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特許7553050配管の肉厚管理方法及び配管の肉厚管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】配管の肉厚管理方法及び配管の肉厚管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240910BHJP
   G01B 11/06 20060101ALI20240910BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240910BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
G01B11/06 Z
G01M99/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178271
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069210
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-09-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 :令和02年08月05日 掲載名 :令和2年度土木学会全国大会 第75回年次学術講演会 講演概要(テキスト・PDF) 掲載アドレス :https://confit.atlas.jp/guide/event/jsce2020/top 掲載者 :公益社団法人 土木学会
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】591114803
【氏名又は名称】公益財団法人レーザー技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新村 亮
(72)【発明者】
【氏名】島田 義則
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 慎理
(72)【発明者】
【氏名】オレグ コチャエフ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190825(JP,A)
【文献】特開2020-034319(JP,A)
【文献】特開2015-078890(JP,A)
【文献】特開2011-123063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0275986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 17/00
G01H 13/00
G01M 99/00
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象配管の肉厚を管理する配管の肉厚管理方法であって、
前記管理対象配管に向けて遠隔から、加振用のレーザー光を照射して自由振動を生じさせるとともに振動情報計測用のレーザー光を照射し、
前記管理対象配管の外表面で反射した反射光から取得した振動情報に基づいて管断面の固有振動数測定値を取得し、
計算、または、サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚が既知の管断面の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を測定管理するものであり、
計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した管断面の固有振動数が、肉厚の異なる複数の管断面の肉厚ごとの固有振動数であり、
該肉厚ごとの固有振動数と、前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を検出することを特徴とする配管の肉厚管理方法。
【請求項2】
管理対象配管の肉厚を管理する配管の肉厚管理方法であって、
前記管理対象配管に向けて遠隔から、加振用のレーザー光を照射して自由振動を生じさせるとともに振動情報計測用のレーザー光を照射し、
前記管理対象配管の外表面で反射した反射光から取得した振動情報に基づいて管断面の固有振動数測定値を取得し、
計算、または、サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚が既知の管断面の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を測定管理するものであり、
計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した管断面の固有振動数が、肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の、摩耗前の固有振動数及び摩耗後の固有振動数であり、
前記摩耗前の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗の有無を判定したのち、
摩耗を検知した場合に、前記摩耗後の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗量を推定することを特徴とする配管の肉厚管理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配管の肉厚管理方法において、
前記加振用のレーザー光と前記振動情報計測用のレーザー光とを、前記管理対象配管の外表面における異なる位置に照射することを特徴とする配管の肉厚管理方法。
【請求項4】
請求項に記載の配管の肉厚管理方法において、
前記加振用のレーザー光と前記振動情報計測用のレーザー光とを、前記管理対象配管における摩耗が生じていない位置の外表面に照射することを特徴とする配管の肉厚管理方法。
【請求項5】
管理対象配管の肉厚を管理する配管の肉厚管理システムであって、
前記管理対象配管における管断面の固有振動数を測定するレーザー測定装置と、
前記管理対象配管の肉厚を管理する肉厚管理装置と、を備え、
前記肉厚管理装置が、
計算、または、サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚の異なる複数の管断面の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を検出する肉厚検出部を備えることを特徴とする配管の肉厚管理システム。
【請求項6】
請求項に記載の配管の肉厚管理システムにおいて、
前記肉厚管理装置が、
計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の摩耗前の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗の有無を判定するとともに、
計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の摩耗後の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗量を推定する摩耗推定部と、
を備えることを特徴とする配管の肉厚管理システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の配管の肉厚管理システムにおいて、
前記レーザー測定装置が、前記管理対象配管に向けて加振用のレーザー光を照射する加振用レーザー発生器と、
前記管理対象配管に向けて振動情報計測用のレーザー光を照射する計測用レーザー発生器と、を備え、
前記加振用のレーザー光が、CO2パルスレーザーであることを特徴とする配管の肉厚管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の肉厚を管理するための配管の肉厚管理方法、及び配管の肉厚管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鋼管の肉厚を測定する方法として、超音波厚さ計を利用した接触式の肉厚測定方法が広く知られている。具体的には、鋼管の外表面に超音波厚さ計の探触子を接触させて超音波パルスを入射し、肉厚内を通過したのちに鋼管の内表面で反射した反射波を、この接触部分で検知する。超音波パルスを入射してからこの反射波を検知するまでの経過時間を測定し、経過時間に超音波速度を乗じることで、探触子を接触させた部分の肉厚を算出する。
【0003】
その一方で、例えば特許文献1に、非接触式の肉厚測定方法が開示されている。具体的には、鋼管の外表面に遠隔から超音波発生用レーザーを照射して、この照射部分で超音波を発生させる。すると、この超音波が鋼管の外表面と内表面との間で多重反射して、鋼管の外表面が振動する。
【0004】
この振動を検出するための検出用レーザーを、遠隔から外表面に向けて照射し、光学干渉計でこれを検知する。検知した検出結果から外表面の振動数を測定し、これに基づいて多重反射波の卓越周波数を求めることにより、超音波発生用レーザーを照射した部分の肉厚を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-257945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおりいずれの肉厚測定方法も、肉厚を測定する際には、鋼管の軸線方向及び周方向の位置をあらかじめ特定しておき、この特定した位置に超音波厚さ計の探触子を接触させる、もしくは遠隔から超音波発生用レーザーを照射する。このため、鋼管が高所に敷設されている場合に接触式の肉厚測定方法を採用しようとすると、足場が必要になるなど、工期及び工費の面で不利になりやすい。
【0007】
また、非接触式の肉厚測定方法であっても、肉厚を測定しようとする位置が、例えば、建物や設備の壁面や床面付近に敷設されている場合には、肉厚の測定作業を容易に実施することができない。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、配管の肉厚測定管理の作業性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明の配管の肉厚管理方法は、管理対象配管の肉厚を管理する配管の肉厚管理方法であって、前記管理対象配管に向けて遠隔から、加振用のレーザー光を照射して自由振動を生じさせるとともに振動情報計測用のレーザー光を照射し、前記管理対象配管の外表面で反射した反射光から取得した振動情報に基づいて管断面の固有振動数測定値を取得し、計算、または、サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚が既知の管断面の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を測定管理するものであり、計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した管断面の固有振動数が、肉厚の異なる複数の管断面の肉厚ごとの固有振動数であり、該肉厚ごとの固有振動数と、前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を検出することを特徴とする。また、計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した管断面の固有振動数が、肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の、摩耗前の固有振動数及び摩耗後の固有振動数であり、前記摩耗前の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗の有無を判定したのち、摩耗を検知した場合に、前記摩耗後の固有振動数と前記固有振動数測定値とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗量を推定することを特徴とする。
【0010】
本発明の配管の肉厚管理方法は、前記加振用のレーザー光と前記振動情報計測用のレーザー光とを、前記管理対象配管の外表面における異なる位置に照射することを特徴とする。
【0013】
本発明の配管の肉厚管理方法は、前記加振用のレーザー光と前記振動情報計測用のレーザー光とを、前記管理対象配管における摩耗が生じていない位置の外表面に照射することを特徴とする。
【0014】
本発明の配管の肉厚管理システムは、管理対象配管の肉厚を管理する配管の肉厚管理システムであって、前記管理対象配管における管断面の固有振動数を測定するレーザー測定装置と、前記管理対象配管の肉厚を管理する肉厚管理装置とを備え、前記肉厚管理装置が、計算、または、サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚の異なる複数の管断面の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の肉厚を検出する肉厚検出部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の配管の肉厚管理システムは、前記肉厚管理装置が、計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の摩耗前の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗の有無を判定するとともに、計算、または、前記サンプル管の振動測定を行って取得した肉厚及び管径が前記管理対象配管と同一の管断面の摩耗後の固有振動数と、前記レーザー測定装置で測定した前記管理対象配管における管断面の固有振動数とに基づいて、前記管理対象配管の摩耗量を推定する摩耗推定部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の配管の肉厚管理システムは、前記レーザー測定装置が、前記管理対象配管に向けて加振用のレーザー光を照射する加振用レーザー発生器と、前記管理対象配管に向けて振動情報計測用のレーザー光を照射する計測用レーザー発生器と、を備え、前記加振用のレーザー光が、CO2パルスレーザーであることを特徴とする。
【0017】
本発明の配管の肉厚管理方法及び配管の肉厚管理システムによれば、管理対象配管における肉厚の管理に管断面の固有振動数を用いる。これにより、加振用のレーザー光及び振動振動情報計測用のレーザー光の照射位置は、管理対象配管の外表面であればいずれの位置でもよい。
【0018】
したがって、管理対象配管が、建物や設備内の狭隘な場所に敷設されている場合にも、容易に測定作業を実施することが可能となる。また、遠隔から照射できることから、管理対象配管が高所にある場合には足場等の設備が不要となるため、工費削減及び工期短縮に寄与することが可能となる。
【0019】
また、管断面の固有振動数を採用することにより、加振用のレーザー光及び振動情報計測用のレーザー光を管理用配管のいずれの位置に照射しても、取得した固有振動数測定値と、肉厚が既知の管断面の固有振動数とに基づいて、管理対象配管における肉厚の検出、摩耗の有無の判定、及び摩耗量の推定作業を実施できる。これにより、管理対象配管の肉厚管理に係る作業性を大幅に向上することが可能となる。
【0020】
さらに、管断面の固有振動数を測定する作業が簡略であるため、長大な管理用配管に対して軸線方向の複数個所で肉厚管理を行う場合にも、作業時間を大幅に短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、管理対象配管の肉厚管理に管断面の固有振動数を採用することから、固有振動数を取得するための測定作業が簡略であるため、建物の高所や設備内の狭隘な場所に管理対象配管が敷設されている場合にも、管理作業を容易に実施することができ、作業性を大幅に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における肉厚管理システムの概略を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における管断面の固有振動モード及び固有振動数の計算値を示す図である。
図3】本発明の実施の形態におけるレーザー測定装置を利用して測定した管断面のスペクトル分布を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における肉厚管理システムを用いた鋼管の管理方法(肉厚検出)のフローを示す図である。
図5】本発明の実施の形態における管断面の固有振動数における測定値の精度検証結果を示す図である。
図6】本発明の実施の形態における肉厚管理システムを用いた鋼管の管理方法(摩耗推定)方法のフローを示す図である。
図7】本発明の実施の形態における鋼管の内表面に摩耗が生じる前後で測定した管断面のスペクトル分布を示す図である。
図8】本発明の実施の形態における鋼管の内表面に摩耗量と固有振動数の関係を示す図である。
図9】本発明の実施の形態における鋼管の内表面に摩耗が生じた後の管断面の固有振動モード及び固有振動数を示す図である(摩耗量=7.5mmの場合)。
図10】本発明の実施の形態における鋼管の摩耗推定方法を泥水シールド掘進機の送泥管及び排泥管に採用する場合の事例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態における鋼管に水が満たされている状態で測定した管断面のスペクトル分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
管材は一般に、棒材としての固有振動数だけでなく、円環としての固有振動数を有することが知られている。また、この円環としての固有振動数は、管材の直径及び肉厚によって変化することも知られている。
【0024】
そこで、配管の肉厚管理方法及び肉厚管理システムでは、管理対象となる配管について管断面の固有振動数を測定する。そして、この管断面の固有振動数に基づいて、その肉厚を検出する。また、配管の内表面における摩耗の有無を判定し、摩耗を検知した場合には摩耗量を推定することとした。以下に、配管の肉厚管理方法及び肉厚管理システムについて、管理対象配管として鋼管を事例に挙げ、図1図11を参照しつつその詳細を説明する。
【0025】
≪≪肉厚管理システム≫≫
図1で示すように、肉厚管理システム10は、鋼管Pにおける管断面の固有振動数を取得する際に用いるレーザー測定装置20と、管断面の固有振動数に基づいて鋼管Pの肉厚検出及び摩耗推定を行う肉厚管理装置30とを備えている。
【0026】
<レーザー測定装置20>
レーザー測定装置20は、加振用レーザー発生器21と、計測用レーザー発生器22と、アナライザ23とにより構成されている。
【0027】
加振用レーザー発生器21は、鋼管Pの外表面に向けて加振用のレーザー光L1を照射し、鋼管Pに自由振動を発生させる。加振用レーザー発生器21は、いずれを採用してもよいが、加振用のレーザー光L1としてCO2パルスレーザーを照射可能なものが最も好ましい。CO2パルスレーザーを採用すると、鋼管Pの表面が塗装材等で被覆されている場合に、これら被覆材の損傷を防止することができる。また、計測用レーザー発生器22は、自由振動が生じた鋼管Pの外表面に向けて振動情報計測用のレーザー光L2を照射し、鋼管Pの外表面で反射した反射光の周波数の変化を検知することにより、鋼管Pの振動情報を取得する。
【0028】
アナライザ23は、上記の計測用レーザー発生器22で取得した振動情報に基づいて、図2(a)~(d)で示すような、鋼管Pの固有振動モード(1次モードから4次モードを図示)と各々の固有振動数を取得する。図中のN1は1次モードの固有振動数、N2は2次モードの固有振動数、N3は3次モードの固有振動数、そしてN4は4次モードの固有振動数を示している。また、アナライザ23は、図3で示すような測定されたスペクトルの分布を取得する。
【0029】
これら固有振動モード及び固有振動数は、鋼管Pにおける管断面CSの振動現象を表現したもので、その取得方法は、いわゆる固有振動数法に基づくものである。なお、図2で示す固有振動モード及び固有振動数は、管径354.5mm及び肉厚11.8mmの鋼管Pを自由振動させることにより取得したものである。
【0030】
<肉厚管理装置30>
肉厚管理装置30は、図1で示すように、入力部31、出力部32、記憶部33、及びCPU、GPU、ROM、RAM及びハードウェアインタフェース等の演算処理部34を備える、コンピュータシステムにより構成されている。また、レーザー測定装置20を構成するアナライザ23との間でデータの送受信が可能となるよう、無線もしくは有線で接続されている。
【0031】
入力部31は、上記のアナライザ23をはじめ、キーボードやマウス等の入力装置から入力される情報を、肉厚管理装置30に供給する。また、出力部32は、入力部31から供給された情報や記憶部33に格納された情報等を、ディスプレーやプリンタ等の出力装置に出力する。そして、演算処理部34のCPUが所定のプログラムを実行することにより、肉厚検出部341、摩耗推定部342の機能が実現される。
【0032】
肉厚検出部341では、レーザー測定装置20で測定した管断面の固有振動数に基づいて、鋼管Pの肉厚を検出する。また、摩耗推定部342は、レーザー測定装置20で測定した管断面の固有振動数に基づいて、鋼管Pにおける摩耗の有無と、摩耗量を推定する。
【0033】
≪≪配管の肉厚管理方法≫≫
上述する肉厚管理システム10を用いて鋼管Pの肉厚を測定管理する方法について、鋼管Pの肉厚を確認する場合等に実施する肉厚検出方法と、鋼管Pの摩耗状態を確認したい場合に実施する摩耗推定方法とに分け、各々の手順を以下に説明する。
【0034】
≪配管の肉厚検出方法≫
鋼管Pの肉厚を推定する手順を以下に図4のフローを参照しつつ、振動数算定工程、測定値取得工程、肉厚検出工程の順で説明する。
【0035】
<振動数算定工程>
管径が鋼管Pと同一で肉厚の異なる複数の管各々の計算値を取得する。計算は、梁モデルによる固有値解析を採用する。これら計算により取得した肉厚ごとの基準固有振動数Rを、肉厚管理装置30の記憶部33にデータベースとして格納しておく。
【0036】
なお、肉厚ごとの基準固有振動数Rは、計算ではなくレーザー測定装置20を利用して実物のサンプル管から管断面の固有振動数を測定し、これを基準固有振動数Rとして採用してもよい(振動測定による基準固有振動数Rの取得)。また、肉厚ごとの基準固有振動数Rはデータベース化するのみでなく、例えば、統計処理を行って両者の関係式を求め。これを肉厚管理装置30の記憶部33に格納してもよい。
【0037】
<測定値取得工程>
図1で示すように、レーザー測定装置20を利用して鋼管Pの管断面の固有振動数を測定し、測定値を取得する。こうして取得した固有振動数の測定値は、固有振動数測定値Mとして、入力部31を介して肉厚管理装置30に入力するとともに、記憶部33に格納しておく。
【0038】
なお、レーザー測定装置20は、鋼管Pに向けて加振用レーザー発生器21から照射する加振用のレーザー光L1の照射位置、及び計測用レーザー発生器22から照射する振動情報計測用のレーザー光L2の照射位置は、鋼管Pの外表面であればいずれでもよい。つまり、加振用のレーザー光L1の照射位置と振動情報計測用のレーザー光L2の照射位置は、同一位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。
【0039】
<肉厚検出工程>
測定値取得工程で取得した鋼管Pの固有振動数測定値Mと、振動数算定工程で取得した肉厚ごとの基準固有振動数Rとに基づいて、鋼管Pの肉厚を検出する。
【0040】
具体的には、測定値取得工程で取得した鋼管Pの固有振動数測定値Mが、入力部31を介して肉厚管理装置30に入力されると、演算処理部34は肉厚検出部341の指令を受け、固有振動数測定値Mと、記憶部33に格納したデータベース中の肉厚ごとの基準固有振動数Rとを比較する。
【0041】
そして、固有振動数測定値Mと合致するもしくは最も近似する基準固有振動数Rに対応する肉厚を抽出する。これにより、管理対象である鋼管Pは肉厚が検出され、検出された肉厚は、出力部120に出力されるとともに、記憶部33に格納される。
【0042】
<レーザー測定装置により測定した固有振動数の精度検証>
上記のレーザー測定装置20で取得された固有振動数について2次モードの固有振動数に着目し、その精度検証を次のような手順で行った。
【0043】
まず、図5(a)で示すように、管径が同一であるものの肉厚が異なる3種の試験用鋼管PT1~PT3と、これら試験用鋼管PT1~PT3と比較して、管径及び肉厚が十分大きい試験用鋼管PT4の、合計4本の試験用鋼管PT1~PT4を準備した。
【0044】
次に、図1で示すようなレーザー測定装置20を利用して、試験用鋼管PT1~PT4各々で管断面の固有振動数を測定し、測定値を取得した。その一方で、各試験用鋼管PT1~PT4各々について管断面の固有振動数を計算し、計算値を取得した。固有振動数の計算値は、各試験用鋼管PT1~PT4をモデル化した梁モデルによる固有値解析にて取得した。
【0045】
これらの結果を、図5(b)で示すように横軸に固有振動数の計算値を取るとともに縦軸に固有振動数の測定値を取ったグラフにプロットした。図5(b)を見ると、4本の試験用鋼管PT1~PT4はいずれも、固有振動数の計算値と測定値がほぼ一致している様子がわかる。
【0046】
したがって、あらかじめ計算により取得した肉厚ごとの基準固有振動数Rとレーザー測定装置20で測定した鋼管Pの固有振動数測定値Mとを比較することにより、鋼管Pの肉厚を精度よく検出することができる。
≪配管の摩耗推定方法≫
次に、鋼管Pの摩耗の有無を判定する手順と、摩耗を検知した場合に摩耗量を推定する手順とを、図6のフローを参照しつつ説明する。
【0047】
<振動数算定工程>
鋼管Pと同様の肉厚及び管径を有する管の、摩耗が生じる前の健全な状態における管断面の固有振動数を計算し、計算値を取得する。取得した固有振動数の計算値を、摩耗前固有振動数Bとして、肉厚管理装置30の記憶部33に格納しておく。
【0048】
また、鋼管Pと同様の肉厚及び管径を有し摩耗量の異なる管断面の、摩耗後の固有振動数を計算し、計算値を取得する。取得した固有振動数の計算値は、それぞれ対応する摩耗量との関連付けを行って、摩耗量ごとの摩耗後固有振動数Aとし、肉厚管理装置30の記憶部33にデータベースとして格納しておく。
【0049】
また、摩耗量ごとの摩耗前固有振動数Bは、データベース化するのみでなく、例えば、統計処理を行って摩耗量と固有振動数の関係式を求め、これを肉厚管理装置30の記憶部33に格納してもよい。
【0050】
なお、摩耗前固有振動数B及び摩耗後固有振動数Aともに、計算ではなくレーザー測定装置20を利用して実物のサンプル管から管断面の固有振動数を測定し、これを摩耗前固有振動数B、摩耗後固有振動数Aとしてもよい(振動測定による摩耗前固有振動数B、摩耗後固有振動数Aの取得)。さらに、摩耗前固有振動数Bは、実際に設置された鋼管Pの使用前の状態で振動測定を行ってもよい。
【0051】
<測定値取得工程>
前述した≪配管の肉厚検出方法≫と同様に、レーザー測定装置20を利用して鋼管Pの管断面の固有振動数を測定し、測定値を取得する。この場合も、加振用のレーザー光L1の照射位置と振動情報計測用のレーザー光L2の照射位置は、鋼管Pの外表面であればいずれでもよく、同一位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。また、摩耗が生じている位置もしくは生じていない位置のいずれに対応する外表面であってもよい。取得した固有振動数測定値Mは、入力部31を介して肉厚管理装置30に入力するとともに、記憶部33に格納しておく。
【0052】
<摩耗検知工程>
測定値取得工程で取得した固有振動数測定値Mと、振動数算定工程で取得した摩耗前固有振動数Bとに基づいて、鋼管Pにおける摩耗の有無を判定する。
【0053】
具体的には、測定値取得工程で取得した鋼管Pの固有振動数測定値Mが、入力部31を介して肉厚管理装置30に入力されると、演算処理部34は摩耗推定部342の指令を受け、固有振動数測定値Mと、記憶部33に格納した摩耗前固有振動数Bとを比較する。
【0054】
そして、鋼管Pの固有振動数測定値Mと摩耗前固有振動数Bとが合致する、もしくは近似する場合には、鋼管Pに摩耗なしと判定する。その一方で、両者の間に乖離がある場合には、鋼管Pに摩耗を生じた部分有りと判定する。摩耗を検知した場合には、次の摩耗量推定工程に進み、摩耗量を推定する。
【0055】
上記のとおり、摩耗推定方法は、鋼管Pにおける摩耗の有無を判定するものであって、管断面CSにおける摩耗が生じている位置を特定するものではない。一般に、摩耗の生じる位置は、鋼管Pの用途や使用状態により特定することが可能であり、鋼管Pの測定管理では、摩耗の有無を判定できれば足りる。
【0056】
<摩耗量推定工程>
測定値取得工程で取得した固有振動数測定値Mと、振動数算定工程で取得した摩耗量ごとの摩耗後前固有振動数Aとに基づいて、鋼管Pの摩耗量を推定する。
【0057】
具体的には、摩耗検知工程で鋼管Pに摩耗を検知すると、演算処理部34は摩耗推定部342の指令を受け、固有振動数測定値Mと、記憶部33に格納した摩耗量と固有振動数の関係式に基づいて、固有振動数測定値Mに対応する摩耗量を算定する。これにより、管理対象である鋼管Pの摩耗量が推定され、推定された摩耗量は、出力部120に出力されるとともに、記憶部33に格納される。
【0058】
<管断面の固有振動数が摩耗の有無を反映することの検証>
管断面の固有振動数が、摩耗の有無及び摩耗量を反映することの検証を、以下の手順で行った。
【0059】
まず、図7(a)で示すように、肉厚が一様で摩耗が見られない試験用鋼管PTと、管断面CSからみて内表面であって下方側に摩耗が生じている部分がある試験用鋼管PTとをそれぞれ準備した。試験用鋼管PTはいずれも、管径354.5mm及び肉厚11.8mmの鋼管を採用した。
【0060】
これら摩耗有り及び摩耗無しの試験用鋼管PTのレーザー測定装置20を利用した振動測定を行い、図7(b)で示すような、摩耗が生じる前の健全な状態のスペクトル分布と、摩耗が生じた後のスペクトル分布を得た。
【0061】
図中のN1~N4は、摩耗無しの試験用鋼管PTにおける固有振動数であり、N1は1次モード、N2は2次モード、N3は3次モード、そしてN4は4次モードのそれぞれ固有振動数を示している。また、図中のW1~W4は、摩耗有りの試験用鋼管PTにおける固有振動数であり、W1は1次モード、W2は2次モード、W3は3次モード、そしてW4は4次モードのそれぞれ固有振動数を示している。
【0062】
これらの結果から、肉厚11.8mmの試験用鋼管PTにおいて管断面の一部に摩耗が生じた場合に、摩耗後の固有振動数は、摩耗前の83%程度まで低減する様子がみてとれる。
【0063】
このように、管断面の固有振動数は、摩耗の有無を反映するから、あらかじめ管理対象の鋼管Pと同様の肉厚及び管径を有する管断面の、摩耗前の固有振動数を計算、またはサンプル管の振動測定により、摩耗前振動数Bを取得しておく。そして、摩耗前固有振動数Bとレーザー測定装置20で測定した鋼管Pの固有振動数測定値Mとを比較することにより、鋼管Pの摩耗の有無を判定することができる。
【0064】
次に、管径354.5mm及び肉厚11.8mmで摩耗量が2.5mm、5.0mm及び7.5mmの管をモデル化した梁モデルによる固有値解析を実施した。図8(a)に、3種類の摩耗量ごとの管断面の固有振動数及び固有振動数減衰率をまとめた結果を示す。
【0065】
これらの結果を、図8(b)では横軸に摩耗深さを取るとともに縦軸に固有振動数を取ったグラフにプロットし、図8(c)では縦軸を固有振動減衰率に替えたグラフにプロットした。また、図9(a)~(d)に、摩耗量が7.5mmの管断面CSにおける、固有振動モード(1次モードから4次モードを図示)及び摩耗後固有振動数Aを例示する。図8(b)(c)を見ると、固有振動モードごとで摩耗量(底部摩耗深さ)と固有振動数及び固有振動減衰率との間に、相関関係がある様子が見て取れる。
【0066】
したがって、鋼管Pと同様の肉厚及び管径の管断面の、異なる摩耗量ごとの摩耗後固有振動数Aを取得しておく。そして、これらの統計処理を行って、管断面の固有振動数もしくは固有振動減衰率を説明変数とし、摩耗量を目的変数とする関係式を作成すれば、これらは管理対象である鋼管Pの摩耗量を推定するための指標として採用できる。
【0067】
上記のとおり、配管の肉厚管理方法及び肉厚管理システム10は、鋼管Pの肉厚管理に管断面の固有振動数を用いるから、鋼管Pに向けて加振用レーザー発生器21から照射する加振用のレーザー光L1の照射位置、及び計測用レーザー発生器22から照射する振動情報計測用のレーザー光L2の照射位置は、鋼管Pの外表面であればいずれでもよい。
【0068】
このように、鋼管Pの固有振動数測定値Mを取得する測定作業が簡略であるため、鋼管Pが、建物や設備内の狭隘な場所に敷設されている場合にも、容易に測定作業を実施することが可能となる。また、遠隔から加振用のレーザー光L1及び振動情報計測用のレーザー光L2を照射できることから、鋼管Pが高所にある場合には足場等の設備が不要となるため、工費削減及び工期短縮に寄与することが可能となる
【0069】
≪≪肉厚管理システム及び配管の肉厚管理方法の適用事例≫≫
上記の肉厚管理システム10及び配管の肉厚管理方法は、例えば、図10(a)で示すような、泥水式シールド工法で使用されるシールド掘進機40の排泥管43を点検管理する際に適用することができる。
【0070】
泥水式シールド工法は、トンネルTを構築するべくシールド掘進機40を用いて地中を掘進する際、シールド掘進機40のチャンバー41内に泥水MWを供給し切羽Fに対して泥水圧を作用させる。こうして切羽Fの安定を図りつつ、掘進を行う方法である。
【0071】
このとき、送泥管42を介してチャンバー41内に供給された泥水MWは、排泥管43を介して排出される。したがって、排泥管43は常時、中空部が泥水MWで満たされた状態にある。そこで、排泥管43のように、管理対象の鋼管Pが中空ではない場合にも、管断面の固有振動数を取得できることを確認するべく、以下のような試験を行った。
【0072】
<鋼管に滞水が存在する場合の固有振動数の精度検証>
まず、図11(a)で示すように、管断面CSからみて中空部が空洞の試験用鋼管PTと中空部が水Wで充填されている満水の試験用鋼管PTとをそれぞれ準備した。試験用鋼管PTはいずれも、管径165.2mmで肉厚3.7mmの鋼管を採用している。
【0073】
これらについてレーザー測定装置20を利用した振動測定を行い、図11(b)で示すような、中空部が空洞の状態のスペクトル分布と、中空部が満水の状態のスペクトル分布を得た。図11(b)をみると、満水の試験用鋼管PTにおいて管断面の固有振動数が取得されている様子がわかる。
【0074】
また、満水の試験用鋼管PTは、固有振動数が空洞の場合の77%程度に低減していることがわかった。したがって、鋼管Pの中空部が充填されている場合には、空洞の鋼管Pの固有振動数に、鋼管P内の充填物に応じた低減係数を適宜掛け合わせればよい。
【0075】
また、シールド掘進機40では、掘進により生じた掘削土Sがチャンバー41内に回収され、泥水MWとともに排泥管43を介して排出される。このため、図10(b)で示すように、排泥管43の管断面CSからみて下部近傍に、掘削土Sに起因する摩耗が生じやすいことが知られている。
【0076】
しかし、加振用レーザー発生器21及び計測用レーザー発生器22の照射位置はいずれも、摩耗が生じているものと想定される位置でなくてもよい。したがって、シールド掘進機40といった狭隘な空間内に敷設されている排泥管43であっても、容易に摩耗の有無を判定できるとともに、摩耗量を推定することが可能である。
【0077】
また、図10(a)で示すような排泥管43は、長手方向に複数を連結して構成されている。このため、複数の排泥管43ごとに、摩耗状況を推定する場合も想定される。しかし、レーザー測定装置20を用いて排泥管43の固有振動数測定値Mを測定する作業が簡略なことから、測定個所が多数に及ぶ場合にも作業時間が短縮でき、排泥管43の点検管理に係る作業全体の作業性を大幅に向上することが可能となる。
【0078】
本発明の配管の肉厚管理方法及び配管の肉厚管理システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、本実施の形態では、配管として鋼管Pを採用したが、これに限定さえるものではなく、スチール管、塩ビ管、コンクリート管等、中空部を有する筒状部材であればいずれに採用することも可能である。
【0080】
また、本実施の形態では、泥水式のシールド掘進機40に備えられている排泥管43の点検に、肉厚管理システム10及び配管の肉厚管理方法を適用する場合を事例に挙げたが、いずれの建物や設備の配管にも適用可能である。また、配管を流下する流体の種類や、配管の配置状態、配管の管径や肉厚等、管理対象となる配管はなんら制約を受けるものではない。
【符号の説明】
【0081】
10 肉厚管理システム
20 レーザー測定装置
21 加振用レーザー発生器
22 計測用レーザー発生器
23 アナライザ
30 肉厚管理装置
31 入力部
32 出力部
33 記憶部
34 演算処理部
341 肉厚検出部
342 摩耗推定部
40 シールド掘進機
41 チャンバー
42 送泥管
43 排泥管
M 固有振動数測定値
R 基準固有振動数
B 摩耗前固有振動数
A 摩耗後固有振動数
T トンネル
MW 泥水
S 掘削土
P 鋼管(配管)
PT 試験用鋼管
CS 管断面
L1 加振用のレーザー光
L2 振動情報計測用のレーザー光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11