(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】環境負荷低減活動評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020042238
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 健吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕美
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-347528(JP,A)
【文献】特開2016-99653(JP,A)
【文献】特開2010-286941(JP,A)
【文献】特開2002-215781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ入力に使用する入力手段と、
工事開始前の環境負荷低減活動毎の取組度合の目標を示す目標データおよび工事後の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す実績データを記憶する記憶手段と、
前記目標データ
に基づいて目標値を算出するとともに、前記実績データに基づい
て実績値を算出する演算手段と、
前記目標値および前記実績値を表示する表示手段と、を備える環境負荷低減活動評価システムであって、
前記記憶手段には、前記表示手段に
ポイントシートを表示
させるためのデータが記憶されており、
前記ポイントシートは、建設機械の種類、台数および性能に基づいて項目分けされているとともに、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動に関する項目を備えており、
前記目標データおよび前記実績データは、前記入力手段を介して前記ポイントシートの項目ごとに入力し、
前記演算手段は、前記目標データまたは前記実績データと、前記項目ごとに定められたポイントと
、予め規定された建設機械毎やCO
2
削減活動毎のCO
2
削減効果と、に基づいて、前記目標値または前記実績値をポイントの合計値として演算し、
前記表示手段は、比較評価のための前記目標値および前記実績値を表またはグラフにより表示
し、
前記演算手段は、前記資源循環促進活動、前記自然共生活動および前記環境安全活動に関するポイントを加算することを特徴とする、環境負荷低減活動評価システム。
【請求項2】
建設現場毎に入力した前記実績データに基づいて、複数の前記建設現場の前記実績データを集計し、全体的な環境負荷低減活動の結果を
目標値に対する達成度で評価することを特徴とする、請求項
1に記載の環境負荷低減活動評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷低減活動評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷低減活動の一環として、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素(CO2)排出量の低減化を目的とした様々な取り組みがなされている。例えば、特許文献1には、設計段階において建物に用いる部材の使用数量に基づいてCO2排出量を算出する環境負荷算出システムが開示されている。
建設事業に関わるCO2排出量には、構造物の使用によるものや建設に用いる資機材の製造・運搬に起因するCO2排出量の他、施工時に使用する建設機械や運搬車両等から排出されるCO2排出量も含まれる。そのため、建設事業においては、建設現場において使用した建設機械や設備のCO2排出量を把握する必要がある。建設現場におけるCO2排出量は、当該建設現場で使用した機械の台数と、機械の種類毎のCO2排出量に基づいて算出するのが一般的である。
ところが、建設現場毎に建設機械などの使用台数を全数調査するのは手間がかかる。また、CO2排出量を算出する際には、機種毎に平均的な燃費性能を利用して換算しているため、燃費の良い機械を使用した場合であってもCO2排出量に反映されていなかった。また、建設工事において使用される機械は、工事内容・数量に応じて機種や台数が決定されるため、CO2排出量の低減化にあたり、機械台数を減らすという対応策は採用し難く、また、削減目標を事前に設定して、実施結果を評価することはできなかった。
さらに、環境負荷低減活動は、CO2削減活動以外にも、資源循環(リサイクル)の促進活動、自然との共生活動なども含まれるため、これらの全てを定量的に評価する手法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、環境負荷低減活動の目標を設定し、実施結果をこの目標と比較評価することと、簡易かつ定量的に環境負荷低減化の評価を行うことを可能とした環境負荷低減活動評価システムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、データ入力に使用する入力手段と、工事開始前の環境負荷低減活動毎の取組度合の目標を示す目標データおよび工事後の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す実績データを記憶する記憶手段と、前記目標データに基づいて目標値を算出するとともに、前記実績データに基づいて実績値を算出する演算手段と、前記目標値および前記実績値を表示する表示手段とを備える環境負荷低減活動評価システムである。前記記憶手段には、前記表示手段にポイントシートを表示させるためのデータが記憶されており、前記ポイントシートは、建設機械の種類、台数および性能に基づいて項目分けされているとともに、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動に関する項目を備えており、前記目標データおよび前記実績データは、前記入力手段を介して前記ポイントシートの項目ごとに入力する。そして、前記演算手段は、前記目標データまたは前記実績データと、前記項目ごとに定められたポイントと、予め規定された建設機械毎やCO
2
削減活動毎のCO
2
削減効果と、に基づいて、前記目標値または前記実績値をポイントの合計値として演算する。また、前記表示手段は、比較評価のための前記目標値および前記実績値を表またはグラフにより表示する。なお、演算手段は、前記資源循環促進活動、前記自然共生活動および前記環境安全活動に関するポイントを加算する。
かかる環境負荷低減活動評価システムによれば、工事開始前と工事終了後においてポイントシートにデータを入力するのみで、個々の建設現場における環境負荷低減活動の目標を事前に設定することと、その実施結果を評価することができる。すなわち、建設機械などの台数等を全数調査する手間を要することなく、環境負荷低減活動を定量的に評価できるため、現場管理者への負担が少ない。
【0006】
前記ポイントシートでは建設機械の種類、台数および性能に基づいて項目分けがなされており、前記演算手段は、予め規定された建設機械毎のCO2削減効果(例えば、官庁またはメーカーの資料、過去の実績に基づいた建設機械毎やCO2削減活動毎のCO2削減率)に基づいて、前記目標値および前記実績値を算出する。かかる環境負荷低減活動評価システムによれば、具体的かつ実効的なCO2排出量の削減対策および削減効果を定量的に評価することが可能となる。
また、前記ポイントシートが資源循環促進活動、自然共生活動などに関する項目を備えており、前記演算手段が前記資源循環促進活動、前記自然共生活動などに関するポイントを加算すれば、CO2削減以外の環境負荷活動の効果を評価することが可能となり、その結果、環境負荷低減に関わる多様な評価軸での目標設定および実施結果を定量的に評価できる。
さらに、建設現場毎に入力した前記実績データに基づいて、複数の前記建設現場の前記実績データを集計すれば、複数の建設現場を有する場合における組織全体としての定量的な環境負荷低減活動の成果を確認することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の環境負荷低減活動評価システムによれば、環境負荷低減活動の目標を設定し、実施結果をこの目標と比較評価することと、簡易かつ定量的に環境負荷低減化の評価を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る環境負荷低減活動評価システムの概要を示す模式図である。
【
図3】環境負荷低減活動の評価方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】ポイントの集計から評価までの手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、建設事業に関わる会社が、個々の建設現場における環境負荷低減活動の実施状況を定量的に評価するとともに、個々の建設現場あるいは会社全体の環境負荷低減活動の実施結果(目標に対する達成度や、過去の実績に対する低減効果)を評価する場合について説明する。
環境負荷低減活動の評価には、環境負荷低減活動評価システム1を使用する。
図1は、本実施形態の環境負荷低減活動評価システム1の模式図である。本実施形態の環境負荷低減活動評価システム1は、
図1に示すように、記憶手段2と、入力手段3と、表示手段4と、演算手段5とを備えている。記憶手段2、入力手段3、表示手段4、演算手段5は、一体化したPC(コンピュータ)あるいはそれに準じた機器でもよいし、それぞれ独立しした機器であってもよい。また、環境負荷低減活動評価システム1を構成する各手段(装置)を設置する場所は、建設現場、本部事務所に限らない。本実施形態では、サーバー8が記憶手段2および演算手段5を備えており、本部のコンピュータ6と建設現場のコンピュータ7がそれぞれサーバー8に接続されている場合について説明する。本部のコンピュータ6および建設現場のコンピュータ7は、それぞれ入力手段3および表示手段4を備えている。なお、記憶手段2および演算手段5は、本部のコンピュータ6または建設現場のコンピュータ7に備えられていてもよい。
【0010】
記憶手段2は、工事開始前の環境負荷低減活動毎の取組度合の目標を示す目標データや、工事後の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す実績データを記憶する。本実施形態では、記憶手段2としてサーバー8のハードディスクを使用する。なお、記憶手段2は、本部のコンピュータ6あるいは建設現場のコンピュータ7のハードディスクであってもよい。また、記憶手段2はコンピュータ以外の物(例えば、タブレット端末、スマホ等)でもよい。また、記憶手段2には、入力されたデータや、過去の実績データ(例えば、過去の工事実績の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す既存実績データ)等が記憶されている。記憶手段2に記憶される事項は、使用目的に応じて適宜設定することとし、ここで示した内容・項目をすべて記憶しなくてもよい。また、必要な内容・項目を追加することもできる。また、記憶手段2には、表示手段4に表示されるポイントシート(
図2参照)のデータが保存されている。
図2は、ポイントシートの概略図である。ポイントシートは、
図2に示すように、建設機械の種類、台数および性能等に基づいて項目分けされている。記憶手段2には、ポイントシートの項目と、各項目に対応するポイントが保存されている。各項目に対応するポイントは、予め規定されている建設機械毎のCO
2削減効果(例えば、官庁またはメーカーの資料、過去の実績に基づいた建設機械毎やCO
2削減活動毎のCO
2削減率)と、当該建設機械等の使用頻度に応じて設定されている。例えば、建設機械に対応するポイントは、建設機械のCO
2排出量×CO
2削減率×当該建設機械の使用頻度×ポイント化するための係数(例えば10)とすればよい。建設機械の使用頻度は、表2においては全体に対する概略割合(「概ね全て」であれば90%、「多数」であれば60%、「一部」であれば20%、「殆どなし」であれば0%)で評価している。建設機械の使用頻度の区分(例えば、概ねすべて:90%等)は、これに類する別途表現でもよいし、該当する使用頻度の数値(例えば、概ねすべて:90%等)を変えて使用してもよい。ここで、表1に建設機械毎のCO
2削減効果の一例を示し、また、表2にCO
2削減効果に基づいて設定(算出)された建設機械毎の使用頻度に応じたポイントの一例を示す。表2に示すように、例えば、建設機械Aにおいてハイブリットタイプの全体に対する概略割合が「概ね全て」の場合のポイントは、14ポイントとなる(6.1×0.25×0.90×10=14)。
ポイントシートは、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動など、CO
2削減以外の環境負荷低減活動に関する項目も備えている。さらに、記憶手段2には、過去の工事実績の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す既存実績データが記憶されている。なお、ポイントシートの各項目や各項目に対応するポイントは、限定されるものではなく、適宜決定する。例えば、CO
2削減活動、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動以外の環境負荷低減活動を追加してもよいし、これらの環境負荷低減活動に関する項目を増やしてもよいし、ポイントの設定に用いる建設機械毎のCO
2削減効果の値を更新してもよい。
【0011】
【0012】
【0013】
表示手段4は、モニター等からなり、目標値および実績値等を表示することが可能である。なお、表示手段4の構成は限定されるものではなく、例えば、コンピュータなどのモニターの他、タブレット端末やスマートフォン等を表示手段4として使用してもよい。
入力手段3は、例えば、キーボードやマウス等からなり、データ入力に使用する。入力手段3は、限定されるものではなく、例えば、タブレット端末やスマートフォン等であってもよい。目標データおよび実績データは、入力手段3を介して、表示手段4に表示されたポイントシートの項目ごとに入力する。
【0014】
演算手段5は、目標データおよび実績データに基づいて目標値および実績値を算出する。演算手段5は、目標データまたは実績データと、項目ごとに定められたポイントとにより、目標値または実績値をポイントの合計値として演算する。本実施形態では、演算手段5としてサーバー8のCPUを使用する場合について説明するが、演算手段5は、本部のコンピュータ6あるいは建設現場のコンピュータ7のCPUであってもよい。また、演算手段5はコンピュータ以外の物(例えば、タブレット端末、スマホ等)でもよい。
演算手段5は、予め規定された建設機械毎のCO2削減効果に基づいて、目標値および前記実績値を算出する。また、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動など、CO2削減以外の環境負荷低減活動に関するポイントを加算することもできる。
また、演算手段5は、過去の工事実績の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す既存実績データに基づいたポイントの合計値である推定値を算出することもできる。
【0015】
次に、環境負荷低減活動評価システム1を利用した環境負荷低減活動の評価方法について説明する。
図3は環境負荷低減活動の評価方法の手順を示すフローチャートである。
まず、新規工事の計画を立案する段階で、新規工事の建設現場(作業所)7のコンピュータ(端末)から、担当者等が工事開始前(各年度の始業前等も含む)の目標値を設定するためのデータ(目標データ)を、表示手段4に表示されたポイントシートに入力する(S12)。担当者(入力者)は、ポイントシートの項目ごとに、建設現場で使用する予定の機械や設備等を入力する。入力は担当者以外の者が代行してもよい。
ポイントシートへの入力は、建設現場の担当者が自主的に開始してもよいし、建設会社の本部(例えば、会社の環境部等)のコンピュータ6(端末)から、新規工事の建設現場(作業所)のコンピュータ7(端末)にポイントシートへの入力をうながす情報を送って開始してもよい。ポイントシートは、
図3に示すように、本部において準備したものを本部のコンピュータ6から建設現場のコンピュータ7に電子メールなどを介して送付してもよいし、建設現場のコンピュータ7からサーバー8の記憶手段2に接続して直接入手(ダウンロード)してもよい(S11)。
【0016】
ポイントシートは、環境負荷低減活動の実施度合を定量的な評価から直感的に回答(入力)するように構成されている。例えば、
図2に示すように、工事に使用する車両の概略割合(使用頻度)について、「概ね全て」、「多数」、「一部」、「殆どなし」、「該当なし」の項目から選択することで、使用台数を実測する手間を要することなく、記入できるように構成されている。ここで、例えば「概ね全て」は90%以上、「多数」は60~90%、「一部」は20~60%、「殆どなし」は20%未満と評価している。建設機械の使用頻度の区分(例えば、概ねすべて:90%等)は、これに類する別途表現でもよいし、該当する使用頻度の数値(例えば、概ねすべて:90%等)を変えて使用してもよい。また、ポイントシートは建設機械の種類、台数および性能に基づいて項目分けされている。すなわち、例えば、トラックなどの車両の場合には、「平成27年度燃費基準以上達成車」や「ハイブリッドタイプ」等の入力が可能となっている。このように、入力者は、予め項目分けされた建設機械毎に実施度合を入力する。
ポイントシートには、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械、トラックなどの車両や、発電機やコンプレッサー等の設備機器等に加え、事務所などで使用する照明機器等(LEDの使用の有無等)の項目がある。また、資源循環促進活動として、環境に配慮した材料(再生材等)の使用量や廃棄物処分等に関する取り組みの項目もある。また、自然共生活動に関する項目として、自然保護活動への取り組みや、植物や生物などへの配慮に関する項目についても入力が可能となっている。自然保護活動への取り組みの項目としては、自然環境に対する啓発を目的とした社員講習の有無や、施工時の植物保全などの実施について入力する。さらに、環境安全活動に関する項目として、環境事故(騒音、振動など)への配慮に関する項目についても入力が可能となっている。環境安全活動への取り組みの項目としては、環境事故に対する啓発を目的とした社員講習の有無や、施工時の環境事故に対する対策などの実施について入力する。なお、環境負荷低減活動はCO
2削減活動、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動に限るものではなく、それ以外の環境負荷低減活動を追加あるいは削除してもよいし、それらの活動に関する項目の増減や内容の変更を行ってもよい。
【0017】
ポイントシートの各項目への入力が完了したら、
図3に示すように、入力データを有線または無線の通信回線を介してサーバー8に送信する(S13)。サーバー8が入力データを受信すると、サーバー8内の記憶手段2に入力データが保存される(S14)。このとき、建設現場のコンピュータ7にも入力データを保存する。また、本部のコンピュータ6にも必要に応じて入力データを保存する。
【0018】
ポイントシートへのデータの入力が完了し、サーバー8が入力データを受信すると、サーバー8の演算手段5(CPU)が自動的に起動し、建設現場毎の目標値を算出する。また、会社全体のポイントや平均値を算出する。なお、演算手段5は、本部のコンピュータ6あるいは建設現場のコンピュータ7のCPUであってもよい。また、演算手段5は手動で起動させてもよい。
演算手段5が起動すると、記憶手段2から建設現場のデータを読み込む。
図4はポイントの集計から評価までの手順を示すフローチャートである。演算手段5は、記憶手段2から当該建設現場について入力されたデータを読み込むとともに、各項目に対応するポイントを読み込んだ後、集計・分析ソフトを利用して項目毎にポイントを加算して建設現場毎の目標値を算出する(S21)。演算手段5による算定結果は、記憶手段2に保存されるとともに表示手段4に表やグラフ等で表示される(S22)。
また、演算手段5は、建設現場毎に入力した目標データに基づいて、複数の建設現場の目標データを集計し、全体的な環境負荷低減活動の合計ポイントを算出する(S23)。算出結果は、表示手段4に表示される。また、記憶手段2に保存された過去の実績値を表示することで、過去の環境負荷低減活動と目標値を比較することも可能である。
【0019】
工事完了(竣工)の段階で、建設現場のコンピュータ7(端末)から、担当者が実績値を求めるためのデータ(実績データ)を、表示手段4に表示されたポイントシートに入力する(S16)。担当者(入力者)は、目標データ入力時と同様に、ポイントシートの項目ごとに、建設現場のCO
2削減活動に関する情報(例えば使用した機械、設備)と使用頻度を入力する。また、資源循環促進活動や自然共生活動、環境安全活動など、CO
2削減活動以外の環境負荷低減活動に関する情報も入力してもよい。
ポイントシートへの入力は、建設現場の担当者が自主的に開始してもいいし、本部のコンピュータ6(端末)から、建設現場(作業所)のコンピュータ7(端末)にポイントシートへの入力をうながす情報を送って開始してもよい。ポイントシートは、
図3に示すように、本部において準備したものを本部のコンピュータ6から建設現場のコンピュータ7に電子メールなどを介して送付してもよいし、建設現場のコンピュータ7によりサーバー8の記憶手段2から直接入手してもよい(S15)。
ポイントシートの各項目への入力が完了したら、入力データを有線または無線の通信回線を介してサーバー8に送信する(S17)。サーバー8が入力データを受信すると、サーバー8の記憶手段2に入力データが保存される(S18)。このとき、建設現場のコンピュータ7にも入力データを保存する。また、本部のコンピュータ6にも必要に応じて入力データを保存する。
【0020】
ポイントシートへのデータの入力が完了すると、演算手段5が自動的に起動し、建設現場毎の実績値を算出する。また、会社全体の実績値(ポイント)や平均値を算出する。実績値を算出したら、目標値と比較する(S19)。演算手段5は手動で起動してもよい。
実績値の算出は、演算手段5により行う。演算手段5が起動すると、記憶手段2から建設現場のデータを読み込む。演算手段5は、記憶手段2から当該建設現場について入力されたデータを読み込むとともに、各項目に対応するポイントを読み込んだ後、集計・分析ソフトを利用して項目毎にポイントを加算して建設現場毎の実績値を算出する(S21)(
図4参照)。演算手段5による算定結果は、記憶手段2に保存されるとともに表示手段4に表やグラフ等で表示される(S22)。
建設現場の目標値と実績値とを数値により確認することで、目標値に対する達成度を評価することができる。
また、演算手段5は、建設現場毎に入力した実績データに基づいて、複数の建設現場の実績データを集計し、全体的な環境負荷低減活動の合計ポイントを算出する(S23)。算出結果は、表示手段4に表示される。こうすることで、会社全体でも目標に対する達成度を評価することができる。また、過去の実績値を表示することで、過去の環境負荷低減活動と比較することも可能である。
【0021】
本実施形態の環境負荷低減活動評価システム1によれば、工事開始前と工事終了後においてポイントシートにデータを入力するのみで、個々の建設現場における環境負荷低減活動の目標を事前に設定することと、その実施結果を評価することができる。ポイントシートへの入力は、環境負荷低減活動の実施度合を定量的な評価から直感的に回答(複数の回答の中からその現場に最も近いもの一つを選択する)することが可能なため、建設機械などの台数等を全数調査する手間を要することなく、環境負荷低減活動を定量的に評価できる。そのため、個々の建設現場において、使用機械などの情報を毎日入力する必要がある従来の技術に比べて、作業の手間を大幅に削減することができる。
また、予め規定された建設機械毎のCO2削減効果に基づいて、目標値や実績値を算出するため、具体的かつ実効的なCO2排出量の削減対策および削減効果を定量的に評価することができる。
また、記憶手段2に過去の工事実績の環境負荷低減活動毎の取組度合の実績を示す既存実績データが記憶されている場合には、演算手段5により既存実績データに基づいたポイントの合計値である推定値を算出してもよい。こうすることで過去の実績に基づく推定値(例えば、過去の工事実績に基づいたCO2排出量)と目標値または実績値とを比較することで、削減効果を確認しやすくなる。
また、ポイントシートが資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動に関する項目を備えており、演算手段5が資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動に関するポイントを加算するため、CO2削減以外の環境負荷低減活動の効果を評価することが可能となり、その結果、幅広い評価軸での目標設定および実施結果を定量的に評価できる。
さらに、建設現場毎に入力した実績データに基づいて、複数の建設現場の実績データを集計すれば、複数の建設現場を有する場合における組織全体として、あるいは地域ごと、工事の種類ごとの定量的な環境負荷低減活動の成果を確認することができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、環境負荷低減活動評価システム1は、必ずしもCO2削減活動、資源循環促進活動、自然共生活動および環境安全活動を評価する必要はなく、例えば、新たな環境負荷低減活動を追加して評価してもよいし、CO2削減活動の評価のみに使用してもよい。また、環境負荷低減活動評価システム1は、工事開始前に設定したCO2排出量の目標値に対する、工事終了後の達成度を評価するために使用してもよいし、CO2排出量の代わりにCO2削減量としてもよい。
また、前記実施形態では、一例として、複数の建設現場を有する会社について、会社全体、あるいは地域ごと、工事の種類ごとの環境負荷低減活動の評価を行う場合について説明したが、環境負荷低減活動評価システム1は、必ずしも会社全体、あるいは地域ごと、工事の種類ごとの評価に限る必要はなく、例えば、季節ごとなど例示した以外の属性での評価に使用してもよい。
また、前記実施形態では、建設現場がデータを入力すると、自動的に目標値や実績値の算出や集計を行うものとしたが、目標値や実績値の算出は、会社の本部あるいは建設現場が手動で行ってもよい。また、データの保存やデータを利用した演算は、サーバー8で行う必要はなく、本部のコンピュータ6または建設現場のコンピュータ7で行ってもよい。
環境負荷低減活動評価システム1は、入力手段3によりデータ入力がされるとともに、演算手段5が自動的に起動するとしたが、手動で起動して目標値または実績値を演算するように構成されていてもよい。
工事開始前に目標値を算出し、目標値を達成できるように使用機械などを調整してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 環境負荷低減活動評価システム
2 記憶手段
3 入力手段
4 表示手段
5 演算手段
6 本部のコンピュータ
7 建設現場のコンピュータ
8 サーバー