(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
H01G4/30 201D
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 516
(21)【出願番号】P 2022023333
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-02-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0167099
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ウォン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン セオプ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン マン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョ ジュン
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】篠原 功一
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-150293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/008
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置される外部電極と、を含み、
前記内部電極内に、それぞれカーボンブラックを含む複数の第1カーボン物質が配置され、
前記カーボンブラックは実質的に球状であって互いに連結しており、
前記複数の第1カーボン物質は、互いに連結された複数のチャネルを含むクラスターチャネル(Cluster Channel)を形成する、セラミック電子部品。
【請求項2】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置される外部電極と、を含み、
前記内部電極内に、それぞれカーボンブラックを含む複数の第1カーボン物質が配置され、
前記誘電体層及び前記内部電極の界面に、それぞれカーボンブラックを含む複数の第2カーボン物質が配置され、
前記複数の第1カーボン物質の各粒子は、前記複数の第2カーボン物質の各粒子よりも直径が大きく、
前記複数の第1カーボン物質は、前記複数の第1カーボン物質の一部が集まって互いに離隔する複数のスポットを含むクラスタースポット(Cluster Spot)を形成
し、
前記複数の第2カーボン物質は、前記界面に一列に配列されてクラスターチャネルを形成する、セラミック電子部品。
【請求項3】
前記カーボンブラックは実質的に球状を有する、請求
項2に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記カーボンブラックは導電性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記カーボンブラックは粒子径が0.05μm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記誘電体層及び前記内部電極の界面に、それぞれカーボンブラックを含む複数の第2カーボン物質が配置され、
前記複数の第2カーボン物質は、前記界面に一列に配列されてクラスターチャネルを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記内部電極は、0.4μm以下の厚さを有する、請求項1から6のいずれか以降に記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記内部電極はニッケル(Ni)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置される外部電極と、を含み、
前記誘電体層及び前記内部電極の界面に、それぞれカーボンブラックを含む複数のカーボン物質が配置され、
前記カーボンブラックは実質的に球状であって互いに連結しており、
前記複数のカーボン物質は、前記界面に一列に配列されてクラスターチャネルを形成する、セラミック電子部品。
【請求項10】
前記誘電体層は前記内部電極の上面及び下面と接し、
前記誘電体層と前記内部電極の上面との界面、及び前記誘電体層と前記内部電極の下面との界面にそれぞれ前記複数のカーボン物質が配置される、請求項
9に記載のセラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック電子部品、例えば、積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の複合化、高性能化の実現に伴い、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化が求められている。また、電装部品への適用などにより高信頼性も求められている。このような積層セラミックキャパシタの小型化、高容量化、高信頼性などを確保するために様々な分野で開発が進められている。例えば、誘電体層と交互に積層構造を形成する内部電極の特性を向上させることが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の様々な目的の一つは、電気的特性を向上させることができるセラミック電子部品を提供することである。
【0004】
本開示の様々な目的のもう一つは、高温負荷信頼性に優れたセラミック電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によって提案する様々な解決手段の一つは、カーボン物質を含む導電性ペーストで内部電極を形成し、焼結後の内部電極の内部及び/または誘電体層と内部電極との界面にカーボン物質が配置されるようにすることである。
【0006】
例えば、一例によるセラミック電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体に配置される外部電極と、を含み、上記内部電極内にカーボン物質が配置されるか、及び/または上記誘電体層及び上記内部電極の界面にカーボン物質が配置されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の様々な効果の一効果として、電気的特性を向上させることができるセラミック電子部品を提供することができる。
【0008】
本開示の様々な効果の他の一効果として、高温負荷信頼性に優れたセラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一例によるセラミック電子部品の概略的な斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図4】
図2のP領域の一例を概略的に示した断面図である。
【
図5】
図2のP領域の他の一例を概略的に示した断面図である。
【
図6】内部電極を形成するための共材としてセラミックを用いる場合及びカーボンブラックを用いる場合の焼結後の内部電極及び誘電体層の形状を概略的に示した図面である。
【
図7】カーボンブラックの成分をラマン(Raman)分析で示したスペクトルである。
【
図8】カーボンブラックの形状をTEM(Transmission Electron Microscopy)を用いて示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本開示について説明する。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0011】
図面において、第1方向は厚さ方向、第2方向は長さ方向、第3方向は幅方向と定義することができる。
【0012】
図1は、一例によるセラミック電子部品の概略的な斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【0013】
図面を参照すると、一例によるセラミック電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110、並びに本体110に配置される外部電極131、132を含む。
【0014】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成及び/または焼結過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。本体110の角を有する外形、例えば、角部は、研磨工程などによって丸く研磨されることもできる。
【0015】
本体110は、厚さ方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、長さ方向に互いに向かい合う第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、また第3面3及び第4面4と連結され、幅方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0016】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成及び/または焼結された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0017】
誘電体層111は、セラミックパウダー、有機溶剤及び有機バインダーを含むセラミックグリーンシートの焼成によって形成されることができる。セラミックパウダーは、高い誘電率を有する物質として、チタン酸バリウム(BaTiO3)系材料、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系材料などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0018】
誘電体層111の厚さは特に限定する必要はないが、一般的に誘電体層111を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合には信頼性が低下するおそれがあった。一方、本開示では、誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。したがって、誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合に本開示による信頼性向上の効果がより顕著になることができ、セラミック電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0019】
誘電体層111の厚さは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。等間隔である30個の地点は、後述する活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0020】
本体110は、誘電体層111を間に挟んで互いに向かい合うように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される活性部Acを含むことができる。活性部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0021】
本体110は、厚さ方向を基準に活性部Acの上部及び下部に配置されるカバー部112、113をさらに含むことができる。カバー部112、113は、活性部Acの上部に配置される第1カバー部112及び活性部Acの下部に配置される第2カバー部113を含むことができる。第1カバー部112及び第2カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を活性部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスにによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は内部電極を含まず、誘電体層111と同一材料を含むことができる。例えば、カバー部112、113はセラミック材料を含むことができ、例えば、上述したチタン酸バリウム系材料を含むことができる。したがって、カバー部112、113と隣接する誘電体層111との境界は、走査電子顕微鏡を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。この観点から、カバー部112、113は誘電体層111を含むことができる。例えば、カバー部112、113は、誘電体層111で構成されたものであることができる。カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、セラミック電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さは20μm以下であることができる。
【0022】
本体110は、幅方向を基準に活性部Acの両側部に配置されるマージン部114、115をさらに含むことができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5を提供する第1マージン部114及び第6面6を提供する第2マージン部115を含むことができる。マージン部114、115は、本体110を幅-厚さ方向に切断した断面における内部電極121、122の両端と本体110との境界面の間の領域を意味することができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、誘電体層111と同一または異なる材料を含むことができる。例えば、マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することによって形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極121、122が露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を活性部Acの幅方向の両側部に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0023】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。内部電極121、122は、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含むことができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、誘電体層111を間に挟んで互いに向かい合うように交互に配置されることができ、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。例えば、複数の第1内部電極121はそれぞれ第4面4から離隔し、第3面3を介して露出することができる。また、複数の第2内部電極122は、それぞれ第3面3から離隔し、第4面4を介して露出することができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、厚さ方向に交互に積層されることができるが、これに限定されるものではなく、幅方向に交互に積層されることもできる。
【0024】
内部電極121、122は、導電性金属及び共材を含む導電性ペーストによって形成されることができる。例えば、誘電体層111を形成するセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法、グラビア印刷法などの印刷法によって導電性ペーストを印刷し、結果的に内部電極121、122を印刷することができる。内部電極121、122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層し、焼成及び/または焼結すると、本体110の活性部Acを形成することができる。導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及び/またはこれを含む合金などを含むことができ、好ましくはニッケル(Ni)を含むことができるが、これに限定されるものではない。共材は、カーボン物質、例えば、カーボンブラック、黒鉛などを含むことができ、好ましくはカーボンブラックを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
一方、ニッケル(Ni)の内部電極の焼結温度は、セラミック誘電体よりも600℃程度低いことから、誘電体と同一物質であるセラミック共材を焼結抑制剤として用いて内部電極の焼結収縮遅延を実現することを考慮することができる。但し、この場合、セラミック共材により誘電体組成の不均一が発生することがあり、粗大グレインの生成など制御しにくい副効果により電気的特性の改善及び信頼性向上に困難がある可能性がある。
【0026】
一方、一例によるセラミック電子部品100は、内部電極121、122を形成するための導電性ペースト内の共材としてセラミックではないカーボン物質、例えば、カーボンブラックを用いる。この場合、電気的特性を向上させることができ、優れた高温負荷の信頼性を確保することができる。例えば、セラミック共材に代わって同等以上レベルの内部電極の連結性を実現することができる。また、誘電体との反応が除去された共材の適用によって誘電体組成の均一性を維持することができ、粗大グレインの生成を抑制することができる。したがって、電気的特性及び信頼性のレベルを向上させることができる。
【0027】
また、一例に係るセラミック電子部品100は、焼結後にもカーボン物質、例えば、カーボンブラックが内部電極121、122の内部に、及び/または誘電体層111と内部電極121、122との間の界面に配置されて存在することができる。例えば、カーボン物質、例えば、カーボンブラックは、デコンポジション(Decomposition)されずに残っていることができる。したがって、内部電極121、122の連結の欠陥(Defect)部分のカバレッジブリッジ(Coverage bridge)特性によって電気的特性及び信頼性のレベルを向上させることができる。これは、より薄型の内部電極121、122を実現する際に有利であることができる。また、カーボン物質を介した熱放散機能によって高圧作動時に熱蓄積を減少する効果を有することができる。
【0028】
一方、カーボン物質、例えば、カーボンブラックは実質的に球状を有することができる。実質的に球状を有するとは、完全な球状だけでなく、大略的に球状であることを含む。実質的に球状であるカーボン物質、例えば、カーボンブラックは、ホロー(Hollow)、コア-シェル(Core-shell)、フィルド(Filled)など様々な形態であることができる。この場合、上述した効果をより効果的に実現することができる。一方、導電性ペースト内での形状であることができるが、これに限定されるものではなく、焼結後の内部電極121、122内での形状、または誘電体層111との界面での形状も実質的に同様である。
【0029】
さらに、カーボン物質、例えば、カーボンブラックは、導電性粒子、例えば、ニッケル(Ni)粒子よりも小さいことができる。例えば、粒子径がニッケル(Ni)粒子の1/2以下であることができる。例えば、粒子径が0.05μm以下であることができる。粒子径は、TEMなどを用いて導電性ペースト内のカーボンブラックの形状を撮影するか、または本体110を研磨して内部電極121、122を露出させた後、TEMなどを用いて撮影して測定することができる。複数のカーボンブラックが存在する場合、各粒子径は0.05μm以下であることができる。この場合、上述した効果をより効果的に実現することができる。一方、導電性ペースト内での粒子径であることができるが、これに限定されるものではなく、焼結後の内部電極121、122内での粒子径、または誘電体層111との界面での粒子径も実質的に同様である。
【0030】
さらに、カーボン物質、例えば、カーボンブラックは導電性を有することができる。同様に、この場合、上述した焼結抑制剤の役割をより効果的に行うことができる。この場合、上述した効果をより効果的に実現することができる。一方、導電性ペースト内だけでなく、焼結後の内部電極121、122内、または誘電体層111との界面においてもこのような導電性を有することができる。
【0031】
内部電極121、122の厚さは特に限定する必要はないが、一般的に内部電極121、122を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である場合には信頼性が低下するおそれがあった。一方、本開示では、内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。したがって、内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である場合に本開示による信頼性向上の効果がより顕著になることができ、セラミック電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0032】
内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。等間隔である30個の地点は活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0033】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置され、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6にそれぞれ一部が延長することができる。外部電極131、132は、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。第1外部電極131は、本体110の第3面3に配置され、本体の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6にそれぞれの一部が延長することができる。第2外部電極132は、本体110の第4面4に配置され、本体の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6にそれぞれ一部が延長することができる。但し、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態や他の目的に応じて変更されることができる。
【0034】
外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。例えば、外部電極131、132は、本体110上に配置される第1電極層131a、131b、及び第1電極層131a、132a上に配置される第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0035】
第1電極層131a、132aは、例えば、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であることができる。第1電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むペーストに本体110をディッピングする方法で形成されることができる。または、第1電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属及びガラスを含むシートを転写する方式で形成されることもできる。第1電極層131a、132aに含まれる導電性金属としては、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/またはこれを含む合金などを含むことができ、好ましくは、銅(Cu)及び/またはニッケル(Ni)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
第1電極層131a、132aは、例えば、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。第1電極層131a、132aは、導電性金属及び樹脂を含むペーストを塗布及び硬化する方法で形成されることができる。第1電極層131a、132aに含まれる導電性金属としては、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/またはこれを含む合金などを含むことができ、好ましくは、銅(Cu)及び/またはニッケル(Ni)を含むことができるが、これに限定されるものではない。第1電極層131a、132aに含まれる樹脂としては、絶縁性樹脂を用いることができるが、特に限定されない。例えば、樹脂はエポキシ樹脂を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
第1電極層131a、132aは、例えば、上述した焼成電極上に上述した樹脂系電極が配置された多層形態であることができる。但し、これに限定されるものではなく、それ以外にも他の様々な電極層がさらに配置されることができる。
【0038】
第2電極層131b、132bは実装特性を向上させることができる。第2電極層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及び/またはこれを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることもできる。第2電極層131b、132bは、例えば、ニッケル(Ni)めっき層またはスズ(Sn)めっき層であることができ、第1電極層131a、132a上にニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層が順次形成された形態であることもできる。また、第2電極層131b、132bは、複数のニッケル(Ni)めっき層及び/または複数のスズ(Sn)めっき層を含むこともできる。
【0039】
図4は、
図2のP領域の一例を概略的に示した断面図である。
【0040】
図面を参照すると、第1内部電極121内には複数の第1カーボン物質a1が配置されることができる。また、誘電体層111と第1内部電極121との界面には、複数の第2カーボン物質a2が配置されることができる。誘電体層111は、第1内部電極121の上面及び下面と接することができ、誘電体層111と第1内部電極121との上面及び下面間の界面にそれぞれ複数の第2カーボン物質a2が配置されることができる。
【0041】
複数の第1カーボン物質a1は、それぞれ上述したカーボンブラックを含むことができる。このような複数の第1カーボン物質a1は、クラスターチャネル(Cluster Channel)を形成することができる。ここで、クラスターチャネルは、複数の第1カーボン物質a1が第1内部電極121内に配列されて複数のチャネルを形成するものであることができ、複数のチャネルは互いに連結されることができる。例えば、複数のカーボンブラック粒子は内部電極内に様々な方向に配置されて複数のチャネルを形成することができ、このようなチャネルは互いに連結されることができる。
【0042】
複数の第2カーボン物質a2は、それぞれ上述したカーボンブラックを含むことができる。このような複数の第2カーボン物質a2はクラスターチャネルを形成することができる。ここで、クラスターチャネルは、複数の第2カーボン物質a2が誘電体層111と第1内部電極との界面で一列に配列されてチャネルを形成するものであることができる。例えば、複数のカーボンブラック粒子は誘電体層と内部電極との界面に一列に配置されてチャネルを形成することができる。
【0043】
一方、複数の第1カーボン物質a1及び複数の第2カーボン物質a2の配列について第1内部電極121を用いて説明したが、第2内部電極122においても同一内容が適用されることができ、詳細な説明は重複されるため、省略する。
【0044】
図5は、
図2のP領域の他の一例を概略的に示した断面図である。
【0045】
図面を参照すると、第1内部電極121内には複数の第1カーボン物質a1'が配置されることができる。また、誘電体層111と第1内部電極121との界面には、複数の第2カーボン物質a2が配置されることができる。誘電体層111は、第1内部電極121の上面及び下面と接することができ、誘電体層111と第1内部電極121の上面及び下面間の界面にそれぞれ複数の第2カーボン物質a2が配置されることができる。
【0046】
複数の第1カーボン物質a1'はそれぞれ上述したカーボンブラックを含むことができる。このような複数の第1カーボン物質a1'はクラスタースポット(Cluster Spot)を形成することができる。ここで、クラスタースポットは、複数の第1カーボン物質a1'の一部が集まって第1内部電極121内に複数のスポットを形成するものであることができ、複数のスポットは互いに離隔することができる。集められた第1カーボン物質a1'は互いに接触することができ、接触しないこともできる。例えば、カーボンブラック粒子が集まって内部電極内に複数のスポットを形成することができ、これらのスポットは互いに離隔することができる。
【0047】
複数の第2カーボン物質a2は、それぞれ上述したカーボンブラックを含むことができる。このような複数の第2カーボン物質a2はクラスターチャネルを形成することができる。ここで、クラスターチャネルは、複数の第2カーボン物質a2が誘電体層111と第1内部電極121との界面に一列に配列されてチャネルを形成するものであることができる。例えば、複数のカーボンブラック粒子は誘電体層と内部電極との界面に一列に配置されてチャネルを形成することができる。
【0048】
第1内部電極121の内部に配置される複数の第1カーボン物質a1'の各粒子は、誘電体層111と第1内部電極121との界面に配置される複数の第2カーボン物質a2の各粒子よりも直径などがさらに大きいことができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
一方、複数の第1カーボン物質a1'及び複数の第2カーボン物質a2の配列について第1内部電極121を用いて説明したが、第2内部電極122においても同一内容が適用されることができ、詳細な説明は重複されるため、省略する。
【0050】
図6は、内部電極を形成するための共材としてセラミックを用いる場合及びカーボンブラックを用いる場合の焼結後の内部電極及び誘電体層の形状を概略的に示した。
【0051】
図面を参照すると、(a)のように内部電極121'、122'を形成するための導電性ペースト材料としてニッケル(Ni)粒子A及びセラミック共材bを含む材料を用いる場合、焼結過程で粗大グレインG'が形成されることがあり、焼結後の内部電極121'、122'の界面に粗大グレインG'が分布し、内部電極121'、122'の連結性及び平滑度が低下する可能性がある。一方、(b)のように内部電極121、122を形成するための導電性ペースト材料としてニッケル(Ni)粒子A及びカーボンブラック共材aを含む材料を用いる場合、焼結過程でグレインGが粗大になることを抑制することができ、焼結後の内部電極121、122の界面に均一なグレインGが分布されて内部電極121、122の連結性及び平滑度が高くなることができる。
【0052】
図7は、カーボンブラックの成分をラマン(Raman)分析で示したスペクトルである。
【0053】
図面において、(a)はパウダー状態のカーボンブラックのラマンスペクトルを示し、(b)はパウダー状態のカーボンブラックを焼結した後のラマンスペクトルを示し、(c)はセラミック素体内部の内部電極部分の電極領域のラマンスペクトルを示す。
【0054】
図面を参照すると、内部電極121、122の内部及び/または誘電体層111と内部電極121、122との界面にカーボン物質、例えば、カーボンブラックが存在することをラマンスペクトルで確認することができる。
【0055】
図8は、カーボンブラックの形状をTEM(Transmission Electron Microscopy)を用いて示した写真である。
【0056】
図面を参照すると、内部電極を形成するための導電性ペーストに混合する前のパウダーゾル状態のカーボンブラックは、それぞれ直径が約50nm以下である球状の微粒導電性結晶化カーボンブラックであることができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
本開示においてセラミック電子部品として積層セラミックキャパシタを例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他の種類のセラミック電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、サーミスタなどにも本開示が適用されることができる。
【0058】
本開示において、側部、側面などの表現は、便宜上、図面を基準に左/右方向またはその方向における面を意味するものとして用い、上側、上部、上面などの表現は、便宜上、図面を基準に上方向またはその方向における面を意味するものとして用い、下側、下部、下面などは便宜上、下方向またはその方向における面を意味するものとして用いた。さらに、側部、上側、上部、下側、または下部に位置するとは、対象構成要素が基準となる構成要素と該当方向に直接接触するだけでなく、該当方向に位置するが、直接接触しない場合も含む概念として用いた。但し、これは説明の便宜上、方向を定義したものであり、特許請求の範囲の権利範囲がこのような方向に対する記載によって特に限定されるものではなく、上/下の概念などはいつでも変わることができる。
【0059】
本開示において連結されるという意味は、直接連結されるだけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結されることを含む概念である。また、電気的に連結されるという意味は、物理的に連結された場合と連結されない場合を全て含む概念である。また、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分付けるために用いるものであって、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0060】
本開示において用いられる一例という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一例は、他の一例の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一例において説明された事項が他の一例に説明されていなくても、他の一例においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明として理解することができる。
【0061】
本開示において用いられた用語は、単に一例を説明するために用いられたものであって、本開示を限定する意図はない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。