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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】衣類仕上げ装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20240910BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20240910BHJP
   A47G 25/32 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
D06F58/10
A41D13/002 105
A47G25/32 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019239542
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021106788
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】波戸 成典
(72)【発明者】
【氏名】森 一志
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0084569(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/00-25/92
D06F 1/00-19/00
D06F 27/00-31/00
D06F 35/00
D06F 41/00-51/02
D06F 58/00
D06F 58/10-58/18
D06F 59/00-60/00
A41D 13/002
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定クロゼットと、当該クロゼットの天面に設けられた送風口に所定の接続部を介して着脱可能に装着されるハンガーとを具備し、前記ハンガーに掛けた状態で衣類のシワ取りが自動的に行える衣類仕上げ装置であって、
前記送風口及び前記ハンガーを通じて前記衣類の内部に送風する送風ユニットを備え、
前記ハンガーは、
送風口から下方に延びるとともに、前記送風ユニットから送られる風を受け入れる風導入スペースが内部に形成された筒状の支持部と、
前記支持部の下部から互いに逆向きに延びるとともに、横断面が逆U形状に形成されていて、前記風導入スペースに連なる風導出スペースが内部に形成された一対の肩掛け部と、
を有し、
前記風導出スペースに、
前記衣類の胴部に向けて風を送り出す胴部側の風路と、
前記衣類の袖部の各々に向けて風を送り出す一対の袖部側の風路と、
、前記一対の肩掛け部の下部に沿って延びる一対の区画壁で区画することによって形成されていて、
前記区画壁の各々は、
袖吹出口が開口する当該肩掛け部の端部から基部に向かう袖誘導壁と、
前記袖誘導壁に連なる胴誘導壁と、
を有し、
一対の前記袖誘導壁で区画されることによって前記袖部側の風路が形成されるとともに、一対の前記胴誘導壁で区画されることによって前記胴部側の風路が形成され、
前記一対の胴誘導壁の突端が一定の間隔を隔てて対向した状態で前記ハンガーの内部の中央部分に位置することにより、前記胴部側の風路および前記袖部側の風路の各々の入口が、前記風導入スペースと前記風導出スペースとの境界部分で横一列に並んだ状態で分岐するとともに、内部が区画されていない前記風導入スペースを通じて前記送風口の開口部と上下に対向しており、
前記胴部側の風路の出口部分に、下流側に向かうほど次第に風路が拡がる拡大風路部が設けられている衣類仕上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類仕上げ装置において、
前記胴部側の風路の入口部分に、上流側に向かうほど次第に風路が拡がる吸気導入部が設けられている衣類仕上げ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衣類仕上げ装置において、
前記拡大風路部に、風路に沿って延びるリブが設けられている衣類仕上げ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の衣類仕上げ装置において、
前記袖吹出口が入口の下方に位置している衣類仕上げ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の衣類仕上げ装置において、
前記袖吹出口は入口よりも小さく形成されている衣類仕上げ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の衣類仕上げ装置において、
前記支持部の上部に、前記送風ユニットから送られる風の一部を、前記肩掛け部の上部に向けて送り出す異物除去部が設けられている衣類仕上げ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の衣類仕上げ装置において、
前記送風口が複数設けられ、これら送風口に、前記ハンガーと共に着脱可能に装着されるエアノズルを更に具備し、
互いに隣接している前記送風口の一方に前記ハンガーを装着し、他方に前記エアノズルを装着することにより、前記エアノズルが前記ハンガーの肩掛け部の上部に向けて風を吹き出す衣類仕上げ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の衣類仕上げ装置において、
前記クロゼットを加湿する加湿ユニットと、
前記クロゼットの空気を調整する空調ユニットと、
を更に備える衣類仕上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、シャツ等の衣類のシワ取りが自動的に行える衣類仕上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置の一つに、中空の人形型を用いたタイプがある(特許文献1)。このタイプでは、バルーン等で形成された人形型に衣類を装着し、その内部からスチームやドライエアーを吹き出させることでシワ取りを行う。このタイプでは、人形型に衣類をフィットさせる必要があるため、適用できる衣類のサイズやデザインが限られるという問題がある。
【0003】
衣類を吊したハンガーを揺することによってシワ取りを行うタイプもある。このタイプでは、ハンガーを強く揺すっても衣類が緩やかに揺れ動くだけなので、シワ取り効果は弱い。振動や騒音が大きいという問題もある。
【0004】
ハンガーに吊して温風を吹き出すタイプもある(特許文献2、3)。例えば、特許文献2には、略逆Y形状をしたハンガー本体を備えたシワ取り乾燥機が開示されている。このシワ取り乾燥機では、左右に分かれたハンガー本体の両肩部の下面の略全域に吐出口が開口している。これら吐出口から温風を吹き出す。
【0005】
生地の厚い衣類は、袖部が自重で潰れて風が通り難いので、乾燥が困難である。そのような衣類でも、効率よく乾燥できるようにした衣類乾燥用ハンガーが、特許文献3に開示されている。そのハンガーは、流通孔が開口する板状部材と、その板状部材の左右から下り傾斜した一対の分流板とを有している。
【0006】
そのハンガーに衣類を掛けた状態で、襟口部から板状部材の上方に向けて温風を導入する。それにより、温風の一部が流通孔を通じて胴部に供給され、温風の残部が各分流板で振り分けられて左右の袖部に供給される。
【0007】
そのハンガーはまた、特定構造の衣類乾燥機の内部に並列して吊される。そうすることにより、複数の衣類をまとめて乾燥できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭62-173000号公報
【文献】特開平4-317699号公報
【文献】特開2014-28121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らが検討したところ、シワ取りを行うには、衣類を湿らせてから(予め湿っている場合、例えば洗濯脱水後の状態はこの工程は不要)乾燥工程中に、衣類がはためくように、衣類の全体を十分に揺れ動かすのが効果的であることを見出した(はためき効果)。
【0010】
それに対し、特許文献2のシワ取り乾燥機は、両肩部の下面の略全域から温風を吹き出すので、胴体中央部に強い風が通らないため、はためき効果が生じにくく、風量を増加すれば、はためき効果を向上できるが、騒音が大きくなるし、電力消費も増大する。
【0011】
その点、特許文献3のハンガーであれば、衣類に導入した温風を、左右の袖部と胴部の各々に分配できる。しかし、単に風量を分割しているだけなので、個々の風力は小さくなる。しかも、衣類の内部に導入された温風は、板状部材に衝突し、それによって両袖部に分配される。
【0012】
従って、袖部に分配される温風の風力は更に弱まる。すなわち、特許文献3のハンガーは、生地の厚い衣類を乾燥できても、はためき効果は期待できない。風量の増加は、特許文献2のシワ取り乾燥機と同様に、騒音や電力消費の増大を招く。
【0013】
そこで、開示する技術の主な目的は、衣類をはためかせることができて、シワ取りが効果的に行える衣類仕上げ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示する技術は、所定のハンガーが取り付けられるクロゼットを具備し、前記ハンガーに掛けた状態で衣類のシワ取りが自動的に行える衣類仕上げ装置に関する。
【0015】
前記衣類仕上げ装置は、前記ハンガーを通じて前記衣類の内部に送風する送風ユニットを備える。
【0016】
前記ハンガーは、前記クロゼットの天面に配置された送風口から下方に延びるとともに、前記送風ユニットから送られる風を受け入れる風導入スペースが内部に形成された支持部と、前記支持部の下部から互いに逆向きに延びるとともに、前記風導入スペースに連なる風導出スペースが内部に形成された一対の肩掛け部と、を有している。
【0017】
そして、前記風導出スペースに、前記衣類の胴部に向けて風を送り出す胴部側の風路と、前記衣類の袖部の各々に向けて風を送り出す一対の袖部側の風路と、が形成されていて、前記胴部側の風路の出口部分に、下流側に向かうほど次第に風路が拡がる拡大風路部が設けられている。
【0018】
すなわち、この衣類仕上げ装置は、クロゼットに有るハンガーに衣類を掛けて、ボタン等を操作すると、クロゼットを加湿したり空調したりして、そのシワ取りが自動的に行える機能を有している。ハンガーに掛けた衣類の内部には、風導入スペース等を通じて送風が行われるが、そこには、衣類の胴部に向けて風を送り出す風路と衣類の袖部の各々に向けて風を送り出す風路とが形成されている。
【0019】
従って、衣類の胴部と袖部とに安定して送風することができるので、偏ることなくシワ取りが行える。
【0020】
更に、胴部側の風路の出口部分に、ディフューザー形状の拡大風路部が設けられているので、胴部側の風路の入口部分にある空気が出口部へ勢いよく吸い出されて、いわゆるベンチュリ効果(ベルヌーイも定理)により入口部分の空気の流れが加速され、胴部側の風路に効率よく、多くの空気(風)を導入することができる。
【0021】
従って、限られた風量で効率よく、衣類の胴部および袖部の双方をはためかせることができる。その結果、衣類のシワを効果的に伸ばすことができる。
【0022】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記胴部側の風路の入口部分に、上流側に向かうほど次第に風路が拡がる吸気導入部が設けられている、としてもよい。
【0023】
そうすれば、入口部での流れの剥離を抑え、よりなめらかに空気(風)を流入させることができ、よりいっそうベンチュリ効果を向上できる。従って、胴部側の風路に、よりいっそう効率よく風を導入することができる。
【0024】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記拡大風路部に、風路に沿って延びるリブが設けられている、としてもよい。
【0025】
そうすれば、ディフーザー部分での流れの剥離を抑え、更にいっそう空気が出口部へ勢いよく吸い出されることができる。
【0026】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記風導出スペースに、前記胴部側の風路と前記袖部側の風路の各々とを区画する一対の区画壁が設けられ、前記一対の区画壁により、前記胴部側の風路および前記袖部側の風路の各々の入口が、前記風導入スペースと前記風導出スペースとの境界部分で分岐している、としてもよい。
【0027】
そうすれば、効率よく、袖部側および胴部側の各風路に風を導入することができる。
【0028】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記肩掛け部の各々の端部に前記袖部側の風路の出口が設けられていて、前記袖部側の風路の出口が入口の下方に位置している、としてもよい。
【0029】
そうすれば、袖部側の風路を流れる風を円滑に出口まで誘導でき、風力の低下を抑制できる。
【0030】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記送風口の開口部と、前記胴部側の風路および前記袖部側の風路の各々の入口とが、前記風導入スペースを通じて上下に対向している、としてもよい。
【0031】
そうすれば、送風口から導入した風を、風導入スペースで整流して、風力を保ったままの状態で各風路に導入できる。
【0032】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記袖部側の風路の各々の出口は入口よりも小さく形成されている、としてもよい。
【0033】
そうすれば、袖部側の風路に導入した風を出口から勢いよく吹き出させることができる。
【0034】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記支持部の上部に、前記送風ユニットから送られる風の一部を、前記肩掛け部の上部に向けて送り出す異物除去部が設けられている、としてもよい。
【0035】
そうすれば、衣類の肩部に付着した異物(例えば、髪の毛やフケ等)を吹き飛ばして除去できる。
【0036】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記送風口が複数設けられ、これら送風口に、前記ハンガーと共に着脱可能に装着されるエアノズルを更に具備し、互いに隣接している前記送風口の一方に前記ハンガーを装着し、他方に前記エアノズルを装着することにより、前記エアノズルが前記ハンガーの肩掛け部の上部に向けて風を吹き出す、としてもよい。
【0037】
そうすれば、衣類に付着した異物の除去効果が向上する。衣類の外側からも風を吹き付けることで、衣類のはためき効果に追加作用として作用させることができる。それにより、よりいっそう衣類の仕上げ効果を高めることができる。
【0038】
前記衣類仕上げ装置はまた、前記クロゼットを加湿する加湿ユニットと、前記クロゼットの空気を調整する空調ユニットと、を更に備える、としてもよい。
【発明の効果】
【0039】
開示する技術を適用した衣類仕上げ装置によれば、衣類をはためかせることができるので、シワ取りが効果的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】衣類仕上げ装置の構造を示す概略図である。右図は、正面から見た図であり(扉は省略)、左図は、右図の矢印X-X線での概略断面図である。
図2A】下部スペースの内部を左側から見た概略図である。
図2B】下部スペースの内部を右側から見た概略図である。
図3】制御部と、その主な関連機器を示すブロック図である。
図4】フィルタの構造の概略を示す分解斜視図である。
図5】ハンガーを示す概略斜視図である。
図6】クロゼットの天面に取り付けられた状態でのハンガーの概略断面図である。
図7】衣類を掛けたハンガーに送風した時の様子を示す概略図である。
図8】エアノズルを例示する概略斜視図である。(a)は、両側タイプであり、(b)は片側タイプである。
図9】両型タイプのエアノズルの使用例を示す概略斜視図である。
図10】衣類仕上げ装置が行うシワ取りの制御例を示す、主な機器のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。説明で用いる前後、左右、および上下の方向は、図1に示す状態を基準とする。
【0042】
<衣類仕上げ装置の構造>
図1に、開示する技術を適用した衣類仕上げ装置1の構造を例示する。衣類仕上げ装置1は、例えば更衣室や化粧室、クロゼットなどに設置して利用される。そして、衣類仕上げ装置1は、所定のハンガー30に掛けた状態で、主に、ジャケットやシャツなどの衣類(上着)Cのシワ取りを自動的に行う。
【0043】
衣類仕上げ装置1はまた、衣類Cに付着した異物や臭気の除去処理、および/または、殺菌処理を行う場合もある。すなわち、衣類仕上げ装置1では、シワ取りや異物除去等、衣類Cをクリーニングに出した様な仕上がりに、衣類Cの種類や素材に応じて、ボタン操作等によって指示するだけで自動的に行える。
【0044】
衣類仕上げ装置1は、縦長な箱形状に形成されている。衣類仕上げ装置1は、前面が開口した筐体2と、筐体2の前面を揺動して開閉する扉3とを有している。衣類仕上げ装置1の内部には、衣類Cを収容するクロゼット4が形成されている。扉3の前面には、ボタンやタッチモニターなどで構成された操作部8が設置されている(図3に示す)。
【0045】
筐体2の下部には下部スペース21が設けられている。筐体2の上部には上部スペース22が設けられている。上部スペース22には、送風ユニット60が設置されている。下部スペース21には、加湿ユニット70と空調ユニット80とが設置されている。これら下部スペース21と上部スペース22との間に、クロゼット4が区画されている。クロゼット4の天面には、ハンガー30が取り付けられている。この衣類仕上げ装置1では、3つのハンガー30が着脱可能に装着できるように構成されている(ハンガー30の詳細については後述)。
【0046】
クロゼット4の床面には、スチーム吹出口5、エア吹出口6、および吸込口7が形成されている。詳細には、前方に向かって下り傾斜した床面の後部に、スチーム吹出口5とエア吹出口6とが前後に並んだ状態で形成されている。略水平な床面の前部に吸込口7が形成されている。
【0047】
図2A図2Bに示すように、加湿ユニット70は、給水タンク71、スチーム発生装置72などで構成されている。空調ユニット80は、排水タンク81、循環ファン82、循環ダクト83、熱交換器84などで構成されている。加湿ユニット70は、クロゼット4を加湿する。空調ユニット80は、クロゼット4の空気を調整する。
【0048】
図1にも示すように、排水タンク81および給水タンク71は、下部スペース21の前方に配置されている。これらは筐体2から着脱可能である。給水タンク71に貯めた水は、給水ポンプ73でスチーム発生装置72に送られる。スチーム発生装置72は、ヒータで水を加熱して高温(例えば100℃)のスチームを発生させる。
【0049】
スチーム発生装置72で発生したスチームは、図2A図2Bに破線矢印で示すように、スチーム吹出口5を通じてクロゼット4に供給される。空調ユニット80の循環ファン82が発生させる風により、スチームは、クロゼット4の中に拡散される。
【0050】
熱交換器84は、コンプレッサ841、コンデンサ842、エバポレータ843などで構成されている。循環ダクト83は、下部スペース21において、クロゼット4の空気が流れる風路を構成している。循環ファン82は、クロゼット4の空気を循環させる風力を発生させる。
【0051】
すなわち、図2A図2Bに実線矢印で示すように、循環ファン82は、吸込口7からクロゼット4の空気を吸い込んで循環ダクト83に導入し、循環ダクト83に導入した空気をエア吹出口6からクロゼット4に吹き出す。エア吹出口6から吹き出される空気は、クロゼット4を横切るように上方へ向かう。そして、クロゼット4の上部の前側に至った後、下降して吸込口7に吸い込まれる。
【0052】
熱交換器84は、循環ファン82が下部スペース21に導入した空気の温度および湿度を調整する。熱交換器84は、主に、空気を除湿して乾燥させる。更に、空気を加熱して温風を発生させる。従って、循環ファン82および熱交換器84が作動することで、クロゼット4には乾燥した温風が吹き出される。空調ユニット80で排出されるドレンは、排水ポンプ85によって排水タンク81に送られる。
【0053】
下部スペース21の後部には、CPUやメモリなどで構成された制御部10が設置されている。制御部10は、制御プログラムなどを有し、操作部8の操作に基づいて、衣類仕上げ装置1が備える各機器の運転を制御する。図3に、制御部10と、制御部10に信号を入出力する主な機器を示す。
【0054】
制御部10は、操作部8、加湿ユニット70、空調ユニット80、および送風ユニット60と電気的に接続されている。制御部10は、操作部8からの入力信号に基づいて、所定の運転プログラムを選択して実行する。その制御プログラムに従って、加湿ユニット70、空調ユニット80、および送風ユニット60の各々に電気信号を出力し、これらの作動を制御する。
【0055】
図1に示すように、送風ユニット60は、フィルタ61、送風ファン62、送風ダクト63、送風口64などで構成されている。送風ダクト63は、クロゼット4の天面の上部スペース22側に設けられた下流側ダクト631と、クロゼット4の後面の裏側に設けられた上流側ダクト632とを有している。
【0056】
送風ファン62は、上流側ダクト632と下流側ダクト631との間に設置されている。送風ファン62が作動することにより、図1に実線矢印で示すように、上流側ダクト632から下流側ダクト631に向かう空気の流れ(風)が形成される。
【0057】
上流側ダクト632の上流側には、クロゼット4に連通する通風口633が形成されている。通風口633は、クロゼット4の後面の上部に配置されている。通風口633は、クロゼット4と略同一の横幅を有する大きな矩形に形成されている。この通風口633を覆うように、矩形板状のフィルタ61が、クロゼット4の後面に設置されている。
【0058】
それにより、フィルタ61の横幅は、少なくとも通風口633より大きくクロゼット4の後面の横幅より小さく形成されている。そして、フィルタ61の縦幅は、通風口633より大きく形成されていればよい。
【0059】
図4に示すように、フィルタ61は、異物を除去する濾材611と、濾材611を覆うフィルタカバー612とで構成されている。フィルタカバー612は、複数の羽板でスリットが格子状に形成された前面吸込部6121と、複数のリブで複数のスリットが形成された側面吸込部6122とを有している。前面吸込部6121の周囲には、側面吸込部6122の前方に張り出す鍔部が形成されている。この鍔部の大きさ(張出幅)は、側面吸込部6122の大きさ(前後幅)より大きく形成されている。前面吸込部6121の形状は、その形状にとらわれず、空気が流入できる他の形状でも問題ない。前面吸込部6121は前方に面し、側面吸込部6122は上下および左右の方向に面している。従って、クロゼット4の空気は、フィルタ61の前面および側面の双方からフィルタ61の内部に吸引される。
【0060】
フィルタ61に吸引された空気は、濾材611を通過してダスト等の異物が除去される。浄化された空気が、通風口633を通じて上流側ダクト632に入り込み、下流側ダクト631に送られる。下流側ダクト631の下流側には、クロゼット4に連通する複数(本実施形態では3つ)の送風口64が形成されている。これら送風口64は、クロゼット4の天面の横幅方向(左右方向)に間隔を隔てて横並びに配置されている。
【0061】
図6に示すように、送風口64の各々は、クロゼット4の天面に開口する開口部641と、開口部641と一体に設けられた接続部642とを有している。開口部641および接続部642は、前後方向に長い略長方形状をしている。これら送風口64の各々には、接続部642を介して所定のハンガー30が着脱可能に装着される。ハンガー30には衣類Cが掛けられる。それにより、図7に示すように、下流ダクトに送られた空気は、送風口64に装着されたハンガー30を通じて、その衣類Cの内部に送風される。
【0062】
<ハンガー30>
図5図6に、ハンガー30を例示する。ハンガー30は、樹脂成形品からなる。ハンガー30は、略逆Y形状の外観を有し、中空に形成されている。具体的には、ハンガー30は、接続部642に装着した時に、クロゼット4の天面から下方に延びて、縦幅(左右方向の幅)よりも大きな横幅(前後方向の幅)を有する支持部31と、支持部31の下部から僅かに下り傾斜した状態で、互いに横幅方向を逆向きに延びる一対の肩掛け部32,32とを有している。
【0063】
支持部31は筒状に形成されていて、その内部には、横断面が長円状の風導入スペース41が形成されている。支持部31の上部には、薄板状のコネクタ33が設けられている。コネクタ33は、横幅方向に長い長方形状をしている。コネクタ33は、接続部642と略同形同寸法に形成されている。なお、図示はしないが、支持部31は、凹凸嵌合によって接続部642に着脱可能に装着される。
【0064】
支持部31の上部における長手方向の各端部には、上方に向かうほど大きく凹む凹部34が形成されている。図6に示すように、各凹部34は、下方に向かうほど傾斜が緩やかになる曲面を有している。コネクタ33には、これら凹部34と上下方向に対向する一対の貫通孔331,331が形成されている。各貫通孔331の面積は、風導入スペース41の上端の開口面積よりも小さい(1/4から1/5程度)。
【0065】
接続部642にコネクタ33を装着し、ハンガー30をクロゼット4に取り付けることで、送風口64を通じて送風ユニット60から送られる風は、ハンガー30に送られる。その風の多くは、風導入スペース41に受け入れられる。そして、その風の一部は、各貫通孔331を通じて各凹部34に受け入れられる。後述するように、これら貫通孔331および凹部34は「異物除去部」を構成する。
【0066】
各肩掛け部32は、横断面が略逆U形状に形成されていて、その内部には、風導入スペース41に連なる風導出スペース42が形成されている。そして、その風導出スペース42には、一対の区画壁35,35が設けられていて、これら区画壁35,35で区画されることにより、衣類Cの胴部に向けて風を送り出す胴部側の風路43と、衣類Cの袖部の各々に向けて風を送り出す一対の袖部側の風路44,44とが形成されている。
【0067】
各区画壁35は、各肩掛け部32の下部に沿って延びるように形成されている。各区画壁35は、各肩掛け部32の端部から基部に向かって僅かに上がり傾斜した袖誘導壁351と、袖誘導部に連なって上方に向かって延びる胴誘導壁352とを有している。両胴誘導壁352の端部は、支持部31から両肩掛け部32が分岐する部分に位置し、一定の間隔を隔てて対向している。
【0068】
それにより、各袖部側の風路44の入口441と、胴部側の風路43の入口431とが、横一列に並んだ状態で、風導入スペース41と風導出スペース42との境界部分で分岐している。胴部側の風路43は、両袖部側の風路44の間に位置し、その横幅方向の中心は、ハンガー30の横幅方向の中心と略一致している。両袖部側の風路44は、その中心線に対して線対称状に配置されている。
【0069】
そして、これら胴部側の風路43および袖部側の各風路の各々の入口441,431は、風導入スペース41を通じて、送風口64(開口部641)と上下に対向している。従って、送風口64から導入された風は、風導入スペース41で整流され、風力を保ったままの状態で各風路に導入される。更に、各風路に送られる風力が失速しないように、各風路の構造が工夫されている。
【0070】
(拡大風路部45、吸気導入部46)
袖部側の風路44の間に位置する胴部側の風路43の出口部分には、下流側に向かうほど次第に風路が拡がる拡大風路部45が設けられている。具体的には、胴誘導壁352の下部と、これに連なる各袖誘導壁351の上部からなる各部分が拡大風路部45を構成しており、これらの間の横幅が次第に拡がる形状(ディフューザー形状)に形成されている。
【0071】
それにより、胴部側の風路43の入口部分にある空気が出口部へ勢い良く吸い出されて、いわゆるベンチュリ効果により入口部分の空気の流れが加速され、胴部側の風路43に効率よく多くの空気(風)を導入することができる。それに伴い、両袖部側の風路44の入口441を大きくできるので、これら風路にも風を効率よく導入することができる。各袖部側の風路44の出口442は、図5図6に示すように、入口441の下方に位置する肩掛け部32の各々の端部に設けられている。
【0072】
具体的には、袖誘導壁351の末端部分に連なる肩掛け部32の端部の下側に開口(袖吹出口442)が形成されている。それにより、各袖部側の風路44に導入された風は、袖誘導壁351に沿って流れるように誘導された後、袖吹出口442から吹き出される。従って、各袖部側の風路44を流れる風は、ほとんど抵抗を受けることがないので、円滑に流れて風速を保持できる。
【0073】
従って、胴部側の風路43および両袖部側の風路44に、風速の低下を抑制しながら、効果的に風を導入することができる。
【0074】
更に、胴部側の風路43の入口部分には、上流側に向かうほど次第に風路が拡がる吸気導入部46が設けられている。具体的には、両胴誘導壁352,352の上部が吸気導入部46を構成しており、これらの間の横幅が次第に拡がる形状に形成されている。ただし、吸気導入部46の拡がり程度は、拡大風路部45よりも小さくてよい。吸気導入部46を設けることで、拡大風路部45との相乗効果により、よりいっそうベンチュリ効果を向上できる。従って、胴部側の風路43に、よりいっそう効率よく風を導入することができる。
【0075】
また更に、拡大風路部45には、風路に沿って延びる複数(本実施形態では2つ)のリブ36が設けられている。これらリブ36により、ディフーザー部分での流れの剥離を抑え、、更にいっそう空気が出口部へ勢い良く吸い出されることができる。
【0076】
また、袖部側の風路44の各々の出口442は、入口441よりも小さく形成されている。従って、各袖部側の風路44に導入された風は、その出口442から勢いよく吹き出す。図7に、衣類Cを掛けたハンガー30に送風した時の様子を例示する。胴部側の風路43に導入された風は、矢印A1で示すように、勢いよく衣類Cの胴部に流入し、裾部に向かって流れる。
【0077】
それにより、その風の流れに伴って、胴部の内部で局所的な風の流れが形成され、胴部がバタバタとはためく。その結果、胴部に付いたシワを効果的に伸ばすことができる。
【0078】
同様に、各袖部側の風路44に導入された風は、矢印A2で示すように、勢いよく衣類Cの袖部に流入し、袖口に向かって流れる。それにより、袖部もバタバタとはためく(膨らんだ状態で振動する)。その結果、袖部に付いたシワも効果的に伸ばすことができる。尚、本発明者らは、このような風路を構成したハンガー30は、このような風路が構成されていないハンガーに比べて風速が高まり風量も増加することを確認している。
【0079】
更に、このハンガー30の支持部31には、異物除去部を構成する貫通孔331および凹部34が設けられている。それにより、図7に矢印A3で示すように、ハンガー30に送られる風の一部は、各貫通孔331を通じて各凹部34に受け入れられることで、肩掛け部32の上部、好ましくは肩先に向けて送り出される。その結果、衣類Cの肩部に付着した異物(例えば、髪の毛やフケ等)を吹き飛ばして除去できる。
【0080】
また、図7に示すように、ハンガー30に掛けた衣類Cがはためくと、フィルタ61の前面に接触する場合がある。そうした場合、衣類Cがフィルタカバー612の前面吸込部6121に吸着されるおそれがある。そうなると、フィルタカバー612の前面吸込部6121が塞がれてしまい、送風ユニット60で送風される風力が低下する。衣類Cにフィルタカバー612の模様が付いて、仕上げ処理が行えない。
【0081】
それに対し、この衣類仕上げ装置1では、フィルタカバー612に側面吸込部6122が設けられている。しかも、フィルタ61の横幅は、クロゼット4の横幅と略同一に大きさに形成されており、また、鍔部の形成と相まって。衣類Cがはためいても、側面吸込部6122の左右は衣類Cで塞がれ難くい。更に、上下方向についても、鍔部の形成により、側面吸込部6122の上下に衣類Cが回り込んで塞ぐことを防止している。それにより、衣類Cがはためいて前面吸込部6121に接触しても、衣類Cは吸着され難い。従って、送風ユニット60で安定した風力を出力できる。衣類Cに吸着により生じるフィルタカバー612の模様が付くのを防止できる。
【0082】
<エアノズル>
この衣類仕上げ装置1では、クロゼット4に3つの送風口64が設けられていて、これら送風口64の各々にハンガー30を装着できる。従って、同時に3枚の衣類Cのシワ取りが行える。更に、この衣類仕上げ装置1には、ハンガー30とともに、付属品としてエアノズル90が装備されている。
【0083】
図8に、エアノズル90を例示する。(a)は、両側タイプであり、(b)は片側タイプである。いずれのエアノズル90も、コネクタ91と、ノズルボディ92と、ノズルカバー93とを有している。コネクタ91は、ハンガー30のコネクタ33と同じ構造であり、接続部642に着脱可能に装着される。ノズルボディ92は、横幅が長い筒状に形成されている。ノズルカバー93はノズルボディ92の突端に被さってその開口を塞いでいる。
【0084】
両型タイプのエアノズル90では、そのノズルカバー93に、2つの吹出口931,931が横幅方向に並んで形成されている。片型タイプのエアノズル90では、そのノズルカバー93に、1つの吹出口931が横幅方向の一端に偏って形成されている。
【0085】
ノズルカバー93の内面は曲面で形成されている。それにより、ノズルボディ92に受け入れた風が、ノズルカバー93の内面に誘導されて、吹出口931から所定の方向に向かって吹き出すように構成されている。
【0086】
図9に、両型タイプのエアノズル90の使用例を示す。これらエアノズル90は、1つのハンガー30と共に使用される。すなわち、3つの送風口64のうち、ハンガー30を中央の送風口64(センター送風口64c)に装着する。そして、センター送風口64cと互いに隣接している2つの送風口64(サイド送風口64s)の各々に、吹出口931がハンガー30の方に臨むように、エアノズル90を装着する。
【0087】
エアノズル90をそのように装着することで、吹出口931から吹き出す風は、図9に破線矢印で示すように、ハンガー30の肩掛け部32の上部に向かうように構成されている。両型タイプのエアノズル90の場合、1つのエアノズル90から、双方の肩掛け部32の上部に向けて風を吹き出す。詳細には、ハンガー30に掛けた衣類Cの襟首を横切って肩先に向かうように風を吹き出す。
【0088】
片側タイプのエアノズル90の場合、1つのエアノズル90から片方の肩掛け部32の上部に向けて風を吹き出す。2つの片側タイプのエアノズル90を装着することで、各エアノズル90から、肩掛け部32の上部の各々に向けて風を吹き出すことができる。
【0089】
ハンガー30に、このようなエアノズル90を組み合わせて使用することで、衣類Cに付着した異物の除去効果が向上する。衣類Cの外側からも風を吹き付けることで、よりいっそう衣類Cをはためかせることができる。それにより、よりいっそう衣類Cの仕上げ効果を高めることができる。尚、エアノズル90の吹出口931が風を吹き出す方向は、仕様に応じて変更できる。例えば、衣類Cの背中に風が当たるように、ハンガー30の横幅方向の中間部分を指向させてもよい。
【0090】
<衣類仕上げ装置1の制御例>
図10に、衣類仕上げ装置1が行うシワ取りの制御例を示す。使用者は、衣類仕上げ装置1の運転に先立って、給水タンク71に水を給水し、また、排水タンク81の水を廃棄する。そして、クロゼット4に設置されたハンガー30に衣類Cを掛けて、扉3を閉める。そうした後、操作部8を操作し、その衣類Cに応じたモードを選択し、運転を開始する。
【0091】
それにより、制御部10は、加湿行程および乾燥工程からなる仕上げ処理を実行する。具体的には、制御部10は、加湿ユニット70を作動させる。それにより、給水タンク71に貯めた水が、給水ポンプ73でスチーム発生装置72に送られる。スチーム発生装置72は、水を加熱して高温(例えば100℃)のスチームを発生させる。スチーム発生装置72で発生したスチームは、スチーム吹出口5からクロゼット4の中に噴射される。
【0092】
制御部10は、スチームの噴射と同時または少し遅れて、空調ユニット80の循環ファン82を作動させる。尚、循環ファン82の作動は、スチームの噴射から少し遅れさせた方が好ましい。結露を抑制して、衣類Cを効率よく加湿できる。
【0093】
循環ファン82は、回転数が自在に制御可能であり、制御例では高低に制御されている。制御部10は、循環ファン82を低回転で作動させる。それにより、循環ファン82が発生させる風により、スチームは、クロゼット4の中に拡散される。そうして、所定時間が経過すると、衣類Cが適度に湿った状態となるので、制御部10は、加湿行程から乾燥工程に切り換える。
【0094】
乾燥工程が開始すると、制御部10は、加湿ユニット70の作動を停止する。そして、制御部10は、循環ファン82の回転数を高め、熱交換器84を作動させる。それにより、熱交換器84を通過する空気は、除湿されて乾燥される。更に加熱されることで温風が発生し、クロゼット4に乾燥した温風が吹き出される。その結果、クロゼット4の空気は入れ替えられて、次第に乾燥されていく。
【0095】
制御部10はまた、乾燥工程が開始されると、送風ユニット60を作動させる。上側送風ユニット60は、回転数が自在に制御可能であり、衣類の素材や各種工程の進行状況に応じて最適回転数に制御される。制御例では、一定の回転数として説明している。それにより、フィルタ61を通じたクロゼット4の空気が、ハンガー30を通じて衣類Cの内部に送風される。それにより、衣類Cは、はためいた状態になる。乾燥工程中は、常時、送風ユニット60が作動されるので、衣類Cは、はためきながら、次第に乾燥されていく。その結果、衣類Cに付着したシワは効果的に除去される。
【0096】
所定時間が経過すると、衣類Cは乾燥した状態となるので、制御部10は、運転を停止し、ブザーを鳴らすなどして、仕上げ処理が終了したことを報知する。このように、この衣類仕上げ装置1によれば、ハンガー30の構造の工夫により、風速の低下を抑制できるので、風量を過度に増加させなくても、衣類Cを効果的にはためかせることができる。その結果、シワ取りが効果的に行える。
【0097】
なお、開示する技術にかかる衣類仕上げ装置は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0098】
例えば、加湿ユニット70は、クロゼット4の内部を加湿できればよいので、スチームに代えてミストを発生させてもよい。ハンガー30やエアノズル90は、着脱不能な状態でクロゼット4の天面に固定されていてもよい。更に、送風口64を塞ぐことができるキャップも付属品として装備してもよい。
【0099】
送風ファン62の回転数を自在に制御可能に構成し、乾燥工程の後側よりも前側で回転数を高くしてもよい。衣類の湿度が高い方がシワ取り効果は高いので、効率的である。また、材質が柔らかい衣類や生地が薄い衣類は、送風ファン62の回転数を低くし、材質が硬い衣類や生地が厚い衣類は、送風ファン62の回転数を高くしてもよい。
【0100】
送風ユニット60のみを作動させる運転モードを設けてもよい。そうすれば、衣類に付着した異物を効果的に除去できる。
【符号の説明】
【0101】
1 衣類仕上げ装置
4 クロゼット
5 スチーム吹出口
6 エア吹出口
7 吸込口
10 制御部
30 ハンガー
31 支持部
32 肩掛け部
41 風導入スペース
42 風導出スペース
43 胴部側の風路
44 袖部側の風路
45 拡大風路部
46 吸気導入部
60 送風ユニット
61 フィルタ
62 送風ファン
63 送風ダクト
64 送風口
70 加湿ユニット
80 空調ユニット
C 衣類
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10