IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-分析装置 図1
  • 特許-分析装置 図2
  • 特許-分析装置 図3
  • 特許-分析装置 図4
  • 特許-分析装置 図5
  • 特許-分析装置 図6
  • 特許-分析装置 図7
  • 特許-分析装置 図8
  • 特許-分析装置 図9
  • 特許-分析装置 図10
  • 特許-分析装置 図11
  • 特許-分析装置 図12
  • 特許-分析装置 図13
  • 特許-分析装置 図14
  • 特許-分析装置 図15
  • 特許-分析装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20240910BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N37/00 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020114103
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012324
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 重史
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0161108(US,A1)
【文献】特開昭63-158457(JP,A)
【文献】特開昭50-159775(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090581(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/071273(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路プレートと、
前記流路プレートに測定光を照射する光照射部と、
前記流路プレート内の前記測定光が通過する検出部を通過した前記測定光を受光する受光部と、
前記流路プレートの前記光照射部とは反対側に設けられる参照用受光部と、
を備え、
前記流路プレートは、
板状に形成されたプレート本体と、
前記プレート本体内に設けられ、測定対象液体が通る流路と、
前記プレート本体内に設けられ、前記プレート本体に入射した前記測定光を反射する第1光路変換部と、
を備え、
前記流路は、前記検出部を有し、
前記第1光路変換部は、前記検出部の入射側に前記検出部の光軸と略同一直線上となるように設けられ、
前記第1光路変換部は、前記プレート本体の平面視において、前記流路とは重ならない位置に配置され
前記第1光路変換部及び第2光路変換部が、前記検出部を介して、前記検出部の光軸と略同一直線上となるように設けられ、
前記第1光路変換部は、前記プレート本体に入射した前記測定光を前記検出部に反射し、
前記参照用受光部は、前記流路プレート内の前記第1光路変換部を通過せず、前記プレート本体を通過した前記測定光を受光する分析装置
【請求項2】
前記流路プレートは、前記プレート本体の入射側の面と出射側の面との何れか一方または両方にバンドパスフィルタを備える請求項1に記載の分析装置
【請求項3】
前記流路プレートは、前記流路の、前記検出部よりも前記測定対象液体の流れ方向の上流側に設けられ、前記測定対象液体中の成分を分離する分離素子を収容する分離素子収容部を有する請求項1又は2に記載の分析装置
【請求項4】
前記参照用受光部で測定された前記測定光の測定値に基づいて、前記受光部で測定された前記測定光の測定値を補正する制御部を備える請求項1~3の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
記光照射部から照射される前記測定光の照射領域は、前記プレート本体の平面視において、前記流路とは重ならずかつ前記第1光路変換部の投影面積より大きく、
前記第1光路変換部の少なくとも一部は、前記プレート本体の平面視における前測照射領域の内側にある請求項の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記プレート本体の入射側と出射側との何れか一方又は両方に、前記測定光を並行にするレンズ部を備える請求項1~5の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項7】
前記レンズ部は、前記プレート本体内に一体に形成されている請求項に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路プレート及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象である液体(測定対象液体)に含まれる成分を、内部にマイクロオーダーの流路(マイクロ流路)を備える流路プレート(流路チップともいう)を用いて分析する方法がある。流路プレートを用いれば、一般に、分析に必要な試料や試薬等の測定対象液体が少量で済み、測定対象液体に含まれる成分の分析を簡単な操作で精度良く短時間で行える。
【0003】
そのため、流路プレートは、化学、生化学及び医学等の分野における、臨床検査、食物検査、環境検査等の様々な用途での使用が期待されている。特に、流路プレートは、診療や看護等の医療現場において、簡易かつ迅速に検査するポイント・オブ・ケア検査(Point-of-Care Testing(POCT))での使用が期待されている。
【0004】
流路プレートとして、例えば、基体と、基体内に設けられた被検体流路及び空洞部とを有するマイクロ流路を備え、被検体流路に光が伝搬する光導波部を設け、空洞部に入射光を基体の外側から基体の一部を透過して光導波部に入射する方向に光路変換する光路変換部を設けた光学分析装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6169367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の光学分析装置では、マイクロ流路が微少になると、マイクロ流路から光が漏れ易くなる。漏れた光は漏れ光として受光されると、ノイズとなり、測定精度が低下するという問題がある。
【0007】
また、漏れ光の影響を低減するため、基体の光が出射する表面にアパーチャを設ける場合、アパーチャを基体に設置するためには高い位置精度が要求される。そのため、基体を交換する度にアパーチャを基体に高い位置精度で設置しなければならないため、測定対象液体を簡易に分析することができないという問題がある。
【0008】
本発明の一態様は、測定対象液体に含まれる成分を高精度かつ簡易に分析することができる流路プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る流路プレートの一態様は、内部を流れる測定対象液体に測定光を照射して、前記測定対象液体中の成分を分析するための流路プレートであって、板状に形成されたプレート本体と、前記プレート本体内に設けられ、前記測定対象液体が通る流路と、前記プレート本体内に設けられ、前記プレート本体に入射した前記測定光を反射する光路変換部と、を備え、前記流路は、前記測定光が通過する検出部を有し、前記光路変換部は、前記検出部の入射側に前記検出部の光軸と略同一直線上となるように設けられ、前記光路変換部は、前記プレート本体の平面視において、前記流路とは重ならない位置に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る流路プレートの一態様は、測定対象液体に含まれる成分を高精度かつ簡易に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る流路プレートの斜視図である。
図2】流路プレートの分解斜視図である。
図3】流路プレートの平面図である。
図4図1のI-I断面図である。
図5図1のII-II断面図である。
図6】流路プレートを備えた分析装置を模式的に示す図である。
図7】測定光の流れを示す説明図である。
図8】受光部で測定された測定光の光量の変化の一例を示す図である。
図9】参照用受光部で測定された測定光の光量の変化の一例を示す図である。
図10】受光部で測定された測定光の透過率の変化の一例を示す図である。
図11】受光部で測定された測定光の吸光度の変化の一例を示す図である。
図12】補正した透過率の変化の一例を示す図である。
図13】補正した吸光度の変化の一例を示す図である。
図14】流路プレートの他の構成一例を示す図である。
図15】第2の実施形態に係る流路プレートを、図1のIII-III方向から見た断面図である。
図16】流路プレートを備えた分析装置における測定光の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0013】
[第1の実施形態]
<流路プレート>
第1の実施形態に係る流路プレートについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る流路プレートの斜視図であり、図2は、流路プレートの分解斜視図であり、図3は、流路プレートの平面図である。図1図3に示すように、本実施形態に係る流路プレート1Aは、矩形状に形成され、測定対象液体に含まれる成分を分離した後、外部から測定光を測定対象液体に照射して、測定対象液体に含まれる成分を分析するものである。流路プレート1Aは、板状に形成されたプレート本体(基材ともいう)10と、試料中の成分を分離する分離素子である分離カラム20とを有している。流路プレート1Aでは、プレート本体10の内部に試料が通るための流路11が形成され、分離カラム20は流路11に収容されている。また、プレート本体10の内部には、測定光の光路を切り替える、一対の光路変換部12が形成されている。光路変換部12は、図3に示すように、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならない位置に配置されている。
【0014】
本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、流路プレートの幅方向をX軸方向とし、奥行き方向をY軸方向とし、高さ(厚さ)方向をZ軸方向とする。流路プレートの下から上に向かう方向を+Z軸方向とし、その反対方向を-Z軸方向とする。以下の説明において、+Z軸方向を上又は上方といい、-Z軸方向を下又は下方という場合がある。
【0015】
測定対象液体としては、例えば、生体由来の物質(血液、汗、唾液、又は尿等)、薬、医薬品、食品添加物、合成された化学物質(農料等)、又は環境負荷物質(工場等から排出される排水、廃液又は地下水等)が挙げられる。なお、以下の説明では、測定対象液体を、単に、試料(被検体)という場合がある。
【0016】
(プレート本体)
図1に示すように、プレート本体10は、板状に形成されている。プレート本体10は、平面視において(図3参照)、矩形状に形成されており、角に丸みを有する。また、プレート本体10は、光透過性を有する。なお、光透過性を有するとは、測定光がプレート本体10の外側から照射された際に、プレート本体10の内部を透過する透過性を有していることをいう。測定光として、例えば、可視光(波長380~780nmの光)や紫外光や赤外光等が挙げられる。
【0017】
プレート本体10は、2つの板状プレート(第1板状プレート101及び第2板状プレート102)を有し、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを板厚方向に積層して構成されている。
【0018】
第1板状プレート101及び第2板状プレート102は、光透過性を有する材料を用いて形成される。前記材料としては、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂及びガラス等が挙げられる。前記材料は、一つだけ用いてもよいし、二つ以上を併用してもよい。
【0019】
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン(PP)、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂;シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)及びエチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂を挙げることができる。これらの中でも、製造のし易さ、光が透過可能な波長の範囲の広さ、及び耐薬品性等の点から、シクロオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、その中でも特に、COP及びCOCが好ましい。
【0020】
COPは、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分を重合してなる樹脂である。COPを構成するシクロオレフィンモノマーは、特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーであることが好ましい。ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであればよく、例えば、ノルボルネン及びノルボルナジエン等の二環体、ジシクロペンタジエン及びジヒドロキシペンタジエン等の三環体、テトラシクロドデセン等の四環体、シクロペンタジエン三量体等の五環体、及びテトラシクロペンタジエン等の七環体、並びにこれら多環体のアルキル(メチル、ブチル、プロピル及びブチル等)置換体、アルケニル(ビニル等)置換体、アルキリデン(エチリデン等)置換体、及びアリール(フェニル、トリル、及びナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン、テトラシクロドデセンが特に好ましい。
【0021】
また、COPは、シクロオレフィンモノマーの他に、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。他のモノマーとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルケンモノマーが挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、及び1-ヘキセン等のα-オレフィンが挙げられる。
【0022】
COPは、例えば、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)として入手できる。
【0023】
COCは、上記のシクロオレフィンモノマーを2種類以上組み合わせたコポリマーである。COCは、例えば、商品名TOPAS(登録商標)、特には、TOPAS(登録商標)8007X10(ポリプラスチック(株)製)として入手可能である。
【0024】
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)が挙げられる。
【0025】
スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂が挙げられる。
【0026】
ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸共重合体及びポリビニルアルコールが挙げられる。
【0027】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル樹脂及びポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0028】
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリアセタール(POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリフェニレンオキシド;ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)樹脂が挙げられる。
【0029】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリサルフォン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、アラミド樹脂が挙げられる。
【0030】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0031】
第1板状プレート101及び第2板状プレート102は、上記材料の何れか一種類を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0032】
第1板状プレート101と第2板状プレート102とは、例えば、熱圧着等による貼り合わせ、又は紫外線硬化樹脂等の接着剤等によって接合される。
【0033】
プレート本体10は、その内部に、試料が通る流路11と、光路変換部12とを有する。
【0034】
流路11は、液体流路111、分離素子収容部112及び光学検出セル部(検出部)113を有する。なお、光学検出セル部113は、フローセルともいう。液体流路111、分離素子収容部112及び光学検出セル部113は、流路プレート1Aの内部に設けられており、分離素子収容部112及び光学検出セル部113は、流路の途中(一部)にプレート本体10の外形に沿ってそれぞれ平行に設けられている。
【0035】
図2に示すように、流路11及び光路変換部12を構成する第1板状プレート101及び第2板状プレート102には、流路11及び光路変換部12に対応した形状の、孔部又は溝部が形成されている。
【0036】
本実施形態では、第1板状プレート101の孔部は、孔部の中心線から見て、円形に形成されている。液体流路111の一部(後述する、第1液体流路111-1及び第5液体流路111-5)は、第1板状プレート101及び第2板状プレート102に形成され、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを接合することで、第1板状プレート101及び第2板状プレート102とに形成される。
【0037】
第1板状プレート101及び第2板状プレート102の溝部は、溝部の中心線から見て、液体流路111の一部(後述する、第2液体流路111-2)及び分離素子収容部112については、上下方向及び左右方向に対称に形成されている。すなわち、液体流路111の一部(後述する、第2液体流路111-2)及び分離素子収容部112は、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面を挟んで、対称に形成されている(鏡像関係)。
【0038】
第1板状プレート101の溝部のうち、液体流路111の他の一部(後述する、第3液体流路111-3及び第4液体流路111-4)を形成する溝部は、第1板状プレート101の溝部の中心線から見て、上下方向及び左右方向に対称に形成されている。すなわち、液体流路111の一部(後述する、第3液体流路111-3及び第4液体流路111-4)は、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面を挟んで第1板状プレート101に形成されている。
【0039】
第1板状プレート101の溝部のうち、光学検出セル部113を形成する溝部についても、第1板状プレート101の溝部の中心線から見て、上下方向及び左右方向に対称に形成されている。図4は、図1のI-I断面図である。図2及び図4に示すように、光学検出セル部113は、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面を挟んで第1板状プレート101に形成されている。
【0040】
図2に示すように、第1板状プレート101の溝部のうち、光路変換部12を形成する溝部は、第1板状プレート101の溝部の中心線から見て、上下方向に非対称であって左右方向に対称に形成されている。すなわち、光路変換部12は、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面を挟んで第1板状プレート101に形成されている。
【0041】
図1に示すように、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを接合することによって、流路11及び光路変換部12が形成される。このように、流路11は、プレート本体10の内部に設けられ、プレート本体10内を試料が通るための通路として機能する。
【0042】
流路の主要部分を構成する液体流路111は、その口径が、例えば、数nm~数百μmmに設計されている。なお、本実施形態では、液体流路111の口径(内径)の大きさは、口径が円形の場合には、その口径の直径の長さであり、口径が四角形の場合には、その対角線の長さである。
【0043】
液体流路111の流入口15及び流出口16は、図1に示すように、第1板状プレート101の+Z軸方向の同一の主面側に設けられている。流入口15及び流出口16は、流路プレート1Aの平面視において、第1板状プレート101の主面の-X軸方向の辺側に対向するように設けられている。流入口15及び流出口16は、図3に示すように、流路プレート1Aの平面視において、それぞれ、略円形に形成されている。
【0044】
液体流路111は、図1に示すように、第1液体流路111-1、第2液体流路111-2、第3液体流路111-3、第4液体流路111-4及び第5液体流路111-5を有する。液体流路111は、流入口15から流出口16にかけて、流路プレート1Aの平面視において(図3参照)、分離素子収容部112と光学検出セル部113とを間に介して、折り返し構造となっている。
【0045】
第1液体流路111-1は、図1に示すように、流入口15から流路プレート1Aの厚さ方向(-Z軸方向)に略垂直に形成されている。第1液体流路111-1は、流入口15から-Z軸方向に沿って、第1板状プレート101と第2板状プレート102との境界部分まで伸び、第2液体流路111-2に連結されている。
【0046】
第2液体流路111-2は、図1に示すように、第1液体流路111-1と分離素子収容部112とを連結している。図4に示すように、本実施形態では、第2液体流路111-2は、第1液体流路111-1から、第1板状プレート101と第2板状プレート102との境界部分に沿って流路プレート1Aの+X軸方向に伸び、分離素子収容部112に連結されている。
【0047】
第3液体流路111-3は、図1に示すように、隣接する分離素子収容部112と光学検出セル部113との間を連結している。本実施形態では、第3液体流路111-3は、分離素子収容部112から第1板状プレート101と第2板状プレート102との境界部分に沿って流路プレート1Aの+X軸方向に伸び、光学検出セル部113に連結されている。
【0048】
第4液体流路111-4は、図1に示すように、光学検出セル部113と第5液体流路111-5とを連結している。本実施形態では、第4液体流路111-4は、光学検出セル部113から第1板状プレート101と第2板状プレート102との境界部分に沿って流路プレート1Aの-X軸方向に、第5液体流路111-5に連結されている。
【0049】
第5液体流路111-5は、図1に示すように、第4液体流路111-4から流出口16に向かって流路プレート1Aの厚さ方向(+Z軸方向)に略垂直に形成されている。第5液体流路111-5は、第4液体流路111-4から+Z軸方向に沿って、流出口16まで延び、流出口16に連結されている。
【0050】
第1液体流路111-1、第2液体流路111-2及び第5液体流路111-5の断面は、液体の流れに直交する方向に対して、いずれも、略円形に形成されている。第3液体流路111-3及び第4液体流路111-4の断面は、液体の流れに直交する方向に対して、略四角形に形成されている。
【0051】
第1液体流路111-1及び第5液体流路111-5の断面は、第2液体流路111-2、第3液体流路111-3及び第4液体流路111-4の断面よりも大きめに形成されている。分析時において、第1液体流路111-1には液体を供給する供給管が流入口15から挿入され、第5液体流路111-5には液体を排出する排出管が流出口16から挿入される。そのため、第1液体流路111-1及び第5液体流路111-5の断面が大きめに形成されていれば、供給管及び排出管が第1液体流路111-1及び第5液体流路111-5に挿入されやすくなる。
【0052】
流入口15及び流出口16は、図3に示すように、流路プレート1Aの平面視において、流路プレート1Aの-X軸方向の辺側に設けられている。また、流入口15及び流出口16は、流路プレート1AのY軸方向の辺の略中間を通り、かつ流路プレート1AのX軸方向の辺(X軸方向の辺に直交する辺)に平行な中心線に対して略対称となるように設けられている。
【0053】
図1に示すように、分離素子収容部112は、分離カラム20を収容する空間である。分離素子収容部112は、光学検出セル部113よりも上流側の液体流路111内に設けられ、流路11の一部(第2液体流路111-2と第3液体流路111-3との間)に流路11に沿って設けられている。分離素子収容部112は、第1板状プレート101と第2板状プレート102との貼り合わせ面(接合面)を跨ぐようにプレート本体10内に形成されている。分離素子収容部112は、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを挟むことで、第1板状プレート101の溝部101aと第2板状プレート102の溝部102aとにより形成される。分離素子収容部112は、分離カラム20の大きさに応じて適宜設計可能である。分離カラム20の詳細は後述する。
【0054】
光学検出セル部113は、光が照射される空間である。図1に示すように、光学検出セル部113は、試料が通過する流路11の一部(第3液体流路111-3と第4液体流路111-4との間)に対して直交するように設けられている。光学検出セル部113は、プレート本体10内の第1板状プレート101に、プレート本体10のY軸方向に沿って設けられている。図5は、図1のII-II断面図である。図5に示すように、光学検出セル部113は、第1板状プレート101の第2板状プレート102との接合面側に形成されている。図1及び図2に示すように、光学検出セル部113は、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを挟むことで、第1板状プレート101の溝部101bと第2板状プレート102の接合面とにより形成される。
【0055】
図3及び図5に示すように、光学検出セル部113は、測定光の入射方向と直交する内壁に、液体の流入口113a及び流出口113bを有する。流路プレート1Aの平面視において、流入口113aは、光学検出セル部113の-Y軸方向の端部の-X軸方向側の内壁に位置し、流出口113bは、光学検出セル部113の+Y軸方向の端部の-X軸方向側の内壁に位置する。光学検出セル部113は、流路プレート1Aの平面視において、流入口113aで第3液体流路111-3と連結され、流出口113bで第4液体流路111-4と連結されている。
【0056】
図1に示すように、光学検出セル部113は、Y軸方向を長辺とし、X軸方向を短辺とする、矩形状に形成されている。光学検出セル部113は、図3に示すように、平面視において長方形状に形成され、図4に示すように、軸方向視において四角形に形成されている。
【0057】
光学検出セル部113の大きさは、検査に用いる試料の量や試料に含まれる成分の濃度等に応じて適宜設定可能であり、光学検出セル部113の長さは、特に限定されず、任意の長さに自由に設計してもよい。光学検出セル部113は、その軸方向視において、液体及び測定光が通過可能な大きさに形成されており、図3及び図4に示すように、その軸方向視において、液体流路111より大きな断面積を有する空間に形成されている。光学検出セル部113の軸方向視の大きさは、検査に用いる測定対象液体の量や測定対象液体に含まれる成分の濃度等に応じて適宜設定可能である。光学検出セル部113の軸方向視の大きさは、第1板状プレート101の溝部101bの大きさを調整することで設定することができる。なお、溝部101bは、液体及び測定光が通過可能な大きさに形成されていればよく、断面形状は、四角形に限らず、四角形以外の多角形又は円形等でもよい。
【0058】
光路変換部12は、プレート本体10に入射した測定光を反射して光路を変換させるプリズムとしての機能を発揮することができる空間である。光路変換部12は、プレート本体10内の第1板状プレート101に形成されている。光路変換部12は、図3に示すように、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならない位置に配置されている。
【0059】
図1に示すように、光路変換部12は、一対の光路変換部12A及び12Bで構成されている。一対の光路変換部12A及び12Bは、その間に、光学検出セル部113を挟み込むように設けられ、光学検出セル部113を介して、光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けられている。
【0060】
光路変換部12Aは、光学検出セル部113の入射側に光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けられている。また、光路変換部12Aは、光照射部41(図6参照)から照射される測定光の光軸と略同一直線上となるように設けられている。光路変換部12Aは、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを挟むことで、第1板状プレート101の溝部101cと第2板状プレート102の接合面とにより形成される。
【0061】
光路変換部12Bは、光学検出セル部113の出射側に光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けられている。光路変換部12Bは、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを挟むことで、第1板状プレート101の溝部101dと第2板状プレート102の接合面とにより形成される。
【0062】
光路変換部12A及び光路変換部12Bの少なくとも一方は、軸方向視における投影面積が、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下とすることが好ましい。光路変換部12Aが、その軸方向視における投影面積を、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下となるように構成されていれば、プレート本体10に入射する測定光を光学検出セル部113内により効率的に反射させ易くすることができるため、好ましい。光路変換部12Bが、その軸方向視における投影面積を、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下となるように構成されていれば、光学検出セル部113内を通る測定光を効率的に反射させることができる。また、光学検出セル部113内を通過しなかった測定光を受光することを抑制することができる。プレート本体10に入射する測定光を光学検出セル部113内に通過させて外部で効率的に受光させる点から、光路変換部12A及び光路変換部12Bの両方が、軸方向視における投影面積を、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下に構成されていることが好ましい。
【0063】
(分離カラム)
図1に示すように、分離カラム20は、分離素子収容部112内に配置され、第1板状プレート101と第2板状プレート102との間で挟持された状態で収容されている。分離カラム20は、液体中の成分を分離するものであり、例えば、液体クロマトグラフィー用の分離用カラムが用いられる。
【0064】
分離カラム20は、柱状に形成されている。分離カラム20は、内部に多孔質の固定相を有する。固定相は、固定相を通過する液体に含まれる各成分に対する相互作用(例えば、疎水性相互作用、イオン交換等)の違いにより、液体に含まれる各成分同士を分離させる。例えば、固定相は、液体に含まれる各成分の吸着性や分配係数の差に基づく移動速度の差を利用して、液体に含まれる各成分を分離する。液体が、例えば血液である場合には、固定相は、分子の大きさおよび荷電状態に応じて、血液に含まれる成分を分離する。
【0065】
固定相は、多孔質体や微粒子の集合体で形成することができる。固定相の材料は、液体の種類や分離させる成分の種類に応じて、無機材料や有機材料等から選択される。固定相は、無機材料や有機材料等からなるモノリス構造体等を含むことができる。モノリス構造体は、空隙や細孔の大きさ、又はこれらの組み合わせを、目的に合わせて適宜調整可能である。モノリス構造体としては、無機材料のシリカモノリス等が好適に用いられる。
【0066】
分離カラム20の大きさは、検査に用いる試料の量や試料に含まれる成分の濃度等に応じて適宜最適な大きさに設計でき、分離カラム20の長さは、任意の長さとしてもよい。
【0067】
(流路プレートの製造方法)
次に、本実施形態に係る流路プレート1Aの製造方法の一例について説明する。まず、二つの矩形状に形成されたプレートのそれぞれの接合面側に、流路プレート1Aの流路11及び光路変換部12を構成する、溝部又は孔部を形成する。これにより、第1板状プレート101及び第2板状プレート102が得られる。第1板状プレート101及び第2板状プレート102の溝部及び孔部は、射出成形、プレス加工等で形成してもよいし、レーザー等で加工して形成してもよい。
【0068】
次に、第2板状プレート102の溝部102aに、分離カラム20を載置して装着する。分離素子収容部112及び光学検出セル部113を構成する溝部102aの形状は、第2板状プレート102の主面側の開口が最も大きな溝形状となっているので、分離カラム20を主面側から装着することができる。そのため、分離カラム20の第2板状プレート102への設置は、容易に行うことができる。
【0069】
次に、第1板状プレート101と第2板状プレート102との位置がずれないように、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面が向き合うように第1板状プレート101と第2板状プレート102とを重ね合わせる。その後、第1板状プレート101と第2板状プレート102とを、例えば、熱圧着等して接合する。これにより、図1に示す、第1の実施形態に係る流路プレート1Aが得られる。
【0070】
このように、流路プレート1Aは、プレート本体10内に、流路11及び光路変換部12Aを備え、流路11はその途中に光学検出セル部113を有し、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けると共に、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならない位置に配置している。
【0071】
流路プレート1Aは、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、外部からプレート本体10内に照射される測定光を光路変換部12Aで反射して光路を約90°変更し、光学検出セル部113に照射させることができる。これにより、流路プレート1Aは、光学検出セル部113内に流入した測定対象液体に測定光を照射することができるので、光学検出セル部113内を通過した測定光のみを外部で受光することで、光学検出セル部113内を流れる測定対象液体の成分を簡易に精度良く分析することができる。
【0072】
そして、流路プレート1Aは、光路変換部12Aを、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならない位置に配置することで、外部からプレート本体10内に照射される測定光を流路11を通過させることなく光路変換部12Aで反射させて、光学検出セル部113に照射することができる。そのため、流路プレート1Aは、光学検出セル部113内を通過する測定対象液体の成分の分析精度を高めることができる。
【0073】
よって、流路プレート1Aを用いれば、測定対象液体の成分を高精度かつ簡易に分析することができる。
【0074】
また、流路プレート1Aは、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、流路11が横流路を形成して流路長を長く形成しても、外部からプレート本体10内に照射される測定光のみを光路変換部12Aで反射して光学検出セル部113内を通過させることができるため、測定対象液体の分析精度を維持することができる。
【0075】
さらに、流路プレート1Aは、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、測定光が液体流路111に照射されることを抑えることができるため、液体流路111に測定光が漏れて漏れ光となることを低減することができる。光学検出セル部113から漏れる漏れ光が外部で受光されると、ノイズとなり、測定対象液体の分析精度に影響を与える可能性がある。流路プレート1Aは、漏れ光が外部で受光されてノイズとなることを低減することができるため、光学検出セル部113を通過した測定光の測定精度を安定して維持することができる。
【0076】
また、流路プレート1Aは、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、測定光がプレート本体10の上方又は下方から照射される場合でも、プレート本体10に入射する測定光の光路を光学検出セル部113側に変更して、照射光を光学検出セル部113内を流れる測定対象液体に照射することができるため、測定対象液体の分析精度を維持することができる。
【0077】
また、流路プレート1Aは、光路変換部12Aを光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、光学検出セル部113を通過しない測定光が外部で受光されることを抑制することができる。そのため、流路プレート1Aは、第1板状プレート101及び第2板状プレート102を形成する材料を限定することなく構成することができる。
【0078】
また、流路プレート1Aでは、光路変換部12Aの軸方向視における投影面積は、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下とすることができる。これにより、流路プレート1Aは、プレート本体10に入射する測定光を光路変換部12Aで光学検出セル部113内により確実に反射させることができる。流路プレート1Aは、光学検出セル部113内を通過した測定光をより安定して光路変換部12Bに照射して反射させることができるので、測定対象液体の成分を安定して分析することができる。
【0079】
流路プレート1Aは、光路変換部12を一対の光路変換部12A及び12Bで構成し、一対の光路変換部12A及び12Bを、光学検出セル部113を介して、光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることができる。流路プレート1Aは、光路変換部12Aで反射して光学検出セル部113を通過した測定光を光路変換部12Bで反射し、光路を約90°変更することで、外部に出射させることができる。そのため、流路プレート1Aは、測定光の照射位置等を高精度に調整しなくても、光学検出セル部113内を流れる試料中の成分をより簡易に安定して分析することができる。
【0080】
また、流路プレート1Aは、一対の光路変換部12A及び12Bを、光学検出セル部113を介して、光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、測定光が液体流路111に照射されることを抑えることができるため、液体流路111に測定光が漏れて漏れ光となることをより低減することができる。よって、流路プレート1Aは、漏れ光が外部で受光されてノイズとなることをより低減することができるため、光学検出セル部113を通過した測定光の測定精度をさらに安定して維持することができる。
【0081】
さらに、流路プレート1Aは、一対の光路変換部12A及び12Bを、光学検出セル部113を介して、光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、流路11が横流路を形成して流路長を長く形成しても、光学検出セル部113を通過した測定光のみを光路変換部12Bで反射させて外部に出射することができるため、測定対象液体の分析精度を維持することができる。プレート本体10の測定光の出口側に測定光が液体流路111に漏れて生じる漏れ光の影響を低減するためのアパーチャ等を設ける場合、プレート本体10の測定光の出口側にアパーチャを設置するためには高い精度で設置する必要があり、プレート本体10を交換する度にアパーチャをプレート本体10に高い位置精度で設置しなければならない。また、アパーチャを設置するための部品点数や組立て工数の増大を招く。本実施形態によれば、流路プレート1Aは、一対の光路変換部12A及び12Bを、光学検出セル部113を介して、光学検出セル部113の光軸と略同一直線上となるように設けることで、光学検出セル部113の出口側にアパーチャ等の別部品を設けることなく、光学検出セル部113から漏れる漏れ光による測定対象液体の分析への影響を低減することができる。
【0082】
また、流路プレート1Aは、光路変換部12Bを、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならない位置に配置することができるので、光学検出セル部113を通過した測定光を流路11に通過させることなく、プレート本体10から出射して外部で受光させることができる。
【0083】
さらに、流路プレート1Aでは、光路変換部12Bの軸方向視における投影面積は、光路変換部12Aと同様、光学検出セル部113の軸方向視における投影面積と同等以下とすることができる。これにより、流路プレート1Aは、光学検出セル部113内を通過した測定光を光路変換部12Bでより確実に外部に反射させることができる。また、光学検出セル部113内を通らない測定光を受光することを抑制することができるので、測定対象液体の成分をより安定して分析することができる。
【0084】
流路プレート1Aは、プレート本体10内に、流路11のうち、光学検出セル部113よりも上流側の流路11内に分離素子収容部112を設け、分離素子収容部112内に分離カラム20を有することができる。流路プレート1Aは、光学検出セル部113に流れる測定対象液体中の成分を分離することができるため、分離カラム20で測定対象液体中の成分を分離することで、成分が分離された測定対象液体を光学検出セル部113により短時間で供給することができる。また、流路プレート1Aは、プレート本体10内の流路11が分離カラム20と光学検出セル部113とを備えることで、プレート本体10内で測定対象液体中の成分の分離と測定を短時間で簡易に行うことができるため、装置構成を簡易にすることができる。
【0085】
流路プレート1Aは、プレート本体10を2つの板状プレート(第1板状プレート101及び第2板状プレート102)で構成して、第1板状プレート101及び第2板状プレート102は液体流路111に対応した溝部を有する。そのため、第1板状プレート101及び第2板状プレート102を貼り合わせることで、内部に液体流路111を形成したプレート本体10を容易に得ることができる。また、第1板状プレート101及び第2板状プレート102を射出成形で作製する場合、金型も簡易に製造できる。
【0086】
流路プレート1Aは、プレート本体10を2つの板状プレート(第1板状プレート101及び第2板状プレート102)で形成しているため、第1板状プレート101及び第2板状プレート102の位置合わせを容易にできる。すなわち、流路プレート1Aは、プレート本体10を構成する第1板状プレート101及び第2板状プレート102を接合する際に、第1板状プレート101の溝部101aと第2板状プレート102の溝部102aとに分離カラム20を嵌めて、分離カラム20を中心に第1板状プレート101及び第2板状プレート102を嵌め合わせるだけでよい。これにより、第1板状プレート101及び第2板状プレート102の接合面の位置ずれを低減することができる。また、この位置ずれにより、接合面の一部がはみ出したり、接合面の形状が崩れて、断面視における形状が変形するのを防ぐことができる。
【0087】
流路プレート1Aは、光学検出セル部113をその軸方向がプレート本体10の一方の主面に対して平行となるように形成し、一対の光路変換部12A及び12Bと対向するように設置することができる。これにより、流路プレート1Aは、光学検出セル部113内を流れる試料の流れ方向(Y軸方向)に沿って測定光を通すことができる。
【0088】
流路プレート1Aは、光学検出セル部113を、第1板状プレート101の溝部101b(図2参照)と第2板状プレート102の接合面とで形成している。これにより、光路変換部12Aで光学検出セル部113側に反射した測定光の光軸が第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面(境界)に位置しない。そのため、測定光が接合面で散乱することを抑制することができるので、外部で受光される測定光の測定値に誤差が生じるのを低減することができる。
【0089】
流路プレート1Aは、光学検出セル部113の内壁に流入口113a及び流出口113bを設けている。これにより、液体流路111(第3液体流路111-3)を流れてきた測定対象液体を、光学検出セル部113の内壁側から内部に流入させることができる。また、光学検出セル部113の内壁面側から液体流路111(第4液体流路111-4)に流出させることができる。そのため、光学検出セル部113内に流入及び流出する測定対象液体の向きと光学検出セル部113内を通過する測定光の向きとを直交させることができる。そのため、測定光の光学検出セル部113への入射方向から見て、の向きに液体流路111が存在しない。よって、流路プレート1Aは、液体流路111が光学検出セル部113内に照射される測定光の進路を邪魔するのを防ぐことができる。
【0090】
このように、本実施形態に係る流路プレート1Aは、上記のような特性を有することから、血液中に含まれるタンパク質や核酸等の血液成分や工場等から排出される排水中に含まれる化学物質、地下水に含まれる成分等の微量な物質の分析を簡易かつ高精度に行うことができる。そのため、流路プレート1Aは、臨床検査、食物検査、環境検査、又は診療や看護現場等の医療現場において好適に用いることができる。特に、POCT用として有効に用いることができる。
【0091】
<分析装置>
次に、本実施形態に係る流路プレート1Aを用いて分析装置で測定対象液体(試料)中の成分を分析する分析方法の一例について説明する。図6は、流路プレート1Aを備えた分析装置を模式的に示す図であり、図7は、測定光の流れを示す説明図である。図6に示すように、分析装置40Aは、流路プレート1A、光照射部41、レンズ部42、受光部43、参照用受光部44、制御部45及び表示部46を有する。図7に示すように、分析装置40Aでは、光照射部41から測定光がプレート本体10に向けて照射される。分析装置40Aでは、光照射部41から測定光は、光照射部41から照射される測定光の照射領域A(図3参照)が、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならずかつ光路変換部12Aの投影面積より大きくなるように、照射させることが好ましい。すなわち、光路変換部12Aは、プレート本体10の平面視における照射領域A(図3参照)の内側に位置することが好ましい。なお、光路変換部12Aの一部がプレート本体10の平面視における照射領域A(図3参照)の内側に位置してもよい。
【0092】
光照射部41は、図6に示すように、光路変換部12Aの上方(+Z軸方向)に設けられて、流路プレート1Aの光路変換部12Aに向けて測定光を照射する。光照射部41としては、例えば、LED、タングステンランプ、レーザー等、公知の光源を用いることができる。
【0093】
レンズ部42は、光照射部41から照射されてプレート本体10を通過した測定光を収束させるか並行にして、測定光の広がりを抑える機能を有する。なお、レンズ部42は、複数のレンズ群で構成されてもよい。また、レンズ部42は、光照射部41とプレート本体10との間に設け、光照射部41からプレート本体10に入射する測定光の広がりを抑えるようにしてもよい。
【0094】
また、レンズ部42は、プレート本体10の内部に設けられ、プレート本体10内に一体に形成されていることが好ましい。この場合、プレート本体10の成形用の金型等にレンズ部42に対応した溝部を形成する。これにより、プレート本体10の作製時に、レンズ部42を、プレート本体10内に、流路11と共に一体に形成することができる。そのため、レンズ部42は、プレート本体10と別部品として設けることなく、プレート本体10と一体として用いることができる。
【0095】
受光部43は、図6に示すように、光路変換部12Bの上方(+Z軸方向)に設けられている。受光部43は、光照射部41から照射され、流路プレート1A内の光路変換部12、光学検出セル部113を通過した測定光を受光して検出する。受光部43は、光照射部41から照射される測定光の光軸と、受光部43で受光される測定光の光軸とが略同一直線上となるように、光学検出セル部113を介して、光照射部41と対向して設けられている。
【0096】
参照用受光部44は、図6に示すように、プレート本体10の光照射部41とは反対側(-Z軸方向)に設けられている。参照用受光部44は、光照射部41から照射され、プレート本体10を通過した測定光を受光して検出する。
【0097】
受光部43及び参照用受光部44は、測定光を検出することができるものであればよく、公知の検出器を用いることができる。受光部43及び参照用受光部44は、それぞれ、配線47を介して制御部45と接続されている。
【0098】
制御部45は、受光部43及び参照用受光部44で検出された測定光の検出結果に基づいて、流路プレート1Aの光学検出セル部113内を通った試料の分析を行う。制御部45は、参照用受光部44で測定された測定光の測定値に基づいて、受光部43で測定された測定光の測定値を補正する。測定値として、例えば、測定光の光量、透過率、吸光度等が挙げられる。
【0099】
受光部43で測定された測定光の測定値を補正する方法として、例えば、制御部45は、図8に示すような受光部43で測定された測定光の光量と、図9に示すような参照用受光部44で測定された測定光の光量とを比較し、受光部43で測定される光量の参照用受光部44で測定される光量に対する変動率を算出する。そして、制御部45は、受光部43で測定された測定光の光量から、図10に示すような測定光の透過率や図11に示すような吸光度を算出する。制御部45は、算出した測定光の透過率(図10参照)及び吸光度(図11参照)に変動率を乗じることにより、図12に示すような測定光の補正された透過率及び図13に示すような測定光の補正された吸光度を得る。これにより、制御部45は、変動が抑えられた、透過率及び吸光度を得ることができる。よって、制御部45は、受光部43で測定される測定光及び参照用受光部44で測定された測定光の光量に基づいて、受光部43で測定される測定光の透過率及び吸光度を補正することで、安定した透過率及び吸光度を得ることができる。
【0100】
制御部45は、図6に示すように、受光部43で測定された測定光を補正した分析結果を表示部46に送信する。
【0101】
表示部46は、図6に示すように、制御部45から送信された分析結果を表示する。
【0102】
流路プレート1Aが分析装置40Aの不図示の本体内に挿入されると、分析装置40A内で流路プレート1Aの位置が固定される。その後、図6に示すように、流入口15には試料を供給する供給管48が自動挿入されると共に、流出口16には試料を排出する排出管49が自動挿入される。その後、供給管48から流入口15に試料が注入される。
【0103】
試料は、流入口15から第1液体流路111-1を通って流路プレート1Aの厚さ方向に流れた後、第2液体流路111-2を通って、分離素子収容部112に供給される。試料は、分離素子収容部112内の分離カラム20を通りながら、分離カラム20で試料中の成分が分離される。その後、分離カラム20で成分が分離された試料は、分離素子収容部112から第3液体流路111-3を通って、光学検出セル部113に供給される。
【0104】
試料が光学検出セル部113に供給されると、試料は、光学検出セル部113内を流れる。光学検出セル部113内を通過した試料は、第4液体流路111-4及び第5液体流路111-5を通って、流出口16に流れ、流出口16から排出される。
【0105】
このとき、試料が光学検出セル部113を流れる前又は流れている状態で、プレート本体10内に光照射部41から測定光が照射される。光照射部41から照射された測定光は、光路変換部12Aで反射して光路を光学検出セル部113側に略90°変換し、光学検出セル部113を通過するように照射される。測定光は光学検出セル部113を通過して、光路変換部12Bで反射して光路を受光部43側に略90°変換し、レンズ部42で光路を狭めた後、受光部43に受光され、検出される。
【0106】
一方、光路変換部12Aで反射せず、プレート本体10内を通過した測定光、及び光路変換部12Aを通過せずプレート本体10内を通過した測定光は、プレート本体10の通過後、参照用受光部44に受光され、検出される。
【0107】
受光部43及び参照用受光部44で検出された、測定光の光量等の測定値に関する検出結果は、配線47を介して制御部45に送られる。そして、制御部45で、参照用受光部44で測定された測定光の測定値に基づいて、受光部43で測定された測定光の測定値を補正して、光学検出セル部113内を通った試料の分析結果が補正され、補正された測定値(例えば、透過率や吸光度)が得られる。制御部45は、補正された測定値を表示部46に送信し、表示部46に表示する。
【0108】
分析装置40Aは、流路プレート1A、光照射部41及び受光部43を備え、流路プレート1Aの光路変換部12Aで反射されて光学検出セル部113を通過した測定光のうち、光路変換部12Bで反射された測定光のみを受光部43で受光している。そのため、分析装置40Aは、光学検出セル部113を通過した測定光のみを受光部43で受光させることができる。光路変換部12Aで反射された測定光のうち、光学検出セル部113を通過しない向きに反射された測定光は外部に出射する。光学検出セル部113の途中で光学検出セル部113から漏れた測定光は外部に出射する。よって、受光部43には、光路変換部12A及び12Bで反射された測定光のうち、光学検出セル部113を通過した測定光のみを受光させることができる。したがって、分析装置40Aは、流路プレート1A内に供給された測定対象液体を高精度に分析することができる。
【0109】
また、分析装置40Aは、光学検出セル部113を第1板状プレート101の位置に設け、第1板状プレート101と第2板状プレート102の接合面を跨がないように形成することができる。第1板状プレート101と第2板状プレート102の接合面に光が照射されると、分析に悪影響を与える可能性がある。分析装置40Aは、光路変換部12Aで反射された測定光が通る、一対の光路変換部12A及び12Bを結ぶ光軸が前記接合面を通らないようにしているため、光学検出セル部113内を流れる測定対象液体の分析を安定して行うことができる。
【0110】
分析装置40Aは、光照射部41とは反対側(-Y軸方向)に参照用受光部44を備えることができる。これにより、分析装置40Aは、光路変換部12Aを通過せずプレート本体10を通過した測定光を、参照用受光部44で受光することができる。参照用受光部44で受光された測定光は参照光として使用できる。分析装置40Aは、受光部43で受光した測定光と参照用受光部44で受光した測定光とを比較することで、受光部43で受光された測定光の測定値(例えば、透過率、吸光度)を補正することができる。一般に、基準となる溶液(基準溶液)を流路11内に通した状態で光学検出セル部113に測定光を照射し、得られた光量を基準値にして予め算出する。そして、測定対象液体を流路11内に通して光学検出セル部113に測定光を照射し、得られた光量を基準値と比較して、測定対象液体の透過率及び吸光度を測定する。この場合、外部から照射される測定光の光量が変化した場合、その光量の変化の影響を受けるため、測定対象液体の光量を精度良く測定することができない。分析装置40Aは、参照用受光部44で受光した測定値を用いて受光部43で受光された測定値を補正することで、受光部43で受光された測定光の測定値の精度を高めることができるため、分析性能をより向上させることができる。
【0111】
分析装置40Aは、制御部45を備え、参照用受光部44で測定された測定光の測定値に基づいて、受光部43で測定された測定光の測定値を補正することができる。これにより、分析装置40Aは、制御部45で、変動が抑えられ、安定した透過率及び吸光度を得ることができる。
【0112】
分析装置40Aは、測定光の照射領域A(図3参照)を、プレート本体10の平面視において、流路11とは重ならずかつ光路変換部12Aの投影面積より大きくし、光路変換部12Aを、プレート本体10の平面視における照射領域A(図3参照)の内側とすることができる。これにより、分析装置40Aは、光照射部41から照射された測定光を光路変換部12Aに確実に照射させつつ流路11に侵入することを低減することができる。よって、分析装置40Aは、受光部43で受光される測定光の測定値をより安定させることができるため、分析性能をより安定させることができる。
【0113】
分析装置40Aは、プレート本体10の出射側にレンズ部42を設けることができる。これにより、プレート本体10から出射する測定光の広がりが抑えられ、測定光は並行にして受光部43に受光させることができる。これにより、受光部43で受光される光量を増大させることができるため、分析装置40Aは、測定光の強度が変動するのをより抑制することができるので、試料中の成分をさらに高精度で測定することができる。
【0114】
分析装置40Aは、レンズ部42をプレート本体10の内部に、プレート本体10と一体に形成することができる。これにより、レンズ部42は、プレート本体10と別部品として設けることなく、プレート本体10と一体として用いることができるため、試料中の成分を分析する際、レンズの準備及び位置調整等の準備が不要になるため、分析をより簡易に行うことができる。
【0115】
(変形例)
なお、本実施形態では、プレート本体10は、平面視において、矩形状の他に、円形等の他の形状に形成されていてもよい。
【0116】
本実施形態では、プレート本体10は、2つの板状プレート(第1板状プレート101及び第2板状プレート102)で形成されているが、3つ以上の板状プレートで形成することもできる。
【0117】
本実施形態では、流路プレート1Aは、分離素子収容部112を備えず、プレート本体10内に分離カラム20が収容されていなくてもよい。この場合、例えば、流路プレート1A外で分離カラム20により成分を分離し、その成分が分離された測定対象液体を流入口15から導入させる。
【0118】
本実施形態では、第1液体流路111-1、第2液体流路111-2及び第5液体流路111-5の断面は、いずれも略円形としているが、これらの流路の何れかの流路の断面を多角形等としてもよい。
【0119】
本実施形態では、第3液体流路111-3及び第4液体流路111-4の断面は、いずれも四角形としているが、略円形等としてもよい。
【0120】
本実施形態では流路プレート1A内の分離素子収容部112は、流路プレート1Aの形状や大きさに影響のない範囲で、流路プレート1A内に直列又は並列に複数設けてもよい。このとき、それぞれの分離素子収容部112に分離カラム20を設けてもよい。
【0121】
本実施形態では、光学検出セル部113は、第2板状プレート102に形成されていてもよい。
【0122】
本実施形態では、光学検出セル部113の軸方向の断面視における形状は、例えば、五角形等の多角形としてもよい。なお、光学検出セル部113の断面軸方向視における形状が円形である場合、光学検出セル部113に対応する溝部が第1板状プレート101又は第2板状プレート102に形成できない。そのため、本実施形態では、光学検出セル部113の軸方向における断面視の形状は多角形とし、第1板状プレート101と第2板状プレート102との接合面に対して逆テーパが形成されないようにすることが好ましい。これにより、プレート本体10を構成する板状プレートを射出成形やプレス加工等で作製する際に、プレート本体10を容易に作製することができる。
【0123】
本実施形態では、プレート本体10の流入口15及び流出口16は、流路プレート1Aの-X軸方向の辺側に設けられているが、流路プレート1Aの他の三つの辺のうちのいずれか一つの辺側に設けられていてもよい。
【0124】
本実施形態では、プレート本体10の流入口15及び流出口16は、図14に示すように、第2板状プレート102の+Z軸方向の同一の主面側に設けられてもよい。
【0125】
本実施形態では、プレート本体10は、その上側端面又は下側端面の角部に1つ以上の位置決め孔を備えてもよい。第1板状プレート101と第2板状プレート102とを貼り合わせてプレート本体10を作製する際、第1板状プレート101と第2板状プレート102との貼り合わせ位置の調整が容易になる。また、分析装置40A(図16参照)に流路プレート1Aを設置する際に流路プレート1Aの位置を所定の位置に容易に固定することができる。なお、位置決め孔は、プレート本体10を貫通していてもよいし、凹状に形成されていてもよい。
【0126】
本実施形態では、プレート本体10は、その四つの辺のうちの何れか一つの辺に面取り部を備えてもよい。これにより、流路プレート1Aの分析装置40A(図6参照)への挿入方向が確認しやすくなる。
【0127】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る流路プレート1Bについて説明する。図15は、第2の実施形態に係る流路プレートを、図1のIII-III方向から見た断面図であり、図16は、流路プレート1Bを備えた分析装置40Bにおける測定光の流れを示す断面図である。図15に示すように、本実施形態に係る流路プレート1Bは、上記の第1の実施形態に係る流路プレート1Aにおいて、プレート本体10の出射側に、測定対象となる所定の波長域の測定光のみを通過させるバンドパスフィルタ60を有する。
【0128】
バンドパスフィルタ60はプレート本体10の入射側及び出射側の主面10aに設けられている。バンドパスフィルタ60は、例えば、TiO及びSiOの積層膜、Nb及びSiOの積層膜で形成することができる。また、バンドパスフィルタ60は、特定の波長の測定光のみを通過させることができればよく、公知のバンドパスフィルタを用いることができる。
【0129】
図16に示すように、分析装置40Bでは、光照射部41から照射された測定光は、流路プレート1Bのプレート本体10の主面10aに設けたバンドパスフィルタ60に到達すると、測定対象となる波長以外の不要な光はバンドパスフィルタ60によりカットされ、測定対象波長域の測定光のみがバンドパスフィルタ60を透過することができる。
【0130】
プレート本体10内に到達した測定光は、光路変換部12Aで反射して光路を光学検出セル部113側に略90°変換し、光学検出セル部113を通過するように照射される。測定光は光学検出セル部113を通過して、光路変換部12Bで反射して光路を受光部43側に略90°変換し、バンドパスフィルタ60に到達する。測定光は、特定の測定対象波長域の光であるため、バンドパスフィルタ60を透過することができる。バンドパスフィルタ60を透過した測定光は、レンズ部42で光路を狭めた後、受光部43に受光され、検出される。
【0131】
流路プレート1Bは、バンドパスフィルタ60をプレート本体10の主面10aに設けることで、所定の測定対象波長域の測定光のみをプレート本体10に入射させることができると共に、プレート本体10から出射させることができる。これにより、流路プレート1Bは、測定対象波長域の測定光のみを受光部43に透過させることができるため、不要な光成分による光量増加を抑制することができる。よって、流路プレート1Bは、受光部43で検出される感度を高めることができる。
【0132】
なお、本実施形態では、バンドパスフィルタ60をプレート本体10の測定光の入射部分又は出射部分にのみ設けてもよい。
【0133】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記の各実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1A、1B 流路プレート
10 プレート本体
101 第1板状プレート
102 第2板状プレート
111 液体流路
111-1 第1液体流路
111-2 第2液体流路
111-3 第3液体流路
111-4 第4液体流路
111-5 第5液体流路
112 分離素子収容部
113 光学検出セル部(検出部)
12、12A、12B 光路変換部
15 流入口
16 流出口
20 分離カラム(分離素子)
40A、40B 分析装置
41 光照射部
42 レンズ部
43 受光部
44 参照用受光部
45 制御部
46 表示部
60 バンドパスフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16