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特許75531502つ以上の材料からなる構造物を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】2つ以上の材料からなる構造物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240910BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240910BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240910BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240910BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/112
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023125260
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2020567983の分割
【原出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2023145643
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】62/682,067
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/167,088
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ イー ログレン
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ ヴァタニ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-020474(JP,A)
【文献】特開2015-205512(JP,A)
【文献】特表2010-516498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0273767(US,A1)
【文献】特表2017-528347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 50/02
B29C 64/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多材料三次元印刷装置を用いて2以上の材料からなる構造物を製造するための方法であって、
前記方法は、三次元部分を印刷するために多材料三次元印刷装置の動作を指示および調整する印刷指令を受け取ることを備え、前記三次元部分は2以上の材料から作られ、少なくとも2つの印刷厚み層を有しており、前記少なくとも2つの印刷厚み層の各々は少なくとも1つの単一材料パターンを有しており、
前記方法は、さらに、
少なくとも1つの単一材料パターンの第1の単一材料パターンのための第1印刷指令を、多材料三次元印刷装置内の第1印刷ステーションに送信することと、
第1基板上に前記少なくとも1つの単一材料パターンの材料を分散することと、
分散した材料を、第1キャリア装置を介して、材料が圧縮される第1圧縮装置へ移動させるように前記第1基板を割り出しすることと、
圧縮した材料を、圧縮した材料上に所定のパターンでバインダを分散する印刷装置へ移動させるように前記第1基板を割り出しすることと、
前記少なくとも1つの単一材料パターンの第2の単一材料パターンのための第2印刷指令を、多材料三次元印刷装置内の第2印刷ステーションに送信することと、
第2基板上に前記少なくとも1つの単一材料パターンの前記第2単一材料パターンの材料を分散することと、
前記第2単一材料パターンの分散した材料を、第2キャリア装置を介して、材料が圧縮される第2圧縮装置へ移動させることと、
移送装置を用いて、少なくとも2つの印刷厚み層をビルド基板に移送させることとを備え、
前記移送装置は、いかなる時でも少なくとも2つの印刷厚み層のうちの任意の1つにアクセスできるように位置決めされており、かつ、2つの印刷厚み層を任意の順序で移送するように構成されている、方法。
【請求項2】
印刷指令を受け取ることは、
多材料物体デザインを少なくとも2つの印刷厚み層に分割することと、
前記少なくとも2つの印刷厚み層の各々を少なくとも1つの単一材料パターンに分離することとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
パターン化された材料を、バインダパターンが固定放射によって固定される固定装置へ移動させるように前記第1基板を割り出しすることと、
固定されたパターンを、バインダによって所定位置に固定されていない圧縮材料を除去する流動材料除去装置へ移動させるように前記第1基板を割り出しすることと、
パターン化されて固定された材料を、移送ステーションへ移動させるように前記第1基板を割り出しすることとを備え、
前記移送ステーションでは、少なくとも2つの印刷厚み層のうちの少なくとも1つがビルド基板または先に位置決めされた層の頂部のいずれかに移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
パターン化されて固定された材料が最後の層か否かを決定し、そうでなければ、多材料三次元印刷装置内の印刷ステーションに次の印刷層を印刷する指令を送信する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多材料三次元印刷装置内の中央処理ユニットによって、第1および第2印刷ステーションに指令を出し、この指令に基づいて特定の材料を印刷する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
パターン化されて固定された材料を移送ステーションに移動させることは、第1基板および第2基板から少なくとも2つの印刷厚み層の各々を除去するように構成された付属装置を備えるピックアップアセンブリを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記付属装置は、少なくとも2つの印刷厚み層の各々を第1または第2基板に保持する力に打ち勝つように構成された真空装置または接着装置のうちの少なくとも一方を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
パターン化されて固定された材料を移送ステーションに移動させることは、第1基板および第2基板から少なくとも2つの印刷厚み層の各々を、第1印刷ステーションおよび第2印刷ステーションと連絡してアセンブリ装置に移動させるように構成された移行装置を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記アセンブリ装置は、ビルド基板と、各印刷厚み層をビルド基板上に正確に置くことを容易にするための位置決め参照基準とを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流動材料除去装置は、真空装置、破壊装置およびエアーナイフを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記固定装置は、IR放射、UV放射および電子ビームからなる群から選ばれた少なくとも1つの放射エネルギを提供するように構成されている、請求項3に記載の方法
【請求項12】
前記第1圧縮装置は、振動、およびコンプライアント圧力カフまたはローラのうちの少なくとも一方を提供するように構成された沈降装置を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1圧縮装置は、流動材料を、流動材料の理論密度の40%以上の高密度まで圧縮するように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータおよび制御装置を含む多材料三次元印刷装置を用いて2以上の材料からなる構造物を製造するための方法であって、
多材料物体デザインを少なくとも2つの印刷厚み層に分割することと、
異なった材料を、少なくとも2つの印刷厚み層のうちの1つに同定することとを備え、
少なくとも2つの印刷厚み層のうちの1つに同定された材料の各々に対して、
多材料三次元印刷装置内の印刷ステーションへ少なくとも1つの単一材料パターンを送ることと、
少なくとも2つの印刷厚み層のうちの1つに対して材料物を作ることと、
少なくとも2つの印刷厚み層のうちの1つの材料物を、移送装置を用いて、ビルド基板に移送することと、
ビルド基板上に単一層で各材料物を積み重ねることとを備え、
前記方法は、さらに
少なくとも2つの印刷厚み層の1つに対する全ての材料物が印刷されてビルド基板に移送されたかどうかを決定することと、
単一層内の全ての異なった材料が印刷され、ビルド基板の構造が2以上の別個の材料を2以上の印刷層で備える場合に、次の層の厚みだけビルド基板を下方に動かすことと、
コンピュータの中央処理ユニットによって、制御装置の印刷ステーション制御ユニットに特定の材料を印刷するように指令することとを備え、
前記移送装置は、少なくとも2つの印刷厚み層のうちの任意の1つにいつでもアクセスできるように位置決めされており、かつ、2つの印刷厚み層を任意の順序で移送できるように構成されている、方法。
【請求項15】
前記制御装置の印刷ステーション制御ユニットは、複数の装置を制御する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の装置は、キャリア装置、分配装置、圧縮装置、印刷装置、固定装置、流動材料除去装置、整列装置、移送装置およびアセンブリ装置のうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記移送装置は、ビルド基板から2以上の印刷厚み層のそれぞれを除去するように構成された付属装置を含むピックアップアセンブリを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記付属装置は、印刷層をビルド基板に保持する力に打ち勝つように構成された真空装置又は接着装置のうちの少なくとも一方を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記移送装置は、印刷層をビルド基板からアセンブリ装置に移動させるように構成された移行装置を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
印刷ステーションに送られた少なくとも1つの単一材料パターンは、ビルド基板上に分散される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1印刷指令は、前記第2印刷指令と同じか、第2印刷指令と異なっているのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1単一材料パターンは、前記第2単一材料パターンとは異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記付属装置上のアライメントセンサおよび制御装置との調和を可能にして材料物をビルド基板上におよび先に位置決めされた層の積み重ねの頂部上に整列させるために、ビルド基板に関連した整列基準をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2018年10月22日に出願された米国特許出願第16/167,088号の優先権を主張するものであり、この米国出願は2018年6月7日に出願された「多材三次元プリンタ」と題する米国特許仮出願第62/682,067号の優先権の利益を主張するものであり、それらの出願の内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
[発明の属する技術分野]
本発明は、2つ以上の材料の構造を作るための三次元印刷システムおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元印刷の導入は、より迅速でより経済的な製造アプローチの可能性に高度の関心をもたらした。しかし、今日まで、その可能性はほとんど満たされていない。三次元プリンタの大部分は、デモンストレーション部品または非機能的プロトタイプを製造するために使用される。大部分では、デモ部品または非機能的試作品の大部分が最終部品の材料要求よりも、主にプリンタとの互換性のために選択されるプラスチック材料で作られている。高価値部品にはいくつかの注目すべき例外がある。例えば、ジョイントの交換具は、エネルギービーム溶融三次元プリンタおよびジェットバインダ三次元プリンタで作られた複雑な砂型鋳造コアで製造することができる。
【0004】
これらの三次元プリンタの両者は粉末床技術を使用するが、粉末を所望の形状に固定するための異なるアプローチを有する。両者の用途は、その用途用に選ばれた技術材料を使用できるという利益をもたらす。これは、溶融堆積モデリングマシンのための溶融および固化特性、またはバット(vat)重合マシンでの使用のための重合特性のいずれかのため
に選択されたプラスチックとは対照的である。噴射バインダ三次元プリンタは、さらに、粉体の全層を迅速に堆積させ、所望のパターンをプリントヘッドのような高速インクジェットで固定することができるという利益をもたらす。噴射バインダ型三次元プリンタの最も重要な制限要因は、各層内の単一材料に対する制約である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、単一材料の制約に対処するために、粉末床および噴射バインダ技術を活用することができる三次元プリンタを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多材料三次元印刷装置を提供する。提供される装置は、2つ以上の印刷ステーションを含む。印刷ステーションの各々は、基板、搬送装置、分散装置、圧縮装置、印刷装置、固定装置、および流動材料除去装置を含む。装置はまた、搬送装置を介して2つ以上の印刷ステーションと連通する組立装置を含む。装置はまた、組立装置と連通する1つ以上の移送装置を含む。この装置はまた、2つ以上の印刷ステーション、組立装置、および1つ以上の移送装置の動作を制御するように構成された計算および制御装置を含む。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、移送装置が、印刷層を、基板から、ビルド基板のうちの少なくとも1つの上に、またはビルド基板に予め固定された印刷層の積層体の印刷層上に移送するように構成される。さらに、移送装置は、基板から印刷層を除去するように構成された取付け装置を含むピックアップアセンブリを含むことができる。いくつかの実
施形態では、取付け装置が、印刷層を基板に保持する力に打ち勝つように構成された真空装置または接着装置を含む。移送装置は、印刷層を基板から組立装置に移動させるように構成された移行装置を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、流動化材料除去装置が、真空装置、破壊装置、およびエアナイフを含む。さらに、流動化材料除去装置は、基板上に堆積して圧縮された流動化材料のすべてを除去するように構成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、固定装置が、IR放射線、UV放射線、および電子ビームの群から選択される少なくとも1つの放射エネルギー源を提供するように構成される。印刷装置は、基板の幅にまたがる噴射ノズルを備えたインクジェット式のプリントヘッドを含むことができる。代替の実施形態では、印刷装置が、基板の幅にまたがるのに必要な噴射ノズルがより少ない、インクジェット式のプリントヘッドを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、圧縮装置は、振動を提供するように構成された沈降装置と、コンプライアント圧力カフ(compliant pressure cuff)またはローラのうちの少なくと
も1つとを含む。圧縮装置は、流動化材料を流動化材料の理論密度の少なくとも40%の高密度に圧縮するように構成することができる。
【0011】
本開示のさらなる特徴および利点は、以下の説明に記載され、一部はこの説明から明らかであり、または本明細書に開示される原理の実施によって学習され得る。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される器具および組み合わせの装置によって実現および獲得され得る。本開示のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から完全に明らかになるか、または本明細書に記載される原理の実施によって学習され得る。
【0012】
上述の開示ならびにその利点および特徴を得ることができる方法を説明するために、添付の図面に示される特定の例を参照することによって、上述の原理のより具体的な説明が行われる。これらの図面は本開示の例示的な態様のみを描写し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。これらの原理は、以下の図面を使用することによって、さらなる特異性および詳細を伴って記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による、連続基板を有する印刷ステーションおよびアセンブリ装置の概略図である。
図2】本開示の一実施形態による、多材料三次元プリンタの概略図である。
図3】本開示の一実施形態による、代替キャリアデバイスを有する印刷ステーションおよびアセンブリ装置の概略図である。
図4】本開示の一実施形態による、各印刷ステーションによって2つ以上の材料からなる構造を作るプロセスを説明するフローチャートである。
図5】本開示の一実施形態による、三次元プリンタ全体によって2つ以上の材料からなる構造を作るプロセスを説明するフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態による、システムレベルのコンピューティングおよび制御デバイスの概略図である。
図7】本開示の一実施形態による、個々の印刷ステーションコントローラの概略図である。
図8】本開示の一実施形態による、流動化した材料の除去装置の概略図である。
図9】本開示の一実施形態による、移送装置の代替実施形態の概略図である。
図10】本開示の一実施形態による、取付装置の代替実施形態の図である。
図11】本開示の一実施形態による、取付装置の代替実施形態の図である。
図12】本開示の一実施形態による、取付装置の代替実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は同様または同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図面は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本発明を例示するために提供されているに過ぎない。本発明のいくつかの態様を、例示のための例示的な用途を参照して以下に説明する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の詳細特定事項、関係、および方法が記載されていることを理解されたい。しかし、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細なしに、または他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識する。他の例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、周知の構造または動作は詳細には示されていない。本発明は、いくつかの行為が異なる順序で、および/または他の行為または出来事と同時に起こり得るので、行為または出来事の図示された順序によって限定されない。さらに、本発明による方法を実施するために、すべての例示された動作または出来事が必要とされるわけではない。
【0015】
前述の観点から、本明細書に開示される実施形態は、2つ以上の材料からなる構造を作るための三次元印刷システムおよび関連する方法を対象とする。開示された三次元印刷システムは単一材料の制約に対処するために、粉末床およびジェットバインダ技術を活用する。本開示は、各層が1つ以上の材料を含む層状の構造を構築することを教示する。開示された方法はまた、コンピュータ支援設計およびドラフティング(CAD)ソフトウェアの使用を通じて、各層の個々の材料の各々をパターン化し、これらの個々の材料スライスを所望の三次元構造に組み合わせることを教示する。各層の各材料が印刷されるとき、それは、3次元で、および2つ以上の材料で所望の構造を作製するために、先に印刷された層上に順に積み重ねられる。
【0016】
溶解堆積モデル(FDM:Fused Deposition Modeling)及び押出に基づく三次元プリンタは
、複数の材料又は非常に類似した材料の複数の色を堆積することが可能であるが、三次元印刷のためのこれらの技術はいずれも極端に遅く、非常に限られた材料セットを提示する。本開示は、従来の個別アセンブリおよびサブトラクティブ成形プロセスに対して十分なコスト競争力を持つ材料堆積速度に適応する粉末床およびジェットバインダ技術を教示する。さらに、ジェットバインダ技術は、極めて広範囲の有機および無機材料の適用を可能にするという材料における柔軟性を与える。
【0017】
さらに、従来のジェットバインダ三次元プリンタは、先の層の上に直接単一材料の全層を堆積し、圧縮し、堆積した粉末層にバインダを付与することによってパターンを形作ることによって三次元構造を構築する。ジェットバインダによって所定の位置に固定されていない所与の層内の粉末は、平坦で凹凸の無い表面を続けており、次の粉末の層を受け取るために所定の位置に残される。本開示は基板上の各層のために各材料を作製することを教示している。基板は、搬送装置の一部と関連付けられ得るか、または搬送装置に固定され得る。搬送装置は、所望の三次元対象物を作り出すために個々に印刷された層が組み立てられるアセンブリ装置とは別個にすることができる。本開示はまた、材料の各々のための材料堆積およびパターニングシステム(まとめて印刷ステーション)を教示する。
【0018】
印刷ステーションの各々は、基板上に均一かつ高密度の層で流動化材料を分配することができる分配装置を含むことができる。各印刷ステーションはさらに、流動化材料の理論密度の少なくとも40%の見掛け密度を有するように、堆積された流動化材料を圧縮することができる圧縮装置を含むことができる。各印刷ステーションはまた、液体結合材料を正確なパターンで分配することができる印刷装置を含むことができ、パターンおよび分配は、完全に自動化された様式で予め設定されたCAD設計によって駆動される。各印刷ステーションはまた、液体結合材料を硬化させて、液体結合材料にさらされた流動化材料の
部分を強固に固定するように構成された固定装置を含むことができる。各印刷ステーションはまた、分散装置によって分散した流動化材料の部分を取り除くように構成された材料除去装置を含むことができる。その部分は、印刷装置によって分散された液体結合材料にさらされなかったものである。基板は、硬化した液体結合材料の印刷層によって定位置に固定された流動化材料の部分をアセンブリ装置に移すように構成されることができる。アセンブリ装置はまた、印刷層をビルド基板上に、またはビルド基板に予め固定された積み重ね印刷層の印刷層上に正確に移すことができる移送装置を含むことができる。ビルド基板または積み重ねた層の上の任意の単一の完全な層は、1つ以上の印刷ステーションからの印刷層を含むことができ、1つの印刷層の空の部分が、別の印刷ステーションからの他の印刷層の異なる材料で正確に充填されるように整列される。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態による、連続基板を有する印刷ステーションおよびアセンブリ装置を概略的に示す。印刷ステーションは、キャリア装置12を含むことができる。いくつかの実施形態では、キャリア装置12が、材料を第1の位置から第2の位置に搬送又は移動させるように構成されたコンベアを含むことができる。コンベアは、ベルトと、ベルトをある方向に前進させるために同じ方向に回転するように構成された2つの回転要素15とを含むことができる。キャリア装置12は、遠位端および近位端を有し得る。キャリア装置12は、基板10を遠位端から近位端に搬送することができる。基板10は、移送装置76が印刷された層(図1には示されていない)をビルド基板80に搬送することができる位置まで、2つの回転要素15によって位置決めされ得る。
【0020】
キャリア装置12の遠位端には、分配装置20を設けることができる。分配装置20は単に、流動化された材料を分配するように構成されたディスペンサとすることができる。分配装置20は、材料貯蔵部21と分配コントローラ22とを含むことができる。分配コントローラ22は、基板10上に堆積された流動化材料の量を正確に計量するように構成することができる。分配コントローラ22は、堆積した流動化材料の均一性を正確に制御するように構成することもできる。
【0021】
キャリア装置12の遠位端付近には、圧縮装置30を設けることができる。いくつかの実施形態では、圧縮装置30が、円筒管として設計された硬化金属材料で構成されたローラを含むことができる。他の実施形態では、圧縮装置30がコンプライアント圧力カフ、または堆積した流動化材料および基板10の平面に直交する制御圧力を印加するように構成された別の装置を含むことができる。圧縮装置30はまた、振動を提供するように構成された沈降装置(settling device)を含むことができる。圧縮装置30の振動は、流動
化材料の分布および圧縮を改善することができる。いくつかの実施形態では、圧縮装置30が流動化材料を、流動化材料の理論密度の少なくとも40%の高密度に圧縮するように構成することができる。
【0022】
キャリア装置12の遠位端の近くに、印刷装置40を設けることができる。印刷装置40は、液体結合材料を堆積させて、流動化材料に正確なパターンを固定するように構成することができる。正確なパターンは、流動化材料を連結された堅牢な塊に結合することによって、流動化材料に固定されることができる。いくつかの実施形態では、印刷装置40がコンピュータ(図示せず)の直接制御下にあるインクジェットタイプの印刷ヘッドとすることができる。コンピュータは一組のパターニング命令、例えば、予め設定されたCAD設計を使用して命令されることができる。
【0023】
印刷装置40は、基板10の幅にまたがる噴射ノズルを備えたインクジェット式の印刷ヘッドを含むことができる。インクジェット式印刷ヘッドは、所望の印刷解像度を達成するのに十分な密度で位置決めすることもできる。インクジェット式ヘッドは所定の位置に固定することができ、各噴射ノズルの機能は回転要素15上の基体10の動きと協調させ
ることができ、流動化材料に所望のパターンを作り出すことができる。
【0024】
代替の実施形態では、印刷装置40が基板10の幅にわたって必要とされるよりも少ない噴射ノズルを含み、しかも所望の解像度を達成するインクジェットヘッドを含むことができる。インクジェットタイプのヘッドはコンピュータ制御の下で、基板10の幅にわたって移動可能であり、インクジェットタイプの印刷ヘッドと回転要素15の両方の移動を協調させて、流動化材料中に所望の固定された印刷パターンを達成することができる。
【0025】
キャリア装置12の中央付近には、固定装置50を設けることができる。固定装置50は、液体結合材料を固化させることによって、液体結合材料にさらされた流動化材料を強固な固体パターンで固定するように構成することができる。固定装置50は、液体結合材料と相互作用して液体結合材料を固体にすることができる放射エネルギー源とすることができる。いくつかの実施形態では、放射エネルギーがIR放射線、UV放射線、電子ビーム、または他の公知の放射線タイプであり得る。このリストは例示的な実施形態のために提示されており、網羅的であることを意図していないので、固定装置50は、開示された放射線タイプに限定される必要はないことを理解されたい。あるいは、固定装置50が反応剤を分散させるための装置を含むことができる。反応剤は、液体結合材料および流動化材料と反応して、流動化材料を強固な塊に変換するように構成することができる。
【0026】
固定装置50の下流には、流動化材料除去装置60を設けることができる。流動化材料除去装置60は、基板10上に堆積して圧縮された流動化材料の全てを除去するように構成することができる。流動化材料除去装置60は基板上に堆積して圧縮されているが、液体結合材料によって所定位置に固定されていない流動化材料を除去することができる。ここで図8を参照すると、流動材料除去装置60がより詳細に図示されている。
【0027】
流動化材料除去装置60は、エンクロージャ63を含むことができる。エンクロージャは、遠位端および近位端を有することができる。印刷層88は、エンクロージャ63の遠位端から基材10に沿って近位端まで移されることができる。エンクロージャ63は、圧縮された粉末84をほぐすために、ブラシまたはプローブなどの破壊装置61を含むことができる。残留粉末86は、エアナイフ装置62によってさらに移動させることができる。破壊装置61は、定位置に固定されていない圧縮粉末を破壊するのに十分な破壊強度を有するように設計することができる。破壊装置61は、結合剤で処理され、図1の固定装置50によって固定された圧縮粉末を除去しないように構成されている。固定されていない圧縮粉末84がエンクロージャ63内で十分に動かされ、エアロゾル化されると、いくらかの固定粉末88が基材10に付着したままになることができる。エアロゾル化された圧縮粉末84は、真空ポート64によって基板から除去することができる。流動化材料除去装置60の他の例示的な実施形態は、本明細書に列挙されるよりも多い又は少ない装置を含むことができることを理解されたい。
【0028】
図1に戻って参照すると、移送装置76は、アセンブリ装置内の流動材料除去装置60から下流で実施することができる。移送装置76は、印刷層(図2に参照番号90で示す)を基板10から移動させるように構成することができる。印刷層90は、基板10からビルド基板80へ、または先に配置された層91の積み重ねの上部へ移動させることができる。移送装置76はまた、ピックアップアセンブリを含むことができる。ピックアップアセンブリは、基板10から印刷層90を除去するように構成された取付装置71を含むことができる。取付け装置71は、印刷層90を基板10に保持する力に打ち勝つための真空装置または接着装置を含むことができる。移送装置76はまた、印刷層90を基板10から組立装置81に移動させるように構成された移行装置75を含むことができる。
【0029】
ここで図9を参照すると、移送装置120の代替実施形態が示されている。移送装置1
20は、取付け装置71と連通することができるエンドエフェクタ78を含むことができる。移送装置120は、基板10上の印刷層90に対して取付け装置71を正確に位置決めするように構成することができる。エンドエフェクタ78は、取付け装置71をして、基板10から印刷層90を除去させるようにすることができる。基板10は位置合わせ基準点110を含み、位置合わせセンサ105との協調を可能にすることができる。また、エンドエフェクタ78は、内側アーム126に作用するジョイント122と、外側アーム128に作用する2つのジョイント124との間で協調しながら、アタッチメント装置71に対して正確な垂直及び回転移行を提供することができる。
【0030】
図9はまた、印刷ステーションの別の配置を示す。いくつかの実施形態では、印刷ステーションが単一の列に配向することができる。移送装置120は、取付け装置71が基板上の印刷層のいずれか1つにアクセスできるようにする任意の位置に配置されることができる。ビルドプラットフォーム80は、移送装置120の範囲内のどこにでも配置することができる。図1に関して上述したように、ビルドプラットフォーム80は、エレベータ装置を含むことができる。代替の実施形態ではビルドプラットフォーム80は固定され得、取付け装置71はエンドエフェクタ78を使用して上昇または下降され得る。
【0031】
印刷層90A、90B、および90Cはそれぞれ、3つの印刷ステーション1の製品を表し、それぞれが異なる材料を有する印刷層を生成する。多材料製品を構築するためには、少なくとも2つの印刷ステーションが必要である。しかし、多材料印刷システムに組み込むことができる印刷ステーションの最大数はないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、組立装置81がビルドプレート80、位置合わせ基準点110、およびエレベータ装置100(図1および図3参照)を含むことができる。ビルドプレート80はまた、構築が完了した後に容易に解放することを可能にしながら、ビルド製品の位置を維持するように構成された接着修正装置(図示せず)を含むことができる。接着修正装置は、第1の印刷層とビルドプレート80との間の界面を、熱的、電気的、磁気的、または機械的に刺激することによって、接着を修正することができる。
【0032】
図1に戻って参照すると、エレベータ装置100は、前もって位置決めされた層91の積層体の最上部のレベルを維持するように構成されている。好ましい実施例では、エレベータ装置100がリードねじを含むことができる。代替実施形態では、エレベータ装置100がリニアモータ装置を含むことができる。図9に戻って参照すると、ビルドプレート80上および前もって位置決めされた層91の上部に印刷された層の正確な位置合わせを容易にするために、位置合わせ基準点110を設けることができる。位置合わせ基準点110は、位置合わせセンサ105及びコンピュータ制御システムと協調して使用して、印刷された層90を前もって位置決めされた層91の積み重ね体の頂部と正確に位置合わせすることができる。位置合わせ基準点は、ビルドプレート80の表面に組み込むことができる。別の実施形態では、位置合わせ基準点110がビルドプレート80の表面から突出することができる。ビルドプレート80のさらに別の実施形態では、位置合わせ基準点110が現在の印刷された層の高さに比例する距離だけビルドプレート80の表面から突出することができる。
【0033】
また、取付装置71は印刷された層90が予め位置決めされたときに、位置合わせ基準点110と位置合わせされる位置合わせセンサ105を含むことができる。いくつかの実施形態では、位置合わせセンサ105及び位置合わせ基準点110が協調して、アライメントセンサ105がアライメント基準点110に対する位置を0.01mm以内に検出することを可能にするように、設計されることができる。アライメントセンサ105は、光学センサ、レーザセンサ、磁気センサ、超音波センサ、または機械センサとすることができる。複数の位置合わせセンサおよび関連する位置合わせ基準点110は、アタッチメント装置71、ビルドプレート80、および基板10の間の正確な位置合わせのための位置
合わせシステムを構成することができる。
【0034】
取付け装置71は、図10を参照してさらに詳細に説明されている。取付け装置71は、取付装置ベース79、接着装置73、および接着修正器74を含むことができる。取付装置ベース79は、エンドエフェクタ78に接続されることができる。接着装置73は、真空装置(図示せず)及び接着面装置を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、接着表面装置がジェルパッド、マイクロヘアデバイス、または静電気デバイスを含むことができる。本明細書では、他の接着剤表面デバイスを実施することができることを理解されたい。接着力の強さは、接着修正器74で接着装置73に刺激を加えることによって修正することができる。例えば、接着修正器74は、接着装置73に熱的、電気的、磁気的または機械的刺激を加えるように構成することができる。
【0035】
移送ステーション70はまた、基材10の一部分と、接着力低減装置68とを含むことができる。印刷層90は、基材10の移動によって移送ステーション70内に循環させることができる。印刷層90は、基板10の表面と接触する固定粉末の接着特性によって、基板10の表面に接着することができる。基板10または個別プラットフォーム11の表面は、固定粉末88に所定の接着力を与えるように設計することができる。接着力低減器68は、固定粉末88と基材10の表面との間の界面に刺激を与えて、接着力を低減し、印刷層(図示せず)の取付け装置71への移送を容易にすることができる。接着力低減層68によって提供される刺激は、熱的、電気的、磁気的、または機械的であり得る。いくつかの実施形態では、基板10から取付け装置71への印刷層90の移送を、接着装置73への直接接触によって容易にすることができる。いくつかの実施形態では、基板10から取付け装置71への印刷層90の移送を、接着力修正器74の活性化、または接着力低減器68の活性化、またはその両方の組合せによって容易にすることができる。
【0036】
図11は、取付け装置71の別の実施形態を示す。図11の取付け装置71は、形状修正器72をさらに含むことができる。形状修正器72は、基板10から接着装置73への印刷層88の移送をより容易にするために、剥離作用を提供することができる。形状修正器72は、予め形成された湾曲構造を含むことができる。湾曲構造は、曲面に垂直に加えられる機械的圧力によって平坦化され得る弾性材料で構成することができる。取付け装置71の代替実施形態では、形状修正器72を、空気力、油圧力、または機械力を加えることによって平坦な表面または湾曲した表面を形成するように修正することができる調整可能構造とすることができる。
【0037】
図12は、取付け装置71の別の実施形態を示す。図12の取付け装置71は、丸みを帯びた表面を有する取付装置ベース79をさらに含むことができる。取付装置ベース79は上述のように、接着装置73および接着修正器74を含むことができる。取付け装置71はまた、エンドエフェクタ78の周りで旋回するように構成され得、その結果、取付け装置71は、印刷層90を回転させ、剥がすように構成され得る。剥離作用は、基材10から接着装置73への、および接着装置73から以前に配置された層への印刷層90の移送のより大きな制御を提供することができる。
【0038】
再び図1を参照すると、印刷ステーションは、連続ウェブを配置することができる。連続ウェブは材料のループであってもよく、印刷層90が移送装置76に解放された後に印刷ステーション1の始点に戻る。連続ウェブは、丈夫なポリマーフィルムのロール又は金属箔のロールのような細長い構造であってもよい。連続ウェブは印刷ステーション1を1回通過することができ、次いで、廃棄または回収されるように印刷ステーションから取り出すことができる。
【0039】
図2は、本開示の一実施形態による、多材料三次元プリンタの概略図を示す。三次元プ
リンタは、複数のワークステーションを含むことができる。各ワークステーションは、移送ステーション70および印刷ステーション1を含むことができる。印刷ステーション1は、図1の基材10、回転要素15、分配装置20、圧縮装置30、印刷装置40、固定装置50、および流動化流体材料除去装置60を含むことができ、移送ステーション70は、移送装置76およびその構成要素のすべてを含むことができる。多材料三次元プリンタは、最終印刷部に含まれる各異なる材料のための単一の印刷ステーション1を含むことができる。各印刷ステーションは、最終印刷部の各完全層に1つの材料を寄与させることができる。さらに、最終印刷部の各完全な層は、1つの材料から印刷ステーションと同じ数の材料までを含むことができる。各材料はビルド基板80上に、または前もって位置決めされた層91の積層体の頂部に移送され、ビルド基板80に関連する位置合わせ基準点と正確に位置合わせされることができる。アライメント(位置合わせ)は、印刷物の上面が同一平面上にあり、上面内に後続の材料が存在しない場合には、完全で正確であると見なされる。
【0040】
図2は各印刷ステーション1のための単一の移送装置76を例示しているが、いくつかの実施形態では移送装置76が各印刷ステーション1の移送位置70にアクセスするように構成することができる。この実施形態では、移送装置76が、印刷された層90を各印刷ステーションから移送して、基板80を構築するか、または以前に配置された層91の積層体の上部に移送するように構成することができる。移送装置76は、印刷層90を、ビルド基板80に関連する位置合わせ基準と正確に位置合わせされた、以前に位置決めされた層91の積層体の上部に移送するように構成することができる。別の実施形態では、移送装置76を各印刷ステーション1に設けることができる。各移送装置76は、関連する移送位置70から、ビルド基板80へ、または先に位置決めされた層91の積層体の上部へ、印刷層80を正確に移送するように構成されることができる。
【0041】
別の代替実施形態では、印刷ステーション1に対する移送装置76の比率を、印刷の必要性および戦略に基づいて任意の数に変えることができる。移送装置76の数にかかわらず、各移送装置76は、関連する移送位置70から印刷層90を正確に移送して、基板80を構築するか、または以前に配置された層91の積層体上に被せることができる。
【0042】
多材料三次元プリンタはまた、単一の組立装置81を含むことができる。この実施形態では、対象構築物のすべての層が一つずつ積み重ねられ、各層は、1つからいくつかの異なる材料を用いている。各層の構成要素は次の層にしっかりと結合される。最終構造は、少なくとも2つの異なる材料のモノリシック構造を含む固体塊であり得る。2つ以上の別個の材料構造の各々は、少なくとも1つの他の別個の材料構造と連続することができる。別個の材料構造は、1つの印刷層のみからの材料、または2つ以上の印刷層からの材料から構成することができる。組立装置81は、ビルド基板80を含むことができる。いくつかの実施形態では、ビルド基板80がビルドプロセス全体を通して、以前に配置された層91の積層体を保持するように設計された表面を備えることができる。積層体を保持する表面はまた、構築プロセスの完了時にビルド基板80からの対象物の除去を容易にするように構成することができる。組立装置81は各印刷層の正確な配置を容易にするために、位置基準を含むこともできる。いくつかの実施形態では、ビルド基板80を構築プロセス中に固定位置に配置することができる。代替の実施形態では、ビルド基板80がエレベータ装置100を含んで、多材料三次元プリンタの他の構成要素に対して所望の高さで、先に配置された層91の積層体の上面を現れるようにすることができる。
【0043】
多材料三次元プリンタはまた、計算及び制御装置を含むことができる。コンピューティングおよび制御装置は例えば、事前設定されたCAD設計からの印刷命令を解釈して、主要な構成要素のすべての動作を指示し、調整することができる。所望の構造に必要な原材料を供給すると、計算および制御装置は、2つ以上の材料で構成される所望の三次元部品
を自律的に製造することができる。コンピューティングおよび制御デバイスは、図6を参照して以下でより詳細に説明される。
【0044】
図3は、本開示の一実施形態による、代替印刷ステーションおよび連続基板を有する組立装置を概略的に示す。キャリア装置14は、別個のプラットフォーム11を含むことができる。個別のプラットフォーム11を、移送装置17を介してビルド基板80に向かって前進させることができる。個別のプラットフォーム11は、印刷ステーション1を通って移送装置76まで往復することができる。本実施形態は、連続ウェブを配置することができる。連続ウェブは材料のループであってもよく、印刷層90が移送装置76に解放された後に印刷ステーション1の始点に戻る。連続ウェブは、丈夫なポリマーフィルムのロール又は金属箔のロールのような細長い構造であってもよい。連続ウェブは印刷ステーション1を1回通過することができ、次いで、廃棄または回収されるように印刷ステーションから取り出すことができる。
【0045】
図4は、本開示の実施形態による、(図2の)各印刷ステーション1によって2つ以上の材料の構造を作製するプロセス400を説明するフローチャートを示す。プロセス400の以下の説明は図2の三次元プリンタの構成要素を参照して詳細に説明される。プロセス400はステップ401で開始し、ここで、多材料物体デザインは印刷厚さ層に分割される。次に、ステップ402において、層は単一の材料パターンに分離される。各単一材料パターンは、三次元プリンタの印刷ステーション1に送られることができる。各印刷ステーション1は、各単一材料パターンに対してステップ403~417を実行することができる。
【0046】
印刷ステーション1は、ステップ403で、第1の層の材料に対する印刷命令を受け取ることができる。印刷ステーション1は、多材料物体デザインの各層についてステップ403~417を実行することができる。ステップ404では、第1の層のための単一材料パターンの材料を基板上に分散させることができる。ステップ405では、分散された材料を圧縮装置に移動させるために、基板を割り出すことができる。材料はステップ406で圧縮される。ステップ407では、分散された材料を印刷装置に移動させるために、基板にインデックスを付けることができる。ステップ408では、バインダ(結合材)を圧縮材料上に所定のパターンで分散させることができる。ステップ409において、基板は、パターン化された材料を固定装置に移動させるためにインデックスを付けられ得る。結合材のパターンは、ステップ410において、固定放射線で固定させることができる。ステップ411において、基板は、固定パターンを流動化材料除去装置に移動させるためにインデックスされ得る。ステップ412において、バインダによって定位置に固定されていない圧縮された材料を除去することができる。ステップ413では、基板を割出して、パターン化され固定された材料を移送ステーションに移動させることができる。
【0047】
ステップ414では、印刷層がコンピュータ制御システムによって指示されると、ビルド基板80に、または以前に配置された層91の積層体の最上部に移送される。ステップ415で判定が行われる。具体的には、プロセス400が最後の層が印刷されたかどうかを判定する。ステップ415で最後の層が印刷されたと判定された場合、プロセス400はステップ416に進み、印刷が終了する。対照的に、ステップ415で最後の層が印刷されなかった場合、プロセス400は417に進み、次の層の印刷命令が送られる。ステップ417の後、プロセス400は、ステップ404~417を循環して戻る。
【0048】
図5は、本開示の一実施形態による、三次元プリンタによって2つ以上の材料の構造を作製するためのプロセス500を説明するフローチャートを示す。プロセス500の以下の説明は図2の三次元プリンタの構成要素を参照して詳細に説明され、プロセス500はステップ501で開始し、ここで、多材料物体デザインは印刷厚さ層に分割される。次に
、ステップ502において、第1の層が選択される。層内の異なる材料は、ステップ503で識別される。ステップ504~506は、層内で識別された各材料に対して実行することができる。
【0049】
ステップ504で、各材料を印刷ステーション1に割り当てることができる。プロセス500はステップ505に進み、ここで材料対象物が各印刷ステーション1によって作製される。ステップ506において、印刷された材料をビルドプレートに移送することができる。ステップ507で、三次元プリンタが最後の部分を印刷したかどうかについて判定が行われる。ステップ507で最後の部品が印刷されたと判定された場合、プロセス500はステップ508に進み、印刷が終了し、部品がビルドプレートから除去される。最後の部分が印刷されていないと判定された場合、プロセス500はステップ509に進み、層上の最後の印刷が完了したかどうかが判定される。層上の最後の印刷が完了したと判定された場合、プロセス500はステップ510に進み、ビルドプレートが次のプレートの厚さまでインクリメント(増量)される。プロセスはステップ509および510からステップ511に進み、次の層が選択される。この時点で、プロセス500はステップ503から継続する。このプロセスは、最後の部分がプリントされるまで継続される(ステップ507でYES)。
【0050】
図6は、本開示の一実施形態による、システムレベルのコンピューティング(計算)および制御装置600の概略図を示す。計算および制御装置600は、サーバ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、シンクライアント(thin client)、または任
意の適切な装置とすることができる。開示および/またはその構成要素は、電気ケーブル、光ファイバケーブルなどの任意の通信媒体を介して、またはワイヤレス方式で、任意の適切な通信プロトコルを使用して一緒に接続される、単一の場所にある単一のデバイス、または単一の、もしくは複数の場所にある複数のデバイスとすることができる。入力装置602は例えば予め設定されたCAD設計ファイル601から印刷命令を受け取り、印刷ステーションの主要構成要素の全ての動作を指示し、調整することができる。入力装置602、出力装置603、およびメモリ605に接続された中央処理装置604は、2つ以上の材料で構成される所望の三次元部品の三次元印刷を開始するように構成される。各材料は、使用される材料の量に基づいて、特定の印刷ステーション607(1)、607(2)~607(n)に割り当てることができる。中央処理装置604は、インタフェースバス606を介して各印刷ステーションとインタフェースすることができる。
【0051】
図7は、本開示の一実施形態による、個々の印刷ステーションコントローラの概略図を示す。上述のように、中央処理ユニット604は印刷ステーション制御ユニット607(1)に、特定の材料の印刷製品を印刷するように指示することができる。印刷ステーション制御ユニット607(1)は上述したように、印刷ステーション1の全ての構成要素に対応するデバイスコントローラ700に印刷命令を伝達することができる。
【0052】
本発明の特定の実施形態を示し、説明したが、当業者には本発明から逸脱することなく、そのより広い態様で変更および修正を行うことができることが明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神および範囲内にあるそのようなすべての変更および修正を包含することである。前述の説明および添付の図面に記載された事項は、限定としてではなく、例示としてのみ提供される。本発明の実際の範囲は先行技術に基づく適切な観点から見たときに、以下の特許請求の範囲において定義されることが意図される。
【0053】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数形も
含むことが意図されている。さらに、用語「including(含む)」、「includes(含む)」、「having(有する)」、「has(有する)」、「with(有する)」、またはそれらの変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、用語「備える」と同様に包括的であることが意図されている。
【0054】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12