IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲広▼▲東▼威▲靈▼▲電▼机制造有限公司の特許一覧

特許7553161弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器
<>
  • 特許-弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器 図1
  • 特許-弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器 図2
  • 特許-弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器 図3
  • 特許-弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240910BHJP
   F16K 1/48 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K1/48 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023532626
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2021120610
(87)【国際公開番号】W WO2022127265
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】202011482751.3
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419375
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼威▲靈▼▲電▼机制造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 茂
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲龍▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 超
(72)【発明者】
【氏名】江 波
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-329158(JP,A)
【文献】中国実用新案第202149235(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
F16K 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁に用いられる弁ニードル組立体であって、前記弁ニードル組立体は、
反対する第1の開口端と第2の開口端とを有する弁ニードルスリーブと、
前記第1の開口端を介して前記弁ニードルスリーブと移動可能に協働して弁ニードルの動作を駆動する駆動端を有する弁棒と、
前記弁ニードルスリーブの第2の開口端に取り付けられた前記弁ニードルと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁ニードルに当接する緩衝スライダと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁棒の駆動端と前記緩衝スライダとを接続する緩衝ばねと、
を含み、
前記緩衝スライダの外壁面には、位置制限凸部が前記緩衝スライダの周方向に設けられており、
前記位置制限凸部は少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記位置制限凸部は前記緩衝スライダの周方向に間隔をおいて分布し、あるいは、前記位置制限凸部が、前記緩衝スライダの周方向に延在する環状リブである、
弁ニードル組立体。
【請求項2】
前記弁棒の駆動端の周壁には、前記弁ニードルスリーブ内に位置するフランジ部が設けられ、前記弁ニードルスリーブの第1の開口端には前記フランジ部に当接する縮径部が設けられ、前記緩衝ばねの一端は、前記弁棒の駆動端に嵌設され、前記フランジ部に当接する、
請求項1に記載の弁ニードル組立体。
【請求項3】
前記緩衝スライダの前記弁棒に向かう側に位置決めポストが設けられ、前記緩衝ばねの他端は位置決めポストに嵌合されて前記緩衝スライダに当接する、
請求項2に記載の弁ニードル組立体。
【請求項4】
前記弁ニードルスリーブの横断面直径は、前記フランジ部の横断面直径より大きい、
請求項2に記載の弁ニードル組立体。
【請求項5】
前記緩衝スライダは前記弁ニードルに向かって凸設された凸起を有し、前記緩衝スライダは前記凸起を介して前記弁ニードルに当接する、
請求項1に記載の弁ニードル組立体。
【請求項6】
前記凸起の表面は弧面である、
請求項5に記載の弁ニードル組立体。
【請求項7】
前記弁ニードルスリーブの内径は、前記緩衝スライダの外径より大きい、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の弁ニードル組立体。
【請求項8】
前記弁ニードルスリーブの第2の開口端は開放口であり、前記弁ニードルの外壁面は前記開放口と締まりばめされている、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の弁ニードル組立体。
【請求項9】
前記緩衝ばねは圧縮ばねである、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の弁ニードル組立体。
【請求項10】
前記緩衝スライダの材質はプラスチックである、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の弁ニードル組立体。
【請求項11】
取付孔が開けられたナットと、
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の弁ニードル組立体であって、前記弁ニードル組立体の弁棒は前記取付孔に貫設されて前記ナットと螺接される弁ニードル組立体と、
を含む電子膨張弁。
【請求項12】
前記電子膨張弁は、弁座と、前記弁座上に配置されて弁口が設けられた弁体座と、を含み、前記弁ニードルは前記弁口に分離可能に取り付けられ、前記ナットは、前記弁座に接続され、前記弁体座に接近又は当接するように前記弁体座に向かって延在する、
請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項13】
前記ナットの、前記弁体座に近い一端の周壁には冷媒通過口が設けられている、
請求項12に記載の電子膨張弁。
【請求項14】
請求項11から請求項13の何れか一項に記載の電子膨張弁を含む、
冷却機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2020年12月14日に出願された、出願番号が202011482751.3である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は制御弁の技術分野に関し、特に弁ニードル組立体、電子膨張弁及び冷却機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電子膨張弁は、ステッピングモータの原理に基づいて、コイルにより磁気回転子を回転駆動し、磁気回転子の回転運動を弁棒の軸方向運動に変換し、弁棒に連結された弁ニードルを弁棒により昇降させて電子膨張弁の流量の大きさを制御している。
【0004】
関連技術において、電子膨張弁は主に回転子、弁棒、ナット及び弁ニードルを含み、前記弁棒はナットと回転可能に接続され、前記弁ニードルは前記弁棒の下端に設けられ、前記回転子は弁棒を軸方向に移動させ、さらに前記弁ニードルを軸方向に移動させて、前記弁口を閉塞し、開放する目的を達成する。しかし、上記構成を用いると、前記弁口の閉塞時及び開放時に、前記弁ニードルは弁口に対して回転し、弁ニードル及び弁口が摩耗するため、弁ニードルの使用寿命が短くなってしまう。
【0005】
上記内容は発明の技術案の理解を助けるために用いられるものであって、上記内容が先行技術だと認めたわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の主な目的は、弁口に対する弁ニードルの回転により弁ニードルが摩耗しやすいという従来技術の技術的問題を解決することを目的とする弁ニードル組立体を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願は電子膨張弁に用いられる弁ニードル組立体を提案する。前記弁ニードル組立体は、
反対する第1の開口端と第2の開口端とを有する弁ニードルスリーブと、
前記第1の開口端を介して前記弁ニードルスリーブと移動可能に協働して前記弁ニードルの動作を駆動する駆動端を有する弁棒と、
前記弁ニードルスリーブの第2の開口端に取り付けられた弁ニードルと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁ニードルに当接する緩衝スライダと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁棒の駆動端と前記緩衝スライダとを接続する緩衝ばねと、を含む。
【0008】
一実施例において、前記弁棒の駆動端の周壁には、前記弁ニードルスリーブ内に位置するフランジ部が設けられ、前記弁ニードルスリーブの第1の開口端には前記フランジ部に当接する縮径部が設けられ、前記緩衝ばねの一端は、前記弁棒の駆動端に嵌設され、前記フランジ部に当接する。
【0009】
一実施例において、前記緩衝スライダの前記弁棒に向かう側に位置決めポストが設けられ、前記緩衝ばねの他端は位置決めポストに嵌合されて前記緩衝スライダに当接する。
【0010】
一実施例において、前記弁ニードルスリーブの横断面直径は、前記フランジ部の横断面直径より大きい。
【0011】
一実施例において、前記緩衝スライダは前記弁ニードルに向かって凸設された凸起を有し、前記緩衝スライダは前記凸起を介して前記弁ニードルに当接する。
【0012】
一実施例において、前記凸起の表面は弧面である。
【0013】
一実施例において、前記弁ニードルスリーブの内径は、前記緩衝スライダの外径より大きい。
【0014】
一実施例において、前記緩衝スライダの外壁面には、位置制限凸部が前記緩衝スライダの周方向に設けられている。
【0015】
一実施例において、前記位置制限凸部は少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記位置制限凸部は前記緩衝スライダの周方向に間隔をおいて分布している。
【0016】
あるいは、前記位置制限凸部が、前記緩衝スライダの周方向に延在する環状リブである。
【0017】
一実施例において、前記弁ニードルスリーブの第2の開口端は開放口であり、前記弁ニードルの外壁面は前記開放口と締まりばめされている。
【0018】
一実施例において、前記緩衝ばねは圧縮ばねである。
【0019】
一実施例において、前記緩衝スライダの材質はプラスチックである。
【0020】
本願は、ナットと弁ニードル組立体とを含む電子膨張弁をさらに提案する。前記ナットには取付孔が開けられ、前記弁ニードル組立体は、
反対する第1の開口端と第2の開口端とを有する弁ニードルスリーブと、
前記第1の開口端を介して前記弁ニードルスリーブと移動可能に協働して前記弁ニードルの動作を駆動する駆動端を有し、前記取付孔に貫設されて前記ナットと螺接される弁棒と、
前記弁ニードルスリーブの第2の開口端に取り付けられた弁ニードルと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁ニードルに当接する緩衝スライダと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁棒の駆動端と前記緩衝スライダとを接続する緩衝ばねと、を含む。
【0021】
一実施例において、前記電子膨張弁は、弁座と、前記弁座上に配置されて弁口が設けられた弁体座と、を含み、前記弁ニードルは前記弁口に分離可能に取り付けられ、前記ナットは、前記弁座に接続され、前記弁体座に接近又は当接するように前記弁体座に向かって延在する。
【0022】
一実施例において、前記ナットの、前記弁体座に近い一端の周壁には冷媒通過口が設けられている。
【0023】
本願は、ナットと弁ニードル組立体とを含む電子膨張弁を備えた冷却機器をさらに提案する。前記ナットには取付孔が開けられ、前記弁ニードル組立体は、
反対する第1の開口端と第2の開口端とを有する弁ニードルスリーブと、
前記第1の開口端を介して前記弁ニードルスリーブと移動可能に協働して前記弁ニードルの動作を駆動する駆動端を有し、前記取付孔に貫設されて前記ナットと螺接される弁棒と、
前記弁ニードルスリーブの第2の開口端に取り付けられた弁ニードルと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁ニードルに当接する緩衝スライダと、
前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁棒の駆動端と前記緩衝スライダとを接続する緩衝ばねと、を含む。
有益な効果
【0024】
本願の弁ニードル組立体は、弁ニードルスリーブと、弁棒と、弁ニードルと、緩衝スライダと、緩衝ばねと、を含む。前記弁ニードルスリーブは、反対する第1の開口端と第2の開口端とを有する。
前記弁棒は駆動端を有し、前記弁棒は前記第1の開口端を貫通して設けられ、前記弁棒の駆動端は前記第1の開口端を介して前記弁ニードルスリーブと移動可能に協働して前記弁ニードルの動作を駆動する。
前記弁ニードルは、前記弁ニードルスリーブの第2の開口端に取り付けられている。
前記緩衝スライダは、前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁ニードルに当接する。
前記緩衝ばねは、前記弁ニードルスリーブ内に設けられ、前記弁棒の駆動端と前記緩衝スライダとを接続する。こうして、弁ニードルが全閉状態から第1の位置(つまり、弁口と弁ニードルとの接触力が冷媒の圧力に等しくなる位置)に開く間、弁ニードルは弁口と常に密封接触を保ち、弁棒は緩衝ばね及び緩衝スライダを一緒に回転させるが、弁ニードルは動かない。
弁ニードルが引き続き第2の位置(すなわち、開弁パルス点の位置)に開弁する間、弁ニードルは、最初は弁口と密封接触を保つが、弁棒が軸方向に移動して弁ニードルスリーブに当接してはじめて、前記弁棒に追従して移動し始める。したがって、本願の弁ニードル組立体は、弁ニードルと弁口との摩耗を大幅に低減させ、弁ニードル組立体の使用寿命を延長し、電子膨張弁の信頼性を向上させた。
【0025】
本願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願の電子膨張弁の一実施例の内部構造模式図である。
図2図1における電子膨張弁の部分構造模式図である。
図3図2における弁ニードル組立体の一実施例の構造模式図である。
図4図3のAでの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0028】
本願の実施例において「第一」、「第二」等に関わる説明がある場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のためにだけ利用されるものであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではないことは、説明しておく必要がある。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、全文において現れた「及び/又は」は三つの並行する案を含むことを意味する。「A及び/又はB」を例に取ると、A案、或いはB案、或いはAとBとが同時に満たされる案を含むことになる。
【0029】
本願は電子膨張弁を提案する。
【0030】
図1図2及び図3を参照し、本願により提案される電子膨張弁200は弁本体を含み、前記弁本体は、ハウジング210と、ハウジング210に固定的に接続された弁座220と、ハウジング210内で回転可能な磁気回転子250と、ナット240と、弁ニードル組立体100と、を含む。前記ハウジング210と前記弁座220とで弁チャンバを囲んで形成し、前記磁気回転子250、ナット240、弁ニードル組立体100は、いずれも前記弁チャンバ内に設置され、前記ナット240は前記弁座220に接続され、前記磁気回転子250は、前記弁ニードル組立体100を駆動することで電子膨張弁200の流量の大きさを制御する。
【0031】
以下では、弁ニードル組立体100の構造について説明する。
【0032】
図1図2及び図3を参照し、本願は、電子膨張弁200に用いられる弁ニードル組立体100を提案する。前記弁ニードル組立体100は、弁ニードルスリーブ120と、弁棒110と、弁ニードル150と、緩衝スライダ140と、緩衝ばね130と、を含む。前記弁ニードルスリーブ120は、反対する第1の開口端121と第2の開口端123とを有する。前記弁棒110は駆動端111を有し、前記弁棒110は前記第1の開口端121を貫通して設けられ、前記弁棒110の駆動端111は前記第1の開口端121を介して前記弁ニードルスリーブ120と移動可能に協働して前記弁ニードル150の動作を駆動する。前記弁ニードル150は前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123に取り付けられる。前記緩衝スライダ140は、前記弁ニードルスリーブ120内に設けられ、前記弁ニードル150に当接する。前記緩衝ばね130は、前記弁ニードルスリーブ120内に設けられ、前記弁棒110の駆動端111と前記緩衝スライダ140とを接続している。
【0033】
具体的には、前記ナット240には、その軸方向に延在する取付孔241が開けられ、前記弁棒110は、前記取付孔241に貫設されて前記ナット240に螺接される。前記弁棒110は、案内棒セグメントとねじ棒セグメントとを含み、前記取付孔241は、前記案内棒セグメントと適合する案内孔セグメントと、前記ねじ棒セグメントと適合するねじ孔セグメントと、を含み、前記案内棒セグメントと前記案内孔セグメントとは締まりばめ又は隙間ばめされており、前記ねじ棒セグメントと前記ねじ孔セグメントとは螺合されている。前記弁座220には弁体座230が設けられ、前記弁体座230には前記弁ニードル150に対応する弁口231が設けられ、前記弁ニードル150は前記弁口231内に分離可能に取り付けられる。こうして、コイルにより磁気回転子250を回転駆動し、磁気回転子250の回転運動を弁棒110の軸方向運動に変換し、弁棒110に連結された弁ニードル150を弁棒110により昇降させて電子膨張弁200の流量の大きさを制御することができる。
【0034】
本願の実施例において、前記弁棒110、前記ナット240、前記弁ニードル150とは同軸上に設置されている。前記弁棒110は前記弁ニードル150に近い駆動端111を有し、前記弁棒110は前記弁ニードルスリーブ120の第1の開口端121に貫設され、前記弁棒110の駆動端111は前記弁ニードルスリーブ120内に位置する。前記弁棒110の駆動端111は、前記弁棒110が前記弁ニードルスリーブ120に対してその軸方向に移動可能になるように、前記弁ニードルスリーブ120の第1の開口端121と隙間ばめされている。前記弁ニードル150は前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123に取り付けられ、前記弁ニードル150は前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123と締まりばめされている。前記緩衝ばね130と前記緩衝スライダ140とはいずれも前記弁ニードルスリーブ120内にあり、前記緩衝スライダ140と前記弁棒110の駆動端111とは間隔をおいて対向配置され、前記緩衝ばね130は、前記緩衝スライダ140と前記弁棒110の駆動端111との間に配置されて前記緩衝スライダ140と前記弁棒110の駆動端111とを接続する。具体的には、前記緩衝ばね130は圧縮ばねである。こうして、前記弁棒110が前記弁ニードルスリーブ120に対してその軸方向に移動するとき、前記弁棒110は、前記緩衝ばね130を介して前記緩衝スライダ140を回転させることができるが、弁ニードル150は動かないため、弁口231に対する弁ニードル150の回転による摩耗を回避する。前記弁棒110は、その軸方向に移動して前記弁ニードルスリーブ120に当接すると、前記弁ニードルスリーブ120を介して前記弁ニードル150を一緒に移動させることができるため、弁口231の開度の制御、すなわち電子膨張弁200の流量の大きさの制御を可能にする。あるいは、前記弁ニードル組立体100が良好な同軸度を有することが保証できるように、前記弁棒110、前記緩衝ばね130、前記緩衝スライダ140、前記弁ニードルスリーブ120は同軸上に配置される。
【0035】
本願の実施例において、前記弁ニードル150に対して回動可能になるように前記緩衝スライダ140が前記弁ニードル150に当接するので、前記弁口231に対する前記弁ニードル150の回転を避けて、弁ニードル150の摩耗を回避することができる。前記緩衝スライダ140と前記弁ニードル150との間の摩擦力を低減させて、前記弁ニードル150に対する前記緩衝スライダ140の回転時に生じる摩耗を低減できるように、前記緩衝スライダ140は、滑り性の高い材料で製造されてもよい。あるいは、前記緩衝スライダ140は非金属材料で製造されてもよい。例えば、緩衝スライダ140は、プラスチック材料で形成されていてもよいが、これに限定されない。具体的には、前記プラスチック材料はポリフェニレンスルフィド(PPS)である。非金属材質の緩衝スライダ140を用いることにより、緩衝スライダ140と金属材質の弁ニードル150との間の摩擦力を低減させて、さらには前記弁ニードル150に対する前記緩衝スライダ140の回転時に生じる摩耗を低減させることができる。
【0036】
本願の弁ニードル組立体100は、弁ニードルスリーブ120と、弁棒110と、弁ニードル150と、緩衝スライダ140と、緩衝ばね130と、を含む。前記弁ニードルスリーブ120は、反対する第1の開口端121と第2の開口端123とを有する。前記弁棒110は駆動端111を有し、前記弁棒110は前記第1の開口端121を貫通して設けられ、前記弁棒110の駆動端111は前記弁ニードルスリーブ120内に配置される。前記弁ニードル150は前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123に取り付けられる。前記緩衝スライダ140は、前記弁ニードルスリーブ120内に設けられ、前記弁ニードル150に当接する。前記緩衝ばね130は、前記弁ニードルスリーブ120内に設けられ、前記弁棒110の駆動端111と前記緩衝スライダ140とを接続している。こうして、弁ニードル150が全閉状態から第1の位置(つまり、弁口231と弁ニードル150との接触力が冷媒の圧力に等しくなる位置)に開く間、弁ニードル150は弁口231と常に密封接触を保ち、弁棒110は緩衝ばね130及び緩衝スライダ140を一緒に回転させるが、弁ニードル150は動かない。弁ニードル150が引き続き第2の位置(すなわち、開弁パルス点の位置)に開弁する間、弁ニードル150は、最初は弁口231と密封接触を保つが、弁棒110が軸方向に移動して弁ニードルスリーブ120に当接してはじめて、前記弁棒110に追従して移動し始める。したがって、本願の弁ニードル組立体100は、弁ニードル150と弁口231との摩耗を大幅に低減させ、弁ニードル組立体100の使用寿命を延長し、電子膨張弁200の信頼性を向上させた。
【0037】
なお、一実施例において、前記弁ニードル組立体100は、弁ニードルスリーブ120、弁棒110、弁ニードル150、緩衝スライダ140及び緩衝ばね130のみにより構成されてもよい。これにより、弁ニードル組立体100は、より少ない部品を有するようになり、コスト削減効果を達成できる。
【0038】
図3及び図4を参照し、一実施例において、前記弁棒110の駆動端111の周壁には、前記弁ニードルスリーブ120内に位置するフランジ部112が設けられ、前記弁ニードルスリーブ120の第1の開口端121には前記フランジ部112に当接する縮径部122が設けられ、前記緩衝ばね130の一端は、前記弁棒110の駆動端111に嵌設され、前記フランジ部112に当接する。
【0039】
こうして、弁ニードル150が全閉状態から第1の位置(つまり、弁口231と弁ニードル150との接触力が冷媒の圧力に等しくなる位置)に開く間、弁ニードル150は弁口231と常に密封接触を保ち、前記フランジ部112と前記弁ニードルスリーブ120の縮径部122との間に隙間が存在し、弁棒110は緩衝ばね130及び緩衝スライダ140を一緒に回転させるが、弁ニードル150は動かない。弁ニードル150が引き続き第2の位置(すなわち、開弁パルス点の位置)に開弁する間、弁ニードル150は、最初は弁口231と密封接触を保つが、弁棒110が軸方向に移動して前記フランジ部112が前記弁ニードルスリーブ120の縮径部122に当接してはじめて(すなわち、前記フランジ部112と前記弁ニードルスリーブ120の縮径部122との隙間がゼロになってはじめて)、前記弁棒110に追従して移動し始める。
【0040】
本実施例において、前記フランジ部112は環状に設けられている。もちろん、他の実施例において、前記フランジ部112は、弧状に設けられていてもよく、ブロック状に設けられていてもよく、具体的に限定されることはない。前記フランジ部112は、一方では、緩衝ばね130を固定するように機能することができ、他方では、前記弁棒110の駆動端111が前記弁ニードルスリーブ120から抜け出ることを防止するように機能することができる。また、本実施例において、前記弁ニードルスリーブ120の横断面直径をフランジ部112の横断面直径より大きくすることで、前記フランジ部112と前記弁ニードルスリーブ120の内壁面との間の摩擦力を小さくして、前記弁棒110が前記弁ニードルスリーブ120に対して円滑に移動できるようにすることができる。
【0041】
図3及び図4を参照し、さらに、前記緩衝スライダ140の前記弁棒110に向かう側に位置決めポスト141が設けられ、前記位置決めポスト141は前記弁棒110の駆動端111と間隔をおいて対向配置され、前記緩衝ばね130の他端は位置決めポスト141に嵌合されて前記緩衝スライダ140に当接する。このように、前記位置決めポスト141を設けることにより、一方では、前記緩衝ばね130を固定的に取り付けるように機能でき、他方では、前記緩衝ばね130がずれることなく常に前記弁棒110の軸方向に移動することを保証できるように、前記緩衝ばね130を位置決めするように機能できる。
【0042】
図4を参照し、一実施例において、前記緩衝スライダ140と前記弁ニードル150との接触面積をさらに減少させて、前記弁ニードル150に対する前記緩衝スライダ140の回動による摩耗を減少させるために、前記緩衝スライダ140には前記弁ニードル150に向かって凸設された凸起142が設けられ、前記緩衝スライダ140は前記凸起142を介して前記弁ニードル150に当接する。あるいは、前記凸起142の表面は弧面である。弧面状の凸起142を設けることにより、一方では、前記緩衝スライダ140と前記弁ニードル150との接触面積を減少させることができ、他方では、前記弧面状凸起142が支点として良好に機能できるので、前記緩衝スライダ140がずれることなくこの支点で回転して、前記弁棒110、前記弁ニードルスリーブ120、前記緩衝ばね130及び前記緩衝スライダ140が常に高い同軸度を保つことが保証される。
【0043】
図3及び図4を参照し、一実施例において、前記弁ニードルスリーブ120の内径は、前記緩衝スライダ140の外径より大きい。こうして、前記緩衝スライダ140と前記弁ニードルスリーブ120の内壁面との間の摩擦力を小さくして、前記緩衝スライダ140が前記弁ニードルスリーブ120に対して円滑に回転できるようにすることができる。
【0044】
回転中の前記緩衝スライダ140の位置ずれを回避するために、前記緩衝スライダ140の外壁面には、位置制限凸部143が前記緩衝スライダ140の周方向に設けられていてもよい。こうして、位置制限凸部143を設けて前記緩衝スライダ140の位置を制限することにより回転中の前記緩衝スライダ140の位置ずれを回避することができる。
【0045】
本実施例において、前記位置制限凸部143は、前記緩衝スライダ140と一体成形されている。なお、他の実施例において、前記位置制限凸部143と前記緩衝スライダ140とは別体として設置されてもよく、本明細書では特に限定されない。前記位置制限凸部143は様々な構造としてもよい。例えば、一実施例において、前記位置制限凸部143は少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記位置制限凸部143は前記緩衝スライダ140の周方向に間隔をおいて分布している。位置制限凸部143を複数設けることにより、前記緩衝スライダ140のずれを効果的に防止することができる。また、例えば、別の実施例において、前記位置制限凸部143は一つ設けられている。前記位置制限凸部143が、前記緩衝スライダ140の周方向に延在する環状リブである。
【0046】
図3及び図4を参照し、一実施例において、前記弁ニードルスリーブ120の第1の開口端121は、前記弁ニードルスリーブ120の上端を貫通する貫通口であり、前記弁棒110の駆動端111は、前記貫通口と隙間ばめされている。前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123は開放口であり、前記弁ニードル150の外壁面は前記開放口と締まりばめされている。もちろん、他の実施例において、前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123は、前記弁ニードルスリーブ120の下端を貫通する貫通口であってもよいが、本明細書では特に限定しない。
【0047】
前記弁ニードル150と前記弁ニードルスリーブ120との間の接続の密封性及び信頼性を向上させるために、前記弁ニードル150は前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123に溶接により接続される。具体的には、前記弁ニードル150は、本体部151と、前記本体部151から前記緩衝スライダ140に向けて延在し、前記弁ニードルスリーブ120内に挿入されて前記弁ニードルスリーブ120の第2の開口端123(開放口)に締まりばめされた取付部152と、を有し、前記緩衝スライダ140は前記取付部152の上面に当接する。
【0048】
さらに、図1図2及び図3を参照し、一実施例において、前記ナット240は、前記弁体座230に接近又は当接するように前記弁体座230に向かって延在する。なお、前記ナット240が前記弁体座230に当接するように前記弁体座230に向かって延在する場合、前記ナット240、前記弁棒110及び前記弁口231との同軸度をより良く向上させることができる。
【0049】
さらに、前記冷媒通過口242から前記弁口231への冷媒の流れが容易になるように、前記ナット240の、前記弁口231に近い一端の周壁には冷媒通過口242が設けられている。なお、本明細書では、前記ナット240に冷媒通過口242を設けることにより、冷媒が前記冷媒通過口242を通過する際に、冷媒中の気泡を砕くことにより、冷媒中の気泡が弁口231を通過する際に大きな騒音を発生させることを回避することができる。したがって、冷媒通過口242を設けることにより、良好な騒音低減効果を得ることもできる。ここで、前記冷媒通過口242の形状は、具体的に限定されるものではなく、円形、楕円形、四角形又はその他の異形形状等としてもよい。
【0050】
本願はまた、冷却装置を提案する。当該冷却装置は電子膨張弁200を含み、当該電子膨張弁200の具体的な構造については、上記実施例を参照されたい。本冷却機器は上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての技術的効果を有し、ここでは説明を省く。冷却機器はエアコン、冷凍機、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯機などであってもよい。
【0051】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
100…弁ニードル組立体
110…弁棒
111…駆動端
112…フランジ部
120…弁ニードルスリーブ
121…第1の開口端
122…縮径部
123…第2の開口端
130…緩衝ばね
140…緩衝スライダ
141…位置決めポスト
142…凸起
143…位置制限凸部
150…弁ニードル
151…本体部
152…取付部
200…電子膨張弁
210…ハウジング
220…弁座
230…弁体座
231…弁口
240…ナット
241…取付孔
242…冷媒通過口
250…磁気回転子
図1
図2
図3
図4