(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】触覚コントローラ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2021573457
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020030008
(87)【国際公開番号】W WO2020251667
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア,マイケル ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フランコ,マル
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】オブエク,エヤル
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0011535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに回転的に固定され、共通の軸の周りで回転するように構成される、第1及び第2のキャプスタンと、
前記第1及び第2のキャプスタンの間に接続されるエネルギ貯蔵機構と、
前記第1のキャプスタンに固定されるユーザ係合アセンブリと、
前記第1のキャプスタンの周りに巻かれ、前記ベースに対して固定される第1の端と、前記ベースに対して固定される第1のアクチュエータに固定される第2の端とを有する、第1のコードと、
前記第2のキャプスタンの周りに巻かれ、前記ベースに対して固定される第1の端と、前記ベースに対して固定される第2のアクチュエータに固定される第2の端とを有する、第2のコードと
、
前記第1及び第2のキャプスタンが受ける回転摩擦を制御することによって前記ユーザ係合アセンブリに加えられる回転力を制御するように構成されるコントローラと、を含む、
デバイス。
【請求項2】
前記ベースは、ハンドル、副木、又は手袋を
更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記共通の軸と同一の広がりを持つ、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1及び第2のキャプスタンの高さ及び幅は同一であるか、或いは、前記第1及び第2のキャプスタンの高さ及び/又は幅は異なる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2のキャプスタンは、前記共通の軸に沿って細長いか、或いは、前記第1及び第2のキャプスタンは、前記共通の軸に
対して横方向に平坦化されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2のキャプスタンは、溝付きである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1及び第2のキャプスタンは、螺旋パターンにおいて溝付きである、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1及び第2のキャプスタンは、渦巻きパターンにおいて溝付きである、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2のキャプスタンは、前記第1及び第2のコードの直径と等しい直径を有する螺旋溝を画定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2のキャプスタンの材料並びに前記第1及び第2のコードの材料は、互いの10%である静摩擦係数及び動摩擦係数を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のアクチュエータは、第1及び第2の捩れストリングアクチュエータを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記エネルギ貯蔵機構は、バネを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ユーザ係合アセンブリは、アームと、指リングとを含むか、或いは、前記ユーザ係合アセンブリは、アームと、ハンドループとを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ベースに対する前記アームの角度向き及び/又は前記ベースに対する前記アームの回転を感知するように構成されるセンサを更に含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
ベースに回転的に固定され
、共通の軸の周りで回転するように構成される、第1及び第2のキャプスタンと、
前記第1及び第2のキャプスタンの間に接続されるエネルギ貯蔵機構と、
前記第1のキャプスタンに固定されるユーザ係合アセンブリと、
前記第1及び第2のキャプスタンが受ける回転摩擦を制御することによって前記ユーザ係合アセンブリに加えられる回転力を制御するように構成されるコントローラと、を含む、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現実の生活において、人間は手を使って物体と相互作用(対話)する傾向がある。人間はそのような物体に手を伸ばし、触れ、掴み、操作し且つ解放する傾向がある。しかしながら、仮想現実(VR)において、仮想オブジェクトとのそのような粒の細かい相互作用は、今日では一般に可能でない。相互作用のために一般に使用される市販のVRコントローラは、現実的な触覚フィードバックを与え(render)、そのような自然な使用をサポートする能力を欠いている。
【0002】
VRにおける現実的な相互作用の文脈における触覚コントローラの研究が近年普及してきて、手袋の触覚付与能力(haptic rendering capabilities)と競合する様々なプロトタイプを生成した。仮想オブジェクトと相互作用するときにより自然な触覚体験を提供するために、個々のコントローラは、接触、ドラッグ、片手把持及び両手掴みに応答して、フィードバックを与えるように設計されている。これらのコントローラの全ては、妥当な忠実度の触覚知覚(haptic sensations)を生成するための複雑な機構(メカニズム)を含む。
【0003】
現実的な方法において仮想オブジェクトについての触覚を首尾よく与えることの主な制約は、コントローラが、相互作用中にヒューマンスケールの力を生成し且つそれに耐え、特にコントローラに対する力が潜在的に最も高いときにオブジェクトを把握し且つ狭窄するときに、フィードバックを与える際に持続するように構築されなければならないことである。ハンドヘルドコントローラに対するそのような大きさの力を達成することは、特にそのようなデバイスはグラウンド(接地)されない傾向があるので、困難である。
【0004】
研究は強力な把持フィードバックをもたらす様々なコントローラを導入した。1つの解決策は、強力なサーボモータを備える能動機構を使用することであり、それは重く、高価で、頑健(ロバスト)でなく、電力不足(power-hungry)の設計をもたらす。代替案は、ユーザがブレーキを用いて加えた力に抵抗し、プログラム可能な点で入力の動きを停止することであり、それは高い力を維持することができるが、特定の点では把持をロックし、手動解除を必要とする。このオンオフロックは、剛性(rigid)オブジェクトを把持するのにはよいが、コンプライアントな(compliant)オブジェクト又はコンピュータ制御された解除を必要とする剛性オブジェクトを与えること(例えば、一缶の又は一杯の水を粉砕すること)には不十分である。本概念は、これらの問題及び/又は他の問題のいずれにも対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面は、本概念の実装を図示している。図示する実施形態の構成は、添付の図面と共に以下の記述を参照することによって、より容易に理解されることができる。同等の要素を示すことが可能な場合は、様々な図面において同等の参照番号が使用される。場合によっては、同等の要素を区別するために、参照番号の後に括弧が利用される。関連する括弧のない参照番号の使用は、その要素に総称的である。添付の図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図において、参照番号の左端の桁は、参照番号が最初に現れる図を特定している。明細書及び図面中の異なるインスタンスにおける類似の参照番号の使用は、類似の又は同一の項目を示すことがある。
【0006】
【
図1】本概念の幾つかの実装と一致する、エネルギ貯蔵抵抗触覚制御概念を利用することができる例示的なシステムを示している。
【0007】
【
図2】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラの斜視図を示している。
【
図3】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なキャプスタンに関する概略的な力図を示している。
【
図4】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラの斜視図を示している。
【
図5】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラの斜視図を示している。
【
図6】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラの斜視図を示している。
【
図7】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラの斜視図を示している。
【0008】
【
図8】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なアクチュエータの立面図を示している。
【0009】
【
図9】本概念の幾つかの実装と一致するエネルギ貯蔵抵抗触覚制御概念を利用することができる例示的なシステムを示している。
【0010】
【
図10】本概念の幾つかの実装と一致する、例示的なエネルギ貯蔵抵抗触覚制御方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本概念は、(拡張現実及び/又は混合現実を含む)仮想現実環境及び/又は自然運動をシミュレートする他の環境において使用することができるエネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラ(energy-storing resistive haptic controller)に関する。エネルギ貯蔵抵抗触覚コントローラ又はESR触覚コントローラは、ユーザの指、手、手首、腕、頭/首、脚などに関するような、様々な使用シナリオのために構成されることができる。幾つかの構成において、ESR触覚コントローラは、粒度の細かい器用さの操作を用いて仮想オブジェクトを操作するためにユーザの手と協働して使用することができる、ハンドヘルド剛性自然ユーザインターフェース(NUI)として現れることがある。ESR触覚コントローラは、多目的触感(tactile)体験を提供することもできる。例えば、ESR触覚コントローラは、VR環境において、剛性オブジェクト及びコンプライアントオブジェクトの両方に触れ且つそれらを把持するための触覚フィードバックを与える、力に抵抗する(force resisting)グラウンドされていない(ungrounded)触覚コントローラとして現れることができる。以前のコントローラとは対照的に、本発明のESR触覚コントローラの実装は、大きな、高力の、電気消費的な、及び/又は高価なアクチュエータを使用することなく、ヒューマンスケール(人間規模)(human-scale)の力を与えることができる。
【0012】
本概念は、ヒューマンスケールの力を維持できるESR触覚コントローラを提供することができる。ESR触覚コントローラは、制御されたブレーキ技術を利用して、様々な剛性及び/又はコンプライアンス(compliance)レベルで把持フィードバックを与えることができる。触覚のための抵抗デバイスは、安定性、安全性、電力要件、複雑性、速さ、デバイス重量当たりの力、及び/又はコストの領域において、能動的な直接モータ触覚に対して利点を有する。ESR触覚コントローラは、可変純抵抗力を生成するキャプスタンベースのブレーキと、コンプライアンスの知覚のために内蔵バネの貯蔵エネルギを出力することができるクラッチ可能なバネとを利用することができる。キャプスタンブレーキにクラッチ付きバネのこの二重性(duality)は、二値(バイナリ)ブレーキ又はバネの制限を超える特異なESR触覚コントローラを生成することができ、ヒューマンスケールの力を示すこともできる。
【0013】
図1は、本概念の幾つかの実装と一致する仮想現実システム100を図示している。仮想現実システム100は、基地局102を含むことができる。基地局102は、ユーザ104からの入力を受信及び処理すること、ユーザ104へのフィードバックを生成及び出力することを含む、仮想現実世界を生成及び実行するためのハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。基地局102は、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、ゲーム機、スマートフォン、タブレット、ノートブック、自動車、シミュレータ等を含む、任意のコンピューティングデバイスであってよい。
【0014】
幾つかの実装において、仮想現実システム100は、ヘッドセット106(又は他のスマートウェアラブル)を含むことができる。ヘッドセット106は、例えば、仮想現実、実世界(例えば、シーン)、及び/又はユーザに関する情報を受信することができるヘッドマウントディスプレイ(HMD)であってよい。幾つかの実装において、ヘッドセット106は、基地局102及び/又はヘッドセット106に入力を提供するための(
図1には示されていない)1つ以上のセンサを含んでよい。センサは、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、カメラ、マイクロホン等を含むことがある。従って、ヘッドセット106は、ユーザの周囲のオブジェクト、ユーザの頭の位置、ユーザの頭が向いている方向、ユーザの眼が開いているか閉じているか、ユーザの眼がどの方向を見ているか等を検出することができることがある。ヘッドセットは、オーディオ及び/又はビジュアルデータのようなデータをユーザ104に提示する能力を有することができる。
【0015】
仮想現実システム100は、ESR触覚コントローラ108を更に含むことができる。ESR触覚コントローラ108は、ベースアセンブリ110、係合アセンブリ112、及び/又はキャプスタンアセンブリ114を含むことができる。本発明の概念と一致して、ESR触覚コントローラ108は、ユーザ104が自分の手116に保持し、ベースステーション102及び/又はヘッドセット106に入力及び/又は出力を提供するために指118の1つ以上で操作することができる、ハンドヘルドデバイスであってよい。(他の実装において、ESR触覚コントローラは、他の身体部分と協働するように構成されてよい)。ESR触覚コントローラ108は、ヘッドセット106及び/又は基地局102と協働して機能して、ユーザのために現実的な拡張体験を作り出すことがある。例えば、ヘッドセット106は、ボールなどのオブジェクトを保持するユーザに示してよく、ESR触覚コントローラ108は、ボールを狭窄するユーザの知覚を模倣してよい。上述のように(並びに以下でより詳細に記載するように)、ESR触覚コントローラは、フォームボール又はテニスボールのような弾性ボールを圧搾することに比較して、粘土のボールのような非弾性ボールを圧搾することを模倣するために、異なるユーザ知覚を作り出すことができる。
【0016】
簡潔には、ESR触覚コントローラ108は、指の動き及び/又は力を直接的に及び/又は間接的に感知することがある。同様に、ESR触覚コントローラは、指118に力を加えることがある。更に、ESR触覚コントローラ108は、基地局102及び/又はヘッドセット106によって実行されている仮想現実世界から触覚情報を受信してよく、1つ以上のユーザの指118の1つ以上に触覚情報を与え且つ/或いはユーザの指からの情報を基地局102及び/又はヘッドセット106に情報を送信して戻すことができる。この場合、触覚情報は、他の指と親指がESR触覚コントローラを握っている状態のユーザの示指に関することができる。他の構成において、係合アセンブリ112は、例えば、より多くの指及び/又は異なる指及び/又は親指を収容することがある。
【0017】
図示するシステム実装は、基地局102、ヘッドセット106、及びESR触覚コントローラ108を含むことに留意のこと。他のシステム実装が考えられる。例えば、ヘッドセット106は、基地局の機能を実行するロバストな自己充足型デバイスであることができる。そのような場合には、例えば、ヘッドセット106及びESR触覚コントローラ108を用いて、記載する機能性を達成することができる。更に、ESR触覚コントローラ108は、説明の目的のために本明細書で提供される拡張現実シナリオを超える他のシナリオで利用されることができる。場合によっては、ESR触覚コントローラ108は、ロバストな自己充足型デバイスであることができる。他の場合には、ESR触覚コントローラは、ESR触覚コントローラに代わって幾つかの機能性を実行するために、ヘッドセット又は基地局のような他のデバイスに依存することができる。
【0018】
人間の肢に直接的に力を加える殆どの従来的な触覚コントローラは、電気機械的能動型である。すなわち、それらは加えられる電気信号からヒューマンスケールの力又はトルクを能動的に生成する。それらは電気エネルギを必要とされる力又はトルクに直接的に変換する。これは力を作り出すために大きな電力を必要とする。アクティブアクチュエータは、特に触覚学を用いるモバイルデバイスにおいて、多くの場合、必要とされる大きな力を生成するために減速される小さな電気モータで構成される。これは、遅い作動速度、大きなバッテリ電力要求、人間が加える過度の力によって損なわれる得る脆弱なデバイス、及び/又はこれらの問題の組み合わせを引き起こし得る。
【0019】
従来の触覚コントローラは、安全上の問題、場合により指を挟むことも引き起こし得る。対照的に、本実装は、外部の機械的運動(人間の入力)に抵抗するために抵抗アクチュエータを利用することができる。この抵抗アクチュエータは、より大きな抵抗力で人間の肢の動きに対する触覚応答を供給することができる一方で、従来のギアボックスにサーボを加えた解決策よりも遙かに少ない電力を消費し、より高速で動作し且つ/或いは抵抗アクチュエータに過剰な力を加えるユーザによって損なわれない(例えば、ESR触覚コントローラは、ユーザがESR触覚コントローラに過剰な力を利用する場合に破壊する前にスリップすることによって内蔵フォールトトレランス(故障許容)を提供することができる)。従来の抵抗触覚デバイスは、エネルギ貯蔵の手段に関しては何も提供しない。本概念は、バネをシミュレートする能力を提供し、非剛性(スキッシュ)仮想オブジェクトをシミュレートすることができる。よって、本ESR触覚コントローラは、ユーザの動きに対する抵抗ブレーキ、及びユーザの動きからのエネルギ貯蔵を提供することができる。すなわち、例えば、ユーザは、エネルギをシステムに供給することができる。この組み合わせは、非弾性仮想オブジェクト及び弾性仮想オブジェクトの両方を狭窄するときに、ユーザにより現実的な経験を提供することができる。
【0020】
図2は、第1及び第2のキャプスタン202を含むことができるESR触覚コントローラ108を示している。この場合、第1のキャプスタン202(1)は、バネキャプスタン204として作動することができ、第2のキャプスタン202(2)は、ブレーキキャプスタン206として作動することができる。触覚コントローラ108は、他の要素の中でも、ベース208、ハンドル210、キャプスタンアーム212、指の長さ調整機構214、指リング216(指輪)、エンコーダギヤ218、バネキャプスタン204用のコード220、ブレーキキャプスタン206用のコード222、ブレーキコードグラウンド(例えば、ブレーキキャプスタングラウンド)224、バネコードグラウンド(例えば、バネコードグラウンド)226、ブレーキアクチュエータ228、バネアクチュエータ230、エンコーダ232、及び/又はハンドストラップ234を含むこともできる。この場合、ブレーキアクチュエータ228及びバネアクチュエータ230は、捩れストリング(twisted string)アクチュエータ235として現れ、それらは
図8に関してより詳細に議論される。
【0021】
ESR触覚コントローラ108は、(この視野において直接的に見えない)エネルギ貯蔵機構236、(ベースの下面にあり、この視野において直接的に見えない)コントローラ238、及び/又は通信コンポーネント240を含むこともできる。エネルギ貯蔵機構236は、第1のキャプスタン202と第2のキャプスタン202との間に接続されることができる。エネルギ貯蔵機構236は、
図3及び
図4において明らかである。通信コンポーネント240は、ワイヤを介した或いはワイヤレスの、コントローラ238と基地局102及び/又はヘッドセット106のような他のデバイスとの間の通信を容易にすることができる。
【0022】
係合アセンブリ112は、センサ242及び/又は出力デバイス244を含むことができ、それらの両方は、この場合、指リング216上に位置付けられ、コントローラ238に通信的に結合されることができる。センサは、とりわけ、加速度計、ジャイロスコープ、カメラ、マイクロホン、及び/又は圧力センサのいずれかを含むことができる。ESR触覚コントローラ108は、6軸センサのような他のセンサを含むこともできる。
【0023】
出力デバイス244は、ユーザに提供される触覚フィードバックを増大させることができるスピーカ、ブザー、アクチュエータ等であることができる。例えば、ユーザが仮想の空のアルミニウム飲料缶を押し潰すシナリオにおいて、キャプスタンアセンブリ114は、ユーザが感じると予想する抵抗を提供することができる一方で、出力デバイスは、音及び/又は振動を介して缶を潰すことに関連する「しわ(crinkling)」を提供する。
【0024】
上述のように、場合によっては、出力デバイス244は、アクチュエータであることができる。例えば、アクチュエータは、VCAの慣性質量に関して広帯域振動触覚作動力(wide-band vibrotactile actuation forces)を提供することができるボイスコイルアクチュエータ(VCA)であってよい。アクチュエータは、触覚フィードバックを提供する音(場合によっては、人間が聴くことのできる音ではなく、音声スペクトル内の振動)を再生することができる。例えば、VCAは、直径9mmのボイスコイルを含んでよく、55~75デシベルの音圧レベルを生成することができてよい。よって、アクチュエータは、力及び固有受容を含む、運動感覚知覚(kinesthetic perception)を提供することができる。
【0025】
コントローラ238は、コントローラに格納された、且つ/或いは基地局102及び/又はヘッドセット106のような他のデバイスから通信された、コンピュータ可読命令に基づいて、ブレーキアクチュエータ228、バネアクチュエータ230、及び/又は出力デバイス244を制御することができる。よって、コントローラ238は、人間の指の動きに抵抗するためのプログラム可能なブレーキの抵抗摩擦を促進することができる。例えば、ユーザの動作に応答して、コントローラ238は、エネルギをエネルギ貯蔵機構236内に貯蔵させるような方法で、ブレーキアクチュエータ228を介してブレーキキャプスタン206を制御し、バネアクチュエータ230を介してバネキャプスタン204を制御することができる。例えば、コントローラ238は、ブレーキキャプスタン206とはわずかに異なる回転抵抗をバネキャプスタン204上で作り出すことができる。この差は、エネルギ貯蔵機構を負荷(ロード)することができる。コントローラ238は、ユーザが彼らの握りを減少させるときに、この貯蔵されたエネルギが「弾性」感触を作り出すことを可能にする。これらの概念の適用は、ESR触覚コントローラ108が、他の潜在的な利点の中でも、実施するための低コスト、簡単、安全、ヒューマンスケールの力で作動、低い待ち時間、高速、及び低電力要求のような、特徴を提供することを可能にする。これらの機能は、以下で更に詳細に議論される。
【0026】
図示の構成は、第1のキャプスタン202及び第2のキャプスタン202を利用して、単一の指に関連する指の動きに対する抵抗を提供することに留意のこと。追加のキャプスタン202を追加して、追加の指及び/又は親指についての抵抗を提供することができる。例えば、別の実装は、ベース208に回転的に固定され、第1及び第2のキャプスタンと同じ又は異なる軸の周りを回転するように構成された、第3及び第4のキャプスタン202を介して、別の指に対する別個の抵抗を提供することができる。第3のキャプスタンと第4のキャプスタンとの間に第2のエネルギ貯蔵機構を接続することができる。第2のユーザ係合アセンブリを第3のキャプスタンに固定することができる。第3のコードが、第3のキャプスタンの周囲に巻き付けられることができ、第3のコードは、ベースに対して固定される第1の端と、ベースに対して固定される第3のアクチュエータに固定される第2の端とを有する。第4のコードが、第4のキャプスタンの周囲に巻き付けられることができ、第4のコードは、ベースに固定される第1の端と、ベースに対して固定される第4のアクチュエータに固定される第2の端とを有する。コントローラは、第1の指に対して第1のキャプスタン及び第2のキャプスタンを制御することができ、第2の指に対しては第3のキャプスタン及び第4のキャプスタンを制御することができる。更に他の実施形態は、ユーザの手に対して作動し、(例えば、手と前腕との間の)手首関節での動きに抵抗する、ように構成されることができる。他の付属物(例えば、関節)のために、類似の実装が構成されることができる。例えば、キャプスタンは、他の構成の中でも、手ループ又は脚ループを有する副木(splint)において、或いは手袋において実装されることができる。
【0027】
図3は、キャプスタン202(2)、コード222、ブレーキキャプスタングラウンド224(ブレーキキャプスタン接地)、及びブレーキアクチュエータ228の関係を示している。キャプスタン202(2)は、ブレーキキャプスタンとして機能することができる。ブレーキキャプスタンは、コードで巻かれたキャプスタン(ドラム)の対数力関係を利用することができる。この力関係において、コード-キャプスタン摩擦は、固定総巻角(wind angle)(φ)及びコードとキャプスタンドラムとの間の固定相互摩擦係数に依存する。
【0028】
【0029】
【0030】
この実施において、ブレーキキャプスタングラウンド224は、より高い張力(Tload)を提供することができ、ブレーキアクチュエータ228は、より低い張力(Thold)を提供することができる。
【0031】
図4は、力の方程式と共に、ESR触覚コントローラ108のブレーキキャプスタンの態様の一部の概略図を示している。(バネキャプスタン及びエネルギ貯蔵機構は含まれない)。コードがキャプスタンドラムに関して移動する殆どのキャプスタンシステムとは異なり、幾つかのESR触覚コントローラ実装におけるキャプスタンは、ユーザの指によって回転される。ブレーキアクチュエータ228は、コードに対して低い張力(T
hold)を加えることができ、コードのより高い張力(T
load)側は、ブレーキキャプスタングラウンド224によってESR触覚コントローラ108に固定(接地)される。よって、ユーザが、小さなアクチュエータ張力の状態で或いはT
holdアクチュエータ張力がない状態で、キャプスタンを反時計回り方向に回転させようとすると、キャプスタン202(2)は、多かれ少なかれ自由に回転することができる。T
hold張力がブレーキアクチュエータ228によって増加されるにつれて、T
loadは指数関数的に増加し、キャプスタン202(2)を反時計回り方向に回転させるのをより困難にする。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
ユーザがキャプスタン202(2)を時計方向に回転させると、キャプスタン202(2)のコード出口点をブレーキアクチュエータ228に近づけることによって、T
holdは自動的に低減される。キャプスタン(指開口)の方向を逆転することによってT
holdが自動的に解放すると、幾つかの実装は、回転の方向に依存して非常に非対称な力を利用することができる。この構成は、指が閉じるとプログラムされた力を可能にし、抵抗力が望まれない場所で指が開くと低い力を可能にする。これらの態様及び他の態様は、
図5~
図7に関連して以下の議論において拡張される。
【0037】
図5~
図7は、ESR触覚コントローラ108の幾つかの実装の幾つかの構成に関するさらなる詳細を集合的に示している。
図5はキャプスタンアセンブリ114の分解図を示している。エネルギ貯蔵機構236は、バネキャプスタン204とブレーキキャプスタン206との間で明らかである。この例において、エネルギ貯蔵機構236は、捻りバネのような、バネ502として現れる。バネ502の一端が、504で示されるように、バネキャプスタン204に接続され、バネ502の他端が、506で示されるように、ブレーキキャプスタン206に接続される。
【0038】
この場合、バネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206は、z基準軸に対して平行な共通の回転軸に沿って垂直に積み重ねられる(例えば、同一の広がりを持つ)。更に、バネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206は、(例えば、xy基準平面で測定された)同じ直径を有するが、他の実装は、異なる直径を有することができる。この場合、バネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206は、垂直方向(例えば、z基準方向)に高さが伸びており、その中に形成された溝508(例えば、螺旋パターンを有する溝)を有する。溝508は、コード220及び222の直径にほぼ等しい(例えば、張力状態でコードの直径のプラス又はマイナス20%の)直径を有することができる。コード220は、バネキャプスタングラウンド226からバネアクチュエータ230へ溝508(1)の周囲に巻き付けられることができる。同様に、コード222は、ブレーキキャプスタングラウンド224からブレーキアクチュエータ228へ溝508(2)の周囲に巻き付けられることができる。溝508は、コードがそれ自体の上に巻かれる可能性を減らし且つ/或いは排除し、それによって、キャプスタンを動作不能にする。この目的のために、幾つかの実装では、コードが溝の中に嵌まって、コードがそれ自体の上に重なり合うあらゆる可能性を更に減少させるように、溝は、溝の幅よりも深くあることができる。
【0039】
1つの観点から、図示の実装は、線形ブレーキ(リニアブレーキ)として使用される改良されたキャプスタン構成と、触覚フィードバックにおいてコンプライアンス(compliance)及びプッシュバック(push-back)を与えるために同じキャプスタンベースのブレーキアプローチを使用する可変剛性バネ機構とを提供することもできる。これは、低コストで、低い待ち時間で、安価且つ簡単な捩りバネアクチュエータを用いて達成されることができ、捻りバネアクチュエータの低力は、エネルギ貯蔵機構によって拡大される。この態様は、以下に記載される。
【0040】
バネキャプスタン204又はブレーキキャプスタン206のいずれかをバネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206の他方に対して回転させることは、バネ502に力を加えることができる。力は、バネ502に貯蔵され、その後、解放されることができる。例えば、ユーザは、キャプスタンアーム212に力を加えて、キャプスタンアームを回転させてよい(例えば、把持又は狭窄運動)。ブレーキキャプスタンの回転に対する抵抗は、ブレーキアクチュエータによって設定されることができる。キャプスタンアーム212をブレーキキャプスタン206に固定できることを思い出されたい。キャプスタンアーム212を回転させることは、バネキャプスタン204が静止したままであるか或いはバネアクチュエータに対する張力によって制御される故により少なく回転する間に、ブレーキキャプスタン206を回転させることができる。これはバネ502に力を加えることができ、それは(ユーザからの)エネルギをバネ内に貯蔵させることができる。この貯蔵されたエネルギは、キャプスタンアーム212で反対の回転力を生成して、弾性オブジェクト(例えば、フォームボール)を圧搾することを模倣することができる。
【0041】
バネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206は、任意の固体材料から形成されることができる。溝は、キャプスタンが形成された後に成形される或いは機械加工されることのような様々な方法において形成されることができる。コード220及び222は、ポリマ、コポリマ、金属等のような、様々な材料から形成されることができる。コードは、(例えば、包装された(wrapped)又は編んだ(braided))単一ストランド又はマルチストランドであることができる。キャプスタン及びコード材料の任意の組み合わせを利用することができるが、幾つかの実施形態は、特定の特性を示す材料のペアを選択することができる。この態様は、以下により詳細に記載される。
【0042】
殆どのキャプスタンシステムと同様に、コードとキャプスタン(例えば、ドラム)との間の摩擦関係は、静的(コードに関して移動しないキャプスタン)又は動的(回転するキャプスタン)のいずれかである傾向があり、通常、キャプスタンを使用する殆どの用途で非常に異なることに留意のこと。幾つかの実装は、例えば、20%以下のような又は10%以下でさえあるような、キャプスタン及びコードの静摩擦係数とキャプスタン及びコードの運動摩擦係数又は動的摩擦係数との間に比較的小さな差を有する、キャプスタン及びコードのための材料のペアを選択することができる。静摩擦と動摩擦との間の比較的小さな差及びヒステリシス(小さなスティックスリップ係数)は、単に二値(オン/オフ)モードではなく、直線的な方法におけるブレーキの作動を可能にすることができる。
【0043】
材料のペアの一例は、ベクトラン(Celanese CorporationからのLCDプラスチック)コードと共にドラム材料のためのアセタール(例えば、デルリン(登録商標))を含むことができる。この組み合わせは、ほぼ直線的なブレーキ操作が可能にすることができる。更に、アセタールでの滑りやすさの他に、ベクトランは、非常に高い伸縮抵抗及び低いクリープ(creep)を有する。
【0044】
図3及び
図4に関して上述したように、ユーザがキャプスタン202(2)を時計方向に回転させると、キャプスタン202(2)のコード出口点をブレーキアクチュエータ228により近く移動させることによって、T
holdが自動的に低減されることを思い出されたい。キャプスタン(指開口)の方向を逆転させることによってT
holdを自動的に解放することで、幾つかの実装は、回転方向に依存する高度に非対称な力を利用することができる。この構成は、指が閉じるときにプログラムされた力を可能にし、抵抗力が望まれない場所で指が開くときに低い力を可能にする。
【0045】
しかしながら、実際には、キャプスタン204、206に対するコード220、222の付着力(sticking force)は、強い閉鎖力事象の後に存在し得るので、ユーザが指を開くときに、実際には、全ての張力が解放されない。これは、少なくとも部分的には、キャプスタンの柔らかいアセタールに部分的に着座しているベクトランコードの織物(weave)に起因する。
【0046】
付着力に対する1つの解決策は、指位置エンコーダ232で達成されることができる。指位置エンコーダは、ベース208上の点に対するキャプスタンアーム212の角度向きを提供することができる。指位置エンコーダ232からの情報が、ユーザが指を開いていることを示すとき、コントローラ238は、ブレーキアクチュエータ228に小さな逆パルスを加えることができ、それはコード222で低側の張力を更に解放し、よって、ブレーキキャプスタン206(例えば、ドラム)を解放して自由に回転させる。
【0047】
よって、触覚コントローラ108は、ブレーキキャプスタン202を介して(ほぼ)線形のブレーキ機能性を提供することができる。触覚コントローラ108は、エネルギ貯蔵機構236及びバネキャプスタン204と組み合わせにおいて同じキャプスタンベースのブレーキアプローチを使用して、可変剛性バネ機能性を提供して、触覚フィードバックにおいてコンプライアンス及びプッシュバックを与えることができる。
【0048】
図6は、ESR触覚コントローラ108Aの代替的なキャプスタンアセンブリ114Aを示している。このキャプスタンアセンブリ114Aは、たとえ溝508がz基準軸の周囲で同じ(又は類似の)数のラップ(wraps)を作ることができるとしても、垂直方向に拘束される(例えば、z基準方向においてより少ない空間を占める)平坦化されたバネキャプスタン204及びブレーキキャプスタン206を利用することができる。この場合、溝は、平坦化されたディスク形状のキャプスタンの両側に螺旋パターンを形成することができる。説明の目的のために、このキャプスタンは、一方の側の溝508から他方の側の溝508へのパススルー(通路)(passthrough)を有する蓄音機レコードに類似していると考えられることができる。螺旋キャプスタン実装は、キャプスタンアセンブリの全体的なサイズを低減することができ、様々なハンドヘルドESR触覚コントローラ108A、特に複数の指を独立してアドレス指定するハンドヘルドESR触覚コントローラ108Aに含めるために、それをより適合可能にする。
【0049】
図7は、平坦化されたキャプスタン構成を利用する別のキャプスタンアセンブリ114Bを示している。この場合、溝304(2)は、複数の平坦化された「ミニキャプスタン」702(これらの全てが特異性をもって指定されているわけではない)によって定義される。平坦化されたミニキャプスタン702は、回転軸の周りに半径方向に配置される(例えば、回転軸は、z基準軸に対して平行である)。キャプスタンのコードの総ラップは、個々のミニキャプスタンの周りのラップの合計として計算されることができる。
【0050】
図8は、捩れストリングアクチュエータ235(twisted string actuator)として現れるバネアクチュエータ230の詳細を示している。これらの詳細は、ブレーキアクチュエータ228に等しく適用可能である。コントローラ238は、モータ802に電気的に結合される。モータ802の出力シャフト804は、捩れストリング機構808の近接端806(例えば、ハブ)に接続される。捩れストリング機構は、回転的に固定されるが、摺動アームとして機能することができる。コード220は、バネループ810に接続される。バネループ810は、コードと捩れストリング機構808の遠位端812との間に延在する。ストリング又はコード814は、捩れストリング機構808の近位端806から延び、遠位端812の周囲をループし、近位端806に戻ることができる。
【0051】
インスタンス1は、捩れバネアクチュエータが長さL1を有する、巻き戻された状態の捩れストリングアクチュエータ235を示している。インスタンス2は、コントローラ238がモータ802をアクティブ化させ、出力シャフトを第1の方向(例えば、時計回り又は反時計回り)に回転させた、巻かれた状態の捩れストリングアクチュエータ235を示している。出力シャフトは回転し、コード814を巻き、それは捩れストリングアクチュエータ235の長さL2を短くしている。換言すれば、コード814がモータ802によって巻かれると、コードは、バネループ810に結合された摺動アームを引っ張り、モータに供給される電流に対する関数としてキャプスタンのHOLD側にコード張力を加える。この長さの短縮は、バネループ810を介してコード220に張力をかける。バネループに対する張力は、バネループ810をわずかに拡張させることができ、それは巻かれた状態においてコードに対する張力を一貫して維持するのを助けることができる。換言すれば、引っ張りが増加し、キャプスタンが回転するにつれて、小さな見かけのコード伸張を補うために、バネループ810は、アクチュエータに加えられたコンプライアンス機能を果たすことができ、HOLD及びLOAD張力の両方を少量だけ変化させる。
【0052】
巻かれた状態において、コード220に対する張力は、出力シャフトを更に同じ方向に回転させることによって容易に調整されることができ、或いは出力シャフトを反対方向に回転させることによって低減させることができる。
【0053】
任意のタイプのアクチュエータを利用することができるが、捩れストリングアクチュエータ(TSA)235は、電気エネルギを機械的エネルギに変換することにおける効率に加えて、その逆駆動性(back-drivability)を提供することができ、それはスパーギア(平歯車)のようなギアを用いるよりも良い。また、そのエネルギ変換効率に加えて、低慣性負荷及びコアレスモータ設計の故に、応答及び待ち時間は、他の合理的な価格のオプションよりもはるかに速いことができる。TSAは、ギアを備えたアクチュエータに特徴的なものよりも少ないノイズを生む傾向もある。更に、捩れバネアクチュエータは、ユーザが検出可能な遅れを回避するために、比較的迅速な応答時間を提供することができる。更に、TSAは、しばしば、それらの低い力の故に好ましくないと見なされるが、キャプスタンアセンブリは、コントローラからの高い張力の力に依存せず、よって、あらゆる潜在的に負の側面を最小限に抑えながら、TSAの有利な側面を活用することができる。
【0054】
様々な態様を上記で詳細に議論した。これらの態様のコンテキストは、
図2に戻ることによって提供されることができる。コントローラ238は、指位置エンコーダ232からの入力に基づいてESR触覚コントローラ108を制御することができる。コントローラ238は、ブレーキキャプスタン206に噛合された回転ポテンショメータエンコーダ出力を変換することができる。コントローラ238は、
図3及び
図4のキャプスタン方程式に従う抵抗における予測可能かつ反復可能な力を生成することができるパルス幅変調(PWM)信号を介してそれぞれのアクチュエータを駆動することによって、その力フィードバック挙動及びバネ係合を調整することができる。
【0055】
この構成は、多くの触覚シナリオを合成することができる。指位置エンコーダ232がオブジェクトとの適切な接触位置を報告すると、コントローラ238は、ブレーキアクチュエータ228を介してキャプスタンブレーキ206を所望の低い張力に作動させることができ、この低い張力は、ユーザの指に抵抗力として直ちに機械的に伝達される。例えば、粘土のような、剛性オブジェクトよりも硬くないものを圧搾する絞るシミュレーションのために、ブレーキアクチュエータ228は、剛性材料よりも少ない力で作動するように命令される。ユーザは、粘土との接触を感じるが、十分な加えられる力で、粘土を圧搾し且つ変形させることができ、適切な視覚がVRディスプレイに現れる。
【0056】
コントローラ238は、仮想オブジェクトが押し戻すシナリオ(例えば、ユーザの指を押すデバイスからの能動的な力)を更に合成して、バネ又は他のコンプライアントな触覚をシミュレートすることができる。コントローラ238は、バネ502又は弾性バンドのような他のエネルギ貯蔵機構236を通じてブレーキキャプスタン206に接続される第2のもの(例えば、バネキャプスタン204)を使用することによって、コンプライアンスの触覚知覚を合成することができる。この第2のキャプスタン(例えば、バネキャプスタン204)は、適切なときにバネに係合するクラッチとして機能することができる。
【0057】
バネキャプスタン204は、その高圧負荷(T
Load)コード側を、第2の低圧アクチュエータ(例えば、バネアクチュエータ230)に接続された低圧(T
Hold)側及びバネキャプスタングラウンド226を介してコントローラ本体又はベース208に接地させることもできる。バネ及びブレーキキャプスタンの作動がないならば、それらは指が閉じると自由に回転する。バネキャプスタン204のみが最大の力で作動されるならば、指移動及びブレーキキャプスタン206は、回転バネ(例えば、エネルギ貯蔵機構236)及びキャプスタンを通じてグラウンドに接続される。この場合、ユーザは、一定のバネ係数kで、バネを狭窄することを経験する。よって、以下の通りである。
【数0007】
【0058】
この場合、kは、定数であることに留意のこと。バネキャプスタン204が、より小さな作動力の故に滑ることが許容され、且つ/或いは線形制動力を加えるならば、コントローラ238は、ユーザが感じるバネ定数k’を変調することができる。知覚されるコンプライアンスは、今や、固定バネ定数、バネキャプスタンがどれだけ滑るか、及びどれだけブレーキが加えられるかの関数である。コントローラ238は、これらの変数を使用することによって、多くの異なる知覚されたバネ挙動を合成するようにプログラムされることができる。
【0059】
図9は、本概念の幾つかの実装と一致する、システム100のさらなる詳細を示している。システム100は、ESR触覚コントローラ108、ヘッドセット106、基地局102、及び/又は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パッド型コンピュータ、モバイルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、カメラ、アプライアンス、スマートデバイス、IoTデバイス、車両等、及び/又は進化し続ける或いは未だ開発されていない無数のタイプのコンピューティングデバイスのいずれかのような、他のデバイス900を含んでよい。上述のように、これらのデバイス900のいずれも、所与の機能性を達成するために自立した態様で作動することができ、或いはその機能性を達成するために他のデバイスと協働して作動することができる。
【0060】
図9は、ESR触覚コントローラ108、ヘッドセット106、基地局102、及び/又は他のデバイスによって利用されることができる2つの例示的なデバイス構成902を示している。ESR触覚コントローラ108のような個々のデバイスは、構成902(1)もしくは902(2)のいずれか、又は代替的な構成を利用することができる。(図面のページ上の空間制約の故に、各デバイスに対するデバイス構成を示すのではなく、各デバイス構成の1つのインスタンスが図示される)。簡潔には、デバイス構成902(1)は、オペレーティングシステム(OS)中心構成を表している。デバイス構成902(2)は、システムオンチップ(SPC)構成を表している。デバイス構成902(1)は、1つ以上のアプリケーション904、オペレーティングシステム906、及びハードウェア908に編成される。ハードウェア908は、記憶装置/メモリ910と、プロセッサ912とを含むことができる。ベースアセンブリ110、係合アセンブリ111、及びキャプスタンアセンブリ114のような他のハードウェア908が、
図2に関して上記で詳細に記載されており、ここでは再び紹介されない。デバイス構成902(2)は、共用リソース914、専用リソース916、及びそれらの間のインタフェース918に編成される。
【0061】
コントローラ238は、記憶装置/メモリ910に格納され、プロセッサ912によって実行される、ソフトウェアとして現れてよい。他の場合において、コントローラ238は、マイクロコントローラのような、専用ハードウェア又はファームウェアコントローラであってよい。コントローラは、仮想現実シナリオ、トレーニングシナリオ等のような、シナリオに関連する情報を受信することができる。情報は、とりわけ、オブジェクトの弾力性、及び/又はテクスチャのような、ユーザが把持しているオブジェクトの特性に関する情報を含むことができる。コントローラは、とりわけ、指、腕、又は脚のような、ユーザの身体部分に関する情報を受信することもできる。コントローラは、ESR触覚コントローラ108のようなデバイスを制御する信号を生成して、ユーザが「実際の」物体を把持するときに経験する触覚フィードバックを合成することができる。
【0062】
本明細書で使用するとき、「デバイス(device)」、「コンピュータ(computer)」、又は「コンピューティングデバイス(computing device)」という用語は、ある量の処理能力及び/又は記憶能力を有する任意のタイプのデバイスを意味し得る。処理能力は、機能性を提供するために、コンピュータ可読命令の形態におけるデータを実行することができる1つ以上のプロセッサによって提供されることができる。コンピュータ可読命令及び/又はユーザ関連データのようなデータは、デバイスの内部又は外部にあることができる記憶装置のような、記憶装置に格納されることができる。記憶装置は、とりわけ、揮発性又は不揮発性メモリ、ハードドライブ、フラッシュ記憶デバイス、及び/又は光記憶装置(例えば、CD、DVDなど)、遠隔記憶装置(例えば、クラウドベースの記憶装置)のうちの任意の1つ以上を含むことができる。本明細書で使用するとき、「コンピュータ可読媒体(computer-readable media)」という用語は、信号を含むことができる。対照的に、「コンピュータ可読記憶媒体(computer-readable storage media」という用語は、信号を含まない。コンピュータ可読記憶媒体は、「コンピュータ可読記憶デバイス(computer-readable storage device)」を含む。コンピュータ可読記憶デバイスの例は、とりわけ、RAMのような揮発性記憶媒体、及びハードドライブ、光ディスク、及びフラッシュメモリのような不揮発性記憶媒体を含む。
【0063】
上述のように、デバイス構成902(2)は、システムオンチップ(SOC)タイプの設計であると考えられることができる。そのような場合、デバイスによって提供される機能性は、単一のSOC又は複数の結合されたSOC上に統合されることができる。1つ以上のプロセッサ912は、記憶装置/メモリ910などのような共用リソース914、及び/又は特定の具体的な機能性を実行するように構成されたハードウェアブロックのような1つ以上の専用リソース916と協調するように構成されることができる。よって、本明細書で使用するとき、「プロセッサ(processor)」という用語は、中央処理装置(CPU)、グラフィカル処理装置(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、プロセッサコア、及び/又は他のタイプの処理デバイスを指すこともできる。
【0064】
一般的に、本明細書に記載する機能性のいずれも、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、固定論理回路)、又はこれらの実装の組み合わせを使用して実装されることができる。本明細書で使用するとき、「コンポーネント(構成要素)(component)」という用語は、一般的に、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、デバイス全体もしくはネットワーク、又はそれらの組み合わせを表す。例えば、ソフトウェア実装の場合、これらは、プロセッサ(例えば、CPU又は複数のCPU)で実行されるときに指定されるタスクを実行するプログラムコードを表すことがある。プログラムコードは、コンピュータ可読記憶媒体のような、1つ以上のコンピュータ可読メモリデバイスに格納されることができる。コンポーネントの構成及び技術は、プラットフォームに依存せず、それはそれらが様々な処理構成を有する様々な商用コンピューティングプラットフォームに実装される場合があることを意味する。
【0065】
図10は、オブジェクトのシミュレーションに関する例示的な方法1000を図示するフローチャートを示している。行為1002において、方法は、仮想オブジェクトに関する情報を受信することができる。情報は、サイズ、テクスチャ、硬度、弾力性等のような、様々な特性を含むことができる。行為1004において、方法は、仮想オブジェクトのユーザ係合(user engagement)についての他の情報を受信することができる。他の情報は、圧力センサ及び/又は位置センサのような、様々なセンサから得られることができる。例えば、位置センサは、ユーザが係合している要素の回転を引き起こしている仮想オブジェクトに対してユーザが力を加えていることを示すことができる。例えば、ユーザ係合は、ベースに対するキャプスタンアームの回転を引き起こすことがある。圧力センサは、ユーザが係合で作り出している圧力を直接的に又は間接的に感知することがある。例えば、指リング内に位置付けられる圧力センサは、ユーザが指リングに対して生成している圧力を感知することがある。同様に、キャプスタンアームは、ユーザの前腕に対する手の動きが位置センサ及び/又は圧力センサによって感知されるように、ユーザの手首を横切って延びることができる。
【0066】
行為1006において、方法は、信号を送信して、第1のキャプスタン及び/又は第2のキャプスタンを制御して、ユーザ係合に対する抵抗を提供してよい。信号は、少なくとも部分的には、情報及び他の情報に基づくことができる。幾つかの構成において、信号は、第1及び/又は第2のキャプスタンに関連するアクチュエータのような、アクチュエータに向けられてよい。
【0067】
行為1008において、方法は、少なくとも部分的に、信号に基づいて、ユーザ係合に対する抵抗を生成することができる。例えば、第1のキャプスタンは、ブレーキキャプスタンであってよい。物体が非弾性オブジェクトであるならば、ブレーキキャプスタンの作動は、「現実の」物体と係合するときに感じる抵抗をシミュレートすることができる。信号は、ブレーキキャプスタンでコードに張力をかけるアクチュエータに通電するために使用されることができる。オブジェクトが弾性的であるならば、第2のキャプスタン(例えば、バネキャプスタン)に信号を送ることによって、ユーザ係合に抵抗しながら、エネルギを貯蔵することができる。この貯蔵されたエネルギは、ユーザが係合を低減する(例えば、硬く狭窄するのを止める)ときに、オブジェクトの弾性的性質をシミュレートするために利用されることができる。ある場合には、2つのキャプスタンは、エネルギ貯蔵機構によって相互接続されることができる。2つのキャプスタンの間の相対的な回転を制御することによって、エネルギは、エネルギ貯蔵機構に蓄えられることができる。このエネルギは、オブジェクトの弾性特性を合成するために放出されることができる。方法は、このエネルギを生成する必要がなく、代わりに、ユーザ係合によって加えられるエネルギを貯蔵することができる。
【0068】
様々な例が上記に記載されている。追加的な例が以下に記載される。一例は、ベースと、ベースに回転的に固定され、共通の軸の周りで回転するように構成される、第1のキャプスタン及び第2のキャプスタンと、第1のキャプスタンと第2のキャプスタンとの間に接続されるエネルギ貯蔵機構と、第1のキャプスタンに固定されるユーザ係合アセンブリと、第1のキャプスタンの周りに巻かれ、ベースに対して固定される第1の端と、ベースに対して固定される第1のアクチュエータに固定される第2の端とを有する、第1のコードと、第2のキャプスタンの周りに巻かれ、ベースに対して固定される第1の端と、ベースに対して固定される第2のアクチュエータに固定される第2の端と、を有する、第2のコードとを含む、デバイスを含む。
【0069】
別の例は、ベースが、ハンドル、副木、又は手袋を含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0070】
別の例は、ハンドルが、共通の軸と同一の広がりを持つ、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0071】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンの高さ及び幅が同一であるか、或いは、前記第1及び第2のキャプスタンの高さ及び/又は幅が異なる、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0072】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンが、共通の軸に沿って細長いか、或いは、前記第1及び第2のキャプスタンが、共通の軸に沿って平坦化されている上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0073】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンが、溝付きである、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0074】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンが、螺旋パターンにおいて溝付きである、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0075】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンが、渦巻きパターンにおいて溝付きである、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0076】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンが、第1及び第2のコードの直径と等しい直径を有する螺旋溝を画定する、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0077】
別の例は、第1及び第2のキャプスタンの材料並びに第1及び第2のコードの材料が、互いの10%である静摩擦係数及び動摩擦係数を有する、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0078】
別の例は、第1及び第2のアクチュエータが、第1及び第2の捩れストリングアクチュエータを含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0079】
別の例は、エネルギ貯蔵機構が、バネを含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0080】
別の例は、ユーザ係合アセンブリが、アームと、指リングとを含むか、或いは、前記ユーザ係合アセンブリが、アームと、ハンドループとを含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0081】
別の例は、デバイスが、ベースに対するアームの角度向き及び/又はベースに対するアームの回転を感知するように構成されるセンサを更に含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0082】
別の例は、センサが、アームを直接的に感知するか、或いは、センサが、前記第1及び/又は第2のキャプスタンを感知する、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0083】
別の例は、センサが、指位置エンコーダを含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0084】
別の例は、デバイスが、少なくとも部分的にセンサからのデータに基づいて第1及び第2のアクチュエータの作動を制御するように構成されるコントローラを更に含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0085】
別の例は、デバイスが、ベースに回転的に固定され、共通の軸の周りで回転するように構成される、第3および第4のキャプスタンと、第3及び第4のキャプスタンの間に接続される第2のユーザ係合アセンブリと、第3のキャプスタンの周りに巻かれ、ベースに対して固定される第1の端と、ベースに対して固定される第3のアクチュエータに固定される第2の端とを有する、第3のコードと、第4のコードの周りに巻かれ、ベースに対して固定される第1の端と、ベースに対して固定される第4のアクチュエータに固定される第2の端とを有する、第4のコードと、を更に含む、上記及び/又は下記の例のいずれかを含むことができる。
【0086】
別の例は、ベースに回転的に固定される第1及び第2のキャプスタンと、第1及び第2のキャプスタンの間に接続されるエネルギ貯蔵機構と、第1のキャプスタンに固定されるユーザ係合アセンブリと、1及び第2のキャプスタンが受ける回転摩擦を制御することによってユーザ係合アセンブリに加えられる回転力を制御するように構成されるコントローラと、を含む、デバイスを含むことができる。
【0087】
別の例は、仮想オブジェクトに関する情報を受信することと、仮想オブジェクトのユーザ係合に関する他の情報を受信することと、信号を送信して第1のキャプスタン及び/又は第2のキャプスタンを制御してユーザ係合に対する抵抗を提供することと、を含むことができる。
【0088】
様々な例が上記に記載されている。主題事項は、構造的構成及び/又は方法論的行為に特有の言語で記載されているが、添付の請求項において定義された主題事項は、必ずしも上述の特定の構成または行為に限定されない。むしろ、上述の特定の構成及び行為は、請求項を実施する例示的な形態として提示され、当業者によって認識される他の構成及び行為は、請求項の範囲内であることが意図される。