(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
(51)【国際特許分類】
H03H 9/64 20060101AFI20240910BHJP
H03H 9/145 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/145 Z
(21)【出願番号】P 2023086582
(22)【出願日】2023-05-26
【審査請求日】2024-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英司
(72)【発明者】
【氏名】塩井 伸一
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-118669(JP,A)
【文献】特開2023-53471(JP,A)
【文献】特開2020-43404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/64
H03H 9/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直列共振器および複数の並列共振器を含むバンドパスフィルタを備え、
前記複数の直列共振器は、第1直列共振器および第2直列共振器を含み、
前記第1直列共振器は、第1減衰極および前記第1減衰極の半分以下の減衰量である第2減衰極を有し、
前記第2直列共振器は、第3減衰極および第4減衰極を有し、
前記第3減衰極および前記第4減衰極は、前記第1減衰極よりも減衰量が小さく、前記第2減衰極よりも減衰量が大きい弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第2減衰極の周波数は、前記第3減衰極の周波数および前記第4減衰極の周波数の間である請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記第2減衰極の周波数は、前記第3減衰極の周波数および前記第4減衰極の周波数の間で、最も減衰量が小さい周波数と同じである請求項2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記複数の直列共振器は、第3直列共振器を含み、
前記第3直列共振器は、第5減衰極および前記第5減衰極の半分以下の減衰量である第6減衰極を有し、
前記第6減衰極の周波数は、前記第1減衰極乃至前記第5減衰極の周波数よりも高周波である請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
第2バンドパスフィルタを備え、前記第2減衰極乃至前記第4減衰極の周波数は、前記第2バンドパスフィルタの通過帯域内である請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
第2バンドパスフィルタを備え、前記第1減衰極乃至前記第5減衰極の周波数は、前記第2バンドパスフィルタの通過帯域内である請求項4に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記複数の直列共振器および前記複数の並列共振器は、圧電基板上に形成されている請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなる基板である請求7に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記圧電基板の前記複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成された主面とは反対の主面に支持基板を備え、前記支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板である請求項7に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールに関し、特に、デュプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術的進歩により、移動体通信端末に代表されるスマートフォンなどは、目覚ましく小型化、軽量化されている。このような移動通信端末に用いられる弾性波デバイスとしては、小型化が可能な弾性波デバイスが用いられている。また、移動体通信システムとして、同時送受信する通信システムが急増しデュプレクサの需要が急増している。
【0003】
移動通信システムの変化に伴い、弾性波デバイスの要求仕様がより厳しくなってきている。例えば、従来に比してより小型化された弾性波デバイスが必要となっている。また、よりアイソレーション特性が改善された弾性波デバイスが必要となっている。
【0004】
特許文献1には、アイソレーション特性を向上させるため、容量素子を受信フィルタと並列に接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の弾性波デバイスにおいては、追加素子を必要とするため、挿入損失が増加し、弾性波デバイスの小型化が阻害される。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、追加素子を用いずに、挿入損失を増加させることなく、急峻性を確保しつつ、アイソレーション特性が向上した弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る弾性波デバイスは、
複数の直列共振器および複数の並列共振器を含むバンドパスフィルタを備え、
前記複数の直列共振器は、第1直列共振器および第2直列共振器を含み、
前記第1直列共振器は、第1減衰極および前記第1減衰極の半分以下の減衰量である第2減衰極を有し、
前記第2直列共振器は、第3減衰極および第4減衰極を有し、
前記第3減衰極および前記第4減衰極は、前記第1減衰極よりも減衰量が小さく、前記第2減衰極よりも減衰量が大きい弾性波デバイスとした。なお、第1直列共振器および第2直列共振器は、回路的にこの順で並んで配置されている必要はない。
【0009】
前記第2減衰極の周波数は、前記第3減衰極の周波数および前記第4減衰極の周波数の間であることが、本発明の一形態とされる。
【0010】
前記第2減衰極の周波数は、前記第3減衰極の周波数および前記第4減衰極の周波数の間で、最も減衰量が小さい周波数と同じであることが、本開示の一形態とされる。
【0011】
前記複数の直列共振器は、第3直列共振器を含み、
前記第3直列共振器は、第5減衰極および前記第5減衰極の半分以下の減衰量である第6減衰極を有し、
前記第6減衰極の周波数は、前記第1減衰極乃至前記第5減衰極の周波数よりも高周波であることが、本発明の一形態とされる。
【0012】
第2バンドパスフィルタを備え、前記第2減衰極乃至前記第4減衰極の周波数は、前記第2バンドパスフィルタの通過帯域内であることが、本開示の一形態とされる。
【0013】
第2バンドパスフィルタを備え、前記第1減衰極乃至前記第5減衰極の周波数は、前記第2バンドパスフィルタの通過帯域内であることが、本開示の一形態とされる。
【0014】
前記複数の直列共振器および前記複数の並列共振器は、圧電基板上に形成されていることが、本開示の一形態とされる。
【0015】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなる基板であることが、本開示の一形態とされる。
【0016】
前記圧電基板の前記複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成された主面とは反対の主面に支持基板を備え、前記支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板であることが、本開示の一形態とされる。
【0017】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本開示の一形態とされる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、追加素子を用いずにアイソレーション特性が向上した弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子(共振器)の例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における弾性波デバイスのデバイスチップ25上に形成されたデュプレクサの例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における直列共振器S1からS5の共振特性を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスの減衰特性を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスのアイソレーション特性を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスの挿入損失を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2の弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0021】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【0022】
図1に示すように、弾性波デバイス20は、配線基板23、外部接続端子24、デバイスチップ25、電極パッド26、バンプ27および封止部28を備える。
【0023】
例えば、配線基板23は、樹脂からなる多層基板である。例えば、配線基板23は、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板である。
【0024】
外部接続端子24は、配線基板23の下面に複数形成される。
【0025】
電極パッド26は、配線基板23の主面に複数形成される。例えば、電極パッド26は、銅または銅を含む合金で形成される。例えば、電極パッド26の厚みは、10μmから20μmである。
【0026】
バンプ27は、電極パッド26のそれぞれの上面に形成される。例えば、バンプ27は、金バンプである。例えば、バンプ27の高さは、10μmから50μmである。
【0027】
配線基板23とデバイスチップ25の間は、空隙29が形成されている。
【0028】
デバイスチップ25は、バンプ27を介して、配線基板23にフリップチップボンディングにより実装される。デバイスチップ25は、複数のバンプ27を介して複数の電極パッド26と電気的に接続される。
【0029】
デバイスチップ25は、例えば表面弾性波デバイスチップである。デバイスチップ25は、圧電材料で形成された圧電基板を備えている。圧電基板は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶で形成された基板である。
【0030】
圧電基板の厚みは、例えば、100μmから300μmとすることができる。別の例によれば、圧電基板は、圧電セラミックスで形成された基板である。
【0031】
さらに別の例によれば、デバイスチップ25は、圧電基板と支持基板とが接合された基板である。支持基板は、例えば、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスで形成された基板である。この場合の圧電基板の厚みは、例えば、0.3μmから5μmとすることができる。
【0032】
圧電基板上に、弾性波素子52が形成される。例えば、デバイスチップ25の主面において、複数の弾性波素子52を含む、送信フィルタまたは受信フィルタが形成される。
【0033】
別の例によれば、デバイスチップ25の主面上に、送信フィルタおよび受信フィルタを含むデュプレクサが形成される。
【0034】
送信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0035】
受信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、受信フィルタは、ラダー型フィルタである。
【0036】
封止部28は、デバイスチップ25を覆うように形成される。例えば、封止部28は、合成樹脂等の絶縁体により形成される。例えば、封止部28は、金属で形成される。
【0037】
封止部28が合成樹脂で形成される場合、当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミドなどである。好ましくは、封止部28は、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いてエポキシ樹脂で形成される。
【0038】
次に、
図2を用いて、デバイスチップ25上に形成された弾性波素子52の例を説明する。
図2は、実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子(共振器)の例を示す図である。
【0039】
図2に示されるように、IDT(Interdigital Transducer)電極52aと一対の反射器52bとが、デバイスチップ25の主面に形成される。IDT電極52aと一対の反射器52bは、弾性波(主にSH波)を励振し得るように設けられる。
【0040】
例えば、IDT電極52aと一対の反射器52bは、アルミニウムと銅の合金で形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bは、アルミニウム、モリブデン、イリジウム、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、クロム、ストロンチウム、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金で形成される。
【0041】
例えば、IDT電極52aと一対の反射器52bは、複数の金属層が積層した積層金属膜により形成される。例えば、IDT電極52aと一対の反射器52bの厚みは、150nmから450nmである。
【0042】
IDT電極52aは、一対の櫛形電極52cを備える。一対の櫛形電極52cは、互いに対向する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dとバスバー52eとを備える。
【0043】
複数の電極指52dは、長手方向を合わせて配置される。バスバー52eは、複数の電極指52dを接続する。
【0044】
一対の反射器52bの一方は、IDT電極52aの一側に隣接する。一対の反射器52bの他方は、IDT電極52aの他側に隣接する。
【0045】
次に、
図3を用いて、実施の形態1における弾性波デバイスの例を説明する。
図3は、実施の形態1における弾性波デバイスのデバイスチップ25上に形成されたデュプレクサの例を示す図である。
【0046】
図3に示されるように、デバイスチップ25上に、バンドパスフィルタである送信フィルタ30が形成されている。送信フィルタ30は、アンテナパッドANT、送信パッドTxおよびグランドパッドGNDを含む。実施の形態1における弾性波デバイスの送信フィルタ30の通過帯域は、880MHzから915MHzである。
【0047】
また、送信フィルタ30は、複数の直列共振器、例えば、送信パッドTxからみて一番目に配置された直列共振器S1、送信パッドTxからみて二番目に配置された直列共振器S2、送信パッドTxからみて三番目に配置された直列共振器S3、送信パッドTxからみて四番目に配置された直列共振器S4および送信パッドTxからみて五番目に配置された直列共振器S5を含んでいる。なお、
図3に示されるように、直列共振器S1および直列共振器S2は、それぞれ、同じ周波数特性をもつ共振器に直列分割されており、一組で1個の直列共振器として扱われている。直列共振器S3と直列共振器S4は、これらの間に並列共振器が配置されておらず、一見して分割共振器のようであるが、周波数特性が異なるために別々の直列共振器として扱われる。
【0048】
また、送信フィルタ30は、複数の並列共振器、例えば、送信パッドTxから順に、一番目の並列共振器P1、二番目の並列共振器P2および三番目の並列共振器P3を含む、ラダー型フィルタである。
【0049】
図3に示されるように、デバイスチップ25上に、バンドパスフィルタである受信フィルタ40が形成されている。受信フィルタ40は、アンテナパッドANT、受信パッドRxおよびグランドパッドGNDを含む。アンテナパッドANTは、送信フィルタ30と共通で用いられている。実施の形態1における弾性波デバイスの受信フィルタ40の通過帯域は、925MHzから960MHzである。
【0050】
アンテナパッドANT、送信パッドTx、受信パッドRxおよびグランドパッドGNDには、それぞれにバンプ27が配置され、配線基板23上に形成されたバンプパッド26と電気的に接続される。
【0051】
図4は、実施の形態1における直列共振器S1からS5の共振特性を示す図である。なお、
図4は、
図5および
図6で示され、後述する実線を含んでいる。
【0052】
図4に示すとおり、直列共振器S1は、第1減衰極ATT1と、第1減衰極ATT1の減衰量の半分以下の減衰量である第2減衰極ATT2を含む共振特性を有している。減衰量が半分以下であるとは、減衰量をdBで表したときの絶対値の値が半分以下であることをいう。
【0053】
また、
図4に示すとおり、直列共振器S4は、第1減衰極ATT1よりも減衰量が小さく、かつ、第2減衰極ATT2よりも減衰量が大きい、第3減衰極ATT3および第4減衰極ATT4を含む共振特性を有している。
【0054】
また、
図4に示すとおり、第2減衰極ATT2の周波数は、第3減衰極ATT3の周波数から第4減衰極ATT4の周波数の間で、最も減衰量が小さい周波数と同じである。
【0055】
また、
図4に示すとおり、直列共振器S2は、第5減衰極ATT5と、第5減衰極ATT5の減衰量の半分以下の減衰量である第6減衰極ATT6を含む共振特性を有している。第6減衰極ATT6は、第1から第5減衰極の周波数よりも高周波である。
【0056】
また、第1減衰極ATT1の周波数は935.5MHzであり、減衰量は-26.8dBである。
また、第2減衰極ATT2の周波数は951.6MHzであり、減衰量は-8.2dBである。
また、第3減衰極ATT3の周波数は944.8MHzであり、減衰量は-15.6dBである。
また、第4減衰極ATT4の周波数は957.1MHzであり、減衰量は-13.7dBである。
また、第5減衰極ATT5の周波数は931.2MHzであり、減衰量は-31.8dBである。
また、第6減衰極ATT6の周波数は961.4MHzであり、減衰量は-9.7dBである。
なお、減衰量は絶対値を以て大小関係が説明される。
【0057】
受信フィルタ40の通過帯域は、925MHzから960MHzであり、第1から第5減衰極の周波数は受信フィルタ40の通過帯域内にある。
【0058】
図5は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスの減衰特性を示す図である。実線は実施の形態1における弾性波デバイスの減衰特性を示している。破線は比較例における弾性波デバイスの減衰特性を示している。比較例に係る弾性波デバイスは、本発明を採用せずに、通常の設計手法により最適化したものであり、デバイスチップのサイズや使用される部材は実施の形態1にかかる弾性波デバイスと同様である。
【0059】
図5に示すとおり、実施の形態1における弾性波デバイスのほうが、比較例の弾性波デバイスよりも、受信帯域(925MHz~960MHz)における減衰量(絶対値)の最小値が大きいため、減衰特性が優れていることがわかる。
【0060】
図6は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスのアイソレーション特性を示す図である。実線は実施の形態1における弾性波デバイスのアイソレーション特性を示している。破線は比較例における弾性波デバイスのアイソレーション特性を示している。
【0061】
図6に示すとおり、実施の形態1における弾性波デバイスのほうが、比較例の弾性波デバイスよりも、受信帯域(925MHz~960MHz)における減衰量(絶対値)の最小値が大きいため、アイソレーション特性が優れていることがわかる。
【0062】
図7は、実施の形態1と比較例の弾性波デバイスの挿入損失を示す図である。実線は実施の形態1における弾性波デバイスの挿入損失を示している。破線は比較例における弾性波デバイスの挿入損失を示している。
【0063】
図7に示すとおり、実施の形態1における弾性波デバイスと比較例の弾性波デバイスは挿入損失がほとんど変わらないことがわかる。
【0064】
以上で説明された実施の形態1によれば、追加素子を用いずに、挿入損失を増加させることなく、急峻性を確保しつつ、アイソレーション特性が向上した弾性波デバイスを提供することができる。
【0065】
実施の形態2.
図8は、実施の形態1の弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0066】
図8において、モジュール100は、配線基板130と複数の外部接続端子131と集積回路部品ICと弾性波デバイス20とインダクタ111と封止部117とを備える。
【0067】
複数の外部接続端子131は、配線基板130の下面に形成される。複数の外部接続端子131は、予め設定された移動通信端末のマザーボードに実装される。
【0068】
例えば、集積回路部品ICは、配線基板130の内部に実装される。集積回路部品ICは、スイッチング回路とローノイズアンプとを含む。
【0069】
弾性波デバイス20は、配線基板130の主面に実装される。
【0070】
インダクタ111は、配線基板130の主面に実装される。インダクタ111は、インピーダンスマッチングのために実装される。例えば、インダクタ111は、Integrated Passive Device(IPD)である。
【0071】
封止部117は、弾性波デバイス20を含む複数の電子部品を封止する。
【0072】
以上で説明された実施の形態2によれば、モジュール100は、弾性波デバイス20を備える。このため、追加素子を用いずに、挿入損失を増加させることなく、急峻性を確保しつつ、アイソレーション特性が向上した弾性波デバイスを備えるモジュールを提供できる。
【0073】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0074】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0075】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0076】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0077】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0078】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0079】
20 弾性波デバイス、 23 配線基板、 24 外部接続端子
25 デバイスチップ、 26 電極パッド、 27 バンプ 28 封止部
52 弾性波素子、 52a IDT電極、 52b 反射器
52c 櫛形電極、 52d 電極指、 52e バスバー
30 送信フィルタ、 40 受信フィルタ
ANT アンテナパッド、 Tx 送信パッド、 Rx 受信パッド
GND グランドパッド
100 モジュール、 130 配線基板、 131 外部接続端子
IC 集積回路部品、 111 インダクタ、 117 封止部
【要約】
【課題】追加素子を用いずに、挿入損失を増加させることなく、急峻性を確保しつつ、アイソレーション特性が向上した弾性波デバイスを提供する。
【解決手段】複数の直列共振器および複数の並列共振器を含むバンドパスフィルタを備え、前記複数の直列共振器は、第1直列共振器および第2直列共振器を含み、前記第1直列共振器は、第1減衰極および前記第1減衰極の半分以下の減衰量である第2減衰極を有し、前記第2直列共振器は、第3減衰極および第4減衰極を有し、前記第3減衰極および前記第4減衰極は、前記第1減衰極よりも減衰量が小さく、前記第2減衰極よりも減衰量が大きい弾性波デバイス。
【選択図】
図4