(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】糖尿病治療のためのペプチド断片
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20240910BHJP
A61K 38/04 20060101ALI20240910BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 51/02 20060101ALI20240910BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240910BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20240910BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
C07K 7/04 20060101ALI20240910BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240910BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240910BHJP
C07K 14/315 20060101ALI20240910BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
A61K 48/00 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K38/04
A61K45/00
A61K51/02 200
A61P1/18
A61P3/00
A61P3/10
A61P5/50
A61P43/00 121
C07K7/04
C07K7/06 ZNA
C07K7/08
C07K14/315
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/10
C12N15/11 Z
C12N15/54
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
A61K48/00
(21)【出願番号】P 2021524174
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2019080563
(87)【国際公開番号】W WO2020094797
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519358380
【氏名又は名称】フォリクム エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アレンフォール,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】エクブラッド,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ダナー,ポントス
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-505750(JP,A)
【文献】国際公開第2004/015390(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/143605(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/317620(US,A1)
【文献】国際公開第2018/202870(WO,A1)
【文献】FEBS Letters,1998年,Vol. 429,pp. 269-273
【文献】Histol Histopathol,2008年,Vol. 23,pp. 157-166
【文献】Molecular Vision,2016年,Vol. 22,pp. 436-445
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 51/00-51/12
A61P 1/00-43/00
C07K 7/00- 7/66
C07K 14/00-14/825
C12N 1/00- 1/38
C12N 5/00- 5/28
C12N 9/99- 9/99
C12N 15/00-15/9
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アミノ酸配列IELSYGIK(配列番号176)を含むペプチドであって、
但し85個以下のアミノ酸残基を含み、
かつKPLAEIDSIELSYGIK(配列番号136)、KCLAECDSIELSYGIK(配列番号141)、KPLAEDISIELSYGIK(配列番号144)、KPLAEISDIELSYGIK(配列番号145)、KPLAEIGDIELSYGIK(配列番号146)、KPLAEGDIELSYGIK(配列番号147)、KPLAEIELSYGIK(配列番号148)、KPLAEIDGIELSYGIK(配列番号150)、KPLAEIGSIELSYGIK(配列番号152)、又はKGLAEIDSIELSYGIK(配列番号153)でない、ペプチド、
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド、
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター、又は
d)b)のポリヌクレオチド、若しくはc)のベクターを含む細胞
を含む、薬剤。
【請求項2】
前記ペプチドが、80個以下の、75個以下などの、70個以下などの、65個以下などの、60個以下などの、55個以下などの、50個以下などの、55個以下などの、40個以下などのアミノ酸、35個以下などの、30個以下などの、28個以下などの、26個以下などの、24個以下などの、22個以下などの、20個以下などの、19個以下などの、18個以下などの、17個以下などの、16個以下などの、15個以下などの、14個以下などの、13個以下などの、12個以下などの、11個以下などの、10個以下などのアミノ酸を含む、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
前記ペプチドが、AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、SIELSYGIK(配列番号175)、DSIELSYGIK(配列番号174)、IDSIELSYGIK(配列番号173)、EIDSIELSYGIK(配列番号172)、及びLAEIDSIELSYGIK(配列番号170)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬剤。
【請求項4】
前記ペプチドが、AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、LAEIDSIELSYGIK(配列番号170)、EIDSIELSYGIK(配列番号172)、IDSIELSYGIK(配列番号173)、DSIELSYGIK(配列番号174)、SIELSYGIK(配列番号175)、及びIELSYGIK(配列番号176)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
前記ペプチドが、AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、EIDSIELSYGIK(配列番号172)、IDSIELSYGIK(配列番号173)、DSIELSYGIK(配列番号174)、及びSIELSYGIK(配列番号175)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の薬剤。
【請求項6】
前記ペプチドが、ポリエチレングリコール(PEG)、単糖、フルオロフォア、クロモフォア、放射性化合物、及び細胞透過ペプチドからなる群から選択される部分などの、部分にコンジュゲートされる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項7】
前記ペプチドが、グリコシル化される又はペグ化、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化及び/又はアルキル化によりなど、さらに修飾される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項8】
前記ペプチドが、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)若しくはプロテインAなどの、別のポリペプチドに融合される、又はオリゴヒスチジンタグなどの、タグに融合される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項9】
前記ペプチドが、環状である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項10】
検出可能な部分をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項11】
個体における膵臓の疾患、障害又は損傷の診断のための診断組成物の調製のための、請求項1~
10のいずれかに記載の薬剤の使用。
【請求項12】
請求項1~
10に記載の薬剤を含む組成物。
【請求項13】
ヒトなどの哺乳動物における糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害、インスリン抵抗性症候群、グルコース耐性障害、高血糖症、高インスリン血症、又はそれらの任意の組み合わせの治療における使用するための請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、特定糖尿病、及び不特定糖尿病からなる群から選択される、請求項
13に記載の使用のための請求項
12に記載の組成物。
【請求項15】
前記薬剤又は組成物が、インスリン、グルカゴン様ペペプチド-1(GLP-1)、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、メグリチニド及びナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤からなる群から選択される有効成分などの、第2の又はさらなる有効成分を含む、請求項
13又は
14に記載の使用のための請求項
12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、糖尿病及び関連障害の治療に有用なペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
膵臓のランゲルハンス島のβ細胞によって産生されるペプチドホルモンのインスリンは、血糖値の増加に応答して放出される。そのため、グルコースは、標的組織、例えば、脂肪組織、骨格筋及び肝臓の細胞膜に位置するグルコーストランスポーターのインスリン依存刺激によって血液から取り除かれる。インスリンは、膜結合型インスリン受容体(IR)に結合すること、及びそれを活性化すること、それにより、グルコース及び脂質の代謝などの複数の生物学的プロセスを調節する細胞内シグナル伝達事象のカスケードを開始することによりその生物学的効果を発揮する。
【0003】
現在、1型糖尿病と2型糖尿病の両方の糖尿病の治療は主に、インスリン治療に依存している。インスリン治療への補充物は、長時間作用型グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト、すなわち、GLP-1と同じ受容体に作用する誘導体である。GLP-1は、インスリン分泌を刺激する代謝ホルモンである。グルコース依存的に膵臓からのインスリン分泌を増加させることに加え、GLP-1は、α細胞とβ細胞の両方でインスリン感受性を増加させること;β細胞の質量とインスリン発現、翻訳後修飾、及び分泌を増加させること;並びに膵臓からのグルカゴン分泌を減少させることが知られている。血漿グルコースレベルを低下させる目的でインスリン治療への補充として使用される他の薬物は、DPP-IV阻害剤、メトホルミン、SGLT-2阻害剤及びスルホニル尿素を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体重の増加並びに癌及び低血糖のリスクの増加などのいくつかの欠点は、インスリンの長期使用に関連付けられている。そのため、インスリン抵抗性及び高血糖に対処することにより糖尿病を治療するだけでなく、関連付けられ結果として生じる合併症を低減することが可能な新規の非インスリン化合物に対する需要が当技術分野で高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
グルコース代謝を回復させ、かつ糖尿病及び関連障害を治療できる新規化合物の同定はそのため、非常に関連性が高い。複数のアプローチが、いずれも当業者には明らかではないが、企図され得る。
【0006】
本発明者らは、β細胞増殖を刺激し、糖毒性状態により誘導されるアポトーシスからβ細胞を救出し、かつラットINS-1 β細胞及び単離されたマウス膵島からのインスリン分泌を刺激する能力を有するペプチドを発見した。さらに、本発明者らは、グルコース負荷試験において、このペプチドが生体内で血漿グルコースレベルを低下させ、かつ糖尿病1型モデルのBB lyp/lypラットにおいて糖尿病疾患の発症を遅らせることを発見した。したがって、本開示のペプチドは、内分泌、栄養及び代謝の疾患並びに障害の治療における使用に適している。
【発明の効果】
【0007】
一態様では、本開示は、ペプチド若しくはペプチド類似体を含むか又はそれらからなる薬剤に関し、ペプチド又はペプチド類似体は、一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸を含み;かつ
X1がEであり、X2がSである場合は、ペプチド又はペプチド類似体は、85個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含む。
【0008】
一態様では、本開示は、アミノ酸配列DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)を含むか、又はそれらからなるペプチド又はペプチド類似体を含む薬剤に関する。
【0009】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の薬剤を含む組成物に関する。
【0010】
一態様では、本開示は、発現時に本明細書に記載のペプチド又はペプチド類似体をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0011】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0012】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞に関する。
【0013】
一態様では、本開示は、医薬として使用するための、本明細書に記載の薬剤、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組成物に関する。
【0014】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための
a)(i)一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X10は、E又はGであり;
X12は、S又はTであり;
但し、X12がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド:
(ii)一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド;並びに
(iii)VDTYDGDISVVYGL(配列番号3)、VDTYDGDISVVYG(配列番号6)、VDTYDGDISVVY(配列番号10)、VDTYDGDISVV(配列番号15)、VDTYDGDISV(配列番号21)及びVDTYDGDIS(配列番号28)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド、
からなる群から選択されるペプチド又はペプチド類似体;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞
を含む薬剤に関する。
【0015】
一態様では、本開示は、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患を治療する方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0016】
一態様では、本開示は、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、本明細書に記載の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、又は細胞の使用に関する。
【0017】
一態様では、本開示は、糖尿病の発症を遅延させる方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0018】
一態様では、本開示は、血糖値を減少させる方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0019】
一態様では、本開示は、ベータ細胞の形態を改善するための方法、例えば、インビトロ法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0020】
一態様では、本開示は、ベータ細胞の生存率を向上させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0021】
一態様では、本開示は、個体における膵臓の疾患、障害又は損傷の診断のための診断用組成物の調製のための、本明細書に記載の薬剤の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】FOL-005及びFOL-014はβ細胞の増殖を誘導した。溶液中の漸増濃度のFOL-005の添加は、48時間後にINS-1細胞の増殖の増加を誘導した(
図1A)。FOL-005でコートし、牛血清アルブミン(BSA)でブロックしたウェルは、BSAのみでコートした対照(ctrl)ウェルと比較してより多くのβ細胞の増殖を誘導した(
図1B)。FOL-014で事前コートし、BSAでブロックしたウェルは、BSAのみでコートしたウェルと比較してより多くの増殖を誘導した(
図1C)。データを、相対的な非刺激対照(ctrl)細胞に対する1分あたりの数(CPM)として提示する。平均±SDを、各グループの10~12の異なる観測について提示する。
【
図2】FOL-005は糖毒性に対してβ細胞を保護した。20mMグルコース中で48時間インキュベートしたINS-1細胞は、5mMグルコースとインキュベートした細胞と比較して、より多くのアポトーシス細胞(アネキシンV陽性)を示した。20mMグルコースとインキュベートした細胞へのFOL-005の添加は、20mMグルコースのみと比較してアポトーシス細胞のレベルを低下させた(
図2A)。カスパーゼ-3活性により測定したアポトーシスは、5mMグルコースと比較して、20mMにてINS-1細胞中で増加した。FOL-005の添加は、糖毒性誘導カスパーゼ-3活性の割合を低下させた(
図2B)。平均±SDを、各グループの4~8の異なる観測について提示する。
【
図3】FOL-005刺激後に、小島及びβ細胞からのインスリン分泌が増加した。FOL-005は、β細胞及び小島のインスリン分泌を刺激した。INS-1細胞からのインスリン放出は、非刺激対照(ctrl)及びスクランブル対照ペプチド(FOL-015)と比較して、FOL-005(6μM)刺激後に非グルコース含有培地中で増加した(
図3A)。FOL-005は、低い(5mM)と高い(20mM)グルコースの両方でINS-1からのインスリン放出を刺激した(
図3B)。FOL-005(6μM)又はGLP-1(100nM)で刺激した単離マウス膵島は、非刺激対照小島と比較してより多くのインスリンを分泌した(
図3C)。平均±SDを、各グループの5~6の異なる観測について提示する。
【
図4】FOL-014刺激後に、小島及びβ細胞からのインスリン分泌が増加した。FOL-014は、β細胞及び膵島からのインスリン分泌を刺激した。FOL-014(6μM)で刺激したINS-1細胞は、非刺激対照細胞と比較してインスリンをより多く分泌した(
図4A)。FOL-014(6μM)で刺激した単離マウス膵島は、対照膵島に比べてより多くのインスリンを分泌した(
図4B)。GLP-1(100nM)又はFOL-014(0.6μM)の添加は、インスリン分泌に影響を及ぼさなかった。平均±SDを、各グループの5~6の異なる観測について示す。
【
図5】FOL-014がインスリン分泌に及ぼす効果は用量依存的であった。FOL-014の用量を増加させることによるINS-1細胞の刺激は、試験した全ての濃度についてインスリン分泌の有意な増加をもたらした。インスリン分泌は、0.6nM~60nMの範囲のFOL-014の存在下で直線的に増加した。より高い濃度は、インスリン分泌にあまり顕著な効果をもたらすように見えなかった。さらに、FOL-014に誘導されるインスリン分泌は、100nMのGLP-1の効果と同等であった。バーは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を表す。
【
図6】FOL-014のインスリン分泌に対する効果は、グルコース濃度依存的であった。未処理INS-1細胞又はFOL-014曝露INS-1細胞からのインスリン分泌を、グルコース濃度を増加させて測定した。グルコースレベル5.5mM以上では、インスリン分泌は、未処理の対照細胞と比較して、FOL-014処理細胞において顕著に高かった。バーは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を意味する。
【
図7】天然型GLP-1と共に投与したFOL-005及びFOL-014は、インスリン分泌に対して相加効果を誘発した。INS-1細胞からのインスリン放出を、それぞれFOL-005及びFOL-014とのGLP-1の併用処理(全3種のペプチドを100nMの濃度で)後に測定し、各ペプチド単独の効果と比較した。GLP-1とFOL-014の組み合わせは、各ペプチド単独と比較してインスリン分泌を有意に増加させた。FOL-005とGLP-1の組み合わせについても増加が観察された。バーは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を表す。
【
図8】FOL-014は、膵島でのインスリン及びグルカゴンの分泌に影響を与えた。FOL-014の2つの異なる濃度を試験し、グルコースの低い(2.8mM)(A、C)及び高い(16.7mM)(B、D)濃度で、単離マウス小島に対する100nMのGLP-1の効果と比較した。低グルコース試料では、FOL-014の存在は、インスリン分泌を増加させなかったが、対照及びGLP-1と比較してグルカゴン分泌を低下させた。高グルコース試料では、600nMのFOL-014及びGLP-1はインスリン分泌を顕著に増加させたが、6μMのFOL-014は増加させず(B)、GLP-1及び両方の濃度のFOL-014はグルカゴン分泌を効率的に低下させた(D)。バーは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を意味する。
【
図9】FOL-014は、グルコース注入後にインビボで血漿グルコースレベルを低下させた。腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)を野生型C57bl/6マウスで行った。200nmol/kgで投与したFOL-014は、15分、30分及び45分の時点で対照と比較して血漿グルコースレベルを有意に低下させた(P=0.0027)。30nmol/kg用量で、FOL-014は、グルコース注入後45分の時点で、有意な効果でグルコースレベルを低下させた。点線は、平均の非空腹時グルコースレベルに対応する。データは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を表す。統計分析を、スチューデントt検定を用いて行った。
【
図10】FOL-014は、BB lyp/lypラットにおける1型糖尿病の発症を遅らせた。FOL-014で処置したBB lyp/lypラットは、血漿グルコースが11.1mmol/l未満と定義される糖尿病の発症において有意な遅延を示した。各ラットの糖尿病発症年齢は、(A)未処置群と処置群の間に有意な差を有する(A)に示した。1型糖尿病を発症する動物の割合は、グループ間で有意な差を有する(B)に示した。(A)のエラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。
【
図11】FOL-005又はFOL-014に由来するペプチド類似体のインスリン分泌に対する効果。新規ペプチド類似体を、高グルコース(16.7mM)条件下でインスリン分泌を誘導するそれらの能力について、2つの別々のINS-1細胞株(A及びB)で試験した。効果を、天然のGLP-1、FOL-005及びFOL-014の効果並びに高グルコース単独の効果と比較した。高グルコース対照の平均を下回るインスリン放出を誘導する類似体を、非機能的であると考えた(図示せず)。インスリン分泌のレベルを、新規類似体については黒く塗りつぶされたバーで、かつ比較物については対照的なパターンで示す。バーは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を意味する。
【
図12】FOL-005及びFOL-014は、マウスにおいて注射後に特定の分布パターンを示した。
3H-FOL-005の皮下投与後に、放射能の全体的な最高レベルは、注射の1時間(A)及び2時間(B)後に、膵臓及び注射部位に存在した。
3H-FOL-005の蓄積は、肝臓、腎臓、唾液腺でも見られる。インビボでPearl Trilogy小動物イメージングシステムを用いて、皮下注射を介したNMRIヌードマウスにおけるCy7.5標識FOL-005(C)及びFOL-014(D)の生体分布並びに組織局在化を検討した。初期対照イメージング後に、マウス1匹あたり10nmolの用量を投与し、ライブイメージングを5分、20分、50分、60分、2時間、4時間、6時間、24時間及び48時間の時点で行った。両方のペプチドの高い蓄積が、膵臓領域及び注射部位で明らかであった。
【
図13】FOL-056は、INS-1E細胞からのインスリン分泌を誘導する。高(16.7mM)グルコース実験緩衝液中のINS-1E細胞に補充したペプチドFOL-056は、非補充高グルコース緩衝液で処理した細胞と比較して、インスリン分泌を有意に増加させた。比較物ペプチドFOL-014の存在もまた、インスリン分泌の有意な増加をもたらした。ペプチドを、100nMの濃度で実験緩衝液に添加した。
【
図14】FOL-056は、長期の糖毒性状態の間にINS-1E細胞のインスリン分泌能を維持する。INS-1 β細胞を、FOL-014又はFOL-056の存在又は非存在下で72時間、毒性レベルのグルコース(20mM)に供した。参考のために、低い(5mM)グルコースに供した細胞を含めた。(A)毒性レベルのグルコースへの長期暴露は、インスリンを分泌するβ細胞の能力を有意に低下させる。(B)高グルコース培地中のFOL-014の存在は、高グルコース培地単独と比較して、β細胞のインスリン分泌能を有意に向上させた。高グルコース培地中のFOL-056の存在は、糖毒性作用を無効にし低(5mM)グルコース処理グループのβ細胞と同じレベルでインスリン放出を保持した。
【
図15】天然のGLP-1と共に投与したFOL-056は、インスリン分泌に対する相加効果を誘発した。INS-1細胞からのインスリン放出を、FOL-056とのGLP-1の併用処理(両方のペプチドを100nM濃度で)の後に測定し、各ペプチド単独の効果と比較した。GLP-1とFOL-056の組み合わせは、各ペプチド単独と比較してインスリン分泌を有意に増加させた(GLP-1と比較してP=0.0037及びFOL-056と比較してP=0.0003)。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図16】新規ペプチド類似体は、INS-1E細胞からのインスリン分泌を誘導する。高(16.7mM)グルコース実験緩衝液中のINS-1E細胞に補充したペプチドFOL-057、FOL-058及びFOL-059は、非補充高グルコース緩衝液で処理した細胞と比較してインスリン分泌を増加させた。リラグルチドを比較のために含めた。ペプチドを100nMの濃度で実験緩衝液に添加した。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図17】新規ペプチド類似体は、長期の糖毒性状態の間にINS-1E細胞のインスリン分泌能力を維持する。INS-1E β細胞を、いくつかの新規ペプチド類似体の存在下又は非存在下で、72時間、毒性レベルのグルコース(20mM)に供した。参考のために、低い(5mM)グルコースに供した細胞を含めた(図示せず)。高グルコース培地中のペプチド類似体の存在は、高グルコース培地単独と比較して、β細胞のインスリン分泌能を向上させた。高グルコース対照の平均を下回るインスリン放出を誘導する類似体を、非機能的であると考えた(図示せず)。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図18】FOL-056及びFOL-014は1.2B4ヒトβ細胞からのインスリン分泌を誘発した。高(16.7mM)グルコース実験緩衝液中の1.2B4細胞に補充したペプチドFOL-056及びFOL-014は、非補充高グルコース緩衝液で処理した細胞と比較してインスリン分泌を有意に増加させた。リラグルチドを比較のために含めた。ペプチドを100nMの濃度で実験緩衝液に添加した。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図19】FOL-056はヒト小島からのインスリン分泌を誘導した。高(16.7mM)グルコース実験緩衝液中の2つの別々のドナーから新たに単離したヒト小島に補充したペプチドFOL-056は、非補充高グルコース緩衝液で処理した細胞と比較してインスリン分泌を有意に増加させた。リラグルチドの効果を、比較のために試験した。FOL-056及びリラグルチドを、それぞれ1及び100nMの濃度で実験緩衝液に添加した。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図20】FOL-056は、食事誘発肥満マウスモデルにおいてグルコースレベルの上昇に応答してインスリン分泌能を保持した。高脂肪食のc57Bl6マウスに投与した12週後に、グルコース注入後の血漿インスリンの増加として測定される急性インスリン応答(AIR)は、未処置対照群と比較して、FOL-056で処置したマウスにおいて有意により高かった(P=0.01)。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【
図21】FOL-014又はFOL-056の投与は糖尿病マウスモデルにおいてHbA1cを低下させた。投与の4週後にdb/dbマウスから採取した全血試料の分析は、未処置対照動物と比較して、FOL-014(P=0.0015)又はFOL-056(P=0.0028)で処置した動物において有意により低いHbA1cを示した。データは平均値を表す。エラーバーをSEMとして示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本開示は、特許請求の範囲で定義されるとおりである。
【0024】
一態様では、本開示は、
a)一般式:X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸を含み;かつ
X1がEであり、X2がSである場合には、ペプチド又はペプチド類似体は85個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むペプチド又はペプチド類似体:
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞、
を含むか、又はそれからなる薬剤に関する。
【0025】
一実施形態では、本開示は、
一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸を含み;かつ
X1がEであり、X2がSである場合には、ペプチド又はペプチド類似体は85個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むペプチド又はペプチド類似体に関する。
【0026】
一実施形態では、本開示は、発現時に、本明細書に記載のペプチド又はペプチド類似体をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0027】
一実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0028】
一実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む細胞に関する。一実施形態では、本開示は、本明細書に記載のベクターを含む細胞に関する。
【0029】
一実施形態では、本開示は、
a)ペプチドであって、
i)配列番号170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183及び184のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド;
ii)i)のペプチドのいずれか1つの生物学的に活性な配列バリアントであって、任意の1つのアミノ酸が別のタンパク質原性又は非タンパク質原性のアミノ酸に改変され、但し、5個以下のアミノ酸がそのように改変される、配列バリアント;
iii)i)又はii)のいずれか1つのペプチドの生物学的に活性な断片であって、i)又はii)のいずれか1つの少なくとも10個の連続アミノ酸を含む、断片、
からなる群から選択される、ペプチド;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞、
を含む薬剤に関する。
【0030】
一実施形態では、本開示はペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、配列番号170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183及び184のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチドからなる群から選択される。
【0031】
一実施形態では、本開示は、本明細書に記載のペプチドのいずれか1つの生物学的に活性な配列バリアントに関し、任意の1つのアミノ酸が、別のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸に改変され、但し、5個以下のアミノ酸がそのように改変される。
【0032】
一実施形態では、本開示は、
a)ペプチドであって、DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、ペプチド;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;及び
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞
を含む薬剤に関する。
【0033】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)及びDISVVYGLR(配列番号34)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0034】
一実施形態では、本開示は、一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含むペプチドに関する。
【0035】
本明細書で使用する「存在しない」という用語、例えば、「X6は、C、Iであるか、又は存在しない」は、存在しないアミノ酸のすぐ隣のアミノ酸残基が、従来のアミド結合により互いに直接連結されると理解されるべきである。
【0036】
本明細書に記載の「ペプチド類似体」という用語は、天然に存在しないアミノ酸配列、又は改変されている、天然に存在するアミノ酸配列を指す。
【0037】
本明細書で使用する「アミノ酸」という用語は、標準の20個の遺伝的にコードされたアミノ酸及びそれらの対応する(天然「L」型と比較して)「D」型の立体異性体、オメガアミノ酸及び他の天然に存在するアミノ酸、従来にないアミノ酸(例えば、α,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸など)及び化学的誘導体化アミノ酸(下記参照)を含む。
【0038】
アミノ酸が、「アラニン」又は「Ala」又は「A」などのように具体的に列挙されている場合、この用語は、特に明示的に述べられない限り、L-アラニンとD-アラニンの両方を指す。他の従来にないアミノ酸も、所望の機能性がペプチドによって保持される限り、本開示のペプチドに適した成分であり得る。示されるペプチドについて、コードされる各アミノ酸残基は、適切な場合、従来のアミノ酸の些細な名前に対応する単一文字指定により表される。
【0039】
1以上のアミノ酸の化学的誘導体は、機能的側基との反応により達成され得る。このような誘導体は、例えば、遊離アミノ基が誘導体化されて、アミン塩酸塩、p-トルエンスルホニル基、カルボキシベンゾキシ基、t-ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基又はホルミル基を形成する分子を含む。遊離カルボキシル基は、誘導体化されて、塩、メチルエステル及びエチルエステル、又は他の種類のエステル及びヒドラジドを形成し得る。遊離ヒドロキシル基は、誘導体化されて、O-アシル誘導体又はO-アルキル誘導体を形成し得る。化学的誘導体として、20個の標準アミノ酸の天然に存在するアミノ酸誘導体を含むペプチドも含まれる。例えば、4-ヒドロキシプロリンはプロリンと置換されてよく;5-ヒドロキシリジンはリジンと置換されてよく;3-メチルヒスチジンはヒスチジンと置換されてよく;ホモセリンはセリンと、オルニチンはリジンと置換されてよい。誘導体はまた、必要な活性が維持される限り、1以上の付加又は欠失を含むペプチドを含む。他の含まれる修飾は、アミド化、アミノ末端アシル化(例えば、アセチル化又はチオグリコール酸アミド化)、末端カルボキシルアミド化(例えば、アンモニア又はメチルアミンを用いた)などの末端修飾などである。
【0040】
本開示のペプチドの一部は、天然に存在するオステオポンチンタンパク質のサブ領域とアミノ酸配列の類似性を共有する。いくつかの実施形態では、前記ペプチドは、天然に存在するオステオポンチンタンパク質の活性断片又は断片などのバリアントとみなされ得る。
【0041】
本開示のペプチドのいくつかは、天然に存在するテネイシンタンパク質のサブ領域とアミノ酸配列の類似性を共有する。いくつかの実施形態では、上記ペプチドは、天然に存在するテネイシンタンパク質の活性断片又は断片などのバリアントとみなされ得る。
【0042】
「断片」には、アミノ酸配列の少なくとも5個の連続アミノ酸、例えば、アミノ酸配列の少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の連続アミノ酸が含まれる。そのため、断片は、15個以下のアミノ酸長、例えば、14、13、12、11、10、9、8、7、6又は5個のアミノ酸長であり得る。
【0043】
一実施形態では、上記ペプチドは、85個以下の、80個以下など、75個以下など、70個以下など、65個以下など、60個以下など、55個以下など、50個以下など、55個以下など、40個以下などのアミノ酸、35個以下など、30個以下など、28個以下など、26個以下など、24個以下など、22個以下など、20個以下など、19個以下など、18個以下など、17個以下など、16個以下など、15個以下など、14個以下など、13個以下など、12個以下など、11個以下など、10個以下などのアミノ酸長のペプチドである。
【0044】
別の実施形態では、上記ペプチドは、5~30のアミノ酸長、5~20など、8~20など、8~16など、10~15などのアミノ酸長である。
【0045】
さらに別の実施形態では、上記断片は、15個以下のアミノ酸長、14個未満のアミノ酸長など、13個未満のアミノ酸長など、12個未満のアミノ酸長など、11個未満のアミノ酸長など、10個未満のアミノ酸長など、9個未満のアミノ酸長など、8個未満のアミノ酸長など、7個未満のアミノ酸長など、6個未満のアミノ酸長など、5個未満のアミノ酸長などを含む。
【0046】
「バリアント」という用語は、親ペプチドと100%アミノ酸配列同一性を共有しないペプチドを指し、すなわち、1以上のアミノ酸が変異していなければならない。「変異」とは、親ペプチド中の特定の位置でアミノ酸を改変することを指す。例えば、特定の位置にあるアミノ酸は、除去されるか、改変されるか、置換され得るか、又は1以上のアミノ酸の挿入/付加の部位であり得る。置換が保存的又は非保存的であり得ることは、当業者には理解されるであろう。
【0047】
一実施形態では、上記ペプチドバリアントは、5個以下のアミノ酸が、別のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸に改変され、4個以下のアミノ酸など、3個以下のアミノ酸など、2個以下のアミノ酸など、1個以下のアミノ酸などが改変される配列を含むか、又はそれからなる。一実施形態では、1以上のアミノ酸が保存的に置換される。「保存的に置換される」とは、ペプチドの機能が著しく変化しないように、1つのアミノ酸を類似の性質(サイズ、疎水性など)を有する別のアミノ酸に置換することを指す。そのため、「保存的置換」により、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrなどの組み合わせが意図される。
【0048】
別の実施形態では、上記ペプチドは、N末端及び/若しくはC末端で並びに/又は配列内の内部に挿入される、1以上の追加のアミノ酸を含むか、又はそれからなる。一実施形態では、少なくとも2個の追加のアミノ酸、少なくとも3個など、少なくとも4個など、少なくとも5個など、少なくとも6個など、少なくとも7個など、少なくとも8個など、少なくとも9個など、少なくとも10個など、少なくとも15個など又は少なくとも20などの追加のアミノ酸が挿入される。追加のアミノ酸は、野生型ヒトオステオポンチン(配列番号66)の対応する位置からの、又は野生型マウスオステオポンチン(配列番号134)の対応する位置からのアミノ酸であり得る。野生型オステオポンチンの「対応する位置」という用語は、追加のアミノ酸が、上記の野生型オステオポンチンの中の同等位置に存在するものと同じであることを意味する(配列番号1のアミノ酸配列が配列番号66の斜体で下線の付いた配列に置き換えられると考えるならば)。
【0049】
別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、136、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、67、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、135、137、138、139、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、167、168、169、171、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183及び184からなる群から選択される;
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0050】
一実施形態では、上記ペプチドは、哺乳動物のオステオポンチンバリアント及び/又は断片などの、オステオポンチンに由来する。
【0051】
一実施形態では、上記ペプチドは、非タンパク質原性アミノ酸残基を含むペプチドなど、天然に存在しない。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記ペプチドは、PEG、単糖、フルオロフォア、クロモフォア、放射性化合物、及び細胞透過性ペプチドからなる群から選択され得る部分にさらにコンジュゲートされる。一実施形態では、フルオロフォアは、ルシファーイエロー、ビオチン、5、6-カルボキシルテトラメチルローダミン(TAMRA)、インドジカルボシアニン(C5)アレクサフルオロ(登録商標)488、アレクサフルオロ(登録商標)532、アレクサフルオロ(登録商標)647、ATTO488、ATTO532、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、アレクサフルオロ(登録商標)350、DY-415、ATTO425、ATTO465、Bodipy(登録商標)FL、フルオレセインイソチオシアネート、オレゴングリーン(登録商標)488、オレゴングリーン(登録商標)514、ローダミングリーン(商標)、5'-テトラクロロ-フルオレセイン、ATTO520、6-カルボキ-4',5'-ジクロロ-2'、7'-ジメトキシフルオレセイン、ヤキマ(Yakima)イエロー(商標)色素、Bodipy(登録商標)530/550、ヘキサクロロフルオレセイン、アレクサフルオロ(登録商標)555、DY-549、Bodipy(登録商標)TMR-X、シアニンホスホロアミダイト(シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7.5)、ATTO550、ローダミンレッド(商標)、ATTO565、カーボキシ-X-ローダミン、テキサスレッド(スルホローダミン101酸性塩化物)、LightCycler(登録商標)レッド610、ATTO594、DY-480-XL、DY-610、ATTO610、LightCycler(登録商標)レッド640、Bodipy630/650、ATTO633、Bodipy650/665、ATTO647N、DY-649、LightCycler(登録商標)レッド670、ATTO680、LightCycler(登録商標)レッド705、DY-682、ATTO700、ATTO740、DY-782、IRD700、IRD800、CALフルオロ(登録商標)ゴールド540nm、CALフルオロ(登録商標)522nm、CALフルオロ(登録商標)ゴールド544nm、CALフルオロ(登録商標)オレンジ560nm、CALフルオロ(登録商標)オレンジ538nm、CALフルオロ(登録商標)オレンジ559nm、CALフルオロ(登録商標)レッド590nm、CALフルオロ(登録商標)レッド569nm、CALフルオロ(登録商標)レッド591nm、CALフルオロ(登録商標)レッド610nm、CALフルオロ(登録商標)レッド590nm、CALフルオロ(登録商標)レッド610nm、CALフルオロ(登録商標)レッド635nm、クエーサー(登録商標)570nm、クエーサー(登録商標)548nm、クエーサー(登録商標)566nm(Cy3)、クエーサー(登録商標)670nm、クエーサー(登録商標)647nm、クエーサー(登録商標)670nm、クエーサー(登録商標)705nm、クエーサー690nm(登録商標)、クエーサー(登録商標)705nm(Cy5.5)、パルサー(登録商標)650色素、スーパーロックス(登録商標)色素からなる群から選択される。
【0053】
別の実施形態では、上記ペプチドは、グリコシル化されるか、又はペグ化、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化及び/又はアルキル化などでさらに改変される。
【0054】
一実施形態では、上記ペプチドは、タンデムリピートを含むか、又はそれからなり、これは、本明細書に記載の配列の任意の1以上のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり得る。
【0055】
一実施形態では、上記ペプチドは環状である。環状構造は、任意の適切な合成方法により達成され得る。そのため、ヘテロデティック結合は、ジスルフィド、システイン、アルキレン又は硫化物架橋を介する形成を含み得るが、これらに限定されない。
【0056】
さらなる実施形態では、ペプチドは融合を含むか、又はそれからなる。例えば、ペプチドは、配列番号1又は136のアミノ酸配列の融合を含み得る。
【0057】
ペプチドの「融合」という用語は、例えば、他の任意のペプチドに融合された配列番号1又は136(又は断片又はそのバリアント)に対応するアミノ酸配列に関する。例えば、上記ペプチドは、上記ペプチドの精製を促進するために、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)又はプロテインAなどのポリペプチドに融合され得る。このような融合の例は、当業者にはよく知られている。同様に、上記ペプチドは、HiS6などのオリゴヒスチジンタグ、又はよく知られているMycタグエピトープなどの抗体により認識されるエピトープに融合され得る。上記ペプチドの任意のバリアント又は誘導体への融合も本開示の範囲に含まれる。
【0058】
あるいは、融合部分は、当業者に公知である、ポリペプチドの細胞取り込みを促進できる親油性の分子又はペプチドドメインであり得る。
【0059】
新規ペプチド
一実施形態では、本開示は、LAEIDSIELSYGIK(配列番号170)、AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、EIDSIELSYGIK(配列番号172)、IDSIELSYGIK(配列番号173)、DSIELSYGIK(配列番号174)、SIELSYGIK(配列番号175)、IELSYGIK(配列表番号148)、KPLAEIDSIELTYGIK(配列表番号176)、又はそのバリアント若しくは断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチドに関する。
【0060】
一実施形態では、ペプチド又はペプチド類似体は、KPLAEIDSIELSYGI(配列番号179)、KPLAEIDSIELSYG(配列番号180)、KPLAEIDSIELSY(配列番号181)、KPLAEIDSIELS(配列番号182)、KPLAEIDSIEL(配列番号183)、KPLAEIDSIE(配列番号184)、又はそのバリアント若しくは断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0061】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列LAEIDSIELSYGIK(配列番号170)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0062】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0063】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列EIDSIELSYGIK(配列番号172)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0064】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列IDSIELSYGIK(配列番号173)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0065】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列DSIELSYGIK(配列番号174)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0066】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列SIELSYGIK(配列番号175)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0067】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列IELSYGIK(配列番号176)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0068】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIELSYGI(配列番号179)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0069】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIELSYG(配列番号180)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0070】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIELSY(配列番号181)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0071】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIELS(配列番号182)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0072】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIEL(配列番号183)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0073】
一実施形態では、本開示は、ペプチドを含む薬剤に関し、ペプチドは、アミノ酸配列KPLAEIDSIE(配列番号184)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる。
【0074】
一実施形態では、本開示は、
a)アミノ酸配列DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)を含むか、若しくはそれらからなるペプチド又はペプチド類似体;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞
を含む薬剤に関する。
【0075】
一実施形態では、本開示は、アミノ酸配列DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)を含むか、若しくはそれらからなるペプチド又はペプチド類似体を含む薬剤に関する。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記バリアントは、任意の1個のアミノ酸が別のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸に改変されている配列を含むか、又はそれからなり、ただし5個以下のアミノ酸がそのように改変され、4個以下のアミノ酸など、3個以下のアミノ酸など、2個以下のアミノ酸など、1個以下のアミノ酸などが改変される。いくつかの実施形態では、1以上のアミノ酸が保存的に置換される。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記ペプチドは、N末端及び/若しくはC末端で並びに/又は配列内の内部に挿入される1以上の追加のアミノ酸を含むか、又はそれからなる。一実施形態では、少なくとも2個の追加のアミノ酸、少なくとも3個など、少なくとも4個など、少なくとも5個など、少なくとも6個など、少なくとも7個など、少なくとも8個など、少なくとも9個など、少なくとも10個など、少なくとも15個など又は少なくとも20個などの追加のアミノ酸が挿入される。
【0078】
一実施形態では、ペプチド又はペプチド類似体は、N末端でアミノ酸残基Pを含む。
【0079】
一実施形態では、上記ペプチドは、85個以下の、80個以下など、75個以下など、70個以下など、65個以下など、60個以下など、55個以下など、50個以下など、55個以下など、40個以下などのアミノ酸、35個以下など、30個以下など、28個以下など、26個以下など、24個以下など、22個以下など、20個以下など、19個以下など、18個以下など、17個以下など、16個以下など、15個以下など、14個以下など、13個以下など、12個以下など、11個以下など、10個以下などのアミノ酸長である。
【0080】
いくつかの実施形態では、上記ペプチドは、PEG、単糖、フルオロフォア、クロモフォア、放射性化合物、及び細胞透過性ペプチドからなる群から選択され得る部分にさらにコンジュゲートされる。
【0081】
一実施形態では、上記ペプチドは、グリコシル化されるか、又はペグ化、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化及び/又はアルキル化によりさらに改変される。
【0082】
いくつかの実施形態では、上記ペプチドは、タンデムリピートを含むか、又はそれからなり、これは、本明細書に記載の配列の任意の1以上のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり得る。
【0083】
一実施形態では、上記ペプチドは環状である。環状構造は、任意の適切な合成方法により達成され得る。そのため、ヘテロデティック結合は、システイン、ジスルフィド、アルキレン又は硫化物架橋を介する形成を含み得るが、これらに限定されない。
【0084】
徴候
本開示の薬剤、ペプチド又はペプチド類似体、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、又は細胞は、内分泌、栄養及び代謝の疾患並びに障害の治療での使用に適している。
【0085】
一実施形態では、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療を必要とする哺乳動物は、ヒトである。
【0086】
いくつかの実施形態では、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害、インスリン抵抗性症候群、グルコース耐性障害、高血糖症、高インスリン血症、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患は、糖尿病、甲状腺の障害、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害、内分泌腺の障害、栄養障害、栄養不足、肥満、過栄養、及び代謝障害からなる群から選択される。
【0088】
一実施形態では、糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、特定糖尿病、及び不特定糖尿病からなる群から選択される。
【0089】
一実施形態では、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害は、非糖尿病低血糖性昏睡及び膵臓内分泌の障害からなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、肥満及び過栄養の障害は、局所的な脂肪、過栄養、及び過栄養の後遺症からなる群から選択される。
【0091】
一実施形態では、栄養不足の障害は、芳香族アミノ酸代謝の障害、分岐鎖アミノ酸代謝及び脂肪酸代謝の障害、アミノ酸代謝障害、乳糖不耐症、糖代謝障害、スフィンゴ脂質代謝障害、脂質貯蔵障害、グリコサミノグリカン代謝障害、糖タンパク質代謝障害、リポタンパク質代謝障害、脂血症、プリン及びピリミジン代謝障害、ポルフィリン及びビリルビンの代謝障害、ミネラル代謝障害、嚢胞性線維症、アミロイドーシス、体液量減少、流体、電解質及び酸塩基バランスの障害、並びに処置後の内分泌及び代謝の障害からなる群から選択される。
【0092】
組成物
一態様では、本開示は、本明細書に記載の薬剤を含む組成物に関する。組成物は、医薬組成物であり得る。
【0093】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための
a)(i)一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド:
(ii)一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド;並びに
(iii)VDTYDGDISVVYGL(配列番号3)、VDTYDGDISVVYG(配列番号6)、VDTYDGDISVVY(配列番号10)、VDTYDGDISVV(配列番号15)、VDTYDGDISV(配列番号21)及びVDTYDGDIS(配列番号28)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド、からなる群から選択されるペプチド又はペプチド類似体;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞
を含むか、又はそれからなる薬剤に関する。
【0094】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むか、若しくはそれからなるペプチド又はペプチド類似体を含むか、又はそれからなる薬剤に関する。
【0095】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含むか、若しくはそれからなるペプチド又はペプチド類似体を含むか、又はそれからなる薬剤に関する。
【0096】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するためのVDTYDGDISVVYGL(配列番号3)VDTYDGDISVVYG(配列番号6)、VDTYDGDISVVY(配列番号10)、VDTYDGDISVV(配列番号15)、VDTYDGDISV(配列番号21)、VDTYDGDIS(配列番号28)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチドに関する。
【0097】
一実施形態では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための本明細書に記載のペプチドを発現時にコードするポリヌクレオチドに関する。
【0098】
一実施形態では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0099】
一実施形態では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む細胞に関する。
【0100】
一実施形態では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための本明細書記載のベクターを含む細胞に関する。
【0101】
一態様では、本開示は、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用するための、本明細書に記載の薬剤を含む組成物に関する。一実施形態では、上記組成物は、医薬組成物である。
【0102】
一実施形態では、薬剤は、第2の有効成分をさらに含む。上記第2の有効成分は、インスリン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、ビグアニド、フォルスコリン化合物、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、メグリチジン及びナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤からなる群から選択され得る。
【0103】
他の方法
一態様では、本開示は、内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0104】
一態様では、本開示は、哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療で使用する医薬の製造のための、本明細書に記載の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞の使用に関する。
【0105】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のペプチドを発現時にコードするポリヌクレオチドに関する。一態様では、本開示は、本明細書に記載のペプチドを発現時にコードする上記ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。一態様では、本開示は、本明細書に記載のペプチドを発現時にコードする上記ポリヌクレオチド又は上記ベクターを含む細胞に関する。
【0106】
一態様では、本開示はインスリン分泌を増加させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量のペプチド又はペプチド類似体を投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、上記方法はインビトロ法である。一態様では、本開示はインスリン分泌を増加させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、上記方法はインビトロ法である。
【0107】
一態様では、本開示は、血糖値を減少させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量のペプチド又はペプチド類似体、薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、上記方法はインビトロ法である。一実施形態では、インスリン分泌が増加される。別の実施形態では、グルコースの細胞取り込みが増加される。さらに別の実施形態では、インスリン産生が増加される。別の実施形態では、グルカゴン産生が減少される。
【0108】
一態様では、本開示は、β細胞形態を改善するための方法、例えば、インビトロ法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量のペプチド又はペプチド類似体、薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0109】
一態様では、本開示は、β細胞生存率を向上させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量のペプチド又はペプチド類似体、薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0110】
一態様では、本開示は、糖尿病並びに糖尿病関連障害及び疾患の発症を遅延させるための方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の治療有効量のペプチド又はペプチド類似体、薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0111】
本開示の一実施形態では、薬剤は検出可能な部分をさらに含んでよい。例えば、検出可能な部分は、99mTc、111In、67Ga、68Ga、72As、89Zr、123I及び201Tlからなる群から選択される放射性同位元素などの、放射性同位元素を含むか、又はそれらからなり得る。結合部分は、マルチイメージング(例えば、SPECT、PET、MRI、光学、又は超音波)できるナノ粒子に結合され得る。あるいは、検出可能な部分は、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性同位体などの、常磁性同位体を含むか、又はそれからなってよい。
【0112】
薬剤が検出可能な部分を含む場合、その検出可能な部分は、SPECT、PET、MRI、光学又は超音波のイメージングなどのイメージング技術により検出され得る。
【0113】
一態様では、本開示は、個体における膵臓の疾患、障害又は損傷の診断のための診断組成物の調製のための、本明細書に記載の薬剤、組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は細胞の使用に関する。
【0114】
条項
1.ペプチド又はペプチド類似体を含む薬剤であって、一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸残基を含み;かつ
X1がEであり、X2がSである場合は、ペプチド又はペプチド類似体は、85個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含む、ペプチド又はペプチド類似体を含む薬剤。
2.ペプチドを含む薬剤であって、一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含む、ペプチドを含む薬剤。
3.条項2に記載の薬剤であって、ペプチドを含み、上記ペプチドが、DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、薬剤。
4.アミノ酸配列DTYDGDISVVYGLR(配列番号4)、TYDGDISVVYGLR(配列番号8)、YDGDISVVYGLR(配列番号13)、及びDGDISVVYGLR(配列番号19)、GDISVVYGLR(配列番号26)、DISVVYGLR(配列番号34)を含むか、若しくはそれらからなるペプチド又はペプチド類似体を含む薬剤。
5.天然に存在しない、例えば、非タンパク質原性のアミノ酸残基を含む、条項1~4のいずれか一項に記載の薬剤。
6.部分にコンジュゲートされる、条項1~5のいずれか一項に記載の薬剤。
7.部分が、ポリエチレングリコール(PEG)、単糖、フルオロフォア、クロモフォア、放射性化合物、及び細胞透過性ペプチドからなる群から選択される、条項1~6のいずれか一項に記載の薬剤。
8.グリコシル化されるか、又はペグ化、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化及び/又はアルキル化によりさらに修飾される、条項1~7のいずれか一項に記載の薬剤。
9.タンデムリピートを含むか、又はそれからなる、条項1~8のいずれか一項に記載の薬剤。
10.タンデムリピートが、条項1~9に記載の配列の任意の1以上のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、条項1~9のいずれか一項に記載の薬剤。
11.別のポリペプチドに融合される、条項1~10のいずれかに記載の薬剤。
12.上記ポリペプチドが、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)及びプロテインAからなる群から選択される、条項1~11のいずれか一項に記載の薬剤。
13.タグに融合される、条項1~12のいずれかに記載の薬剤。
14.上記タグが、オリゴヒスチジンタグである、条項1~13のいずれか一項に記載の薬剤。
15.ペプチドが環状であるように、環状である、条項1~14のいずれかに記載の薬剤。
16.ペプチド又はペプチド類似体が、例えば、環状又は部分的に環状のペプチドを形成するために、少なくとも1つの分子内システインブリッジを形成できる、条項1~15のいずれかに記載の薬剤。
17.ペプチド又はペプチド類似体が、LAEIDSIELSYGIK(配列番号170)、AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、EIDSIELSYGIK(配列番号172)、IDSIELSYGIK(配列番号173)、DSIELSYGIK(配列番号174)、SIELSYGIK(配列番号175)、IELSYGIK(配列表番号148)、KPLAEIDSIELTYGIK(配列表番号176)、又はそのバリアント若しくは断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、条項1~16のいずれかに記載の薬剤。
18.ペプチド又はペプチド類似体が、KPLAEIDSIELSYGI(配列番号179)、KPLAEIDSIELSYG(配列番号180)、KPLAEIDSIELSY(配列番号181)、KPLAEIDSIELS(配列番号182)、KPLAEIDSIEL(配列番号183)、KPLAEIDSIE(配列番号184)、又はそのバリアント若しくは断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、条項1~17のいずれかに記載の薬剤。
19.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列LAEIDSIELSYGIK(配列番号170)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~18のいずれかに記載の薬剤。
20.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列AEIDSIELSYGIK(配列番号171)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~19のいずれかに記載の薬剤。
21.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列EIDSIELSYGIK(配列番号172)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~20のいずれかに記載の薬剤。
22.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列IDSIELSYGIK(配列番号173)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~21のいずれかに記載の薬剤。
23.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列DSIELSYGIK(配列番号174)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~22のいずれかに記載の薬剤。
24.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列SIELSYGIK(配列番号175)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~23のいずれかに記載の薬剤。
25.ペプチド又はペプチド類似体が、アミノ酸配列IELSYGIK(配列番号176)、又はそのバリアント若しくは断片を含むか、又はそれからなる、条項1~24のいずれかに記載の薬剤。
26.バリアントが、任意の1つのアミノ酸が別のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸に改変された、但し5個以下のアミノ酸がそのように改変される、配列を含むか、又はそれからなる、条項1~25のいずれか一項に記載の薬剤。
27.バリアントが、5個以下のアミノ酸が別のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸に改変され、4個以下のアミノ酸など、3個以下のアミノ酸など、2個以下のアミノ酸など、1個以下のアミノ酸などが改変される、配列を含むか、又はそれからなる、条項1~26のいずれか一項に記載の薬剤。
28.1以上のアミノ酸が、保存的に置換される、条項1~27のいずれか一項に記載の薬剤。
29.ペプチド又はペプチド類似体が、N末端及び/若しくはC末端で並びに/又は配列内の内部に挿入される、1以上の追加のアミノ酸を含むか、又はそれからなる、条項1~28のいずれか一項に記載の薬剤。
30.ペプチド又はペプチド類似体が、N末端又はC末端のいずれかにコンジュゲートされる1個の追加のアミノ酸を含む、条項1~29のいずれか一項に記載の薬剤。
31.ペプチド又はペプチド類似体が、N末端に挿入される1個のプロリンを含むか、又はそれからなる、条項1~30のいずれか一項に記載の薬剤。
32.薬剤が、85個以下の、80個以下など、75個以下など、70個以下など、65個以下など、60個以下など、55個以下など、50個以下など、55個以下など、40個以下などのアミノ酸、35個以下など、30個以下など、28個以下など、26個以下など、24個以下など、22個以下など、20個以下など、19個以下など、18個以下など、17個以下など、16個以下など、15個以下など、14個以下など、13個以下など、12個以下など、11個以下など、10個以下などのアミノ酸を含む、条項1~31のいずれか一項に記載の薬剤。
33.薬剤が、ペプチド若しくはペプチド類似体のN末端又はC末端にコンジュゲートされる少なくとも2個の追加のアミノ酸、少なくとも3個など、少なくとも4個など、少なくとも5個など、少なくとも6個など、少なくとも7個など、少なくとも8個など、少なくとも9個など、少なくとも10個など、少なくとも15個など又は少なくとも20個などのアミノ酸を含む、条項1~32のいずれか一項に記載の薬剤。
34.薬剤が、検出可能な部分をさらに含む、条項1~33のいずれかに記載の薬剤。
35.検出可能な部分が、放射性同位元素を含むか、又はそれからなる、条項1~34のいずれかに記載の薬剤。
36.放射性同位元素が、99mTc、111In、67Ga、68Ga、72As、89Zr、123I及び201Tlからなる群から選択される、条項の1~35いずれかに記載の薬剤。
37.検出可能な部分が、SPECT、PET、MRI、光学又は超音波のイメージングなどのイメージング技術により検出可能である、条項1~36のいずれかに記載の薬剤。
38.個体における膵臓の疾患、障害又は損傷の診断のための診断用組成物の調製のための、条項1~37のいずれかに記載の薬剤の使用。
39.発現時に、条項1~38のいずれか一項に記載のペプチド又はペプチド類似体をコードするポリヌクレオチド。
40.条項39に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
41.条項39に記載のポリヌクレオチド、又は条項40に記載のベクターを含む細胞。
42.条項1~41のいずれかに記載の薬剤を含む組成物。
43.医薬組成物である、条項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
44.医薬として使用するための、請求項1~37に記載の薬剤、請求項39に記載のポリヌクレオチド、請求項40に記載のベクター、請求項41に記載の細胞又は請求項42~43に記載の組成物。
45.哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療での使用のための
a)(i)一般式:
X1LX2YGIK(配列番号177)
(式中、
X1は、E又はGであり;
X2は、S又はTであり;
但し、X2がTの場合は、ペプチド又はペプチド類似体は25個以下のアミノ酸残基を含む)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド:
(ii)一般式:
Z1Z2SZ3Z4YGLR(配列番号178)
(式中、
Z1は、D又はGであり;
Z2は、I又はGであり;
Z3は、V又はLであり;
Z4は、V又はAである)
のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド;又は
(iii)VDTYDGDISVVYGL(配列番号3)、VDTYDGDISVVYG(配列番号6)、VDTYDGDISVVY(配列番号10)、VDTYDGDISVV(配列番号15)、VDTYDGDISV(配列番号21)及びVDTYDGDIS(配列番号28)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるペプチド、からなる群から選択されるペプチド;
b)発現時にa)のペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)b)のポリヌクレオチドを含むベクター;又は
d)b)のポリヌクレオチド、又はc)のベクターを含む細胞
からなる群から選択される薬剤。
46.ペプチドが、配列番号141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155及び156からなる群から選択される、条項1~45のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
47.ペプチドが、配列番号1、136、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、67、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、135、137、138、139、157、158、159、160、161、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183及び184からなる群から選択される、条項1~46のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
48.上記薬剤が、第2の又はさらなる有効成分を含む、条項1~47のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
49.第2の又はさらなる活性成分が、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、メグリチジン及びナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤からなる群から選択される、条項48に記載の使用のための薬剤又は組成物。
50.哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療での使用のための、条項1~49のいずれかに記載の薬剤又は組成物。
51.哺乳動物が、ヒトである、条項50に記載の使用のための薬剤又は組成物。
52.内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患が、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害、インスリン抵抗性症候群、グルコース耐性障害、高血糖症、高インスリン血症、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1~51のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
53.内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患が、糖尿病、甲状腺の障害、グルコース調節及び膵臓内分泌の障害、内分泌腺の障害、栄養障害、栄養不足、肥満、過栄養、及び代謝障害からなる群から選択される、条項1~52のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
54.糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、栄養障害関連糖尿病、特定糖尿病、及び不特定糖尿病からなる群から選択される、条項1~53のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
55.グルコース調節及び膵臓内分泌の障害が、非糖尿病低血糖性昏睡及び膵臓内分泌の障害からなる群から選択される、条項1~54のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
56.肥満及び過栄養の障害が、局所的な脂肪、過栄養、及び過栄養の後遺症からなる群から選択される、条項1~55のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
57.栄養不足の障害が、芳香族アミノ酸代謝の障害、分岐鎖アミノ酸代謝及び脂肪酸代謝の障害、アミノ酸代謝障害、乳糖不耐症、糖代謝障害、スフィンゴ脂質代謝障害、脂質貯蔵障害、グリコサミノグリカン代謝障害、糖タンパク質代謝障害、リポタンパク質代謝障害、脂血症、プリン及びピリミジン代謝障害、ポルフィリン及びビリルビンの代謝障害、ミネラル代謝障害、嚢胞性線維症、アミロイドーシス、体液量減少、流体、電解質及び酸塩基バランスの障害、並びに処置後の内分泌及び代謝の障害からなる群から選択される、条項1~56のいずれか一項に記載の使用のための薬剤又は組成物。
58.内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、条項1~57のいずれか一項に記載の薬剤を投与することを含む、方法。
59.哺乳動物における内分泌疾患、栄養疾患及び/又は代謝疾患の治療での使用のための医薬の製造のための、条項1~58のいずれか一項に記載の薬剤の使用。
60.糖尿病及び糖尿病関連の障害並びに疾患の発症を遅延させるための方法であって、それを必要とする個体に、条項1~59のいずれか一項で定義される薬剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
61.血糖値を減少させるための方法であって、それを必要とする個体に、条項1~60のいずれか一項に記載の薬剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
62.インスリン分泌が増加される、条項61に記載の方法。
63.グルコースの細胞内取り込みが増加される、条項61に記載の方法。
64.インスリン産生が増加される、条項61に記載の方法。
65.グルカゴン産生が減少される、条項61に記載の方法。
66.ベータ細胞の生存率を改善するための方法であって、それを必要とする個体に、条項1~65のいずれか一項に記載の薬剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
67.ベータ細胞形態を改善するための方法であって、それを必要とする個体に、条項1~66のいずれか一項に記載の薬剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
68.膵島の生存率及び/若しくは形態を安定化又は改善するための方法であって、それを必要とする個体に、条項1~67のいずれか一項に記載の薬剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
【0115】
実施例
本開示は、以下の例によってさらに説明されるが、これは、本開示を限定されるものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、本開示の例示的ペプチドがβ細胞増殖を刺激し、かつ糖毒性状態により誘導されるアポトーシスからβ細胞を保護及び救出する能力を有することを実証する。例示的なペプチドが、ラットβ細胞及び単離されたマウス膵島からのインスリン分泌を刺激する能力を有することも実証され、ここでペプチドはグルカゴンレベルを低下させることも実証される。さらに、実施例は、ペプチドがグルコース負荷試験で、インビボで血漿グルコースレベルを低下させ、かつBB lyp/lypラットにおける1型糖尿病の発症を遅らせることを実証する。
【0116】
実施例1:ペプチド設計
新規ペプチドを合理的な構造活性調査の後に設計した。FOL-005(配列番号1)の場合、ペプチドを、RGD部位付近で設計したが、異なるインテグリンとおそらく相互作用できる異なる構造を作製するために変異させた。FOL-005と同様の配列が、テネイシンCの第3フィブロネクチンIII型リピートドメイン(TNfn3)で同定され、FOL-005の変異RGD部位とかなり類似していることが判明した。ペプチドを、FOL-014と命名したこの配列から設計した。テネイシン-3 TNfn3ドメインのX線結晶構造(PDBコード1 TEN、Leahyら(1992) Science 258(5084):987-91)を分析した。FOL-014(配列番号136)の配列は、前のベータターンと第3ベータシート全体にまたがっている。FOL-014バリアントを、3次元の分子構造の構造変更及び安定化を可能にするように設計した。具体的には、ペプチドバリアントは、露出した側鎖を有するβターン領域と幾何学的形状を維持するためのいくつかの環化バリアントを包含した。
【0117】
全てのペプチドを、いくつかのペプチドメーカーを用いて固相ペプチド合成法により合成した。主に、ペプチドバリアントは、カリフォルニア州のBiopeptide社により提供された。
【0118】
実施例2:FOL-005及びFOL-014はINS-1細胞の増殖を誘導した
FOL-005及びFOL-014がβ細胞の増殖を誘導できるかどうかを調べるために、INS-1細胞を用いた。ラットINS-1細胞を、96ウェルプレート中の補助剤を有するRPMI培地に播種し、2時間後、培地を補助剤なしのRPMIに変えた。増殖実験中に、細胞を異なる試験条件(コートした又は溶液中の、FOL-005、FOL-014、48時間のインキュベーション)でインキュベートし、培養期間の最後の20時間に、細胞を1μCi/ウェルの[メチル-3H]チミジンでパルスした。細胞をその後、FilterMateハーベスタを使用してガラス繊維フィルター上に収集した。フィルターを空気乾燥し、結合した放射能を、液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。FOL-005がβ細胞増殖に影響を与えたかどうかを調べるために、INS-1細胞を漸増量(0.06~6μM)の可溶性FOL-005で48時間処理し、増殖を、新たに合成したDNAへの放射標識チミジン取り込みにより測定した。FOL-005は、INS-1細胞増殖を刺激した(
図1A)。FOL-005又はFOL-014のいずれかでコートし、後にINS-1細胞の添加前に牛血清アルブミン(BSA)でブロックしたウェルも、対照(Ctrl)コーティングウェルと比較して増殖を刺激した(
図1B~C)。
【0119】
これは、FOL-005及びFOL-014がβ細胞と相互作用し増殖を誘導したことを実証した。
【0120】
実施例3:FOL-005は糖毒性からΒ細胞を保護した
膵臓β細胞の糖毒性は2型糖尿病において十分に確立された過程であるため、次に、糖毒性状態の間のβ細胞に対するFOL-005の保護効果を調べた。まず、20mMのグルコースが、48時間の曝露後にINS細胞中で細胞アポトーシスを誘導することを確認した。高グルコース(20mM)を含むRPMI培地は、5mMグルコースを含む培地でインキュベートした細胞と比較して、INS細胞においてより多くのアネキシンV陽性細胞及びより高いカスパーゼ-3活性を誘導した(
図2A~B)。FOL-005と同時での20mMグルコースへのINS-1細胞の曝露は、アネキシンV染色とカスパーゼ-3活性の両方により検出されるように、細胞アポトーシスを減少させた(
図2A~B)。INS-1細胞におけるアポトーシスの割合を、カスパーゼ-3アッセイキットで測定するか、又はアネキシンVアポトーシス検出キットを用いて7-AADで染色するかのいずれかで測定した。カスパーゼ-3活性を、励起波長380nm、発光波長440nmでの蛍光で測定した。カスパーゼ-3活性を次いで、各ウェル中のタンパク質濃度に正規化した。アネキシンV染色細胞の測定を、CyAn ADPフローサイトメーターを用いて行い、Summit V4.3ソフトウェアで解析した。
【0121】
結論として、糖毒性がβ細胞アポトーシスを誘導することはよく知られているが、FOL-005の存在下で糖毒性誘導アポトーシスが減少した。
【0122】
実施例4:FOL-005はINS-1細胞からのインスリン分泌を誘導した
FOL-005のインスリン分泌に対する刺激効果を調べるために、INS-1 β細胞を以下の実験で用いた。細胞をcRPMIに一晩播種し、次いで、PBSで洗浄し、その後pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%の牛血清アルブミンを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液(KRB)において37℃で60分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後に、緩衝液を交換し、INS-1細胞を異なる試験条件(0mM、5mM又は20mMのグルコース)でインキュベートし、37℃で60分間ペプチドFOL-005又はFOL-015(配列番号158)で刺激するか又は未処理の状態でおいた。インキュベーション直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、インスリン放射免疫アッセイキットを用いるその後のインスリンアッセイのために凍結した。
【0123】
結果は、FOL-005ペプチドで刺激したβ細胞が、グルコースのない条件下で、無刺激対照細胞又はFOL-015対照ペプチドで刺激した細胞に比べて、より多くのインスリンを分泌したことを実証した(
図3A)。グルコース(5mM又は20mM)に供したINS-1β細胞は、FOL-005ペプチド(6μM)刺激後にインスリン分泌に応答した(
図3B)。20mMグルコースの存在下にて6μMのFOL-005ペプチドで刺激したINS-1細胞は、5mMグルコースとインキュベートしたFOL-005刺激細胞と比較して、より多くのインスリン分泌に応答した(
図3B)。
【0124】
実施例5:FOL-005はマウス膵島からのインスリン分泌を誘導した
マウス膵島を、8週齢のC57BL/6J雄マウス(Taconic)から単離した。マウスを、イソフルランの過剰投与と頸部脱臼により屠殺した。0.9U/mlのコラゲナーゼP3mlを膵管に注入して、膵臓を膨らませた。次いで、膵臓を取り出し、コラーゲンを37℃で19分間消化した。試料を激しく振って組織を破壊した。消化物を、Ca2+及びMg2+を有する氷冷ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)に移した。懸濁液を10分間静止させて、小島を沈ませ、小島を新鮮なHBSSで4回洗浄した。次いで、小島を手で摘み、大きさに応じて選別した。小島(96ウェルプレートの1ウェルあたりn=3)を、pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%の牛血清アルブミンを補充したKRB緩衝液中で、37℃で10分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後に、緩衝液を交換し、小島を、0.1%牛血清アルブミンを有する新しいKRB緩衝液中で異なる試験条件(未処理のCtrl、FOL-005ペプチド、又はGLP-1)で、37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンアッセイのために凍結した。
【0125】
結果は、GLP-1(100nM)又はFOL-005(6μM)で刺激した単離マウス膵島が、非刺激対照小島と比較してより多くのインスリンを分泌したことを実証した(
図3C)。
【0126】
実施例6:FOL-014はINS-1細胞からのインスリン分泌を誘導した
INS-1 β細胞を用いて、FOL-014のインスリン分泌に対する刺激効果を調べた。細胞を一晩播種し、次いで、PBSで洗浄し、その後pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミンを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液(KRB)で、37℃で60分間プレインキュベーションした。プレインキュベーション後に、緩衝液を交換し、INS-1細胞を10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミンを補充した新しいKRB緩衝液中でインキュベートし、37℃で60分間ペプチドFOL-014で刺激するか又は未処理の状態でおいた。インキュベーション直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンアッセイのために凍結した。
【0127】
結果は、FOL-014ペプチドで刺激したβ細胞が、非刺激対照細胞と比較してより多くのインスリンを分泌したことを実証した(
図4A)。
【0128】
実施例7:FOL-014はマウス膵島からのインスリン分泌を誘導した
マウス膵島を、実施例5に記載されるように、8週齢のC57BL/6J雄マウスから単離した。次いで、小島を手で摘み、大きさに応じて選別した。小島(96ウェルプレートの1ウェルあたりn=5)を、pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミンを補充した200μlのKRB緩衝液中で10分間、37℃でプレインキュベートした。プレインキュベーション後に、緩衝液を交換し、0.1%牛血清アルブミンを有する新しいKRB緩衝液中で、小島を異なる試験条件(未処理のCtrl、FOL-014ペプチド、及びGLP-1)で、37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンアッセイのために凍結した。
【0129】
結果は、FOL-014(6μM)で刺激したマウス膵島が、非刺激対照小島と比較してより多くのインスリンを分泌したことを示す(
図4B)。GLP-1(100nM)又はFOL-014(0.6μM)は、インスリン分泌に影響を与えなかった(
図4B)。
【0130】
実施例8~11;20~21:FOL-014、FOL-005及び関連ペプチドによるINS-1細胞株からのインスリン分泌の刺激
材料及び方法:ラットINS-1 β細胞(継代60~70)を、特に明記しない限り、cRPMI培地(10%ウシ胎児血清、50IU/mLのペニシリン、50mg/Lのストレプトマイシン、10mMのHEPES、2mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び50μMのβ-メルカプトエタノールを補充したRPMI1640)中で、37℃及び5%CO2で培養した。INS-1細胞を96ウェルプレート中のcRPMI培地に播種(2×103細胞/ウェル)し、一晩インキュベートした後、細胞をPBSで洗浄し、その後pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミン及び2.8mMのグルコースを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液中で、37℃で120分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、緩衝液を上記の新鮮なクレブスリンガー緩衝液と交換し、後述する個々の実験のために特定の濃度のグルコース及びペプチドを補充した。37℃で60分間のインキュベーションの直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンELIZAアッセイのために凍結した。
【0131】
実施例8.FOL-014に誘導されるインスリン分泌は非線形的に用量に依存する
INS-1細胞からのインスリン放出を、漸増濃度のFOL-014への曝露後に測定し、高グルコース濃度(16.7mM)中のGLP-1の刺激効果及び未処理対照と比較した。試験したFOL-014の全ての濃度は、未処理対照と比較して有意により高いインスリン放出を誘発した。6nM以上で、FOL-014は、100nMのGLP-1と同じ範囲内でインスリン放出を引き起こした。0.6~60nMの範囲の濃度で、インスリン分泌は、FOL-014濃度の増加に関連して直線的に増加した。600nM以上のFOL-014濃度への曝露は、インスリン分泌を増加させなかった(
図5)。
【0132】
結果は、FOL-014が非線形用量依存的にインビトロでINS-1 β細胞からのインスリン分泌を有意に増加させたことを実証した。
【0133】
実施例9.インスリン分泌を誘導するFOL-014の能力はグルコース依存的である
INS-1細胞からのインスリン放出を、上昇するグルコース濃度で、60nMのFOL-014への曝露後に測定した。未処理の対照試料において、上昇したグルコース濃度は、11.1mM以上のグルコースでインスリン分泌を増加させた。FOL-014の存在下で、インスリン分泌は、5.5mMのグルコースから既にグルコース依存的に有意に増加した(
図6)。
【0134】
結果は、FOL-014の存在が、グルコース濃度依存的にインビトロでINS-1 β細胞からのインスリン分泌を有意に増加させたこと、及びFOL-014は、わずかに上昇したグルコースレベルでも有効であったことを実証した。
【0135】
実施例10.GLP-1と組み合わせたFOL-014又はFOL-005は、いずれかのペプチド単独と比較してインスリン分泌を増加させた
INS-1細胞からのインスリン分泌を、FOL-005、FOL-014、GLP-1又はそれらの組み合わせへの曝露後に測定し、未処理の対照の割合として表した。GLP-1とFOL-014の併用効果は、GLP-1又はFOL-014単独よりも有意により高いインスリン放出をもたらした。FOL-005とGLP-1の組み合わせによる相加効果はあまり顕著でなかったが、GLP-1単独と比較してインスリン分泌を増加させた。実験を、16.7mMグルコースの存在下で行った(
図7)。
【0136】
結果は、GLP-1とFOL-014の組み合わせが、各ペプチド単独と比較して、インビトロでINS-1細胞からのインスリン分泌をさらに増強できたことを実証した。さらに、FOL-005とGLP-1の組み合わせは、インスリン分泌を接線方向に増加させた。
【0137】
実施例11.膵臓β細胞株においてインスリン分泌を誘導する新規ペプチド類似体の能力を調べた
FOL-005又はFOL-014のいずれかに由来する新規ペプチド類似体を、16.7mMグルコースの存在下で、2つの別々のINS-1細胞株中でインスリン分泌を誘導するそれらの能力に関して試験した。FOL-005、FOL-014及びGLP-1並びに高グルコース(16.7mM)及び低グルコース(2.8mM)対照(図示せず)を各実験に含め、ペプチド濃度は100nMであった。実験間の変動を補正するために、全ての値を正規化し、個々の実験における高グルコース対照の平均値の割合として表した。類似体をその後、性能に応じてランク付けした(
図11A及び11B)。高グルコース対照の平均値を下回るインスリン応答を誘発するペプチド類似体を、非機能的であると考え、それゆえ除外した(図示せず)。
【0138】
結果は、インビトロでINS-1 β細胞からのインスリン分泌を増強するいくつかの新規ペプチド類似体の能力を実証した。
【0139】
実施例12.FOL-014はマウス由来膵島からのインスリン分泌を増加させる
12週齢の雄のC57/bl6マウスを、イソフルランと頸部脱臼で安楽死させた。肝管をクランプした後、0.9U/mlのコラゲナーゼP3mlを胆管に注入して、膵臓を膨らませた。次いで、膵臓を取り出し、37℃で19分間消化した。試料を激しく振って組織を破壊した。消化物をすぐに、Ca2+及びMg2+を有する氷冷ハンクス平衡塩類溶液に移した。懸濁液を8分間静止させて、小島を沈ませ、小島を同じ様式で4回洗浄した。次いで、小島を手で摘み、大きさに応じて選別した。
【0140】
新たに分離した小島を96ウェルプレートに5個のグループで播種し、クレブスリンガー重炭酸緩衝液(pH7.4)中で、37℃で1時間プレインキュベートした。この小島を、0.6又は6μMのFOL-014又は100nMのGLP-1を補充したクレブスリンガー緩衝液中で、37℃で1時間インキュベートするか、又は対照のために補充しないでそのままにした。インキュベーションの直後に、培地を、MercodiaELISAキットを用いるインスリン及びグルカゴンのアッセイのために除去した。単離したマウス小島からのインスリン(
図8A及びB)及びグルカゴン(
図8C及びD)分泌に対するFOL-014の効果を、低グルコース(2.8mM;
図8A及びC)又は高グルコース(16.7mM;
図8B及びD)濃度の存在下で測定した。FOL-014の有意な効果が、インスリンに対し高グルコースの存在下で、かつグルカゴンに対し高グルコースと低グルコースの両方の存在下で観察された。FOL-014の効果は、GLP-1の効果とは異なり、GLP-1は低グルコース試料においてもインスリン分泌を増強したが低グルコース条件でグルカゴン分泌を阻害できなかった。
【0141】
結果は、FOL-014が膵島においてインスリン分泌を増強しグルカゴン分泌を阻害したことを実証した。
【0142】
実施例13.FOL-014はマウスの腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)において血漿グルコースレベルを低下させた
10週齢の野生型雄C57bl/6マウスからの全血を、グルコース及びインスリン測定のために収集した。4時間の絶食の後に、マウスを3つのグループに分け、生理食塩水、30nmol/kgのペプチド(
図9A)又は200nmol/kgのペプチド(
図9B)のいずれかを腹腔内(ip)注射した。FOL-014又は生理食塩水(対照)の注入の15分後、マウスにグルコース/kgの2gをip投与した。血糖値を、グルコース注入後5、15、30、45及び60分の時点で測定した。統計計算を、スチューデントt検定を用いて行った。200nmol/kgで投与したFOL-014は、曲線下面積として測定した場合、対照と比較して、血漿グルコースレベルを顕著に低下させた。加えて、差は15分、30分及び45分の時点で顕著であった。30nmol/kgの用量で、FOL-014は、グルコース注入後45分の時点で顕著な効果を有して血漿グルコースレベルを低下させた。
【0143】
結果は、FOL-014が、健康な野生型マウスで行ったグルコース負荷試験において血漿グルコースレベルを低下できたことを実証した。
【0144】
実施例14.FOL-014はBB lyp/lypラットにおいて1型糖尿病の発症を遅らせた
BB lyp/lypラットを、40日目から、血漿グルコースレベルが11.1mM以上と定義される1型糖尿病の発症までの週3回のプラセボ(塩化ナトリウム、9mg/ml)又はFOL-014処置のために無作為化した。生理食塩水中100nmol/kgの用量のFOL-014ペプチド又はプラセボ(生理食塩水)を皮下投与し、動物を、臨界血漿グルコースレベルを超えた直後に屠殺した。FOL-014処置動物とプラセボ処置を施した動物の差は、1型糖尿病の発症の平均の齢として表した場合(
図10A)と、1日あたり1型糖尿病を発症する動物の割合として説明した場合(
図10B)の両方で顕著であった。
【0145】
結果は、FOL-014処置が、BB lyp/lypラットにおける1型糖尿病の発症を顕著に遅らせたことを実証した。
【0146】
実施例15.FOL-005及びFOL-014はマウスにおいて臓器特異的分布パターンを示した
C57Bl/6マウスにH
3標識FOL-005を皮下注射し、注射の1時間後(
図12A)又は2時間後(
図12B)に安楽死させた。全身断面化後、標識ペプチドの分布を可視化した。強い結合が膵臓及び注射部位で明らかであった。Pearl Trilogy小動物イメージングシステムを用いて、皮下注射を介したNMRIヌードマウスにおける2種類のCy7.5標識ペプチドのFOL-005(
図12C)及びFOL-014(
図12D)の生体分布及び組織局在化を、インビボで調査した。ペプチドの高い蓄積が膵臓組織領域で明らかであった。同じ分布パターンが、i.v.投与後に見出された(図示せず)。各ペプチドの用量は、1匹のマウスあたり10nmolであった。マウスを、注射前、標識ペプチドの投与後5分、20分、50分、60分、2時間、4時間、6時間、24時間及び48時間の時点でイメージングした。
【0147】
実施例16.診断用途のための組織特異的イメージング
本明細書の上で定義したように調製した薬剤を、当業者に公知の方法を用いて、適切なイメージングプローブ又は部分へのコンジュゲーションにより標識した。コンジュゲートしたペプチド-プローブ剤をその後、対象に投与し、生体分布をその後、例えば、投与後48時間まで監視した。そのため、コンジュゲート薬剤を、膵臓の状態を調査するための診断の又は予後のツールとして使用する。そのようなものとして、コンジュゲート薬剤は、疾患、疾患の過程及び進行、感受性の検出、診断、又は監視、並びに治療の有効性を決定するのに適している。薬剤は特に、対象の糖尿病状態を監視するのに適している。コンジュゲート薬剤は、疾患、特に糖尿病を発症するリスクの監視及び/又は予測にも使用される。この試験は、単独で又は血液検査、遺伝子検査、尿検査、及び生検などの当業者に公知の他の試験と組み合わせて使用される。
【0148】
【0149】
本発明は、以下の2つの実施例でさらに例示されるが、これは本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、本発明の例示的ペプチドが、ラットβ細胞からのインスリン分泌を刺激する能力を有し、かつインスリンを分泌するそれらの能力を保持することにより、糖毒性状態の影響からβ細胞を保護する能力を有することを実証する。
【0150】
実施例18:FOL-056はINS-1E細胞からのインスリン分泌を誘導する
インスリン分泌に対するFOL-056の刺激効果を調べるために、INS-1E細胞を用いた。細胞を一晩播種し、PBSで洗浄し、その後pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミンを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液(KRB)中で、37℃で60分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、緩衝液を廃棄し、INS-1E細胞を、ペプチドFOL-056の有り無しで、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミンを補充した新鮮なKRB緩衝液中でインキュベートした。比較目的のために、FOL-014で処理した細胞を含めた。37℃で、60分インキュベーションした後、緩衝液を除去し、その後のインスリンアッセイのために凍結した。結果は、ペプチドFOL-056で刺激したβ細胞が、非刺激対照細胞と比較して顕著により多くのインスリンを分泌することを実証する(
図13)。
【0151】
実施例19:FOL-056は、長期の糖毒性状態の間INS-1E細胞のインスリン分泌能力を保持する
FOL-056のβ細胞保護効果を調べるために、INS-1Eを72時間、細胞毒性レベルのグルコースに供した。ラットINS-1E細胞を、96ウェルプレート中のcRPMI培地に播種した(2×103細胞/ウェル)。72時間のインキュベーション後、培地を、FOL-056又はFOL-014の有り無しで20mMグルコースを含むRPMIに交換し、さらに72時間37℃で培養して、糖毒性を誘導した。5mMグルコースを含むRPMIを、低グルコース対照として含めた。72時間後、培地を除去し、INS-1E細胞を、pH7.4の(10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミン及び2.8mMグルコースを補充した)クレブスリンガー重炭酸緩衝液(KREB)で2時間平衡化した。平衡化後、緩衝液を交換し、INS-1E細胞を、補充した16.7mMグルコースを含むKREB中で1時間インキュベートした。インキュベーションの直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリン含量のアッセイのために凍結した。
【0152】
結果は、糖毒性状態の間のFOL-056の存在が、保持されたグルコース誘導性インスリン分泌により示されるように、β細胞機能を維持することを実証する。
【0153】
実施例20.GLP-1と組み合わせたFOL-056は、いずれかのペプチド単独と比較してインスリン分泌を増加させる
INS-1細胞からのインスリン分泌を、FOL-056、GLP-1又はそれらの組み合わせへの曝露後に測定し、未処理の対照の割合として表した。GLP-1とFOL-056の併用効果は、GLP-1又はFOL-056単独よりも顕著により高いインスリン放出をもたらした。実験を、16.7mMグルコースの存在下で行った(
図15)。
【0154】
結果は、GLP-1とFOLペプチドの断片の組み合わせが、各ペプチド単独と比較してインビトロでINS-1細胞からのインスリン分泌をさらに増強することを実証する。
【0155】
実施例21.新規ペプチド類似体は膵臓のβ細胞株でインスリン分泌を誘導する
新規ペプチド類似体を、20mMグルコースの存在下で、INS-1細胞株中でインスリン分泌を誘導するそれらの能力を調べるために試験した。リラグルチドならびに高グルコース(20mM)及び低グルコース(5mM)対照を各実験に含めた(ペプチド濃度は100nMであった)。実験間の変動を補正するために、全ての値を正規化し、個々の実験における高グルコース対照の平均値の割合として表した。類似体をその後、性能に応じてランク付けした(
図16)。
【0156】
結果は、インビトロでINS-1 β細胞からのインスリン分泌を増強する新規ペプチド類似体の能力を実証する。
【0157】
実施例22:FOL-005及びFOL-014に由来する新規ペプチドは、長期の糖毒性状態の間INS-1細胞のインスリン分泌能を維持する
FOL-005及びFOL-014に由来するいくつかの新規ペプチド断片のβ細胞保護効果を調べるために、INS-1細胞を72時間、細胞毒性レベルのグルコースに供した。ラットINS-1細胞を、96ウェルプレート(2×10
3個の細胞/ウェル)中のcRPMI培地に播種した。72時間のインキュベーション後、ペプチドの有り無しで20mMグルコースを含むRPMIに培地を交換し、さらに72時間、37℃で培養して、糖毒性を誘導した。5mMグルコースを含むRPMIを低グルコース対照(図示せず)として含め、リラグルチドを比較のために含めた。72時間後、培地を除去し、INS-1細胞を、pH7.4の、(10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミン及び2.8mMグルコースを補充した)クレブスリンガー重炭酸緩衝液(KREB)中で2時間平衡化した。平衡化後、緩衝液を交換し、補充した16.7mMグルコースを含むKREB中でINS-1細胞を1時間インキュベートした。インキュベーションの直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、インスリン含量のその後のアッセイのために凍結した。実験間の変動を補正するために、全ての値を正規化し、個々の実験における高グルコース対照の平均値の割合として表した。類似体をその後、性能に応じてランク付けした(
図17)。
【0158】
結果は、糖毒性状態の間のいくつかの新規ペプチドの存在が、保持されたグルコース誘導性インスリン分泌により示されるように、β細胞機能を維持することを実証する。
【0159】
実施例23:FOL-056ペプチドによるヒト膵臓β細胞からのインスリン分泌の刺激
ヒト細胞におけるFOL-014及びFOL-056の効果を試験するために、ヒト膵臓β細胞株1.2B4を、10%牛胎児血清、50IU/mLのペニシリン、50mg/Lのストレプトマイシン、1mMのL-グルタミンを補充したRPMI 1640中で、37℃、5%CO
2で培養した。1.2B4細胞を24ウェルプレートのRPMI培地中に播種し、一晩インキュベーションした後、培地を除去し、その後pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミン及び1.0mMグルコースを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液中で、37℃で40分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、緩衝液を上記の新鮮なクレブスリンガー緩衝液と交換し、グルコースを特定の濃度1mM又は16.7mMで補充した。FOL-014、FOL-056又はリラグルチドを、16.7mMグルコースの存在下で、100nMの濃度で添加した。37℃で60分インキュベーションした直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンELISAアッセイのために凍結した。(
図18)。
【0160】
結果は、ペプチドFOL-014及びFOL-056が16.7mMグルコースの存在下で、1.2B4ヒトβ細胞においてインスリン分泌能力を増加させることを実証する。
【0161】
実施例24:FOL-056ペプチドによるヒト膵島からのインスリン分泌の刺激
ヒト一次組織におけるFOL-056の機能性を調べるために、2人の非糖尿病ヒトドナーからの膵島を使用した。小島を手で摘み、12のグループに分量し、pH7.4の、10mMのHEPES、0.1%牛血清アルブミン及び1.0mMグルコースを補充したクレブスリンガー重炭酸緩衝液1ml中で、37℃でインキュベートした。プレインキュベーション後、緩衝液を上記の新鮮なクレブスリンガー緩衝液と交換し、特定のグルコース濃度(1mM又は16.7mM)、FOL-056ペプチド(1nM)又はリラグルチド(100nM)を補充した。37℃で60分インキュベーションした直後に、緩衝液のアリコートを取り出し、その後のインスリンELISAアッセイのために凍結した。(
図19)。
【0162】
結果は、FOL-056が、高グルコースレベルに対する応答としてインスリンを分泌する主なヒト膵島の能力を増強することを実証する。
【0163】
実施例25及び26:長期の食事療法はC57Bl6マウスに肥満を誘導する
材料及び方法:高脂肪食モデルにおけるFOL-056のインビボでの影響を調べるために、野生型c57Bl6マウスに、高脂肪食を12週間与えながら、300nmol/kgのFOL-056を週5日皮下投与した。対照動物にはPBSを投与した。
【0164】
実施例25:FOL-056の長期投与はインビボで急性インスリン応答を増加させる
食事誘発型肥満c57Bl6マウスにおいて、未処置の場合とFOL-056を投与した場合で、空腹時血漿インスリンレベルを、1g/kgの静脈内グルコース注入の前と注入1分後に測定した。急性インスリン応答(AIR)を得るために、グルコース注入前に測定したインスリン値を、各個々のマウスへの注射後に測定した値から差し引いた。(
図20)。
【0165】
結果は、FOL-056で処置したマウスにおける急性インスリン応答(AIR)が、未処置の対照マウスと比較して顕著に改善したことを実証する。
【0166】
実施例26:投与の4週後の糖尿病マウスにおけるHbA1cの低下
糖尿病マウスにおけるFOL-014及びFOL-056の長期的な効果を調べるために、db/dbマウスに100nmol/kgのペプチドを週5日、4週間、皮下投与した。対照マウスにはPBSを注入した。処置の4週後、マウスを屠殺し、25μlの全血を、その後のHbA1c分析のために直ちに凍結した。(
図21)。
【0167】
結果は、FOL-014及びFOL-056による4週間の処置が、未処置の対照群と比較してdb/dbマウスにおいてHbA1cを低下させることを実証する。
【配列表】