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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ゲートシステム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/37 20200101AFI20240910BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20240910BHJP
【FI】
G07C9/37
E05F15/73
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154680
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048707
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】横井 謙太朗
(72)【発明者】
【氏名】野田 周平
(72)【発明者】
【氏名】河原 智一
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 杜朗
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294907(JP,A)
【文献】特開2000-331207(JP,A)
【文献】特開2019-159795(JP,A)
【文献】特開2011-191953(JP,A)
【文献】特開2004-220525(JP,A)
【文献】特開2005-070850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/37
E05F 15/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を筐体により規定するとともにその通路のユーザの通行を規制するドアを有する複数のゲート装置と、
前記各ゲート装置の周囲の全方向を撮影しその撮影範囲が重複するように配置される複数のカメラ装置と、
前記各カメラ装置により撮影される複数の撮影範囲の撮影結果に基づいて前記ドアの開閉を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記各カメラ装置により撮影された画像を処理する画像処理部を含み、この画像処理部の処理結果に基づいて、前記各カメラ装置の撮影範囲に存する一人ないし複数のユーザの位置及び顔をそのユーザの経時的な移動と共に検出し、検出したユーザの位置が前記各ゲート装置の入口である場合、前記検出したユーザの顔が入場を許可するユーザの顔認証データに含まれていれば、前記検出したユーザの位置に対応する前記ゲート装置の前記ドアを通過可能な状態にする、
ゲートシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記検出したユーザの顔が、前記入場を許可するユーザの顔認証データに含まれない場合、前記検出したユーザの位置に対応する前記ゲート装置の前記ドア通過不可の状態維持する、
請求項に記載のゲートシステム。
【請求項3】
前記カメラ装置は、前記ゲート装置にそれぞれ設けられており、
前記制御装置は、隣接する前記ゲート装置に設けられる前記各カメラ装置の前記画像処理部の処理結果を利用して前記ユーザの身長を測定する、
請求項に記載のゲートシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記通路を通過する複数のユーザの互いの距離を測定し、この測定距離が一定距離以下である場合に前記通路を通過する複数のユーザが供連れであると判定し、その供連れが通過する前記通路における前記ドアの閉状態を維持する、
請求項に記載のゲートシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記画像処理部の処理結果に基づいて、前記各カメラ装置により撮影された撮影範囲内の前記ユーザのユーザ数を検出する、
請求項に記載のゲートシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検出した前記ユーザ数に基づいて、前記ゲート装置により規定される前記通路の入場方向を変化させる、
請求項に記載のゲートシステム。
【請求項7】
前記複数のゲート装置と、前記複数のカメラ装置とは、同数であり、
前記各カメラ装置は、前記ゲート装置の筐体の上面中央部にそれぞれ設けられる、
請求項に記載のゲートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ゲートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲート装置にカメラを設置し、カメラで撮影する画像を利用してユーザの顔認証を行い、ゲートの開閉を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-114294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲート装置にカメラを設置し認証を行う場合、ユーザの顔がカメラに映り初めてからユーザがゲート装置に到達するまでに認証処理を終え、ドアの開閉制御を行う必要がある。このため、認証時間には制約がある。ここで、例えば、ユーザがカメラ方向に重なっている場合、前方のユーザによって後方のユーザの顔が隠れてしまうため、後方のユーザをぎりぎりまで認証をすることができず、制約された時間のなかでは認証処理ができない可能性がある。このような事態が生じると、ユーザはゲート装置で立ち止まってしまい、スムーズな入場が行えなくなる。
本発明の実施形態は、ユーザを迅速かつ確実に認識することができるゲートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る、ゲートシステムは、通路を筐体により規定するとともにその通路のユーザの通行を規制するドアを有する複数のゲート装置と、前記各ゲート装置の周囲の全方向を撮影しその撮影範囲が重複するように配置される複数のカメラ装置と、前記各カメラ装置により撮影される複数の撮影範囲の撮影結果に基づいて前記ドアの開閉を制御する制御装置と、を備える。そして、前記制御装置は、前記制御装置は、前記各カメラ装置により撮影された画像を処理する画像処理部を含み、この画像処理部の処理結果に基づいて、前記各カメラ装置の撮影範囲に存する一人ないし複数のユーザの位置及び顔をそのユーザの経時的な移動と共に検出し、検出したユーザの位置が前記各ゲート装置の入口である場合、前記検出したユーザの顔が入場を許可するユーザの顔認証データに含まれていれば、前記検出したユーザの位置に対応する前記ゲート装置の前記ドアを通過可能な状態にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るゲートシステムの制御構成の一例を示す図。
図2】同実施形態に係るゲート装置の構成の一例を示す図。
図3】同実施形態に係るカメラ装置の構成の一例を示す図。
図4】同実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図。
図5】同実施形態に係るゲートシステムの構成の一例を示す平面図。
図6】同実施形態に係るゲート装置の側面の一例を示す図。
図7】同実施形態に係るユーザ通過処理の一例を示すフローチャート。
図8】同実施形態に係るドア開閉処理の一例を示すフローチャート。
図9】同実施形態に係るユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図。
図10】同実施形態に係るユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図。
図11】同実施形態に係るユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図。
図12】同実施形態に係るユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図。
図13】第2実施形態に係るユーザの身長を測定する状態の一例を示す図。
図14】第3実施形態に係る供連れユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図。
図15】第4実施形態に係る複数のユーザが存在する状態の一例を示す図。
図16】上記実施形態に係るゲートシステムの配置の変形例を示す図。
図17】上記実施形態に係るゲートシステムの配置の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、ゲートシステム100のネットワーク構成の一例を示す図である。
図1に示すように、複数のゲート装置10、複数のカメラ装置(検出装置)20、及び情報処理装置(制御装置)30がネットワークを介して接続されている。なお、本実施形態では、情報処理装置30が、複数のゲート装置10、及び複数のカメラ装置20とネットワークを介してそれぞれ接続される場合で説明するが、これに限るものではない。例えば、情報処理装置30が複数のゲート装置10のうちのいずれか1つに収納され、他のゲート装置10、及びカメラ装置20と通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0009】
図2は、ゲート装置10の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、ゲート装置10は、制御部11、インタフェース(I/F)12、ドア制御部13,14、ドア15,16を含む。制御部11は、ゲート装置10内の各部を制御すると共に、インタフェース12を介して情報処理装置30と通信を行う。ドア制御部13,14は、ドア15,16の開閉をそれぞれ制御する。ドア15,16は、ユーザの入退場(少なくとも入場)を規制する扉であり、ドア制御部13,14の制御に基づいて、ユーザの入場を規制する第1の位置と、ユーザの入場を許可する第2の位置とに遷移する。ドア15,16の配置については、後述する。
【0010】
図3は、カメラ装置20の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、カメラ装置20は、制御部21、インタフェース(I/F)22、撮影部23を含む。制御部21は、カメラ装置20内の各部を制御する。撮影部23は、本実施形態では、全方向カメラであり、全方向カメラが設置された場所を中心として周囲の全方向を撮影する。撮影部23で撮影された画像は、制御部21の制御の下で、画像データとしてインタフェース22を介して情報処理装置30へ出力される。
【0011】
図4は、情報処理装置30の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、情報処理装置30は、制御部31、インタフェース(I/F)32、画像処理部33、記憶部34を含む。制御部31は、情報処理装置30内の各部を制御する。インタフェース32は、ネットワークに接続される。このため、制御部31は、インタフェース32を介して、複数のゲート装置10とそれぞれ通信可能であり、さらに、複数のカメラ装置20それぞれから画像データを受信する。画像処理部33は、カメラ装置20から受信する画像データに対して画像処理を行う。本実施形態では、複数のカメラ装置から受信する画像データを合成する処理を行い、合成した画像データに含まれるユーザを認識し、認証したユーザの顔認証を行う。記憶部34は、例えば、ハード・ディスク・ドライブのように大容量のデータを記憶可能な装置である。本実施形態では、記憶部は、開閉処理プログラム35、ゲート配置データ36、顔認証データ37、画像データ38を記憶する。開閉処理プログラム35は、ユーザの顔を認証し、顔を認証したユーザに対してゲート装置10のドア15,16の開閉処理を実行させるためのプログラムである。ゲート配置データ36は、ゲートシステム100のゲート装置10の配置、及びカメラ装置20の設置位置に関するデータである。顔認証データ37は、ゲート装置10を介してゲートシステム100内に通過可能なユーザの顔データである。画像データ38は、画像処理部33の画像処理したデータである。なお、画像データ38は、一定時間経過する毎に削除されるようにしてもよい。また、本実施形態では、認証を顔認証処理により実行することとしたが、これに限るものではなく、ID認証、服装の認証等の他の認証処理でもよい。また、認証処理に限らず、危険物(人物)の検知、属性(車いすや、盲人)の検知、人流の計測、3次元再構成、異常検知、動作認識など、センシング処理であれば他の処理でもよい。このように複数のカメラ装置(検出装置)により重複して任意の検出対象を検出するセンシング処理に基づいて、当該検出対象に対してゲート装置10が任意の制御を実行するようにしてもよい。
【0012】
図5は、ゲートシステム100の構成の一例を示す平面図である。ゲートシステム100は、例えば、所定の施設内への入場を規制するシステムである。
図5に示すように、本実施形態では、ゲートシステム100は、複数のゲート装置10として5つのゲート装置10A~10E、複数のカメラ装置として5つのカメラ装置20A~20Eを備える。ゲート装置10の筐体の長手方向に沿ってユーザが入退場(通行)する通路が規定される。図示の場合では、4つの通路PW1~PW4がゲート装置10A~10Eの筐体により規定され、通路PW1,PW2はユーザが入場(図示上側)する通路であり、通路PW3,PW4はユーザが退場(図示下側)する通路である。通路PW1~PW4の入退場方法(通行方向)は、情報処理装置30の制御に基づいて、変更できるようになっている。なお、ゲート装置10A~10E、及びカメラ装置20A~20Eがそれぞれ接続される情報処理装置30は、図示を省略している。
【0013】
ゲート装置10A~10Eは、キャリD1で並列に配置されており、ゲート装置10A~10Eの上面の中央部にカメラ装置10A~10Eが配置される。本実施形態では、カメラ装置20A~20Eは、ゲート装置10の長手方向の両端から距離D2の場所に配置される。
【0014】
また、カメラ装置20A~20Eの撮影部23は、カメラ装置であり、本実施形態では、全方位カメラである。このため、各ゲート装置10A~10Eの全方向を撮影することが可能になっている。言い換えれば、ゲートシステム100の周辺を重複して撮影することが可能になっている。なお、本実施形態では、ユーザを検出する検出装置が全方向カメラのカメラ装置である場合で説明するが、検出装置は、これに限るものではない。検出装置は、例えば、所定範囲を撮影するカメラ、魚眼カメラ、超音波センサ、デプスセンサ、X線カメラなどでもよい。そして、これらの検出装置の検出範囲が重複するように各検出装置を配置することにより、ゲートシステム100の周囲に位置するユーザを正確に検出する。
【0015】
図6は、ゲート装置10Aの側面の一例を示す図である。また、図5において、ユーザが矢印の先端が示す位置に位置した場合である。
【0016】
ゲート装置10Aは、既述のように上面の中央部にカメラ装置20Aが設けられている。ゲート装置10Aの高さは任意であるが、カメラ装置20Aの撮影範囲に種々のタイプのユーザ(大人のユーザ、子供のユーザ、車椅子に乗ったユーザなど)の顔を撮影できる高さにすることが望ましい。また、ゲート装置20Aは、側面に既述のドア15,16が設けられ、このドア15,16は支持部15a,16aに支持されている。図6において、ドア15,16は、ゲート装置10Aの側面に収納された第2の位置に位置した状態を示している。つまり、ユーザが通過できる状態(開状態)になっている。通路PW1は入場側であるため、この第2の位置に位置したドア15は、通常時は、支持部15aを軸として通路PW1側へ回動され、ユーザが通過できない状態(閉状態)になっており、ドア15はユーザの入場を規制する第1の位置に位置している。なお、ゲート装置20Aを例に挙げて説明したが、他のゲート装置20B,20C,20Dも同様である。一方、ゲート装置20Eは、通路PW4側にして通路が規定されない。このため、ゲート装置20Eのドア15,16は常に第2の位置に位置する。
【0017】
次に、ゲートシステム100のドアの開閉処理(言い換えれば、ユーザ入退場時の処理)を説明する。図7は、ユーザ通過処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、情報処理装置30が実行する処理であり、ゲートシステム100の電源がONされた後、OFFされるまで実行される。
【0018】
情報処理装置30の制御部31は、カメラデータを取得する(ST101)。より詳細には、制御部31は、ネットワークを介して、各カメラ装置20A~20Eが撮影する画像データを取得する。次に、制御部31は、画像処理を実行する(ST102)。本実施形態では、5つのカメラ装置20A~20Eから取得する画像データを合成し、ゲートシステム100の周辺の撮影範囲の画像データを作成する。この際、撮影範囲が重複しているため、1つの撮影領域の画像データを複数の画像データを合成して作成することができる。
【0019】
次に、制御部31は、ユーザが存在するか否かを判定する(ST103)。つまり、制御部31は、合成した画像データに基づいて、当該画像データ内にユーザが存在するか否かを判定する。より詳細には、例えば、制御部31は、合成した画像データ中にユーザの顔が特定できるか否かにより、ユーザが存在するか否かを判定する。したがって、制御部31は、当該時点で、ゲートシステム100周辺に存在するユーザの顔データを取得することができる。
【0020】
次に、制御部31は、ユーザが所定位置に位置したか否かを判定する(ST104)。ここで、所定位置とは、本実施形態では、ゲート装置10の通路の入口である。制御部31は、例えば、画像データにて検出するユーザの顔の位置が、当該入口に位置したか否かに基づいて、当該判定を行う。この判定は、4つの通路PW1~PW4の入口に対して行われる。したがって、通路PW1,PW2と、通路PW3,PW4とは通行の向きが異なるため、通路PW1,PW2の入口と、通路PW3,PW4の入口は反対側になる。
【0021】
そして、ユーザが所定位置に位置したと判定した場合(ST104:YES)、制御部31は、入場許可か否かを判定する(ST105)。制御部31は、所定位置に位置したユーザの顔データと、記憶部34に記憶している顔認証データ37とを比較し、ユーザの顔データが顔認証データに含まれるか否かを判定する。ここで、制御部31は、ユーザの顔データが顔認証データに含まれている場合、入場許可と判定し、ユーザの顔データが顔認証データに含まれていないと判定した場合、入場許可でないと判定する。
【0022】
入場許可であると判定した場合(ST105:YES)、制御部ST106は、ドア開閉処理を実行する(ST106)。この処理は、ユーザが所定位置に位置したゲート装置に対して実行する処理であり、図8を参照して後述する。既述のステップST103でユーザが存在しないと判定した場合(ST103:NO)、ユーザが所定位置に位置していないと判定した場合(ST104:NO)、入場許可でないと判定した場合(ST105:NO)、ドア開閉処理を開始した後(ST106)、処理はリターンとなる。
【0023】
次に、ドア開閉処理について説明する。この処理は、ドア開閉処理が指示されたゲート装置に対して情報処理装置30の制御部31が実行する処理である。図8は、ドア開閉処理の一例を示すフローチャートである。以下では、ゲート装置10Aに対してドア開閉処理を行う場合で説明する。
【0024】
制御部31が、ネットワークを介してゲート装置10Aにドア閉を指示すると(ST201)、当該ゲート装置10Aは、ドア15を第2の位置に回動する。つまり、ゲート装置10Aは、当該指示を受信すると、ドア制御部13によりドア15が第1の位置から第2の位置に回動され、ユーザが通過できる開状態になる。これにより、通路PW1のドア15による通行規制が解除され、ユーザがゲートシステム100内に入場できるようになる。
【0025】
次に、制御部31は、ユーザが通過したか否かを判定する(ST202)。制御部31は、画像処理部33で作成される画像データに基づいて通路PW1上のユーザの位置を把握し、ユーザが通路PW1の下流側の所定位置を通過したか否かを判定する。ユーザが通過していないと判定した場合(ST202:NO)、処理は、ステップST202の判定に戻る。つまり、ドア15の第2の位置が継続される。一方、ユーザが通過したと判定した場合(ST202:YES)、制御部31は、ドア開の指示をゲート装置10Aに送信する(ST203)。これにより、ドア15が第1の位置に回動し、当該通路PW1のユーザの通行を規制する状態(閉状態)になる。これにより、当該ゲート装置10Aに対するドア開閉処理が終了する。
【0026】
次に、ゲートシステム100の作用について、図9から図12を参照して説明する。図9から図12は、それぞれユーザを撮影する撮影状態の一例を示す図である。なお、カメラ装置20A~20Eの撮影範囲は全方向であるが、図9から図12においては、説明の便宜上撮影範囲の一部を撮影範囲として示している。
【0027】
図9は、図示上側からゲートシステム100に近づくユーザを複数のカメラ装置20C,20D,20Eで撮影する状態を示す図である。
図9に示すように、ユーザは、カメラ装置20C、カメラ装置20Dの間、かつ、これらの図示上側に位置し、通路PW3を通過しようとしている。当該ユーザは、少なくともカメラ装置20Cの撮影範囲A1、カメラ装置20Dの撮影範囲A2、及びカメラ装置20Eの撮影範囲A3で撮影可能である。情報処理装置30は、このように複数のカメラ装置20C,20D,20Eでユーザを撮影した画像データをそれぞれ取得し、この複数の画像データを合成した画像データに基づいてユーザの顔を検出し、ユーザの位置を特定することができる。このため、情報処理装置30は、迅速かつ確実にユーザの位置及び顔を把握することができる。
【0028】
図10は、図示下側(図9とは反対側)からゲートシステム100に近づくユーザを撮影する状態を示す図である。本実施形態では、カメラ装置20A~20Eの撮影範囲が全方向であるため、図示下側からゲートシステム100にユーザが近づく場合も当該ユーザを、少なくともカメラ装置20B,20C,20Dが撮影する画像データを合成した画像データに基づいて検出することができる。そして、このユーザが通路PW2の所定位置に位置したときに、合成した画像データに基づいて顔認証処理が実行される。入場が許可されているユーザであれば、ドア15が第1の位置から第2の位置に回動し、ユーザが通路PW2を通過できるようになる。このように本実施形態では、カメラ装置20A~20Eは全方向カメラを用いているため、ゲートシステム100の入場側、及び退場側の両側に対してユーザを検出することができる。
【0029】
図11は、ゲートシステム100に近づく複数のユーザを複数のカメラ装置で撮影する状態を示す図である。複数のユーザは、ユーザA,ユーザBの二人である。カメラ装置20Cの撮影範囲A21においては、ユーザBはユーザAの後ろに隠れる状態にある。一方、カメラ装置20D,カメラ装置20Eの撮影範囲A22,A23においては、ユーザA,ユーザBの二人が撮影できる状態にある。つまり、カメラ装置20Cで撮影できないユーザBをカメラ装置20D、カメラ装置20Eでは撮影できる状態にある。したがって、情報処理装置30は、少なくともカメラ装置20C,20D,20Eの画像データを合成した画像データに基づいて、ユーザAの位置及び顔、及びユーザBの位置及び顔を検出することができる。このため、情報処理装置30は、カメラ装置20Cの撮影方向において、ユーザBがユーザAに隠れている場合でも、ユーザA,ユーザBの二人を迅速かつ確実に認識することができる。
【0030】
図12は、ゲートシステム100の上側を横切るように通過して通路PW4を通過するユーザを複数のカメラ装置で撮影する状態を示す図である。
【0031】
図示の左上側の位置P1に位置するユーザは、位置P2、位置P3を通過して位置P4に到達し、位置P4から通路PW4によりゲートシステム100を通過しようとしている。このようにユーザがゲートシステム100の上側を横切るように移動して通路PW4を通過する場合にも、複数のカメラ装置20A~20Eが撮影する画像データを合成した画像データに基づいて、ユーザを検出し、ユーザの位置及び顔を検出すると共に、当該ユーザの経時的な移動を検出することができる。このような場合(いわゆるカメラ渡りをする場合)には、ユーザの位置及び顔をさらに迅速に検出することができる。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態では、通路を通過するユーザの身長を測定できるようにする点が上記第1実施形態と異なっている。したがって、身長を測定する処理について詳細に説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付すこととし、これらの構成については詳細な説明を省略する。
【0033】
図13は、通路を通過するユーザの身長を複数のカメラ装置で撮影し、ユーザの身長を測定する状態の一例を示す図である。具体的には、子供のユーザが通路PW1を通過中であり、大人のユーザが通路PW3を通過中の状態である。
【0034】
子供のユーザは、カメラ装置20Aの撮影範囲A41、カメラ装置20Bの撮影範囲A42で撮影されており、これらの画像データがそれぞれ情報処理装置30に送信される。情報処理装置30は、これらの画像データに基づいてユーザを検出する。また、情報処理装置30は、それぞれの画像データからユーザの身長を測定する。情報処理装置30の制御部31は、カメラ装置20Aの撮影範囲A41の画像データに基づいて、カメラ装置20の設置場所から上方のユーザの外観を検出し、その検出したユーザの外観の高さに、カメラ装置20の設置場所の高さ(言い換えれば、ゲート装置10Aの高さ)を加算することにより、ユーザの身長を測定する。また、制御部31は、同様の処理をカメラ装置20Bの撮影範囲42の画像データに対しても行う。
【0035】
制御部31は、このようにして得られる2つの身長の測定結果を、補正(例えば、平均化)することにより、ユーザの身長の測定結果を確定する。例えば、通路PW1の片側に沿ってユーザが通行する場合には2つのカメラ装置20A,20Bからユーザの位置までの距離が異なる。このため、ユーザが近くになるカメラ装置はユーザを大きく撮影し、ユーザが遠くなるカメラ装置はユーザを小さく撮影する状態になる。よって、制御部31が画像処理に基づき検出するユーザの外観に差が生じ、身長の測定結果が異なる場合も生じ得る。このような場合でも、制御部31は、2つの身長の測定結果を用いて測定結果を補正することにより、ユーザの身長を正確に測定することが可能になる。
【0036】
また、情報処理装置30は、通路PW3を通過するユーザに対しても同様に身長を測定する処理を実行する。そして、制御部31は、例えば、このようなユーザの身長の測定結果が所定の身長以下である場合は、ユーザが子供であると判定し、当該所定の身長を超えている場合は、ユーザが大人であると判定する。図13においては、通路PW1を通過するユーザは、子供であると判定し、通路PW3を通過するユーザは大人であると判定する。
【0037】
本実施形態のゲートシステム100によると、ゲートシステム100の通路を通過するユーザの身長を2台のカメラ装置が撮影する画像に基づいて、正確に測定することができる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態では、通路を通過するユーザの供連れを検出できるようにする点が上記第1実施形態と異なっている。したがって、供連れを検出する処理について詳細に説明する。ここで、供連れとは、一人のID(本実施形態では、顔認証)で二人以上がゲートシステムを通過することをいう。なお、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付すこととし、これらの構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
図14は、通路を通過する2人のユーザA,Bを複数のカメラ装置で撮影し、ユーザA,Bが供連れでゲートシステム100を通過する状態の一例を示す図である。具体的には、ユーザA,Bが通路PW3を通過中であり、カメラ装置20C,20DでユーザA,Bを撮影している。なお、カメラ装置20Cの撮影方向において、ユーザBがユーザAに隠れている状態である。
【0040】
ユーザA,Bは、カメラ装置20Cの撮影範囲A51、カメラ装置20Dの撮影範囲A52で撮影されており、これらの画像データがそれぞれ情報処理装置30に送信される。情報処理装置30は、これらの画像データに基づいてユーザA,Bを認識する。また、情報処理装置30は、それぞれの画像データからユーザAと、ユーザBとの距離を測定する。
【0041】
情報処理装置30の制御部31は、カメラ装置20Cが撮影した画像データからはユーザBが認識できないため、ユーザBの存在を認識することができず、ユーザAと、ユーザBとの距離を測定することができない。一方、制御部31は、カメラ装置20Dが撮影した画像データからは、ユーザA、ユーザBを認識することができるため、ユーザAと、ユーザBとの距離を測定することができる。制御部31は、この測定した距離が一定距離以下である場合、供連れであると判定し、一定距離を超えている場合、供連れでないと判定する。制御部31は、供連れであると判定した場合、既述のドア開閉処理を実行しない(参照:図7のステップST106)。このため、ゲート装置10Cのドア16は、第1の位置から第2の位置へ回動せず、通路PW3の通行を規制したままになる。この際、ゲート装置10に警報装置が設けられている場合は、音声、発光等により、ユーザA,Bに注意を促すようにしてもよい。なお、2つのカメラ装置から供連れの状態を検出できる場合、それぞれの画像データからユーザA,Bの距離が得られるときは、2つの距離を平均化する等の処理を行うことにより、より正確にユーザA,Bの距離を測定することができる。
【0042】
本実施形態のゲートシステム100によると、ゲートシステム100を供連れで通過するユーザに対して、ゲートシステム100の通過を防止することができる。
【0043】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ゲートシステム100周辺のユーザ数を検出できるようにする点が上記第1実施形態と異なっている。したがって、ユーザ数を検出する処理について詳細に説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付すこととし、これらの構成については詳細な説明を省略する。
【0044】
図15は、ゲートシステム100周辺に複数のユーザが存在する状態の一例を示す図である。図示下側に対して、カメラ装置20A~カメラ装置20Eが撮影する撮影範囲はそれぞれ撮影範囲A61~A65であり、図示上側に対して、メラ装置20A~カメラ装置20Eが撮影する撮影範囲はそれぞれ撮影範囲A71からA75である。この撮影範囲A61~A65には、ユーザY10,Y11の2人が存在し、また、撮影範囲A71からA75には、ユーザY1~ユーザY9の9人が存在する。情報処理装置30は、カメラ装置20A~20Eから受信する画像データに対して、画像処理を行い、ユーザY1からユーザY11の11人のユーザの位置を検出する。なお、ユーザの位置が複数示されているのは、経時的にユーザが移動した経路を示すためである。情報処理装置30は、この画像処理により、ゲートシステム100周辺のユーザの位置及び顔、並びに経時的な移動の状態を検出することができる。
【0045】
このように情報処理装置30は、ゲートシステム100周辺のユーザ数を検出することができる。図15においては、図示上側にユーザY1からY9の9人のユーザを検出し、図示下側にユーザY10,Y11の2人のユーザを検出している状態になる。言い換えれば、情報処理装置30は、図示上側から図示下側にゲートシステム100を通過しようとするユーザ数が、図示下側から上側にゲートシステム100を通過しようとするユーザ数より大幅に多いことを検出することができる。したがって、情報処理装置30は、ゲートシステム100のゲート装置20Bに対して、通路PW2の通行方向を反対側に切り替える処理を実行する。具体的には、ゲート装置20Bのドア15を第1の位置にし、ドア16を第2の位置に遷移する。これにより、通路PW2の通行方向は、図示上側から下側に変更される。よって、ゲートシステム100は、図示上側から図示下側への通路が通路PW2,PW3,PW43つとなり、図示下側から図示上側への通路が通路PW1の1つになる。
【0046】
本実施形態のゲートシステム100によると、ゲートシステム100周辺のユーザ数及び経時的な移動位置の変化を検出することができる。このため、ゲートシステム100は、検出したユーザ数に応じて、ゲートシステム100の通路PW1~PW4の通路方向を変化させることができる。これにより、ゲートシステム100において、ユーザのスムーズな通過を実現することができる。
【0047】
(変形例)
上記各実施形態では、例えば、既述の図5に示すように、ゲート装置10A~10Eと、カメラ装置20A~20Eとが一対一で対応しており、さらに、ゲート装置10A~10Eの上面中央部にカメラ装置20A~20Eが配置されている場合を説明しているが、ゲート装置とカメラ装置との配置関係は、これに限るものではない。図16に示すように、カメラ装置20A~20Eがゲート装置10A~10Eの上面の交互の端部に配置されるようにしてもよい。また、図17に示すように、カメラ装置20A1,20A2~20E1,20E2のカメラ装置2つの組がゲート装置10Aから10Eそれぞれの上面の両端部に配置されるようにしてもよい。
【0048】
また、ゲート装置とカメラ装置とは、一対一で対応しなくてもよく、ゲートシステム100周辺を重複して撮影できるようにカメラ装置が配置されてもよい。さらに、カメラ装置は、ゲート装置に設けられていなくてもよく、例えば、ゲート装置が屋内に設けられている場合、天井、壁面等に配置されてもよい。
【0049】
さらにまた、既述の実施形態では、検出装置がカメラ装置であり、カメラ装置20A~20Eは、同一のカメラ装置の場合で説明したが、これに限るものではない。カメラ装置によって解像度の異なる画質で撮影するようにしてもよい。例えば、解像度の高いカメラ装置と、解像度の低いカメラ装置を交互に配置することが考えられる。このようにゲートシステムを構成すると、解像度を落とした分、情報処理装置30の画像処理部33の負荷を軽くすることができる。また、検出装置は、カメラ装置だけでなく、カメラ装置と、他の検出装置(魚眼カメラ、超音波センサ、デプスセンサ、X線カメラ)とを交互、又は所定の配置で構成するようにしてもよい。このようにゲートシステム100を構成すると、検出装置の特性を組み合わせてユーザを検出できるようになる。
【0050】
また、上記各実施形態によると、複数のカメラ装置20A~20Eを用いてユーザを検出することができる。このため、例えば、三角測量を行い、検出したユーザの身長の計測、ユーザの移動速度の計測、ユーザが所持する荷物の大きさの計測を行うことができる。つまり、ゲートシステム100は、検出範囲に存在するユーザに関する情報を取得することができる。
【0051】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10(10A~10E)…ゲート装置、15,16…ドア、20(20A~20E)…カメラ装置、30…情報処理装置、34…記憶部、35…開閉処理プログラム、36…ゲート配置データ、37…顔認証データ、38…画像データ、100…ゲートシステム、PW1~PW4…通路。
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