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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】建具及び建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/12 20060101AFI20240910BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240910BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20240910BHJP
   E06B 7/18 20060101ALN20240910BHJP
   E06B 3/54 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
E06B1/12 A
E06B1/18 X
E06B3/58 C
E06B7/18 Z
E06B3/54 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019179637
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055407
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)発行日 平成31年2月20日 刊行物 フロンテック商品情報 2019年3月号 (2)発行日 平成31年3月20日 刊行物 フロンテック 店舗用カタログ ’19-’20 (3)発行日 平成31年4月 1日 刊行物 フロンテック 設計資料集 ’19-’20 (4)発行日 平成31年4月10日 刊行物 フロンテック 部材一覧表 ’19-’20 (5)発行日 平成31年7月20日 刊行物 インショップフロントシリーズ 2019年7月号
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅井 洋一
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-017376(JP,A)
【文献】実公昭35-029445(JP,Y1)
【文献】実開昭60-174782(JP,U)
【文献】特開2005-023575(JP,A)
【文献】特開2016-204872(JP,A)
【文献】特開2019-031785(JP,A)
【文献】実開昭51-075040(JP,U)
【文献】実開昭54-080211(JP,U)
【文献】特開平11-256935(JP,A)
【文献】特開2015-025269(JP,A)
【文献】特開2017-155542(JP,A)
【文献】特開2007-120243(JP,A)
【文献】内部用フロント総合カタログ,日本,2018年09月,1-18頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 3/54-3/88
E06B 7/18
E04B 2/88-2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に設けられた第1枠部材と、平面視して前記第1枠部材の第1断面と点対称に第2断面が形成された第2枠部材とが組み合わされ断面が矩形に形成された方立と、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材の鉛直方向に沿って延在して形成され、板状体の端部を固定するための溝部が形成された一対の押縁と、
を備え、
前記方立と前記押縁とは別体で構成され、
正面視において、前記方立の左右方向の幅は前記押縁の左右方向の幅より小さく、
前記一対の押縁は、
前記第1枠部材の見込み面および前記第2枠部材の見込み面と前記左右方向に当接する設置面と、
前記設置面の前後方向の両端部から前記左右方向にそれぞれ延び、前記板状体の端部を前記前後方向に挟持する第1腕部および第2腕部と、
を有し、
前記設置面にて前記一対の押縁が前記方立に固定されている、
建具。
【請求項2】
前記押縁は、前記板状体の端部を前記方立から離間して支持すると共に、前記板状体を固定するように形成されている、
請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記押縁は、取り外された状態において前記溝部を露出させ、取り付けられた状態において前記溝部を形成する蓋部を備える、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記押縁は、前記溝部を形成するように分割されている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
水平方向の取り付け対象に対して着脱自在に嵌め込まれるように形成された一対の押縁を更に備える、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記一対の押縁のうち一方の押縁は、取り外された状態において前記溝部を露出させ、取り付けられた状態において前記溝部を形成する、
請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記押縁は、前記方立の両側の取り付け位置が前記前後方向に任意に設定される、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載の建具。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の建具の施工方法であって、
前記第1枠部材と前記押縁とを予め固定した部材を含む第1枠体を形成し、
前記第2枠部材と前記押縁とを予め固定した部材を含む第2枠体を形成し、
前記第1枠体と前記第2枠体とを固定して前記方立を形成し、
前記方立を建物の設置位置に固定する、
建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具及び建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓枠の間には、並置されたガラス板の端部を突き合わせて固定するための方立が縦方向に沿って設置される。特許文献1には、両側面毎に分割されて形成されると共に、両側面にガラス板の端部を固定するための溝部が形成された方立が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-135674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
需要者の様々なニーズの中には、正面視した方立の幅をなるべく薄く形成し、意匠性を向上させたいというものがある。特許文献1に記載された方立によれば、方立の両側面にガラス板の端部を固定するための溝部が形成され、正面視してガラス板の端部が方立の側面から内側に配置されるように構成されている。そのため、この方立によれば、正面視した幅に溝部の幅を必ず含み、幅を薄く形成するためには改良の余地がある。
【0005】
本開示は、正面視した幅を薄く形成して意匠性を向上させると共に、施工を簡略化し工期を短縮できる建具及び建具の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、鉛直方向に設けられた第1枠部材と、平面視して前記第1枠部材の第1断面と点対称に第2断面が形成された第2枠部材とが組み合わされ断面が矩形に形成された方立と、前記第1枠部材及び前記第2枠部材の鉛直方向に沿って延在して形成され、板状体の端部を固定するための溝部が形成された一対の押縁と、を備え、前記方立と前記押縁とは別体で構成され、正面視において、前記方立の左右方向の幅は前記押縁の左右方向の幅より小さく、前記一対の押縁は、前記第1枠部材の見込み面および前記第2枠部材の見込み面と前記左右方向に当接する設置面と、前記設置面の前後方向の両端部から前記左右方向にそれぞれ延び、前記板状体の端部を前記前後方向に挟持する第1腕部および第2腕部と、を有し、前記設置面にて前記一対の押縁が前記方立に固定されている、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る建具の構成を示す図である。
図2】建具の構成を示す断面斜視図である。
図3】建具の構成を示すAA断面図である。
図4】建具の構成を示すBB断面図である。
図5】建具の施工方法を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る建具の構成を示す断面斜視図である。
図7】建具の構成を示すAA断面図である。
図8】建具の構成を示すBB断面図である。
図9】第3実施形態に係る建具の構成を示すAA断面図である。
図10】建具の構成を示すBB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る建具及び施工方法について説明する。
【0009】
[第1実施形態]
図1に示されるように、建具1は、縦方向の枠材である方立2と、板状体を固定するための対象部材に固定される押縁10と、方立2に設けられた横方向の枠材である無目30と、左右両側の一対の縦枠50と、一対の縦枠50を上下で架設する一対の横枠70,80とを備えた窓用の枠体である。建具1は、建物の窓を設置する位置に形成された開口等の設置位置に固定される。建具1において方立2は、1個とは限らず開口やガラス板Gの大きさに応じて1個以上設けられてもよい。
【0010】
図2及び図3に示されるように、方立2は、平面視(図の-z方向に見た方向)してL断面に形成された第1枠部材3及び第2枠部材6を備える。以下、平面視した状態を説明する。第2枠部材6は、第1枠部材3と同じ形状に形成されており、第2断面が第1枠部材3の第1断面と点対称であるように配置されている。第1枠部材3及び第2枠部材6は、例えば、アルミニウムの押し出しにより形成された部材である。第1枠部材3及び第2枠部材6は、表面が予め塗装やアルマイト処理される。第1枠部材3及び第2枠部材6は、塗装やアルマイト処理の他に表面がラッピング処理されていてもよい。
【0011】
第1枠部材3は、帯状に形成された縦板4と、縦板4の一端4Aから直交方向に形成された帯状の端面板5とを備える。縦板4は、表面4C側が平坦に形成されている。縦板4は、裏面4D側に第1爪部4Eと第2爪部4Fが形成されている。第1爪部4Eは、縦板4の他端4Bに上下方向(z軸方向)に沿って延在して形成されている。第1爪部4Eは、L断面に形成されている。第1爪部4Eは、裏面4Dから突出して先端4E1が他端4Bの外方に向かうように折れ曲がって形成されている。第1爪部4Eは、y軸方向に先端4E1が跳ね上がるように形成されている。
【0012】
第2爪部4Fは、縦板4の中心から他端4B側にオフセットされた位置に上下(鉛直)方向(z軸方向)に延在して形成されている。第2爪部4Fは、L断面に形成されている。第2爪部4Fは、裏面4Dから突出するように突出部4F1が形成されている。突出部4F1の先端から突出部4F1に直交する方向にフランジ部4F2が形成されている。フランジ部4F2の先端は、第1爪部4Eと反対方向に向くように形成されている。フランジ部4F2は、第2枠部材6の裏面7Dに当接するように形成されている。
【0013】
縦板4には、押縁10を固定するためのネジ穴4Gが形成されている。縦板4には、第2枠部材6の第2爪部7Fに対応する位置に第2爪部7Fを固定するための皿孔4Hが形成されている。
【0014】
端面板5は、表面5C側が平坦に形成されている。端面板5は、裏面5D側に第3爪部5Eが上下方向に延在して形成されている。第3爪部5Eは、裏面5Dから突出するように形成されている。
【0015】
第2枠部材6は、帯状に形成された縦板7と、縦板7の一端7Aから直交方向に形成された帯状の端面板8とを備える。縦板7は、表面7C側が平坦に形成されている。縦板7は、裏面7D側に第1爪部7Eと第2爪部7Fが形成されている。第1爪部7Eは、縦板7の他端7Bに上下方向(z軸方向)に延在して形成されている。第1爪部7Eは、L断面に形成されている。第1爪部7Eは、裏面4Dから突出して先端7E1が他端7Bの外方に向かうように折れ曲がって形成されている。第1爪部7Eは、y軸方向に先端7E1が跳ね上がるように形成されている。
【0016】
第2爪部7Fは、縦板7の中心から他端7B側にオフセットされた位置に上下方向(z軸方向)に延在して形成されている。第2爪部7Fは、L断面に形成されている。第2爪部7Fは、裏面7Dから突出するように突出部7F1が形成されている。突出部7F1の先端から突出部7F1に直交する方向にフランジ部7F2が形成されている。フランジ部7F2の先端は、第1爪部7Eと反対方向に向くように形成されている。フランジ部7F2には、ネジSを止めるための雌ネジ7Gが形成されている。雌ネジ7Gは、上下方向に複数個形成されている。
【0017】
フランジ部7F2は、第1枠部材74の裏面4Dに当接するように形成されている。縦板7には、押縁10を固定するためのネジ穴7Hが形成されている。ネジ穴7Hは、上下方向に複数個形成されている。
【0018】
端面板8は、表面8C側が平坦に形成されている。端面板8は、裏面8D側に第3爪部8Eが上下方向に延在して形成されている。第3爪部8Eは、裏面8Dから突出するように形成されている。上記構成により、第1枠部材3と第2枠部材6とが組み合わされて中空の方立2が構成される。方立2は、矩形断面の筒状体に形成される。方立2において第1枠部材3の第3爪部5Eは、第2枠部材6の第1爪部7Eに係止される。第2枠部材6の第3爪部8Eは、第1枠部材3の第1爪部4Eに係止される。
【0019】
第1枠部材3と第2枠部材6とは、ネジSで第1枠部材3の縦板4と第2枠部材6の第2爪部7Fとが共締めされて固定される。第1枠部材3の第2爪部4Fは第2枠部材6の裏面7Dに当接し、第2枠部材6の第2爪部7Fは第1枠部材3の裏面4Dに当接する。第1枠部材3の縦板4と第2枠部材6の縦板7とには、それぞれ押縁10が固定される。押縁10が受けるガラス板Gの荷重に対し、第2爪部4F,7Fにより方立2の曲げ剛性が向上すると共に、方立2の座屈が防止される。
【0020】
押縁10は、ガラス板Gを固定するための部材である。押縁10は、第1枠部材3に対向する縦枠50に取り付けられている。押縁10は、第2枠部材6に対向する縦枠50に取り付けられている。第1枠部材3に取り付けられた押縁10と第2枠部材6に取り付けられた押縁10とは、方立2に関して線対称であるように固定されている。押縁10は、第1枠部材3、第2枠部材6、縦枠50等の他の部材に上下方向に延在して形成されている。
【0021】
押縁10は、アルミニウムの押し出しにより形成された中空の部材である。押縁10は、表面が予め塗装やアルマイト処理される。押縁10は、塗装やアルマイト処理の他に表面がラッピング処理されていてもよい。押縁10は、矩形断面の筒状体に形成されている。押縁10は、ガラス板Gの端部を挟持して固定するように形成されている。押縁10は、ガラス板Gの端部を第1枠部材3及び第2枠部材6(方立2)から離間して支持する。
【0022】
押縁10は、ガラス板Gの端部を収容する凹状の溝部10Aが形成されている。押縁10は、他の部材に固定される本体部11と、本体部11に着脱自在な蓋部12とを備える。押縁10は、例えば、蓋部12が室内側に配置されるように方立2に固定される。本体部11は、他の部材に当接する設置面11Aが形成されている。設置面11Aには、他の部材にネジ止めするためのネジ穴11Bが形成されている。ネジ穴11Bは上下方向に複数個形成される。押縁10は、ネジS0,S1によりネジ穴11Bを介して他の部材に固定される。
【0023】
設置面11Aに対して直交方向に第1腕部11Cが形成されている。第1腕部11Cは、ガラス板Gの端部を挟持する一方の部材である。本体部11には、蓋部12を係止するための第1爪部11Dと第2爪部11Eとが形成されている。
【0024】
蓋部12は、本体部11に嵌め込まれている。蓋部12は、第1腕部11Cに対向する第2腕部12Aが形成されている。第2腕部12Aの基部に第2腕部12Aに略直交する方向に固定面12Bが形成されている。固定面12Bには、本体部11の第1爪部11Dに係止される第3爪部12Cと、本体部11の第2爪部11Eに係止される第4爪部12Dが形成されている。ガラス板Gは、蓋部12が取り外された状態において本体部11に仮止めされる。
【0025】
本体部11には、ガラス板Gの端部を挟持するように目地底を形成するためのバックアップ材Hが嵌め込まれる。本体部11には、蓋部12が取り付けられる。蓋部12が本体部11に取り付けられると溝部10Aが形成される。溝部10Aとガラス板Gとの間に生じる隙間にはシール材Cが充填される。ガラス板Gの端部は、シール材Cを介して第1腕部11Cと第2腕部12Aとにより挟持される。
【0026】
押縁10は、縦枠50に対してネジS1により固定される。縦枠50は、壁W内に設けられた固定部材JにタップネジS2により固定される。蓋部12は、ネジを用いずに本体部11に嵌め込まれるので、施工が簡略化されて工期が短縮されると共に、意匠性が向上する。
【0027】
蓋部12が取り付けられる前に本体部11の内部からネジS0,S1を用いて押縁10が他の部材に固定される。蓋部12が取り付けられた後は、ネジS0,S1が押縁10の内部に隠蔽され、意匠性が向上する。蓋部12が外された状態においては溝部10Aが露出されるので、ガラス板Gの取り付けを容易にできる。ガラス板Gは、蓋部12が外された状態において室内側から取り付けることができる。
【0028】
次に、無目30について説明する。無目30は、方立2の両側から水平方向に向かって縦枠50に架設される部材である(図1参照)。無目30は、端部が方立2及び縦枠50にネジ(不図示)等により固定される。
【0029】
図4に示されるように、側面視して無目30には、内方に向かって突起する一対の突起を有する3個のネジ爪35が形成されている。以下、側面視した状態において説明する。ネジ爪35は、一対の突起がネジを把持するように形成されている。ネジは、無目30のネジ爪35に第1枠部材3に形成されたネジ穴(不図示)を介して裏面4D側、及び第2枠部材6に形成されたネジ穴(不図示)を介して裏面4D側から螺入され、無目30が方立2に固定される。同様に無目30は、縦枠50にもネジを用いて固定される。ネジは、無目30、方立2、縦枠50の内部に隠蔽されるため、建具1の意匠性が向上する。
【0030】
無目30は、アルミニウムの押し出しにより形成された中空の部材である。無目30、表面が予め塗装やアルマイト処理される。無目30は、塗装やアルマイト処理の他に表面がラッピング処理されていてもよい。無目30は、本体部31と蓋部32とを備える。蓋部32がある方が室内側である。無目30は、側面視して矩形断面の筒状体に形成されている。本体部31の上面側には、ガラス板Gの下端を挟持するように形成された溝部31Aが形成されている。本体部31の下面側には、ガラス板Gの上端を挟持するように形成された溝部31Bが形成されている。
【0031】
本体部31の内部には、溝部31Aと溝部31Bとを仕切る仕切板31Cが形成されている。仕切板31Cの上面には、ガラス板Gの下端を支持する支持部材Kが嵌め込まれている。本体部31には、蓋部32を係止するための第1爪部31Dと第2爪部31Eとが形成されている。蓋部32には、第1爪部31Dと係止される第3爪部32Aと第2爪部31Eと係止される第4爪部32Bとが形成されている。
【0032】
ガラス板Gは、溝部31Aに取り付ける場合、蓋部32が取り外された状態において本体部31に仮止めされる。ガラス板Gは、下端が支持部材K上に載置される。本体部31には、ガラス板Gの端部を挟持するように目地底を形成するためのバックアップ材Hが嵌め込まれる。本体部31には、蓋部32が取り付けられる。
【0033】
蓋部32は、ネジを用いずに本体部31に嵌め込まれるので、施工が簡略化されて工期が短縮されると共に、意匠性が向上する。蓋部32が外された状態においては溝部31Aが露出されるので、ガラス板Gの取り付けを容易にできる。ガラス板Gは、蓋部32が外された状態において室内側から取り付けることができる。
【0034】
無目30には、蓋部32が外された状態においてガラス板Gが取り付けられる。溝部31Aとガラス板Gとの間に生じる隙間にはシール材Cが充填される。ガラス板Gの下端部は、シール材Cを介して溝部31Aにより挟持され固定される。ガラス板Gの上端部は、後述の横枠70に固定される。
【0035】
溝部31Aに支持されるガラス板Gの下方に取り付けられる他のガラス板Gは、上端を溝部31Bに挿入した状態において本体部31に仮止めされる。ガラス板Gは、上端がバックアップ材Hに挟持された状態において仮止めされる。溝部31Bとガラス板Gとの間に生じる隙間にはシール材Cが充填される。ガラス板Gの上端部は、シール材Cを介して溝部31Bにより挟持され固定される。ガラス板Gの下端は、後述の横枠80に固定される。
【0036】
次に、横枠70について説明する。横枠70は、建物の矩形の開口の上辺に固定される中空の部材である。横枠70は、矩形断面の筒状体に形成されている。横枠70は、例えば、方立2の幅と同じ幅に形成されている。横枠70は、下面側に溝部71が形成されている。溝部71が形成された空間を仕切る仕切板71Aには、ネジ穴71Bが形成されている。横枠70は、ネジ穴71Bを介して壁W内に設けられた固定部材JにタップネジS2により固定される。
【0037】
溝部71には、バックアップ材Hが嵌め込まれる。溝部71には、ガラス板Gの上端が挿入され、バックアップ材Hに挟持された状態において仮止めされる。溝部71とガラス板Gとの間に生じる隙間にはシール材Cが充填される。ガラス板Gの上端部は、シール材Cを介して溝部71により挟持され固定される。
【0038】
次に、横枠80について説明する。横枠80は、建物の矩形の開口の下辺に固定される中空の部材である。横枠80は、矩形断面の筒状体に形成されている。横枠80は、例えば、方立2の幅と同じ幅に形成されている。横枠80は、上面側に溝部81が形成されている。溝部81が形成された空間を仕切る仕切板81Aには、ネジ穴81Bが形成されている。横枠80は、ネジ穴81Bを介して壁Wや床面内に設けられた固定部材JにタップネジS2により固定される。横枠80は、本体部82と、蓋部83とを備える。蓋部83がある方が室内側である。
【0039】
仕切板31Cの上面には、ガラス板Gの下端を支持する支持部材Kが嵌め込まれている。本体部82には、蓋部83を係止するための第1爪部82Aと第2爪部82Bとが形成されている。蓋部83には、第1爪部82Aと係止される第3爪部83Aと第2爪部82Bと係止される第4爪部83Bとが形成されている。ガラス板Gは、溝部81に取り付ける場合、蓋部83が取り外された状態において本体部82に仮止めされる。ガラス板Gは、下端が支持部材K上に載置される。
【0040】
本体部82には、ガラス板Gの端部を挟持するように目地底を形成するためのバックアップ材Hが嵌め込まれる。本体部82には、蓋部83が取り付けられる。溝部81とガラス板Gとの間に生じる隙間にはシール材Cが充填される。ガラス板Gの下端部は、シール材Cを介して溝部81により挟持され固定される。蓋部83は、ネジを用いずに本体部82に嵌め込まれるので、施工が簡略化されて工期が短縮されると共に、意匠性が向上する。蓋部83が外された状態においては溝部81が露出されるので、ガラス板Gの取り付けを容易にできる。ガラス板Gは、蓋部83が外された状態において室内側から取り付けることができる。
【0041】
次に建具1の施工方法について説明する。
【0042】
図5に示されるように、蓋部12,32,83が外された状態において、溝部10A,31A,81が露出された第1枠部材3、押縁10、無目30、一対の縦枠50及び横枠70,80を含む各部材を組んで第1枠体を形成する(ステップS10)。蓋部12,32,83が外された状態において、溝部10A,31A,81が露出された第2枠部材6、押縁10、無目30、一対の縦枠50及び横枠70,80を含む各部材を組んで第2枠体を形成する(ステップS12)。
【0043】
第1枠部材3及び第2枠部材6同士を固定して方立2を形成し、方立2が形成された格子状の枠体を建物に設置位置に固定する(ステップS14)。ガラス板Gの上端部を溝部71,31Bに挿入しつつ、露出した溝部10A,31A,81に仮止めし、枠体に形成されたそれぞれの格子内に嵌め込み仮止めする(ステップS16)。
【0044】
蓋部12,32,83をそれぞれ押縁10、無目30、横枠80に取り付け、溝部10A,31A,81を形成する(ステップS18)。溝部10A,31A,31B,71,81とガラス板Gとの間に生じた隙間をシール材Cで充填しガラス板Gを固定する(ステップS20)。
【0045】
上述したように建具1によれば、方立2と押縁10とを別体として構成したことにより、ガラス板Gの端部が方立から離間して支持されるため、正面視して薄型の方立2を形成し、意匠性を向上させることができる。建具1によれば、押縁10、無目30、横枠80に蓋部12,32,83を設けることにより、固定用のビスなどが外部に露出することなく部材内部に隠蔽することができ、意匠性を向上させることができる。建具1によれば、予めある程度組み立てられた塗装済みの部材を施工現場でビス等により組んで枠体を形成するため、施工を簡略化し、工期を大幅に短縮できる。
【0046】
[第2実施形態]
図6及び図7に示されるように、第2実施形態に係る建具1Aは、方立2と一対の押縁100と、無目300とを備える。建具1Aは、第1実施形態の一体で形成された押縁10に比してガラス板Gを挟持するように分割して形成された一対の押縁100を備える。建具1Aは、左右両側の枠材に縦枠50ではなく方立2と一対の押縁100が用いられている。
【0047】
以下、第1実施形態と同一の構成については同一の名称、符号を用い、重複する説明は適宜省略する。以下平面視した状態を説明する。押縁100は、矩形断面の筒状体に形成されている。押縁100は、第1枠部材3及び第2枠部材6の取り付け面側に雌ネジ102が形成されている。押縁100は、第1枠部材3の裏面4D側及び第2枠部材6の裏面7D側からネジS3により固定される。一対の押縁100が対向して離間して配置されることにより溝部100Aが形成される。
【0048】
図8に示されるように、無目300は、本体部301と、本体部301の上面側に一対の押縁310とを備える。以下側面視した状態を説明する。本体部301は、矩形断面の筒状体に形成されている。本体部301の上面及び下面には、上面及び下面から外方に突出し互いに近接する方向に折れ曲がった第1爪部302及び第2爪部303が形成されている。本体部301は、例えば、上下方向の幅が方立2の正面視した幅と同じに形成されている。
【0049】
押縁310は、矩形断面の一部が開放したU断面のレール状に形成されている。押縁310の端部には、第1爪部302に係合する第3爪部311及び第2爪部303に係合する第4爪部312が形成されている。押縁310は、本体部301に着脱自在に嵌め込まれるように形成されている。押縁310は、幅が押縁100の幅と同じに形成されている。一対の押縁310が本体部301に対向して離間するように嵌め込まれ、溝部315が形成される。一対の押縁310のうち、例えば、室内側の押縁310が取り外された状態において溝部315が露出され、取り付けられた状態において溝部315が形成される。従って、室外側の押縁310が取り付けられた状態において且つ、室内側の押縁310が取り外された状態においてガラス板Gが取り付けられる。
【0050】
建具1Aの上部には、横枠320が取り付けられる。横枠320は、本体部321と、一対の押縁310とを備える。本体部321は、無目300の本体部301の上面側と同じ形状に形成されている。本体部321は、タップネジS2等を用いて天井R等の設置対象に固定部材Jを介して固定される。一対の押縁310が本体部321に対向して離間するように嵌め込まれ、溝部316が形成される。
【0051】
建具1Aの下部には、上部に取り付けられた横枠320を上下反転させた横枠320が取り付けられる。本体部321は、タップネジS2等を用いて床面E等の設置対象に固定される。タップネジS2は、一対の押縁310に隠蔽される。
【0052】
建具1Aによれば、正面視して薄型の方立2を形成するだけでなく、無目300及び横枠320も薄型に形成でき、意匠性を向上させることができる。建具1Aによれば、着脱自在な一対の押縁310を用いることにより、固定用のビスなどが外部に露出することなく部材内部に隠蔽することができ、意匠性を向上させることができる。
【0053】
[第3実施形態]
図9に示されるように、建具1Bは、建具1Aに取り付けられたガラス板Gの一部が板Bに置き換えて取り付けられている。建具1Bは、方立2と、押縁350と、固定部材360とを備える。固定部材360は、L断面に形成されている。固定部材360は、ネジ穴361が形成された底部362と底部から直交する方向に折れ曲がった受部363とを有する。
【0054】
方立2の設置位置には、ネジ穴361に対応する位置に雌ネジMが形成されている。固定部材360は、方立2の側面にネジS1により底部362が固定される。受部363は、例えば、方立2の端面板8と同一面であるように固定される。受部363は、板Bの一端面B1の端部を支持する。
【0055】
押縁350は、板Bの他端面B2の端部を支持する。押縁350は、矩形断面の筒状体に形成されている。押縁350は、本体部351と蓋部352とを備える。本体部351は、矩形断面一部が開放されたU断面のレール状に形成されている。本体部351の両端には、内方に突出した一対の爪部351Aが形成されている。蓋部352は、本体部351の開口を塞ぐよう形成されている。蓋部352は、一対の爪部351Aに係止される裏面側において外方に屈曲して突出する一対の爪部352Aが形成されている。
【0056】
本体部351は、蓋部352に対向する底部351Bにネジ穴351Cが形成されている。方立2の設置位置には、ネジ穴351Cに対応する位置に雌ネジMが形成されている。本体部351は、開口からネジS1で方立2の側面にネジS1により底部351Bが固定される。その後、蓋部352は、本体部351の開口に嵌め込まれる。
【0057】
図10に示されるように、板Bは、例えば、側面視して上端が横枠320(図8参照)に固定されると共に、下端が横枠70(図4参照)に固定される。横枠70の溝部71は、蓋部77により塞がれる。板Bは、上端及び下端が押縁350により固定される。
【0058】
建具1Bによれば、ガラス板Gを板Bに置き換えて取り付けることができ、施工対象を多様化したデザインに施工することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、適宜変更、置換が可能である。例えば、ガラス板Gは、アクリル板やポリカーボネート板等の他の板状体であってもよい。また、建具1は建物の開口に窓枠として設置されるだけでなく、床面にパーティションとして設置されてもよい。押縁10は、方立2の両側の取り付け位置が前後方向に任意に設定され、オフセットされて取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B 建具、2 方立、3 第1枠部材、4 縦板、4E 第1爪部、4E1 先端、4F 第2爪部、4F1 突出部、4F2 フランジ部、4G ネジ穴、4H 皿孔、5 端面板、5E 第3爪部、6 第2枠部材、7 縦板、7E 第1爪部、7F 第2爪部、7F1 突出部、7F2 フランジ部、7G 雌ネジ、7H ネジ穴、8 端面板、8E 第3爪部、10 押縁、10A 溝部、11 本体部、11A 設置面、11B ネジ穴、11C 第1腕部、11D 第1爪部、11E 第2爪部、12 蓋部、12A 第2腕部、12B 固定面、12C 第3爪部、12D 第4爪部、30 無目、31 本体部、31A 溝部、31B 溝部、31C 仕切板、31D 第1爪部、31E 第2爪部、32 蓋部、32A 第3爪部、32B 第4爪部、35 ネジ爪、50 縦枠、70 横枠、71 溝部、71A 仕切板、71B ネジ穴、74 第1枠部材、77 蓋部、80 横枠、81 溝部、81A 仕切板、81B ネジ穴、82 本体部、82A 第1爪部、82B 第2爪部、83 蓋部、83A 第3爪部、83B 第4爪部、100 押縁、100A 溝部、102 雌ネジ、300 無目、301 本体部、302 第1爪部、303 第2爪部、310 押縁、311 第3爪部、312 第4爪部、315 溝部、316 溝部、320 横枠、321 本体部、350 押縁、351 本体部、351A 爪部、351B 底部、351C ネジ穴、352 蓋部、352A 爪部、360 固定部材、361 ネジ穴、362 底部、363 受部、B 板、C シール材、G ガラス板、H バックアップ材、J 固定部材、K 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10