(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】用紙搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20240910BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240910BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240910BHJP
B65H 3/68 20060101ALI20240910BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H7/12
G03G15/00 480
B65H3/68
H04N1/00 C
(21)【出願番号】P 2020168197
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊紀
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178467(JP,A)
【文献】特開2019-104635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/38
B65H 7/12
G03G 15/00
B65H 3/68
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送するための用紙搬送路の一部を構成する固定ガイドを有する固定部、
前記固定ガイドに対向して配置されて前記用紙搬送路の他の一部を構成する移動ガイドを有する移動部、
前記移動ガイドを前記固定ガイドから離間させて前記用紙搬送路を開くことができるように前記移動部を前記固定部に対して移動可能に連結する連結部、
前記固定部および前記移動部の一方に設けられた重送検知発信部と前記固定部および前記移動部の他方に前記重送検知発信部と対向して設けられた重送検知受信部とを有し、前記用紙搬送路を搬送される用紙が前記重送検知発信部と前記重送検知受信部との間を通過するときに用紙の重送を検知する重送検知センサ
、
前記固定部における前記用紙搬送路から外れた部分に設けられた第1接触部と前記移動部における前記用紙搬送路から外れた部分に設けられた第2接触部とを有する位置決め部
、および
開閉検知発信部と前記開閉検知発信部に対向する開閉検知受信部とを有し、前記用紙搬送路の開閉状態を検知する開閉検知センサを備え、
用紙搬送方向に対して直交する方向であって前記用紙搬送路を通過する用紙の紙面に対して平行となる方向を位置決め方向としたとき、前記第1接触部および前記第2接触部は、前記移動部が前記固定部から移動したときに互いに離間し、前記移動部が前記固定部に戻されたときに前記位置決め方向から互いに接触するように構成され、
前記第1接触部および前記第2接触部の一方は、前記固定部および前記移動部の一方から突出した位置決め突起として構成され、
前記第1接触部および前記第2接触部の他方は、前記固定部および前記移動部の他方に開いた位置決め開口として構成され、
前記移動部が前記固定部に戻されたとき、前記位置決め突起が前記位置決め開口に挿し込まれ、
前記位置決め突起が前記位置決め開口に挿し込まれる方向を挿込み方向としたとき、前記開閉検知発信部および前記開閉検知受信部は、前記位置決め開口の入口よりも前記挿込み方向の先方側において互いに間隔を隔てて設けられ、
前記移動部が前記固定部に戻されたとき、前記位置決め突起の先端部が前記開閉検知発信部と前記開閉検知受信部との間に配置される、用紙搬送装置。
【請求項2】
前記重送検知発信部の中心と前記重送検知受信部の中心とを繋ぐ検知中心線が前記用紙搬送路と交差する点を重送検知点としたとき、前記位置決め部は、前記位置決め方向における前記重送検知点の真横に設けられる、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記重送検知点は、前記位置決め方向における前記用紙搬送路の中心から前記位置決め部が設けられた側へ偏った位置に配置される、請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記重送検知発信部および前記重送検知受信部は、前記用紙搬送路を通過する用紙の紙面に対して傾斜する方向から互いに対向するように、前記位置決め方向へ互いに間隔を隔てて設けられる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記移動部を前記固定部に対して回動可能に連結するヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部の回動中心線は、前記位置決め方向へ延びるように配置される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記位置決め開口の内周面に対して前記位置決め方向から接触する前記位置決め突起の側端面は、先端へ向かうにつれて前記内周面から遠ざかるように傾斜または湾曲して形成される、請求項
1から5までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記位置決め突起は、前記用紙搬送方向に対して直交する2つの主面を有する板状の第1突起部と、前記第1突起部と一体に形成され、前記位置決め方向に対して直交する2つの主面を有する板状の第2突起部とを有し、
前記移動部が前記固定部に戻されたとき、前記位置決め方向における前記第1突起部の側端面が前記位置決め開口の内周面に対向するように配置されるとともに、前記第2突起部が前記開閉検知発信部と前記開閉検知受信部との間に配置される、請求項
1から6までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記第1突起部の厚さは、前記第2突起部の厚さよりも厚く定められる、請求項
7に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
前記第2突起部は、その先端部が前記第1突起部の先端よりも突出するように形成される、請求項
7または
8に記載の用紙搬送装置。
【請求項10】
前記位置決め突起を前記位置決め開口の内側に案内する傾斜面を有する案内部を備え、
前記傾斜面は、前記挿込み方向の先方へ向かうにつれて前記位置決め開口の外側から内側へ向かうように傾斜して形成される、請求項
1から
9までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項11】
請求項1から
10までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は用紙搬送装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、用紙搬送路を搬送される用紙の重送を検知する重送検知センサを備える、用紙搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の用紙搬送装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の用紙搬送装置は、画像形成装置の給紙装置として構成されたものであり、通紙経路と、記録用紙を1枚ずつ通紙経路へ供給する給紙ローラと、通紙経路で記録用紙を搬送する搬送ローラと、通紙経路で記録用紙の重送を検知する重送検知センサとを備えている。重送検知センサは、通紙経路を介して対向する受信部と発信部とを有する。通紙経路の一部は、一対のガイド板で構成されており、一対のガイド板の少なくとも一方には、重送検知センサ(受信部または発信部)が設けられている。重送検知センサが設けられたガイド板は、回動支持軸において回動可能に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給紙装置(用紙搬送装置)では、記録用紙の重送によって通紙経路で紙詰まり(ジャム)が生じた場合でも、ガイド板を回動させて通紙経路を開くことができるので、詰まった記録用紙を容易に取り除くことができる。しかしながら、ガイド板の回動部でガタが生じ易いため、ガイド板および重送検知センサの位置精度を高めることが困難であり、重送検知センサが誤動作し易いという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、用紙搬送装置および画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、重送検知センサの誤動作を少なくすることができる、用紙搬送装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、用紙を搬送するための用紙搬送路の一部を構成する固定ガイドを有する固定部と、固定ガイドに対向して配置されて用紙搬送路の他の一部を構成する移動ガイドを有する移動部と、移動ガイドを固定ガイドから離間させて用紙搬送路を開くことができるように移動部を固定部に対して移動可能に連結する連結部と、固定部および移動部の一方に設けられた重送検知発信部と固定部および移動部の他方に重送検知発信部と対向して設けられた重送検知受信部とを有し、用紙搬送路を搬送される用紙が重送検知発信部と重送検知受信部との間を通過するときに用紙の重送を検知する重送検知センサと、固定部における用紙搬送路から外れた部分に設けられた第1接触部と移動部における用紙搬送路から外れた部分に設けられた第2接触部とを有する位置決め部と、開閉検知発信部と前記開閉検知発信部に対向する開閉検知受信部とを有し、前記用紙搬送路の開閉状態を検知する開閉検知センサを備え、用紙搬送方向に対して直交する方向であって用紙搬送路を通過する用紙の紙面に対して平行となる方向を位置決め方向としたとき、第1接触部および第2接触部は、移動部が固定部から移動したときに互いに離間し、移動部が固定部に戻されたときに位置決め方向から互いに接触するように構成され、第1接触部および前記第2接触部の一方は、前記固定部および前記移動部の一方から突出した位置決め突起として構成され、第1接触部および前記第2接触部の他方は、前記固定部および前記移動部の他方に開いた位置決め開口として構成され、移動部が前記固定部に戻されたとき、前記位置決め突起が前記位置決め開口に挿し込まれ、位置決め突起が前記位置決め開口に挿し込まれる方向を挿込み方向としたとき、前記開閉検知発信部および前記開閉検知受信部は、前記位置決め開口の入口よりも前記挿込み方向の先方側において互いに間隔を隔てて設けられ、移動部が前記固定部に戻されたとき、前記位置決め突起の先端部が前記開閉検知発信部と前記開閉検知受信部との間に配置される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属し、重送検知発信部の中心と重送検知受信部の中心とを繋ぐ検知中心線が用紙搬送路と交差する点を重送検知点としたとき、位置決め部は、位置決め方向における重送検知点の真横に設けられる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に従属し、重送検知点は、位置決め方向における用紙搬送路の中心から位置決め部が設けられた側へ偏った位置に配置される。
【0010】
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明に従属し、重送検知発信部および重送検知受信部は、用紙搬送路を通過する用紙の紙面に対して傾斜する方向から互いに対向するように、前記位置決め方向へ互いに間隔を隔てて設けられる。
【0011】
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明に従属し、連結部は、移動部を固定部に対して回動可能に連結するヒンジ部を有し、ヒンジ部の回動中心線は、位置決め方向へ延びるように配置される。
【0013】
第6の発明は、第1から5までのいずれかの発明に従属し、位置決め開口の内周面に対して位置決め方向から接触する位置決め突起の側端面は、先端へ向かうにつれて内周面から遠ざかるように傾斜または湾曲して形成される。
【0015】
第7の発明は、第1から6までいずれかの発明に従属し、位置決め突起は、用紙搬送方向に対して直交する2つの主面を有する板状の第1突起部と、第1突起部と一体に形成され、位置決め方向に対して直交する2つの主面を有する板状の第2突起部とを有し、移動部が固定部に戻されたとき、位置決め方向における第1突起部の側端面が位置決め開口の内周面に対向するように配置されるとともに、第2突起部が開閉検知発信部と開閉検知受信部との間に配置される。
【0016】
第8の発明は、第7の発明に従属し、第1突起部の厚さは、第2突起部の厚さよりも厚く定められる。
【0017】
第9の発明は、第7または第8の発明に従属し、第2突起部は、その先端部が第1突起部の先端よりも突出するように形成される。
【0018】
第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明に従属し、位置決め突起を位置決め開口に案内する傾斜面を有する案内部を備え、傾斜面は、挿込み方向の先方に向かうにつれて位置決め開口の外側から内側へ向かうように傾斜して形成される。
【0019】
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明に係る用紙搬送装置を備える、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、位置決め部によって移動部を固定部に対して位置決めでき、重送検知発信部および重送検知受信部の位置決め方向における動きを抑制できる。したがって、重送検知センサの位置精度を高めることが可能であり、重送検知センサの誤動作を少なくすることができる。
【0021】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の第1実施例の用紙搬送装置を備える画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【
図2】用紙搬送装置の外観を示す斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】固定部に対して移動部を回動させた状態を示す斜視図である。
【
図4】固定ガイドおよび移動ガイドの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】用紙搬送装置の要部の構成を示す斜視図である。
【
図6】用紙搬送装置の要部の構成を示す断面図である。
【
図8】この発明の第2実施例の用紙搬送装置の位置決め部の構成を示す斜視図である。
【
図9】この発明の第3実施例の用紙搬送装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施例]
図1に示すように、この発明の第1実施例の用紙搬送装置10は、画像形成装置12に組み込まれる画像読取装置14の一部分である。以下では、先ず、画像形成装置12の基本構成について説明し、続いて、画像読取装置14(用紙搬送装置10を含む)について説明する。なお、以下の説明で用いる前後、左右および上下の各方向は、画像形成装置12を操作するユーザから見た方向を基準として規定する。つまり、ユーザから見て、手前側を「前」、奥側を「後」、左手側を「左」、右手側を「右」とする。また、鉛直上方を「上」とし、鉛直下方を「下」とする。これらの各方向は、図中に矢印で示す各方向と一致する。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置12は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、画像形成装置本体12aと、その上側に配置される画像読取装置14とを含む。
【0025】
画像形成装置本体12aの内部には、制御部16および画像形成部18などが設けられる。制御部16は、CPUおよびメモリ等を含み、操作パネル(図示省略)への入力操作などに応じて、画像形成装置12の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置12(用紙搬送装置10を含む)の種々の動作を制御する。
【0026】
画像形成部18は、露光ユニット20、現像器22、感光体ドラム24、クリーナユニット26、帯電器28、中間転写ベルトユニット30、転写ローラ32および定着ユニット34等を備える。画像形成部18は、給紙トレイ36等から搬送される用紙(図示省略)に画像を形成するとともに、画像が形成された用紙を排紙トレイ38に排出する。用紙に画像を形成するための画像データとしては、後述する第1画像読取部50および第2画像読取部58で読み取った画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0027】
なお、画像形成装置12において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器22、感光体ドラム24、クリーナユニット26および帯電器28のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0028】
また、画像形成装置本体12aの内部には、給紙トレイ36等からの用紙をレジストローラ40、転写ローラ32および定着ユニット34を経由させて排紙トレイ38に送るための第1用紙搬送路L1が構成される。また、両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット34を通過した用紙を、転写ローラ32の用紙搬送方向の上流側から第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が構成される。第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ41が適宜設けられる。
【0029】
画像読取装置14は、読取装置本体42と、読取装置本体42の上側に2つのヒンジ装置44(
図3)を用いて回動可能に取り付けられた用紙搬送装置10とを備える。
図3に示すように、2つのヒンジ装置44は、読取装置本体42(
図1)の後端部の上部と用紙搬送装置10の後端部の下部とを連結するように、左右方向に間隔を隔てて設けられる。また、
図1に示す読取装置本体42の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付ける操作パネル(図示省略)が設けられる。この操作パネルには、タッチパネル付きディスプレイおよび操作ボタン等が適宜設けられる。
【0030】
読取装置本体42は、透明材によって形成された原稿載置台46が上面に設けられた筐体48を有し、筐体48の内部には、原稿Wの画像を読み取るための第1画像読取部50が設けられる。第1画像読取部50は、光源50a、複数のミラー50b、結像レンズ50cおよび読取センサ(ラインセンサ)50d等を備え、光源50aおよび複数のミラー50b等によって走査ユニットが構成される。
【0031】
第1画像読取部50が原稿Wの表面の画像を読み取るとき、光源50aが原稿Wの表面を露光し、複数のミラー50bが原稿Wの表面で反射した反射光を結像レンズ50cに導く、そして、結像レンズ50cがその反射光を読取センサ50dの受光素子(図示省略)に結像させる。読取センサ50dは、結像された反射光の輝度や色度を検出し、原稿Wの画像に基づく画像データを生成する。読取センサ50dとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0032】
第1画像読取部50は、原稿載置台46上に載置された原稿Wの画像を読み取る固定読みと、用紙搬送装置10によって用紙搬送路L3を搬送される原稿Wの画像を読み取る流し読みとに対応する。固定読みの場合、第1画像読取部50は、光源50aおよび複数のミラー50b等の走査ユニットを原稿載置台46の下方で副走査方向に往復移動させながら、原稿Wの第1画像読取部50側(表面側)の画像を読み取る。一方、流し読みの場合、第1画像読取部50は、走査ユニットをホームポジションである第1画像読取位置P1の下方で待機させて、用紙搬送装置10によって搬送される原稿Wが第1画像読取位置P1を通過するときに、原稿Wの第1画像読取部50側(表面側)の画像を読み取る。
【0033】
図1に示す用紙搬送装置10は、「用紙」としての原稿Wを1枚ずつ自動的に搬送する自動用紙搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)である。
図2および
図3に示すように、用紙搬送装置10は、その内部に第3用紙搬送路L3が構成された固定部52および移動部54と、これらを互いに連結する「連結部」としてのヒンジ部56(
図3)とを備える。また、
図1に示すように、用紙搬送装置10は、第2画像読取部58と、第3用紙搬送路L3に沿って配置された給紙部60、第1搬送部62および第2搬送部64とを備える。
【0034】
さらに、
図5および
図6に示すように、用紙搬送装置10は、原稿W(
図6)の重送を検知する重送検知センサ66と、第3用紙搬送路L3の開閉状態を検知する開閉検知センサ68と、固定部52に対して移動部54を位置決めする位置決め部70と、位置決め部70に近接して設けられた案内部72とを備える。
【0035】
図4に示すように、固定部52は、固定筐体52aと、原稿W(
図1)を搬送するための第3用紙搬送路L3の一部を構成する固定ガイド74とを有する。固定筐体52aは、後側(背面側)の第1フレーム76a(
図6)と、前側(正面側)の第2フレーム76bと、第1フレーム76aと第2フレーム76bとの間に架け渡された第3フレーム76cと、これらを覆う外装部材78(
図2、
図3)とを有する。
図1に示すように、固定筐体52aの中央上部には、給紙口80aが形成され、固定筐体52aの中央下部には、排紙口80bが形成される。
【0036】
図4に示すように、固定ガイド74は、固定筐体52aとは別部品として形成されて、固定筐体52aに固定される。固定ガイド74は、前後方向に長い板状に形成され、固定ガイド74の一方端部74aが第1フレーム76a(
図6)に接続され、固定ガイド74の他方端部74bが第2フレーム76bに接続される。
【0037】
図4に示すように、移動部54は、移動筐体82と、固定ガイド74に対向して配置されて第3用紙搬送路L3の他の一部を構成する移動ガイド84とを有する。移動筐体82と移動ガイド84とは一体に形成されている。移動筐体82の前後方向両端部の下部には、ヒンジ部56を構成する突起56aが形成される。固定部52の固定筐体52aには、突起56aを回動可能に支持する軸支部(図示省略)が形成されており、当該軸支部に突起56aが篏合されることによってヒンジ部56が構成される。
【0038】
図4に示すように、「連結部」としてのヒンジ部56は、移動ガイド84を固定ガイド74から離間させて第3用紙搬送路L3を開くことができるように、移動部54を固定部52に対して回動可能(すなわち移動可能)に連結する。ヒンジ部56の回動中心線Qは、後述する位置決め方向X(本実施例では前後方向)に延びるように配置される。
【0039】
図2に示すように、通常の使用時には、移動部54が固定部52に近接して配置されて、
図5および
図6に示すように、固定部52の固定ガイド74と移動部54の移動ガイド84とが互いに対向して配置される。これにより、固定ガイド74と移動ガイド84との間に第3用紙搬送路L3が構成される。
図3に示すように、固定部52に対して移動部54を回動させると、固定部52に対して移動部54が左方(上方)へ移動されて、第3用紙搬送路L3が開かれる。この状態では、第3用紙搬送路L3に詰まった原稿W(
図1)を取り除くことができる。
【0040】
図1に示すように、第2画像読取部58は、第1画像読取部50と同様に、光源86a、複数のミラー86b、結像レンズ86cおよび読取センサ86d等を備える。これらは、ユニット化された状態で固定筐体52aの内部に配置される。用紙搬送路L3は、画像を読み取るための画像読取位置P1,P2へ原稿Wを導くように構成された原稿Wの通路であり、第2画像読取部58の外周面に沿って、給紙口80aから排紙口80bまでU字状に延びるように構成される。用紙搬送路L3の入口には、用紙搬送路L3に供給される原稿Wを載置する原稿載置トレイ88が設けられ、用紙搬送路L3の出口には、用紙搬送路L3から排出された原稿Wを載置する原稿排出トレイ90が設けられる。
【0041】
図1に示すように、給紙部60は、原稿載置トレイ88に載置された原稿Wを1枚ずつ用紙搬送路L3へ供給する部分であり、給紙ローラ92と、給紙ローラ92と対をなす分離ローラ94と、ピックアップローラ96とを有する。
【0042】
図1に示すように、第1搬送部62は、給紙部60によって用紙搬送路L3へ供給された原稿Wを画像読取位置P1,P2へ向けて搬送する複数の第1搬送ローラ98a,98bを有する。本実施例では2つの第1搬送ローラ98a,98bが原稿Wの搬送方向(用紙搬送方向)に間隔を隔てて設けられる。2つの第1搬送ローラ98a,98bは、原稿Wを画像読取位置P1,P2へ向けて間欠的に搬送するレジストローラである。
【0043】
本実施例では、第3用紙搬送路L3の入口に給紙部60が設けられ、給紙部60の下流側にレジストローラとしての2つの第1搬送ローラ98a,98bを有する第1搬送部62が設けられる。したがって、第3用紙搬送路L3においては、給紙部60と第1搬送部62との間で原稿Wの紙詰まり(ジャム)を解除することが求められる。そこで、
図3に示すように、移動部54は、給紙部60と第1搬送部62との間で第3用紙搬送路L3を開閉できるように構成される。つまり、移動部54のヒンジ部56は、第1搬送部62の左方に配置され、移動部54の移動ガイド84が設けられた部分は、給紙部60と第1搬送部62との間の領域を覆うように構成される。
【0044】
したがって、移動部54をヒンジ部56で左方へ回動させると、第3用紙搬送路L3における給紙部60と第1搬送部62との間に位置する部分が開かれ、移動部54を固定部52に戻すと、固定ガイド74と移動ガイド84とが対向して当該部分が閉じられる。後述する重送検知センサ66、開閉検知センサ68および位置決め部70は、給紙部60と第1搬送部62との間に設けられる。
【0045】
図1に示すように、第2搬送部64は、第1搬送部62で第3用紙搬送路L3を搬送されてきた原稿Wを画像読取位置P1,P2(
図1)へ供給するとともに、画像が読み取られた原稿Wを原稿排出トレイ90へ向けて搬送する複数の第2搬送ローラ100a,100b,100cを有する。これらの第2搬送ローラ100a,100b,100cは、原稿Wの搬送方向に間隔を隔てて設けられ、これらの下流側には、原稿Wを原稿排出トレイ90へ排出する排紙ローラ102a,102bが原稿Wの搬送方向に間隔を隔てて設けられる。
【0046】
図5および
図6に示すように、重送検知センサ66は、第3用紙搬送路L3を搬送される原稿W(
図6)の重送を検知する超音波センサであり、超音波を発信する重送検知発信部104aと、超音波を受信する重送検知受信部104bとを有する。
図3に示すように、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bは、第3用紙搬送路L3における給紙部60と第1搬送部62との間に位置する部分を上下方向から挟んで、互いに対向して設けられる。
【0047】
図4に示すように、重送検知発信部104aは、2つの固定部材(たとえば、ねじ)106を用いて固定ガイド74に固定される台座108を介して固定部52に設けられる。重送検知受信部104bは、2つの固定部材110を用いて移動ガイド84に固定される台座112を介して移動部54に設けられる。したがって、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bの位置や傾斜角度は、予め設計された台座108,112の位置や傾斜角度で正確に定まる。
【0048】
図6に示すように、原稿Wの搬送方向に対して直交する方向であって第3用紙搬送路L3を通過する原稿Wの紙面に対して平行となる方向を位置決め方向Xとしたとき、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bは、第3用紙搬送路L3を通過する用紙の紙面に対して傾斜する方向から互いに対向するように、位置決め方向Xへ間隔を隔てて設けられる。なお、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bは、原稿Wの搬送方向(位置決め方向Xに対して直交する方向)へ間隔を隔てて設けられてもよい。
【0049】
図6に示すように、重送検知発信部104aの中心と重送検知受信部104bの中心とを繋ぐ検知中心線Kは、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bのそれぞれの中心線とほぼ一致する。本実施例では、検知中心線Kの傾斜角度θが60度に定められる。検知中心線Kが第3用紙搬送路L3と交差する点を重送検知点Mとしたとき、重送検知点Mは、位置決め方向Xにおける第3用紙搬送路L3の中央部に配置され、後述する位置決め部70は、位置決め方向Xにおける重送検知点Mの真横に設けられる。すなわち、位置決め部70は、重送検知センサ66に対して位置決め方向Xに並ぶように設けられる。
【0050】
図5に示すように、開閉検知センサ68は、第3用紙搬送路L3の開閉状態を検知する超音波センサであり、超音波を発信する開閉検知発信部116aと、超音波を受信する開閉検知受信部116bとを有する。本実施例の開閉検知発信部116aおよび開閉検知受光部116bは、位置決め方向X(前後方向)から対向するように共通の台座118に設けられ、台座118は、固定部材120を用いて固定ガイド74に固定される。つまり、開閉検知発信部116aおよび開閉検知受信部116bは、これらの間に隙間Sを確保した状態で、台座118を介して固定部52に設けられる。
【0051】
図6に示すように、位置決め部70は、固定部52に対して移動部54を位置決めする部分であり、固定部52における第3用紙搬送路L3から外れた部分(第3用紙搬送路L3の外側)に設けられた第1接触部122と、移動部54における第3用紙搬送路L3から外れた部分(第3用紙搬送路L3の外側)に設けられた第2接触部124とを有する。第1接触部122および第2接触部124は、移動部54が固定部52から移動したときに互いに離間し、移動部54が固定部52に戻されたときに位置決め方向Xから互いに接触するように構成される。
【0052】
図7に示すように、本実施例では、位置決め部70の第1接触部122が固定部52に開いた「位置決め開口126」として構成され、第2接触部124が移動部54(
図6)から突出した「位置決め突起128」として構成される。移動部54(
図6)が固定部52に戻されたとき、位置決め突起128(第2接触部124)が、位置決め開口126(第1接触部122)に挿し込まれる。
図7を参照する以下の説明では、「位置決め開口」の符号を「126(122)」とし、「位置決め突起」の符号を「128(124)」とする。また、原稿Wの搬送方向(左右方向)を「搬送方向Y」とし、位置決め突起128(124)が位置決め開口126(122)に挿し込まれる方向を「挿込み方向Z」とする。
【0053】
図7に示すように、位置決め開口126(122)は、搬送方向Yへ延びる長孔状に形成される。位置決め突起128(124)は、搬送方向Yに対して直交する2つの主面130a,130bを有する板状の第1突起部130と、第1突起部130と一体に形成され、位置決め方向X(第1突起部130の主面130a,130b)に対して直交する2つの主面132a,132bを有する板状の第2突起部132とを有する。第1突起部130は、搬送方向Yから見た形状が四角形となるように形成され、第2突起部132は、位置決め方向Xから見た形状が直角三角形となるように形成される。これらは、上下方向から見た全体の形状が十字状となるように一体に形成される。
【0054】
位置決め方向Xにおける第1突起部130の長さは、位置決め開口126(122)の長さ(幅)よりも僅かに短く定められ、搬送方向Yにおける第2突起部132の長さは、位置決め開口126(122)の長さよりもやや短く定められる。一方、位置決め開口126(122)では、搬送方向Yの上流側(右側)の部分の幅が下流側(左側)の部分の幅よりも狭く定められる。したがって、位置決め開口126(122)に位置決め突起128(124)が挿し込まれた状態(
図7中に二点鎖線で示す状態)では、搬送方向Yの上流側(右側)において、位置決め開口126(122)の内周面126aと第2突起部132の主面132a,132bとの間隔が狭くなる。
【0055】
図7に示すように、第2突起部132における直角三角形の斜辺を構成する側端面132cは、挿込み方向Zの先方へ向かうにつれて搬送方向Yの上流側(右側)へ向かうように傾斜される。また、第2突起部132における側端面132cとは反対側の側端面132dの下端部は、挿込み方向Zの先方へ向かうにつれて搬送方向Yの下流側(左側)へ向かうように傾斜される。したがって、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)に挿し込むとき、第2突起部132は、位置決め開口126(122)の内周部に当たり難く、また、たとえ当たった場合でも、傾斜した側端面132c,132dで第2突起部132を位置決め開口126(122)の内側へ導くことができる。
【0056】
図7に示すように、位置決め突起128(124)の基端部128aから下方向に突出する第2突起部132の突出長さは、当該基端部128aから下方向に突出する第1突起部130の突出長さよりも長く定められる。つまり、第2突起部132は、その下側の先端部が第1突起部130の下側の先端よりも(第1突起部130の先端から先方へ)突出するように形成され、第2突起部132の下側の先端部の厚さ方向の両側には、第1突起部130は存在しない。本実施例では、
図6に示す開閉検知センサ68が、
図7に示す位置決め開口126(122)の入口126bよりも挿込み方向Zの先方側に設けられ、
図5に示す開閉検知センサ68の隙間Sが位置決め開口126(122)に対向して配置される。したがって、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)に挿し込むと、第2突起部132の先端部が隙間Sに位置する。
【0057】
移動部54(
図6)が固定部52に戻された状態(第3用紙搬送路L3の閉状態)では、
図7中の二点鎖線で示すように、位置決め突起128(124)は、位置決め開口126(122)に挿し込まれた状態にあり、位置決め方向Xにおける第1突起部130の2つの側端面130c,130dは、位置決め開口126(122)の内周面126aに対向して配置される。移動部54(
図6)が固定部52に対して位置決めされるとき、2つの側端面130c,130dの一方が内周面126aに接触する。
【0058】
図7に示すように、位置決め開口126(122)の内周面126aに対して位置決め方向Xから接触する位置決め突起128(124)の側端面130c,130dは、先端へ向かうにつれて内周面126aから遠ざかるように傾斜または湾曲して形成される。また、位置決め開口126(122)の入口126bの内周面126aは、挿込み方向Zの先方に向かうにつれて位置決め開口126(122)の内側へ向かうように傾斜または湾曲して形成される。したがって、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)に挿し込むとき、位置決め突起128(124)が位置決め開口126(122)の外側へずれた場合でも、傾斜または湾曲した側端面130c,130dおよび内周面126aで第1突起部130を位置決め開口126(122)の内側へ導くことができる。
【0059】
案内部72は、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)の内側に案内する傾斜面136を有する2つの案内片138を有する。傾斜面136は、挿込み方向Zの先方へ向かうにつれて位置決め開口126(122)の外側から内側へ向かうように傾斜して形成される。傾斜面136の内側の端部136aは、位置決め開口126(122)の内周縁に配置される。したがって、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)に挿し込むとき、第2突起部132が位置決め開口126(122)の外側へずれた場合でも、傾斜面136で第2突起部132を位置決め開口126(122)の内側へ導くことができる。すなわち、第2突起部132が位置決め開口126(122)の外側へずれた場合でも、位置決め突起128(124)が位置決め開口126(122)に挿入可能な位置に導くことができる。
【0060】
本実施例では、用紙搬送装置10の全体がヒンジ装置44(
図3)で後方へ回動されるように構成されており、移動部54は固定部52に対して後方へ動き易い。そこで、後方へ動いた移動部54を前方へ戻すために、1つの案内部72が位置決め開口126(122)の位置決め方向Xで対向する2つの内周部134a,134bのうち、後方側の内周部134aに設けられる。なお、案内部72は、前方側の内周部134bに設けられてもよいし、内周部134aおよび134bの両方に設けられてもよい。
【0061】
第1実施例の用紙搬送装置10によれば、上記構成により、以下の効果を奏することができる。すなわち、
図6に示すように、移動部54が固定部52に戻されたとき、第1接触部122および第2接触部124が位置決め方向Xから互いに接触するので、固定部52に対する移動部54の位置決め方向Xの動きを抑制でき、固定部52に対して移動部54を位置決めできる。したがって、固定部52および移動部54に設けられた重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bの位置精度を高めることが可能であり、重送検知センサ66の誤動作を少なくすることができる。なお、位置決め方向Xには、重送検知センサ66を挟んだ一方側へ向かう方向と他方側へ向かう方向が含まれるが、第1接触部122および第2接触部124の一方は他方に対していずれの方向から接触してもよい。
【0062】
また、移動部54の移動時には、第1接触部122および第2接触部124が互いに離間するので、これらのサイズを小さくできる。したがって、第1接触部122および第2接触部124を低コストで簡単に作ることができる。
【0063】
図3に示すように、第3用紙搬送路L3で原稿W(
図1)の重送による紙詰まり(ジャム)が生じた場合でも、固定部52に対して移動部54を移動させることによって第3用紙搬送路L3を開くことができるので、詰まった原稿Wや重送検知センサ66に付着した紙粉などを容易に取り除くことができる。
【0064】
図6に示すように、位置決め部70が位置決め方向Xにおける重送検知点Mの真横に設けられるので、真横からずれた位置に設けられる場合と比べて、重送検知センサ66と位置決め部70との距離を短くすることが可能であり、重送検知センサ66の位置精度を向上させることができる。
【0065】
図6に示すように、重送検知発信部104aおよび重送検知受信部104bは、第3用紙搬送路L3を通過する原稿Wの紙面に対して傾斜角θで傾斜する方向に互いに対向するように位置決め方向Xへ互いに間隔を隔てて設けられるので、重送検知発信部104aに対する重送検知受信部104bの相対的な位置が位置決め方向Xへずれた場合でも、これらの中心線に対して直交する方向へのズレ幅、すなわち検知精度に影響を及ぼすズレ幅を小さくすることができる。
【0066】
図4に示すように、ヒンジ部56で移動部54を回動させることができるので、第3用紙搬送路L3の開閉作業を容易に行うことができる。また、ヒンジ部56では、原稿Wの搬送方向、すなわち回動中心線Qの延びる方向に対して直交する方向のガタツキが生じ難いので、固定部52に対する移動部54の当該方向への移動を抑制でき、重送検知センサ66の位置精度を向上させることができる。
【0067】
図7に示すように、位置決め突起128(124)が位置決め開口126(122)に挿し込まれるので、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)の内周面126aに確実に接触させることができる。
【0068】
図7に示すように、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)に挿し込むときに、位置決め突起128(124)の位置が位置決め開口126(122)の外側へずれた場合でも、傾斜または湾曲して形成された第1突起部130の側端面130c,130dがガイドとなって、位置決め突起128(124)を位置決め開口126(122)の内側へ導くことができる。
【0069】
図6に示すように、開閉検知センサ68は、位置決め突起128(124)としての第2接触部124を利用して第3用紙搬送路L3の開閉状態を検知するので、部品点数を少なくすることができる。
【0070】
図7に示すように、第1突起部130および第2突起部132が板状に形成されるので、位置決め突起128(124)の重さを軽くすることができる。また、第1突起部130および第2突起部132は一体に形成されるので、これらの一方で他方を補強できる。さらに、板状の第2突起部132を開閉検知発信部116aと開閉検知受信部116bとの間に挿し込み易い。
【0071】
図7に示すように、第2突起部132の先端部の厚さ方向の両側には、第1突起部130が存在しないので、
図6に示す開閉検知発信部116aおよび開閉検知受信部116bを配置し易い。
【0072】
図7に示すように、案内部72の傾斜面136は、挿込み方向Zの先方に向かうにつれて位置決め開口126(122)の外側から内側へ向かうように傾斜して形成されるので、挿し込み時に位置決め突起128(124)が位置決め開口126(122)の外側へずれた場合でも、傾斜面136がガイドとなって、これを内側へ導くことができる。
【0073】
なお、本明細書中で挙げた具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。
図3に示す移動部54を固定部52に対して移動可能に連結する「連結部」は、ヒンジ部56(
図3)に限定されるものではなく、例えば、移動部54と固定部52とを引っ掛け構造や嵌合構造などで連結する連結装置が用いられてもよい。(更に、固定部52は、
図6に示す重送検知センサ66および開閉検知センサ68は、超音波センサに限定されるものではなく、発信部と受信部との間に空間を有する他の方式のセンサが用いられてもよい。例えば、光学式センサなどが用いられてもよい。
【0074】
移動部54の移動によって開かれる用紙搬送路は、原稿Wを搬送する第3用紙搬送路L3に限定されるものではなく、例えば、給紙トレイ36からの用紙を搬送する第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2などであってもよい。この場合には、用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2などを構成する移動ガイドおよび固定ガイドに重送検知センサ、開閉検知センサおよび位置決め部が設けられる。
【0075】
図1に示す用紙搬送装置10は、画像読取装置14の一部分として画像形成装置12に組み込まれるが、用紙搬送装置10は、個別の製品として(つまり単体で)用いられてもよい。また、用紙搬送装置10は、必ずしも第2画像読取部58(
図1)を備える必要はない。
【0076】
図1に示す画像形成装置12は、カラー機として構成されるが、画像形成装置12は、用紙に対して単色の画像を形成するモノクロ機として構成されてもよい。また、画像形成方式としては、レーザ方式に代えて、インクジェット方式等が採用されてもよい。
【0077】
図7に示すように、第1実施例の位置決め部70では、第1接触部122が位置決め開口126として構成され、第2接触部124が位置決め突起128として構成されるが、第1接触部122および第2接触部124の両方が位置決め突起として構成されてもよい。この場合でも、第1接触部122と第2接触部124とを位置決め方向Xから接触させることができる。
[第2実施例]
図8は、この発明の第2実施例の用紙搬送装置140の位置決め部142の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、第1実施例の位置決め部70では、第1接触部122が位置決め開口126として構成され、第2接触部124が位置決め突起128として構成されるが、これらは逆にされてもよい。すなわち、
図8に示す第2実施例の位置決め部142のように、第2接触部144が移動部54に開いた「位置決め開口126」として構成され、第1接触部146が固定部(
図6)から突出した「位置決め突起128」として構成されてもよい。なお、
図8では、位置決め開口の符号を「126(144)」とし、位置決め突起の符号を「128(146)」とする。
図8に示した他の構成部分は、
図7に示した他の構成部分に対応しているため、互いに対応する部分には同じ符号を付している。
【0078】
また、第2実施例の用紙搬送装置140のように、位置決め突起128(146)を構成する第1突起部130の厚さは、第2突起部132の厚さよりも厚く定められてもよい。この場合には、位置決め開口126(144)の内周面126aに接触する第1突起部130は、第2突起部132よりも強度が高くなっており、変形や損傷を生じ難い。
[第3実施例]
図9は、この発明の第3実施例の用紙搬送装置150の構成を示す断面図である。
図6に示す第1実施例の用紙搬送装置10では、位置決め部70と開閉検知センサ68とが近接して設けられているが、
図9に示す第3実施例の用紙搬送装置150のように、位置決め部152と開閉検知センサ154とは、互いに離して設けられてもよい。この場合の開閉検知センサ154の位置は、特に限定されるものではなく、位置決め方向Xにおける位置決め部152の真横に設けられてもよいし、真横からずれた位置に設けられてもよい。
【0079】
また、第3実施例の用紙搬送装置150のように、重送検知センサ66は、位置決め部152により近い位置に設けられてもよい。つまり、重送検知センサ66の重送検知点Mは、位置決め方向Xにおける第3用紙搬送路L3の中心から位置決め部152が設けられた側へ偏った位置に配置されてもよい。この場合には、重送検知センサ66と位置決め部152との距離を短くすることが可能であり、重送検知センサ66の位置精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0080】
L3 …用紙搬送路
10…用紙搬送装置
12 …画像形成装置
14 …画像読取装置
44 …ヒンジ装置
52 …固定部
54 …移動部
56 …ヒンジ部
66 …重送検知センサ
68 …開閉検知センサ
70 …位置決め部
72 …案内部
74 …固定ガイド
84 …移動ガイド
116a …開閉検知発信部
116b …開閉検知受信部
122 …第1接触部
124 …第2接触部
130c,130d …側端面
130 …第1突起部
132 …第2突起部