(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】骨伝導用ヘッドセット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240910BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240910BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20240910BHJP
【FI】
H04R1/10 103
H04R1/00 317
H04R1/10 101A
A61F11/00 320
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022170653
(22)【出願日】2022-10-25
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0135802
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520409589
【氏名又は名称】株式会社エムアイジェー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジン スク
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-525039(JP,A)
【文献】特開2022-036427(JP,A)
【文献】特表2022-535472(JP,A)
【文献】登録実用新案第3144392(JP,U)
【文献】特開2013-239767(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 1/00
A61F 11/00
G10K 11/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後頭部を包み込むように曲線方向に延びる本体フレームと、
前記本体フレームの両方の端部につながり、下部に突出結合部を形成した耳掛けフレームと、
前記本体フレームと耳掛けフレームとの間に配設される弾性可変コネクターと、
前記耳掛けフレームの突出結合部に着脱自在に結合され、使用者の耳の後側の乳様突起を向く方向に延びるフレキシブル延長部と、
前記フレキシブル延長部に配設され、使用者の乳様突起に密着されて振動にて音を伝える骨伝導部と、
前記骨伝導部の周方向に着脱自在に結合され、前記骨伝導部から出力される音響の波動を耳殻軟骨に伝播するイヤボーンウィング(ear bone wing)と、
を備え、
前記フレキシブル延長部は、外力が加えられる圧力に比例して弾性歪みが行われるゴムまたはシリコーンから形成され
、
前記骨伝導部は、
内部に収容空間を形成し、外側に凸状に突出する閉端部を形成したドームハウジングと、
前記収容空間に収容されて設けられる振動子と、
前記振動子を加圧支持する状態で前記収容空間に一方の側が嵌まり込み、他方の側が外側に突出する固定ブラケットと、
前記固定ブラケットの他方の側に配設され、前記振動子の音響周波数を減衰させたり増幅させたりする周波数可変基板と、
を備えることを特徴とする骨伝導用ヘッドセット。
【請求項2】
前記フレキシブル延長部には前記骨伝導部が配設される溝部が形成され、前記溝部の内側には騒音と振動を遮断する振動吸音部材が配設されたことを特徴とする請求項
1に記載の骨伝導用ヘッドセット。
【請求項3】
前記振動吸音部材は、
前記周波数可変基板の一方の側に配設される吸音部材と、
前記吸音部材の一方の側に配設される第1のスポンジと、
前記第1のスポンジの一方の側に配設され、第1のスポンジよりも空気穴が大きな第2のスポンジと、
を備えることを特徴とする請求項
2に記載の骨伝導用ヘッドセット。
【請求項4】
前記ドームハウジングの外周には、微小電流及び温熱を乳様突起に伝えて耳周りに位置するツボ(翳風)を間接的に刺激可能な伝導性めっき層が形成されたことを特徴とする請求項
1に記載の骨伝導用ヘッドセット。
【請求項5】
前記イヤボーンウィングは、
前記ドームハウジングを収容するハウジング収容部を形成し、内縁に前記ドームハウジングに相補的に嵌め込まれる結合部を形成する結合胴体と、
前記結合胴体から延び、耳殻に掛けられるように曲線方向に延びるイヤ密着部と、
前記結合胴体から延びてツボ(翳風)の位置に対して面密着が行われるツボ加圧密着部と、
を備えることを特徴とする請求項
1乃至請求項
4のいずれか一項に記載の骨伝導用ヘッドセット。
【請求項6】
前記ツボ加圧密着部には、微小電流及び温熱がツボ(翳風)を直接的に刺激可能な伝導性刺激端子が設けられたことを特徴とする請求項
5に記載の骨伝導用ヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伝導用ヘッドセットに係り、さらに詳しくは、使用者ごとに異なる後頭部の大きさ及び乳様突起の位置に対して柔軟に対応することができるだけではなく、骨伝導部からの音響の出力時に生じる振動が本体フレームに伝わることを防ぎ、耳周りのツボ(翳風)を刺激して耳鳴りや難聴及び頭痛などの疾患を治療する上で役立つ骨伝導用ヘッドセットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人間の耳に聞こえる音は、波動の形で伝わる。外部の音は、人間の外耳を介して入り込んで鼓膜を振動させ、鼓膜の内側の内耳において細胞が刺激を受けて脳に伝わる。人間が聞きとれる音の周波数範囲は、約20~20000Hzであり、人間が話し合う音の周波数範囲は、約500~2000Hzである。
【0003】
しかしながら、難聴者の場合には、音の周波数範囲のうち、すべての周波数または一部の周波数の音を聞きとれないことがある。したがって、最近では、頭蓋骨の振動を用いて、音を伝える骨伝導方式が用いられる。
【0004】
骨伝導方式は、頭蓋骨を振動させた音が蝸牛に伝わり、聴覚神経を経て脳に伝える方式である。耳周りの骨を振動させて音を伝えることから、耳が不自由な人だけではなく、騒音が激しい場所において働く人々にとっても有効に用いることができる。
【0005】
一方、従来の第1の骨伝導方式のヘッドセット(特許文献1)は、単に音を伝える骨伝導部の出力向上に関する機能しか提供していないため、使用者が激しい運動をするときや不規則的な動きがあるときにズレ落ち現象が生じて骨伝導ヘッドセットの位置を頻繁に直さなければならないという不具合があり、特に、骨伝導部が使用者のこめかみ部位を圧迫し続けることにより頭痛を引き起こしてしまうという不都合があった。
【0006】
また、従来の第2の骨伝導方式のヘッドセットに関わる特許文献2には、使用者と骨伝導スピーカーとの間の密着性を改善して使用者のこめかみ部位に対する痛症の引き起こしを抑えるようにヘッド据え置き部とイヤバンド部に対してそれぞれの長さ調節部及び角度調節部を形成した技術が開示されている。
【0007】
ところが、従来の第2の骨伝導方式のヘッドセットは、頭の形状や大きさに応じてイヤバンド部の幅を調節して使用者のこめかみ部位に対する痛症を減らすことができるとはいえ、運動をするときや不規則的な動きがあるときにスピーカーが遊動してしまうという現象が依然として生じてしまうという不都合がある。
【0008】
さらに、本出願人により出願された従来の骨伝導用ヘッドセットに関わる特許文献3には、骨伝導部が使用者の乳様突起に密着されて音響の聞き取りの効率性を大幅に向上させる技術が開示されている。
【0009】
ところが、従来の骨伝導用ヘッドセットは、骨伝導部が配設される突出フレームが硬い合成樹脂から作製されるが故に、使用者ごとに異なる後頭部の大きさ及び乳様突起の位置に柔軟に対応し難いという構造的な問題があっただけではなく、前記骨伝導部から出力される振動が突出フレームを経て連結バンドまで伝わってハウリング現象が生じるが故に、良質の音響を提供する上で難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第1849041号公報
【文献】韓国登録特許第0921524号公報
【文献】韓国登録特許第2115270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような不都合を解消するために案出されたものであり、その目的は、使用者ごとに異なる後頭部の大きさ及び乳様突起の位置に対して柔軟に対応することができるだけではなく、骨伝導部からの音響の出力時に生じる振動が本体フレームに伝わることを防ぐことのできる骨伝導用ヘッドセットを提供するところにある。
【0012】
また、骨伝導部を活用した使用者の見周りのツボ(翳風)を刺激して耳鳴りや難聴及び頭痛などの疾患を治療する上で役立つ骨伝導用ヘッドセットを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係る骨伝導用ヘッドセットは、後頭部を包み込むように曲線方向に延びる本体フレームと、前記本体フレームの両方の端部につながり、下部に突出結合部を形成した耳掛けフレームと、前記本体フレームと耳掛けフレームとの間に配設される弾性可変コネクターと、前記耳掛けフレームの突出結合部に着脱自在に結合され、使用者の耳の後側の乳様突起を向く方向に延びるフレキシブル延長部と、前記フレキシブル延長部に配設され、使用者の乳様突起に密着されて振動にて音を伝える骨伝導部と、前記骨伝導部の周方向に着脱自在に結合され、前記骨伝導部から出力される音響の波動を耳殻軟骨に伝播するイヤボーンウィング(ear bone wing)と、を備え、前記フレキシブル延長部は、外力が加えられる圧力に比例して弾性歪みが行われるゴムまたはシリコーンから形成されることを特徴とする。
【0014】
前記骨伝導部は、内部に収容空間を形成し、外側に凸状に突出する閉端部を形成したドームハウジングと、前記収容空間に収容されて設けられる振動子と、前記振動子を加圧支持する状態で前記収容空間に一方の側が嵌まり込み、他方の側が外側に突出する固定ブラケットと、前記固定ブラケットの他方の側に配設され、前記振動子の音響周波数を減衰させたり増幅させたりする周波数可変基板と、を備えることを特徴とする。
【0015】
前記フレキシブル延長部には前記骨伝導部が配設される溝部が形成され、前記溝部の内側には騒音と振動を遮断する振動吸音部材が配設されたことを特徴とする。
前記振動吸音部材は、前記周波数可変基板の一方の側に配設される吸音部材と、前記吸音部材の一方の側に配設される第1のスポンジと、前記第1のスポンジの一方の側に配設され、第1のスポンジよりも空気穴が大きな第2のスポンジと、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記ドームハウジングの外周には、微小電流及び温熱を乳様突起に伝えて耳の周りに位置するツボ(翳風)を間接的に刺激可能な伝導性めっき層が形成されたことを特徴とする。
【0017】
前記イヤボーンウィングは、前記ドームハウジングを収容するハウジング収容部を形成し、内縁に前記ドームハウジングに相補的に嵌め込まれる結合部を形成する結合胴体と、前記結合胴体から延び、耳殻に掛けられるように曲線方向に延びるイヤ密着部と、前記結合胴体から延びてツボ(翳風)の位置に対して面密着が行われるツボ加圧密着部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
前記ツボ加圧密着部には、微小電流及び温熱がツボ(翳風)を直接的に刺激可能な伝導性刺激端子が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
前述したような構成を有する本発明によれば、本体フレームと耳掛けフレームとをつなぐ弾性可変コネクターとフレキシブル延長部は弾性的に歪み易いゴムまたはシリコーンから作製されることから、個人ごとに異なる頭の屈曲ラインに合わせて前記耳掛けフレームが弾性的に広がったり縮んだりすることができて、局部的な圧迫による痛症の発生を抑えることができ、骨伝導部から生じる振動が前記本体フレーム側に伝わることを防いで、それによるハウリング現象を根本的に遮断することができるという効果がある。
【0020】
また、前記骨伝導部は、凸状に突出するドームハウジングと、固定ブラケット及び周波数可変基板から構成されることから、凸状に突出する乳様突起の突出部位に対応して様々な方向に密着させることができるだけではなく、前記周波数可変基板は固定ブラケットにより前記ドームハウジングの外側に配設されることから、振動子の振動により周波数可変基板に振れがでてしまうことを極力抑えることができるという効果がある。
【0021】
さらに、前記フレキシブル延長部の溝部には振動吸音部材を設けることにより、骨伝導部により出力される振動及び音響が前記フレキシブル延長部に伝わることを極力抑えて良質の音響を提供し、骨伝導用ヘッドセットを床面に落とした場合に前記振動吸音部材が衝撃を吸収しかつ分散させることができて、前記骨伝導部が容易に破損されてしまうことを防ぐことができるので、それによる製品の耐久性をなお一層向上させることができるという効果がある。
【0022】
さらにまた、前記ドームハウジングには微小電流及び温熱を生じさせる伝導性めっき層を設けることにより、耳の後側に位置する翳風(耳たぶをめくったところにある陥凹部)と呼ばれるツボを物理的に刺激して頭の上に上がる気血の循環を良くして頭痛、めまい、歯痛(歯いた)、眼球乾燥、顔面麻痺など顔面部の様々な疾患を治療する上で役立つだけではなく、耳鳴りや難聴の症状に苦しんでいる患者に治療的な刺激を与えて直接的な治療が行われることができ、予防をする上でも格段に役立つという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る骨伝導用ヘッドセットを示す斜視図である。
【
図2】
図1の骨伝導部の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1の弾性可変コネクターの構成により耳掛けフレームが可変となる作用を示す平面図である。
【
図4】
図1のフレキシブル延長部が可変となる作用を示す正面図である。
【
図5】
図1の骨伝導部及び振動吸音部材の構成を示す断面図である。
【
図6】
図1のイヤボーンウィングの別の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る骨伝導用ヘッドセットに付設されるパッキン部材を示す斜視図である。
【
図8】
図7のパッキン部材を適用して着用した様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る骨伝導用ヘッドセットの好適な実施形態について詳しく説明する。
参考までに、この明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に踏まえて、本発明の技術的な思想に見合う意味と概念として解釈されなければならない。
【0025】
また、この明細書に記載の実施形態と図面に示されている構成は、本発明の最適な一実施形態に過ぎないものであり、本発明の技術的な思想をいずれも代弁するものではないため、本発明の出願時点においてこれらに代替できる様々な均等物と変形例があり得るということを理解しなければならない。
【0026】
以下、添付の
図1から
図8に基づいて、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
図示のごとく、本発明に係る骨伝導用ヘッドセットは、後頭部を包み込むように曲線方向に延びる本体フレーム100と、前記本体フレーム100の両方の端部につながり、下部に突出結合部210を形成した耳掛けフレーム200と、前記本体フレーム100と耳掛けフレーム200との間に配設される弾性可変コネクター300と、前記耳掛けフレーム200の突出結合部210に着脱自在に結合され、使用者の耳の後側の乳様突起を向く方向に延びるフレキシブル延長部400と、前記フレキシブル延長部400に配設され、使用者の乳様突起に密着されて振動にて音を伝える骨伝導部500と、前記骨伝導部500の周方向に着脱自在に結合され、前記骨伝導部500から出力される音響の波動を耳殻軟骨に伝播するイヤボーンウィング600(ear bone wing)と、を備えてなる。
【0027】
まず、前記本体フレーム100は、使用者の頭の後頭部を包み込むように曲線方向に延びるものであって、硬いプラスチック素材から作製される。
このような前記本体フレーム100の内部には、基本的に、電源を供給するためのバッテリー及び制御モジュールが配設され、外側には、前記バッテリーに必要な電源を供給する充電端子(メス)110及び電源及び制御モジュールを操作するための操作制御部120が形成される。
【0028】
前記耳掛けフレーム200は、前記本体フレーム100の両方の端部につながるものであって、一部は使用者の耳に掛けられるように延び、他の一部には使用者の耳の後側の乳様突起を向く下側に突出する突出結合部210が形成される。
【0029】
前記耳掛けフレーム200には、外部から音響を受信するマイク(図示せず)が配設される。なお、前記耳掛けフレーム200の下面から突出する突出結合部210の端部には、後述するフレキシブル延長部400が嵌合する結合溝部211が形成される。
【0030】
前記弾性可変コネクター300は、前記本体フレーム100と耳掛けフレーム200との間に配設されるものであって、個人ごとに異なる頭の屈曲ラインに合わせて前記耳掛けフレームを弾性的に広げたり縮めたりする役割を果たす(
図3参照)。
【0031】
このために、前記弾性可変コネクター300は、ゴムまたはシリコーン素材から作製されることが好ましい。
本発明に係る前記弾性可変コネクター300は、ゴムまたはシリコーンから作製されることにより、後述する骨伝導部500から生じる振動が前記本体フレーム100側に伝わることを防いで、それによるハウリング現象を根本的に遮断することができるというメリットをもたらす。
【0032】
前記フレキシブル延長部400は、前記耳掛けフレーム200の突出結合部210に着脱自在に配設されるものであって、使用者の耳の後側の乳様突起が位置する個所まで所定の長さだけ延びる。
【0033】
前記フレキシブル延長部400には、前記骨伝導部500が配設される溝部410が形成され、前記溝部410の内側には、騒音と振動を遮断する振動吸音部材420が配設される。
【0034】
具体的に、前記振動吸音部材420は、前記骨伝導部500の構成要素である周波数可変基板540の一方の側に面接する状態で配設される吸音部材421と、前記吸音部材421の一方の側に配設される第1のスポンジ422と、前記第1のスポンジ422の一方の側に配設され、第1のスポンジ422よりも空気穴が大きな第2のスポンジ423と、を備える。
【0035】
このような振動吸音部材420は、前記骨伝導部500から出力される振動及び音響が前記フレキシブル延長部400に伝わることを極力抑えて良質の音響を提供する。
さらに、前記第1のスポンジ422及び第2のスポンジ423の空気穴に対する圧縮偏差により外部に伝わる振動及び音響をなお一層有効に分散させることができるだけではなく、使用者の不注意により骨伝導用ヘッドセットを床面に落とした場合に前記第1及び第2のスポンジ422、423の構成要素により前記骨伝導部500が容易に破損されてしまうことを防ぐことができて、製品の耐久性をなお一層向上させることができるという効果がある。
【0036】
本発明に係る前記フレキシブル延長部400は、外力が加えられる圧力に比例して弾性歪みが行われるゴムまたはシリコーンから形成される。
すなわち、前記フレキシブル延長部400は、前記本体フレーム100の素材とは異なる弾性材から作製することにより、前記フレキシブル延長部400が強い圧力にて使用者の乳様突起を圧迫しないことから、乳様突起に直接的な痛症を引き起こさない結果、たとえ長時間にわたって使用するとしても、心地よく着用することができるという効果を奏する。
【0037】
また、前記フレキシブル延長部400もまた、骨伝導部500から生じる振動が前記本体フレーム100側に伝わることを遮断する上で非常に役立つという効果を奏する。
一方、前記骨伝導部500は、前記フレキシブル延長部400の溝部410に配設されるものであって、使用者の乳様突起に密着されて振動にて音を伝える役割を果たす。
【0038】
このような骨伝導部500は、通常の空気伝導方式のスピーカーとは異なり、入力される電気的な音響信号を振動信号に変換する振動子520が頭蓋骨の乳様突起に振動を伝えることにより、耳を介さずに音を聞くことができるのである。
【0039】
具体的に、前記骨伝導部500は、内部に収容空間を形成し、外側に凸状に突出する閉端部を形成したドームハウジング510と、前記収容空間に収容されて設けられる振動子520と、前記振動子520を加圧支持する状態で前記収容空間に一方の側が嵌め込まれ、他方の側が外側に突出する固定ブラケット530と、前記固定ブラケット530の他方の側に配設され、前記振動子520の音響周波数を減衰させたり増幅させたりする周波数可変基板540と、を備える。
【0040】
前記ドームハウジング510は、前記振動子520を内側に収容することにより、前記振動子が外部の異物(塵埃、水気など)に直接的に晒されて汚れてしまうことを防ぐ役割を果たす。
【0041】
本発明に係る前記ドームハウジング510は、閉端部が凸状に突出した構造を有することにより、凸状な曲面部を介して乳様突起に対して様々な方向に密着させることができるという効果を奏する。
【0042】
すなわち、使用者ごとに乳様突起の形状と大きさが異なるため、これに接触する接触面を平板状ではなく、曲面状にして、接触面積への接触の効率性を高めることができるという効果を奏する。
【0043】
前記固定ブラケット530は、前記振動子520と周波数可変基板540との間に介在されるものであって、前記振動子520の振動が周波数可変基板540に直接的に悪影響を及ぼすことを防ぐ。
【0044】
前記固定ブラケット530は、一方の端部の直径が他方の端部の直径よりも小さな円錐状を呈する。
また、前記固定ブラケット530は、内部が空いた中空状に作製され、一方の端部と他方の端部とをつなぐ連結個所もまた、空いた空間を形成するブリッジから作製することが好ましい。
【0045】
前記周波数可変基板540は、前記固定ブラケット530の他方の側に配設されるものであって、前記振動子520の音響周波数を減衰させたり増幅させたりする役割を果たす。
【0046】
すなわち、振動子の音響周波数をさらに設定可能なようにすることで、音響の低音と高音を種々に設定できるようにする役割を果たす。
本発明に係る前記ドームハウジング510の外周には、微小電流及び温熱を乳様突起に伝えて見周りに位置するツボ(翳風)を間接的に刺激可能な伝導性めっき層511が形成される。
【0047】
すなわち、前記ドームハウジング510に微小電流による電流刺激と電流抵抗による温熱が生じるようにすることで、耳の後側に位置する翳風(耳たぶをめくったところにある陥凹部)と呼ばれるツボを物理的に刺激して頭の上に上がる気血の循環を良くして頭痛、めまい、歯痛(歯いた)、眼球乾燥、顔面麻痺など顔面部の様々な疾患を治療する上で役立つだけではなく、耳鳴りや難聴の症状に苦しんでいる患者に治療的な刺激を与えて治療が行われることができ、予防をする上でも役立つという効果を奏する。
【0048】
一方、前記イヤボーンウィング600は、前記骨伝導部500の周方向に着脱自在に結合されるものであって、前記骨伝導部500から出力される音響の波動を耳殻軟骨に伝播して音響の聞き取りの効率性を大幅に向上させる役割を果たす。
【0049】
具体的に、前記イヤボーンウィング600は、前記ドームハウジング500を収容するハウジング収容部611を形成し、内縁に前記ドームハウジング510に相補的に嵌め込まれる結合部612を形成する結合胴体610と、前記結合胴体610から延び、耳殻に掛けられるように曲線方向に延びるイヤ密着部620と、前記結合胴体610から延びてツボ(翳風)の位置に対して面密着が行われるツボ加圧密着部630と、を備える。
【0050】
前記ツボ加圧密着部630は、前記結合胴体610から突出する長手方向の一部を折り曲げて翳風の位置に密着できるようにする。
このような前記ツボ加圧密着部630は、翳風を刺激する加圧力を伝達するとともに、前記結合胴体610がドームハウジング510に対して相対回転することを防ぐ安定的な支持が行われるようにする。
【0051】
また、
図6に示すように、前記ツボ加圧密着部630には、微小電流及び温熱がツボ(翳風)を直接的に刺激可能な伝導性刺激端子631が設けられる。
すなわち、前記ツボ加圧密着部630に伝導性刺激端子631を付設することにより、翳風に対する刺激効果を集中させてツボの刺激による有益な効果をなお一層極大化させることができるという効果を奏する。
【0052】
図7及び
図8に示すように、前記耳掛けフレーム200には、耳掛けフレームの端部から着脱自在に嵌め込まれるパッキン部材700を付設してもよい。
前記パッキン部材700は、前記耳掛けフレーム200が挿通する構造に嵌め込まれる嵌合孔710を形成し、使用者の前側の耳に引っ掛けられる係止突起720が形成される。
【0053】
このような前記パッキン部材700は、使用者の耳と当接する肌の屈曲面に対応して円滑に歪まれるようにするとともに、たとえ長時間にわたって着用するとしても、滑り止めが図れる摩擦力の高い合成樹脂材から作製することが好ましい。
【0054】
換言すれば、前記パッキン部材700を付設することにより、使用者の耳に掛けられた骨伝導用ヘッドセットの外れを防ぐことができて、たとえ激しい運動をするとしても、心地よい着用感を安定的に保持することができるという効果を奏する。
【0055】
以上において述べた本発明は、前述した実施形態及び添付図面により何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の置換、変形及び変形が行われ得るということは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかとなろう。
【符号の説明】
【0056】
100 本体フレーム
200 耳掛けフレーム
210 突出結合部
300 弾性可変コネクター
400 フレキシブル延長部
420 振動吸音部材
500 骨伝導部
510 ドームハウジング
511 伝導性めっき層
520 振動子
530 固定ブラケット
540 周波数可変基板
600 イヤボーンウィング
630 ツボ加圧密着部
631 伝導性刺激端子
700 パッキン部材