(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】側柵支持機構及びこれを備えたベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 7/05 20060101AFI20240910BHJP
A47C 21/08 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61G7/05
A47C21/08 Z
(21)【出願番号】P 2020161278
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】392030623
【氏名又は名称】株式会社ランダルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 匡行
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-120647(JP,U)
【文献】特開2011-080303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0097778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00-7/16
A47C 17/00-23/34;29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドフレームの側部に設けられて側柵を支持する側柵支持機構
を備えたベッドであって、
前記ベッドフレームの側部に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり前記突出位置において前記側柵を支持可能とする支持部材と、
前記支持部材を前記突出位置に向けて付勢する付勢部材と、
前記支持部材を前記収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構と、
前記ベッドフレームの側部に沿って設けられ下方側が上方側に対して前記幅方向の内側に変位した傾斜面と、
を備え
、
前記支持部材は、前記収納位置において前記傾斜面の一部を構成する、
ベッド。
【請求項2】
請求項1記載の
ベッドであって、
前記支持部材は、前記突出位置において回動中心側から前記幅方向で最も突出した部分へかけて前記幅方向の突出量が漸次大きくなる、
ベッド。
【請求項3】
請求項2記載の
ベッドであって、
前記支持部材は、前記突出位置において前記最も突出した部分から前記回動中心に対する反対側へ前記幅方向の突出量が漸次小さくなる、
ベッド。
【請求項4】
請求項2又は3記載の
ベッドであって、
前記支持部材は、前記最も突出した部分の側面が曲面である、
ベッド。
【請求項5】
請求項2~4の何れか一項に記載の
ベッドであって、
前記支持部材は、前記側柵を支持するための支持部を有し、
前記支持部は、前記突出位置において回動中心に対して前記ベッドフレームの長手方向にずれた、
ベッド。
【請求項6】
請求項5記載の
ベッドであって、
前記支持部は、前記支持部材の前記幅方向で最も突出した部分に対して幅方向の内側且つ前記長手方向で前記回動中心から遠位に配置された、
ベッド。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の
ベッドであって、
前記付勢部材は、捩じりばねである、
ベッド。
【請求項8】
ベッドフレームの側部に設けられて側柵を支持する側柵支持機構であって、
前記ベッドフレームの側部に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり前記突出位置において前記側柵を支持可能とする支持部材と、
前記支持部材を前記突出位置に向けて付勢する付勢部材と、
前記支持部材を前記収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構と、
を備え、
前記支持部材は、前記突出位置において回動中心側から前記幅方向で最も突出した部分へかけて前記幅方向の突出量が漸次大きくなり、前記突出位置において前記最も突出した部分から前記回動中心に対する反対側へ前記幅方向の突出量が漸次小さくなる、
側柵支持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側柵を支持するための側柵支持機構及びこれを備えたベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や介護施設での看護や介護の他、在宅看護や在宅介護等で利用されるベッドには、掛布団の落下防止や利用者が掴まるため等の理由から、ベッドフレームの側部に側柵支持機構を介して側柵を支持したものがある。こうした側柵支持機構としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1の側柵支持機構は、側柵を支持可能とする突出位置の支持部材をベッドフレームの側部に対して収納可能とし、側柵を取り外した後にベッドフレームの側部に支持部材を収納することで邪魔にならないように構成されている。
【0004】
しかし、支持部材は、突出位置と収納位置とのそれぞれにおいて動かないように保持される構成となっているので、突出位置や収納位置とするのに手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、支持部材を突出位置や収納位置とするのに手間がかかっていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベッドフレームの側部に設けられて側柵を支持する側柵支持機構を備えたベッドであって、前記ベッドフレームの側部に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり前記突出位置において前記側柵を支持可能とする支持部材と、前記支持部材を前記突出位置に向けて付勢する付勢部材と、前記支持部材を前記収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構と、を備え、前記支持部材は、前記突出位置において回動中心側から前記幅方向で最も突出した部分へかけて前記幅方向の突出量が漸次大きくなり、前記突出位置において前記最も突出した部分から前記回動中心に対する反対側へ前記幅方向の突出量が漸次小さくなることを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に支持部材を突出位置や収納位置としつつ保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】側柵支持機構を有するベッドを示す斜視図である(実施例1)。
【
図2】
図1のベッドを一部省略して示し、側柵支持機構の支持部材が収納位置にあるときの正面図である(実施例1)。
【
図3】
図1のベッドのベッドフレームの要部を示し、側柵支持機構の支持部材が突出位置にあるときの平面図である(実施例1)。
【
図4】
図1のベッドのベッドフレームの要部を示し、側柵支持機構の支持部材が収納位置にあるときの平面図である(実施例1)。
【
図5】側柵支持機構の断面図であり、(A)は支持部材が突出位置にあるとき、(B)は支持部材が収納位置にあるときを示す(実施例1)。
【
図6】
図4の側柵支持機構を一部省略して示し、支持部材が収納位置にあるときの要部斜視図である(実施例1)。
【
図7】
図6の側柵支持機構を示し、支持部材が突出位置にあるときの平面図である(実施例1)。
【
図8】
図6の側柵支持機構を示し、支持部材が収納位置にあるときの平面図である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
容易に支持部材を突出位置や収納位置とするという目的を、付勢部材により支持部材を突出位置へと付勢すると共に収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構により支持部材を保持することで実現した。
【0011】
すなわち、側柵支持機構(15)は、ベッドフレーム(5)の側部(13)に設けられて側柵(17)を支持するものであって、ベッドフレーム(5)の側部(13)に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり、突出位置において側柵(17)を支持可能とする支持部材(21)と、支持部材(21)を突出位置に向けて付勢する付勢部材(23)と、支持部材(21)を収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構(25)と、を備える。
【0012】
支持部材(21)は、突出位置において、回動中心(31)側から最も突出した部分(37)へかけて幅方向の突出量が漸次大きくなる構成としても良い。
【0013】
支持部材(21)は、突出位置において、最も突出した部分(37)から回動中心(31)に対する反対側へ幅方向の突出量が漸次小さくなる構成としても良い。
【0014】
支持部材(21)は、最も突出した部分(37)の側面(37a)が曲面であってもよい。
【0015】
支持部材(21)は、側柵17を支持するための支持部(35)を有し、支持部(35)は、突出位置において回動中心(31)に対してベッドフレームの長手方向にずれた構成であってもよい。
【0016】
支持部(35)は、支持部材(21)の幅方向で最も突出した部分(37)に対して幅方向の内側且つ長手方向で回動中心(31)から遠位に配置された構成としてもよい。
【0017】
付勢部材は、各種の弾性部材等を用いることが可能であるが、捩じりばねとしてもよい。
【0018】
かかる側柵支持機構(15)を有するベッド(1)は、ベッドフレーム(5)の側部(13)に沿って設けられ、下方側が上方側に対して幅方向の内側に変位した傾斜面(13a)を有し、支持部材(21)は、収納位置において傾斜面(13a)の一部を構成する。
【実施例1】
【0019】
[ベッドの構成]
図1は、本発明の実施例1に係る側柵支持機構を有するベッドを示す斜視図、
図2は、
図1のベッドを一部省略して示し、側柵支持機構の支持部材が収納位置にあるときの正面図である正面図である。
【0020】
本実施例のベッド1は、例えば介護施設や病院等で用いられるものである。このベッド1は、昇降機構3を介してベッドフレーム5が昇降可能に床面等の設置面上に支持されている。ベッドフレーム5上には、ボトム7が取り付けられ、ボトム7上には、マットレス9が載置されている。
【0021】
ベッドフレーム5の長手方向の両側には、ヘッドボード11a及びフットボード11bが立設されている。ベッドフレーム5の幅方向の両側の側部13には、側柵支持機構15を介して側柵17が着脱自在に取り付け可能となっている。なお、
図1では、ベッドフレーム5の幅方向の一側にのみ側柵17が取り付けられている。
【0022】
ベッドフレーム5の側部13は、樹脂等の適宜の材質により形成されている。本実施例の側部13は、幅方向の内側が開口する箱状となっている。この側部13の幅方向の外側面が、側面13aを構成する。側面13aは、ベッドフレーム5の側部13全域に長手方向に沿って設けられている。なお、側部13は、側面13aを構成できれば、板状等であってもよい。
【0023】
側面13aは、下方側が上方側に対してベッドフレーム5の幅方向の内側に変位した傾斜面からなる。なお、側面13aの傾斜角度は、本実施例において上下方向に対して50度程度なっている。
【0024】
かかる側面13aに対し、側柵支持機構15の支持部材21が突出し、突出した支持部材21に側柵17が取り付けられる。
【0025】
図3は、
図1のベッド1のベッドフレーム5の要部を示し、側柵支持機構15の支持部材21が突出位置にあるときの平面図、
図4は、同支持部材21が収納位置にあるときの平面図である。
図5(A)及び5(B)は、側柵支持機構15の断面図であり、
図5(A)は支持部材21が突出位置にあるとき、
図5(B)は支持部材21が収納位置にあるときを示す。
図6は、側柵支持機構15を一部省略して示し、支持部材が収納位置にあるときの要部斜視図である。
図7は、
図6の側柵支持機構15を示し、支持部材21が突出位置にあるときの平面図、
図8は、同支持部材21が収納位置にあるときの平面図である。
【0026】
側柵支持機構15は、
図1~8のように、ベッドフレーム5の両側の側部13に複数設けられている。本実施例では、各側部13に4つ設けられている。各側柵支持機構15は、支持部材21に加え、付勢部材23と、保持解放機構25とを備えている。
【0027】
支持部材21は、ベッドフレーム5の側部13に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり、突出位置において側柵17を支持可能とする。なお、ここでの「突出しない」とは、支持部材21が邪魔にならない程度に突出しないことを意味する。この限りにおいて、支持部材21は、収納位置で側部13に対して全く突出しない場合だけでなく、若干突出する場合も含まれる。
【0028】
本実施例の支持部材21は、アーム部27と、本体部29とで構成されている。
【0029】
アーム部27は、金属等からなる棒状又は板状の部材である。アーム部27の長手方向の一側は、支持部材21の回動中心31としてベッドフレーム5の支持フレーム32に回動自在に支持されている。この支持により、アーム部27は、支持部材21の収納位置におけるベッド1の長手方向に沿った状態から突出位置におけるストッパー33に当接するまでの範囲で回動可能となっている。
【0030】
なお、支持フレーム32は、ベッドフレーム5の側部13において幅方向に突出したフレーム部分である。ストッパー33は、支持フレーム32に一体に設けられて、支持部材21の突出位置においてアーム部27の外面27aに当接して回動を規制する。
【0031】
アーム部27の長手方向の他側は、側柵17を支持するための支持部35を構成している。本実施例の支持部35は、上下方向に沿った筒状に形成され、側柵17の脚部17aを挿入させるようになっている。この支持部35は、突出位置において回動中心31に対してベッドフレーム5の長手方向にずれている。これにより、支持部材21の突出位置において、アーム部27に沿った方向の支持部35と回動中心31との間の長さが、幅方向に沿った支持部35と回動中心31との間の距離よりも長く構成されている。
【0032】
支持部材21は、支持部35と回動中心31との間のアーム部27に沿った部分に対応する領域(後述する一側面29a)が、収納位置において後述する押込み操作されるよう領域となる。従って、アーム部27に沿った方向の支持部35と回動中心31との間の長さが長く取られていることにより、支持部材21の収納位置において押込み操作ができる領域を大きくとることができる。
【0033】
また、支持部35は、突出位置において、後述する頂点37に対して幅方向の内側且つ長手方向で回動中心から遠位に配置されている。これにより、支持部35は、ベッドフレーム5の側部13の傾斜面である側面13aを避けている。このため、支持部35は、側面13aの傾斜に影響を受けずに側柵17の支持に十分な長さを確保できる。
【0034】
このアーム部27には、本体部29が一体的に回動するように取り付けられている。なお、アーム部27と本体部29とは、本実施例のように別体に形成して結合する他、一体に形成してもよい。また、本体部29を省略してアーム部27のみで支持部材21を構成することも可能である。
【0035】
本体部29は、側部13と同材質により、幅方向の内側が開口する箱状に形成されている。この本体部29内にアーム部27が位置している。本実施例の本体部29は、突出位置において、ベッドフレーム5の側部13に対して突出している部分の平面視形状がほぼ三角形状となっている。
【0036】
本体部29において、幅方向の頂点37が支持部材21の幅方向に最も突出した部分を構成する。本体部29の頂点37は、支持部材21の突出位置において、回動中心31に対してベッドフレームの長手方向にずれている。
【0037】
また、本体部29は、突出位置において、長手方向の両側面29a,29bが平面視で逆向きに傾斜している。すなわち、一側面29aは、回動中心31側から頂点37へかけて幅方向の突出量が漸次大きくなり、他側面29bは、頂点37から回動中心31に対する反対側へ幅方向の突出量が漸次小さくなる。本実施例の他側面29bは、平面視において、アーム部27の支持部35の回動軌跡に応じた曲率を有している。一方、本実施例の一側面29aは、平面視において、直状となっている。
【0038】
これら一側面29a及び他側面29bは、頂点37の側面37aによって連続している。頂点37の側面37aは、曲面からなっており、一側面29a及び他側面29bに滑らかに遷移する。
【0039】
この本体部29は、支持部材21の収納位置において、側面13aの一部を構成する。すなわち、収納位置では、本体部29の一側面29aが側部13の側面13aと面一になる。本体部29の一側面29aは、収納位置において、側面13aに倣って下方側が上方側に対してベッドフレーム5の幅方向の内側に変位した傾斜面となっている。
【0040】
この一側面29aの傾斜領域を避けて、本体部29の上面29cには、アーム部27の支持部35が側柵17の脚部17aを挿入可能に開口している。
【0041】
付勢部材23は、支持部材21を突出位置に向けて付勢するものである。本実施例の付勢部材23は、対向フレーム41に支持された捩じりばねによって構成されている。この付勢部材23は、付勢アーム23aが支持部材21のアーム部27に当接して、アーム部27を突出位置へ向けて付勢している。
【0042】
ただし、付勢部材23は、コイルばね等の弾性体によって構成することも可能である。なお、対向フレーム41は、支持フレーム32に取り付けられ、収納位置の支持部材21のアーム部27に幅方向で対向する。
【0043】
保持解放機構25は、支持部材21の収納位置に対する押込みによって、保持及び解放を交互に繰り返すものである。保持解放機構25としては、例えば、ワンタッチキャッチ等と称される市販の部品をそのまま用いることができる。
【0044】
保持解放機構25は、保持及び解放を行うキャッチ本体25aと、キャッチ本体25aによって保持及び解放される保持体25bとを有する。本実施例の保持解放機構25は、キャッチ本体25aが対向フレーム41に取り付けられると共に、保持体25bがアーム部27に取り付けられている。ただし、これとは逆に、キャッチ本体25aがアーム部27に、保持体25bが対向フレーム41に取り付けられてもよい。
【0045】
[動作]
本実施例のベッド1では、側柵17を支持する際に側柵支持機構15の支持部材21を突出位置としておく。すなわち、収納位置の支持部材21を幅方向に押し込み、これにより保持解放機構25のキャッチ本体25aが保持体25bを解放する。
【0046】
このときの押込み操作は、上記のように大きく取られた支持部材21の一側面29aにより行うことができる。このため、押込み操作を介助者等の足によっても行うことが可能となる。
【0047】
保持解放機構25が解放されると、付勢部材23が支持部材21を突出位置へと回動させる。突出位置となった支持部材21は、アーム部27がストッパー33に当接することで位置決められる。この支持部材21の位置決め状態は、付勢部材23の付勢力によって保持される。従って、ワンタッチで容易に支持部材21を突出位置とすることができる。
【0048】
こうして支持部材21が突出位置に位置決められると、支持部35が上下方向で露出する。この支持部35に側柵17の脚部17aを挿入し、側柵17を支持することができる。
【0049】
なお、支持部材21が突出位置にあるときは、側柵17を支持する前及び取り外した後において、ベッド1の周囲にいる介助者や看護者或いはベッド1の利用者等の邪魔になるが、そうした介助者、看護者、利用者の脚等が当たっても付勢部材23の付勢力に抗して収納位置側へ変位する。このため、介助者、看護者、利用者の怪我等を防止できる。特に、本実施例の付勢部材23は、捩じりばねによって構成されているため、支持部材21が突出位置にある時にねじりばね定数が相対的に小さく、支持部材21を突出位置から容易に収納位置側へ変位させることができる。従って、介助者、看護者、利用者の脚等が支持部材21に当たる際に、衝撃をやわらげることができ、より確実に怪我等を防止できる。
【0050】
このとき、支持部材21は、その本体部29が長手方向の両側面29a,29bが頂点37に向かって漸次突出するように逆向きに傾斜しているので、介助者、看護者、利用者等が当たる方向に拘わらずに確実に収納位置側へ変位する。
【0051】
また、ベッド1は、壁等に沿って配置することがあるが、この際には、突出位置の支持部材21をダンパーとして用いることができる。すなわち、支持部材21を壁等に突き当てて付勢部材23の付勢力に抗して押し込み、衝撃や壁やベッド1の損傷等を抑制することが可能となる。
【0052】
側柵17を取り外した後、支持部材21を収納位置とする際には、支持部材21を付勢部材23の付勢力に抗して回動させて変位させる。支持部材21を収納位置まで回動させると、そこから支持部材21を幅方向に押し込む。これにより、保持解放機構25のキャッチ本体25aが保持体25bを保持する。こうして支持部材21が収納位置にワンタッチで位置決められて保持される。
【0053】
このとき、支持部材21は、長手方向の両側面29a,29bが頂点37に向かって漸次突出するように逆向きに傾斜しているので、押込み箇所に拘わらずに確実に収納位置側へ押し込むことを可能とする。従って、粗い押込み操作によっても支持部材21を容易且つ確実に収納位置へ押し込むことができる。
【0054】
また、頂点37の側面37aが曲面であるため、頂点37を押し込んでいるときに押込みの力点を自然と遷移させることができ、足等でも円滑に押込み操作を行うことができる。
【0055】
かかる支持部材21では、介助者が支持部材21を脛等で押込みつつそのままベッドフレーム5の側面13aに脛を当て、介助動作に移ることも可能となる。
【0056】
こうして支持部材21が収納位置に保持された状態では、ベッドフレーム5の側部13の長手方向全域に傾斜面が備えられた構成となる。このため、利用者は、ベッドフレーム5の側部13の位置に拘わらず足を自身の重心に近づけて立ち上がることが可能となる。結果として、利用者は、立ち上がりを容易且つ確実に行うことが可能となる。
【0057】
一方、看護者や介助者は、ベッドフレーム5の側部13の位置に拘わらず、ベッドフレーム5の下に入れつつ脛をベッドフレーム5の側面13aに当て、或いは膝たち状態で膝をベッドフレーム5の下に入れつつ大腿部をベッドフレーム5の側面13aに当てることが可能となる。結果として、看護者や介助者は、看護作業や介助作業を容易且つ確実に行うことが可能となる。
【0058】
[効果]
以上説明したように、本実施例の側柵支持機構15は、ベッドフレーム5の側部13に対して幅方向に突出した突出位置と突出しない収納位置との間で回動可能であり、突出位置において側柵17を支持可能とする支持部材21と、支持部材21を突出位置に向けて付勢する付勢部材23と、支持部材21を収納位置に対する押込みによって保持及び解放を交互に繰り返す保持解放機構25とを備える。
【0059】
従って、支持部材21を収納位置に対して押し込むだけで、ワンタッチで容易に支持部材21を突出位置や収納位置としつつ保持することができる。
【0060】
また、突出位置の支持部材21に介助者、看護者、利用者等が当たっても、付勢部材23の付勢力に抗して収納位置側に支持部材21が変位するため、介助者、看護者、利用者の怪我等を防止できる。本実施例の付勢部材23は、捩じりばねによって構成されているため、介助者、看護者、利用者の脚等が支持部材21に当たる際に、衝撃をやわらげることができ、より確実に怪我等を防止できる。
【0061】
また、支持部材21は、突出位置において回動中心31側から幅方向で最も突出した部分である頂点37へかけて幅方向の突出量が漸次大きくなる。
【0062】
従って、頂点37から回動中心31側にかけて、介助者、看護者、利用者等の当たる方向や押込み操作による押込み方向に拘わらず確実に収納位置側へ支持部材21を回動させ変位させる。このため、より確実に介助者、看護者、利用者の怪我等を防止できる他、粗い押込み操作によっても支持部材21を容易に収納位置へ押し込むことができる。
【0063】
支持部材21は、突出位置において頂点37から回動中心31に対する反対側へ幅方向の突出量が漸次小さくなる。
【0064】
従って、頂点37から回動中心31に対する反対側にかけて、介助者、看護者、利用者等の当たる方向や押込み操作による押込み方向に拘わらず確実に収納位置側へ支持部材21を回動させ変位させる。このため、より確実に介助者、看護者、利用者の怪我等を防止できると共に、より容易に粗い押込み操作によっても支持部材21を収納位置へ押し込むことができる。
【0065】
支持部材21は、頂点37の側面13aが曲面であるため、頂点37の押込み時に力点を自然と遷移させることができる。結果として、足等で円滑に押込み操作を行うことを可能とする。
【0066】
支持部材21は、側柵17を支持するための支持部35を有し、支持部35は、突出位置において回動中心31に対してベッドフレーム5の長手方向にずれている。
【0067】
従って、支持部材21の突出位置において、アーム部27に沿った方向の支持部35と回動中心31との間の長さが、幅方向に沿った支持部35と回動中心31との間の距離よりも長くなる。このため、収納位置において、アーム部27に沿った方向の支持部35と回動中心31との間の領域に対応する一側面29aを大きく確保できる。そして、本実施例では、収納位置において、一側面29aが押込み操作される部分となるので、支持部材21に対する収納位置での押込み操作を足等によっても容易且つ確実に行うことができる。
【0068】
また、支持部35は、支持部材21の幅方向で頂点37に対して幅方向の内側且つ長手方向で回動中心から遠位に配置されているので、ベッドフレーム5の側面13aを構成する領域を避けて側柵17を支持するための十分な支持部35を確保できる。
【0069】
かかる側柵支持機構15を有するベッド1は、ベッドフレーム5の側部13に沿って設けられ、下方側が上方側に対して幅方向の内側に変位した傾斜面からなる側面13aを有し、支持部材21が収納位置において側面13aの一部を構成する。
【0070】
従って、ベッド1では、ベッドフレーム5の側部13の長手方向全域に傾斜面を設けることができ、側部13の位置に拘わらず利用者の立ち上がり或いは看護者や介助者の言語作業や介助作業を容易且つ確実に行わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ベッド
5 ベッドフレーム
13 側部
13a 側面
15 側柵支持機構
17 側柵
21 支持部材
23 付勢部材
25 保持解放機構
27 アーム部
29 本体部
31 回動中心
35 支持部
37 頂点(最も突出した部分)
37a 側面