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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020140834
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036560
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明日実
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-031075(JP,A)
【文献】特開2003-161046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
E06B 1/00 - 1/70
E06B 3/00 - 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕事を行うための仕事室を備える住宅であって、
前記仕事室は、前記住宅の角部に設けられ、
前記仕事室の四方を囲む4つの壁部には、前記仕事室を屋外と仕切る2つの外壁部と、前記仕事室をその隣室と仕切る2つの間仕切壁部とが含まれており、
前記2つの間仕切壁部には、それら両間仕切壁部に跨って開口部が形成され、
その開口部には、前記仕事室から前記隣室を見通し可能とする平面視L字状の窓パネルが嵌め込まれており、
前記窓パネルは、前記2つの間仕切壁部のうち一方に設けられた第1パネル部と、他方に設けられた第2パネル部とを有しており、
前記隣室は、リビングとダイニングとキッチンとが連続したLDK空間であり、
前記LDK空間は、前記窓パネルが設けられた前記2つの間仕切壁部に沿って平面視L字状に形成されており、
前記リビングは、前記第1パネル部を挟んで前記仕事室と隣接し、
前記キッチンは、前記第2パネル部を挟んで前記仕事室と隣接し、
前記仕事室には、デスクが設置されており、
前記デスクは、当該デスクの前方に前記第1パネル部が位置し、かつ当該デスクの側方に前記第2パネル部が位置するように配置され、
前記第1パネル部は、その横幅が前記第2パネル部の横幅よりも大きくなっており、
前記デスクは、前記第1パネル部の横幅方向に延びる二人掛けであり、前記横幅方向において前記第1パネル部よりも前記第2パネル部とは反対側に延出する延出部を有しており、
前記延出部の延出長さは、前記デスクの横幅の略半分となっていることを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記2つの外壁部のうち前記仕事室を挟んで前記第2パネル部と対向する外壁部には、前記仕事室への採光が可能な採光窓部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
記第2パネル部が設けられた前記間仕切壁部には、前記仕事室と前記LDK空間との出入りを可能とする出入口が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項4】
前記LDK空間を挟んで前記仕事室とは反対側には、前記LDK空間と隣接する隣接空間が設けられ、
前記隣接空間と前記LDK空間との間には、それら両空間を連通する連通部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事を行うための仕事室を備える住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、勤務形態として、自宅で仕事を行う在宅勤務が増えている。特許文献1には、自宅で仕事を行うための仕事室を備えた住宅が開示されている。この特許文献1の住宅では、仕事室が平面視において住宅の中央部に配置されている。また、この住宅では、仕事室がリビング及びダイニングキッチンと平面視L字状の腰壁により仕切られ、その腰壁のL字内側にデスクが設けられている。かかる住宅では、デスク上で仕事をしながら、腰壁上方の開放部を通じてリビングやダイニングキッチンを見渡すことができる。そのため、仕事室で仕事をしながら、リビングで遊ぶ子供に注意を払う等、周囲に注意を払うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-161046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の住宅では、仕事室が住宅の中央部に配置されているため、仕事室には四方から話し声等の生活音が入り込むことが想定される。特に、仕事室は腰壁上方において開放されているため、その開放部を通じて生活音が仕事室に入り込み易いことが考えられる。そのため、上記特許文献1の住宅では、仕事室において集中して仕事を行うのが困難であると考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、仕事室で仕事を行うにあたり、周囲に注意を払うことができるとともに仕事に集中し易い住宅を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅は、仕事を行うための仕事室を備える住宅であって、前記仕事室は、前記住宅の角部に設けられ、前記仕事室の四方を囲む4つの壁部には、前記仕事室を屋外と仕切る2つの外壁部と、前記仕事室をその隣室と仕切る2つの間仕切壁部とが含まれており、前記2つの間仕切壁部には、それら両間仕切壁部に跨って開口部が形成され、その開口部には、前記仕事室から前記隣室を見通し可能とする平面視L字状の窓パネルが嵌め込まれていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、仕事室が住宅の角部に設けられている。仕事室をその隣室と仕切る2つの間仕切壁部には、それら両間仕切壁部に跨ってL字状の窓パネルが取り付けられている。この場合、窓パネルを介して隣室を見渡すことができるため、仕事をしながら周囲に注意を払うことが可能となる。また、窓パネルは、両間仕切壁部に形成された開口部に嵌め込まれているため、その開口部を通じて隣室から生活音(他の居住者の話し声等)が仕事室に入り込むのを抑制することができる。また、仕事室は住宅の角部に設けられているため、少なくとも屋外側の2方からは仕事室に生活音が入り込むことがない。よって、仕事室において仕事に集中し易くすることができる。
【0008】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記窓パネルは、前記2つの間仕切壁部のうち一方に設けられた第1パネル部と、他方に設けられた第2パネル部とを有しており、前記仕事室には、デスクが設置されており、前記デスクは、平面視にて、当該デスクの前方に前記第1パネル部が位置し、かつ当該デスクの側方に前記第2パネル部が位置するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、仕事室に設けられたデスク上で仕事を行う際、窓パネルの第1パネル部が前方、第2パネル部が側方に位置するため、これら各パネル部を介して隣室を見渡すことができる。これにより、デスク上で仕事をしながら、周囲に注意を払うことができる。
【0010】
第3の発明の住宅は、第2の発明において、前記2つの外壁部のうち前記仕事室を挟んで前記第2パネル部と対向する外壁部には、前記仕事室への採光が可能な採光窓部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、外壁部に設けられた採光窓部を通じて仕事室に自然光を取り込むことができる。ここで、採光窓部を第1パネル部と対向する外壁部に設ける場合、デスクで仕事を行う人の後方から自然光が取り込まれることになる。その場合、例えばデスク上でパソコンを使って仕事を行う際、ディスプレイに自然光が反射して見づらくなるといった不都合が生じる懸念がある。その点、第3の発明では、採光窓部を第2パネル部と対向する外壁部に設けたため、上記の不都合が生じるのを抑制しながら、仕事室に自然光を取り込むことができる。
【0012】
第4の発明の住宅は、第2又は第3の発明において、前記第1パネル部の横幅は、前記第2パネル部の横幅よりも大きくなっており、前記第2パネル部が設けられた前記間仕切壁部には、前記仕事室と前記隣室との出入りを可能とする出入口が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明によれば、デスク上で仕事をする際に前方に位置する第1パネル部の横幅が大きくなっているため、仕事をしながら前方を見渡し易くすることができる。この場合、例えば前方の隣室で子供を遊ばせておくことで、子供に注意を払い易くすることができる。また、デスク上で仕事する際に側方に位置する第2パネル部については横幅が小さくなっており、その第2パネル部が設けられた間仕切壁部に出入口が設けられている。この場合、各間仕切壁部の横幅が大きくなるのを抑制しながら、それら各間仕切壁部に窓パネルと出入口とを配置することができる。そのため、仕事室の小スペース化を図ることができる。
【0014】
第5の発明の住宅は、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記デスクは、前記第1パネル部の横幅方向に延びる二人掛けであり、前記横幅方向の略半分が前記第1パネル部よりも反第2パネル部側に延出していることを特徴とする。
【0015】
第5の発明によれば、第1パネル部の横幅方向に延びる二人掛けのデスクが設置されており、そのデスクの横幅方向の略半分が第1パネル部よりも反第2パネル部側に延出している。この場合、デスクの上記延出した部分で仕事をする際には、間仕切壁部に隠れた状態で仕事をすることができる。このため、特に仕事に集中したい場合には、上記延出した部分で仕事を行い、隣室に注意を払いながら仕事を行いたい場合には、それ以外の部分、つまり第1パネル部の正面で仕事を行うといったことが可能となる。
【0016】
第6の発明の住宅は、第2乃至第5のいずれかの発明において、前記隣室は、リビングとダイニングとキッチンとが連続したLDK空間であり、前記LDK空間は、前記窓パネルが設けられた前記2つの間仕切壁部に沿って平面視L字状に形成されており、前記リビングは、前記第1パネル部を挟んで前記仕事室と隣接し、前記キッチンは、前記第2パネル部を挟んで前記仕事室と隣接していることを特徴とする。
【0017】
第6の発明によれば、仕事室の隣室として、2つの間仕切壁部に沿って平面視L字状に形成されたLDK空間が設けられている。この場合、仕事室から窓パネルを介してLDK空間を広く見渡すことができる。また、デスク上で仕事を行う際には、第1パネル部を介して前方のリビングを見渡すことができるため、リビングにいる人(例えばリビングで遊ぶ子供)に注意を払い易くすることができる。また、第2パネル部を介して側方のキッチンを見渡すことができるため、キッチンで料理等しながら仕事を行う際には、キッチンに注意を払いながら仕事を行うことができる。
【0018】
第7の発明の住宅は、第6の発明において、前記LDK空間を挟んで前記仕事室とは反対側には、前記LDK空間と隣接する隣接空間が設けられ、前記隣接空間と前記LDK空間との間には、それら両空間を連通する連通部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
第7の発明によれば、LDK空間を挟んで仕事室とは反対側に隣接空間が設けられ、その隣接空間とLDK空間とが連通部を介して連通されている。この場合、仕事室からLDK空間を見渡せるだけでなく、窓パネルと連通部とを介してLDK空間の向こう側の隣接空間を見渡すことができる。そのため、より広範囲にわたって注意を払うことが可能となる。なお、隣接空間は居室空間であっても非居室空間であってもよい。
【0020】
また、上記特許文献1の住宅では、仕事室が住宅の中央部に配置されている関係で、仕事室から住宅内の広い範囲を見渡すのが難しいと考えられる。その一方、仕事室が住宅の角部に設けられている構成では、角部から隣室等(住宅内側)を見渡すことになるため、住宅内の広い範囲を見渡すことが可能となる。そのため、LDK空間に加え隣接空間をも見渡すことができるという上述の効果は、仕事室が住宅の角部に設けられた構成だからこそ得られる効果といえる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
図2】仕事室の周辺を拡大して示す平面図。
図3】仕事室をその内部から見た斜視図。
図4】他の実施形態における住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態では、住宅が、複数の建物ユニットが互いに組み合わされることで構成されるユニット式住宅となっている。建物ユニットは、柱、天井大梁及び床大梁を有して直方体状に形成され、製造工場においてあらかじめ製造されるようになっている。ユニット式建物では、製造工場で製造された各建物ユニットがトラックにより施工現場に搬送され、施工現場では、搬送された各建物ユニットが所定の設置位置に設置されることで住宅が構築されるようになっている。本実施形態では、住宅が二階建てとされており、図1にはその住宅の一階部分の間取りが示されている。以下では、この図1に基づいて、住宅10の一階部分の間取りについて説明する。なお、図1では説明の便宜上、建物ユニット20については、その柱のみ図示している。
【0023】
図1に示すように、住宅10の一階部分には、屋内空間として、玄関11と、ホール12と、LDK13と、和室14と、洗面室15と、浴室16と、トイレ17と、パントリー18と、仕事室19とが設けられている。玄関11は、住宅10の北側に設けられ、その玄関11には玄関口21が設けられている。ホール12は、玄関11の南側に連続する通路空間であり、LDK13、洗面室15及びトイレ17に通じている。また、ホール12には、二階部分に通じる階段22が隣接している。
【0024】
LDK13は、住宅10の南側に設けられている。LDK13は、リビング13aとダイニング13bとキッチン13cとを有し、それら各空間13a~13cが連続した連続空間とされている。LDK13では、リビング13aとダイニング13bとが南北方向に並んでおり、リビング13aが南側、ダイニング13bが北側に位置している。また、ダイニング13bとキッチン13cとは東西方向に並んでおり、ダイニング13bが東側、キッチン13cが西側に位置している。この場合、リビング13a、ダイニング13b及びキッチン13cは、平面視にてL字状に並んでいる、そのため、LDK13は、平面視にてL字状に形成されている。なお、リビング13aにはソファ23が設けられ、ダイニング13bにはダイニングテーブル24が設けられている。
【0025】
リビング13aは住宅10の南側に設けられ、南側の外壁部25により屋外と仕切られている。また、キッチン13cは住宅10の西側に設けられ、西側の外壁部26により屋外と仕切られている。また、キッチン13cの南側であって、かつリビング13aの西側には仕事室19が設けられている。仕事室19は、居住者が仕事を行うための部屋となっており、その詳細な説明については後述する。なお、LDK13が仕事室19に隣接する「隣室」に相当する。
【0026】
キッチン13cの北側にはパントリー18が隣接している。パントリー18には、食品等を保管する収納棚が設けられている。パントリー18とキッチン13cとの間には、それら両空間13c,18を連通する出入口27が設けられている。この出入口27を通じてパントリー18とキッチン13cとの間の出入りが可能となっている。
【0027】
パントリー18の北側には洗面室15が隣接している。洗面室15には洗面台31や洗濯機32が設けられている。パントリー18と洗面室15との間には、それら両空間15,18を連通する出入口28が設けられている。この出入口28を通じてパントリー18と洗面室15との間の出入りが可能となっている。したがって、本住宅10では、パントリー18を通じてキッチン13cと洗面室15との間を行き来することが可能となっており、それにより家事動線の短縮化が図られている。
【0028】
洗面室15の北側には浴室16が隣接している。浴室16は、住宅10において北西の角部に位置しており、洗面室15から出入口33を通じて出入り可能となっている。この場合、浴室16と洗面室15とパントリー18とキッチン13cとは住宅10の西側において南北に一列に並んでおり、外壁部26により屋外と仕切られている。
【0029】
和室14は、ダイニング13bの東側に隣接して設けられている。和室14とダイニング13bとの間には、それら両空間13b,14を連通する開口部36が設けられている。この開口部36を通じて和室14とダイニング13bとの間の出入りが可能となっている。また、開口部36には、一対の引き戸37が引き違いに設けられている。
【0030】
住宅10の一階部分には、全館式の空調システム40が設けられている。空調システム40は、共通の空調装置41により複数の屋内空間を一括して空調するシステムである。本住宅10では、ホール12、LDK13、和室14及び仕事室19がそれぞれ空調システム40による空調対象とされている。これら空調対象とされた各屋内空間12~14,19の床部には空調空気の吹出口43が設けられている。本空調システム40では、空調装置41により生成される空調空気(冷気又は暖気)がダクト(図示略)を通じて各吹出口43に搬送され、それら搬送された空調空気が各吹出口43より各屋内空間12~14,19に吹き出される。そして、それら吹き出された空調空気により各屋内空間12~14,19の空調(冷暖房)が行われるようになっている。なお、空調装置41は空調用の機械室45に設置され、各ダクトは床下空間に配設されている。
【0031】
続いて、仕事室19について説明する。仕事室19は、上述したように居住者が仕事を行うための部屋となっており、詳しくは居住者がデスクワークを行うための部屋となっている。本実施形態では、居住者が仕事室19において在宅勤務を行うことを想定しており、以下においては、その仕事室19の構成について図2及び図3に基づき説明する。なお、図2は仕事室19の周辺を拡大して示す平面図であり、図3は仕事室19をその内部から見た斜視図である。
【0032】
図2に示すように、仕事室19は、住宅10において南西の角部に設けられている。したがって、仕事室19はいわゆる角部屋となっている。仕事室19は、平面視にて矩形形状(長方形状)をなしており、南北方向の長さが東西方向の長さよりも長くなっている。そのため、本実施形態では、平面視における仕事室19の長手方向(以下では、単に仕事室19の長手方向という)が南北方向となっており、平面視における仕事室19の短手方向(以下では、単に仕事室19の短手方向という)が東西方向となっている。また、仕事室19は、2~4畳程度の広さの小部屋となっている。
【0033】
仕事室19は、L字状に形成されたLDK13の内側に位置している。この場合、仕事室19は、リビング13aの西側に隣接し、かつキッチン13cの南側に隣接している。また、仕事室19がLDK13の内側に位置していることで、仕事室19とLDK13とにより平面視矩形の領域が形成されている。
【0034】
図2及び図3に示すように、仕事室19は、その4方を4つの壁部25,26,47,48により囲まれている。これら4つの壁部25,26,47,48には、仕事室19を屋外と仕切る2つの外壁部25,26と、仕事室19をLDK13と仕切る2つの間仕切壁部47,48とが含まれている。
【0035】
2つの外壁部25,26は、互いに直角をなして配置され、出隅部49を形成している。各外壁部25,26のうち、南側の外壁部25には、仕事室19と屋外とを連通する窓部51が設けられている。この窓部51を通じて屋外の光を仕事室19に取り込むことが可能となっている。なお、窓部51が採光窓部に相当する。また、窓部51には、その窓部51を開閉するガラス窓52が設けられている。
【0036】
西側の外壁部26には、窓部(採光窓部)が設けられていない。仕事室19において、外壁部26の壁際には収納棚53が設けられている。収納棚53は、例えば本棚となっており、仕事に必要な書類や本等を収納可能となっている。収納棚53は、外壁部26の壁際において仕事室19の長手方向全域に亘って設けられている。
【0037】
2つの間仕切壁部47,48は、仕事室19の床と天井とに跨って上下に延びており、互いに直角をなして配置されている。したがって、これらの間仕切壁部47,48は、平面視にてL字状をなして配置されている。各間仕切壁部47,48のうち、間仕切壁部47は仕事室19の長手方向に延び、外壁部26と仕事室19を挟んで対向している。また、間仕切壁部48は仕事室19の短手方向に延び、外壁部25と仕事室19を挟んで対向している。
【0038】
LDK13は、各間仕切壁部47,48に沿って平面視L字状に形成されている。LDK13のリビング13aは間仕切壁部47を挟んで仕事室19と隣接しており、その間仕切壁部47により仕事室19とリビング13aとが仕切られている。また、LDK13のキッチン13cは間仕切壁部48を挟んで仕事室19と隣接しており、その間仕切壁部48により仕事室19とキッチン13cとが仕切られている。
【0039】
2つの間仕切壁部47,48には、それら両間仕切壁部47,48に跨って平面視L字状の開口部54が形成されている。この開口部54には、平面視L字状をなす窓パネル55が設けられている。窓パネル55は、L字状の窓枠55aにガラス板55bが複数嵌め込まれることにより形成されている。窓パネル55は、上記の開口部54に嵌め込まれた状態で取り付けられており、いわゆる嵌め殺し窓となっている。
【0040】
窓パネル55は、間仕切壁部47に設けられた第1パネル部56と、間仕切壁部48に設けられた第2パネル部57とを有している。第1パネル部56と第2パネル部57とは互いに直角をなしている。この場合、第1パネル部56の横幅方向は間仕切壁部47の横幅方向と同じとなっており、第2パネル部57の横幅方向は間仕切壁部48の横幅方向と同じとなっている。第1パネル部56の横幅は第2パネル部57の横幅よりも大きくなっており、詳しくは、第1パネル部56の横幅は第2パネル部57の横幅の2倍よりも大きくなっている。
【0041】
仕事室19には、間仕切壁部47の壁際にデスク61が設けられている。デスク61は、間仕切壁部47の横幅方向に延びる木製の矩形平板からなる。デスク61は、互いに対向する外壁部25及び間仕切壁部48に架け渡された状態で設けられ、両端部がそれぞれ各壁部25,48に固定されている。したがって、デスク61は、それら各壁部25,48に取り付けられた壁付けのデスクとなっている。なお、デスク61は、製造工場において、予め間仕切壁部47,48とともに建物ユニット20内に組み付けられるものとなっている。
【0042】
デスク61は二人掛けのデスクとなっており、そのデスク61に対して2つの椅子62が並べて設けられている。居住者が仕事室19で仕事を行う際には、これらの椅子62に座ってデスク61上で仕事(デスクワーク)を行う。例えば、居住者はノートパソコン64をデスク61上に置いて仕事を行う。なお、デスク61上にイオン発生機や植物等を置いてもよい。
【0043】
デスク61が間仕切壁部47の壁際に設置されていることで、平面視において、デスク61の前方には窓パネル55の第1パネル部56が位置し、デスク61の側方(本実施形態では左方)には第2パネル部57が位置している。これにより、居住者がデスク61に向かって仕事を行う際には、窓パネル55を介してLDK13を見渡すことが可能となっている。そのため、仕事をしながら周囲に注意を払うことが可能となっている。
【0044】
デスク61は、第1パネル部56の横幅方向(換言するとデスク61の横幅方向)において、第1パネル部56よりも第2パネル部57とは反対側(反第2パネル部57側)に延出している。換言すると、デスク61は、第1パネル部56よりも外壁部25側に延出している。デスク61において上記延出した延出部分65は、その延出長さ(横幅)がデスク61の横幅の略半分となっている。このため、デスク61におけるおおよそ一人分の領域(右側略半分の領域)が延出部分65となっている。
【0045】
窓パネル55の下端部はデスク61の上面61a(机上面)よりも高い位置に設定されている。間仕切壁部47においてデスク61の上面61aと窓パネル55の下端部との間の高さ範囲にはコンセント67が設けられている。デスク61上でノートパソコン64等を使用する際には、このコンセント67に接続して使用することが可能となっている。
【0046】
間仕切壁部48には、仕事室19とキッチン13cとを連通する出入口68が設けられている。出入口68は、窓パネル55の第2パネル部57と横並びに配置されている。この出入口68を通じて仕事室19とキッチン13cとの間の出入りが可能となっている。なお、この出入口68が特許請求の範囲に記載の「出入口」に相当する。また、間仕切壁部47には出入口が設けられていない。
【0047】
出入口68は、仕事室19を挟んで窓部51と対向している。それら出入口68及び窓部51は、間仕切壁部47の厚み方向においてデスク61よりも反間仕切壁部47側に配置されている。また、出入口68には、その出入口68を開閉するドア69が設けられている。ドア69は、開き戸となっているが引き戸であってもよい。
【0048】
間仕切壁部47には、窓パネル55よりも上方の位置から仕事室19側に張り出す張出部71が設けられている。張出部71は、間仕切壁部47の横幅全域に亘って延びており、デスク61の上方に配置されている。張出部71とその上方の天井との間には照明装置(図示略)が配設されている。この場合、照明装置から照射される光は張出部71により遮られるため、照明装置からの光は天井に反射されてから仕事室19に届くようになっている。つまり、仕事室19では、張出部71と照明装置とにより、いわゆる間接照明が構築されている。
【0049】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0050】
仕事室19を住宅10の角部に設け、その仕事室19をLDK13と仕切る2つの間仕切壁部47,48に、それら両間仕切壁部47,48に跨ってL字状の窓パネル55を取り付けた。この場合、上述したように、窓パネル55を介してLDK13を見渡すことができるため、仕事をしながら周囲に注意を払うことが可能となる。また、窓パネル55を両間仕切壁部47,48に形成された開口部54に嵌め込んで取り付けたため、その開口部54を通じてLDK13から生活音(他の居住者の話し声等)が仕事室19に入り込むのを抑制することができる。また、仕事室19は住宅10の角部に設けられているため、少なくとも屋外側の2方からは仕事室19に生活音が入り込むことがない。よって、仕事室19において仕事に集中し易くすることができる。
【0051】
仕事室19においてデスク61を設置し、そのデスク61を、平面視にて、当該デスク61の前方に窓パネル55の第1パネル部56が位置し、かつ当該デスク61の側方に第2パネル部57が位置するよう配置した。この場合、仕事室19においてデスク61に向かって仕事を行う際、窓パネル55の第1パネル部56が前方、第2パネル部57が側方に位置するため、これら各パネル部56,57を介してLDK13を見渡すことができる。そのため、デスク61上で仕事をしながら、周囲に注意を払うことができる。
【0052】
仕事室19の周囲に設けられた各外壁部25,26のうち、仕事室19を挟んで第2パネル部57と対向する外壁部25に窓部51を設けた。この場合、その窓部51を通じて仕事室19に自然光を取り込むことができる。また、かかる採光用の窓部を第1パネル部56と対向する外壁部26に設ける場合には、デスク61で仕事を行う人の後方から自然光が取り込まれることになるため、デスク61上でノートパソコン64を使って仕事をする際、ディスプレイに自然光が反射して見づらくなる等の不都合が生じるおそれがある。その点、外壁部25に窓部51を設けた構成によれば、かかる不都合が生じるのを抑制しながら、仕事室19に自然光を取り込むことができる。
【0053】
デスク61に向かって仕事をする際に前方に位置する第1パネル部56の横幅を第2パネル部57の横幅よりも大きくした。この場合、仕事をしながら前方を見渡し易くすることができるため、前方のリビング13aで子供を遊ばせておくことで、子供に注意を払い易くすることができる。また、デスク61上で仕事する際に側方に位置する第2パネル部57の横幅を第1パネル部56の横幅よりも小さくし、その第2パネル部57が設けられた間仕切壁部48に仕事室19への出入口68を設けた。この場合、各間仕切壁部47,48の横幅が大きくなるのを抑制しながら、それら各間仕切壁部47,48に窓パネル55と出入口68とを配置することができる。そのため、仕事室19の小スペース化を図ることができる。
【0054】
窓パネル55の下端部をデスク61の上面61aよりも高い位置に設定したため、仕事中にLDK13側から足元を見られることがなく、仕事により集中し易くすることができる。
【0055】
第1パネル部56の横幅方向に延びる二人掛けのデスク61を設置し、そのデスク61の横幅方向の略半分を第1パネル部56よりも反第2パネル部57側に延出させた。この場合、デスク61において上記延出した延出部分65で仕事をする際には、間仕切壁部47に隠れた状態で仕事をすることができる。このため、特に仕事に集中したい場合には、上記延出部分65で仕事を行い、周囲に注意を払いながら仕事を行いたい場合には、延出部分65以外の部分、つまり第1パネル部56の正面で仕事を行うといったことが可能となる。
【0056】
仕事室19の隣室として、2つの間仕切壁部47,48に沿って平面視L字状をなすLDK13を設けたため、仕事室19から窓パネル55を介してLDK13を広く見渡すことができる。また、LDK13において、リビング13aを第1パネル部56(間仕切壁部47)を挟んで仕事室19と隣接させたため、デスク61上で仕事を行う際には、第1パネル部56を介して前方のリビング13aを見渡すことができる。そのため、リビング13aにいる人(例えばリビング13aで遊ぶ子供)に注意を払い易くすることができる。また、リビング13aでは、ソファ23がその背面側を間仕切壁部47(換言すると第1パネル部56)に向けて設置されているため、ソファ23に座る人からは仕事室19が見えない。そのため、リビング13aを見渡すことができる構成にあって、リビング13a側からの視線を気にする必要がなく、仕事に集中し易くなっている。
【0057】
また、LDK13において、キッチン13cを第2パネル部57(間仕切壁部48)を挟んで仕事室19と隣接させたため、第2パネル部57を介して側方のキッチン13cを見渡すことができる。そのため、キッチン13cで料理等しながら仕事を行う際には、キッチン13cに注意を払いながら仕事を行うことができる。また、仕事室19からキッチン13cへの出入りを可能とする出入口68を設けたため、キッチン13cで料理等しながら仕事を行う際にはすぐにキッチン13cへ移動することができ都合がよい。
【0058】
LDK13を挟んで仕事室19とは反対側に和室14をLDK13と隣接させて設け、それら和室14とLDK13とを開口部36を介して連通させた。また、LDK13を挟んで仕事室19とは反対側にパントリー18をLDK13と隣接させて設け、それらパントリー18とLDK13とを出入口27を介して連通させた。これにより、仕事室19から窓パネル55と開口部36とを介して和室14を見渡すことができるとともに、窓パネル55と出入口27とを介してパントリー18を見渡すことができる。つまり、この場合、仕事室19からLDK13に加え、LDK13の向こう側の和室14及びパントリー18を見渡すことができるため、仕事室19で仕事をしながら、より広範囲に注意を払うことが可能となる。なお、この場合、和室14及びパントリー18がそれぞれ隣接空間に相当する。また、開口部36及び出入口27がそれぞれ連通部に相当する。
【0059】
ところで、特許文献1の住宅では、仕事室が住宅の中央部に位置しているため、屋外の光を十分取り込むことができず、仕事室を居室として申請できないおそれがある。そのため、エアコン等、居室に必要な設備を仕事室に設置できないおそれがある。その点、仕事室19を住宅10の角部に設けた上記実施形態の構成では、仕事室19に窓部51を通じて屋外の光を十分取り入れることができるため、こうした問題を回避することができる。また、仕事室19に自然光を取り入れることで、自立神経のバランスを整え、仕事中に疲れを生じにくくする効果も期待できる。
【0060】
また、仕事室19を全館式の空調システム40で空調するようにしたため、快適な温度環境で仕事を行うことができる。また、間接照明により仕事室19を均一な照度で照らすようにしたため、目に優しい環境で仕事を行うことができる。
【0061】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0062】
(1)図4には、仕事室を備える住宅80の別例を示す。なお、図4は住宅80の一階部分の間取りを示す平面図である。図4に示すように、住宅80の一階部分には、屋内空間として、玄関81と、玄関ホール82と、LDK83と、和室84と、洗面室85と、浴室86と、トイレ87と、仕事室88とが設けられている。玄関81と玄関ホール82とは住宅80の西側に設けられている。玄関81と玄関ホール82とは南北方向に連続しており、玄関81が南側、玄関ホール82が北側に位置している。
【0063】
LDK83は、住宅80において東西方向の中央部に設けられている。LDK83は、リビング83aとダイニング83bとキッチン83cとが南北方向に一列に並ぶことにより形成されている。リビング83aとダイニング83bとキッチン83cとは、北側から南側に向けてこの順に並んでいる。ダイニング83bの西側には玄関ホール82が隣接している。ダイニング83bと玄関ホール82とは互いに連続する連続空間となっている。
【0064】
仕事室88は、住宅80において北西の角部に設けられている。仕事室88は、その東側においてLDK83詳しくはキッチン83cと隣接しており、その南側において玄関ホール82と隣接している。仕事室88の四方には、2つの外壁部91,92と2つの間仕切壁部93,94とが設けられている。仕事室88は、それら各壁部91~94により四方を囲まれている。この場合、2つの間仕切壁部93,94のうち、東西方向に延びる間仕切壁部93により仕事室88と玄関ホール82とが仕切られており、南北方向に延びる間仕切壁部94により仕事室88とLDK83(キッチン83c)とが仕切られている。
【0065】
各間仕切壁部93,94には、それら両間仕切壁部93,94に跨ってL字状の窓パネル95が取り付けられている。窓パネル95は、間仕切壁部93に設けられた第1パネル部96と、間仕切壁部94に設けられた第2パネル部97とを有している。仕事室88には、間仕切壁部93の壁際にデスク99が設置されている。この場合、平面視にて、デスク99の前方に第1パネル部96が位置し、デスク99の側方に第2パネル部97が位置している。
【0066】
上記の構成によれば、デスク99で仕事をしながら、窓パネル95(第1パネル部96)を介して前方の玄関ホール82や玄関81を見渡すことができる。そのため、子供の帰りや訪問者等に注意を払いながら仕事を行うことが可能となる。また、窓パネル95を介してLDK83を見渡すことができるため、仕事をしながらLDK83にいる居住者(例えば子供)に注意を払うことが可能となる。また、第2パネル部97を介して側方のキッチン83cを見渡すことができるため、料理等しながら仕事を行う際にはキッチン83cに注意を払いながら仕事を行うことができる。
【0067】
(2)上記実施形態では、窓パネル55において、第1パネル部56の横幅を第2パネル部57の横幅より大きくしたが、これを変更してもよい。例えば、第1パネル部56の横幅を第2パネル部57の横幅と同じとしてもよい。
【0068】
(3)上記実施形態では、デスク61を壁付けのデスクとしたが、デスクを床置きのデスクとしてもよい。また、デスク61を二人掛けに代え、一人掛けとしてもよい。この場合、デスク61の横幅を第1パネル部56の横幅と同じか又はそれより小さくしてもよい。
【0069】
(4)上記実施形態では、住宅10の一階部分に仕事室19を設けたが、住宅10の二階部分に仕事室を設けてもよい。
【0070】
(5)上記実施形態では、本発明をユニット式住宅に適用したが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された住宅に適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…住宅、13…隣室及びLDK空間としてのLDK、13a…リビング、13b…ダイニング、13c…キッチン、14…隣接空間としての和室、18…隣接空間としてのパントリー、19…仕事室、25,26…外壁部、27…連通部としての出入口、36…連通部としての開口部、47,48…間仕切壁部、51…採光窓部としての窓部、54…開口部、55…窓パネル、56…第1パネル部、57…第2パネル部、61…デスク、68…出入口。
図1
図2
図3
図4