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特許7553270建具設置構造及び建具設置構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】建具設置構造及び建具設置構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/52 20060101AFI20240910BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240910BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20240910BHJP
   E04H 1/12 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
E06B1/52
E04B2/74 561A
E06B1/56 Z
E04H1/12 301
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020096943
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021188447
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寿朗
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-270239(JP,A)
【文献】特開2017-179722(JP,A)
【文献】特開平07-139262(JP,A)
【文献】実開平01-168786(JP,U)
【文献】特開平11-131649(JP,A)
【文献】特開2015-034413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/52,1/56
E06B 3/00
E04B 2/74
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の両側に設けられた第一のパネル及び第二のパネルと、
前記開口部を保持して前記第一のパネルと前記第二のパネルに跨るスペーサと、
横断面凹状の側枠本体と、この側枠本体の前記横断面凹状の形状による凹状部分としての開口を閉鎖するカバー部材とから構成される側枠と、
を備え、
前記スペーサは、その一端側が前記第一のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されるとともに、他端側が前記第二のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されており、
前記スペーサは、前記第一のパネルの上端側から前記第二のパネルの上端側にわたる上枠部材と、前記上枠部材の一端側から下方へ延設されて前記第一のパネルの前記取付部に接続される下向き片部と、前記上枠部材の他端側から下方へ延設されて前記第二のパネルの前記取付部に接続される下向き片部とを備え、
前記第一のパネルの前記取付部には、前記スペーサの一端側の前記下向き片部が、前記側枠本体を間に介在するようにして止着されるとともに、前記側枠本体に前記カバー部材が嵌め合わされており、
前記第二のパネルの前記取付部には、前記スペーサの他端側の前記下向き片部が、前記側枠本体を間に介在するようにして止着されるとともに、前記側枠本体に前記カバー部材が嵌め合わされていることを特徴とする建具設置構造。
【請求項2】
前記取付部は、前記第一のパネルの前記開口部側の側面と、前記第二のパネルにおける前記開口部側の側面に、それぞれ設けられ、
前記スペーサは、両側の前記取付部の間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の建具設置構造。
【請求項3】
前記開口部を開閉するドアパネルを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の建具設置構造。
【請求項4】
前記第一のパネルの前記取付部に前記スペーサの一端側を止着する工程と、この工程の後に、前記スペーサの他端側に前記第二のパネルの前記取付部を止着する工程とを含むことを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の建具設置構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトイレブース等、出入口となる開口部をドアパネルによって開閉するようにした建具設置構造、及び建具設置構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば、特許文献1に記載されるように、開口部の両側に設けられた戸先パネル及び戸尻パネルと、前記開口部を開閉するように前記戸尻パネルに蝶番を介して吊られたドアパネルとを具備したものがある。
このような従来の建具設置構造では、前記開口部の横幅(開口寸法)が設計寸法として予め設定されている。施工作業において、作業者等は、戸尻パネルを壁等に固定した後、メジャー等の測定具を用いて前記開口寸法を測定し設計寸法に確保しながら、前記戸先パネルを壁等に固定する。そして、この後に、戸尻パネルと戸先パネルの間に、ドアパネルを嵌め合わせて吊るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-27100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、前記開口寸法を測定し設計寸法に確保する工程において、計測ミスや作業ミス等に起因して、前記開口寸法が、予め設定された設計寸法と異なってしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
開口部の両側に設けられた第一のパネル及び第二のパネルと、前記開口部を保持して前記第一のパネルと前記第二のパネルに跨るスペーサと、横断面凹状の側枠本体と、この側枠本体の前記横断面凹状の形状による凹状部分としての開口を閉鎖するカバー部材とから構成される側枠と、を備え、前記スペーサは、その一端側が前記第一のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されるとともに、他端側が前記第二のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されており、前記スペーサは、前記第一のパネルの上端側から前記第二のパネルの上端側にわたる上枠部材と、前記上枠部材の一端側から下方へ延設されて前記第一のパネルの前記取付部に接続される下向き片部と、前記上枠部材の他端側から下方へ延設されて前記第二のパネルの前記取付部に接続される下向き片部とを備え、前記第一のパネルの前記取付部には、前記スペーサの一端側の前記下向き片部が、前記側枠本体を間に介在するようにして止着されるとともに、前記側枠本体に前記カバー部材が嵌め合わされており、前記第二のパネルの前記取付部には、前記スペーサの他端側の前記下向き片部が、前記側枠本体を間に介在するようにして止着されるとともに、前記側枠本体に前記カバー部材が嵌め合わされていることを特徴とする建具設置構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開口寸法を確保する作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具設置構造の一例を示す正面図である。
図2】同建具設置構造の上面図である。
図3図1の(III)-(III)線に沿う断面図である。
図4】スペーサの一例を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
図5】本発明に係る建具設置構造の施工方法の一例を示す正面図であり、(a)は第一のパネルに側枠本体を装着している様子を示し、(b)は第一のパネルにスペーサを装着している様子を示す。
図6】本発明に係る建具設置構造の施工方法の一例を示す正面図であり、(c)は、第一のパネルに固定されたスペーサに第二のパネルを装着している様子を示し、(d)は、カバー部材及び連設上枠等を装着している様子を示す。
図7】第一のパネルと第二のパネルの間にドアパネルを装着している様子を示す正面図である。
図8】同建具設置構造の要部断面図であり、(a)は第一のパネルに側枠本体及び下向き片部を装着している様子を示し、(b)は側枠本体にカバー部材を装着している状態を示す。
図9】本発明に係るドア設置構造の施工方法の他例を示す正面図であり、(a)は第一のパネルにスペーサ及び仮下枠部材を装着している様子を示し、(b)は第一のパネルに固定されたスペーサ及び仮下枠部材に第二のパネルを装着している様子を示す。
図10】本発明に係る建具設置構造の施工方法の他例を示す正面図であり、(c)は第一のパネルと第二のパネルの間にスペーサ及び仮下枠部材を装着した状態を示し、(d)は仮下枠部材が外される様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、開口部の両側に設けられた第一のパネル及び第二のパネルと、前記開口部を保持して前記第一のパネルと前記第二のパネルに跨るスペーサとを備え、前記スペーサは、その一端側が前記第一のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されるとともに、他端側が前記第二のパネルの所定位置に設けられた取付部に止着されている(図1図10参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記取付部は、前記第一のパネルの前記開口部側の側面と、前記第二のパネルにおける前記開口部側の側面に、それぞれ設けられ、前記スペーサは、両側の前記取付部の間に設けられている(図1図10参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記スペーサは、前記第一のパネルの上端側から前記第二のパネルの上端側にわたる上枠部材と、前記上枠部材の一端側から下方へ延設されて前記第一のパネルの前記取付部に接続される下向き片部と、前記上枠部材の他端側から下方へ延設されて前記第二のパネルの前記取付部に接続される下向き片部とを備える(図1図3図10参照)。
【0011】
第四の特徴として、前記開口部を開閉するドアパネルを具備する(図1図3及び図7参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記第一のパネルの前記取付部に前記スペーサの一端側を止着する工程と、この工程の後に、前記スペーサの他端側に前記第二のパネルの前記取付部を止着する工程とを含む(図5及び図6参照)。
【0013】
第六の特徴として、開口部の両側に設けられた第一のパネル及び第二のパネルと、前記開口部を保持して前記第一のパネルと前記第二のパネルに跨るスペーサとを備えた建具設置構造の施工方法であって、前記スペーサは、前記第一のパネルの上端側から前記第二のパネルの上端側にわたる上枠部材と、前記上枠部材の一端側から下方へ延設された下向き片部と、前記上枠部材の他端側から下方へ延設された下向き片部と、前記一端側の下向き片部の下端側と前記他端側の下向き片部の下端側との間に接続された仮下枠部材とを備え、前記第一のパネルの開口部側の側面に前記スペーサの一方の下向き片部を止着する工程と、この工程の後に、前記スペーサの他方の下向き片部に前記第二のパネルを止着する工程と、この工程の後に、前記仮下枠部材を両側の前記下向き片部から外す工程とを含む(図9図10参照)。
【0014】
第七の特徴として、前記施工方法において、前記開口部を開閉するドアパネルを設置する工程を含む。
【0015】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る建具設置構造の一例を示す。
この建具設置構造Aは、開口部Xの両側に設けられた第一のパネル10及び第二のパネル20と、開口部Xを保持して第一のパネル10と第二のパネル20に跨るスペーサ30と、開口部Xを開閉するドアパネル40とを具備し、例えばトイレブースの一部を構成する。
【0017】
第一のパネル10は、硬質材料(例えば、合成樹脂材料や金属、木材等)によって矩形平板状に形成され、直立させるようにして、床面や壁面等の周囲の不動部位に固定される。
【0018】
第一のパネル10のドアパネル40側の端部には、上下方向へわたる長尺状の側枠50が装着される(図1及び図3参照)。
この側枠50は、横断面凹状の側枠本体51と、この側枠本体51の開口を閉鎖するカバー部材52とから構成される(図8参照)。
【0019】
側枠本体51は、開口部X側(図示の左側)を開口した横断面凹状に形成され、上下方向へ連続している。この側枠本体51における戸厚方向の一方側の縁部51aは、他方側の縁部51bよりも突出して、ドアパネル40の戸尻側に形成される隙間を覆う。
この側枠本体51は、図8(a)(b)に示すように、その凹状部分に挿入される止着具53(例えば、ネジやボルト、リベット等)によって、第一のパネル10の開口部X側の端面に止着される。なお、他例としては、側枠本体51を、嵌合や溶接、接着等、他の止着手段によって第一のパネル10に固定するようにしてもよい。
【0020】
カバー部材52は、上下方向へ長尺な略板状に形成され、側枠本体51の凹状部分を塞ぐようにして、側枠本体51に対し着脱可能に嵌め合わせられる。
【0021】
第二のパネル20は、第一のパネル10と同様に、硬質材料によって矩形平板上に形成される。この第二のパネル20は、第一のパネル10との間に開口部Xを置いて直立し、床面や壁面等の周囲の不動部位に固定される。
【0022】
この第二のパネル20の開口部X側の端部には、上下方向へわたる長尺状の側枠60が装着される。側枠60は、上述した側枠50と左右対称形状の部材であり、縁部61a,61bを有する側枠本体61、カバー部材62等によって構成され(図3参照)、止着具53によって第二のパネル20に止着される。
【0023】
スペーサ30は、横幅方向の一端側が第一のパネル10の所定位置に設けられた取付部10aに止着されるとともに、他端側が第二のパネル20の所定位置に設けられた取付部20aに止着されて、これら両取付部10a,20aの間に位置する。
【0024】
取付部10aは、図示例によれば、第一のパネル10の開口部X側の側面において、上端寄りに確保された平坦面状の部分である。同様に、取付部20aは、第二のパネル20の開口部X側の側面において、上端寄りに確保された平坦面状の部分である。
【0025】
スペーサ30は、下方側に開口部Xを確保するようにして第一のパネル10の上端部から第二のパネル20の上端部に跨る上枠部材31と、上枠部材31の一端側から下方へ延設されて第一のパネル10の取付部10aに接続される下向き片部32と、上枠部材31の他端側から下方へ延設されて第二のパネル20の取付部20aに接続される下向き片部33とを具備し、当該建具設置構造Aを現場等に搬入する前の段階(例えば工場での製造段階)で一体的に組み立てられる。
する(図4参照)。
【0026】
上枠部材31は、図示例によれば、横幅方向へ連続する縦断面凹状の部材であり、金属や合成樹脂、木材等の硬質材料によって形成される。
【0027】
上枠部材31の左右両側には、上枠部材31に連続するようにして連設受枠31a,31bが接続される(図1及び図6(d)参照)。
一方の連設受枠31aは、上枠部材31の一端側に対し、その内側に嵌められるようにして接続され、第一のパネル10の上端部に、図示しない止着手段(例えば、ねじ止め、リベット止め、嵌合、接着、溶着等)によって固定される。
同様に、他方の連設受枠31bは、上枠部材31の他端側に対し、その内側に嵌められるようにして接続され、第二のパネル20の上端部に、図示しない止着手段(例えば、ねじ止め、リベット止め、嵌合、接着、溶着等)によって固定される。
これら連設受枠31a,31bは、第一のパネル10及び第二のパネル20の上端高さを略均一にして、当該建具設置構造Aの意匠性及び強度等を向上する。
【0028】
また、一方の下向き片部32は、上枠部材31の一端側から下方へ延設された平板状の部位であり、図示例によれば、上枠部材31の下端面に止着されたL字状部材の一片である。この下向き片部32は、側枠本体51を挟み込むようにして、第一のパネル10の側端面に止着具53によって止着される。
【0029】
同様に他方の下向き片部33は、上枠部材31の他端側から下方へ延設された平板状の部位であり、図示例によれば、上枠部材31の下端面に止着されたL字状部材の一片である。この下向き片部33は、側枠本体61を挟み込むようにして、第二のパネル20の側端面に止着具53によって止着される。
【0030】
ドアパネル40は、硬質材料(例えば、合成樹脂材料や金属、木材等)によって矩形平板状に形成され、開口部Xを塞ぐようにして、第一のパネル10、第二のパネル20及びスペーサ30等で囲まれた内側の空間に嵌め合わせられる。
このドアパネル40の横幅方向の一端側は、軸支部材41(図3参照)を介して、上枠部材31や床面等の不動部位に対し、回転自在に枢支される。
【0031】
<施工方法及び作用効果>
次に、上記構成の建具設置構造Aについて、その施工方法上の特徴を詳細に説明する。
建具設置構造Aの施工方法では、先ず、第一のパネル10を、当該建具設置構造Aの設置対象である構築物の不動部位(例えば、床面や壁面等)に固定して直立させる。この際、第一のパネル10は、直接、前記不動部位に止着してもよいし、他の壁や部材等を介して前記不動部位に止着するようにしてもよい。
【0032】
次に、図5(a)に示すように、前記工程によって直立した第一のパネル10の開口部X側の端面に、側枠本体51が止着具53によって止着固定される。なお、この側枠本体51は、第一のパネル10の止着固定前に予め装着しておいてもよい。
【0033】
そして、図5(b)に示すように、第一のパネル10の取付部10aに、スペーサ30の一端側の下向き片部32が、側枠本体51を間に介在するようにして止着される。
【0034】
この後、図6(c)に示すように、スペーサ30の他端側の下向き片部33に対し、側枠本体61を介在するようにして、第二のパネル20の取付部20aが止着される。なお、側枠本体61は、予め、第二のパネル20に止着しておく。
【0035】
次に、図6(d)に示すように、スペーサ30の両側に、それぞれ連設受枠31a,31bが装着され、さらに、開口部Xの両側の側枠本体51,61に、それぞれカバー部材52,62が嵌め合わせられる。そして、開口部Xを閉鎖するようにして、ドアパネル40が、第一のパネル10と第二のパネル20の間に装着される。
【0036】
よって、上記構成及びその施工方法によれば、第一のパネル10の取付部10aと、第二のパネル20の取付部20aとの間に、スペーサ30が挟まれるようにして位置する。このため、第一のパネル10と第二のパネル20の間の開口部Xの横幅寸法が、予め設定された設計寸法と異なってしまうようなことを防ぐことができ、計測ミスや作業ミス等を軽減して施工性を向上することができる。
【0037】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係る建具設置構造の他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上記建具設置構造Aの一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、同様の構成については重複する説明を省略する。
【0038】
図9図10に示す建具設置構造Bは、上記建具設置構造Aに対し、スペーサ30をスペーサ30’に置換し、仮下枠部材34を加えたものである。
【0039】
スペーサ30’は、上記スペーサ30において下向き片部32,33を、下向き片部32’,33’に置換したものである。
下向き片部32’,33’は、それぞれ、上記下向き片部32,33の下端側を、開口部Xの下半部側(言い換えれば、開口部Xの高さ方向の中央部よりも下側)へ延設したものである。
【0040】
仮下枠部材34は、硬質材料から横幅方向へわたる長尺片状に形成され、その両端部側に、上方へ曲げられた接続片部34a,34aを有する。
両側の接続片部34a,34aは、それぞれ、下向き片部32’の下端側と下向き片部33’の下端側に重ね合わせられ、着脱可能に接続される。この接続手段は、例えば、ねじ止めや着脱可能な嵌合等とすればよい。
【0041】
上記構成の建具設置構造Bは、以下の手順で施工される。
先ず、上記建具設置構造Aと同様にして、第一のパネル10に側枠本体51が装着される。この後、図9(a)に示すように、第一のパネル10に対し、側枠本体51を介在するようにして、スペーサ30’の一方の下向き片部32’が止着される。
詳細に説明すれば、スペーサ30’の下向き片部32’が側枠本体51の凹状部分に挿入され、下向き片部32’及び側枠本体51に止着具53が挿通され、止着具53の先端側が第一のパネル10にねじ込まれる。
【0042】
次に、図9(b)~図10(c)に示すように、第一のパネル10に固定されたスペーサ30’の他方の下向き片部33’に対し、予め側枠本体61を装着した第二のパネル20が止着される。
詳細に説明すれば、スペーサ30’の下向き片部33’に側枠本体61の凹状部分が嵌め合わせられ、下向き片部33’及び側枠本体61に止着具53が挿通され、止着具53の先端側が第二のパネル20にねじ込まれる。
【0043】
次に、図10(d)に示すように、両側の下向き片部32’,33’から仮下枠部材34が外される。
そして、この後は、上記建具設置構造Aと同様にして、ドアパネル40、連設受枠31a,31b、カバー部材52,62等が装着される。
【0044】
よって、図9図10に示す建具設置構造Bによれば、施工中にスペーサ30’に加わる外力等によって、スペーサ30’が変形するのを仮下枠部材34によって抑制することができ、ひいては、第一のパネル10と第二のパネル20の間隔を上下方向にわたって略均等にし、品質の向上をはかることができる。
【0045】
<変形例>
なお、上記実施態様によれば、スペーサ30を上枠部材31及び下向き片部32,33等を複数の部材から構成したが、スペーサ30の他例としては、上枠部材31及び左右の下向き片部32,33を一体に有する逆さ凹状の一体部材とすることも可能である。
【0046】
また、上記実施態様によれば、スペーサ30を上枠部材31及び下向き片部32,33を有する逆さ凹状に構成したが、このスペーサの他例としては、上記スペーサ30から上枠部材31及び下向き片部33を省き、上枠部材31の両端部をそれぞれ第一のパネル10の取付部10aと第二のパネル20の取付部20aに止着する態様とすることも可能である。
【0047】
また、上記実施態様によれば、スペーサ30は側枠50,60を介して第一のパネル10と第二のパネル20に接続するようにしたが、他例としては、側枠50,60を省いて、スペーサ30を第一のパネル10と第二のパネル20に対し直接接続するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい態様として、スペーサ30の両端部をそれぞれ第一のパネル10の開口部X側の端面と、第二のパネル20の開口部X側の端面に止着したが、他例としては、スペーサ30の両端部を、第一のパネル10の上端部と第二のパネル20の上端部等、図示例以外の所定箇所に止着する態様とすることも可能である。
【0049】
また、上記建具設置構造A,Bは、特にトイレブースを構成するのに好適なものであるが、他例としては、移動間仕切りや可動間仕切り、その他の建具設置構造等に適用することも可能である。
【0050】
また、上記実施態様によれば、好ましい一例として、ドアパネル40を具備したが、他例としては、ドアパネル40を省き、開放された開口部Xを有する態様、上記ドアパネル40に置換して引戸や折戸等を設置した態様、あるいは、上記ドアパネル40に置換してカーテンや垂幕等を設置した態様等とすることも可能である。
【0051】
なお、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
10:第一のパネル
10a:取付部
20:第二のパネル
30,30’:スペーサ
31:上枠部材
32,32’:下向き片部
33,33’:下向き片部
34:仮下枠部材
20a:取付部
40:ドアパネル
A,B:建具設置構造
X:開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10