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特許7553303送信源位置標定装置及び送信源位置標定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】送信源位置標定装置及び送信源位置標定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240910BHJP
   G01S 3/48 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S3/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020165239
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057135
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】越後貫 智也
(72)【発明者】
【氏名】大垣 翔矢
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-057137(JP,A)
【文献】特開2019-219260(JP,A)
【文献】特開平08-114664(JP,A)
【文献】特許第5730506(JP,B2)
【文献】特許第5730473(JP,B2)
【文献】特開2005-274300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00-3/86
G01S 5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信源の位置標定の状態空間モデルを用いて、前記送信源からの受信波の到来方向の実測値と、前記送信源からの受信波の到来方向の予測値(前記送信源の位置標定のシステムを搭載する移動体の位置と、前回の前記送信源の標定位置と、に基づいて算出される。)と、が一致するように、前記送信源の位置を標定する位置標定部と、
前記送信源の位置の標定の開始後に標定された前記送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する位置選択部と、
前回に選択されると予測された前記送信源の位置と今回に選択された前記送信源の位置とを結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間する位置予測部と、
次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする位置出力部と、
を備えることを特徴とする送信源位置標定装置。
【請求項2】
前記位置予測部は、(1)1回目及び2回目に選択された前記送信源の位置を結ぶ線分を、2回目に選択された前記送信源の位置から外挿することにより、3回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、3回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、(2)2回目及び3回目に選択された前記送信源の位置を結ぶ線分を、3回目に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、4回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、4回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、
前記位置出力部は、(1)3回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、3回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とし、(2)4回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、4回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする
ことを特徴とする、請求項1に記載の送信源位置標定装置。
【請求項3】
前記位置予測部は、今回に選択された前記送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったときに、前回及び今回に選択されると予測された前記送信源の位置を結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、
前記位置出力部は、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の送信源位置標定装置。
【請求項4】
送信源の位置標定の状態空間モデルを用いて、前記送信源からの受信波の到来方向の実測値と、前記送信源からの受信波の到来方向の予測値(前記送信源の位置標定のシステムを搭載する移動体の位置と、前回の前記送信源の標定位置と、に基づいて算出される。)と、が一致するように、前記送信源の位置を標定する位置標定ステップと、
前記送信源の位置の標定の開始後に標定された前記送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する位置選択ステップと、
前回に選択されると予測された前記送信源の位置と今回に選択された前記送信源の位置とを結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間する位置予測ステップと、
次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする位置出力ステップと、
を順に繰り返しコンピュータに実行させるための送信源位置標定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信源の位置を標定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
送信源の位置を標定する技術が、特許文献1、2等に開示されている。特許文献1、2では、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、カルマンフィルタ等による送信源からの受信波の到来方向の予測値(位置標定システムを搭載する移動体の位置と、前回の送信源の標定位置と、に基づいて算出。)と、が一致するように、送信源の位置を標定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5730473号明細書
【文献】特許第5730506号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の第1の位置標定結果を図1及び図2に示す。航空機は、位置標定システムを搭載し、送信源を投下し、送信源の投下後に楕円状に旋回する。送信源は、送信源の投下位置から直線状に運動する。航空機から延びる直線は、送信源からの受信波の到来方向の測定結果を示す。刻々と移動する丸印は、送信源の標定位置を示す。
【0005】
標定位置は、円弧を繋げた経路を示し、最終的な標定位置は、最終的な真位置の手前にある。標定精度(標定位置と真位置との間の誤差)は、位置標定処理を通じて大きく、送信源の標定角度及び送信源の標定速度は、位置標定処理を通じて真値を中心に大きくばらつく。この理由として、カルマンフィルタ等の運動モデルを固定点モデルとしており直線運動モデルとしていないとともに、送信源からの受信波の到来方向を測定しているが、送信源から航空機までの距離を測定していないことが考えられる。このように、標定位置は、位置標定方法によっては、連続的に繋がるときでも、滑らかに移動せず真位置から大きくずれ得る。
【0006】
従来技術の第2の位置標定結果を図3に示す。航空機は、位置標定システムを搭載し、送信源を投下し、送信源の投下直後に直進し、次に180°旋回し、次に直進する。送信源は、送信源の投下位置にほぼ固定されている。航空機から延びる直線は、送信源からの受信波の到来方向の測定結果を示す。刻々と移動する丸印は、送信源の標定位置を示す。
【0007】
標定位置は、180°旋回時に不連続的に飛び、最終的な標定位置は、最終的な真位置からずれてしまう。この理由として、送信源からの受信波の到来方向が航空機の姿勢等に応じて不連続に乱れることが考えられる。このように、標定位置は、位置標定環境に応じて、不連続的に飛ぶときには、滑らかに移動せず真位置から大きくずれる。
【0008】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、送信源の位置を標定するにあたり、カルマンフィルタ等の位置標定方法及び航空機の姿勢等の位置標定環境によらず、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、標定された送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された送信源の位置を選択する。ここで、標定位置の分散値が小さいことは、標定位置が真位置に近いことの目安となる。そして、選択された送信源の位置に基づいて、過去から現在への送信源の移動方向及び移動速度を算出し、現在から将来への送信源の移動方向及び移動速度を予測する。さらに、現在から将来への送信源の移動方向及び移動速度に基づいて、現在から将来への送信源の位置を予測して最終出力とするにあたり、位置標定処理を通じて予測された送信源の位置を直線的かつ連続的に繋げる。
【0010】
具体的には、本開示は、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、前記送信源からの受信波の到来方向の予測値と、が一致するように、前記送信源の位置を標定する位置標定部と、前記送信源の位置の標定の開始後に標定された前記送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する位置選択部と、前回に選択されると予測された前記送信源の位置と今回に選択された前記送信源の位置とを結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間する位置予測部と、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする位置出力部と、を備えることを特徴とする送信源位置標定装置である。
【0011】
また、本開示は、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、前記送信源からの受信波の到来方向の予測値と、が一致するように、前記送信源の位置を標定する位置標定ステップと、前記送信源の位置の標定の開始後に標定された前記送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する位置選択ステップと、前回に選択されると予測された前記送信源の位置と今回に選択された前記送信源の位置とを結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間する位置予測ステップと、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とする位置出力ステップと、を順に繰り返しコンピュータに実行させるための送信源位置標定プログラムである。
【0012】
これらの構成によれば、送信源の位置を標定するにあたり、カルマンフィルタ等の位置標定方法及び航空機の姿勢等の位置標定環境によらず、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0013】
また、本開示は、前記位置予測部は、(1)1回目及び2回目に選択された前記送信源の位置を結ぶ線分を、2回目に選択された前記送信源の位置から外挿することにより、3回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、3回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、(2)2回目及び3回目に選択された前記送信源の位置を結ぶ線分を、3回目に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、4回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、4回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、前記位置出力部は、(1)3回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、3回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とし、(2)4回目に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、4回目に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とすることを特徴とする送信源位置標定装置である。
【0014】
この構成によれば、位置標定処理の開始段階を実行することができる。
【0015】
また、本開示は、前記位置予測部は、今回に選択された前記送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったときに、前回及び今回に選択されると予測された前記送信源の位置を結ぶ線分を、今回に選択されると予測された前記送信源の位置から外挿することにより、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向を算出するとともに、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置を補間し、前記位置出力部は、次回に選択されると予測される前記送信源の位置の方向の算出結果と、次回に前記送信源の位置が選択されるまでの前記送信源の位置の補間結果と、を前記送信源の位置の最終出力とすることを特徴とする送信源位置標定装置である。
【0016】
この構成によれば、標定された送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったとしても、標定された送信源の位置の分散値が以前に所定分散値より小さかったときの送信源の移動方向及び移動速度の予測結果に基づいて、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0017】
また、本開示は、前記位置選択部は、標定された前記送信源の位置の分散値が極小値に到達するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する処理を、前記送信源の位置の標定の安定段階に実行し、標定された前記送信源の位置の分散値が初めて所定分散値より小さくなったときに、及び、その後に所定時間間隔が経過するたびに、標定された前記送信源の位置を選択する処理を、前記送信源の位置の標定の初期段階に実行することを特徴とする送信源位置標定装置である。
【0018】
この構成によれば、標定された送信源の位置の分散値が小さくかつ安定する安定段階では、位置分散値に基づく極小分散値を有する標定位置の出力処理を実行することができる。一方で、標定された送信源の位置の分散値が大きくかつ安定しない初期段階では、位置分散値に基づかない所定時間間隔毎の標定位置の出力処理を実行することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本開示は、送信源の位置を標定するにあたり、カルマンフィルタ等の位置標定方法及び航空機の姿勢等の位置標定環境によらず、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術の第1の位置標定結果を示す図である。
図2】従来技術の第1の位置標定結果を示す図である。
図3】従来技術の第2の位置標定結果を示す図である。
図4】本開示の位置標定システムの構成を示す図である。
図5】第1実施形態の位置標定手順を示す図である。
図6】第1実施形態の位置標定内容を示す図である。
図7】第1実施形態の位置標定内容を示す図である。
図8】第1実施形態の位置標定結果を示す図である。
図9】第1実施形態の位置標定結果を示す図である。
図10】第2実施形態の位置標定手順を示す図である。
図11】第2実施形態の位置標定内容を示す図である。
図12】第2実施形態の位置標定内容を示す図である。
図13】第2実施形態の位置標定内容を示す図である。
図14】第2実施形態の位置標定結果を示す図である。
図15】第2実施形態の位置標定結果を示す図である。
図16】第1、2実施形態の位置標定比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0022】
(本開示の位置標定システムの概要)
本開示の位置標定システムの構成を図4に示す。位置標定システムPは、到来方向測定装置1及び位置標定装置2から構成される。位置標定装置2は、位置標定部21、位置選択部22、位置予測部23及び位置出力部24から構成される。位置標定装置2は、図5及び図10に示す位置標定プログラムを、コンピュータにインストールすることにより実現される。
【0023】
到来方向測定装置1は、移動体が搭載するアンテナが受信した送信源からの受信波を取得し、送信源からの受信波の到来方向のスペクトルを算出する。ここで、送信源からの受信波の到来方向のスペクトルとして、MUSIC(Multiple Signal Classification)スペクトル等が挙げられる。そして、到来方向測定装置1は、MUSICスペクトルを算出するために、各アンテナ間の受信位相差の情報、各アンテナの搭載位置の情報及び送信源の送信周波数の情報を取得する。
【0024】
位置標定部21は、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、送信源からの受信波の到来方向の予測値(位置標定システムPを搭載する移動体の位置と、前回の送信源の標定位置と、に基づいて算出。)と、が一致するように、送信源の位置を標定する。ここで、位置標定部21として、カルマンフィルタ等が挙げられ、カルマンフィルタ等の状態方程式として、固定点モデル(送信源が固定)又は直線運動モデル(送信源が直線運動)等が挙げられ、カルマンフィルタ等の観測方程式として、三角測量方程式等が挙げられる。そして、位置標定部21は、送信源の位置を標定するために、送信源からの受信波の到来方向の情報、移動体の位置姿勢の情報及び前回の送信源の標定位置の情報を取得する。
【0025】
第1実施形態の位置選択部22は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)が極小値に到達するたびに、標定された送信源の位置を選択する。第2実施形態の位置選択部22は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)が初めて所定分散値より小さくなったときに、及び、その後に所定時間間隔が経過するたびに、標定された送信源の位置を選択する。ここで、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)が小さいことは、標定された送信源の位置が送信源の真位置に近いことの目安となる。
【0026】
第1実施形態及び第2実施形態の位置予測部23は、選択された送信源の位置に基づいて、過去から現在への送信源の移動方向及び移動速度を算出し、現在から将来への送信源の移動方向及び移動速度を予測する。そして、現在から将来への送信源の移動方向及び移動速度に基づいて、現在から将来への送信源の位置を予測して最終出力とするにあたり、位置標定処理を通じて予測された送信源の位置を直線的かつ連続的に繋げる。
【0027】
(第1実施形態の位置標定処理)
第1実施形態の位置標定手順を図5に示す。第1実施形態の位置標定内容を図6及び図7に示す。位置標定部21は、時刻t以前から時刻t以降まで等しい時間間隔をおいて、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、送信源からの受信波の到来方向の予測値(位置標定システムPを搭載する移動体の位置と、前回の送信源の標定位置と、に基づいて算出。)と、が一致するように、送信源の位置を標定する(ステップS1)。
【0028】
時刻t以前では、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、送信源の位置の標定の開始後に未だ所定分散値より大きく(ステップS2、NO)、ステップS2で一度もYESになっていない(ステップS3、NO)。そこで、位置選択部22は、カルマンフィルタ等と同様、標定された送信源の位置をそのまま選択する(ステップS4)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置を送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0029】
時刻t以前でも、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、送信源の位置の標定の開始後に初めて所定分散値より小さくなり得るが(ステップS2、YES)、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、カルマンフィルタ等と同様、標定された送信源の位置をそのまま選択する(ステップS6)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置を送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0030】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0031】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、カルマンフィルタ等と同様、標定された送信源の位置をそのまま選択する(ステップS6)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置を送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0032】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択された送信源の位置から外挿することにより、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸への方向)を算出する(ステップS7)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸への方向)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0033】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS6)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS6)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0034】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を算出する(ステップS7)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0035】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS6)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS6)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0036】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を算出する(ステップS7)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0037】
時刻tから時刻tまででは、最初は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、その後は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS2、NO)、ステップS2で一度はYESになっており(ステップS3、YES)、いずれにしても、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS6)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS6)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0038】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS2、NO)、ステップS2で一度はYESになっており(ステップS3、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。ただし、位置予測部23は、時刻tに選択された送信源の位置を適用しない。むしろ、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択されると予測された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を算出する(ステップS7)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0039】
時刻tから時刻tまででは、最初は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS2、NO)、ステップS2で一度はYESになっており(ステップS3、YES)、その後は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、いずれにしても、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS6)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択されると予測された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS6)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0040】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達している(ステップS5、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図7の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS7)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を算出する(ステップS7)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに選択されると予測される送信源の位置の方向(図7の時刻tの白丸の方向)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0041】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS2、YES)、極小値に到達していない(ステップS5、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS6)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS6)。さらに、位置出力部24は、次回に標定指標が極小値に到達する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS8)。
【0042】
第1実施形態の位置標定結果を図8及び図9に示す。航空機及び送信源の位置関係は、図1及び図8の上段において同様である。カルマンフィルタ等の状態方程式として、固定点モデル(送信源が固定)を適用している。標定位置は、円弧を繋げた経路を示さず、線分を繋げた経路を示し、最終的な標定位置は、最終的な真位置の近傍にある。
【0043】
標定指標は、図1の下段の円弧状の標定位置が真位置に近づくと小さくなり、図1の下段の円弧状の標定位置が真位置から遠ざかると大きくなり、これらの状態を繰り返す。位置選択部22は、標定指標が極小値に到達するたびに、標定位置を選択しており、これらの標定位置での標定指標は、所定分散値より大きくならず小さくなっている。
【0044】
標定精度(標定位置と真位置との間の誤差)は、第1実施形態では従来技術と比べて、位置標定処理を通じて小さい。送信源の標定角度は、第1実施形態では従来技術と比べて、位置標定開始の直後では同一結果となり、位置予測処理の前半では真値からばらつくが、位置予測処理の後半では真値に近づく。送信源の標定速度は、第1実施形態では従来技術と比べて、位置標定開始の直後では同一結果となり、位置予測処理の前半では真値からあまりばらつかず、位置予測処理の後半では真値からほとんどばらつかない。
【0045】
図5から図9までで説明したように、送信源の位置を標定するにあたり、カルマンフィルタ等の位置標定方法及び航空機の姿勢等の位置標定環境によらず、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0046】
図7の時刻tのように、標定された送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったとしても、標定された送信源の位置の分散値が以前に所定分散値より小さかったときの送信源の移動方向及び移動速度の予測結果に基づいて、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0047】
(第2実施形態の位置標定処理)
第2実施形態の位置標定手順を図10に示す。第2実施形態の位置標定内容を図11から図13までに示す。位置標定部21は、時刻t以前から時刻t以降まで等しい時間間隔をおいて、送信源からの受信波の到来方向の実測値と、送信源からの受信波の到来方向の予測値(位置標定システムPを搭載する移動体の位置と、前回の送信源の標定位置と、に基づいて算出。)と、が一致するように、送信源の位置を標定する(ステップS9)。
【0048】
時刻t以前では、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、送信源の位置の標定の開始後に未だ所定分散値より大きく(ステップS10、NO)、ステップS10で一度もYESになっていない(ステップS11、NO)。そこで、位置選択部22は、カルマンフィルタ等と同様、標定された送信源の位置をそのまま選択する(ステップS12)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置を送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0049】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、送信源の位置の標定の開始後に初めて所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されていない(ステップS13、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS14)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0050】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、カルマンフィルタ等と同様、標定された送信源の位置をそのまま選択する(ステップS16)。そして、位置出力部24は、標定された送信源の位置を送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0051】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過している(ステップS15、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS17)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択された送信源の位置から外挿することにより、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を算出する(ステップS17)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0052】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS16)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0053】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過している(ステップS15、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS17)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を算出する(ステップS17)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0054】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS16)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0055】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過している(ステップS15、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS17)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を算出する(ステップS17)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0056】
時刻tから時刻tまででは、最初は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、その後は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS10、NO)、ステップS10で一度はYESになっており(ステップS11、YES)、いずれにしても、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS16)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0057】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS10、NO)、ステップS10で一度はYESになっており(ステップS11、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過している(ステップS15、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS17)。ただし、位置予測部23は、時刻tに選択された送信源の位置を適用しない。むしろ、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択されると予測された送信源の位置を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を算出する(ステップS17)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0058】
時刻tから時刻tまででは、最初は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より大きく(ステップS10、NO)、ステップS10で一度はYESになっており(ステップS11、YES)、その後は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、いずれにしても、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS16)。そして、位置予測部23は、時刻t及び時刻tに選択されると予測された送信源の位置を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0059】
時刻tでは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過している(ステップS15、YES)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置(図12の時刻tの黒丸)を選択する(ステップS17)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を算出する(ステップS17)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図12の時刻tの白丸)を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0060】
時刻tから時刻tまででは、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)は、所定分散値より小さく(ステップS10、YES)、位置予測処理は開始されており(ステップS13、YES)、時刻tから所定時間間隔(位置標定間隔より長い)が経過していない(ステップS15、NO)。そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置を選択しない(ステップS16)。そして、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と時刻tに選択された送信源の位置とを結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間する(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果を、送信源の位置の最終出力とする(ステップS18)。
【0061】
時刻tでは、別個の方法として、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と、送信源の位置の分散値が所定分散値より小さい状態から大きい状態へと遷移したときの送信源の位置(図13の時刻t’の黒丸)と、を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより(図13の時刻t”の白丸)、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図13の時刻tの白丸)を算出してもよい(ステップS17)。時刻tから時刻tまででは、位置予測部23は、時刻tに選択されると予測された送信源の位置と、送信源の位置の分散値が所定分散値より小さい状態から大きい状態へと遷移したときの送信源の位置と、を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間してもよい(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図13の時刻tの白丸)と、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果と、を送信源の位置の最終出力としてもよい(ステップS18)。
【0062】
時刻tでは、別個の方法として、位置予測部23は、送信源の位置の分散値が所定分散値より大きい状態から小さい状態へと遷移したときの送信源の位置(図13の時刻t’の黒丸)と、時刻tに選択された送信源の位置(図13の時刻tの黒丸)と、を結ぶ線分を、時刻tに選択されると予測された送信源の位置から外挿することにより(図13の時刻t”の白丸)、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図13の時刻tの白丸)を算出してもよい(ステップS17)。時刻tから時刻tまででは、位置予測部23は、送信源の位置の分散値が所定分散値より大きい状態から小さい状態へと遷移したときの送信源の位置と、時刻tに選択された送信源の位置と、を結ぶ線分の長さ及び方向に基づいて、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置を補間してもよい(ステップS16)。さらに、位置出力部24は、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに選択されると予測される送信源の位置(図13の時刻tの白丸)と、次回に所定時間間隔が経過する時刻tに送信源の位置が選択されるまでの送信源の位置の補間結果と、を送信源の位置の最終出力としてもよい(ステップS18)。
【0063】
第2実施形態の位置標定結果を図14及び図15に示す。航空機及び送信源の位置関係は、図1及び図14の上段において同様である。カルマンフィルタ等の状態方程式として、固定点モデル(送信源が固定)を適用している。標定位置は、円弧を繋げた経路を示さず、線分を繋げた経路を示し、最終的な標定位置は、最終的な真位置の近傍にある。
【0064】
標定指標は、図1の下段の円弧状の標定位置が真位置に近づくと小さくなり、図1の下段の円弧状の標定位置が真位置から遠ざかると大きくなり、これらの状態を繰り返す。位置選択部22は、所定時間間隔が経過するたびに、標定位置を選択しており、これらの標定位置での標定指標は、所定分散値より大きくならず小さくなっている。
【0065】
標定精度(標定位置と真位置との間の誤差)は、第2実施形態では従来技術と比べて、位置標定処理を通じて小さい。送信源の標定角度は、第2実施形態では従来技術と比べて、位置標定開始の直後では同一結果となり、位置予測処理の前半では真値からばらつくが、位置予測処理の後半では真値に近づく。送信源の標定速度は、第2実施形態では従来技術と比べて、位置標定開始の直後では同一結果となり、位置予測処理の前半では真値からあまりばらつかず、位置予測処理の後半でも真値からあまりばらつかない。
【0066】
図10から図15までで説明したように、送信源の位置を標定するにあたり、カルマンフィルタ等の位置標定方法及び航空機の姿勢等の位置標定環境によらず、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0067】
図12の時刻tのように、標定された送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったとしても、標定された送信源の位置の分散値が以前に所定分散値より小さかったときの送信源の移動方向及び移動速度の予測結果に基づいて、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0068】
図13の時刻tのように、標定された送信源の位置の分散値が一時的に所定分散値より大きくなったとしても、送信源の位置の分散値が所定分散値より小さい状態から大きい状態へと遷移するまでの送信源の移動方向及び移動速度の算出結果に基づいて、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0069】
図13の時刻tのように、標定された送信源の位置の分散値が再び所定分散値より小さくなったときには、送信源の位置の分散値が所定分散値より大きい状態から小さい状態へと遷移してからの送信源の移動方向及び移動速度の算出結果に基づいて、滑らかに移動するとともに真位置から大きくずれない標定位置を出力することができる。
【0070】
(第1、2実施形態の位置標定比較)
第1、2実施形態の位置標定比較を図16に示す(図9及び図15の再掲)。標定精度(標定位置と真位置との間の誤差)は、第1実施形態では第2実施形態と比べて、位置予測処理の前半では大きいが、位置予測処理の後半では小さい。送信源の標定角度は、第1実施形態では第2実施形態と比べて、位置予測処理の前半では真値からばらつかず、位置予測処理の後半では真値に近づく。送信源の標定速度は、第1実施形態では第2実施形態と比べて、位置予測処理の前半では真値からばらつくが、位置予測処理の後半では真値に近づく。
【0071】
そこで、位置選択部22は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)が極小値に到達するたびに、標定された送信源の位置を選択する処理を、送信源の位置の標定の安定段階に実行することが望ましいと考えらえる。一方で、位置選択部22は、標定された送信源の位置の分散値(標定指標)が初めて所定分散値より小さくなったときに、及び、その後に所定時間間隔が経過するたびに、標定された送信源の位置を選択する処理を、送信源の位置の標定の初期段階に実行することが望ましいと考えられる。
【0072】
よって、標定された送信源の位置の分散値が小さくかつ安定する安定段階では、位置分散値に基づく極小分散値を有する標定位置の出力処理を実行することができる。一方で、標定された送信源の位置の分散値が大きくかつ安定しない初期段階では、位置分散値に基づかない所定時間間隔毎の標定位置の出力処理を実行することができる。
【0073】
第1実施形態では、標定指標が極小値に到達する時間間隔が長過ぎれば、位置標定精度を低くする可能性がある。そこで、標定指標が極小値に到達する時間間隔に応じて、第1実施形態を適用しているときでも、第2実施形態に切り替えればよい。
【0074】
第2実施形態では、所定時間間隔が長過ぎれば、位置標定精度を低くする可能性があり、所定時間間隔が短過ぎれば、カルマンフィルタ等と変わらない可能性がある。そこで、航空機及び送信源の位置環境に応じて、所定時間間隔を適切に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示の送信源位置標定装置及び送信源位置標定プログラムは、超音波又はレーダ等を利用してターゲットとなる送信源を追尾する目的等に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
P:位置標定システム
1:到来方向測定装置
2:位置標定装置
21:位置標定部
22:位置選択部
23:位置予測部
24:位置出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16