1はエチレン基である。
【0033】
一方、カルボン酸としては、炭素数10~24のカルボン酸が望ましく、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のいずれであってもよい。また、直鎖状カルボン酸、分岐鎖を有するカルボン酸のいずれであってもよい。中でも炭素数12~22のカルボン酸が好ましく、特に炭素数14~18のカルボン酸が好ましい。
【0034】
本実施形態のティシューペーパーでは、柔軟剤が、ジエチルエーテルで抽出される油分(以下、抽出油分という場合がある)を柔軟剤中に0.1質量%以上1.5質量%以下含まれていることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1.4質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上1.3質量%以下含まれている。ここで、ジエチルエーテルは、低極性物質である油脂を効率的に抽出する。
【0035】
このような油分(油性成分)は、ティシューペーパーの主原料であるパルプには通常含まれておらず、柔軟剤に含まれる。この油分0.1質量%以上1.5質量%以下という範囲は、ティシューペーパーの坪量に関わらず、従来のティシューにおいては見られない高い含有量である。
【0036】
本実施形態のティシューペーパーは、縦方向の乾燥引張強度が250cN/25mm以上400cN/25mm以下であり、好ましくは260cN/25mm以上380cN/25mm以下、より好ましくは270cN/25mm以上350cN/25mm以下に調整される。ここで、縦方向の乾燥引張強度とは、製造時の流れ方向(MD方向または縦方向)に乾燥状態でティシューペーパーが引っ張られたときの強度を示す。
【0037】
また、本実施形態のティシューペーパーにおいて、横方向の乾燥引張強度は任意であり、例えば50cN/25mm以上200cN/25mm以下、好ましくは80cN/25mm以上180cN/25mm以下、より好ましくは100cN/25mm以上150cN/25mm以下に調整される。ここで、横方向の乾燥引張強度とは、製造時の流れ方向と直交する方向CD(方向または横方向)に乾燥状態でティシューペーパーが引っ張られたとき強度を示す。
【0038】
本実施形態のティシューペーパーは、引張弾性率が7N/mm2以上15N/mm2以下であることが好ましく、より好ましくは8N/mm2以上13N/mm2以下、さらに好ましくは8.5N/mm2以上11N/mm2以下に調整される。
【0039】
ここで、引張弾性率は、引張圧縮試験機(ミネベアミツミ株式会社製、TGI-200N)で縦
方向の引張強度を測定試験片25mm幅、紙厚125μm(平均)のサンプルの上下をチャック(チャック間100mm)で挟み測定され、下記式(1)で算出されるヤング率を示す(
図8参照)。
【0040】
伸びと引張強度の最大の傾き(N/mm)×チャック間の距離(mm)/試験片の幅(mm)/試験片の厚み(mm) (1)
【0041】
なお、本実施形態のティシューペーパーの縦方向の伸び率は、任意であり、例えば、5%以上20%以下、好ましくは8%以上18%以下、より好ましくは10%以上15%以下に調整される。ここで、縦方向の伸び率は、製造時の流れ方向に乾燥状態でティシューペーパーが引っ張られて破断したときの長さを百分率で示したものである。
【0042】
本実施形態のティシューペーパーは、ソフトネス測定装置TSAにより測定したハンドフィール値HFが80以上であることが好ましくは、より好ましくは81以上、さらに好ましくは83以上に調整される。ここで、ソフトネス測定装置TSAは、Emtec Electronic社製のティシューソフトネス測定装置(TSA:Tissue Softness Analyzer)を示す。
【0043】
ソフトネス測定装置TSA(以下、TSAという)は、ティシュー、生地、レザーなどの平らで柔軟性のある材料の性質を測る装置である。また、ハンドフィール値HF(以下、HF値という)は、TSAで測定される、柔らかさ、滑らかさ、剛性を示す3つのパラメータから算出される。ハンドフィール値HFの算出には、Emtec Electronic社の標準アルゴリズムであるFacialIIIを用いた。HF値は、その値が高いほど柔らかいと感じる傾向を示す。
【0044】
本実施形態のティシューペーパーは、ソフトネス測定装置TSAにより測定した柔らかさピークTS7が11以下であることが好ましく、より好ましくは10.9以下、さらに好ましくは10.8以下に調整される。ここで、柔らかさピークTS7(以下、TS7という)は、TSAで測定される柔らかさのパラメータを示す。TS7は、その値が低いほど柔らかいと感じる傾向を示す。なお、TS7は、上述のハンドフィール値HFの計算に用いられる。
【0045】
本実施形態のティシューペーパーは、ソフトネス測定装置TSAにより測定した滑らかさピークTS750が9.5以下であることが好ましく、より好ましくは9.45以下、さらに好ましくは9.4以下である。ここで、滑らかさピークTS750は、TSAで測定される滑らかさのパラメータを示す。TS750は、その値が低いほど滑らかに感じる傾向を示す。なお、TS750は、上述のTS7とともにハンドフィール値HFの計算に用いられる。
【0046】
本実施形態のティシューペーパーは、算術平均高さが3μm以上7μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上6.5μm以下、さらに好ましくは5μm以上6μm以下である。ここで、算術平均高さは、表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均を示す(
図2参照)。
【0047】
本実施形態のティシューペーパーは、
表面性状のアスペクト比が0.4以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.3以下である。ここで、
表面性状のアスペクト比は、表面性状の等方性、異方性を示す。表面性状のアスペクト比は、0~1の値をとり、0に近いほど滑らかに感じる傾向を示す
(図3参照)。
【0048】
以下、本実施形態の効果について説明する。
図4は、
図1においてティシューペーパーの流れ方向(MD方向)のA-B間の断面を示す模式図である。
図5は、従来のティシューペーパーの表面を画像解析により測定した画像を示す図である。
図6、
図7は、
図5においてティシューペーパーの流れ方向(MD方向)のA-B間の断面を示す模式図である。
【0049】
従来のティシューペーパーでは、
図5、
図6に示すようにクレープが大きい部分があったり、また、
図5、
図7に示すようにクレープが不均一であったり、クレープが形成されていない部分が形成される等により、柔らかさ、滑らかさの向上には限界がある。また、従来のティシューペーパーは、伸びが小さく、傾きが大きくなり、引張弾性率が高く、硬く感じる傾向がある(
図9)。
【0050】
これに対して、本実施形態のティシューペーパーでは、
図1、
図4に示すように、均一で細かいクレープを形成することができるようになった。また、本実施形態のティシューペーパーは、伸びが大きく、傾きが小さくなり、引張弾性率が低く、柔らかく感じる(
図8)。
【0051】
このように本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、縦方向の乾燥引張強度を250cN/25mm以上400cN/25mm以下にすることで、破れにくいティシューペーパーが得られる。また、柔軟剤を含有し、引張弾性率を7N/mm2以上15N/mm2以下にし、TSAのHF値を80以上にすることで、柔らかさに優れたティシューペーパーが得られる。
【0052】
本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、ジエチルエーテルで抽出される油分を0.1質量%以上1.5質量%以下含む柔軟剤を含有することで、ティシューペーパーの柔らかさを向上させることができる。
【0053】
本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、TSAのTS7を11以下にすることで、ティシューペーパーの柔らかさをさらに向上させることができる。
【0054】
本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、TSAのTS750を9.5以下にすることで、柔らかさとともに滑らかさに優れたティシューペーパーが得られる。
【0055】
本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、算術平均高さを3μm以上7μm以下にすることで、ティシューペーパーの滑らかさをさらに向上させることができる。
【0056】
本実施形態のティシューペーパーでは、上述のように、表面性状のアスペクト比を0.4以下にすることで、ティシューペーパーの滑らかさをさらに向上させることができる。
【0057】
<ティシューペーパーの製造方法>
本実施形態に係るティシューペーパーの製造方法について説明する。
図10は、本実施形態に係るティシューペーパーの製造方法を実行するフローチャートである。
図11は、本実施形態に係るティシューペーパーを製造する装置の模式図であり、
図12は、
図11の一部を拡大した図である。なお、各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0058】
本実施形態に係るティシューペーパーの製造方法は、上述のティシューペーパーの製造方法であり、抄紙工程S1、乾燥工程S2、及び剥離工程S3を有する(
図10)。なお、本実施形態に係るティシューペーパーの製造方法は、本発明に係るティシューペーパーの製造方法の一例である。
【0059】
本実施形態に係るティシューペーパーの製造方法は、例えば、
図11に示すティシューペーパーを製造する装置100によって実現することができる。
図11に示す装置100は、サクションシリンダー10、パルプスラリー供給部20、毛布30、ロール40、ヤンキードライヤー50、熱風フード60、接着剤供給部70、クレーピングドクター80、クリーニングドクター90を備える。ここでは、
図11に示す装置100を用いて、
図10に示すティシューペーパーの製造方法を具体的に説明する。
【0060】
抄紙工程S1では、上述の柔軟剤が添加されたパルプスラリーPSを抄紙して湿紙P1にする。具体的には、回転するサクションシリンダー10の表面に、パルプスラリー供給部20からパルプスラリーPSを供給する。また、ロール40(搬送ロール42)に沿って長尺の毛布30が搬送される。毛布30の搬送速度は、任意であり、例えば、900~1300m/分である。
【0061】
供給されたパルプスラリーPSは、毛布30がサクションシリンダー10とクーチロール41との間を通過する際に、該毛布30に転写される。毛布30に転写されたパルプスラリーPSは、タッチロール43まで搬送される間に脱水され、湿紙P1となる。
【0062】
乾燥工程S2では、湿紙P1をヤンキードライヤー50で乾紙P2にする。湿紙P1は、相互に回転するタッチロール43とヤンキードライヤー50の入側51の表面との間を通過する際に、毛布30から分離され、ヤンキードライヤー50の表面に接着される。
【0063】
なお、湿紙P1が分離された毛布30は、ヒッチロール44に搬送された後、さらにタッチロール45に搬送され、タッチロール45とヤンキードライヤー50の表面との間を再び通過する。このとき、毛布30に残存した湿紙P1の一部がヤンキードライヤー50の表面に接着される。
【0064】
なお、毛布30は、さらにストレッチロール46に搬送され、引き延ばされた状態でさらにスクイズロール47に搬送され圧搾され、圧搾された状態で、サクションシリンダー10とクーチロール41の間に搬送されて、再びパルプスラリーPSが転写され、抄紙工程S1が繰り返される。
【0065】
乾燥工程S2では、湿紙P1がタッチロール43とヤンキードライヤー50の入側51の表面との間を通過する前に、ヤンキードライヤー50の表面に接着剤が塗布される。具体的には、ヤンキードライヤー50の入側51とクリーニングドクター90の間に接着剤供給部70が設けられており、この接着剤供給部70から接着剤がヤンキードライヤー50の表面に噴射される。これにより、接着剤がヤンキードライヤー50の表面に塗布され、ヤンキードライヤー50の表面に接着剤の膜(皮膜F)が形成される。
【0066】
また、接着剤の成分は、特に限定されないが、好ましくは熱硬化性ポリアミド系樹脂を含有する。熱硬化性ポリアミド系樹脂は、熱硬化性を有し、ヤンキードライヤー50の表面で加熱される。このとき、接着剤として熱硬化性ポリアミド系樹脂がヤンキードライヤー50の表面に塗布されると、ヤンキードライヤー50の近傍では強い加熱により形成される皮膜の一部F1が固くなり、ヤンキードライヤー50から離れた乾紙側では弱い加熱により形成される皮膜の一部F2が柔らかくなる(
図12)。
【0067】
熱硬化性ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン等が挙げられる。なお、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンは、エピクロロヒドリンによる変性を制御することで、樹脂の分子量、架橋密度、カチオン性を制御することが可能であり、さらに樹脂中に形成されるアゼチジニウム環(AZR)の量を制御することで熱硬化性を調整することができる。また、熱硬化性ポリアミド系樹脂の熱硬化性を調整することで、接着剤によるコーティング層を厚くすることができる。
【0068】
ヤンキードライヤー50の表面に塗布される接着剤の量は、ヤンキードライヤー50の表面に対して0.5mg/m2以上3.5mg/m2以下であり、好ましくは0.8mg/m2以上3.3mg/m2以下、より好ましくは1mg/m2以上3mg/m2以下である。
【0069】
本実施形態では、接着剤の塗布量は、得られるティシューペーパーP3の質量(t)に対して1~4kg/tに調整されている。このときヤンキードライヤー50の表面に形成される皮膜Fの膜厚は1~3.5μmと推定される。この皮膜Fの膜厚は、従来のヤンキードライヤー50の表面に形成される皮膜の膜厚の約5倍である(
図12~
図15参照)。
【0070】
乾燥工程S2では、湿紙P1が、RD方向に回転するヤンキードライヤー50の表面に接着された状態で熱風フード60内を通過し、ヤンキードライヤー50の出側52に搬送されるまでに乾紙P2となる。
【0071】
剥離工程S3では、ヤンキードライヤー50の出側52に搬送され乾紙P2が、クレーピングドクター80でヤンキードライヤー50から剥がされる。具体的には、クレーピングドクター80の先端を、ヤンキードライヤー50と乾紙P2の間に設置し、クレープを形成しながら乾紙P2がヤンキードライヤー50から分離する。
【0072】
ヤンキードライヤー50から分離した乾紙P2は、ティシューペーパーP3となる。ティシューペーパーP3のクレープ率は、任意であるが、好ましくは10~20%である。
【0073】
なお、乾紙P2が分離したヤンキードライヤー50は、クリーニングドクター90に搬送され、クリーニングされる。具体的には、ヤンキードライヤー50の表面に残った皮膜Fのうち柔らかい皮膜F2が、クリーニングドクター90の先端で削り取られ、ヤンキードライヤー50の表面には固い皮膜F1だけが残る。
【0074】
クリーニングされたヤンキードライヤー50は、ヤンキードライヤー50の入側51に搬送される途中で、ヤンキードライヤー50の表面に再び接着剤が塗布され、皮膜Fが形成される。そして、表面に皮膜Fが形成されたヤンキードライヤー50は入側51に搬送され、再びヤンキードライヤー50の表面に湿紙P1が接着され、乾燥工程S2が繰り返される。
【0075】
なお、従来のティシューペーパーの製造方法では、ヤンキードライヤー50に薄くて柔らかい皮膜F3が形成される場合がある(
図13)。この製造方法では、皮膜F3が薄いため、乾紙P2にクレーピングドクター80の先端が当たり、表面の紙質が悪化する。また、皮膜F3が柔らかいため、ヤンキードライヤー50の表面から剥がれやすいため、ヤンキードライヤー50に対する湿紙P1または乾紙P2の接着が不十分となる。
【0076】
また、従来のティシューペーパーの製造方法では、ヤンキードライヤー50に薄くて固い皮膜F4が形成される場合がある(
図14)。この製造方法では、薄くて固い皮膜F4と乾紙P2との間で乾紙P2が剥ぎ取られるため、クレープが大きくなり、表面性が悪く、紙質が固くなる。
【0077】
さらに、従来のティシューペーパーの製造方法では、ヤンキードライヤー50に固い皮膜F5と剥離層F6が形成される場合がある(
図15)。この製造方法では、剥離層F6によりヤンキードライヤー50からの乾紙P2剥ぎ取りは容易になり、クレープが小さくなるため、表面性は良好になるが、紙質が固くなる。
【0078】
これに対して、本実施形態の製造方法では、上述のように、ヤンキードライヤー50の表面に0.5mg/m
2以上3.5mg/m
2以下の接着剤が塗布されていることで、ヤンキードライヤー50の表面に厚い皮膜Fを形成することができる(
図11、
図12)。この厚い皮膜Fにより、剥離工程S3の際にヤンキードライヤー50と乾紙P2の間にクレーピングドクター80の先端が入り込み、乾紙P2の表面を皮膜Fで保護しながら乾紙P2が剥ぎ取られる。これにより、均一で細かいクレープが形成されたティシューペーパーが得られる。
【0079】
また、本実施形態の製造方法では、ヤンキードライヤー50の表面に形成された厚い皮膜Fにより、剥離工程S3の際にヤンキードライヤー50の先端がヤンキードライヤー50の表面に接触または当接するのを避けることができる。そのため、本実施形態の製造方法では、この厚い皮膜Fによりヤンキードライヤー50の表面を保護することができる。
【0080】
また、本実施形態の製造方法では、ヤンキードライヤー50の表面と乾紙P2の間に形成された厚い皮膜Fにより、上述のように皮膜Fを介して乾紙P2にクレープが形成されることで、またヤンキードライヤー50の先端がヤンキードライヤー50の表面に接触しにくいことで、剥離工程S3の際にヤンキードライヤー50自体も保護することができる。
【0081】
本実施形態の製造方法では、ヤンキードライヤー50の表面に塗布される接着剤が熱硬化性ポリアミド系樹脂を含有することで、ヤンキードライヤー50の表面に厚い皮膜Fが形成される際に、ヤンキードライヤー50の近傍では強い加熱により皮膜Fの一部F1が固くなり、ヤンキードライヤー50から離れた乾紙P2側では弱い加熱により皮膜Fの一部F2が柔らかくなる。
【0082】
これにより、本実施形態の製造方法では、ヤンキードライヤー50の表面に形成された柔らかい皮膜F2により、乾紙P2が接着されやすくなり、乾燥工程S2の際に乾紙P2のピックアップ(ヤンキードライヤー50に対する湿紙P1の接着)が容易になる。また、ヤンキードライヤー50の表面に形成された固い皮膜F1により、ヤンキードライヤー50の表面の保護を強化することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0084】
[ティシューペーパー(試験体)]
図11の製造方法により、ティシューペーパーを製造し、これを試験体とした。
【0085】
[表面粗さ(算術平均高さ、表面性状のアスペクト比)]
株式会社キーエンス社製のワンショット3D測定マクロスコープ VR-3200と、画像解析ソフトウェア「VR-H2A」により表面粗さを測定した。測定は、倍率12倍、視野面積30mm×30mmの条件で行った。得られた表面粗さから、算術平均高さ及び表面性状のアスペクト比を算出した。算術平均高さは、表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均として得た。表面性状のアスペクト比は、表面性状の等方性、異方性として0~1の範囲の値を得た。
【0086】
[坪量(米坪)]
ティシューペーパーの坪量(米坪)は、JIS P 8124の規定に準拠して測定した。坪量の単位は、g/m2である。
【0087】
[紙厚]
ティシューペーパーの厚みは、JIS P 8111(1998)の規定に準拠して測定した。厚みの単位は、μmである。
【0088】
[乾燥引張強度]
乾燥引張強度は、JIS P 8113(1998)の規定に準拠して測定した。試験片は縦方向、横方向ともに幅25mm(±0.5mm)×長さ150mm程度に裁断したものを用いた。試験機は、ミネベア株式会社製のロードセル引張り試験機TG-200Nを用いた。測定は、つかみ間隔を100mmに設定して、試験片の両端を試験機のつかみに締め付け、紙片を上下方向に引張り荷重をかけ、紙が破断したときの指示値(デジタル値)を読み取る手順で行った。引張速度は100mm/minとした。縦方向、横方向ともに各々5組の試料を用意して各5回ずつ測定し、その測定値の平均を各方向の乾燥引張強度とした。また、縦横比は、横方向に対する縦方向の引張強度の比として算出した。
【0089】
[伸び率]
ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機TG-200N」を用いて縦方向の伸び率を測定した。
【0090】
[引張弾性率]
引張圧縮試験機(ミネベアミツミ株式会社製、TGE-200N)で縦方向の引張強度を測定試験片25mm幅、紙厚125μm(平均)のサンプルの上下をチャック(チャック間100mm)で挟み測定され、「伸びと引張強度の最大の傾き(N/mm)×チャック間の距離(mm)/試験片の幅(mm)/試験片の厚み(mm)」の式により算出した。
【0091】
[TSA測定]
Emtec Electronic社製のティシューソフトネス測定装置(TSA:Tissue Softness Analyzer)を用いて、ハンドフィール値HF、柔らかさピークTS7、滑らかさピークTS750を測定した。
【0092】
[抽出油分]
試験体をジエチルエーテルに浸し、抽出される油分(抽出油分)の量を紙の重量に対する割合で算出した。
【0093】
[官能試験]
柔らかさ、しっとり感、滑らかさ、厚み感の、およびこれらの総合評価を行った。総合評価が4.5以上の場合は良好と評価した。
【0094】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0095】
[実施例1]
算術平均高さ5.5μm、表面性状のアスペクト比0.25、坪量12.2g/m2、紙厚131μm、乾燥引張強度(縦)289cN、乾燥引張強度(横)126cN、伸び率(縦)13.2%、引張弾性率8.8N/mm2、HF値82.4、TS7値10.8、TS750値8.2、抽出油分1.3%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
[実施例2]
算術平均高さ5.6μm、表面性状のアスペクト比0.2、坪量12.1g/m2、紙厚123μm、乾燥引張強度(縦)345cN、乾燥引張強度(横)128cN、伸び率(縦)11.7%、引張弾性率10.7N/mm2、HF値83.5、TS7値10.4、TS750値9.4、抽出油分1.3%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0097】
[比較例1]
算術平均高さ5.3μm、表面性状のアスペクト比0.34、坪量12g/m2、紙厚131μm、乾燥引張強度(縦)272cN、乾燥引張強度(横)125cN、伸び率(縦)7.9%、引張弾性率16.6N/mm2、HF値79.5、TS7値11.5、TS750値9.3、抽出油分1%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0098】
[比較例2]
算術平均高さ5.9m、表面性状のアスペクト比0.48、坪量10.5g/m2、紙厚112μm、乾燥引張強度(縦)408cN、乾燥引張強度(横)132cN、伸び率(縦)10.5%、引張弾性率17.8N/mm2、HF値73.8、TS7値14、TS750値10.8、抽出油分0%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
[比較例3]
算術平均高さ7.2m、表面性状のアスペクト比0.47、坪量13.4g/m2、紙厚140μm、乾燥引張強度(縦)349cN、乾燥引張強度(横)115cN、伸び率(縦)17.2%、引張弾性率9.6N/mm2、HF値77.8、TS7値13.4、TS750値9.9、抽出油分0.7%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0100】
[比較例4]
算術平均高さ7.7m、表面性状のアスペクト比0.39、坪量12.3g/m2、紙厚125μm、乾燥引張強度(縦)236cN、乾燥引張強度(横)123cN、伸び率(縦)11.6%、引張弾性率9.7N/mm2、HF値82.1、TS7値10.8、TS750値9.5、抽出油分0.5%に調整された試験体を評価した。結果を表1に示す。
【0101】
【0102】
表1より、算術平均高さ5.5~5.6μm、表面性状のアスペクト比0.2~0.25、坪量12.1~12.2g/m2、紙厚123~131μm、乾燥引張強度(縦)289~345cN、乾燥引張強度(横)126~128cN、伸び率(縦)11.7~13.2%、引張弾性率8.8~10.7N/mm2、HF値82.4~83.5、TS7値10.4~10.8、TS750値8.2~9.4、抽出油分1.3%に調整されたティシューペーパーは、総合評価が4.5以上であった(実施例1、2)。
【0103】
これに対して、算術平均高さ、表面性状のアスペクト比、乾燥引張強度(縦)、引張弾性率、HF値、TS7値、TS750値、抽出油分の少なくともいずれかが実施例1、2の範囲から外れるティシューペーパーは、総合評価が4.5未満であった(比較例1~4)。
【0104】
これらの結果から、ジエチルエーテルで抽出される油分が0.1質量%以上1.5質量%以下含まれる柔軟剤を含有し、縦方向の乾燥引張強度が250cN/25mm以上400cN/25mm以下であり、引張弾性率が7N/mm2以上15N/mm2以下あり、TSAのHF値が80以上であり、TSAのTS7が10.8以下であり、TSAにより測定した滑らかさピークTS750が9.5以下であり、算術平均高さが3μm以上7μm以下であり、表面性状のアスペクト比が0.4以下であるティシューペーパーは、柔らかさ、滑らかさに優れているものといえる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 装置
10 サクションシリンダー
20 パルプスラリー供給部
30 毛布
40 ロール
41 クーチロール
42 搬送ロール
43 タッチロール
44 ヒッチロール
45 タッチロール
46 ストレッチロール
47 スクイズロール
50 ヤンキードライヤー
51 入側
52 出側
60 熱風フード
70 接着剤供給部
80 クレーピングドクター
90 クリーニングドクター
PS パルプスラリー
P1 湿紙
P2 乾紙
P3 ティシューペーパー
F F1、F2、F3、F4、F5、F6 皮膜
MD 縦方向(流れ方向)
CD 横方向(流れ方向と直交する方向)