(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ケーブル処理装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20240910BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20240910BHJP
B65G 47/86 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
B07C5/342
B65G47/68 D
B65G47/86 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019194283
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク フェブリ
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-086679(JP,U)
【文献】特開2016-046195(JP,A)
【文献】特表2010-535606(JP,A)
【文献】特開平11-347498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
B65G 47/68
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを組み立てるための少なくとも1つの処理ユニット(101、103、105)と、
選択信号(S)によって作動され、前記処理ユニットから受け取ったケーブルを、前記選択信号(S)に従って、少なくとも第1の側(A)または第2の側(B)に出力する選別ユニット(60)と、を含み、
前記選別ユニット(60)は、前記選択信号(S)に従って回転軸(D)の周りを回転する複数のトラフであり、
前記複数のトラフは、2つ以上のトラフチャンバ(1、2、3)を含み、該トラフチャンバのいずれかに前記ケーブルが配置され、該ケーブルが良品ケーブルである場合は、前記トラフチャンバが前記回転軸(D)の周りを第1の方向に回転して前記良品ケーブルを前記第1の側に出力し、前記ケーブルが不良ケーブルである場合には、前記トラフチャンバが前記回転軸(D)の周りを前記第1の方向とは異なる第2の方向に回転して前記不良ケーブルを前記第2の側に出力する、ケーブル処理装置(100)
であって、
前記選択信号(S)を、前記ケーブルの検出された組み立て品質の関数として前記選別ユニット(60)に出力するための選択ユニット(80)をさらに備え、
前記ケーブルの前記組み立て品質は、前記ケーブルが良品ケーブルとして分類される前記ケーブルの十分な品質と、前記ケーブルが不良ケーブルとして分類される前記ケーブルの不十分な品質とを含み、良品ケーブル受け取りユニット(31)が前記第1の側に配置され、不良ケーブル受け取りユニット(70)が前記第2の側に配置され、
前記良品ケーブル受け取りユニット(31)は、良品ケーブル仕分けトラフ(50)と、ケーブルバッチに含まれる複数のケーブルの良品ケーブルを受け取る良品ケーブルデポジットトラフ(30)と、を備える、ケーブル処理装置(100)。
【請求項2】
前記回転軸(D)は、前記受け取ったケーブルのケーブル軸に略平行に延びる、請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項3】
前記複数のトラフは、略同じサイズの3つのトラフチャンバを含み、該トラフチャンバは反時計周りに略120°または時計周り略120°回転する、請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項4】
前記ケーブルの組み立て品質を検出するための検出ユニット(90)をさらに備える、請求項
1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項5】
前記良品ケーブルデポジットトラフ(30)は前記複数のケーブルの量が前記ケーブルバッチのサイズと対応したときに、前記複数のケーブルを前記良品ケーブル仕分けトラフ(50)に移送するように構成され、
前記良品ケーブルデポジットトラフ(30)は、特に前記仕分けトラフに対して、傾斜および/または旋回するように構成され、特に、移送中に前記複数のケーブルが前記良品ケーブル仕分けトラフ(50)内に滑り込むように自動的かつ好ましくは空気圧で傾斜および/または旋回するように構成される、請求項
1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項6】
前記不良ケーブル受け取りユニット(70)は不良ケーブル仕分けトラフ(70)を備える、請求項
1または5に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項7】
前記良品ケーブル仕分けトラフ(50)が、可動部分(50a)および不可動部分(50b)を含み、前記可動部分(50a)が、特に自動的に、好ましくは空気圧で、長手方向に移動可能である、請求項
1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項8】
前記不良ケーブル仕分けトラフ(70)が、可動部分(50a)および不可動部分(50b)を含み、前記可動部分(50a)が、特に自動的に、好ましくは空気圧で、長手方向に移動可能である、請求項
6に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの処理ユニットから前記選別ユニット(60)に前記ケーブルを移送するためのコンベヤベルト(20)をさらに備える、請求項1から
8の何れか1項に記載のケーブル処理装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完成した組み立て処理の後に仕分けするための、1または複数のケーブルを出力するケーブル処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル処理装置は、通常、例えばケーブルトラフまたは仕分けトラフの形態に設計されたケーブルトレイを備えている。ケーブル処理装置は、典型的には、ケーブルバッチ(ケーブル組立体)を共に構成する複数のケーブルを生成する。例えば、特定の数の同様に製造されたケーブル、またはそれぞれ同様に組み立てられたケーブルのグループは、ケーブルバッチを形成する。
【0003】
組み立てられるケーブルのための様々な処理ステップまたは組み立てステップ、例えば、剥離ステップ、圧着ステップなどは、潜在的に誤ったやり方で実行される可能性があり、その結果、指定されたまたは指定可能な品質要件を満たさないケーブルの組み立てが行われることになる。
【0004】
このような品質要件の例には、不適切に剥がされた導体端部、端部キャップの所望の開口部(例えば、プラグコンタクト、ワイヤエンドフェルール等)が外れた個々の撚線、屈曲して圧着されたか、または圧着の不十分なプラグコネクタ等が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このタイプの品質要件を満たさない組み立てられたケーブルは、一般に不良ケーブルと呼ばれ、一般に、廃棄物として処分される。したがって、品質要件を満たす組み立てられたケーブルは、一般に良品ケーブルと呼ばれる。ケーブル処理装置は、例えば、剥離および圧着のような様々な処理ステップを監視し、そのような不良なケーブルを検出することができる品質監視システムをますます備えるようになっている。この目的を達成するために、例えば、品質監視システムは組み立てられる物品の剥離処理および/または圧着処理が不正確に行われていることを観察することができ、それに基づいて、現在出力されるケーブルが不良ケーブルであることを対応して評価することができる。
【0006】
従来のアプローチを以下に説明する。品質監視システムが不良なケーブルを検出した場合、オペレータに対して不良なケーブルを識別できるように印を付けるステップが取られる。例えば、接点が不正確に圧着された場合、この接点を再び切断するステップが取られる。不正確に剥離された導体端部の場合は、例えば、接点を圧着しないようにするステップが代替的に取られる。
【0007】
このような不良ケーブルの代わりとして完璧なケーブルを自動的に製造することができたとしても、不良ケーブルは依然としてケーブルトレイに入り込み、オペレータによって選別されなければならない。オペレータが不良ケーブルに気付かなかった場合、この不良ケーブルはケーブルバッチの一部に残存する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
完璧なケーブルバッチを提供するための処理が改善されたケーブル処理装置が求められている。この目的は、請求項1に記載のケーブル処理装置によって達成される。有利なさらなる展開は、従属請求項に示されている。本明細書で説明される個々の実施形態、態様、および/または特徴は、適切な場合には互いに組み合わせることができ、またはそれに応じて省略することができることは言うまでもない。
【0009】
一態様は、ケーブル処理装置を提供することを含む。ケーブル処理装置は、ケーブルを組み立てるための少なくとも1つの処理ユニットを備える。ケーブル処理装置はまた、処理ユニットから受け取ったケーブルを、選択信号に従って少なくとも第1の側または第2の側に出力するための選択信号で作動可能な選別ユニットを備える。
【0010】
例えば、処理ユニットまたは組立ユニットは剥離ユニット、圧着ユニットなどの形態で提供されるが、これらに限定されない。選択信号は、例えば外部で生成されるか、または、選択信号がケーブル処理装置の適切な構成要素によって内部で生成される。受け取ったケーブルは、典型的には第1の側または第2の側の何れかの選択信号に従って出力される。選別ユニットは処理ユニットから常に正確に1本のケーブル、典型的には組み立てられたケーブルを受け取り、この受け取ったケーブルの選択が選択信号に従って行われることが特に好ましい。選択が完了した後、選別ユニットは処理ユニットから次の単一のケーブルを受け取り、この受け取ったケーブル等について選択が行われる。
【0011】
例えば、選別ユニットを選択信号で作動させることによって行われる選択は良品ケーブルが常に一方の側で(例えば、常に第1の側で)出力され、不良ケーブルが常に他方の側で(例えば、常に第2の側で)出力されることを保証する。これは、完璧なケーブルバッチ(良品ケーブルのみを含むケーブルバッチ)の提供を単純化することができる。
【0012】
実施形態では、選別ユニットが回転軸の周りを回転することができる複数のトラフである。回転軸は、受け取ったケーブルのケーブル軸線に略平行に延びている。回転軸の周りの回転は、選択信号に従って行われる。
【0013】
選別処理は、選択的に回転可能な複数のトラフを用いて加速することができる。これにより、選別処理自体を容易かつ安全に行うことができる。
【0014】
実施形態では、複数のトラフが2つ以上のトラフチャンバを含む。有利な構成によれば、マルチプルスルーは、略同じサイズの3つのスルーチャンバを有している。略同じサイズのトラフチャンバは、略同じ容積を有している。略同じサイズの回転可能な取付けおよびトラフチャンバ、特に略同じサイズの3つのスルーチャンバは重心における中央取付けを可能にし、不均衡などを低減するという利点をもたらすことができる。
【0015】
実施形態では、ケーブル処理装置が選択ユニットをさらに備える。選択ユニットは特にケーブルの検出された組立品質とは無関係に、選別ユニットに選択信号を出力するように設定される。例えば、本明細書で使用される組立品質は上述したように、良品ケーブルと不良ケーブルとの区別を含む。しかしながら、中間品質を考慮し、選択信号が生成される関数として、1つまたは複数の閾値を定義することも可能である。
【0016】
この実施形態のさらなる発展形態では、ケーブル処理装置が検出目的のための検出ユニットを備えることができる。この検出ユニットは、ケーブルの組立品質を検出するように設定されている。
【0017】
検出ユニットの1つの一般的な例は、上述の圧着ユニットに組み込まれた圧着力の監視ユニットを含む。監視ユニットは圧着ユニットの手段によって行われる圧着処理(剥がされたケーブル端部を接触して押圧する処理)中の出力の進行を記録するために力センサを使用し、それを所望の進行と比較するように設定される。この比較は処理エラー、例えば、接触における編組の欠如を明らかにする。
【0018】
別の例では、画像取得ユニット(例えば、デジタルカメラ)および画像評価ユニットが検出ユニットとして提供され、画像取得ユニットは連続的に、または定義されたまたは定義可能な時間間隔で取得された、組み立てられたケーブルの代表的な領域の画像を画像評価ユニットに送信する。例えば、画像評価ユニットは画像評価ソフトウェアを実行し、画像評価ソフトウェアは送信された画像に基づいて、下層ケーブルの組立品質を評価または検出する。
【0019】
この実施形態のさらなる発展形態では、ケーブル処理装置に関して、ケーブルの製造品質が、ケーブルが良品なケーブルとして分類されるケーブルの十分な品質を意味し、ケーブルが不良ケーブルとして分類されるケーブルの不十分な品質をさらに意味する。ここでは、良品ケーブル受け取りユニットが第1の側に配置され、不良ケーブル受け取りユニットが第2の側に配置される。
【0020】
本明細書で使用される受け取りユニットは良品ケーブルまたは不良ケーブルを受け取り、場合によってはそれらを特定の期間にわたって格納するように構成された構成要素または要素または複数の構成要素であることが理解される。例えば、良品ケーブル受け取りユニットは、良品ケーブル仕分けトラフを有する。良品ケーブル仕分けトラフの構成は、オペレータ(または自動仕分けユニット、例えば仕分けロボット)が良品ケーブル仕分けトラフに含まれる良品ケーブルを仕分けすることを可能にする。
【0021】
良品ケーブル受け取りユニットは、良品ケーブルデポジットトラフと、上述した良品ケーブル仕分けトラフとを備えることができる。良品ケーブルデポジットトラフは、ケーブルバッチに含まれる複数のケーブルの良品ケーブルを受け取るように設定される。これに関連して、複数のケーブルの量がケーブルバッチのサイズに対応する場合に、複数のケーブルを良品ケーブル仕分けトラフに移送するように構成されている良品ケーブルデポジットトラフを提供することも可能である。従って、良品ケーブル仕分けトラフは、それが空であるか、または良品ケーブル仕分けトラフにおいて利用可能な良品ケーブルの量がケーブルバッチに正確に対応するかの2つの状態を正確に想定することが可能である。
【0022】
移送中に複数のケーブルが良品ケーブル仕分けトラフ内に滑り込むように、仕分けトラフに対して傾斜および/または旋回可能なように、良品ケーブルデポジットトラフを設計することが可能である。これは、ケーブルを良品ケーブルデポジットトラフから良品ケーブル仕分けトラフに移送するための特に簡単な選択肢を提供する。傾斜または旋回は、好ましくは自動的に行われる。傾斜または旋回は、特に好ましくは空気圧アクチュエータの自動作動を介して行われる。
【0023】
良品ケーブルサイドと同様に、実施形態では、不良ケーブル受け取りユニットが不良ケーブル仕分けトラフを備える。不良ケーブル仕分けトラフの構成は、オペレータ(または自動仕分けユニット、例えば仕分けロボット)が不良ケーブル仕分けトラフに含まれる不良ケーブルを仕分けすることを可能にする。
【0024】
実施形態では、良品ケーブル仕分けトラフが可動部分と不可動部分とを備えるように設計される。可動部分は、長手方向に移動させることができる。特に、可動部分は、自動的に長手方向に移動させることができる。可動部分は、好ましくは空気圧で長手方向に移動させることができる。
【0025】
実施形態では、不良ケーブル仕分けトラフが代替的にまたは追加的に、可動部分と不可動部分とを備えるように設計される。可動部分は、長手方向に移動させることができる。特に、可動部分は、自動的に長手方向に移動させることができる。可動部分は、好ましくは空気圧で長手方向に移動させることができる。
【0026】
実施形態では、ケーブル処理装置がケーブルを少なくとも1つの処理ユニットから選別ユニットに移送するためのコンベヤベルトをさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいてより詳細に説明する。図面は以下を示す。
【
図1】技術原理を説明するための従来のケーブル処理装置の概略側方断面図である。
【
図2】一実施形態によるケーブル処理装置の概略側方断面図である。
【
図3】上記実施形態によるケーブル処理装置の上面図である。
【
図4】上記実施形態によるケーブル処理装置のケーブルトレイの概略斜視図である。
【
図5】別の視点から見た
図4のケーブルトレイの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施形態の説明では、同一または類似の要素には同一の参照番号を付す。それらについては繰り返し説明しない。
【0029】
図1は、従来のケーブル処理装置100の概略側方断面図を示す。ケーブル処理装置100は、駆動モータ10によって駆動され、ケーブル処理装置の1つまたは複数の処理ステーションから組み立てられたケーブルがデポジットトラフ30の方向に搬送されるコンベヤベルト20を有する。デポジットトラフ30は矢印で示すように、旋回軸40の周りに作動可能な旋回シリンダ41によって旋回させることができる。特定の時点でデポジットトラフに収容されている良品ケーブルだけでなく、不良ケーブル(図示せず)も、旋回運動中に仕分けトラフ50内に落下しまたは滑り込み、そこで仕分けすることができる。
【0030】
図1に示された上述の「旋回型」の従来のケーブル処理装置100のようなケーブル処理機械では、デポジットトラフ30によって形成された中間貯蔵部が所定のまたは決定可能な数の完全に処理されたケーブルを集めることを可能にする。この数に到達すると、ケーブルバッチまたは生産バッチが完了する。デポジットトラフ30の上述した旋回運動は製造されたケーブルバッチを自動的にまたはオペレータによる確認の後に仕分けトラフ50内に移送し、例えば、ケーブル処理装置10が次の製造バッチを製造し、この次の製造バッチに属するケーブルを再び上方で旋回されたデポジットトラフ30内に中間的に保管する間に、仕分けトラフ50でケーブルバッチを手動で仕分けすることができる。
【0031】
コンベヤベルト20はケーブル処理装置100内への輸送中、およびケーブルの後端(下流端)の処理中に、ケーブルが引き伸ばされたままであることを保証する。このケーブルの後端がコンベヤベルトに隣接して落下することが可能な場合、自重およびこれと組み合わされたコンベヤベルトの搬送運動によって、ケーブルはコンベヤベルト20から横方向に滑り落ち、デポジットトラフ30内に落下する。
【0032】
図2は、本開示の一実施形態によるケーブル処理装置100の
図1と同様の側方断面図を示す。本実施形態によるケーブル処理装置100は、ここでも、駆動モータ(図示せず)によって動かされるコンベヤベルト20を有する。デポジットトラフ30はデポジットトラフ30上の矢印に略沿って空気圧作動旋回シリンダ41によって旋回軸40の周りを旋回させることができ、その結果、デポジットトラフ内に配置されたケーブルは、仕分けトラフ50内に滑り込む。
【0033】
図1のケーブル処理装置100に加えて、
図2の実施形態のケーブル処理装置100は、選択信号に基づいて、パルスまたはセクションでケーブル軸に略平行な回転軸Dを回転することができる選別ユニット60を有する。例示的な実施形態では、選別ユニット60が第1のトラフチャンバ1、第2のトラフチャンバ2、および第3のトラフチャンバ3を有し、これらはサイズが略同じであり(すなわち、略同じ容積で設計され)、仕切りによって互いに分離されている。仕切りによって、略120°間隔の分割が生成される。
【0034】
製造された(組み立てられた)ケーブルは、コンベヤベルト20から選別ユニット60のトラフに入る。選別ユニット60は機械コントローラ(例えば、選択ユニット80)から、回転軸Dの周りを時計回りに約120°または反時計回り約120°回転するコマンドを受け取る。例えば、ケーブルが
図2のトラフチャンバ1内に落下した場合、約120°の反時計回りの回転運動によって、ケーブルは
図2に示されるトラフチャンバ2の場所に置かれることになる。よって、約120°の時計回りの回転運動によって、ケーブルは
図2に示されるトラフチャンバ3の場所に置かれることになる。
【0035】
反時計回りの回転の際、ケーブルは、それに対応して、選別ユニット60に対して一方の側Aに配置されたデポジットトラフ30内に落下または滑り込む。時計回りの回転の際、ケーブルは、反対側Bに配置された追加のデポジットトラフ70内に落下または滑り込む。
【0036】
図2の実施形態による構成ではA側のデポジットトラフ30は良品ケーブルデポジットトラフとして働き、B側のデポジットトラフ70は不良ケーブルデポジットトラフとして働く。
【0037】
良品ケーブルデポジットトラフ30がバッチサイズに達すると、これに対応して空気圧シリンダ41を作動させることによって、良品ケーブルデポジットトラフ30が旋回軸の周りを旋回し、その結果、ケーブルバッチは、良品ケーブル仕分けトラフ50内に入れられる。その後上方に旋回した後、ケーブル処理装置100は、次のバッチを製造することができる。不良ケーブルは、それに応じて、不良ケーブルデポジットトラフ70に落下する。バッチサイズに達した後に、良品ケーブル仕分けトラフ50内にまだバッチがある場合、機械は停止し、オペレータはケーブルを仕分けすることができる。
【0038】
図2に示された3つのトラフチャンバ1、2、3を有する選別ユニット60の構成によって、選別ユニット60はケーブルがA側またはB側に移送された後に引き返す必要はなく、代わりに、その後コンベヤベルトに面するトラフチャンバ内に次のケーブルを直接受け取ることができる。その結果、選別処理は、時間の経過に伴う機械の生産率を低下させない。
【0039】
図2に示す例示的な実施形態では、選択ユニット80が選別ユニット60に直接接続される。しかしながら、本開示はこれに限定されず、これらの要素は、例えば間に配置された機械制御装置(図示せず)を介して、間接的に接続されてもよい。さらに、選択ユニット80をこのような機械制御装置の一部とすることも可能である。
【0040】
選択時には、選択ユニット80は、選別ユニット60をA側方向またはB側方向の何れかに回転させる指示に対応する選択信号Sを選別ユニット60に出力する。例えば、選択時間は、ケーブル処理装置100の処理周期において計時された繰り返しポイントである。クロックは固定でも可変でもよい。例えば、コンベヤベルト20に面するそれぞれのトラフチャンバ内で、受け取ったケーブルの受け取り処理が完了したことを検出することによって、場合毎の方法で可変クロックを設定することができる。
【0041】
図2において、選択ユニット80は、検出ユニット90にも接続されている。例えば、検出ユニット90はデジタルカメラ等を有し、受け取ったケーブルを撮像すると共に、デジタルカメラで撮像された画像を処理するオプションを有する。検出ユニット90は圧着力を監視するための力センサ(図示せず)を備えることも一般的であり、検出ユニット90は力センサを使用して、圧着処理を実行しながら力の進行を所望の進行と比較し、比較または比較結果を選択ユニット80に送信するように設定される。
【0042】
検出ユニット90またはそれに接続された選択ユニット80は、コンベヤベルト20に面するトラフチャンバ内で次に受け取られるケーブルが良品ケーブルを表すか、不良ケーブルを表すかを検出する。あるいは、検出ユニット90またはそれに接続された選択ユニット80は、コンベヤベルト20に面するトラフチャンバ内に受け取られたケーブルが良品ケーブルまたは不良ケーブルを表すかどうかを検出する。この検出結果に基づいて選択信号Sが生成される。
【0043】
説明のために、
図3の上面図には、ケーブル処理装置100の上面図が示されている。ケーブル送り込み軸Rに沿って引き込まれ、ケーブルフィーダ106によって処理ステーションを通って搬送されるケーブルを組み立てるために、ケーブル処理装置100は、第1の圧着プレス101、第2の圧着プレス102、剥離用のブレードヘッド105、第1の旋回ユニット103、および第2の旋回ユニット104を有する。例えば、良品ケーブルデポジットトラフ30を含む良品ケーブル受け取り装置31が、
図3の右側に見える。例えば、ケーブル処理装置10の基本的な機能についての詳細は欧州特許出願公開第2442413A1号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
図4は本実施形態によるケーブル処理装置のケーブルトレイを示す斜視図であり、
図5は、別の視点から見た
図4のケーブルトレイの概略斜視図である。
【0045】
図4から明らかなように、良品ケーブル受け取り装置31は、可動部分50aと不可動部分50bとを有する良品ケーブル仕分けトラフ50を含む。例えば、2部分の良品ケーブル仕分けトラフ50の可動部分50aは空気圧シリンダ(図示せず)によって長手方向に移動可能であり、その結果、短いケーブルを機械の保護カバーの下のアクセス困難な場所から運び出すことができ、機械の運転中であっても仕分けすることができる。図示はしていないが、この原理は基本的に、不良ケーブル仕分けトラフ70にも適用することができる。
【0046】
図5から明らかなように、本実施形態の選別ユニット60は全体として回転軸Dの周りに回転させることができる長尺体である。旋回シリンダ41のヘッドは旋回シリンダ41による旋回運動中に、良品ケーブルデポジットトラフ30が旋回シリンダ41内に収容された良品ケーブルを良品ケーブル仕分けトラフ50内に出力するように、良品ケーブルデポジットトラフ30に固定されている。
【0047】
本発明の実施形態を上述したが、本発明は上述した特徴の組み合わせに限定されるものではない。当業者は他の特徴の組み合わせが、意図された目的に依存して意味をなし得ること、およびいくつかの特徴が適切な場合に改変または省略され得ることを認識する。