(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20240910BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240910BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240910BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240910BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/92
A61K8/34
A61K8/31
A61Q1/04
(21)【出願番号】P 2020056970
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2019068475
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】東 竜太
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101550(JP,A)
【文献】特開2016-216424(JP,A)
【文献】特開2013-071919(JP,A)
【文献】特開2017-088602(JP,A)
【文献】特開2013-209318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)ワックス
5~25質量%
(B)
デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選択される、一種又は二種以上である糖脂肪酸エステル
0.1~10質量%
(C)イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール及び2-デシルテトラデシノールから選択される、一種又は二種以上である高級アルコール
1~20質量%
(D)25℃でペースト状の
炭化水素である非極性油
(E)アミノ基を有する化合物で表面処理された粉体
を含有し、(C)と(D)の含有量の合計が10~45質量%であり、(C)と(D)の
含有量の質量比(C):(D)が1:1~6である油性化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)が炭素数20~24の高級アルコールである請求項1に記載の油性化粧料
。
【請求項3】
前記成分(D)がワセリンである請求項1または2に記載の油性化粧料。
【請求項4】
前記成分(E)が下記の表面被覆処理剤(a)及び(b)により表面被覆処理された粉体
である請求項1~3のいずれかの項に記載の油性化粧料。
(a)下記一般式(1)で示される両末端反応性ジオルガノポリシロキサン
R
1R
2
2SiO-(R
2
2SiO)L-SiR
1R
2
2 (1)
(式中、各R1は水酸基を表し、各R2はそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素
基を表し、Lは3~10,000のいずれかの整数を表す)及び、
(b)下記一般式(2)で示されるアミノ基含有シラン化合物
R
3R
4mSiX
(3-m) (2)
(式中、R
3は少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1~20の炭化水素基を表し、
R4は炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数1~4のアルコキシ基を表し、mは
0または1である)
【請求項5】
さらに成分(F)シリコーン樹脂を含有する請求項1~4のいずれかの項に記載の油性化
粧料。
【請求項6】
口唇化粧料である請求項1~5のいずれかの項に記載の油性化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料関するものである。
【背景技術】
【0002】
口紅、チークやアイシャドウ等は、塗布部に色彩を付与し、華やかな印象に仕上げるといった化粧効果を持つものである。これらは、発色の良さや化粧持ちの良さの点から油性化粧料で提供されるものも多い。近年は、使用感や発色等の機能に関して様々な効果が求められており、油性化粧料もその主な構成成分である、ワックス、油剤、及び粉体に関して検討がなされている。例えばマイクロクリスタリンワックスとデキストリン脂肪酸エステル、トリメチルシロキシケイ酸を配合することで、化粧持続性や、塗布時の伸びや滑らかさに優れたペースト状口唇化粧料に関する技術(特許文献1)や、炭化水素系ワックスとデキストリン脂肪酸エステル、炭化水素油や極性油を特定比率で含有し、仕上がり時の艶のある口唇化粧料に関する技術(特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-101550号公報
【文献】特開2014-034522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や2のようなデキストリン脂肪酸エステルと特定のワックスを組み合わせることで塗布時の伸びや滑らかさを向上させる技術においては、ワックスの融点が低くなるにつれ、軽く滑らかな使用感や高温安定性が損なわれたり、またワックスの配合量が多くなるにつれ、伸び広がりが重く、負担感を生じる傾向があるなど、満足のいくものが得られなかった。
従って本発明の課題は、べたつきのない軽くなめらかな使用感を有し、色持ちに優れ、高温安定性が良い油性化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油性化粧料において、ワックスとデキストリン脂肪酸エステル、高級アルコール、25℃でペースト状の非極性油、アミノ基を有する化合物で表面処理された粉体を組み合わせて使用することにより、軽く滑らかな使用感、色持ち、高温安定性に優れた油性化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は次の成分(A)~(E)
(A)ワックス
(B)糖脂肪酸エステル
(C)高級アルコール
(D)25℃でペースト状の非極性油
(E)アミノ基を有する化合物で表面処理された粉体
を含有し、成分(C)と(D)の含有量の合計が10~45質量%であり、成分(C)と(D)の含有量の質量割合(C):(D)が1:1~6である油性化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、油性化粧料に関し、特に、べたつきのない軽くなめらかな使用感を有し、色持ちが良い化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味し、特に記載がない場合の「%」は「質量%」を指すものとする。
【0009】
本発明における成分(A)ワックスは、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、合成炭化水素系、天然及び合成ロウ系のいずれでも良い。その融点はべたつきのない軽い使用感と高温安定性の点において、70℃以上のものが好ましく、更に好ましくは80℃以上である。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライトワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、ライスワックス、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でもフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラワックスがべたつきのない軽い使用感と高温安定性の点で好ましく用いられる。
【0010】
本発明において成分(A)の含有量は、特に限定されないが5~25%が好ましく、更には10~15%が好ましい。この範囲であればべたつきのなさ、軽い使用感、高温安定性の点においてより好ましい。
【0011】
本発明における成分(B)糖脂肪酸エステルは、通常化粧料に使用できるものであればいずれも使用できる。例えば、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステルを挙げることができる。具体的には、ラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、イソステアリン酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース等のショ糖脂肪酸エステル、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルが挙げられるが、デキストリン脂肪酸エステルが軽い使用感、高温安定性の点において好ましく用いられる。中でもミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリンが好ましく、これらの市販品としては、レオパールKL2、レオパールTL2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0012】
成分(B)の含有量は、特に限定されないが、特に限定されないが0.1~10%が好ましく、更に好ましくは0.5~5%、さらに好ましくは1~3%である。この範囲であればべたつきのなさ、軽い使用感の点においてより好ましい。
【0013】
本発明における成分(C)高級アルコールは、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。成分(C)は、炭素数は20~24の液状であることが好ましく、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノールがべたつきのない軽い使用感と色持ちの向上の点で好ましく用いられる。
【0014】
成分(C)の含有量は、特に限定されないが1~20%が好ましく、更に好ましくは5~15%である。この範囲であればべたつきのなさ、軽い使用感、色持ちの向上の点においてより好ましい。
【0015】
本発明における成分(D)25℃でペースト状の非極性油は、炭化水素等の非極性油であり、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、パラフィン、ワセリン等を挙げることができる。成分(D)は融点30~60℃のものであると、色持ちの向上の点で好ましく、ワセリンが潤いを与える点で好ましい。成分(D)の含有量は、特に限定されないが10~30%が好ましく、更に好ましくは15~25%である。この範囲であれば色持ちの向上の点においてより好ましい。
【0016】
本発明の油性化粧料は、成分(C)と(D)を合計で10~45%含有し、その質量割合は(C):(D)が1:1~6である。(C)と(D)の含有量が45%を超えると高温安定性に欠け、10%を下回ると色持ちに満足ができない。
【0017】
本発明における成分(E)は、アミノ基を有する化合物で表面を処理した粉体である。アミノ基を有する化合物としては、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えばグルタミン酸、グリシン、セリン等のアミノ酸や、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ジラウロイウルグルタミン酸リシン塩、テアニン等のアミノ酸誘導体、アモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ変性シラン等を挙げることができる。成分(E)は、アミノ基を有する化合物と他の成分との混合物で表面を被覆されたものであってもかまわない。アミノ基を有する化合物は、肌への親和性が高く、粉体に処理することで粉体の付着を良くすることができる。
【0018】
成分(E)としては、下記表面被覆処理剤(a)及び下記表面被覆処理剤(b)で表面処理した粉体が、色持ちの点で特に好ましく用いられる。
表面被覆処理剤(a)は、両末端反応性ジオルガノポリシロキサンであり、下記一般式(1)で示される両末端ヒドロキシシリル基変性シリコーンである。
R1R2
2SiO-(R2
2SiO)L-SiR1R2
2 (1)
(式中、各R1は水酸基を表し、各R2はそれぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基を表し、Lは3~10,000のいずれかの整数を表す)
表面被覆処理剤(b)は、アミノ基含有シラン化合物であり、下記一般式(2)で示されるものである。
R3R4mSiX(3-m) (2)
(式中、R3は少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1~20の炭化水素基を表し、R4は炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数1~4アルコキシ基を表し、mは0または1である)
(b)の好ましい例としては、特に限定されないが、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。
【0019】
成分(E)におけるアミノ基を有する化合物の粉体への処理量は、肌への感触の良さの点において、粉体を100質量部として0.5~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。本発明の油性化粧料においては、アモジメチコンや、前記表面被覆処理剤(a)及び表面被覆処理剤(b)で表面処理した粉体が色持ちの点において好ましく、前記表面被覆処理剤(a)及び表面被覆処理剤(b)で表面処理した粉体がより好ましい。
【0020】
成分(E)の表面を処理する方法しては、特に限定されるものではなく、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、直接粉体と混合する方法(乾式処理法)や、アミノ基を有する化合物を水、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ヘキサン、軽質イソパラフィン、イソドデカン、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いる方法(湿式法)が挙げられる。更に、気相法、メカノケミカル法等も挙げることができる。また、表面処理を施した市販品を用いることもできる。例えばステアロイルグルタミン酸2Naで表面処理した粉体としてNAI-タルクJA-13R、NAI-チタンCR-50、NAI-ブラックBL-100P(以上、三好化成社製)や、粉体のラウロイルリジン表面処理LL処理(大東化成社製)、アモジメチコンで表面処理した粉体としてY-2300WA3(ヤマグチマイカ社製)、両末端ヒドロキシシリル基変性シリコーンであるジメチコノールとアミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した粉体としてSE-TA-EX、SE-MA-23(以上、三好化成社製)等を用いることができる。
【0021】
本発明の油性化粧料における、成分(E)の含有量は特に限定されないが、1~15%、更に好ましくは5~10%である。この範囲であると、化粧料の色持ちの点において好ましい。
【0022】
更に、本発明には成分(F)シリコーン系被膜形成樹脂を含有すると、色持ちや化粧持続性が更に向上するため好ましい。成分(F)としては、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル変性シリコーン、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸等を挙げることができる。中でもトリメチルシロキシケイ酸が、色持ちの点において好ましく用いられる。成分(F)の含有量は、特に限定されないが1~15%が好ましく、更に好ましくは5~10%である。
【0023】
本発明の油性化粧料は、上記の成分(A)~(F)の他に、通常化粧料に使用される成分、油性成分、粉体、界面活性剤、繊維、水性成分、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0024】
油性成分としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ロジン酸ペンタエリスリチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリデシル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、イソステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0025】
粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン合成金雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に成分(E)とは異なる表面処理や複合化したものを用いても良い。
【0026】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等のエステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等の非イオン界面活性剤、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、アミノ酸類、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型、レシチン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0027】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、セルロース類、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子や、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、α-トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2-ペンタジオール等が挙げられる。
【0028】
本発明の油性化粧料の製造方法は特に限定されず、一般的な製造方法を用いることができる。例えば、成分(A)~(D)、(F)を含む油性成分を加熱、均一に混合したものに成分(E)を含むその他成分を均一に混合する等して得ることができる。
【0029】
本発明の油性化粧料は、特に限定されず、アイシャドウ、アイライナー、チーク、口紅等のメークアップ化粧料に用いることができるが、口紅、リップグロス、口紅ベースコート、口紅オーバーコート、リップクリーム、リップトリートメント等の口唇化粧料に効果を発揮することができ、特に口紅、リップグロスであることが好ましい。
【0030】
本発明の口唇化粧料は、ワックス、油剤を主成分とする油性、外層を油剤の連続相とする油中水型に適用されうるが、油剤や油溶性化合物である油性成分を連続相とする、水の含有量が1%以下である実質的に水を含まない油性が好ましい。形状としては、固形状、さらにはスティック状であることが最も好ましい。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0032】
実施例1~25及び比較例1~6:油性固形口紅
下記表1~4に示す組成の油性固形口紅を下記の製造方法により製造した。得られた油性固形口紅について、以下に示す方法により、(イ)べたつきがなくなめらかな使用感(ロ)色持ちのよさ、(ハ)高温安定性について評価した。この結果も併せて表中に示す。
【0033】
【表1】
※1:SE-MA-23(三好化成社製)
※2:SE-TA-EX(三好化成社製)
※3:NAI-タルクJA-13R(三好化成社製)
※4:SILFORM FLEXBILE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアアルズ社製)
※5:精製ポリブテンHV-100F(日本ナチュラルプロダクツ社製)
【0034】
(製造方法)
A:成分(1)~(10)を100℃~110℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分(11)~(24)を加えて、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱して容器に直接流し込み、冷却後、油性固形口紅を得た。
【0035】
【0036】
【0037】
(評価方法)
下記評価項目(イ)~(ハ)の項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が各試料を唇に塗布し、下記絶対評価基準にて評点をつけ、パネル全員の評点合計を算出し、下記階判定基準により判定した。
尚、評価項目(イ)塗布時に、試料にべたつきがなくなめらかに使用できるかどうか、(ロ)は、塗布後に通常の生活をしてもらった後4時間後に色の持ちを評価した。(ハ)は50℃で1週間放置した各試料を目視にて観察し、試料の表面に発汗が見られなかったかどうかを評価した。
【0038】
<評価項目>
(イ)べたつきがなくなめらかな使用感
(ロ)色持ちのよさ
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
4点:非常によい
3点:よい
2点:やや悪い
1点:悪い
<判定基準>
(判定):(評点の合計)
◎ :3.5点以上
〇 :2.5~3.5点未満
△ :1.5~2.5点未満
× :1.5点未満
【0039】
<評価項目>
(ハ)高温安定性
<絶対評価基準>
<判定基準>
(判定):(評点の合計)
〇:表面に発汗が観察されない
×:表面に発汗が観察された
【0040】
表から明らかなごとく、本発明の実施例1~25は、軽べたつきがなくなめらかな使用感、色持ちのよさ、高温安定性すべての評価項目において優れた良好なものであった。
一方、成分(C)を含有しない比較例1や、成分(E)を含有しない比較例5,6は色持ちの点で満足がいくものではなく、成分(C)と(D)の含有量が少ない比較例2は色持ちの点で、含有量が多い比較例4は高温安定性の点で劣るものであった。また、(C)と(D)の含有割合が外れる比較例3は色持ちや高温安定性に満足のいくものではなかった。
【0041】
実施例26:油性スティック状リップグロス
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス※6 4
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点90~99℃) 3
3.マイクロクリスタリンワックス(融点76~82℃) 2
4.2-エチルヘキサン酸セチル 5.5
5.ポリブテン(98.9℃での粘度4600mm2/s) 5
6.重質流動イソパラフィン(98.9℃での粘度800mm2/s) 5
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル
/フィトステリル/ベヘニル) 5
8.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 5
9.メチルフェニルポリシロキサン 5
10.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※2 5
11.テトライソステアリン酸ジグリセリル 5
12.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
13.リンゴ酸ジイソステアリル 9
14.オクチルドデカノール 5.5
15.ワセリン 10
16.パルミチン酸デキストリン 0.1
17.2,6-ジ-ターシャリーブチル-パラクレゾール 0.1
18.シリル化処理無水ケイ酸 1
19.赤色202号 0.5
20.赤色104号 0.5
21.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)※7 2.5
22.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム
・エポキシ積層末※8 1
23.雲母チタン※9 2.5
24.ジメチコノール及びアミノプロピルトリエトキシシラン
5%処理マイカ※1 5
25.酢酸トコフェロール 0.1
26.香料 0.1
※6:CIREBELLE108(融点79~84℃、CIREBELLE社製)
※7:メタシャイン1080RC-Y(日本板硝子社製)
※8:アルミフレークシルバー0.15mm(角八魚燐箔社製)
※9:TIMICA EXTRA BRIGHT 1500(BASF社製)
(製造方法)
A:成分(1)~(16)を100~110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(17)~(26)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱して口紅容器に直接流し込み、冷却後、リップグロスを得た。
実施例26のリップグロスは、軽い使用感、なめらかな伸び広がり、付着性の良さ、膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。
【0042】
実施例27:金皿流し込み油性リップグロス
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス※10 3
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点90~99℃) 4
3.マイクロクリスタリンワックス(融点76~82℃) 1
4.2-エチルヘキサン酸セチル 10
5.パルミチン酸デキストリン 0.5
6.重質流動イソパラフィン
(98.9℃での粘度4700mm2/s) 1
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/
フィトステリル/ベヘニル) 15
8.ジメチルポリシロキサン 5
9.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※11 10
10.ワセリン 10
11.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
12.リンゴ酸ジイソステアリル 5
13.デシルテトラデカノール 15
14.パルミチン酸デキストリン 1
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
16.酸化亜鉛 1
17.ジメチコノール及びアミノプロピルトリエトキシシラン
5%処理マイカ※1 5
18.撥水撥油性ベンガラ被覆雲母チタン※12 5
19.ローズマリーエキス 0.1
20.精製水 0.1
※10:CIREBELLE109(融点91~96℃、CIREBELLE社製)
※11:PLANDOOL-H(日本精化社製)
※12:クロイゾネルージュフランベ(BASF社製)2%パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩処理
(製造方法)
A:成分(1)~(14)を100~110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(15)~(20)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱して金皿に流し込み、冷却後、口紅を得た。
実施例27のリップグロスは、軽い使用感、なめらかな伸び広がり、付着性、膜の均一性、化粧膜の持続性、すべての評価項目において優れた良好なものであった。
【0043】
実施例28:油性固形リップクリーム
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス※6 3
2.マイクロクリスタリンワックス(融点76~82℃) 7
3.キャンデリラロウ(融点:70~75℃) 2
4.流動パラフィン 5
5. ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 5
6.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※2 5
7.テトライソステアリン酸ジグリセリル 5
8.デシルテトラデカノール 15
9.ワセリン 20
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
11.イソステアリルアルコール 2
12.パルミチン酸デキストリン 0.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
14.ジメチコノール及びアミノプロピルトリエトキシシラン
5%処理マイカ※1 5
15.酸化亜鉛 1
16.ベンガラ 0.1
17.メタクリル酸メチルクロスポリマー粉体※13 5
18.天然ビタミンE 0.1
19.アルニカエキス 0.1
※13:マツモトマイクロスフェアーM-305(平均粒子径8μm、松本油脂製薬社製)
(製造方法)
A:成分(1)~(12)を100~110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(13)~(19)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱して口紅容器に流し込み、冷却後、リップクリームを得た。
実施例28のリップクリームは、軽い使用感、なめらかな伸び広がり、付着性の良さ、膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。
【0044】
実施例29:W/O型スティック状口紅
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス※6 5
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点90~99℃) 1
3.マイクロクリスタリンワックス(融点84℃) 4
4.2-エチルヘキサン酸セチル 10
5.オクチルドデカノール 15
6.ワセリン 10
7.トリメチルシロキシケイ酸 2
8.重質流動イソパラフィン 2
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 3
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 5
11.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※2 5
12.酢酸液状ラノリン 5
13.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
14.パルミチン酸デキストリン 0.1
15.精製水 10
16.1.3-ブチレングリコール 1
17.グリセリン 4
18.レシチン処理タルク 2
19.ジメチコノール及びアミノプロピルトリエトキシシラン
5%処理タルク※2 5
20.メタクリル酸メチルクロスポリマー粉体 2.5
21.ポリエチレンテレフタレート粉体 2.5
22.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al) 1
23.赤色226号 1
24.酸化チタン 1
25.黒酸化鉄 0.1
26.雲母チタン 0.1
27.ハチミツ 0.1
(製造方法)
A:成分(1)~(14)を100~110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(18)~(27)を加え、均一に混合分散する。
C:成分(15)~(17)を均一に混合する
D:Aを加温し、(C)を加え、混合する。
E:Dを脱泡後、90℃に加熱して口紅容器に直接流し込み、冷却後、スティック状口紅を得た。
実施例29のスティック状口紅は、軽い使用感、なめらかな伸び広がり、付着性、膜の均一性、化粧膜の持続性、すべての評価項目において優れた良好なものであった。
【0045】
実施例30:油性固形チーク
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス※6 3
2.マイクロクリスタリンワックス(融点76~82℃) 7
3.(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点90~99℃) 1
4.キャンデリラロウ(融点:70~75℃) 2
5.流動パラフィン 5
6. ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 5
7.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※2 5
8.テトライソステアリン酸ジグリセリル 7.5
9.デシルテトラデカノール 7.5
10.ワセリン 15
11.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
12.イソステアリルアルコール 2
13.パルミチン酸デキストリン 0.1
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
15.ジメチコノール及びアミノプロピルトリエトキシシラン
5%処理マイカ※1 10
16.酸化亜鉛 2
17.ベンガラ 2
18.赤202 0.5
19.メタクリル酸メチルクロスポリマー粉体※13 5
20.天然ビタミンE 0.1
21.油溶性ローズマリー 0.1
(製造方法)
A:成分(1)~(13)を100~110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(13)~(21)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱して容器に流し込み、冷却後、チークを得た。
実施例30のチークは、軽い使用感、なめらかな伸び広がり、付着性の良さ、膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。