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  • 特許-信号処理回路および荷重検出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】信号処理回路および荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01L1/22 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020070475
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021167741
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】山本 康介
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-037085(JP,A)
【文献】特開2001-141582(JP,A)
【文献】特開平08-327470(JP,A)
【文献】特開平10-325757(JP,A)
【文献】特開2000-283790(JP,A)
【文献】特開平04-089559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の荷重を検出する信号処理回路であって、
第1期間において、前記対象物の荷重により検出値が変化するように前記対象物に固定的に設けられた抵抗変化型の第1の歪みセンサの第1の出力値と、
前記第1期間と異なる第2期間において、前記対象物の荷重により検出値が変化しないように前記対象物とは離間して設けられ、前記第1の歪みセンサと電気的特性が同一となる抵抗変化型の第2の歪みセンサの第2の出力値と
を選択的に取得し、
前記第1の歪みセンサの前記第1の出力値、および、前記第2の歪みセンサの前記第2の出力値は、時間変化に伴う経時変化量が互いに等しく、
前記第1の出力値と、前記第2の出力値との差分値を、前記対象物の荷重を表す荷重検出値として算出し、
前記第2の歪みセンサの出力値の初期値と前記第2の出力値との差分に基づいて劣化度を算出する
ことを特徴とする信号処理回路。
【請求項2】
前記荷重検出値は、前記第1の歪みセンサおよび前記第2の歪みセンサの経時劣化によるセンサ出力値の差分値を前記対象物の荷重として算出される
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理回路。
【請求項3】
対象物の荷重を検出する荷重検出装置であって、
前記対象物の荷重により検出値が変化するように前記対象物に固定的に設けられた抵抗変化型の第1の歪みセンサと、
前記対象物の荷重により検出値が変化しないように前記対象物とは離間して設けられ、前記第1の歪みセンサと電気的特性が同一となる抵抗変化型の第2の歪みセンサと、
第1期間における前記第1の歪みセンサの第1の出力値と、前記第1期間とは異なる第2期間における前記第2の歪みセンサの第2の出力値とを選択的に切替て出力するマルチプレクサと、前記第1の出力値と前記第2の出力値の差分値を、前記対象物の荷重を表す荷重検出値として算出し、前記第2の歪みセンサの出力値の初期値と前記第2の出力値との差分に基づいて劣化度を算出する信号処理回路と
を備え、
前記第1の歪みセンサの前記第1の出力値、および、前記第2の歪みセンサの前記第2の出力値は、時間変化に伴う経時変化量が互いに等しい
ことを特徴とする荷重検出装置。
【請求項4】
前記荷重検出値は、前記第1の歪みセンサおよび前記第2の歪みセンサの経時劣化によるセンサ出力値の差分値を前記対象物の荷重として算出される
ことを特徴とする請求項3に記載の荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理回路および荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、圧電効果を有するひずみセンサを備えたセンサノードにおいて、ひずみセンサの静電容量の減少率に基づいて、歪みセンサの劣化度を推定し、ひずみセンサの劣化度に応じた補正値を用いて、ひずみ計測値を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-3370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、歪みセンサの劣化度を推定するゆえに、歪みセンサの劣化度を正確に算出できるものではないため、ひずみ計測値をより高精度に算出することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る信号処理回路は、対象物の荷重を検出する信号処理回路であって、対象物の荷重により検出値が変化するように設けられた第1の物理センサの第1の出力値と、対象物の荷重により検出値が変化しないように設けられ、第1の物理センサと同一の電気的特性を有する第2の物理センサの第2の出力値とを取得し、第1の出力値と、第2出力値との差分値を、対象物の荷重を表す出力値として算出する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る信号処理回路によれば、物理センサの検出値の経時変化が考慮された、高精度な荷重検出値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る荷重検出装置の構成図
図2】一実施形態に係る第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサの出力特性を示す図
図3】一実施形態に係る第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサの出力電圧値の経時的変化を示す図
図4】一実施形態に係る第1の出力電圧値と第2の出力電圧値との差分値の経時的変化を示す図
図5】一実施形態に係る信号処理回路による処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(荷重検出装置10の構成)
図1は、一実施形態に係る荷重検出装置10の構成を示す図である。図1に示す荷重検出装置10は、対象物50の荷重を検出する装置である。図1に示すように、荷重検出装置10は、第1の歪みセンサ12、第2の歪みセンサ14、AFEチップ20、および信号処理回路30を備える。
【0010】
第1の歪みセンサ12は、「第1の物理センサ」の一例であり、歪み量に応じて抵抗値(検出値)が変化する、抵抗変化型の歪みセンサである。第1の歪みセンサ12は、対象物50に荷重が加わって歪みが生じた場合、当該第1の歪みセンサ12の抵抗値(以下、「第1の抵抗値」と示す)が変化するように、対象物50に対して固定的に設置される。対象物50に対する第1の歪みセンサ12の固定には、例えば、両面テープ、接着剤等が用いられる。これにより、第1の歪みセンサ12は、対象物50に荷重が加わって歪みが生じた場合、第1の抵抗値が変化する。例えば、第1の歪みセンサ12は、対象物50の歪みに伴って伸張した場合、対象物50の歪み量に応じて、第1の抵抗値が増加する。反対に、第1の歪みセンサ12は、対象物50の歪みに伴って縮小した場合、対象物50の歪み量に応じて、第1の抵抗値が減少する。
【0011】
第2の歪みセンサ14は、「第2の物理センサ」の一例であり、歪み量に応じて抵抗値(検出値)が変化する、抵抗変化型の歪みセンサである。第2の歪みセンサ14は、第1の歪みセンサ12と同一の電気的特性を有するものが用いられる。また、第2の歪みセンサ14は、第1の歪みセンサ12と抵抗値の経時変化量が同一のものが用いられる。第2の歪みセンサ14は、対象物50に荷重が加わって歪みが生じた場合であっても、当該第2の歪みセンサ14の抵抗値(以下、「第2の抵抗値」と示す)が変化しないように設置される。例えば、第2の歪みセンサ14は、対象物50の歪みの影響を受けないケース内に設置される、対象物50から離間して設置される、等により、対象物50に荷重が加わって歪みが生じた場合であっても、第2の抵抗値が変化しないように設置される。
【0012】
なお、図示を省略するが、第1の歪みセンサ12は、ブリッジ回路等を構成することにより、当該第1の歪みセンサ12の第1の抵抗値に応じた電圧値(以下、「第1の出力電圧値」と示す)を、「第1の出力値」の一例として出力できるように構成されている。
【0013】
同様に、第2の歪みセンサ14は、ブリッジ回路等を構成することにより、当該第2の歪みセンサ14の第2の抵抗値に応じた電圧値(以下、「第2の出力電圧値」と示す)を、「第2の出力値」の一例として出力できるように構成されている。
【0014】
AFE(Analog Front End)チップ20は、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14と、信号処理回路30との間に接続される集積回路である。図1に示すように、AFEチップ20は、マルチプレクサ(MUX)22、増幅器(AMP)24、およびA-Dコンバータ(ADC)26を備える。
【0015】
マルチプレクサ22の入力端子は、第1の歪みセンサ12の出力端子と、第2の歪みセンサ14の出力端子とに接続されている。マルチプレクサ22の出力端子は、増幅器24の入力端子に接続されている。マルチプレクサ22は、第1の歪みセンサ12から出力された第1の出力電圧値と、第2の歪みセンサ14から出力された第2の出力電圧値とを、選択的に切り替えて増幅器24へ出力する。
【0016】
増幅器24の入力端子は、マルチプレクサ22の出力端子に接続されている。増幅器24の出力端子は、A-Dコンバータ26の入力端子に接続されている。増幅器24は、マルチプレクサ22から出力された第1の出力電圧値および第2の出力電圧値を増幅して、A-Dコンバータ26へ出力する。
【0017】
A-Dコンバータ26の入力端子は、増幅器24の出力端子に接続されている。A-Dコンバータ26の出力端子は、信号処理回路30の入力端子に接続されている。A-Dコンバータ26は、増幅器24から出力された第1の出力電圧値および第2の出力電圧値を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、信号処理回路30へ出力する。
【0018】
信号処理回路30の入力端子は、A-Dコンバータ26の出力端子に接続されている。信号処理回路30の出力端子は、荷重検出装置10の利用目的に応じて、外部装置60(例えば、マイコンを想定しているが、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、サーバ等であってもよい)へ、有線または無線を介して接続される。
【0019】
信号処理回路30は、A-Dコンバータ26から出力された第1の出力電圧値および第2の出力電圧値に基づいて、対象物50の荷重を表す荷重検出値を算出する。そして、信号処理回路30は、算出された荷重検出値を外部装置60へ出力する。具体的には、信号処理回路30は、第1の出力電圧値と第2出力電圧値との差分値を、対象物50の荷重を表す荷重検出値として算出する。
【0020】
上記したとおり、第2の歪みセンサ14は、対象物50に荷重が加えられた場合であっても第2の抵抗値が変化しないように設けられており、且つ、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値の経時変化量と、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値の経時変化量とは同一である。このため、信号処理回路30は、第1の出力電圧値から第2の出力電圧値を減算することにより、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によって相殺された、荷重検出値を算出することができる。
【0021】
なお、信号処理回路30は、例えば、AFE(Analog Front End)チップ20上に設けられたプロセッサ、メモリ等によって実現される。
【0022】
(第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力特性)
図2は、一実施形態に係る第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力特性を示す図である。図2に示すグラフにおいて、横軸は、対象物50に加えられた荷重を示し、縦軸は、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力電圧値を示す。
【0023】
なお、図2に示すグラフにおいて、実線は、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値を示す。また、点線は、基準用として使用される第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値を示す。また、破線は、第2の歪みセンサ14が第2の抵抗値が変化しないように設置された場合の、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値を示す。
【0024】
図2において実線で示すように、第1の歪みセンサ12は、対象物50に固定されて設置されるため、対象物50に加えられた荷重が増加するにつれて、第1の出力電圧値が一定の減少率で減少する。
【0025】
また、図2において点線で示すように、第2の歪みセンサ14は、第1の歪みセンサ12と同一の電気的特性を有するため、仮に、対象物50に固定されて設置された場合、対象物50に加えられた荷重が増加するにつれて、第2の出力電圧値が一定の減少率(第1の出力電圧値の減少率と同じ減少率)で減少する。
【0026】
ただし、本実施形態の荷重検出装置10においては、第2の歪みセンサ14は、対象物50に荷重が加わって歪みが生じた場合であっても、第2の出力電圧値が変化しないように設置される。このため、図2において破線で示すように、本実施形態の荷重検出装置10においては、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値は、対象物50に加えられた荷重の変化に関わらず、一定である。
【0027】
(第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力電圧値の経時的変化)
図3は、一実施形態に係る第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力電圧値の経時的変化を示す図である。図3に示すグラフにおいて、横軸は、時間を示し、縦軸は、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力電圧値を示す。なお、図3は、対象物に対して一定の荷重を加えた条件での、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の出力電圧値を示す。このため、図3では、第1の歪みセンサ12の出力電圧値と第2の歪みセンサ14の出力電圧値との間に、一定の荷重に応じた差分が生じている。
【0028】
図4は、一実施形態に係る第1の出力電圧値と第2の出力電圧値との差分値の経時的変化を示す図である。図4に示すグラフにおいて、横軸は、時間を示し、縦軸は、第1の出力電圧値と第2の出力電圧値との差分値を示す。
【0029】
第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14は、互いに同一の電気的特性を有し、且つ、互いに同一のプロセスで製造されたものである。このため、図3に示すように、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値および第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値は、経時的変化により、時間が経過するにつれて、互いに同一の減少率で減少する。それゆえ、図4に示すように、対象物50に対して一定の荷重を加えたとき、第1の出力電圧値と第2の歪みセンサ14との差分値は、時間経過に関わらず、一定である。
【0030】
(信号処理回路30による処理の手順)
図5は、一実施形態に係る信号処理回路30による処理の手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず、信号処理回路30は、A-Dコンバータ26から出力された第1の出力電圧値を取得する(ステップS501)。ここで、信号処理回路30は、マルチプレクサ22の出力を第1の出力電圧値に切り替えることにより、A-Dコンバータ26から第1の出力電圧値を出力させることができる。
【0032】
次に、信号処理回路30は、A-Dコンバータ26から出力された第2の出力電圧値を取得する(ステップS502)。ここで、信号処理回路30は、マルチプレクサ22の出力を第2の出力電圧値に切り替えることにより、A-Dコンバータ26から第2の出力電圧値を出力させることができる。
【0033】
そして、信号処理回路30は、ステップS501で取得された第1の電圧値と、ステップS502で取得された第2の電圧値との差分値を、対象物50の荷重を表す荷重検出値として算出する(ステップS503)。これによって算出される荷重検出値は、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によって相殺されたものであり、対象物50の荷重を高精度に表すものである。
【0034】
その後、信号処理回路30は、ステップS503で算出された荷重検出値を外部装置60へ出力し、図5に示す一連の処理を終了する。
【0035】
以上説明したように、一実施形態に係る信号処理回路30は、対象物50の荷重を検出する信号処理回路30であって、対象物50の歪みにより抵抗値が変化するように設けられた抵抗変化型の第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値と、対象物50の歪みにより抵抗値が変化しないように設けられ、第1の歪みセンサ12と同一の電気的特性を有する抵抗変化型の第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値とを取得し、第1の出力電圧値と、第2出力電圧値との差分値を、対象物50の荷重を表す荷重検出値として算出する。
【0036】
これにより、一実施形態に係る信号処理回路30は、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によって相殺された、高精度な荷重検出値を算出することができる。
【0037】
特に、一実施形態に係る信号処理回路30において、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値、および、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値は、経時変化量が互いに等しい。
【0038】
これにより、一実施形態に係る信号処理回路30は、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によってより確実に相殺された、より高精度な荷重検出値を算出することができる。
【0039】
また、一実施形態に係る荷重検出装置10は、対象物50の荷重を検出する荷重検出装置10であって、対象物50の荷重により抵抗値が変化するように設けられた抵抗変化型の第1の歪みセンサ12と、対象物50の歪みにより抵抗値が変化しないように設けられ、第1の歪みセンサ12と同一の電気的特性を有する抵抗変化型の第2の歪みセンサ14と、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値と、第2の歪みセンサ14の第2出力電圧値との差分値を、対象物50の荷重を表す荷重検出値として算出する信号処理回路30とを備える。
【0040】
これにより、一実施形態に係る荷重検出装置10は、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によって相殺された、高精度な荷重検出値を算出することができる。
【0041】
特に、一実施形態に係る荷重検出装置10において、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値、および、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値は、経時変化量が互いに等しい。
【0042】
これにより、一実施形態に係る荷重検出装置10は、第1の出力電圧値の経時変化量が、第2の出力電圧値の経時変化量によってより確実に相殺された、より高精度な荷重検出値を算出することができる。
【0043】
また、一実施形態に係る荷重検出装置10は、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値と、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値とを、選択的に切り替えて信号処理回路30へ出力するマルチプレクサ22をさらに備える。
【0044】
これにより、一実施形態に係る荷重検出装置10は、第1の歪みセンサ12の第1の出力電圧値と、第2の歪みセンサ14の第2の出力電圧値とを信号処理回路30へ供給する機能を、比較的簡単な回路構成によって実現することができる。
【0045】
なお、一実施形態に係る荷重検出装置10は、温度補正機能をさらに備える。これにより、一実施形態に係る荷重検出装置10は、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14のセンサ出力値を、温度センサによって検出された温度によって補正することができ、よって、荷重検出値をより高精度に算出することができる。
【0046】
また、一実施形態に係る荷重検出装置10は、AFEチップ20に格納されている第2の出力電圧値の初期値と、第2の歪みセンサ14によって検出された第2の出力電圧値の現在値との差分に基づいて、第1の歪みセンサ12および第2の歪みセンサ14の劣化度を算出することができる。さらに、一実施形態に係る荷重検出装置10は、算出された劣化度に応じて傾向を促すように構成することも可能である。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0048】
例えば、荷重検出装置10の回路構成は、図1に示したものに限らない。すなわち、荷重検出装置10の回路構成は、少なくとも、第1の出力電圧値および第2の出力電圧値が信号処理回路30に入力される回路構成であれば、如何なる回路構成であってもよい。例えば、荷重検出装置10は、増幅器24を有しない構成であってもよい。
【0049】
また、「第1の物理センサ」および「第2の物理センサ」は、対象物の荷重により検出値が変化し、且つ、対象物の荷重により検出値が変化しないように設置可能なものであれば、如何なるセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 荷重検出装置
12 第1の歪みセンサ(第1の物理センサ)
14 第2の歪みセンサ(第2の物理センサ)
20 AFEチップ
22 マルチプレクサ
24 増幅器
26 A-Dコンバータ
30 信号処理回路
50 対象物
60 外部装置
図1
図2
図3
図4
図5