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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/38 20060101AFI20240910BHJP
   G07D 11/17 20190101ALI20240910BHJP
   G07D 11/165 20190101ALI20240910BHJP
   G07D 11/18 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
B65H31/38
G07D11/17
G07D11/165
G07D11/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020208350
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095175
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】森田 忠顕
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-028758(JP,U)
【文献】特開昭63-196457(JP,A)
【文献】特開2002-029657(JP,A)
【文献】特開平09-194081(JP,A)
【文献】特開2010-168150(JP,A)
【文献】特開2020-070122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
G07D 11/00-11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された紙葉類を整列させつつ集積させて収納する集積収納部と、
前記集積収納部を制御する制御部とを備え、
前記集積収納部は、
縦幅方向及び横幅方向のうちの一方向である第1方向と、他方向である第2方向とが予め決められた方向を向くように紙葉類を集積させる集積部と、
前記集積部よりも前記第1方向の一方側に配置されると共に、前記集積部に集積される紙葉類から離間した第1退避位置と、前記集積部に集積される紙葉類のうち前記第1方向に位置する一端縁と接触する第1整列位置との間を移動可能とされた第1整列部と、
前記集積部よりも前記第1方向の他方側に配置されると共に、前記集積部に集積される紙葉類から離間した第2退避位置と、前記集積部に集積される紙葉類のうち前記第1方向に位置する他端縁と接触する第2整列位置との間を移動可能とされた第2整列部と、
前記集積部よりも前記第2方向の一方側に配置され、前記第2方向に沿って移動可能に設けられた第3ベース部と、
前記集積部よりも前記第2方向の他方側に配置され、前記第2方向に沿って移動可能に設けられると共に、前記第3ベース部に対して接近離間可能とされた第4ベース部と、
前記第3ベース部に設けられ、前記搬送部から搬送された紙葉類を前記集積部に投入する第3搬送ローラを有する第3集積搬送部と、
前記第4ベース部に設けられ、前記搬送部から搬送された紙葉類を前記集積部に投入する第4搬送ローラを有する第4集積搬送部と、を有し、
前記制御部は、前記集積部に集積される紙葉類の種類に応じて、前記第3ベース部及び前記第4ベース部を前記第2方向に沿って移動させ、前記第3ベース部と前記第4ベース部との間隔を調整し、
さらに前記制御部は、前記第1整列部及び前記第2整列部を、前記第1退避位置及び前記第2退避位置から前記第1整列位置及び前記第2整列位置にそれぞれ移動させ、前記集積部に集積された紙葉類を前記第1方向の両側から叩打することで、紙葉類を前記第1方向に整列させる
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記集積収納部は、
前記集積部よりも前記第1方向の一方側に配置され、前記第1方向に沿って移動可能に設けられた第1ベース部と、
前記集積部よりも前記第1方向の他方側に配置され、前記第1方向に沿って移動可能に設けられると共に、前記第1ベース部に対して接近離間可能とされた第2ベース部とを更に備え、
前記第1整列部は、前記第1ベース部に設けられ、
前記第2整列部は、前記第2ベース部に設けられ、
前記制御部は、前記集積部に集積される紙葉類の種類に応じて、前記第1ベース部及び前記第2ベース部を前記第1方向に沿って移動させ、前記第1整列部と前記第2整列部との間隔を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記第1整列部は、前記第1整列位置に位置したときに、紙葉類の前記第2方向に沿って配置され、且つ紙葉類の前記一端縁に対して接触する第1平面当接部を有し、
前記第2整列部は、前記第2整列位置に位置したときに、紙葉類の前記第2方向に沿って配置され、且つ紙葉類の前記他端縁に対して接触する第2平面当接部を有し、
前記制御部は、前記第1整列部及び前記第2整列部を前記第1整列位置及び前記第2整列位置に位置させたときに、前記第1平面当接部と前記第2平面当接部との間の前記第1方向の間隔が前記集積部に集積される紙葉類の前記第1方向の長さに一致するように、前記第1ベース部及び前記第2ベース部を前記第1方向に沿って移動させる
ことを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1整列部及び前記第2整列部を同時に移動させて、前記第1退避位置及び前記第2退避位置から前記第1整列位置及び前記第2整列位置に位置させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記集積部に集積される紙葉類が、前記集積部の基準位置よりも、紙葉類の前記第1方向の中心位置が前記第1整列部寄りにずれた状態で集積されている場合には、前記第2整列部を前記第2整列位置に先に移動させた後、前記第1整列部を前記第1整列位置に移動させることで紙葉類を叩打し、前記第2整列位置で待機している前記第2整列部に紙葉類を突き当てることで紙葉類を整列させ、
前記集積部に集積される紙葉類が、前記基準位置よりも前記中心位置が前記第2整列部寄りにずれた状態で集積されている場合には、前記第1整列部を前記第1整列位置に先に移動させた後、前記第2整列部を前記第2整列位置に移動させることで紙葉類を叩打し、前記第1整列位置で待機している前記第1整列部に紙葉類を突き当てることで紙葉類を整列させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記第3ベース部に設けられ、前記集積部に集積される紙葉類から離間した第3退避位置と、前記集積部に集積される紙葉類のうち前記第2方向に位置する一端縁と接触する第3整列位置との間を移動可能とされた整列板と、
前記第3搬送ローラに連動して、前記整列板を前記第3退避位置から前記第3整列位置に移動させる整列板駆動部とを更に備え、
前記制御部は、前記集積部に集積される紙葉類の種類に応じて前記整列板駆動部を作動させ、前記整列板を前記第3退避位置から前記第3整列位置に移動させることで、前記集積部に集積された紙葉類を前記第2方向に整列させる
ことを特徴とする請求項に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙葉類を処理するための紙葉類処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
紙葉類処理装置は、紙葉類搬送路から送り出された紙葉類を叩くことで、集積収納部内で紙葉類を整列させながら集積した状態で収納させる叩き機構を備えている。叩き機構は、モータ等の駆動力によって水平旋回可能な細長い円柱状の叩き棒を備えている。
叩き棒は、紙葉類搬送路から送り出された紙葉類を、紙葉類の横幅方向に位置する一端縁側から他端縁側に向けて叩くことで、紙葉類の他端縁を集積収納部の固定壁に対して突き当てる(接触させる)ことが可能とされている。これにより、紙葉類を固定壁に沿って整列させながら集積収納部内に集積させることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-12205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の紙葉類処理装置では、叩き棒を利用して紙葉類を片側(紙葉類の横幅方向の一端縁側)からのみ叩いて、紙葉類を整列させるので、紙葉類を集積収納部の固定壁に対して突き当てるまでの動作ストローク(移動量)が大きくなってしまう。そのため、整列作業に費やす時間がかかってしまい、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、迅速且つ確実に紙葉類を整列させることができる紙葉類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紙葉類処理装置の第1態様は、紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された紙葉類を整列させつつ集積させて収納する集積収納部と、前記集積収納部を制御する制御部とを備え、前記集積収納部は、縦幅方向及び横幅方向のうちの一方向である第1方向と、他方向である第2方向とが予め決められた方向を向くように紙葉類を集積させる集積部と、前記集積部よりも前記第1方向の一方側に配置されると共に、前記集積部に集積される紙葉類から離間した第1退避位置と、前記集積部に集積される紙葉類のうち前記第1方向に位置する一端縁と接触する第1整列位置との間を移動可能とされた第1整列部と、前記集積部よりも前記第1方向の他方側に配置されると共に、前記集積部に集積される紙葉類から離間した第2退避位置と、前記集積部に集積される紙葉類のうち前記第1方向に位置する他端縁と接触する第2整列位置との間を移動可能とされた第2整列部とを有し、前記制御部は、前記第1整列部及び前記第2整列部を、前記第1退避位置及び前記第2退避位置から前記第1整列位置及び前記第2整列位置にそれぞれ移動させ、前記集積部に集積された紙葉類を前記第1方向の両側から叩打することで、紙葉類を前記第1方向に整列させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、迅速且つ確実に紙葉類を整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る紙幣処理装置(紙葉類処理装置)の実施形態を示す外観斜視図である。
図2図1に示す紙幣処理装置の内部構成図である。
図3図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
図4図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
図5図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
図6図1に示す紙幣処理装置で処理される紙幣の表裏の向きのパターンの1つを示す紙幣の平面図である。
図7図2に示す紙幣処理装置における表裏反転部の周辺の構成図である。
図8図2に示す第1集積収納部の斜視図である。
図9図8に示す幅方向整列部の斜視図である。
図10図8に示す幅方向整列部の平面図である。
図11図10に示す第1整列部及び第2整列部を、第1整列位置及び第2整列位置に位置させた状態を示す平面図である。
図12図11に示す状態から、第1ベース部と第2ベース部との間の間隔を広げた状態を示す平面図である。
図13図8に示す第3整列機構の斜視図である。
図14図8に示す第3整列機構及び第4整列機構を前方側から見た側面図である。
図15図13に示す整列板の周辺の側面図である。
図16図15に示す状態から、整列板を第3退避位置に位置させた状態を示す側面図である。
図17図14に示す状態から、第3ベース部と第4ベース部との間の間隔を広げた状態を示す平面図である。
図18図8に示す上部ベース部上に、紙幣が第1整列部側に寄った状態で集積されたときの幅方向整列部の平面図である。
図19図18に示す状態から、第2整列部を先行して第2整列位置に位置させた状態を示す平面図である。
図20図19に示す状態から、第1整列部を第1整列位置に位置させることで、紙幣の横幅を整列した状態を示す平面図である。
図21】本実施形態の紙幣処理装置の変形例を示す図であって、第1集積収納部と第2集積収納部とが上下方向に並設されている構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る紙葉類処理装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、紙葉類として日本国の紙幣(千円券、二千円券、五千円券、一万円券)を例に挙げて説明する。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばユーロ紙幣、ドル紙幣等のように外国の紙幣であっても構わない。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態の紙幣処理装置(本発明に係る紙葉類処理装置)1は、第1の紙葉類処理装置である識別計数装置2と、第2の紙葉類処理装置である集積結束装置3とを備えている。識別計数装置2及び集積結束装置3は、例えば床面に設けられた台4上に並設された状態で連結されている。
【0011】
本実施形態では、識別計数装置2及び集積結束装置3が隣り合う方向を左右方向L1として定義し、上下方向L2及び左右方向L1に直交する方向を前後方向L3として定義する。更に前後方向L3のうち、紙幣処理装置1から操作者側に向かう方向を前方FW、その反対方向を後方BKとして定義すると共に、紙幣処理装置1を操作者側(前方FW側)から見た視点で左右を定義する。よって、操作者側から見て、識別計数装置2側が右側RH、集積結束装置3側が左側LHとなる。
【0012】
識別計数装置2は、外部から投入された紙幣Sを所定の条件で識別、及び計数を行って分類処理を行い、集積結束装置3に搬送して受け渡す。集積結束装置3は、識別計数装置2から搬送されてきた紙幣Sを、その紙幣Sの識別情報に基づいて表裏反転することで、表裏の向きを統一させた状態で集積し、複数枚の小束を作製する。
以下、識別計数装置2及び集積結束装置3について、詳細に説明する。
【0013】
<識別計数装置>
識別計数装置2について、以下に詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、識別計数装置2は、操作者によって機外(外部)から投入された紙幣Sに対して所定の分類処理を行う。具体的には、識別計数装置2は、機外から投入された紙幣Sを識別すると共に、金種別に計数しながら金種別に分類する分類処理や、設定された金種以外の紙幣Sをリジェクトするリジェクト処理や、設定された金種の紙幣Sの表裏を識別する表裏識別処理等を行う。なお、識別計数装置2は、ベース機とも称される。
【0014】
識別計数装置2は、概略直方体状の装置ケース10を具備している。装置ケース10の右側面10aには、機外(装置ケース10外)から紙幣Sを投入するための投入部11、及び機内(装置ケース10内)からリジェクトした紙幣Sを受け取るためのリジェクト部12が形成されている。
投入部11及びリジェクト部12は、装置ケース10の右側面10aから前面10bに亘って連続して開口するようにそれぞれ形成されている。なお、リジェクト部12は、投入部11の上方に配置されている。
【0015】
識別計数装置2は、投入部11に投入された紙幣Sを搬送する識別搬送部20と、識別搬送部20で搬送中の紙幣Sについて、少なくとも表裏を識別する識別部30と、識別部30で正常に表裏が識別された紙幣Sを、識別搬送部20から受け入れて隣接する集積結束装置3に向けて搬送する機外向搬送部40とを更に備えている。
これら識別搬送部20、識別部30及び機外向搬送部40は、装置ケース10内に設けられている。
【0016】
識別計数装置2は、操作者による操作入力が可能とされ、各種の情報表示を行う例えばタッチパネル式の操作表示部50を有していると共に、識別計数装置2を総合的に制御する制御部51と、外部電源に接続可能とされ、識別計数装置2及び集積結束装置3の各部に給電を行う電源部52とを更に備えている。
【0017】
操作表示部50は、装置ケース10の前面10bに設けられ、制御部51との間で各種の信号、情報等の入出力等を行っている。
制御部51は、例えばCPU等が搭載されたマイクロコンピュータで構成され、フラッシュメモリ等の記憶部51aを備えている。制御部51は、識別計数装置2だけを制御するのではなく、集積結束装置3を含めた紙幣処理装置1の全体を総合的に制御する。記憶部51aには、例えば紙幣処理装置1に各種の演算処理を実行させるためのプログラム或いはテーブル等が予め格納されていると共に、識別の基準となるマスタデータや識別計数結果のデータ等を記憶することが可能とされている。
【0018】
投入部11には、操作者によって機外から紙幣Sが投入される。この際、紙幣Sは、所定の向きに整えられ、投入部11の底面11aに上下に集積した状態でセットされる。
具体的には、図1に示すように、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の前後方向L3に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1に沿わせた向きで投入部11の底面11a上にセットされる。
【0019】
特に紙幣Sは、投入部11にセットされる際に、表裏に関連して図3図6に示すように4つの表裏パターンが混在した状態でセットされる。
第1の表裏パターンとしては、図3に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が上方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の左側LHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第1表姿勢N1の紙幣Sと称する。
第2の表裏パターンとしては、図4に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が下方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の右側RHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第1裏姿勢N2の紙幣Sと称する。
【0020】
第3の表裏パターンとしては、図5に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が上方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の右側RHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第2表姿勢N3の紙幣Sと称する。
第4の表裏パターンとしては、図6に示すように、特定の肖像Mが明示されている面が下方を向き、且つ肖像Mの向きが装置の左側LHを向いたパターンである。本実施形態では、本パターンを第2裏姿勢N4の紙幣Sと称する。
【0021】
このように、紙幣Sは上述した4つの表裏パターンが混在した状態で、図1及び図2に示す投入部11の底面11a上に集積した状態でセットされる。投入部11は、床面に対して僅かに左下がりに傾斜した底面11aと、底面11aの左端部から上方に向けて延びた壁面11bと、底面11a及び壁面11bに対して一体的に連設され、前後方向L3に向かい合う一対の側面11cとを有している。
【0022】
壁面11bには、該壁面11bに沿って昇降するビルプレス13が設けられている。ビルプレス13は、底面11a上に載置された紙幣Sを上方から押え込んで、底面11aとの間で紙幣Sを挟み込んで安定に保持することが可能とされている。
【0023】
図2に示すように、投入部11には、底面11a上にセットされた紙幣Sのうち、最下に位置する紙幣Sを1枚ずつ装置左側LHに向けて繰り出す繰出ローラ14と、繰出ローラ14によって繰り出された紙幣Sを装置内に取り込んで識別搬送部20に受け渡す取込ローラ15とが設けられている。繰出ローラ14及び取込ローラ15によって、投入部11にセットされた紙幣Sの中から、最下の紙幣Sだけを1枚ずつ適切に分離して、識別搬送部20に受け渡すことができる。
【0024】
なお、投入部11から識別搬送部20に受け渡された紙幣Sは、これ以降、紙幣処理装置1の全体において、紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1又は上下方向L2に沿わせた姿勢を維持したまま移動する。従って、紙幣Sの縦幅方向は、装置の左右方向L1又は上下方向L2に一致していると共に、搬送方向とも一致している。
【0025】
識別搬送部20は、投入部11から左側LHに向けて延びる第1識別搬送部21と、第1識別搬送部21の左端部から上方に向けて延びる第2識別搬送部22とを備えている。これにより、投入部11から識別搬送部20に受け渡された紙幣Sは、第1識別搬送部21によって左側LHに向けて搬送された後、第2識別搬送部22によって上方に向きを変えて搬送される。更に、第1識別搬送部21の取込ローラ15の近傍には、紙幣Sの取り込みの有無を検出する検出部23が設置されている。
【0026】
機外向搬送部40は、第2識別搬送部22の上端部から左側LHに向けて延びるように設けられ、後述する集積結束装置3の連結搬送部70に向けて紙幣Sを搬送する。更に、第2識別搬送部22の上端部には、右側RHに向けて延びるリジェクト搬送部41が接続されている。リジェクト搬送部41は、リジェクト部12に接続されている。これにより、第2識別搬送部22の上端部には、機外向搬送部40及びリジェクト搬送部41が分岐して繋がっている。
【0027】
第2識別搬送部22の上端部には、第2識別搬送部22によって搬送されてきた紙幣Sを、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41の何れかに振り分ける振分部42が設けられている。つまり、振分部42は、第2識別搬送部22からの紙幣Sの搬送先を、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41に切り換える役割を果たしている。振分部42は、識別部30での識別結果に基づいて紙幣Sの搬送先を、機外向搬送部40或いはリジェクト搬送部41に切り換える。
【0028】
識別部30は、第2識別搬送部22に設けられ、紙幣Sの識別及び計数を行う。
識別部30は、例えば金種等の種類の識別や、紙幣Sの表裏パターンが先に述べた4つ表裏パターン(第1表姿勢N1、第1裏姿勢N2、第2表姿勢N3、第2裏姿勢N4)の何れかであることを識別する。
なお識別部30は、紙幣Sの識別情報(識別結果)を制御部51に出力する。
【0029】
制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入可と判断し、且つ、搬送された紙幣Sが予め設定された金種の紙幣Sである場合には、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22から機外向搬送部40を介して集積結束装置3に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入不可と判断した場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、投入部11から搬送された紙幣Sを受入可と判断しても、搬送された紙幣Sが予め設定された金種以外の金種の紙幣Sである場合、例えば予め設定された一万円券とは異なる千円券である場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
【0030】
図1及び図2に示すように、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41の右端部から紙幣Sが繰り出され、紙幣Sを外部に取出し可能に集積させる。つまり、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41で搬送されてきた紙幣Sを機外に排除するための排除口とされている。
リジェクト部12は、床面に対して僅かに左下がりに傾斜した底面12aと、底面12aの左端部から上方に向けて延びた壁面12bと、底面12a及び壁面12bに対して一体的に連設され、前後方向L3に向かい合う一対の側面12cとを有している。
【0031】
更にリジェクト部12は、リジェクト搬送部41から繰り出された紙幣Sを壁面12bに当接させながら底面12aに向けて落下させる羽根車43を有している。これにより、リジェクト部12は、リジェクト搬送部41から繰り出された紙幣Sを安定して集積させながら底面12a上に載置させることが可能とされている。
【0032】
<集積結束装置>
次いで、集積結束装置3について、以下に詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、集積結束装置3は、上述した識別計数装置2の左側LHに配置され、概略直方体状の装置ケース60を具備している。集積結束装置3の装置ケース10と、識別計数装置2の装置ケース60とは、例えばねじ結合、ピン結合等、公知の方法で一体的に組み合わされている。
ただし、別体の装置ケース10、60をそれぞれ具備する場合に限定されるものではない。例えば、紙幣処理装置1は、共通の装置ケースを1つ具備し、この共通の装置ケース内に識別計数装置2及び集積結束装置3を配置しても構わない。
【0033】
集積結束装置3は、識別計数装置2における機外向搬送部40によって搬送されてきた特定の金種の紙幣Sを、該紙幣Sの識別情報に基づいて表裏反転することで表裏の向きを統一させ、表裏の向きが統一された紙幣Sを結束して小束を作製する。
【0034】
図2に示すように、集積結束装置3は、機外向搬送部40から表裏が識別された紙幣Sを受け取って搬送する連結搬送部(本発明に係る搬送部)70と、連結搬送部70によって搬送中の紙幣Sを、識別部30で検出された表裏の識別情報に基づいて表裏反転する表裏反転部80とを備えている。これら連結搬送部70及び表裏反転部80は、装置ケース60内に設けられている。
【0035】
(連結搬送部)
連結搬送部70は、装置ケース60内における上面側に配置されると共に、左右方向L1に沿って直線状に延びるように配置され、上流側である右端部から下流側である左端部に向けて紙幣Sを搬送する。連結搬送部70の右端部は、識別計数装置2の機外向搬送部40に繋がっている。これに対して、連結搬送部70の左端部は、装置ケース60の左側面に開口しており、例えば、集積結束装置3の装置ケース60の左側面に設置された紙幣Sが収納可能な退避ポケット部に紙幣Sを搬送する等、多目的に利用できるオプション出口71として利用可能とされている。
【0036】
これにより、連結搬送部70は、機外向搬送部40から受け取った紙幣Sを、左側LHに向けて搬送する。このとき、連結搬送部70によって搬送される紙幣Sは、先に述べた4つの表裏パターンが混在する。即ち、第1表姿勢N1の紙幣S、第1裏姿勢N2の紙幣S、第2表姿勢N3の紙幣S、第2裏姿勢N4の紙幣Sが、連結搬送部70によって搬送される。
【0037】
(表裏反転部)
図2及び図7に示すように、表裏反転部80は、連結搬送部70に連結して2つ設けられている。
具体的には、表裏反転部80は、左右方向L1に隣り合うように並設されると共に、装置ケース60内において同等の高さ位置となるように設けられている。そのため、2つの表裏反転部80は、連結搬送部70によって搬送される紙幣Sの搬送方向に沿って隣り合うように配置されている。
本実施形態では、2つの表裏反転部80のうち、識別計数装置2寄りに位置する右側RHの表裏反転部80を第1の表裏反転部81と称し、左側LHに位置する表裏反転部80を第2の表裏反転部82と称する。
【0038】
(第1の表裏反転部)
第1の表裏反転部81は、連結搬送部70に対して交差するように設けられると共に、連結搬送部70に連結される分岐搬送部90と、識別部30によって検出された識別情報に基づいて紙幣Sを偶数回表裏反転させ、表裏反転させる前と同じ表裏の向きで紙幣Sを排出する非反転部91と、識別部30によって検出された識別情報に基づいて紙幣Sを奇数回表裏反転させ、表裏反転させる前と異なる表裏の向きで紙幣Sを排出する反転部92とを備えている。
【0039】
分岐搬送部90は、連結搬送部70の下方に配置され、上下方向L2に延びるように形成されている。分岐搬送部90の上端部は、連結搬送部70に対して略直交に交差するように、連結搬送部70に下方から接続されている。
分岐搬送部90の上端部と連結搬送部70との接続部分には、連結搬送部70から搬送されてきた紙幣Sのうち、2つの表裏パターンの紙幣Sを分岐搬送部90に振り分け、残りの2つの表裏パターンを分岐搬送部90の下流側に位置する第2の表裏反転部82側に流す分岐振分部93が設けられている。
【0040】
具体的には、分岐振分部93は、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣S及び第1裏姿勢N2の紙幣Sだけを分岐搬送部90に振り分け、残りの第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣Sを通過させて、第2の表裏反転部82側に向かうように振り分けを行う。
なお、分岐振分部93は制御部51によって作動が制御される。また、制御部51は識別情報に基づいて分岐振分部93を制御する。
【0041】
非反転部91は、連結搬送部70の下方であって、且つ分岐搬送部90の右側RHに位置するように配置されている。これに対して反転部92は、連結搬送部70の下方であって、且つ分岐搬送部90の左側LHに位置するように配置されている。これにより、非反転部91及び反転部92は、分岐搬送部90を間に挟んで左右方向L1に並ぶように配置されている。
【0042】
非反転部91は、分岐搬送部90に接続されると共に、分岐搬送部90から連結搬送部70の上流側である右端部側に向かった後に180度転回して、連結搬送部70の下流側である左端部側に向かうように形成されている。
具体的には、非反転部91は、分岐搬送部90における上端部と下端部との間に位置する部分に接続され、連結搬送部70の上流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第1非反転部91aと、第1非反転部91aの右端部側に接続されると共に上下方向L2に沿って下方に向けて延びる第2非反転部91bと、第2非反転部91bの下端部側に接続されると共に、連結搬送部70の下流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第3非反転部91cとを備えている。これにより、非反転部91の全体は、連結搬送部70の上流側に向かって膨らんだU字状に形成されている。
【0043】
ただし、非反転部91の全体形状はU字状に限定されるものではなく、例えば連結搬送部70の上流側に向かって半円状、円弧状、C字状(コの字状)等、各種の湾曲状に膨らむように形成しても構わない。
【0044】
上述のように非反転部91が構成されているため、連結搬送部70から分岐搬送部90を介して非反転部91の第1非反転部91aに紙幣Sを搬送する間に、紙幣Sを一度表裏反転させることができ、続けて、第1非反転部91aから第2非反転部91bを介して第3非反転部91cに紙幣Sを搬送する間に、紙幣Sを更にもう一度表裏反転させることが可能とされている。
これにより、非反転部91は、紙幣Sを合計2回(偶数回)表裏反転させて、連結搬送部70によって搬送されていた際の紙幣Sと同じ表裏の向きで、第3非反転部91cの左端部側から紙幣Sを排出することができる。
【0045】
反転部92は、分岐搬送部90に接続されると共に、分岐搬送部90から連結搬送部70の下流側である左端部側に向かった後に180度転回して、連結搬送部70の上流側である右端部側に向かうように形成されている。
具体的には、反転部92は、分岐搬送部90における下端部に接続され、連結搬送部70の下流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第1反転部92aと、第1反転部92aの左端部側に接続されると共に上下方向L2に沿って下方に向けて延びる第2反転部92bと、第2反転部92bの下端部側に接続されると共に、連結搬送部70の上流側に向けて左右方向L1に沿って延びる第3反転部92cとを備えている。これにより、反転部92の全体は、連結搬送部70の下流側に向かって膨らんだU字状に形成されている。
【0046】
ただし、反転部92の全体形状はU字状に限定されるものではなく、例えば連結搬送部70の下流側に向かって半円状、円弧状、C字状(コの字状)等、各種の湾曲状に膨らむように形成しても構わない。
【0047】
上述のように反転部92が構成されているため、連結搬送部70から分岐搬送部90を介して反転部92の第1反転部92aに紙幣Sを搬送する間に紙幣Sを表裏反転させることがなく、続けて、第1反転部92aから第2反転部92bを介して第3反転部92cに紙幣Sを搬送している間に、紙幣Sを一度表裏反転させることが可能とされている。
これにより、反転部92は、紙幣Sを合計1度(奇数回)表裏反転させて、連結搬送部70によって搬送されていた際の紙幣Sと異なる表裏の向きで、第3反転部92cの右端部側から紙幣Sを排出することができる。
【0048】
なお、非反転部91における第3非反転部91cの左端部の位置(紙幣Sの排出位置)と、反転部92における第3反転部92cの右端部の位置(紙幣Sの排出位置)とは、同等の高さ位置とされ、且つ左右方向L1に間隔をあけて向かいように配置されている。
【0049】
なお本実施形態では、非反転部91が分岐搬送部90における上端部と下端部との間に位置する部分に接続され、反転部92が分岐搬送部90における下端部に接続されているため、分岐搬送部90と非反転部91との接続位置の方が、分岐搬送部90と反転部92の接続位置よりも上方に位置している。
ただし、この場合に限定されるものではなく、分岐搬送部90と反転部92との接続位置の方が、分岐搬送部90と非反転部91の接続位置よりも上方に位置するように構成しても構わない。
【0050】
分岐搬送部90と非反転部91との接続部分には、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sを、非反転部91或いは反転部92の何れかに搬送するように搬送経路を切り換えるゲート部94が設けられている。
ゲート部94は、分岐搬送部90によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣Sを非反転部91に搬送し、残りの第1裏姿勢N2の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行って振り分けを行う。なお、ゲート部94は制御部51によって作動が制御される。また、制御部51は識別情報に基づいてゲート部94を制御する。
【0051】
これにより、第1の表裏反転部81は、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sのうち、第1表姿勢N1の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第1表姿勢N1を維持したまま非反転部91から排出させる。これに対して第1裏姿勢N2の紙幣Sについては、第1の表裏反転部81は、反転部92による1回の表裏反転によって第1表姿勢N1に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させる。
そのため、第1の表裏反転部81は、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第1表姿勢N1に統一することが可能とされている。
【0052】
(第2の表裏反転部)
第2の表裏反転部82は、上述した第1の表裏反転部81の左側LHに配置され、第1の表裏反転部81と同一構成とされている。従って、第2の表裏反転部82については、詳細な説明を省略し、第1の表裏反転部81とは異なる点について主に説明する。
なお、第2の表裏反転部82のうち、第1の表裏反転部81を構成する各構成部品と同一の部品については、同一の符号を付している。
【0053】
第2の表裏反転部82における分岐振分部93は、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第1の表裏反転部81における分岐振分部93を通過した紙幣S、即ち第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣Sを第2の表裏反転部82側に流すように振り分けを行う。
なお分岐振分部93は、第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣S以外の紙幣Sが連結搬送部70によって搬送されてきた場合には、これらの紙幣Sを通過させ、連結搬送部70の下流側である左端部側に向けて流すように作動する。これにより、第2表姿勢N3の紙幣S及び第2裏姿勢N4の紙幣S以外の紙幣Sが、第2の表裏反転部82まで仮に搬送されてきた場合であっても、これらの紙幣Sをオプション出口71から機外又は退避ポケット部等に排出することができる。
【0054】
また、第2の表裏反転部82におけるゲート部94は、分岐搬送部90によって搬送されてくる紙幣Sのうち、第2表姿勢N3の紙幣Sを非反転部91に搬送し、残りの第2裏姿勢N4の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行って振り分けを行う。
【0055】
これにより、第2の表裏反転部82は、分岐搬送部90によって搬送されてきた紙幣Sのうち、第2表姿勢N3の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第2表姿勢N3を維持したまま非反転部91から排出させる。これに対して第2裏姿勢N4の紙幣Sについては、第2の表裏反転部82は、反転部92による1回の表裏反転によって第2表姿勢N3に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させる。
そのため、第2の表裏反転部82は、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第2表姿勢N3に統一することが可能とされている。
【0056】
図2及び図7に示すように、本実施形態の集積結束装置3は、第1の表裏反転部81によって反転された紙幣Sを集積しながら収納する第1集積収納部100と、第2の表裏反転部82によって反転された紙幣Sを集積しながら収納する第2集積収納部101と、集積された紙幣Sを結束して小束を作製する結束部103と、第1集積収納部100に収納された紙幣S及び第2集積収納部101に収納された紙幣Sを、集積状態を維持しながら結束部103に搬送する集積搬送部104とを更に備えている。
これら第1集積収納部100、第2集積収納部101、結束部103及び集積搬送部104は、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82の下方に位置するように装置ケース60内に設けられている。
【0057】
(第1集積収納部)
第1集積収納部100は、第1の表裏反転部81における分岐搬送部90の下方であって、且つ第3非反転部91cの左端部と第3反転部92cの右端部との間に位置するように配置されている。これにより、第1集積収納部100内には、非反転部91によって2回の表裏反転を行った後に、第3非反転部91cから排出される第1表姿勢N1の紙幣Sが1枚ずつ投入されると共に、反転部92によって1回の表裏反転を行った後に、第3反転部92cから排出される第1表姿勢N1の紙幣Sが1枚ずつ投入される。
【0058】
従って、第1集積収納部100には、非反転部91及び反転部92から第1表姿勢N1に統一された紙幣Sが、例えば交互に連続して投入される。そのため、第1集積収納部100内に、第1表姿勢N1の紙幣Sを集積させた状態で収納することができ、所定枚数(例えば100枚)毎に纏めることができる。
特に、第1集積収納部100内に、所定枚数の紙幣Sを、紙幣Sの横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で集積することができる。この際、先に述べたように、紙幣Sの横幅方向を装置の前後方向L3に一致させ、紙幣Sの縦幅方向を装置の左右方向L1に一致させた状態で、紙幣Sを集積することができる。
【0059】
以下、第1集積収納部100について詳細に説明する。
図8に示すように、第1集積収納部100は、紙幣Sの縦幅方向及び横幅方向のうちの一方向である第1方向と、他方向である第2方向とが予め決められた方向を向くように紙幣Sを集積させるユニットベース部(本発明に係る集積部)110を備えている。本実施形態では、ユニットベース部110は、紙幣Sの横幅方向が装置の前後方向L3を向き、且つ縦幅方向が装置の左右方向L1(つまり搬送方向)を向くように紙幣Sを集積させる。
更に、第1集積収納部100は、ユニットベース部110に集積される紙幣Sを横幅方向に整列させる幅方向整列部120と、ユニットベース部110に集積される紙幣Sを搬送方向に整列させる搬送方向整列部130とを備えている。
【0060】
(第1集積収納部_ユニットベース部)
図8及び図9に示すように、ユニットベース部110は、下方ベース部111と、下方ベース部111の上方に間隔をあけて配置された上方ベース部112とを備えている。これら下方ベース部111及び上方ベース部112は、図示しない支持部材等によって、上下方向L2に間隔をあけた状態で固定されている。
【0061】
下方ベース部111は、例えば板厚の薄い金属プレートとされ、外形形状が左右方向L1よりも前後方向L3に長い平面視矩形状に形成されている。なお、下方ベース部111は、折り曲げ成形によって形成されている。
上方ベース部112は、下方ベース部111と同様に、例えば板厚の薄い金属プレートとされ、外形形状が左右方向L1よりも前後方向L3に長い平面視矩形状に形成されている。ただし、上方ベース部112は、下方ベース部111よりも外形形状が小さくなるように形成されている。また、上方ベース部112は、折り曲げ成形によって形成されていると共に肉抜き凹部等が適宜形成されている。
【0062】
図8に示すように、上方ベース部112の上面のうち、左右方向L1の中央に位置する中央領域が、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sが集積される主集積領域113とされている。従って、主集積領域113を利用して、上方ベース部112上に紙幣Sを集積することが可能となる。
上方ベース部112における左右方向L1の両端部には、該上方ベース部112を上下方向L2に貫通すると共に、左右方向L1の両側に開口する複数の拡張収容孔114がそれぞれ形成されている。複数の拡張収容孔114は、前後方向L3に間隔をあけて配置されるように形成されている。
【0063】
これら複数の拡張収容孔114には、搬送方向整列部130が上方ベース部112に対して左右方向L1に相対移動可能に収容されている。
具体的には、上方ベース部112の右側RHに形成された複数の拡張収容孔114内には、主に、後述する第3整列機構131の第3ストッパ部270及び整列板311等が左右方向L1に移動可能に収容されている。上方ベース部112の左側LHに形成された図示しない複数の拡張収容孔内には、主に、後述する第4整列機構132の第4ストッパ部420等が左右方向L1に移動可能に収容される。
これらについては、後に説明する。
【0064】
上方ベース部112の上面のうち、主集積領域113の左右方向L1の両側に位置し、且つ前後方向L3に隣接する拡張収容孔114同士の間に位置する領域は、拡張集積領域115とされている。
拡張集積領域115は、第3整列機構131及び第4整列機構132が左右方向L1に離間するように移動したときに、主集積領域113に加えて紙幣Sを集積することができる追加領域として使用される。なお、拡張集積領域115は、第3整列機構131及び第4整列機構132が左右方向L1に最大限離間したとしても、紙幣Sを集積することが可能とされている。
【0065】
(第1集積収納部_幅方向整列部)
図8図10に示すように幅方向整列部120は、上方ベース部112を間に挟んで前後方向L3に向かい合うように配置された第1整列機構121及び第2整列機構122を備え、主集積領域113を利用して上方ベース部112上に集積される紙幣Sを横幅方向に整列させる。
第1整列機構121は、上方ベース部112よりも装置の後方BK側に配置されていると共に、上方ベース部112に対して前後方向L3に相対移動可能に設けられている。これに対して、第2整列機構122は、上方ベース部112よりも装置の前方FW側に配置されていると共に、上方ベース部112に対して前後方向L3に相対移動可能に設けられている。
【0066】
(幅方向整列部_第1整列機構)
第1整列機構121について詳細に説明する。
第1整列機構121は、上方ベース部112に対して前後方向L3に移動可能な第1ベース部140と、第1ベース部140を駆動する第1ベース駆動部150と、第1ベース部140に設けられた第1整列部160と、第1整列部160を駆動する第1整列駆動部170とを備えている。
【0067】
第1ベース部140は、例えば板厚の薄い金属プレートとされ、下方ベース部111と上方ベース部112との間に配置されていると共に上方ベース部112よりも後方BK側に配置されている。
第1ベース部140の下面には、下方ベース部111に固定された第1ガイド軸141が内部に挿通され、第1ガイド軸141を直線案内する第1直動案内部142が設けられている。
【0068】
第1ガイド軸141は、下方ベース部111の右側RHに配置され、前後方向L3に沿って直線状に延びる円柱ロッドとされている。第1直動案内部142は、例えばリニアボールベアリング等のガイド部材であって、第1ベース部140の右側RHに配置されると共に、内部に第1ガイド軸141が摺動可能に嵌合されている。これにより、第1ベース部140は、第1ガイド軸141でガイドされながら前後方向L3に沿って高精度な直進性で移動可能に支持されている。
【0069】
第1ベース駆動部150は、第1ベース部140の下面に固定された第1ラックギア151と、第1ベース部140側に設けられ、第1ラックギア151と噛み合う第1ピニオンギア152と、第1ピニオンギア152を駆動する第1ベース駆動モータ153とを備えている。
第1ラックギア151は、前後方向L3に沿って延びる直線状に形成され、第1ベース部140の左側LHに配置され、且つラック歯を右側RHに向けた状態で第1ベース部140の下面に固定されている。第1ベース駆動モータ153は、下方ベース部111の下面側に固定され、その駆動軸は下方ベースの上面側に突出している。第1ピニオンギア152は、第1ベース駆動モータ153の駆動軸に取り付けられている。
【0070】
第1ベース駆動モータ153は、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて第1ピニオンギア152を正逆回転させる。これにより、第1ラックギア151を介して第1ベース部140を第1ガイド軸141でガイドしながら前後方向L3に移動させることができる。
このように、第1ベース部140を前後方向L3に移動させることができるので、紙幣Sのサイズ(横幅)に応じて第1ベース部140を移動させることで、各種のサイズの紙幣Sに対応することが可能となる。
【0071】
第1整列部160は、第1アーム部161及び第1平面当接部162を有し、平面視Z形状(クランク状)に形成されている。第1整列部160は、第1ベース部140の上面側に配置されていると共に、ユニットベース部110の上方ベース部112よりも上方に位置するように配置されている。第1アーム部161は、第1ベース部140の上面に回転可能に立設された第1整列軸163に取り付けられている。これにより、第1整列部160は、第1整列軸163回りに回転可能とされている。なお、第1整列軸163は、第1ラックギア151の後方BK側に位置するように配置されている。
【0072】
第1整列部160は、図10に示すように、非反転部91及び反転部92から排出された紙幣Sが上方ベース部112上に集積されるまでに通過する紙幣Sの進入領域よりも、第1平面当接部162が後方BK側に位置し、且つ上方ベース部112上に集積される紙幣Sよりも後方BK側に離間した第1退避位置P1と、図11に示すように、第1平面当接部162が上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅方向の一端縁と接触する第1整列位置K1との間を、第1整列軸163回りに回転可能(移動可能)とされている。
【0073】
図9及び図10に示すように、第1平面当接部162は、第1アーム部161の先端に設けられており、第1アーム部161よりも幅広且つ平坦な平面状に形成されている。第1平面当接部162は、下端部が上方ベース部112の上面と同等の高さに位置し、且つ上端部が上方ベース部112上に紙幣Sが所定枚数(例えば100枚)集積されたときの紙幣S全体の高さよりも上方に位置するように形成されている。
【0074】
特に第1平面当接部162は、第1整列部160が第1整列位置K1に位置したときに、図11に示すように、紙幣Sの縦幅方向(搬送方向)に沿って略平行となるように設けられている。これにより、第1平面当接部162は、紙幣Sの横幅方向の一端縁に対して例えば線接触、面接触することが可能とされている。
【0075】
なお、上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅サイズに応じて第1ベース部140を移動させることができるので、第1整列軸163回りの第1整列部160の回転角度は、集積される紙幣Sの横幅サイズに関わらず一定とすることができる。
【0076】
図9及び図10に示すように、第1整列駆動部170は、第1整列軸163に一体に設けられた第1整列ギア171と、第1整列ギア171に噛み合う第1モータギア172と、第1モータギア172を駆動する第1整列駆動モータ173とを備えている。
第1整列ギア171は、歯部を右側RHに向けた平面視扇形状に形成され、第1ベース部140の上面側に配置されている。第1整列駆動モータ173は、第1ベース部140の下面側に固定され、その駆動軸は第1ベース部140の上面側に突出している。第1モータギア172は、第1整列駆動モータ173の駆動軸に取り付けられている。
【0077】
第1整列駆動モータ173は、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて第1整列ギア171を正逆回転させる。これにより、第1整列ギア171を介して第1整列軸163を回転させることができ、第1整列部160を第1退避位置P1と第1整列位置K1との間で往復移動させることが可能とされている。
【0078】
(幅方向整列部_第2整列機構)
第2整列機構122は、上方ベース部112よりも装置の前方FW側に配置され、上方ベース部112を挟んで上述した第1整列機構121に対して前後方向L3に向かい合うように配置されている。本実施形態の第2整列機構122は、第1整列機構121と同一構成とされているうえ、第1整列機構121に対して上方ベース部112の基準位置O(図10参照)、即ち前後方向L3及び左右方向L1の中心を基点として180度回転させた点対称となるように対称配置されている。
従って、第2整列機構122については、第1整列機構121と同じ構成部品について、名称に「第1」を代えて「第2」を付し、簡略に説明する。
【0079】
第2整列機構122は、上方ベース部112に対して前後方向L3に移動可能な第2ベース部180と、第2ベース部180を駆動する第2ベース駆動部190と、第2ベース部180に設けられた第2整列部200と、第2整列部200を駆動する第2整列駆動部210とを備えている。
【0080】
第2ベース部180は、上方ベース部112よりも前方FW側に配置されている。第2ベース部180の下面には、下方ベース部111に固定された第2ガイド軸181を案内する第2直動案内部182が設けられている。なお、第2ガイド軸181は下方ベース部111の左側LHに配置され、第2直動案内部182は第2ベース部180の左側LHに配置されている。これにより、第2ベース部180は、第2ガイド軸181でガイドされながら前後方向L3に沿って高精度な直進性で移動可能に支持されている。
【0081】
第2ベース駆動部190は、第2ベース部180の下面に固定された第2ラックギア191と、第2ベース部180に設けられ、第2ラックギア191と噛み合う第2ピニオンギア192と、第2ピニオンギア192を駆動する第2ベース駆動モータ193とを備えている。
第2ラックギア191は、第2ベース部180の右側RHに配置されている。第2ピニオンギア192は、第2ベース駆動モータ193の駆動軸に取り付けられている。第2ベース駆動モータ193は、制御部51からの信号に基づいて第2ピニオンギア192を正逆回転させる。これにより、第2ラックギア191を介して第2ベース部180を第2ガイド軸181でガイドしながら前後方向L3に移動させることが可能とされている。
【0082】
第2整列部200は、第2アーム部201及び第2平面当接部202を有し、第2ベース部180の上面側に配置されていると共に、ユニットベース部110の上方ベース部112よりも上方に位置するように配置されている。第2アーム部201は、第2ベース部180の上面に回転可能に立設された第2整列軸203に取り付けられている。これにより、第2整列部200は、第2整列軸203回りに回転可能とされている。なお、第2整列軸203は、第2ラックギア191の前方FW側に位置するように配置されている。
【0083】
第2整列部200は、図10に示すように、非反転部91及び反転部92から排出された紙幣Sが上方ベース部112上に集積されるまでに通過する紙幣Sの進入領域よりも、第2平面当接部202が前方FW側に位置し、且つ上方ベース部112上に集積される紙幣Sよりも前方FW側に離間した第2退避位置P2と、図11に示すように、第2平面当接部202が上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅方向の他端縁と接触する第2整列位置K2との間を、第2整列軸203回りに回転可能(移動可能)とされている。
【0084】
図9及び図10に示すように、第2平面当接部202は、第2アーム部201の先端に設けられており、下端部が上方ベース部112の上面と同等の高さに位置し、且つ上端部が上方ベース部112上に紙幣Sが所定枚数(例えば100枚)集積されたときの紙幣S全体の高さよりも上方に位置するように形成されている。
【0085】
特に第2平面当接部202は、第2整列部200が第2整列位置K2に位置したときに、図11に示すように、紙幣Sの縦幅方向(搬送方向)に沿って略平行となるように設けられている。これにより、第2平面当接部202は、紙幣Sの横幅方向の他端縁に対して例えば線接触、面接触することが可能とされている。
【0086】
図9及び図10に示すように、第2整列駆動部210は、第2整列軸203に一体に設けられた第2整列ギア211と、第2整列ギア211に噛み合う第2モータギア212と、第2モータギア212を駆動する第2整列駆動モータ213とを備えている。
第2整列ギア211は、歯部を左側LHに向けた平面視扇形状に形成され、第2ベース部180の上面側に配置されている。第2モータギア212は、第2整列駆動モータ213の駆動軸に取り付けられている。
【0087】
第2整列駆動モータ213は、制御部51からの信号に基づいて第2整列ギア211を正逆回転させる。これにより、第2整列ギア211を介して第2整列軸203を回転させることができ、第2整列部200を第2退避位置P2と第2整列位置K2との間で往復移動させることが可能とされている。
【0088】
(幅方向整列部の制御)
制御部51は、上述のように構成された第1整列機構121及び第2整列機構122を具備する幅方向整列部120の作動を制御する。なお制御部51は、各種センサ(例えば光電センサ等の非接触センサや、接触センサ等)に基づいて紙幣Sの検出や、第1整列機構121及び第2整列機構122の作動位置等を検出しながら、適切に制御を行う。
【0089】
特に制御部51は、操作表示部50によって予め設定された紙幣Sの金種に応じて、第1ベース部140及び第2ベース部180を前後方向L3に沿って移動させ、第1整列部160と第2整列部200との間隔を調整する。これにより、紙幣Sの横幅に応じて、第1整列部160と第2整列部200とが最適な間隔で前後方向L3に向い合せに配置することができる。
より具体的には、制御部51は、第1整列部160及び第2整列部200を第1整列位置K1及び第2整列位置K2に位置させたときに、第1平面当接部162と第2平面当接部202との間の前後方向L3の間隔が、上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅に一致するように、第1ベース部140及び第2ベース部180を前後方向L3に沿って移動させるように制御する。
これにより、図11に示すように横幅が小さい紙幣Sの場合や、図12に示すように横幅が大きい紙幣Sの場合であっても柔軟に対応することができる。
【0090】
その後、制御部51は第1整列部160及び第2整列部200を、第1退避位置P1及び第2退避位置P2から第1整列位置K1及び第2整列位置K2にそれぞれ回転させ、上方ベース部112に集積された紙幣Sを横幅方向の両側から叩打することで、紙幣Sを横幅方向に整列させるように制御する。
この際、本実施形態では、制御部51は第1整列部160及び第2整列部200を同時に回転させて、第1退避位置P1及び第2退避位置P2から第1整列位置K1及び第2整列位置K2に位置させるように制御する。
【0091】
(第1集積収納部_搬送方向整列部)
図8に示すように搬送方向整列部130は、上方ベース部112を間に挟んで左右方向L1に向かい合うように配置された第3整列機構131及び第4整列機構132を備え、主に、主集積領域113を利用して上方ベース部112上に集積される紙幣Sを搬送方向(縦幅方向)に整列させる。
第3整列機構131は、上方ベース部112よりも装置の右側RHに配置されていると共に、上方ベース部112に対して左右方向L1に相対移動可能に設けられている。これに対して、第4整列機構132は、上方ベース部112よりも装置の左側LHに配置されていると共に、上方ベース部112に対して左右方向L1に相対移動可能に設けられている。
【0092】
(搬送方向整列部_第3整列機構)
図8図13及び図14に示すように、第3整列機構131は、上方ベース部112に対して左右方向L1に移動可能な第3ベース部250と、第3ベース部250を駆動する第3ベース駆動部260と、第3ベース部250に設けられた第3ストッパ部270と、第3ベース部250に設けられた第3搬送部(本発明に係る第3集積搬送部)280と、第3整列部310とを備えている。
【0093】
第3ベース部250は、例えば板厚の薄い金属プレートとされ、上方ベース部112よりも上方に配置されていると共に上方ベース部112よりも右側RHに配置されている。第3ベース部250は、前後方向L3に向かい合う前壁251及び後壁252と、前壁251及び後壁252を前後方向L3に連結する右壁253とを有している。前壁251及び後壁252は、上方ベース部112よりも前後方向L3の外側に配置されている。更に右壁253は、上方ベース部112よりも右側RHに配置されている。
【0094】
第3ベース部250の前壁251には、装置ケース60内に固定されたガイド軸255が内部に挿通され、ガイド軸255を直線案内する第3直動案内部256が設けられている。
ガイド軸255は、前壁251よりも前方FW側に配置され、左右方向L1に沿って直線状に延びる円柱ロッドとされている。第3直動案内部256は、例えばリニアボールベアリング等のガイド部材であって、前壁251に配置されると共に、内部にガイド軸255が摺動可能に嵌合されている。これにより、第3ベース部250は、ガイド軸255でガイドされながら左右方向L1に沿って高精度な直進性で移動可能に支持されている。
【0095】
第3ベース部250の右壁253には、左側LHに向けて突出すると共に、上方ベース部112の右端部に形成された複数の拡張収容孔114に対応して前後方向L3に間隔をあけて配置された複数のストッパ取付部257が形成されている。
複数のストッパ取付部257は、複数の拡張収容孔114のそれぞれに対して右側RHから入り込んでいる。そして複数のストッパ取付部257のそれぞれに第3ストッパ部270が固定されている。第3ストッパ部270は、上下方向L2に延びる縦長に形成され、反転部92側から排出された紙幣Sを受け止めて、紙幣Sを上方ベース部112上に向けてガイドする役割を担っている。
【0096】
図示の例では、第3ベース部250に4つの第3ストッパ部270が設けられている場合を例にしている。これら第3ストッパ部270は、第3ベース部250の左右方向L1への移動に伴って、拡張収容孔114内を移動可能とされている。
【0097】
第3ベース駆動部260は、第3ベース部250の前壁251に固定された第3ラックギア261と、第3ラックギア261と噛み合う第3ピニオンギア262と、第3ピニオンギア262を直接的、又はベース中継ギア等を介して間接的に駆動する第3ベース駆動モータ263とを備えている。
【0098】
第3ラックギア261は、左右方向L1に沿って延びる直線状に形成され、ラック歯を下方に向けた状態で右壁253に固定されている。第3ベース駆動モータ263は、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて第3ピニオンギア262を正逆回転させる。これにより、第3ラックギア261を介して第3ベース部250をガイド軸255でガイドしながら左右方向L1に移動させることが可能とされている。
【0099】
このように、第3ベース部250を左右方向L1に移動させることができるので、紙幣Sのサイズ(縦幅)に応じて第3ベース部250を移動させることで、各種のサイズの紙幣Sに対応することが可能となる。
【0100】
第3搬送部280は、第3ベース部250の上部に設けられ、非反転部91から排出された紙幣Sを受け取ると共に上方ベース部112に投入する。第3搬送部280は、第3搬送路281と、第3搬送ローラ282と、第3羽根車283と、第3搬送駆動部285とを備えている。
【0101】
第3搬送路281は、図14に示すように上下方向L2に隙間をあけて配置された第3上部搬送ガイド281a及び第3下部搬送ガイド281bを有している。
【0102】
図8及び図13に示すように、第3下部搬送ガイド281bは、第3ベース部250における上部側に配置され、前壁251と後壁252との間に架け渡されるように固定されている。第3下部搬送ガイド281bは、左右方向L1よりも前後方向L3に長い平面視矩形状に形成され、上面が紙幣Sを案内する案内面とされている。
第3下部搬送ガイド281bには、該第3下部搬送ガイド281bを上下方向L2に貫通すると共に、左側LHに開口する複数のスリット孔290が形成されている。スリット孔290は、左右方向L1に沿って延びる横長状に形成され、前後方向L3に間隔をあけて複数形成されている。
【0103】
第3下部搬送ガイド281bの右端部には、右側RHに向けて延びるように接合突部291が形成されている。接合突部291は、直線状に延びるように形成されていると共に、前後方向L3に間隔をあけて複数形成されている。これにより、複数の接合突部291は、櫛歯状に形成されている。また、前後方向L3に隣り合う接合突部291同士の間の隙間は、右側RHに開口した接合収容部292とされている。
【0104】
ここで、非反転部91を構成する第3非反転部91cの左端部(排出口)には、図8に示すように、上述した接合突部291及び接合収容部292に対応して、これら接合突部291及び接合収容部292に組み合わされる接合突部91d及び接合収容部91eが形成されている。
【0105】
第3非反転部91c側の接合突部91dは、左側LHに向けて直線状に延びるように形成されていると共に、第3下部搬送ガイド281b側の接合収容部292内に入り込むように櫛歯状に複数形成されている。従って、第3非反転部91c側の接合突部91dは、第3下部搬送ガイド281b側の接合収容部292内に左右方向L1に移動可能に収容されている。
第3非反転部91c側の接合収容部91eは、前後方向L3に隣り合う接合突部91d同士の間に形成され、第3下部搬送ガイド281b側の接合突部291が入り込み可能とされている。従って、第3下部搬送ガイド281b側の接合突部291は、第3非反転部91c側の接合収容部91e内に左右方向L1に移動可能に収容されている。
【0106】
上述のように、第3下部搬送ガイド281b側の接合突部291及び接合収容部292と、第3非反転部91c側の接合突部91d及び接合収容部91eとを互いに組み合わせることで、第3整列機構131が搬送方向である左右方向L1に移動したとしても、該移動の影響をうけることなく第3下部搬送ガイド281bと第3非反転部91cとの連結状態を安定に維持することができる。従って、第3非反転部91cから第3下部搬送ガイド281bの上面に紙幣Sを適切に受け渡すことが可能とされている。
【0107】
図14に示すように、第3上部搬送ガイド281aは、左右方向L1よりも前後方向L3に長い平面視矩形状に形成されていると共に、第3下部搬送ガイド281bの全体を上方から覆うように配置され、第3ベース部250の前壁251と後壁252との間に架け渡されるように固定されている。また、第3上部搬送ガイド281aの下面が、紙幣Sを案内する案内面とされている。これにより、非反転部91から搬送されてきた紙幣Sを、第3下部搬送ガイド281bの上面と第3上部搬送ガイド281aの下面との間を通じて上方ベース部112に向けて搬送することができる。
【0108】
なお、第3上部搬送ガイド281aの右端部にも、第3下部搬送ガイド281bと同様に複数の接合突部及び複数の接合収容部が形成されており、これらを利用して第3非反転部91cに組み合わされている。
【0109】
更に第3上部搬送ガイド281aは、第3下部搬送ガイド281bよりも左側LHに向けて突出していると共に、上方ベース部112側に向かう下方に向けて延びるように斜め下方に傾斜している。これにより、非反転部91から搬送されてきた紙幣Sを確実にガイドしながら、上方ベース部112に向けて落とし込むように紙幣Sを搬送して、集積させることができる。
【0110】
図8及び図13に示すように、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283は、第3下部搬送ガイド281bに形成されたスリット孔290内に配置されている。図示の例では、2つの第3搬送ローラ282及び5つの第3羽根車283を設けた場合を例にしている。ただし、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283の数は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0111】
第3搬送ローラ282及び第3羽根車283は、第3ベース部250の前壁251と後壁252との間に前後方向L3に沿って配置された第3搬送軸284に取り付けられている。第3搬送軸284は、第3下部搬送ガイド281bのほぼ直下に配置され、前壁251及び後壁252に回転可能に軸支されている。これにより、第3搬送軸284を回転させることで、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283を回転させることができ、紙幣Sを搬送することができる。
【0112】
第3搬送駆動部285は、第3搬送軸284に設けられた第3搬送ギア300と、第3搬送ギア300に噛み合う第3中継ギア301と、第3中継ギア301を駆動する第3搬送駆動モータ302とを備えている。
第3搬送軸284は、第3ベース部250の後壁252よりも後方BK側に突出しており、その後端部に第3搬送ギア300が固定されている。第3中継ギア301は、第3ベース部250の後壁252よりも後方BK側に配置され、第3搬送駆動モータ302の駆動軸に固定されている。
【0113】
第3搬送駆動モータ302は、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて第3中継ギア301及び第3搬送ギア300を介して第3搬送軸284を回転させる。これにより、第3搬送軸284と共に第3搬送ローラ282及び第3羽根車283を回転させることができ、非反転部91から第3上部搬送ガイド281aと第3下部搬送ガイド281bとの間に搬送された紙幣Sを、上方ベース部112に向けて搬送することが可能となる。
【0114】
第3整列部310は、第3ベース部250に設けられた整列板311と、第3搬送ローラ282に連動して整列板311を駆動する整列板駆動部330とを備えている。
【0115】
図13に示すように、整列板311は、上下方向L2に延びる縦長状に形成され、第3ストッパ部270に対して左右方向L1に並ぶように配置されている。図示の例では、整列板311は、2つの第3ストッパ部270に隣接するように2つ配置されている。ただし、整列板311の数は2つに限定されるものではなく、少なくとも1つ配置されていれば良い。
【0116】
整列板311は、上方ベース部112側に向いた平坦な接触面が形成された縦長の接触部312と、接触部312に一体に形成され、第3ストッパ部270よりも右側RH及び下方に向けて延びた整列板本体313とを備えている。接触部312は、紙幣Sのうち縦幅方向に位置する一端縁に接触可能とされている。
図13及び図15に示すように、整列板本体313には、該整列板本体313を前後方向L3に貫通する受け孔314が形成されている。受け孔314は、左右方向L1よりも上下方向L2に長い縦長状に形成されている。
【0117】
整列板本体313の下端部は、第3ベース部250に軸支された整列軸320に回転可能に取り付けられている。整列軸320は、前後方向L3に沿って配置され、第3ベース部250の後壁252に一体的に形成された支持片321に両側が軸支されている。
【0118】
従って、整列板311は、整列軸320を中心として左右方向L1に揺動可能とされている。
具体的には、整列板311は、図13及び図15に示すように、接触部312がストッパ部よりも左側LHに飛び出して、上方ベース部112に集積される紙幣Sの縦幅方向の一端縁と接触する第3整列位置K3と、図16に示すように、接触部312がストッパ部よりも右側RHに後退して、上方ベース部112に集積される紙幣Sから離間した第3退避位置P3との間を揺動可能(移動可能)とされている。
なお、整列板311は、上方ベース部112に設けられた拡張収容孔114内に第3ストッパ部270と共に収容されている。
【0119】
図13及び図15に示すように、整列板駆動部330は、整列板駆動軸331と、偏心カム340と、整列板駆動伝達部350とを備えている。
整列板駆動軸331は、第3搬送軸284の下方、且つ整列軸320の上方に位置し、第3ベース部250の前壁251と後壁252との間に前後方向L3に沿って配置されている。また整列板駆動軸331は、整列板311に形成された受け孔314内を挿通した状態で前壁251及び後壁252に回転可能に軸支されている。なお、整列板駆動軸331は、第3ベース部250の後壁252よりも後方BK側に突出している。
【0120】
偏心カム340は、整列板311に形成された縦長の受け孔314内に配置され、受け孔314の内面に接触する外径を有する偏心円板カムとされている。偏心カム340には、該偏心カム340を前後方向L3に貫通する偏心孔341が形成されている。偏心孔341は、偏心カム340の中心から偏心した位置に形成されている。これにより、偏心カム340は、周方向に肉厚(半径方向の厚み)が異なるように形成されている。
【0121】
偏心カム340は、偏心孔341内に整列板駆動軸331が挿通され、該整列板駆動軸331に一体に組み合わされている。そのため、偏心カム340は、整列板駆動軸331の回転に伴って、整列板駆動軸331回りを偏心回転する。従って、偏心カム340の偏心回転を利用して、第3整列位置K3と第3退避位置P3との間で整列板311を揺動させることが可能となる。
具体的には、整列板駆動軸331の回転に伴う偏心カム340の偏心回転によって、図15に示すように、最大肉厚部342が受け孔314の内面のうち接触部312側に位置する部分に接触することで、整列板311を第3整列位置K3に位置させることができる。その反対に、図16に示すように、整列板駆動軸331の回転に伴う偏心カム340の偏心回転によって、最大肉厚部342が受け孔314の内面のうち接触部312とは反対側に位置する部分に接触することで、整列板311を第3退避位置P3に位置させることができる。
【0122】
図13に示すように、整列板駆動伝達部350は、搬送分岐ギア351と、整列板ギア352と、整列板中継ギア353とを有している。
搬送分岐ギア351は、第3搬送軸284に設けられ、第3搬送ギア300と第3ベース部250の後壁252との間に配置されている。これにより、搬送分岐ギア351は、第3搬送軸284、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283と共に回転する。
整列板ギア352は、第3ベース部250の後壁252よりも後方BK側に突出した後端部に設けられている。
整列板中継ギア353は、第3搬送ギア300と搬送分岐ギア351との間に配置され、第3ベース部250の後壁252に軸支されている。整列板中継ギア353は、第3搬送ギア300及び搬送分岐ギア351のそれぞれに噛み合っている。
【0123】
これにより、整列板中継ギア353は、搬送分岐ギア351の回転力を整列板ギア352に伝達することができ、第3搬送軸284、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283の回転に連動させて、整列板駆動軸331及び偏心カム340を回転させることができる。従って、第3搬送ローラ282等の回転に連動させて、整列板311を第3整列位置K3と第3退避位置P3との間で連続的に揺動させることができる。
【0124】
(幅方向整列部_第4整列機構)
図8に示すように、第4整列機構132は、上方ベース部112よりも装置の左側LHに配置され、上方ベース部112を挟んで上述した第3整列機構131に対して左右方向L1に向かい合うように配置されている。本実施形態の第4整列機構132は、基本的に第3整列機構131と同一構成とされているうえ、第3整列機構131に対して上方から見て線対称(左右対称)に配置されている。
従って、第4整列機構132については、第3整列機構131と同じ構成部品について、名称に「第3」に代えて「第4」を付し、簡略に説明する。
ただし、第4整列機構132は、第3整列部310に相当する構成要素を具備していない。
【0125】
図8及び図14に示すように、第4整列機構132は、上方ベース部112に対して左右方向L1に移動可能な第4ベース部400と、第4ベース部400を駆動する第4ベース駆動部410と、第4ベース部400に設けられた第4ストッパ部420と、第4ベース部400に設けられた第4搬送部(本発明に係る第4集積搬送部)430とを備えている。
【0126】
第4ベース部400は、前壁401及び後壁402と、前壁401及び後壁402を前後方向L3に連結する左壁403とを有している。左壁403には、該左壁403を左右方向L1に貫通すると共に、上方ベース部112の上面に集積された複数枚の紙幣Sを、集積状態を維持したまま外部(左側LH)に排出するための紙幣排出口404が形成されている。
【0127】
第4ベース部400の前壁401には、装置ケース60内に固定されたガイド軸255が内部に挿通され、ガイド軸255を直線案内する第4直動案内部406が設けられている。これにより、第4ベース部400は、ガイド軸255でガイドされながら左右方向L1に沿って高精度な直進性で移動可能に支持されている。
なお、ガイド軸255は、第3ベース部250と共通のガイド軸とされている。ただしこの場合に限定されるものではなく、別体のガイド軸を利用して第3ベース部250及び第4ベース部400をそれぞれガイドしても構わない。
【0128】
第4ベース駆動部410は、第4ベース部400の前壁401に固定された第4ラックギア411と、第4ラックギア411と噛み合う第4ピニオンギア412と、第4ピニオンギア412を直接的、又はベース中継ギア等を介して間接的に駆動する第4ベース駆動モータ413とを備えている。
第4ベース駆動モータ413は、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいて第4ピニオンギア412を正逆回転させる。これにより、第4ラックギア411を介して第4ベース部400をガイド軸255でガイドしながら左右方向L1に移動させることが可能とされている。
【0129】
従って、第4ベース部400を左右方向L1に移動させることができるので、紙幣Sのサイズ(縦幅)に応じて第4ベース部400を移動させることで、各種のサイズの紙幣Sに対応することが可能となる。
【0130】
第4搬送部430は、第4ベース部400の上部に設けられ、反転部92から排出された紙幣Sを受け取ると共に上方ベース部112に投入する。第4搬送部430は、第4搬送路431と、第4搬送ローラ432と、第4羽根車433と、第4搬送駆動部435とを備えている。
第4搬送路431は、図14に示すように上下方向L2に隙間をあけて配置された第4上部搬送ガイド431a及び第4下部搬送ガイド431bを有している。
【0131】
図8に示すように、第4下部搬送ガイド431bには、該第4下部搬送ガイド431bを上下方向L2に貫通すると共に、右側RHに開口する複数のスリット孔440が形成されている。第4下部搬送ガイド431bの左端部には、左側LHに向けて複数の接合突部441が櫛歯状に形成されている。前後方向L3に隣り合う接合突部441同士の間の隙間は、左側LHに開口した接合収容部442とされている。
【0132】
ここで、反転部92を構成する第3反転部92cの右端部(排出口)には、上述した接合突部441及び接合収容部442に対応して、これら接合突部441及び接合収容部442に組み合わされる接合突部92d及び接合収容部92eが形成されている。従って、第4整列機構132が搬送方向である左右方向L1に移動したとしても、該移動の影響をうけることなく第4下部搬送ガイド431bと第3反転部92cとの連結状態を安定に維持することができ、第3反転部92cから第4下部搬送ガイド431bの上面に紙幣Sを適切に受け渡すことが可能とされている。
【0133】
第4搬送ローラ432及び第4羽根車433は、第4下部搬送ガイド431bに形成されたスリット孔440内に配置され、第4ベース部400の前壁401と後壁402との間に配置された第4搬送軸434に取り付けられている。これにより、第4搬送軸434を回転させることで、第4搬送ローラ432及び第4羽根車433を回転させることができ、紙幣Sを搬送することができる。
【0134】
第4搬送駆動部435は、第4搬送軸434に設けられた第4搬送ギア450と、第4搬送ギア450に噛み合う第4中継ギア451と、第4中継ギア451を駆動する図示しない第4搬送駆動モータとを備えている。
第4搬送駆動モータは、制御部51からの信号に基づいて第4中継ギア451及び第4搬送ギア450を介して第4搬送軸434を回転させる。これにより、第4搬送軸434と共に第4搬送ローラ432及び第4羽根車433を回転させることができ、反転部92から第4上部搬送ガイド431aと第4下部搬送ガイド431bとの間に搬送された紙幣Sを、上方ベース部112に向けて搬送することが可能となる。
【0135】
ところで、第4ベース部400の前壁401と後壁402との間には、前後方向L3に沿って延びるストッパ軸460が軸支されている。ストッパ軸460は、第4搬送軸434の下方に配置されている。
ストッパ軸460には、該ストッパ軸460に取り付けられた取付部461を介して、複数の第4ストッパ部420が固定されている。複数の第4ストッパ部420は、前後方向L3に間隔をあけて配置され、上方ベース部112に形成された複数の拡張収容孔114のそれぞれに対して左側LHから入り込んでいる。これら第4ストッパ部420は、上下方向L2に延びる縦長に形成され、非反転部91側から排出された紙幣Sを受け止めて、紙幣Sを上方ベース部112上に向けてガイドする役割を担っている。
【0136】
なお、第4ストッパ部420は、例えば第3ストッパ部270と同様に4つ設けられている。ただし、第4ストッパ部420の数は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0137】
第4ストッパ部420が固定されるストッパ軸460は、図示しない第4ストッパ駆動部によって回転駆動される。第4ストッパ駆動部は、ストッパ軸460に設けられたストッパギアと、ストッパギアを直接的又はストッパ中継ギア等を介して間接的に駆動させるストッパ駆動モータとを有している。
ストッパ駆動モータは、例えばステッピングモータとされ、制御部51によって作動が制御されると共に、制御部51からの信号に基づいてストッパギアを正逆回転させる。これにより、ストッパ軸460を回転させることで、ストッパ軸460を中心として第4ストッパ部420を中心に回動させることが可能とされている。
【0138】
具体的には、第4ストッパが紙幣排出口404を閉塞し、非反転部91側から排出された紙幣Sを受け止める閉塞位置P4(図14参照)と、紙幣排出口404を開放して上方ベース部112に集積された紙幣Sを外部に排出可能とさせる開放位置との間で第4ストッパを回動させることが可能とされている。
なお、第4ストッパ部420は、閉塞位置P4に位置しているときに、非反転部91側から排出された紙幣Sを受け止め、上方ベース部112に紙幣Sをガイドする。
【0139】
(搬送方向整列部の制御)
制御部51は、上述のように構成された第3整列機構131及び第4整列機構132を具備する搬送方向整列部130の作動を制御する。なお、制御部51は、各種センサ(例えば光電センサ等の非接触センサや、接触センサ等)に基づいて紙幣Sの検出や、第3整列機構131及び第4整列機構132の作動位置等を検出しながら、適切に制御を行う。
【0140】
特に制御部51は、操作表示部50によって予め設定された紙幣Sの金種に応じて、第3ベース部250及び第3ベース部250を左右方向L1に沿って移動させ、第3ストッパ部270と第4ストッパ部420との間隔を調整する。これにより、紙幣Sの縦幅に応じて、第3ストッパ部270と第4ストッパ部420とを最適な間隔で左右方向L1に向い合せに配置することができる。
これにより、図14に示すように縦幅が小さい紙幣Sの場合や、図17に示すように縦幅が大きい紙幣Sの場合であっても柔軟に対応することができる。特に、図17に示す場合には、主集積領域113に加え、拡張集積領域115を利用して紙幣Sを集積することができる。
【0141】
更に制御部51は、第4ストッパ部420を閉塞位置P4に位置させた状態で、整列板311を第3退避位置P3から第3整列位置K3に揺動させることで、上方ベース部112に集積された紙幣Sを縦幅方向の一方側から叩打することで、第4ストッパ部420との間で紙幣Sを縦幅方向に整列させるように制御する。
【0142】
(第2集積収納部)
図2に示すように、第2集積収納部101は、集積搬送部104を挟んで上述した第1集積収納部100の左側LHに配置され、第1集積収納部100と同一構成とされている。従って、第2集積収納部101については、詳細な説明を省略する。
ただし、第2集積収納部101は、集積搬送部104の左側LHに配置されている関係上、紙幣排出口404は右側RHに開口している。
【0143】
(集積搬送部)
図2に示すように、集積搬送部104は、上述のように構成された第1集積収納部100と第2集積収納部101との間に配置されている。これにより、第1集積収納部100、第2集積収納部101及び集積搬送部104は、左右方向L1に並ぶように配置されている。
集積搬送部104は、例えば集積された紙幣Sを上下方向L2に挟持可能な第1チャック部材500を有している。第1チャック部材500は、集積された紙幣Sの上方に位置する第1チャック部501と、集積された紙幣Sの下方に位置する第2チャック部502とを備えている。第1チャック部501及び第2チャック部502は、上下方向L2に相対的に接近離間可能とされ、集積された紙幣Sの姿勢を維持したまま上下方向L2に挟持することが可能とされている。
【0144】
このように構成された第1チャック部材500は、第1集積収納部100と第2集積収納部101との間を左右方向L1に沿って移動可能とされ、第1集積収納部100に収納された集積状態の紙幣Sを、紙幣排出口404を通じて取り出すことや、第2集積収納部101に収納された集積状態の紙幣Sを、紙幣排出口404を通じて取り出すことが可能とされている。
更に第1チャック部材500は、第1集積収納部100及び第2集積収納部101から取り出した集積状態の紙幣Sを、結束部103の第2チャック部材510に受け渡すことが可能とされている。
【0145】
(結束部)
結束部103は、集積搬送部104の下方に配置され、集積搬送部104の第1チャック部材500から集積状態の紙幣Sを受け取り可能な第2チャック部材510を備えている。
第2チャック部材510は、集積された紙幣Sの上方に位置する第1チャック部511と、集積された紙幣Sの下方に位置する第2チャック部512とを備えている。第1チャック部511及び第2チャック部512は、上下方向L2に相対的に接近離間可能とされ、集積された紙幣Sの姿勢を維持したまま上下方向L2に挟持することが可能とされている。
【0146】
結束部103は、更に第2チャック部材510によって挟持された集積状態の紙幣Sを、図示しない結束テープで結束することにより、複数枚の紙幣Sが1つにまとまった小束を作製する結束機構部520を備えている。
結束部103は、更に作製した小束を受け入れる例えば引き出し式の小束排出部521を有している。小束排出部521は、図1に示すように装置ケース60の前面に形成され、操作者が引き出し操作することが可能とされている。これにより、結束部103によって作製された小束を、小束排出部521を通じて取り出すことが可能とされている。
ただし、小束排出部521は、引き出し式に限定されるものではなく、開口部で設けられても構わない。これにより、結束部103によって作製された小束を、小束排出部521を通じて装置外に排出することが可能とされている。
【0147】
<紙幣処理装置の作用>
次に、上述のように構成された紙幣処理装置1を利用して紙幣Sの処理を行って、例えば一万円券の紙幣Sの小束を作製する場合について説明する。
【0148】
はじめに初期設定として、操作者は作製する小束の金種及び小束にするときの紙幣Sの枚数等を操作表示部50に入力すると共に、作製する小束の個数等を入力する。
これらの初期設定を行った後、図1及び図2に示すように操作者は識別計数装置2における投入部11に一万円券の紙幣Sを集積させた状態で投入する。なお、この投入時においては、紙幣Sの表裏の向きは4つの表裏パターン(第1表姿勢N1、第1裏姿勢N2、第2表姿勢N3、第2裏姿勢N4)が混在している。
【0149】
投入部11に紙幣Sがセットされると、図2に示すように、繰出ローラ14及び取込ローラ15によって紙幣Sが1枚ずつ取り込まれ、識別搬送部20に受け渡される。これにより、第1識別搬送部21及び第2識別搬送部22によって、紙幣Sを搬送することができる。
この間、識別部30は、搬送された紙幣Sの計数を行うと共に、紙幣Sの金種の識別、表裏パターン等の識別を行い、紙幣Sの識別情報を制御部51に出力する。
【0150】
制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入可と判断し、且つ、搬送された紙幣Sが予め設定された金種の紙幣Sである場合には、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22から機外向搬送部40を介して集積結束装置3に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入不可と判断した場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
更に、制御部51は、識別部30から出力された識別情報に基づいて、搬送された紙幣Sを受入可と判断しても、搬送された紙幣Sが予め設定された金種以外の金種の紙幣Sである場合には、例えば搬送された紙幣Sが一万円券とは異なる千円券等である場合には、搬送された紙幣Sをリジェクト対象の紙幣Sと判断し、搬送された紙幣Sを第2識別搬送部22からリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送させる。
【0151】
これにより、受入可と判断された一万円券の紙幣Sだけを第2識別搬送部22から機外向搬送部40に搬送することができ、それ以外の紙幣Sについてはリジェクト搬送部41を介してリジェクト部12に搬送することができる。
【0152】
以上により、識別計数装置2を利用して、受入可と判断され、且つ予め設定された一万円券の紙幣Sだけを抽出して、集積結束装置3の連結搬送部70に受け渡すことができる。この際、制御部51は、識別計数装置2から連結搬送部70に受け渡す紙幣Sのそれぞれについて、表裏パターンが4つのうちの何れかであることを把握している。
【0153】
図7に示すように、連結搬送部70は、識別計数装置2から紙幣Sを受け取ると、該紙幣Sを下流側に向けて搬送する。このとき、第1の表裏反転部81における分岐振分部93は、制御部51からの指示を受けて、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sが、第1表姿勢N1及び第1裏姿勢N2の表裏パターンである場合には、分岐搬送部90に搬送するように振り分けを行い、第2表姿勢N3及び第2裏姿勢N4の表裏パターンである場合には第2の表裏反転部82側に向かうように振り分けを行う。
【0154】
そして、第2の表裏反転部82における分岐振分部93は、制御部51からの指示を受けて、連結搬送部70によって搬送されてくる紙幣Sが、第2表姿勢N3及び第2裏姿勢N4の表裏パターンである場合には、分岐搬送部90に搬送するように振り分けを行う。
【0155】
第1の表裏反転部81における分岐搬送部90に紙幣Sが搬送されると、制御部51からの指示に基づいて、ゲート部94は第1表姿勢N1の紙幣Sを非反転部91に搬送し、第1裏姿勢N2の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行う。
これにより、第1表姿勢N1の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第1表姿勢N1を維持したまま非反転部91から排出させることができ、第1裏姿勢N2の紙幣Sについては、反転部92による1回の表裏反転によって第1表姿勢N1に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させることができる。
【0156】
これにより、第1の表裏反転部81を利用して、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第1表姿勢N1に統一することができる。そのため、表裏の向きが第1表姿勢N1に統一された紙幣Sを、第1集積収納部100に受け渡すことができる。
【0157】
また、第2の表裏反転部82における分岐搬送部90に紙幣Sが搬送されると、制御部51からの指示に基づいてゲート部94は第2表姿勢N3の紙幣Sを非反転部91に搬送し、第2裏姿勢N4の紙幣Sを反転部92に搬送するように搬送経路の切換えを行う。
これにより、第2表姿勢N3の紙幣Sについては、非反転部91による2回の表裏反転によって第2表姿勢N3を維持したまま非反転部91から排出させることができ、第2裏姿勢N4の紙幣Sについては、反転部92による1回の表裏反転によって第2表姿勢N3に表裏の向きを変更した状態で反転部92から排出させることができる。
【0158】
これにより、第2の表裏反転部82を利用して、非反転部91及び反転部92から排出される紙幣Sの表裏の向きを、第2表姿勢N3に統一することができる。そのため、表裏の向きが第2表姿勢N3に統一された紙幣Sを、第2集積収納部101に受け渡すことができる。
【0159】
ここで、第1集積収納部100内及び第2集積収納部101内に紙幣Sを収納するにあたって、制御部51は、予め第1ベース部140と第2ベース部180との間の間隔、及び第3ベース部250と第4ベース部400との間の間隔を紙幣Sに応じた間隔に調整する。
具体的には、制御部51は、識別部30の識別情報に基づいて投入された紙幣Sの金種が予め設定された一万円券であると認識した場合、記憶部51aに格納されているデータから一万円券の横幅方向及び縦幅方向を読み出す。そして、制御部51は、読み出したデータに基づいて、第1整列部160及び第2整列部200を第1整列位置K1及び第2整列位置K2に位置させたときに、図11に示すように、第1平面当接部162と第2平面当接部202との間の前後方向L3の間隔が、上方ベース部112上に集積される一万円券の紙幣Sの横幅に一致するように、第1ベース部140及び第2ベース部180を前後方向L3に沿って移動させるように制御する。
しかも、制御部51は、上方ベース部112における基準位置Oと、紙幣Sの横幅方向の中心とが一致するように、上方ベース部112における基準位置Oから、第1平面当接部162及び第2平面当接部202が等間隔に配置されるように第1ベース部140及び第2ベース部180を前後方向L3に沿って移動させる。
【0160】
更に制御部51は、操作表示部50によって予め設定された紙幣Sの金種に応じて、第3ベース部250及び第4ベース部400を左右方向L1に沿って移動させ、第3ストッパ部270と第4ストッパ部420との間隔を調整する。これにより、図14に示すように、上方ベース部112に集積される一万円券の紙幣Sの縦幅に応じて、第3ストッパ部270と第4ストッパ部420とを最適な間隔で左右方向L1に向い合せに配置することができる。
【0161】
上述の初期設定のもと、第1の表裏反転部81から排出された紙幣Sが第1集積収納部100に収納される流れについて説明する。
例えば図8に示すように、第1の表裏反転部81の非反転部91から、表裏の向きが第1表姿勢N1に統一された紙幣Sが第1集積収納部100に受け渡されると、制御部51は第3搬送駆動モータ302を駆動させて、第3搬送軸284を回転させる。これにより、第3搬送ローラ282及び第3羽根車283を回転させることができ、第3下部搬送ガイド281bの上面と第3上部搬送ガイド281aの下面との間を通じて上方ベース部112に向けて紙幣Sを搬送することができる。そのため、上方ベース部112上に紙幣Sを投入することができる。
【0162】
同様に、反転部92から、表裏の向きが第1表姿勢N1に統一された紙幣Sが第1集積収納部100に受け渡されると、制御部51は第4搬送駆動モータを駆動させて、第4搬送軸434を回転させる。これにより、第4搬送ローラ432及び第4羽根車433を回転させることができ、第4下部搬送ガイド431bの上面と第4上部搬送ガイド431aの下面との間を通じて上方ベース部112に向けて紙幣Sを搬送することができる。そのため、上方ベース部112上に紙幣Sを投入することができる。
【0163】
このように、非反転部91から排出された紙幣S、及び反転部92から排出された紙幣Sを、例えば交互に上方ベース部112上に投入することができ、上方ベース部112上で集積させながら収納することができる。
【0164】
上方ベース部112上に紙幣Sが収納されると、制御部51は、上方ベース部112上に紙幣Sが収納される毎、或いは所定枚数収納される毎に、第1整列部160及び第2整列部200を、図10に示す第1退避位置P1及び第2退避位置P2から、図11に示す第1整列位置K1及び第2整列位置K2にそれぞれほぼ同時に回転させ、上方ベース部112に集積された紙幣Sを横幅方向の両側から叩打させる。これにより、紙幣Sの短辺を綺麗に揃えることができ、紙幣Sを横幅方向に整列させることができる。
しかも、上方ベース部112における基準位置Oから、第1平面当接部162及び第2平面当接部202が等間隔に配置されているので、紙幣Sの横幅方向の中心を上方ベース部112の前後方向L3の中心(即ち搬送方向の中心)に一致するように紙幣Sを整列させることができる。
【0165】
更に、制御部51が第3搬送駆動モータ302を駆動させているので、第3搬送ローラ282の回転に連動させて整列板駆動軸331を回転させることができる。これにより、偏心カム340を整列板駆動軸331と共に回転させることができ、整列板311を図16に示す第3退避位置P3から、図15に示す第3整列位置K3に揺動させることができる。そのため、上方ベース部112上に集積された紙幣Sを縦幅方向の一方側から叩打することができる。これにより、図14に示すように、紙幣Sの長辺を綺麗に揃えることができ、第4ストッパ部420との間で紙幣Sを縦幅方向に整列させることができる。
なお、整列板311は、上方ベース部112上に紙幣Sが集積される毎に整列を行っても構わないし、例えば2枚に1回程度等、複数枚毎に整列を行っても構わない。
【0166】
以上のことから、第1集積収納部100内に、第1表姿勢N1に表裏の向きが統一された紙幣S(一万円券)を横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で綺麗に集積しながら収納することができる。
【0167】
上述した場合と同様に、第2の表裏反転部82から第2集積収納部101内に紙幣Sを受け渡すことで、第2集積収納部101内に、第2表姿勢N3に表裏の向きが統一された紙幣S(一万円券)を横幅方向及び縦幅方向に整列させた状態で綺麗に集積しながら収納することができる。
【0168】
次いで、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に、紙幣Sが所定枚数(例えば100枚)集積されると、図2に示すように、制御部51は集積搬送部104を制御して、集積状態の紙幣Sを第1集積収納部100及び第2集積収納部101からそれぞれ取り出し、結束部103に搬送させる。
【0169】
具体的には、制御部51は、第1集積収納部100及び第2集積収納部101において、ストッパ駆動モータを駆動させて、第4ストッパ部420を閉塞位置P4(図14参照)から開放位置に移動させる。これにより、紙幣排出口404を開放させることができ、集積された紙幣Sを取り出し可能となる。
次いで、制御部51は集積搬送部104の第1チャック部材500を第1集積収納部100側に向けて移動させ、第1集積収納部100の上方ベース部112上に収納されている集積状態の紙幣Sを、紙幣排出口404を通じて取り出した後、結束部103における第2チャック部材510に受け渡す。
続けて、制御部51は結束部103を制御して、第2チャック部材510で受け取った集積状態の紙幣Sを、結束機構部520によって結束させる。これにより、集積状態の紙幣Sを結束テープで結束して1つにまとめた小束を作製することができる。
【0170】
同様に、制御部51は集積搬送部104の第1チャック部材500を第2集積収納部101側に向けて移動させ、第2集積収納部101の上方ベース部112上に収納されている集積状態の紙幣Sを、紙幣排出口404を通じて取り出した後、結束部103における第2チャック部材510に受け渡す。
続けて、制御部51は結束部103を制御して、第2チャック部材510で受け取った集積状態の紙幣Sを、結束機構部520によって結束させる。これにより、集積状態の紙幣Sを結束テープで結束して1つにまとめた小束を作製することができる。
【0171】
このように、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に収納された集積状態の紙幣Sを、例えば交互に取り出し、結束部103によって小束に作製することができる。
なお、作製された小束は、図1に示す小束排出部521に投入される。これにより、操作者は、小束排出部521から小束を取り出して回収することができる。特に、この小束は、各紙幣Sの表裏の向きが統一され、且つ横幅方向及び縦幅方向に綺麗に集積された紙幣S(一万円券)の束とされている。
【0172】
以上説明したように、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を利用して、連結搬送部70によって搬送中の紙幣Sを、表裏の識別情報に基づいて表裏反転させることができる。これにより、表裏の向きが混在していている状態で紙幣Sが搬送されてきた場合であっても、搬送途中で表裏の向きを統一することができる。
特に、装置ケース60内に、非反転部91及び反転部92を具備する表裏反転部80(第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82)を備えるだけで、紙幣Sの表裏が同じ向きとなるように統一する処理を行えるので、構成の簡略化を図ることができ、紙幣処理装置1全体の小型化、コンパクト化を図ることができる。
【0173】
特に、本実施形態の紙幣処理装置1は、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に紙幣Sが搬送されたときに、第1整列部160及び第2整列部200を、第1退避位置P1及び第2退避位置P2から第1整列位置K1及び第2整列位置K2に回転させることで、上方ベース部112上に集積された紙幣Sを横幅方向の両側から叩打させ、紙幣Sを横幅方向に整列させることができる。
このように、従来とは異なり、紙幣Sを横幅方向の片側からのみ叩打して整列させるのではなく、横幅方向の両側から叩打して整列させるので、紙幣Sの動作ストローク(寄せ量)を小さくすることができ、効率良く確実に整列させることができる。従って、迅速且つ確実に紙幣Sを整列させることができ、整列工程に費やす動作時間を短くすることができる。
【0174】
更に、第1整列部160及び第2整列部200は、第1退避位置P1及び第2退避位置P2に位置することで、紙幣Sが上方ベース部112上に集積されるまでに通過する紙幣Sの進入領域よりも外側に離間している。そのため、紙幣Sが上方ベース部112上に進入している最中に、第1整列部160及び第2整列部200が紙幣Sと干渉してしまうことを抑制することができる。従って、紙幣Sが詰まることに起因する紙ジャムの発生を防止することができる。
【0175】
更に、第1整列部160及び第2整列部200は、紙幣Sに対して線接触或いは面接触する第1平面当接部162及び第2平面当接部202を有しているので、従来の円柱状の当接部を利用する場合よりも、紙幣Sに叩き痕がつき難い。しかも、従来の円柱状の当接部を利用して、紙幣Sの両側から叩打した場合には、叩打する位置によっては、紙幣Sの回転を招いてしまい紙幣Sの整列を乱してしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、幅広で平坦な接触面を有する第1平面当接部162及び第2平面当接部202を利用するので、従来生じうる紙幣Sの回転や、それによる紙幣Sの整列の乱れ等を防止することができ、安定して紙幣Sを整列させることができる。
【0176】
更に、本実施形態の紙幣処理装置1は、第1集積収納部100及び第2集積収納部101に紙幣Sが搬送されたときに、整列板311を第3退避位置P3から第3整列位置K3に揺動させることで、上方ベース部112上に集積された紙幣Sを縦幅方向の一方側から叩打させ、第4ストッパ部420との間で紙幣Sを縦幅方向に整列させることができる。これにより、上述した第1整列部160及び第2整列部200による横幅方向の整列との相乗効果によって、紙幣Sを横幅方向及び縦幅方向の両方に精度良く整列させることができ、綺麗に整った集積状態の紙幣Sを収納することができる。
【0177】
<変形例>
上記実施形態では、第1集積収納部100及び第2集積収納部101において、紙幣Sの横幅方向を整列させるときに、第1整列部160及び第2整列部200を、第1退避位置P1及び第2退避位置P2から第1整列位置K1及び第2整列位置K2にそれぞれほぼ同時に回転させたが、この場合に限定されるものではなく、異なるタイミングで回転させても構わない。
【0178】
例えば制御部51は、識別部30から搬送中の紙幣Sの横幅方向に対する位置情報を示す紙幣搬送位置情報を得て、図18に示すように、上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅方向の中心位置Cが、上方ベース部112による基準位置Oよりも一方側(第1整列部160側)に寄っている場合には、図19に示すように、第2整列部200を第2整列位置K2に先に回転させる。これにより、第2平面当接部202を搬送方向である紙幣Sの縦幅方向と略平行となるように待機させておくことができる。
その後、図20に示すように、第1整列部160を第1整列位置K1に回転させることで紙幣Sを叩打し、既に第2整列位置K2で待機している第2整列部200の第2平面当接部202に突き当たるように紙幣Sを寄せる。これにより、上方ベース部112上に集積される紙幣Sを横幅方向に整列させることができる。
【0179】
上述した場合とは逆に、上方ベース部112上に集積される紙幣Sの横幅方向の中心位置Cが、上方ベース部112による基準位置Oよりも他方側(第2整列部200側)に寄っている場合には、第1整列部160を第1整列位置K1に先に回転させる。これにより、第1平面当接部162を搬送方向である紙幣Sの縦幅方向と略平行となるように待機させておくことができる。その後、第2整列部200を第2整列位置K2に回転させることで紙幣Sを叩打し、既に第1整列位置K1で待機している第1整列部160の第1平面当接部162に突き当たるように紙幣Sを寄せる。これにより、上方ベース部112上に集積される紙幣Sを横幅方向に整列させることができる。
【0180】
従って、上述した場合であっても、上方ベース部112上に集積される紙幣Sを横幅方向に綺麗に整列させることができる。
【0181】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0182】
例えば上記実施形態では、紙幣処理装置1が、互いに連結された識別計数装置2及び集積結束装置3を具備する場合を例に挙げて説明したが、識別計数装置2は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0183】
更に、集積結束装置3を1つだけを具備する場合に限定されるものではなく、2つ以上具備する構成としても構わない。
例えば、2つの集積結束装置3を左右方向L1に連結した紙幣処理装置1としても構わない。この場合には、第1の集積結束装置3における連結搬送部70のオプション出口71に第2の集積結束装置3における連結搬送部70を繋げることで、第1の集積結束装置3から第2の集積結束装置3に向けて紙幣Sを連続的に搬送することができる。
【0184】
このように紙幣処理装置1を構成した場合には、例えば識別部30によって汚損紙幣S(汚損紙葉類)と識別された汚損紙幣Sについて、第1の集積結束装置3を通過させ、第2の集積結束装置3において、表裏の向きを統一させながら汚損紙幣Sの小束を作製するといった使い方を行える。従って、第2の集積結束装置3を、汚損紙幣Sを結束するための専用の装置として利用することができる。
これにより、汚損紙幣Sとそれ以外の紙幣Sを区分けしながら、それぞれ小束を作製する等の使い方を行える。
【0185】
更には汚損紙幣Sではなく、第2の集積結束装置3を利用して、第1の集積結束装置3とは異なる金種の紙幣Sの表裏の向きを統一しながら、小束を作製する等の使い方も行える。例えば、第1の集積結束装置3では、上記実施形態のように一万円券の紙幣Sを対象とし、第2の集積結束装置3では五千円券の紙幣Sを対象とすることが可能である。
更には、合計4つの集積結束装置3を連結させることで、一万円券、五千円券、二千円券、千円券の各紙幣S専用の集積結束装置3として利用することも可能である。
【0186】
更に上記実施形態では、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を具備する構成としたが、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82は必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。
この場合であっても、例えば連結搬送部70に表裏の向きが統一された紙幣Sを搬送することで、第1集積収納部100及び第2集積収納部101を利用して、紙幣Sを整列させながら集積状態で収納することができる。
【0187】
更に、第1の表裏反転部81及び第2の表裏反転部82を具備しない場合において、例えば第1集積収納部100及び第2集積収納部101を上下方向L2に並設するように配置しても構わない。
具体的には、図21に示すように、第1集積収納部100の下方に第2集積収納部101を配置しても構わない。この場合、連結搬送部70から分岐した第1分岐搬送部600を第1集積収納部100に繋げ、第1分岐搬送部600から更に分岐した第2分岐搬送部601を第2集積収納部101に繋げても良い。更に、第1集積収納部100及び第2集積収納部101の下方に結束部103を配置すると共に、第1集積収納部100と第2集積収納部101と結束部103との間を上下方向L2に移動するように集積搬送部104を配置しても良い。
【0188】
このように構成した場合であっても、第1集積収納部100で整列された集積状態の紙幣S、及び第2集積収納部101で整列された集積状態の紙幣Sを、結束部103で結束して小束を作製することが可能となる。
【0189】
更に上記実施形態では、紙葉類の一例として日本国の紙幣Sを例に挙げて説明したが、先に述べたように外国の紙幣Sであっても構わないし、紙幣Sに限定されるものでもない。例えば、商品券や小切手、手形等の金券類や有価証券等、紙葉類全般を処理する装置に適用することができる。
特に、本実施形態の第1集積収納部100及び第2集積収納部101によれば、紙葉類のサイズに応じて、第1ベース部140及び第2ベース部180の間隔を調整し、且つ第3ベース部250と第4ベース部400の間隔を調整できるので、多様な紙葉類に対応することができ、使い易く、利便性の向上化を図ることができる。
【0190】
更に上記実施形態では、投入部11に紙幣Sをセットする際に、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の前後方向L3に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の左右方向L1に沿わせた向きでセットしたが、この場合に限定されるものではなく、紙幣Sを、紙幣Sの長辺、即ち横幅方向を装置の左右方向L1に沿わせ、且つ紙幣Sの短辺、即ち縦幅方向を装置の前後方向L3に沿わせた向きでセットされるように構成しても構わない。
【0191】
更に上記実施形態では、第1集積収納部100及び第2集積収納部101において、第1整列部160及び第2整列部200を幅方向整列部120に適用して、紙幣Sを横幅方向に整列させる構成を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、第1整列部160及び第2整列部200を搬送方向整列部130に適用し、紙幣Sを縦幅方向に整列させる構成としても構わない。つまり、本発明に係る第1整列部及び第2整列部は、紙幣Sを横幅方向に整列する場合、或いは紙幣Sを縦幅方向に整列する場合のいずれの場合であっても用いることが可能である。
【符号の説明】
【0192】
C…中心位置、O…基準位置、S…紙幣(紙葉類)、K1…第1整列位置、K2…第2整列位置、K3…第3整列位置、P1…第1退避位置、P2…第2退避位置、P3…第3退避位置、1…紙幣処理装置(紙葉類処理装置)、2…識別計数装置、11…投入部、20…識別搬送部、30…識別部、40…機外向搬送部、51…制御部、70…連結搬送部(搬送部)、100…第1集積収納部(集積収納部)、101…第2集積収納部(集積収納部)、104…集積搬送部、110…ユニットベース部(集積部)、140…第1ベース部、160…第1整列部、162…第1平面当接部、180…第2ベース部、200…第2整列部、202…第2平面当接部、250…第3ベース部、280…第3搬送部(第3集積搬送部)、282…第3搬送ローラ、311…整列板、330…整列板駆動部、400…第4ベース部、430…第4搬送部(第4集積搬送部)、432…第4搬送ローラ
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