(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】オーディオ信号処理方法、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04R 3/04 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
H04R3/04
(21)【出願番号】P 2022573367
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2022075838
(87)【国際公開番号】W WO2022237252
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】202110528118.1
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515034703
【氏名又は名称】広州視源電子科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU SHIYUAN ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6,4th Yunpu Road,Huangpu District,Guangzhou,Guangdong P.R.CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】521334848
【氏名又は名称】広州視▲くん▼電子科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangzhou Shikun Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.6 Liankun Road,Huangpu District, Guangzhou, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】江 建亮
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111970627(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0129036(US,A1)
【文献】米国特許第09319789(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るステップであって、前記サブバンド信号の数は
、前記サブバンドフィルタリングに使用されるバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、前記サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含む、ステップと、
各前記サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得するステップと、
を含
み、
前記仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含み、
各前記サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従ってターゲットオーディオ信号を取得する上記のステップは、
各前記サブバンドのバンドパス信号から前記非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得するステップと、
前記サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するステップと、
前記仮想低音強調信号及び前記高周波オーディオ信号から、前記ターゲットオーディオ信号を取得するステップと、を含み、
各前記サブバンドのバンドパス信号から前記非線形デバイスアルゴリズムに従って仮想低音強調信号を取得する上記のステップは、
前記非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各前記サブバンドのバンドパス信号を非線形処理し、対応する非線形信号を得るステップと、
各前記非線形信号を加算処理するステップと、
加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得るステップと、
前記高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、前記仮想低音強調信号を取得するステップと、を含む、ことを特徴とするオーディオ信号処理方法。
【請求項2】
各前記非線形信号を加算処理する上記のステップは、
各前記非線形信号に対応する重みに基づいて、各前記非線形信号を加算処理するステップであって、前記重みは対応する非線形信号の割合を調整するものである、ステップを含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のオーディオ信号処理方法。
【請求項3】
前記サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得する上記のステップは、
前記サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行うステップと、
ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して、前記高周波オーディオ信号を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のオーディオ信号処理方法。
【請求項4】
前記仮想低音強調信号及び前記高周波オーディオ信号からターゲットオーディオ信号を取得する上記のステップは、
予め設定された仮想低音ゲインを取得するステップと、
前記高周波オーディオ信号及び前記仮想低音強調信号から、前記仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定するステップと、
前記予め設定された仮想低音ゲイン及び前記最大仮想低音ゲインから、前記仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定するステップと、
前記ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、前記仮想低音強調信号をゲイン処理し、低音高調波信号を得るステップと、
前記低音高調波信号と前記高周波オーディオ信号とを重畳して、前記ターゲットオーディオ信号を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のオーディオ信号処理方法。
【請求項5】
処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして複数のサブバンド信号を得る上記のステップの前、
入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、前記処理対象オーディオ信号を取得するステップであって、前記処理対象オーディオ信号のフレーム長は、サンプリングレート、処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定される、ステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理方法。
【請求項6】
各前記サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従ってターゲットオーディオ信号を取得する上記のステップの後、
前記ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号を得るステップ、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理方法。
【請求項7】
処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るサブバンドフィルタリングモジュールであって、前記サブバンド信号の数は
、前記サブバンドフィルタリングに使用されるバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、前記サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含む、サブバンドフィルタリングモジュールと、
各前記サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する仮想低音強調モジュールと、を含
み、
前記仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含み、
前記仮想低音強調モジュールは、
各前記サブバンドのバンドパス信号から前記非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得する仮想低音強調部と、
前記サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するハイパスフィルタリング部と、
前記仮想低音強調信号及び前記高周波オーディオ信号から、前記ターゲットオーディオ信号を取得する合成部と、を含み、
前記仮想低音強調部は、
前記非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各前記サブバンドのバンドパス信号を非線形処理し、対応する非線形信号を取得し、
各前記非線形信号を加算処理し、
加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を取得し、
前記高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、前記仮想低音強調信号を取得する、
ことを特徴とするオーディオ信号処理装置。
【請求項8】
プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには、前記プロセッサによってロードされて請求項1~
6のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
プロセッサによってロードされて請求項1~
6のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理方法を実行する複数の命令が記憶されている、
ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項10】
プロセッサによってロードされて請求項1~
6のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年05月14日に中国特許庁に提出された、出願番号が202110528118.1、発明の名称が「オーディオ信号処理方法、装置及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は信号処理の技術分野に関し、特にオーディオ信号処理方法、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
マルチメディア機器の小型化と便利化に伴い、スピーカも小型化している。小型スピーカは、その物理的構造上の制約から、オーディオ信号中の低周波成分を効果的に再生することができず、オーディオ信号の低音再生は、オーディオの豊かさや重厚感などの聴感に直接影響を与える。そのため、小型スピーカの低音再生効果の改善は常に注目されている研究テーマとなっている。
【0004】
小型スピーカの低音再生効果の改善に対して、心理音響学における「基音欠損」原理を利用してオーディオ信号に対して仮想低音強調を行うことができ、例えば非線形デバイス(NLD)アルゴリズムを採用して、オーディオ信号中の低周波成分に対して非線形処理を行って高調波を発生させる。しかし、非線形デバイスアルゴリズムは高調波成分が豊富なオーディオ信号に相互変調歪みを導入し、知覚可能な音色歪みをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、非線形デバイスアルゴリズムによる知覚可能な音色歪みを減少させ、仮想低音の再生効果を向上させるオーディオ信号処理方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術案は以下のとおりである。
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るステップであって、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含むステップと、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得するステップとを含む、オーディオ信号処理方法を提供する。
【0008】
好ましくは、仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含む。各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従ってターゲットオーディオ信号を取得するステップは、各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得するステップと、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するステップと、仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得するステップとを含む。
【0009】
好ましくは、各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って仮想低音強調信号を取得するステップは、非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各サブバンドのバンドパス信号に対して非線形処理を行い、対応する非線形信号を得るステップと、各非線形信号を加算処理するステップと、加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得るステップと、高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、仮想低音強調信号を取得するステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、各非線形信号を加算処理するステップは、各非線形信号に対応する重みに基づいて、各非線形信号を加算処理するステップであって、重みは対応する非線形信号の割合を調整するものであるステップを含む。
【0011】
好ましくは、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するステップは、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行うステップと、ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して、高周波オーディオ信号を取得するステップとを含む。
【0012】
好ましくは、仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得するステップは、予め設定された仮想低音ゲインを取得するステップと、高周波オーディオ信号及び仮想低音強調信号から、仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定するステップと、予め設定された仮想低音ゲイン及び最大仮想低音ゲインから、仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定するステップと、ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、仮想低音強調信号をゲイン処理し、低音高調波信号を得るステップと、低音高調波信号と高周波オーディオ信号とを重畳して、ターゲットオーディオ信号を取得するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして複数のサブバンド信号を得るステップの前、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得するステップであって、処理対象オーディオ信号のフレーム長が、サンプリングレート、処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定されるステップをさらに含む。
【0014】
好ましくは、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従ってターゲットオーディオ信号を取得するステップの後、ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号を得るステップをさらに含む。
【0015】
第2態様では、本願の実施例は、
処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るサブバンドフィルタリングモジュールであって、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含むサブバンドフィルタリングモジュールと、
各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する処理モジュールと、を含む、オーディオ信号処理装置を提供する。
【0016】
好ましくは、仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含む。処理モジュールは、
各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得する仮想低音強調部と、
サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するハイパスフィルタリング部と、
仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得する合成部と、を含んでもよい。
【0017】
好ましくは、仮想低音強調部は、具体的には、非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各サブバンドのバンドパス信号に対して非線形処理を行い、対応する非線形信号を得て、各非線形信号を加算処理し、加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得て、高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、仮想低音強調信号を取得する。
【0018】
好ましくは、仮想低音強調部は、各非線形信号を加算処理する際に、具体的には、各非線形信号に対応する重みに基づいて、各非線形信号を加算処理し、重みは対応する非線形信号の割合を調整するものである。
【0019】
好ましくは、ハイパスフィルタリング部は、具体的には、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して、高周波オーディオ信号を取得する。
【0020】
好ましくは、合成部は、具体的には、予め設定された仮想低音ゲインを取得し、高周波オーディオ信号及び仮想低音強調信号から、仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定し、予め設定された仮想低音ゲイン及び最大仮想低音ゲインから、仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定し、ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、仮想低音強調信号をゲイン処理し、低音高調波信号を得て、低音高調波信号と高周波オーディオ信号とを重畳して、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0021】
好ましくは、オーディオ信号処理装置は、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得するフレーム抽出処理モジュールであって、処理対象オーディオ信号のフレーム長が、サンプリングレート、処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定されるフレーム抽出処理モジュールをさらに含む。
【0022】
好ましくは、オーディオ信号処理装置は、ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号を得る制御モジュールをさらに含む。
【0023】
第3態様では、本願の実施例は、プロセッサによってロードされて上記の方法のステップを実行する命令が記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0024】
第4態様では、本願の実施例は、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには、前記プロセッサによってロードされて上記の方法のステップを実行するコンピュータプログラムが記憶されている電子機器を提供する。
【0025】
第5態様では、本願の実施例は、プロセッサによってロードされて上記の方法のステップを実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0026】
本願の実施例では、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含み、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、次に、仮想低音強調信号処理アルゴリズムを用いて各サブバンドのバンドパス信号について仮想低音強調信号処理を行うことによって、サブバンドのバンドパス信号により相互変調歪みを抑え、知覚可能な音色歪みを低減させ、仮想低音の再生効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本願の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本願の一実施例で提供されるオーディオ信号処理方法の流れの概略図である。
【
図2】本願の別の実施例で提供されるオーディオ信号処理方法の流れの概略図である。
【
図3】本願のさらなる実施例で提供されるオーディオ信号処理方法の流れの概略図である。
【
図4】本願の一実施例で提供される適用シーンの概略図である。
【
図5】本願の一実施例で提供されるオーディオ信号処理装置の構造概略図である。
【
図6】本願の別の実施例で提供されるオーディオ信号処理装置の構造概略図である。
【
図7】本願の一実施例で提供される電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本願の実施例の形態をさらに詳細に説明する。
【0029】
明らかに、説明する実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他の全ての実施例は、本願の特許範囲に属する。
【0030】
以下の説明において図面が記載されている場合、別に断らない限り、異なる図面における同一の数字は同一又は類似の要素を表す。以下の例示的な実施例において説明する実施形態は本願と一致する全ての実施形態ではない。むしろ、添付の特許請求の範囲に詳細に説明される、本願のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例に過ぎない。
【0031】
なお、本願の説明において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は類似の態様を区別するものに過ぎず、必ずしも特定の順番又は優先順位を示すものではなく、相対重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願での上記用語の具体的な意味を理解できる。さらに、本願の説明において、別に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味する。「及び/又は」は、関連する対象の関係を記述するものであり、3つの関係が存在することを表し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在するという3つのケースを表し得る。符号「/」は、一般に、前後の関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0032】
現在、スピーカの低音再生効果を改善するには、主として、2つの方法があり、その一方は、イコライザ(調整EQ)によって低周波のゲインを直接増大することであり、このような方法では、低音の再生効果をある程度改善できるものの、ゲインの度合いが制御されにくく、ホーンへ不可逆的なダメージを与えることが発生しやすく、そして、ホーンの耐用年数を短縮させ、他方は、音響心理学における「基音欠損」原理を利用してオーディオ信号に対して仮想低音強調処理を行うことであり、このような方法では、合成した低音基本周波数の高調波成分をプレイバックすることにより、小型スピーカが正常に作動することを確保しながら、リスナーの低音知覚を効果的に改善する。
【0033】
ここでは、仮想低音強調方法は、2種類に分けられ、1つは時間-周波数変換技術を利用して、時間領域信号を周波数領域に変換し、周波数領域内で対応する基本周波数の高調波を生成し、さらに時間領域に変換することであり、もう1つは、非線形デバイス(NLD)アルゴリズムを用いて、低周波信号に対して非線形処理を行って高調波を発生させることである。この2種の方法はそれなりの利点や欠点があり、前者は高調波の成分及び度合いを正確に制御できる反面、過渡効果が劣り、リアルタイム性が高く要求されるオーディオ処理の場合は、要件を満たすことができず、一方、NLDは、構造が簡単であり、リアルタイム性に優れる一方、高調波成分が豊富なオーディオ信号に相互変調歪みを導入し、知覚可能な音色変化をもたらしやすい。
【0034】
上記問題に鑑み、本願の実施例はオーディオ信号処理方法、装置及び記憶媒体を提供し、処理対象オーディオ信号を複数のサブバンド信号に分割し、非線形デバイスアルゴリズムを用いてサブバンド信号ごとに非線形処理を行うことによって、サブバンド信号により相互変調歪みを抑え、非線形デバイスアルゴリズムによる相互変調歪みを減少させ、知覚可能な音色歪みを減少させ、仮想低音の再生効果を向上させる。
【0035】
なお、説明の簡潔さから、本願の明細書では、全ての可能な実施形態が示されていないが、当業者であれば、本願の明細書に基づいて、技術的特徴に矛盾がない限り、技術的特徴のいずれの組み合わせも好ましい実施形態であることが理解すべきである。
【0036】
例えば、実施例1の一実施形態では、技術的特徴aが記載されており、実施例1の別の実施形態では、別の技術的特徴bが記載されている。以上の2つの技術的特徴が矛盾しないため、当業者であれば、本願の明細書に基づいて、この2つの特徴を兼ね備える実施形態も好ましい実施形態であることを想到することができ、即ち、aかつbである。
【0037】
別々の実施例に記載の互いに矛盾しない技術的特徴も任意に組み合わせられて、好ましい実施形態を構成してもよい。
【0038】
例えば、実施例1では、技術的特徴cが記載されている。本願の明細書の長さを制御するために、実施例2、実施例3では、この技術的特徴が記載されない。ただし、当業者であれば、本願の明細書に基づいて、実施例2、実施例3で提供されるオーディオ信号処理方法も当該技術的特徴を含むことを想到し得る。
【0039】
以下、実施例1、実施例2、実施例3について詳細に説明する。
【0040】
実施例1
本願の実施例は、オーディオ信号処理方法を開示し、該方法は、小型スピーカなどのオーディオ再生機能を有する電子機器に適用され、又は電子機器は小型スピーカを含む。以下、
図1を参照して、本願の実施例で提供されるオーディオ信号処理方法について詳細に説明する。
【0041】
図1には、本願の実施例で開示されたオーディオ信号処理方法のフローチャートが示されている。該方法は、ステップS101とステップS102を含む。
【0042】
S101において、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含む。
【0043】
ここで、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定される。サブバンド信号の数が多いほど、仮想低音強調信号処理(例えば非線形処理)による相互変調歪みが小さい。
【0044】
一例として、電子機器には、サブバンドフィルタ群が設けられており、このサブバンドフィルタ群は、ハイパスフィルタと、一例のバンドパスフィルタとからなる。ここで、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は電子機器のオーディオ機器(例えばスピーカ)のカットオフ周波数f0として直接設定してもよく、バンドパスフィルタのカットオフ周波数もf0に応じて設定される。サブバンド信号の数はN=ceil(f0/flow)-1に応じて設定されてもよく、ここで、ceil()は数値を上方向に丸めることを表し、flowは設定されたバンドパスフィルタの最低周波数であり、例えば人の耳が聞ける周波数の下限である20Hzに設定されてもよい。
【0045】
好ましくは、バンドパスフィルタのカットオフ周波数の降順で、1番目のサブバンド信号Xb1(n)に対応するバンドパスフィルタのカットオフ周波数の上限及びカットオフ周波数の下限はそれぞれfh1=f0及びfl1=f0/2であり、2番目のサブバンド信号Xb2(n)に対応するバンドパスフィルタのカットオフ周波数の上限及びカットオフ周波数の下限はそれぞれfh2=f0/2及びfl2=f0/3、…であり、i番目のサブバンド信号Xbi(n)に対応するバンドパスフィルタのカットオフ周波数の上限及びカットオフ周波数の下限はそれぞれfhn=f0/n及びfln=f0/(n+1)、…であり、N番目のサブバンド信号XbN(n)に対応するバンドパスフィルタのカットオフ周波数の上限及びカットオフ周波数の下限はそれぞれfhN=f0/N及びflN=f0/(N+1)である。f0/(N+1)<flowである場合、flN=flowとする。ここでは、バンドパスフィルタの実現形態について限定しない。
【0046】
電子機器は、該サブバンドフィルタ群によって処理対象オーディオ信号Xin(n)をサブバンドフィルタリングし、一連のサブバンド信号を得て、このサブバンド信号には、サブバンドのバンドパス信号Xbi(n)とサブバンドハイパス信号xH1(n)が含まれており、iはN以下の正の整数である。
【0047】
S102において、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0048】
本ステップでは、仮想低音強調信号処理アルゴリズムによって各サブバンドのバンドパス信号に対して仮想低音強調信号処理を行うことで、サブバンドのバンドパス信号同士の相互変調による影響を低減させ、即ち、サブバンドのバンドパス信号によって相互変調歪みを抑える。
【0049】
本願の実施例では、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンドのバンドパス信号を含むサブバンド信号を得て、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、次に、仮想低音強調信号処理アルゴリズムを用いて各サブバンドのバンドパス信号に対して仮想低音強調信号処理を行うことによって、サブバンド信号により相互変調歪みを抑え、知覚可能な音色歪みを低減させ、仮想低音の再生効果を向上させる。
【0050】
実施例2
本願の実施例では、仮想低音強調信号処理アルゴリズムは、具体的には、非線形関数又は非線形操作とも呼ばれる非線形デバイス(NLD)アルゴリズムであってもよい。このような場合、
図2に示すように、S102ステップは、ステップS1021~S1023をさらに含んでもよい。
【0051】
S1021において、各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得する。
【0052】
例示的な一実施例では、
図3に示すように、このステップは、ステップS301~S304を含んでもよい。
【0053】
S301において、非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各サブバンドのバンドパス信号に対して非線形処理を行い、対応する非線形信号を得る。
【0054】
一例として、サブバンドのバンドパス信号Xb
i(n)に対して非線形処理を行い、非線形信号X
nldi(n)を発生させる。例えば、以下の式によってサブバンドのバンドパス信号Xb
i(n)に対して非線形処理を行う。
【数1】
【0055】
S302において、各非線形信号を加算処理する。
【0056】
さらに、各非線形信号を加算処理するステップは、各非線形信号に対応する重みに基づいて、各非線形信号を加算処理するステップを含んでもよい。ここで、この重みは対応する非線形信号の割合を調整するものである。
【0057】
一例として、S301で得られたX
nldi(n)を、対応する重みで加算して、和信号X
nld(n)、即ち、
(外1)
を得る。ここで、α
iはi番目の非線形信号に対応する重みである。
【0058】
S303において、加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得る。
【0059】
一例として、S302で得られた和信号Xnld(n)をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分Hnld(n)を得る。ここで、本ステップで使用されるバンドパスフィルタ(Band-Pass Filter、略語BPF)のカットオフ周波数は電子機器のオーディオ機器(例えばスピーカ)のカットオフ周波数f0によって決定され、一般には[f0,6f0]とする。任意選択的に、このバンドパスフィルタは、非再帰的フィルタ、有限インパルス応答(Finite Impulse Response、略語FIR)フィルタであるが、本願では、これに限定されるものではない。
【0060】
本ステップにおけるバンドパスフィルタリング処理によって、加算による低周波信号が除去され、仮想低音信号に必要な高次高調波成分が生成される。
【0061】
S304において、高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い(フレームステッチ)、仮想低音強調信号を取得する。
【0062】
一例として、S303で得られたHnld(n)と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分H’nld(n)とについて重畳法によってオーディオ合成を行い、合成した仮想低音強調信号H(n)を得る。
【0063】
S1022において、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得する。
【0064】
好ましくは、電子機器はS1021とS1022を並行して実行してもよい。
【0065】
例示的な一実施例では、
図3に示すように、本ステップは、ステップS305~S309を含んでもよい。
【0066】
S305において、処理対象オーディオ信号をサブバンドハイパスフィルタリングして、サブバンドハイパス信号を取得する。
【0067】
一例として、電子機器は、ハイパスフィルタリングによってその中の高周波信号xH1(n)を選別してもよい。好ましくは、該ハイパスフィルタの次数はS101ステップのサブバンドバンドパスフィルタの次数と一致する。
【0068】
S306において、サブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行う。
【0069】
一例として、本ステップでは、S305において選別されたサブバンドハイパス信号xH1(n)に対して2回目のハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、ハイパスフィルタリング信号xH2(n)を得る。
【0070】
好ましくは、ハイパスフィルタリングにはハイパスフィルタ(High-Pass Filter、略語HPF)が使用される場合、ハイパスフィルタの次数はS303ステップのバンドパスフィルタの次数と一致し、又は、遅延処理が使用される場合、遅延の点数はS303ステップにおける信号処理による遅延と一致する。
【0071】
S307において、ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して(フレームステッチ)、高周波オーディオ信号を取得する。
【0072】
例えば、S306ステップによって得られた信号を重畳法によって重畳し、高周波オーディオ信号xH(n)を得る。
【0073】
なお、本願の実施例は、S305~S307、S301~S304の実行の順番が限定されない。理解できるものとして、電子機器は、まず、S301~S307を順次実行してもよく、S305~S307を実行してから、S301~S304を実行してもよく、S301~S304、S305~S307を並行して実行してもよく、具体的には、電子機器の計算能力に応じて設定してもよい。
【0074】
S1023において、仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0075】
例示的な一実施例では、仮想低音強調信号H(n)、高周波オーディオ信号xH(n)及び予め設定された仮想低音ゲインGuから、自己適応ゲイン方法によって、ゲイン後の低音高調波信号Xvir(n)を生成する。したがって、ターゲット仮想低音ゲインを取得するステップをさらに含んでもよい。
【0076】
一例として、ターゲット仮想低音ゲインを取得するステップは、以下のことをさらに含んでもよい。
【0077】
ステップ1において、予め設定された仮想低音ゲインを取得する。
【0078】
即ち、予め設定された仮想低音ゲインGuを取得する。
【0079】
ステップ2において、高周波オーディオ信号及び仮想低音強調信号から、仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定する。
【0080】
ターゲットオーディオ信号の最大正規化ゲインはGlimitに設定され、Glimitの最大値としては0dBFSに設定されてもよい。
【0081】
一例として、高周波オーディオ信号xH(n)及び仮想低音強調信号H(n)から、仮想低音強調信号H(n)の最大仮想低音ゲインGm(n)を決定する。
【0082】
【数2】
ここで、
(外2)
、epsはプロセッサの相対誤差限界である。
【0083】
ステップ3において、予め設定された仮想低音ゲイン及び最大仮想低音ゲインから、仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定する。
【0084】
一例として、予め設定された仮想低音ゲインG
u及びリアルタイムに算出された最大仮想低音ゲインG
m(n)から、ターゲット仮想低音ゲインG
p(n)を得て、これを実現するアルゴリズムは以下に示される。
【数3】
【0085】
S308において、ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、仮想低音強調信号をゲイン処理し(即ち自己適応ゲイン)、低音高調波信号を得る。
【0086】
例えば、以下の式によって低音高調波信号Xvir(n)を得る。
Xvir(n)=H(n)*10^(Gp(n)/20)。
【0087】
S309において、低音高調波信号と高周波オーディオ信号とを重畳して、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0088】
一例として、S308によって得られたXvir(n)と、S307によって得られたxH(n)とを重畳して、ターゲットオーディオ信号y1(n)を得る。
【0089】
実施例3
本願の実施例では、
図3に示すように、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るステップの前、オーディオ信号処理方法は、S310をさらに含んでもよい。
【0090】
S310において、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得する。
【0091】
あるいは、入力したソースオーディオ信号に対してオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得する。好ましくは、平滑化された処理対象オーディオ信号を出力するために、ハニング(hanning)ウィンドウを用いてソースオーディオ信号にウィンドウかけ処理を行ってもよい。
【0092】
処理対象オーディオ信号のフレーム長が、サンプリングレート、(計算)処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定される。理解すべきものとして、同じ時間長さでは、サンプリングレートが高いほど、処理対象オーディオ信号のフレーム長が長く、同じ時間長さでは、(計算)処理リソースが多いほど、電子機器が処理し得る処理対象オーディオ信号のフレーム長が長く、システムの遅延が小さく、電子機器が処理し得る処理対象オーディオ信号のフレーム長が長い。
【0093】
本願の実施例では、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得することによって、ソースオーディオ信号に対するリアルタイムな処理が行われる。リアルタイムな仮想低音強調処理によって、非線形処理による知覚可能な音色歪みが低減し、仮想低音のプレイバック効果が向上する。
【0094】
実施例4
本願の実施例では、上記実施例に基づいて、
図3に示すように、ターゲットオーディオ信号を取得するステップの後、ステップS311をさらに含んでもよい。
【0095】
S311において、ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い(Dynamic Range Control、略語DRC)、出力対象オーディオ信号を得る。
【0096】
一例として、上記のいずれかの実施例によって得られたターゲットオーディオ信号y1(n)に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号、即ち、最終的な仮想低音強調信号フレームyout(n)を得て、オーディオストリームを戻す。
【0097】
以上のように、本願の実施例は少なくとも以下の優位性がある。
【0098】
ア、仮想低音強調の複雑さを低減させ、入力したソースオーディオ信号に対して仮想低音強調処理をリアルタイムで行うことができる。
イ、仮想低音成分のゲインを効果的に制御することができ、オーディオ信号の相互変調歪みを減少させ、特にマルチチャンネルサウンド再生のシーンでは、一般的な仮想低音強調アルゴリズムは音響画像のボケをもたらしやすく、一方、本願はこの問題を解決する。
【0099】
なお、説明の簡潔さから、本願では、全ての実施形態を網羅していないが、互いに矛盾しない特徴であれば、自在に組み合わせて、本願の好ましい実施形態としてもよい。
【0100】
実施例5
図4に示すように、スマートインタラクティブホワイトボード41はオーディオ再生機能を有し、ユーザがリモコン42を通じてスマートインタラクティブホワイトボード41を制御し、スマートインタラクティブホワイトボード41はサーバ43に接続される。好ましくは、スマートインタラクティブホワイトボード41はローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)やその他のネットワークを介して、サーバ43と通信可能に接続される。サーバ43はスマートインタラクティブホワイトボード41へ各種のコンテンツやインタラクションを提供することができる。サーバ43は1つのクラスタであってもよいし、複数のクラスタであってもよいし、1種又は複数種のサーバであってもよい。
【0101】
この例では、電子機器がスマートインタラクティブホワイトボード、制御機器がリモコンである場合を例として説明するが、本願はこれに限定されるものではなく、また、本願はスマートインタラクティブホワイトボード及びリモコンの数について制限しておらず、例えば、1つのリモコンは2つのスマートインタラクティブホワイトボードを制御したり、2つのリモコンは1つのスマートインタラクティブホワイトボードを制御したりする。
【0102】
ユーザはリモコン42からオーディオ・ビデオ再生操作を入力し、リモコン42を通じてスマートインタラクティブホワイトボード41を制御してオーディオ・ビデオ再生を再生する。その後、リモコン42からの制御命令に応じて、スマートインタラクティブホワイトボード41はサーバ43とインタラクションして、再生対象のオーディオ・ビデオ信号(オーディオ信号及び/又はビデオ信号を含む)を取得し、ディスプレイを介してビデオ信号を表示し、オーディオ機器によってオーディオ信号を再生する。ここで、オーディオ機器は取得したオーディオ信号に対して上記のオーディオ信号処理方法に記載の処理を行うことで、このオーディオ信号に対する仮想低音強調効果を果たし、得られたターゲットオーディオ信号を再生する。
【0103】
実施例6
以下は本願の装置実施例であり、本願の方法実施例を実行し得る。本願の装置実施例において開示されていない詳細については、本願の方法実施例を参照すればよい。
【0104】
図5には、本願の例示的な一実施例で提供されるオーディオ信号処理装置の構造概略図が示されている。このオーディオ信号処理装置は、ソフトウェア、ハードウェア又は両方の組み合わせを通じてスマートインタラクティブホワイトボードなどの電子機器の全部又は一部として実装されてもよい。このオーディオ信号処理装置50は、サブバンドフィルタリングモジュール51と、処理モジュール52とを含む。ここで、2つのモジュールは互いに接続されている。
【0105】
サブバンドフィルタリングモジュール51は、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含む。
【0106】
処理モジュール52は、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0107】
好ましくは、仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含む。
図6に示すように、オーディオ信号処理装置60では、処理モジュール52は、
各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得する仮想低音強調部521と、
サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するハイパスフィルタリング部522と、
仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得する合成部523とを含んでもよい。
【0108】
好ましくは、仮想低音強調部521は、具体的には、非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各サブバンドのバンドパス信号に対して非線形処理を行い、対応する非線形信号を得て、各非線形信号を加算処理し、加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得て、高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、仮想低音強調信号を取得する。
【0109】
好ましくは、仮想低音強調部521は、各非線形信号を加算処理する際に、具体的には、各非線形信号に対応する重みに基づいて、各非線形信号を加算処理し、重みは対応する非線形信号の割合を調整するものである。
【0110】
好ましくは、ハイパスフィルタリング部522は、具体的には、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して、高周波オーディオ信号を取得する。
【0111】
好ましくは、合成部523は、具体的には、予め設定された仮想低音ゲインを取得し、高周波オーディオ信号及び仮想低音強調信号から、仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定し、予め設定された仮想低音ゲイン及び最大仮想低音ゲインから、仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定し、ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、仮想低音強調信号をゲイン処理し、低音高調波信号を得て、低音高調波信号と高周波オーディオ信号とを重畳して、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0112】
いくつかの実施例では、オーディオ信号処理装置60は、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得するフレーム抽出処理モジュール61であって、処理対象オーディオ信号のフレーム長が、サンプリングレート、処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定されるフレーム抽出処理モジュール61をさらに含んでもよい。
【0113】
さらに、オーディオ信号処理装置60は、ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号を得る制御モジュール62をさらに含んでもよい。
【0114】
なお、上記実施例で提供されるオーディオ信号処理装置では、オーディオ信号処理方法を実施する際に、上記各機能モジュールの区分は例示的に説明するにすぎず、実際の適用では、上記機能は必要に応じて異なる機能モジュールによって実現されてもよく、即ち、機器の内部構造は異なる機能モジュールに分割されて、上記した全部又は一部の機能を実現する。また、上記実施例で提供されるオーディオ信号処理装置は、オーディオ信号処理方法の実施例とは構想が同じであり、その実現の詳細は方法実施例を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0115】
上記本願の実施例の番号は説明にのみ使用され、実施例の優劣を表すものではない。
【0116】
本願の実施例では、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、各サブバンド信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、次に、仮想低音強調信号処理アルゴリズムを用いて各サブバンド信号に対して仮想低音強調信号処理を行うことにより、サブバンド信号によって相互変調歪みを抑え、知覚可能な音色歪みを低減させ、仮想低音の再生効果を向上させる。
【0117】
実施例7
本願の実施例はまた、プロセッサによってロードされて上記した方法実施例の方法のステップを実行する複数の命令が記憶されたコンピュータ記憶媒体を提供し、具体的な実行は方法実施例の具体的な説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0118】
記憶媒体が配置された機器は、スマートインタラクティブホワイトボードなど、オーディオ再生機能を有する電子機器としてもよい。
【0119】
実施例8
本願の実施例は、プロセッサによってロードされて上記した方法実施例の方法のステップを実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、具体的な実行は方法実施例の具体的な説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0120】
実施例9
図7には、本願の実施例で提供される電子機器の構造概略図が示されている。
図7に示すように、電子機器70は、少なくとも1つのプロセッサ71と、少なくとも1つのネットワークインターフェース74と、ユーザインターフェース73と、メモリ75と、少なくとも1つの通信バス72とを含んでもよい。
【0121】
通信バス72はこれらの構成要素の間の接続及び通信に用いられる。
【0122】
ユーザインターフェース73は、ディスプレイ(Display)、カメラ(Camera)、オーディオ機器を含んでもよい。好ましくは、ユーザインターフェース73は標準的な有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。
【0123】
ここで、ネットワークインターフェース74は、任意選択的に、基準的な有線インターフェース、無線インターフェース(例えばWI-FIインターフェース)を含んでもよい。
【0124】
プロセッサ71は1つ又は複数の処理コアを含んでもよい。プロセッサ71はさまざまなインターフェースや配線を利用して電子機器70内の各部を接続し、メモリ75に記憶された命令、プログラム、コートセット又は命令セットを運行又は実行すること、及びメモリ75に記憶されたデータを読み出すことによって、電子機器70の各種の機能実行やデータ処理を行う。任意選択的に、プロセッサ71は、デジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(Programmable Logic Array、PLA)のうちの少なくとも1種のハードウェアの形態で実現されてもよい。プロセッサ71は中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)、画像プロセッサ(Graphics Processing Unit、GPU)やモデムなどのうちの1種又は複数の組み合わせを集積してもよい。このうち、CPUは、主にオペレーティングシステム、ユーザインターフェースやアプリケーションプログラムなどを処理し、GPUはディスプレイに表示されるべきコンテンツのレンダリングや描画を行い、モデムは無線通信を処理する。理解できるものとして、上記モデムはプロセッサ71に集積されておらず、個別のチップとして実装されてもよい。
【0125】
メモリ75は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory)を含んでもよい。任意選択的に、該メモリ75は非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(non-transitory computer-readable storage medium)を含んでもよい。メモリ75は命令、プログラム、コード、コードセット又は命令セットを記憶してもよい。メモリ75はプログラム記憶領域とデータ記憶領域とを含んでもよく、このうち、プログラム記憶領域はオペレーティングシステムを実現するための命令、少なくとも1つの機能用の命令(例えばタッチ機能、音声再生機能、画像再生機能など)、上記の各方法実施例用の命令などを記憶してもよく、データ記憶領域は、上記した各方法実施例に係るデータなどを記憶してもよい。メモリ75は、任意選択的に、少なくとも1つ前述プロセッサ71から離れた記憶装置であってもよい。
図7に示すように、コンピュータ記憶媒体であるメモリ75には、オペレーティングシステム、ネットワーク通信モジュール、ユーザインターフェースモジュール及び電子機器70の操作アプリケーションプログラムが含まれていてもよい。好ましくは、電子機器70のオペレーティングシステムはアンドロイド(登録商標)システムであるが、本願では、これに限定するものではない。
【0126】
図7に示す電子機器70では、ユーザインターフェース73は、主にユーザへ入力用のインターフェースを提供したり、ユーザにより入力されるデータを取得したりするものであり、プロセッサ71は、メモリ75に記憶された電子機器70のオペレーティングアプリケーションプログラムを読み出して、具体的には以下の操作を実行してもよい。
【0127】
処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含み、
各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0128】
いくつかの実施例では、仮想低音強調信号処理アルゴリズムは非線形デバイスアルゴリズムを含む。プロセッサ71は、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得するステップを実行し、具体的には、各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得し、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得し、仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得する。
【0129】
いくつかの実施例では、プロセッサ71は、各サブバンドのバンドパス信号から非線形デバイスアルゴリズムに従って、仮想低音強調信号を取得するステップを実行し、具体的には、非線形デバイスアルゴリズムに基づいて、各サブバンドのバンドパス信号に対して非線形処理を行い、対応する非線形信号を得て、各非線形信号を加算処理し、加算により得られた信号をバンドパスフィルタリングして、低周波オーディオ信号の高調波成分を得て、高調波成分と前フレームの処理対象オーディオ信号の高調波成分とについてオーディオ合成を行い、仮想低音強調信号を取得する。
【0130】
いくつかの実施例では、プロセッサ71は、各非線形信号を加算処理するステップを実行し、具体的には、各非線形信号に対応する重みに基づいて、各非線形信号を加算処理し、重みは対応する非線形信号の割合を調整するものである。
【0131】
いくつかの実施例では、プロセッサ71は、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、高周波オーディオ信号を取得するステップを実行し、具体的には、サブバンド信号中のサブバンドハイパス信号に対してハイパスフィルタリング又は遅延処理を行い、ハイパスフィルタリング又は遅延処理により得られた信号を重畳して、高周波オーディオ信号を取得する。
【0132】
いくつかの実施例では、プロセッサ71は、仮想低音強調信号及び高周波オーディオ信号から、ターゲットオーディオ信号を取得するステップを実行し、具体的には、予め設定された仮想低音ゲインを取得し、高周波オーディオ信号及び仮想低音強調信号から、仮想低音強調信号の最大仮想低音ゲインを決定し、予め設定された仮想低音ゲイン及び最大仮想低音ゲインから、仮想低音強調信号のターゲット仮想低音ゲインを決定し、ターゲット仮想低音ゲインに基づいて、仮想低音強調信号をゲイン処理し、低音高調波信号を得て、低音高調波信号と高周波オーディオ信号とを重畳して、ターゲットオーディオ信号を取得するようにしてもよい。
【0133】
いくつかの実施例では、プロセッサ71はまた、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得るステップの前、入力したソースオーディオ信号に対して連続フレーム抽出処理又はオーバーラップフレーム抽出処理を行い、処理対象オーディオ信号を取得するステップであって、処理対象オーディオ信号のフレーム長が、サンプリングレート、処理リソース及びシステム遅延のうちの少なくとも1つに応じて決定されるステップを実行する。
【0134】
いくつかの実施例では、プロセッサ71はまた、ターゲットオーディオ信号を取得するステップの後、ターゲットオーディオ信号に対してオーディオダイナミックレンジ制御を行い、出力対象オーディオ信号を得るステップを実行する。
【0135】
本願の実施例では、処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、複数のサブバンド信号を得て、サブバンド信号の数はバンドパスフィルタの最低周波数及びオーディオ機器のカットオフ周波数に応じて決定され、サブバンド信号はサブバンドのバンドパス信号を含み、各サブバンドのバンドパス信号から仮想低音強調信号処理アルゴリズムに従って、ターゲットオーディオ信号を取得する。処理対象オーディオ信号をサブバンドフィルタリングして、次に、仮想低音強調信号処理アルゴリズムを用いて各サブバンドのバンドパス信号に対して仮想低音強調信号処理を行うことによって、サブバンド信号により相互変調歪みを抑え、知覚可能な音色歪みを低減させ、仮想低音の再生効果を向上させる。
【0136】
当業者にとって明らかなように、本願の実施例は、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。したがって、本願は、完全ハードウェア実施例、完全ソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施例の形態としてもよい。さらに、本願は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)上で実施されるコンピュータプログラム製品の形態としてもよい。
【0137】
本願は、本願の実施例に係る方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。なお、フローチャート及び/又はブロック図における各工程及び/又はブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図における各工程及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現されてもよい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサや他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに供給されてマシンを構成してもよく、コンピュータや他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサによって実行される命令は、フローチャートにおける1つの工程又は複数の工程及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックに限定される機能を実現する装置を発生させる。
【0138】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータや他のプログラマブルデータ処理機器が特定の方式で作動するように案内し得るコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されてもよく、これにより、このコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令は命令装置を含める製品を発生させ、この命令装置はフローチャートにおける1つの工程又は複数の工程及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックに限定される機能を実現する。
【0139】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータや他のプログラマブルデータ処理機器にロードされてもよく、これにより、コンピュータや他のプログラマブル機器では一連の操作ステップが実行されてコンピュータ実装処理を発生させ、このように、コンピュータや他のプログラマブル機器上で実行される命令は、フローチャートにおける1つの工程又は複数の工程及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックに限定される機能を実現するステップを提供する。
【0140】
代表的な構成には、計算機器は、1つ又は複数のプロセッサ(CPU)、入力/出力インターフェース、ネットワークインターフェース及びメモリを含む。
【0141】
メモリは、コンピュータ読み取り可能な媒体の中の非永続メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/又は不揮発性メモリなどの形態、例えば読み取り専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ(flash RAM)を含んでもよい。メモリはコンピュータ読み取り可能な媒体の一例である。
【0142】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、永続的及び非永続的なもの、取り外し可能及び非取り外し可能なものを含み、任意の方法又は技術によって情報記憶を実現することができる。情報は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムのモジュール、又は他のデータとしてもよい。コンピュータの記憶媒体の例は、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、読み取り専用光ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途光ディスク(DVD)又は他の光学記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープや磁気ディスクの記憶装置又は他の磁気記憶装置や他の任意の非伝送媒体を含むが、これらに限定されるものではなく、計算機器によってアクセス可能な情報を記憶するために使用することができる。本明細書で定義されるように、コンピュータ読み取り可能な媒体は、変調されたデータ信号や搬送波のような一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(transitory media)を含まない。
【0143】
なお、用語「含む」、「包含」又は他の任意の変形は非排他的包含をカバーすることを意図しており、これにより、一連の要素を含むプロセス、方法、商品又は機器は当該要素に加えて、明示的にリストされていない他の要素、又はこのようなプロセス、方法、商品又は機器に固有の要素を含んでもよい。更なる制限がない限り、「1つの…」という表現により限定される要素は、要素を含むプロセス、方法、商品又は機器には他の同じ要素がさらに存在する場合を排除しない。
【0144】
以上は本願の実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願についてさまざまな変更や変化を加えることができる。本願の主旨や原理を逸脱することなく行われる全ての修正、同等置換や改良などは、本願の特許請求の範囲に含まれるものとする。