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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】テープ供給装置およびテープ供給方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/60 20170101AFI20240910BHJP
【FI】
B31B50/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021002555
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022107888
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】門田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 好晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠生
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-037494(JP,A)
【文献】実開昭59-116344(JP,U)
【文献】特開2018-127323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇形状ブランク接着箇所端面を被覆するテープを、扇形状ブランク接着箇所長手方向と一致する方向に搬送される扇形状ブランクに供給する装置であって、
前記扇形状ブランクの規格変更に対応可能なように、
テープ搬送方向とテープ長尺方向が一致するよう、かつ、前記扇形状ブランクの搬送方向と一致するように、テープを搬送する搬送手段と、
幅方向に前記テープを切断する切断手段と、
前記切断されたテープを扇形状ブランク接合箇所に沿って供給し扇形状ブランクに貼り付ける貼り付け手段と、
前記搬送手段と前記切断手段と前記貼り付け手段とが間欠的に連動するように制御する制御部と
を備えることを特徴とするテープ供給装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、溝を有し、
前記テープは、溝に嵌められた状態で搬送される
ことを特徴とする請求項1記載のテープ供給装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、対向する駆動搬送ローラと従動搬送ローラとを有し、
前記駆動搬送ローラ周面には凸部が設けられ、
前記従動搬送ローラ周面には凹部が設けられ、
前記テープは、前記凸部と凹部とに挟まれた状態で搬送される
ことを特徴とする請求項1記載のテープ供給装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、テープを垂直下向きに搬送し、
前記切断手段は、垂直状態のテープを切断する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載のテープ供給装置。
【請求項5】
扇形状ブランク接着箇所端面を被覆するテープを、扇形状ブランク接着箇所長手方向と一致する方向に搬送される扇形状ブランクに供給する方法であって、
前記扇形状ブランクの規格変更に対応可能なように、
テープ搬送方向とテープ長尺方向が一致するよう、かつ、前記扇形状ブランクの搬送方向と一致するように、テープを搬送し、
幅方向に前記テープを切断し、
前記切断されたテープを扇形状ブランク接合箇所に沿って供給し扇形状ブランクに貼り付け、
前記搬送動作と、前記切断動作と、前記貼り付け動作とが間欠的に連動するように制御する
ことを特徴とするテープ供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙コップを含む容器を成形する技術に関し、特にブランク端面保護。
【背景技術】
【0002】
紙製容器の例として、紙コップがある。紙コップ胴部は扇形ブランクを丸め、一方端を下側にし、他方端をその上側に配置し、両端を重ね合わせて接合(たとえば熱溶着)する。
【0003】
紙表面は樹脂被覆処理されている一方、端面も被覆処理される。たとえば、帯状のテープが端面を被覆するように貼り付ける(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開1982-063241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、搬送方向とテープ幅方向が一致するようにテープを搬送し、テープ長手方向にテープを切断し、切断されたテープをブランク端面直交方向から供給しブランクに貼り付けている。
【0006】
ところで、ブランク規格変更時においても、テープ幅はほぼ一定である。これに対し、ブランク規格に応じてテープ長さも変更する必要がある。したがって、型部品やテープ原反も変更する必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ブランク規格変更時において、型部品変更不要およびテープ原反変更不要とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明は、ブランク接着箇所端面を被覆するテープをブランクに供給する装置である。装置は、搬送方向とテープ長尺方向が一致するようにテープを搬送する搬送手段と、幅方向に前記テープを切断する切断手段と、前記切断されたテープをブランク接合箇所に沿って供給し、前記ブランクに貼り付ける貼り付け手段とを備える。
【0009】
従来例とテープの搬送方向や供給方向を変えることで、ブランク規格変更時に、所定長さに切断することができる。これにより、ブランク規格変更時において、型部品変更不要およびテープ原反変更不要とできる。
【0010】
好ましくは、前記搬送手段は、溝を有し、前記テープは、溝に嵌められた状態で搬送される。
【0011】
これにより、テープの剛性が高くなり、搬送安定性が向上する。
【0012】
好ましくは、 前記搬送手段は、対向する駆動搬送ローラと従動搬送ローラとを有し、前記駆動搬送ローラ周面には凸部が設けられ、前記従動搬送ローラ周面には凹部が設けられ、前記テープは、前記凸部と凹部とに挟まれた状態で搬送される。
【0013】
これにより、形状変形による剛性向上効果、センタリング効果、相乗効果により、搬送安定性が向上する。
【0014】
好ましくは、前記搬送手段は、テープを垂直下向きに搬送し、前記切断手段は、垂直状態のテープを切断する。
【0015】
垂直状態のテープには自重が作用し、テープ長手方向に張力が作用する。これによりテープの剛性が高くなり、搬送の安定性が向上する。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明は、ブランク接着箇所端面を被覆するテープをブランクに供給する方法である。搬送方向とテープ長尺方向が一致するようにテープを搬送し、幅方向に前記テープを切断し、前記切断されたテープをブランク接合箇所に沿って供給しブランクに貼り付ける。
【0017】
従来例とテープの搬送方向や供給方向を変えることで、ブランク規格変更時に、所定長さに切断することができる。これにより、ブランク規格変更時において、型部品変更不要およびテープ原反変更不要とできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブランク規格変更時において、型部品変更不要およびテープ原反変更不要とできる。
【0019】
また、本発明によれば、テープの安定搬送を実現し、精度の良く、テープをブランクに貼り付けができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ブランク端部拡大図
図2】ブランクにおけるテープ貼り付け状態説明図
図3】装置概略構成図
図4】テープ供給動作説明図
図5】テープ供給動作説明図
図6】動作比較(従来例と実施形態)説明図
図7】テープ供給動作(従来例)説明図
図8】凹凸詳細構成図
図9】凹凸構成図(変形例)
図10】装置概略構成図(変形例)
【発明を実施するための形態】
【0021】
~概要~
本実施形態の紙製容器は紙コップを含む。紙コップ胴部は扇形状ブランクより形成される。
【0022】
図1はブランク端部の拡大断面図である。ブランク1は紙製であるが、両面はPE層やバリア層など樹脂被覆されている。
【0023】
ブランク1を丸め、一方端部を下側にし、他方端部をその上側に配置し、接合面が対向するようにし、両端部を重ね合わせて所定の接合幅にて接合する。これにより紙コップ胴部が形成される。
【0024】
図2は、ブランク端部におけるテープ貼り付け状態を説明する図である。帯状のテープ2(例えば幅10mm程度)がブランク端部に貼り付けられ、折り返されブランク端面を被覆する(図1参照)。
【0025】
その際、所定の精度で貼り付けられる(たとえば、トップカール部(ブランク上端側)は、ブランク上端から1.0mm±1.0mm、ボトムカール部(ブランク下端側)は、ブランク下端から4.0mm±2.0mm)。なお、貼り付け精度が悪いと、適切に端面保護ができなかったり、カール処理を阻害したり、外観を損なったりする。
【0026】
~装置概略構成・動作~
図3は、装置の概略構成図である。装置は主要構成として、搬送部6と、切断部7と、貼り付け部8とを備える。
【0027】
搬送部6は、搬送方向とテープ長尺方向が一致するようにテープ2を搬送する(図6右側参照)。搬送部6は、切断部7より上流側と、切断部7より下流側とに大別できる。
【0028】
搬送部6上流側において、テープ原反3は巻き出しロールから供給され、ダンサーロールによりテンションをかけ、フィードロールに供給される。フィードロールでは、上下のロールにテープ2が挟まれて搬送される。
【0029】
本実施形態では、搬送方向とテープ長尺方向が一致するようにテープ2が搬送されるとき、搬送安定性に係る課題(詳細後述)が発生するため、図示のように下ロールを二連とし、テープがS字状となるようにしてもよい。これにより、テープグリップ力が向上する。
【0030】
テープ2はフィードロールを経て切断部7上流側のコンベアに載せられる。コンベアは吸着によりテープ2を保持する。
【0031】
切断部7は、搬送部6上流側から供給されたテープ2を幅方向に切断する(図6右側参照)。なお、貼り付け前に所定長に切断するため、材料ロスがない。
【0032】
搬送部6下流側において、切断されたテープ2は上下のコンベアロールに吸着保持される。上コンベアロールと下コンベアロールとの間にはエア供給装置9が設けられ、エア噴射により吸着を一時抑制し、テープ2の上コンベアロールから下コンベアロールへの移動を補助する。
【0033】
貼り付け部8は、ブランク接着箇所長手方向と搬送方向が一致するように、ブランク1を搬送するとともに、切断されたテープ2をブランク接着箇所に沿って供給しブランクに貼り付ける。
【0034】
搬送部6、切断部7、貼り付け部8が間欠的に連動するように制御されている。
【0035】
図3拡大部と、図4図5はテープ供給動作の説明図である。
【0036】
ブランク1はブランク接着箇所長手方向と搬送方向とが一致するように搬送される。
【0037】
テープ2はテープ長尺方向と搬送方向とが一致するように搬送される。その結果、テープ2はブランク接着箇所に沿って供給される。
【0038】
テープ2はブランク1の所定位置に配置され、テープ2の幅方向半分がブランク接着箇所に例えば熱溶着により貼り付けされる。
【0039】
~効果~
従来例と比較することで本願実施形態による効果を説明する。図6左側および図7は従来例を説明する図である。
【0040】
従来例の原反は切断後のテープ長尺が原反幅に相当するのに対し、本願実施形態の原反3は切断後のテープ幅方向が原反幅に相当する。
【0041】
従来装置もブランク接着箇所端面を被覆するテープをブランクに供給する点、主要構成として、搬送部と、切断部と、貼り付け部とを備える点では上記実施形態と共通である。
【0042】
従来例においては、搬送方向とテープ幅方向が一致するようにテープを搬送し、テープ長尺方向にテープを切断し、切断されたテープをブランク接合箇所直交方向から供給しブランクに貼り付ける。
【0043】
すなわち、従来例と本願実施形態とはテープ2の搬送方向、切断方向、供給方向が異なる。
【0044】
ところで、ブランク規格を変更することがある。その際は、ブランク規格に応じてテープ長さも変更する必要がある。したがって、型部品やテープ原反も変更する必要がある。なお、ブランク規格を変更しても、テープ幅はほぼ一定である。
【0045】
これに対し、本願実施形態では、ブランク規格に応じたテープ長さにテープを切断する。したがって、型部品変更不要およびテープ原反変更不要とできる。
【0046】
~新たな課題~
上記実施形態では、テープ2が搬送方向とテープ長尺方向が一致するように搬送される(図6右側参照)。言い換えると、搬送直交方向幅が狭い。また、テープ2は非常に薄い(例えば、50~100μm)。これにより、従来例に比べてテープの剛性が低くなり、テープが蛇行し、テープつまりが発生するおそれがある。とくに、ロール間やロールベルト間の受け渡しにおいて、搬送の安定性が低下する。
【0047】
~凹凸構造~
図8は、本実施形態のもう一つの特徴である凹凸構造13,14の詳細構成図である。
【0048】
搬送部6上流側において、フィードロールでは、上下のロール11,12にテープ2が挟まれて搬送される。上ロール11の周面中央には凸部13が設けられている。下ロール12の周面中央には凹部14が設けられている。凹部14は例えば底部を有するV字形状である。凸部13は凹部14に対応する形状である。
【0049】
テープ2は凸部13と凹部14の間に挟まれて搬送される。すなわち、テープ2は溝(凹部14)形状に沿って変形した状態で、搬送される。
【0050】
その結果、フラット形状に比べV字形状の方が、断面二次モーメントが増し、テープ2の剛性が高くなる。ロール間やロールベルト間の受け渡しにおいて、搬送の安定性が向上する。精度よく切断部7の切断位置にテープ2は配置され、精度よく切断され、精度よくブランクに貼り付けられる。
【0051】
さらに、凸部13を有する上ロール11を駆動ローラとし、凹部14を有する下ロール12を従動ローラとしてもよい。
【0052】
凸部13により、凸部13中央と凸部13端部とでは回転半径差がある。これにより、V字形状に変形したテープ2において、テープ中央とテープ端部とでは搬送速度差が発生する。すなわち、テープ中央の搬送速度は速く、テープ端部の搬送速度は遅い。
【0053】
テープ端部がテープ中央に追従するセンタリングと呼ばれる現象が期待できる。その結果、搬送時の幅方向のブレを抑制し、搬送の安定性が向上する。
【0054】
形状変形による剛性向上効果およびセンタリング効果の相乗効果により、更なる搬送安定性向上が期待できる。
【0055】
図9は凹凸構造の変形例である。凹部18を有する上ロール16を従動ローラとし、凸部19を有する下ロール17を駆動ローラとしてもよい。
【0056】
変形例に係る凹凸構造においても、形状変形による剛性向上効果、センタリング効果、および、2つの相乗効果を期待できる。
【0057】
また、凹部14はV字形状に限定されず、U字溝であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、凸部13と凹部14とが一組としていたが、凹部14のみでもよい。溝に嵌められ、変形することで剛性向上効果が得られる。
【0059】
~装置変形例~
図10は、変形例に係る装置の概略構成図である。装置は主要構成として、搬送部6と、切断部7と、貼り付け部8とを備える点、テープ搬送方向、切断方向、供給方向については、上記実施形態と共通である。したがって、上記実施形態と同様な効果が得られる。
【0060】
変形例では、搬送部6は、テープ2を垂直下向きに搬送する区間を有する。切断部7は、当該垂直下向き搬送区間にて、垂直状態のテープ2を切断する。
【0061】
垂直状態のテープ2には自重が作用し、テープ長手方向に張力が作用する。これによりテープ2の剛性が高くなり、搬送の安定性が向上する。
【0062】
変形例においても上記凹凸構造を適用させてもよい。更なる搬送安定性向上が期待できる。
【0063】
以上、本願発明の実施形態および幾つかの変形例を示したが、本願発明はこれらに限定されず、発明の技術思想の範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ブランク
2 テープ
3 原反
6 搬送部
7 切断部
8 貼り付け部
9 エア供給装置
11 上ロール
12 下ロール
13 凸部
14 凹部
15 上ロール
16 下ロール
17 凸部
18 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10