(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電池制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20240910BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240910BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240910BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240910BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20240910BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20240910BHJP
G01R 31/3828 20190101ALI20240910BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20240910BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
G01R31/392
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
G01R31/389
G01R31/3842
G01R31/3828
G01R31/387
G01R31/367
(21)【出願番号】P 2020193213
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亮平
(72)【発明者】
【氏名】山内 晋
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019552(JP,A)
【文献】特開2016-024170(JP,A)
【文献】特開2014-240807(JP,A)
【文献】特開2012-181037(JP,A)
【文献】特開2015-118024(JP,A)
【文献】特開平09-017459(JP,A)
【文献】国際公開第2013/018888(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/049852(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/169063(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/066298(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/115513(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109709488(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/392
H01M 10/48
H01M 10/42
H02J 7/00
G01R 31/389
G01R 31/3842
G01R 31/3828
G01R 31/387
G01R 31/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電池セルの各々の端子電圧に基づいて、複数の前記電池セルの全体の劣化率である代表劣化率を算出する代表劣化率算出部と、
前記代表劣化率と、各々の前記端子電圧と、に基づいて、複数の前記電池セルのうち任意のものの劣化率である注目劣化率を取得する注目劣化率抽出部と、を備え、
前記注目劣化率抽出部は、所定の
複数の演算実行条件
のうち何れかが不成立である状態から
全てが成立した状態に変化した際の各々の前記端子電圧を開始時電圧とし、前記端子電圧と前記開始時電圧との差を電圧差とし、各々の前記端子電圧について、所定のタイミングにおける前記電圧差の最大値である最大電圧差、前記電圧差の最小値である最小電圧差および前記電圧差の平均値である平均電圧差を算出し、前記最大電圧差、前記最小電圧差、前記平均電圧差および前記代表劣化率に基づいて、前記注目劣化率を取得する
ことを特徴とする電池制御装置。
【請求項2】
前記代表劣化率は、複数の前記電池セルの全体の内部抵抗の劣化率である代表抵抗劣化率を含むものであり、
前記注目劣化率は、最も内部抵抗が劣化した前記電池セルの抵抗上昇率である注目抵抗劣化率を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項3】
前記代表劣化率は、複数の前記電池セルの全体の容量の劣化率である代表容量劣化率を含むものであり、
前記注目劣化率は、最も容量が劣化した前記電池セルの容量劣化率である注目容量劣化率を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項4】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルの充電率のうち最高充電率と最低充電率とが共に所定の充電率範囲内であることを条件として前記注目劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電池制御装置。
【請求項5】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルの温度のうち最高温度と最低温度とが共に所定の温度範囲内であることを条件として前記注目劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電池制御装置。
【請求項6】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルに流れるセル電流が所定の電流範囲内であることを条件として前記注目劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電池制御装置。
【請求項7】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルにおける分極電圧の平均値が所定の分極電圧閾値以下であることを条件として、前記注目劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電池制御装置。
【請求項8】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルの2点のタイミングの充電率の差の平均値が所定の充電率差閾値以上であることを条件として、前記注目容量劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の電池制御装置。
【請求項9】
前記注目劣化率抽出部は、
複数の前記電池セルの2点のタイミングの充電率の差のうち、最大値と最小値との差が所定の充電率差ギャップ閾値以上であることを条件として、前記注目容量劣化率を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の電池制御装置。
【請求項10】
前記代表劣化率算出部は、
複数の前記電池セルの使用時間に基づいて前記代表劣化率を予測する機能を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電池制御装置。
【請求項11】
コンピュータを、
直列接続された複数の電池セルの各々の端子電圧に基づいて、複数の前記電池セルの全体の劣化率である代表劣化率を算出する代表劣化率算出手段、
前記代表劣化率と、各々の前記端子電圧と、に基づいて、複数の前記電池セルのうち任意のものの劣化率である注目劣化率を取得する注目劣化率抽出手段、として機能させるためのプログラムであって、
前記注目劣化率抽出手段は、所定の
複数の演算実行条件
のうち何れかが不成立である状態から
全てが成立した状態に変化した際の各々の前記端子電圧を開始時電圧とし、前記端子電圧と前記開始時電圧との差を電圧差とし、各々の前記端子電圧について、所定のタイミングにおける前記電圧差の最大値である最大電圧差、前記電圧差の最小値である最小電圧差および前記電圧差の平均値である平均電圧差を算出し、前記最大電圧差、前記最小電圧差、前記平均電圧差および前記代表劣化率に基づいて、前記注目劣化率を取得する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1~3には、蓄電池の制御に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-083123号公報
【文献】特開2006-242880号公報
【文献】特開2018-169284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の電池制御装置は、直列接続された複数の電池セルの各々の端子電圧に基づいて、複数の前記電池セルの全体の劣化率である代表劣化率を算出する代表劣化率算出部と、前記代表劣化率と、各々の前記端子電圧と、に基づいて、複数の前記電池セルのうち任意のものの劣化率である注目劣化率を取得する注目劣化率抽出部と、を備え、前記注目劣化率抽出部は、所定の複数の演算実行条件のうち何れかが不成立である状態から全てが成立した状態に変化した際の各々の前記端子電圧を開始時電圧とし、前記端子電圧と前記開始時電圧との差を電圧差とし、各々の前記端子電圧について、所定のタイミングにおける前記電圧差の最大値である最大電圧差、前記電圧差の最小値である最小電圧差および前記電圧差の平均値である平均電圧差を算出し、前記最大電圧差、前記最小電圧差、前記平均電圧差および前記代表劣化率に基づいて、前記注目劣化率を取得することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の電池制御装置は、直列接続された複数の電池セルの各々の端子電圧に基づいて、複数の前記電池セルの全体の劣化率である代表劣化率を算出する代表劣化率算出部と、前記代表劣化率と、各々の前記端子電圧と、に基づいて、複数の前記電池セルのうち任意のものの劣化率である注目劣化率を取得する注目劣化率抽出部と、を備え、前記注目劣化率抽出部は、各々の前記端子電圧について、所定のタイミングにおける最大電圧差、最小電圧差および平均電圧差を算出し、前記最大電圧差、前記最小電圧差、前記平均電圧差および前記代表劣化率に基づいて、前記注目劣化率を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、蓄電池を適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】好適な第1実施形態による電池パックのブロック図である。
【
図2】電池制御装置の要部のブロック図(1/2)である。
【
図3】電池制御装置の要部のブロック図(2/2)である。
【
図5】最大SOHR演算部の詳細を示すブロック図である。
【
図6】電池制御装置における各部の波形図の一例である。
【
図7】好適な第2実施形態における最小SOHQ演算部のブロック図である。
【
図8】第2実施形態における各部の波形図の一例である。
【
図9】第3実施形態における電池制御装置の要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の前提]
近年、蓄電池システムの多直列、多並列化の大規模化が進むことで、電池コントローラが管理しなければならない電池セルの個数が増加している。このため、電池セルの大規模化に伴い電池システム内の劣化度もばらつきは大きくなり、最も劣化している電池を特定する技術が望まれている。また、車両等の移動体では、電池コントローラに使用するマイコンも大規模な演算処理が困難であるため、低演算負荷にて劣化ばらつきを特定することが望まれている。
【0009】
上述した特許文献1の内容を適用した技術によれば、個別のセンサ情報から劣化率(SOH)を演算した後に最も劣化が進行している電池を判別できると考えられる。しかし、SOH演算自体のロジックの負荷が重かった場合、小規模なマイクロコンピュータに適用することが困難である。一方、SOH演算自体に負荷が軽いロジックを適用した場合には、小規模なマイクロコンピュータに適用できるが、精度を確保できない。そこで、後述する好適な実施形態では、劣化ばらつきを特定する上で低演算負荷と高精度を両立しようとするものである。
【0010】
[第1実施形態]
〈電池パック10の構成〉
図1は、好適な第1実施形態による電池パック10のブロック図である。
図1において、電池パック10は、直列接続された複数の(M×N個の)電池セル11と、複数の(M個の)セル制御部12と、各電池セル11の両端に接続された複数の電圧検出線13と、複数の(M個の)熱電対14と、通信線16,18と、電流センサ17と、電池制御装置100(コンピュータ)と、を備えている。
【0011】
電池セル11は、例えばリチウムイオン二次電池であり、N個毎に(Nは例えば12)グループを形成しており、電池パック10には、M個のグループが設けられている。熱電対14は各グループに1個の電池セル11に装着され、当該電池セル11の温度を測定する。すなわち、当該熱電対14による測定結果は、同一のグループに属するN個の電池セル11の温度であるとみなされる。但し、各グループに属するN個の電池セル11の全てに熱電対14を装着してもよい。
【0012】
各々のセル制御部12には、複数の(例えばN+1本の)電圧検出線13と、熱電対14とが接続されている。これにより、セル制御部12は、それぞれ、直列接続されたN個の電池セル11の電圧検出を行う。電流センサ17の検出結果をセル電流Icと呼ぶ。また、セル制御部12は、電池制御装置100からの指令に基づいて、N個の電池セル11のバランシング制御等を実行する。また、M個のセル制御部12は、リングバス15および通信線16を介して電池制御装置100に接続されている。そして、電池制御装置100は、通信線18を介して上位装置30に接続されている。
【0013】
電池パック10が車両等の移動体に搭載される場合には、通信線18には、例えばCAN(Controller Area Network)を適用することができる。電池制御装置100は、各セル制御部12から供給された各電池セル11の電圧情報や温度情報、電流センサ17の電流情報等に基づき、SOC(充電率)の推定や劣化率推定制御(SOH)や許容電力演算を行う。そして、これらの演算結果を通信線18を介して上位装置30に伝達し、電池パック10の入出力等を制御する。なお、
図1に示した例では、全ての電池セル11が直列接続されているが、複数の電池セル11の直列回路をさらに並列接続して電池パック10を構成してもよい。
【0014】
〈電池制御装置100の要部の構成〉
図2および
図3は、電池制御装置100の要部のブロック図である。
電池制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備えており、ROMには、CPUによって実行される制御プログラム、DSPによって実行されるマイクロプログラムおよび各種データ等が格納されている。
図2および
図3において、電池制御装置100の内部は、制御プログラムおよびマイクロプログラム等によって実現される機能を、ブロックとして示している。
【0015】
すなわち、
図2において、電池制御装置100は、代表値抽出部110,112と、SOC演算部114と、代表SOHR演算部116(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)と、代表SOHQ演算部118(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)と、を備えている。さらに、
図3において、電池制御装置100は、最大SOHR演算部120(注目劣化率抽出部、注目劣化率抽出手段)と、最小SOHQ演算部140(注目劣化率抽出部、注目劣化率抽出手段)と、許容電力演算部150と、許容エネルギー演算部160と、を備えている。
【0016】
ところで、以下の説明において、行列は、角括弧を用いて表現する。例えば、M×N個の電池セル11の端子電圧であるセル電圧の行列は“Vcell[ ]”と表記する。また、例えばM個の熱電対14による温度検出値の行列は“Tcell[ ]”と表記する。
【0017】
(代表値抽出部110,112)
図2において、代表値抽出部110は、セル電圧Vcell[ ]の中の最高値である最高電圧Vmaxと、最低値である最低電圧Vminと、セル電圧Vcell[ ]の平均値である平均電圧Vaveと、を出力する。また、代表値抽出部112は、温度検出値Tcell[ ]の中の最高値である最高温度Tmaxと、最低値である最低温度Tminと、温度検出値Tcell[ ]の平均値である平均温度Taveと、を出力する。
【0018】
(SOC演算部114)
SOC演算部114は、代表値抽出部110,112の出力信号と、セル電流Icとに基づいて、M×N個の電池セル11のSOC(state of charge;充電率)のうち最大値であるSOCmaxと、最小値であるSOCminと、M×N個の電池セル11のSOCの平均値であるSOCaveと、を出力する。
【0019】
(代表SOHR演算部116)
M×N個の電池セル11(
図1参照)における内部抵抗の劣化度合いを示す指標を抵抗劣化率SOHRと呼ぶ。代表SOHR演算部116は、代表値抽出部110,112およびSOC演算部114の出力信号と、セル電流Icと、に基づいて、抵抗劣化率SOHRの代表値である平均抵抗劣化率SOHRave(代表劣化率、代表抵抗劣化率)を演算する。演算される平均抵抗劣化率SOHRaveは、電池パック10を一つの電池セルとみなして演算した値であるため、個々の電池セル11の抵抗劣化率SOHRの平均値になる。平均抵抗劣化率SOHRaveの算出方法としては、例えば上述した特許文献2(特開2006-242880号公報)に記載されているものを適用することができる。
【0020】
(代表SOHQ演算部118)
各電池セル11の容量の劣化率を示す指標をSOHQと呼ぶ。代表SOHQ演算部118は、代表値抽出部110,112およびSOC演算部114の出力信号と、セル電流Icと、に基づいて、SOHQの代表値である平均容量劣化率SOHQave(代表劣化率、代表容量劣化率)を演算する。演算されるSOHQaveは、電池パック10を一つの電池セルとみなして演算した値であるため、個々の電池セル11のSOHQの平均値になる。平均容量劣化率SOHQaveの算出方法としては、例えば上述した特許文献3(特開2018-169284号公報)に記載されているものを適用することができる。
【0021】
(最大SOHR演算部120)
次に、
図3において、最大SOHR演算部120は、
図2に示した代表値抽出部112およびSOC演算部114の出力信号と、セル電圧Vcell[ ]と、セル電流Icと、平均抵抗劣化率SOHRaveと、に基づいて、最大抵抗劣化率SOHRmax(注目劣化率、注目抵抗劣化率)を演算する。ここで、最大抵抗劣化率SOHRmaxとは、最も抵抗劣化が進行した電池セル11の抵抗劣化率SOHRの推定値である。なお、最大SOHR演算部120における演算の詳細例については後述する。
【0022】
(最小SOHQ演算部140)
次に、最小SOHQ演算部140は、代表値抽出部112およびSOC演算部114の出力信号と、セル電圧Vcell[ ]と、平均容量劣化率SOHQaveと、に基づいて、SOHQmin(注目劣化率、注目容量劣化率)を演算する。ここで、SOHQminとは、最も容量劣化が進行した電池セル11のSOHQの推定値である。なお、最大SOHR演算部120における演算の詳細例については、後述する第2実施形態において説明する。
【0023】
(許容電力演算部150)
許容電力演算部150は、
図2に示した代表値抽出部110,112およびSOC演算部114の出力信号と、最大抵抗劣化率SOHRmaxと、に基づいて、電池パック10が現時点で出力可能な最大電力の推定値である許容電力Pmaxを出力する。
【0024】
(許容エネルギー演算部160)
許容エネルギー演算部160は、
図2に示した代表値抽出部110,112およびSOC演算部114の出力信号と、SOHQminと、に基づいて、電池パック10が現時点で出力可能な最大エネルギーの推定値である許容エネルギーEmaxを出力する。
以上のように、電池制御装置100において計算されたSOCaveと、最大抵抗劣化率SOHRmaxと、SOHQminと、許容電力Pmaxと、許容エネルギーEmaxとは、上位装置30(
図1参照)に供給される。
【0025】
このように、代表SOHR演算部116および代表SOHQ演算部118に入力される各種パラメータ(Vmax,Vmin,Vave,Tmax,Tmin,Tave等)に基づいて最大抵抗劣化率SOHRmaxおよび最小容量劣化率SOHQminを求めることにより、高精度かつ低演算負荷でSOHRmax、SOHQmin等を演算することができる。
【0026】
ところで、高精度な最大抵抗劣化率SOHRmax、最小容量劣化率SOHQminを得るために、代表値抽出部110,112(
図2参照)を介さず、各電池セル11のSOC、SOHR、SOHQを演算し、その演算結果に基づいてSOHRmax、SOHQmin等を特定することも考えられる。しかし、このような方法では、全ての電池セル11のSOC、SOHR、SOHQを演算する必要が生じるため、演算負荷が多大になる。これに対して、本実施形態によれば、少数の代表値(Vmax,Vmin,Vave,Tmax,Tmin,Tave等)に基づいて、SOHRmax、SOHQmin等を算出できるため、SOHRmax、SOHQmin等を高精度かつ低演算負荷で求めることができる。
【0027】
〈電池セル11の等価回路モデル〉
最大SOHR演算部120の詳細を説明する前提として、電池セル11の等価回路モデルについて説明する。
図4は、電池セル11の等価回路モデル200の回路図である。
図4において、等価回路モデル200は、直流電源210と、抵抗器220と、並列回路230,240と、を直列に接続した回路である。並列回路230は抵抗器232とコンデンサ234との並列回路であり、並列回路240は抵抗器242とコンデンサ244との並列回路である。
【0028】
直流電源210のセル電圧を開回路電圧OCVと呼ぶ。抵抗器220は、セル電流Icが瞬時に流れた再の電池セル11の内部抵抗と考えることができ、電池セル11の未使用時における抵抗器220の抵抗値をR0とする。但し、電池セル11の使用時間に応じて、抵抗値R0に抵抗劣化率SOHRを乗算した結果が抵抗器220の抵抗値になる。すなわち、抵抗器220における電圧降下は、Ic・R0・SOHRになる。
【0029】
抵抗器232の抵抗値をRp1とし、並列回路230の時定数をτ1とし、抵抗器232に流れる電流をIp1とする。また、抵抗器242の抵抗値をRp2とし、並列回路240の時定数をτ2とし、抵抗器242に流れる電流をIp2とする。並列回路230,240の各々における電圧降下を部分分極電圧Vp1,Vp2と呼び、双方を合わせた電圧降下が分極電圧Vpになる。電池セル11の閉回路電圧CCVは、開回路電圧OCVと、Ic・R0・SOHRと、分極電圧Vpとの合計に等しくなる。
【0030】
〈最大SOHR演算部120の詳細〉
図5は、上述した最大SOHR演算部120の詳細を示すブロック図である。
図5において、最大SOHR演算部120は、分極電圧演算部121と、条件判定部122と、ΔV演算部124と、演算部126と、演算結果確認部128と、を備えている。
【0031】
(分極電圧演算部121)
分極電圧演算部121は、全ての電池セル11の分極電圧Vpの平均値である平均分極電圧Vpaveを算出する。
図4に示したように、1個の電池セル11において、「Vp=CCV-Ic・R0・SOHR-OCV」が成立する。従って、分極電圧Vpの平均値である平均分極電圧Vpaveは、「Vpave=Vave-Ic・R0・SOHRave-OCV」によって求めることができる。ここで、抵抗値R0は、SOCや温度に応じて変化するため、SOCaveと平均温度Taveとに基づいて抵抗値R0を求めるテーブルを準備しておき、そのテーブルから抵抗値R0を読み出すとよい。
【0032】
そして、分極電圧演算部121は、条件判定部122に平均分極電圧Vpaveを供給する。また、条件判定部122には、SOC演算部114(
図2参照)からSOCmin、SOCaveおよびSOCmaxが供給され、代表値抽出部112から最低温度Tminおよび最高温度Tmaxが供給され、セル制御部12(
図1参照)からセル電圧Vcell[ ]およびセル電流Icが供給される。
【0033】
(条件判定部122)
条件判定部122は、現在のタイミングが最大抵抗劣化率SOHRmax等を演算するタイミングとして適切か否かを以下に列挙する条件CDA~CDGに基づいて判定する。すなわち、下記条件CDA~CDGが全て「真」である場合に、条件判定部122は、ΔV演算部124に対して、演算が実行可能であることを通知する。
【0034】
・条件CDA:Icmin≦|Ic|≦Icmax、かつ、Ic_z≦Icmax_z
ここで、Icminは演算を実行可能とする電流下限閾値であり、Icmaxは演算を実行可能とする電流上限閾値である。ところで、電池制御装置100は、例えば10ミリ秒~1秒の制御周期を単位として動作している。Ic_zは、前回の制御周期におけるセル電流Icであり、これを「前回セル電流」と呼ぶ。また、Icmax_zは、前回の制御周期に適用された電流上限閾値Icmaxであり、これを「前回電流上限閾値」と呼ぶ。なお、以下説明する各種信号名においても、末尾に「_z」を付した信号名は、前回の制御周期における信号であることを示す。この条件CDAは、セル電流Icが小さい値から大きく立上ったタイミングを検知することで、ΔV演算部124の演算誤差を小さくする狙いがある。
【0035】
・条件CDB:SOCminth≦SOCmin
ここで、SOCminthは、演算を実行可能とするSOCminの最小値を定める閾値である。条件CDBは、SOCが低い領域では、抵抗値R0はSOCが低くなるほど増加する傾向を有することに鑑み、SOCminが閾値SOCminth未満であるSOC領域を回避する狙いがある。
・条件CDC:SOCmax≦SOCmaxth
ここで、SOCmaxthは、演算を実行可能とするSOCmaxの最大値を定める閾値である。条件CDCは、SOCが高い領域では、抵抗値R0はSOCが高くなるほど増加する傾向を有することに鑑み、SOCmaxが閾値SOCmaxthを超えるSOC領域を回避する狙いがある。
【0036】
・条件CDD:Tminth≦Tmin
ここで、Tminthは、演算を実行可能とする最低温度Tminの最低値を定める閾値である。抵抗値R0は温度が低くなるほど高くなる傾向があるため、条件CDDは最低温度Tminが閾値Tminth未満である温度領域を回避する狙いがある。
・条件CDE:Tmax≦Tmaxth
ここで、Tmaxthは、演算を実行可能とする最高温度Tmaxの最高値を定める閾値である。上述したように、分極電圧演算部121は、SOCaveと平均温度Taveとに基づいて抵抗値R0を求めるテーブルから抵抗値R0を読み出している。しかし、平均温度Taveがそのテーブルに記録されている最高温度を超えると、抵抗値R0を導出できなくなるため、最高温度Tmaxに基づいて演算を制限している。
【0037】
・条件CDF:Tgap≦Tgapth
ここで、Tgapは、「Tmax-Tmin」に等しい値であり、以下「温度ギャップ」と呼ぶ。Tgapthは、演算を実行可能とする温度ギャップTgapの最高値を定める閾値である。電池パック10における各電池セル11の温度のばらつきが大きくなると、抵抗値R0のばらつきも大きくなる。すると、ΔV演算部124にて最大電圧差ΔVmax、最小電圧差ΔVmin等(詳細は後述する)を演算する際、温度差による抵抗値R0のばらつきによって、「抵抗値R0の劣化度合いのばらつきが大きい」かのような演算結果が生じる場合がある。そこで、温度ギャップTgapに基づいて演算を制限している。
【0038】
・条件CDG:Vpave_z≦Vpth
ここで、Vpave_zは、前回の制御周期における平均分極電圧Vpave(平均値)であり、これを「前回平均分極電圧」と呼ぶ。また、閾値Vpth(分極電圧閾値)は、演算を実行可能とする前回平均分極電圧Vpave_zの最高値を定める閾値である。最大抵抗劣化率SOHRmax等は、分極電圧Vpが低い時に演算することが好ましい。そこで、平均分極電圧Vpaveに基づいて演算を制限している。
【0039】
(ΔV演算部124)
ΔV演算部124は、下記式(1)~(4)によって、最大電圧差ΔVmax、最小電圧差ΔVminおよび平均電圧差ΔVaveを算出する。
ΔV[ ]=Vcell[ ]-Vcell_start[ ] …(1)
ΔVmax=Max(ΔV[ ]) …(2)
ΔVmin=Min(ΔV[ ]) …(3)
ΔVave=Average(ΔV[ ]) …(4)
【0040】
式(1)において、Vcell[ ]は、現在の制御周期におけるセル電圧の行列である。また、Vcell_start[ ]とは、上述の条件CDA~CDGのうち何れかが「偽」である状態から全て「真」である状態に変化した最新の制御周期におけるセル電圧の行列である。式(2)は、行列ΔV[ ]の要素のうち最大値を最大電圧差ΔVmaxとすることを示しており、式(3)は、行列ΔV[ ]の要素のうち最小値を最小電圧差ΔVminとすることを示している。式(4)は、行列ΔV[ ]の全要素の平均値を平均電圧差ΔVaveとすることを示している。
【0041】
(演算部126)
演算部126は、下記式(5)~(8)に基づいて、SOHRの暫定的な最大値および最小値であるSOHRmax*およびSOHRmin*を計算する。下式(5)~(8)において、SOHRmax_z*およびSOHRmin_z*は、前回の制御周期におけるSOHRmax*およびSOHRmin*である。また、WSOHRmaxおよびWSOHRminは、重み付け平均用の重みである。
【0042】
SOHRmax_New=SOHRave×ΔVmax/ΔVave …(5)
SOHRmin_New=SOHRave×ΔVmin/ΔVave …(6)
SOHRmax*=(1-WSOHRmax)×SOHRmax_z*
+WSOHRmax×SOHRmax_New …(7)
SOHRmin*=(1-WSOHRmin)×SOHRmin_z*
+WSOHRmin×SOHRmin_New …(8)
【0043】
(演算結果確認部128)
演算結果確認部128は、SOHRmin*およびSOHRmax*の妥当性を確認し、その結果に基づいて最小抵抗劣化率SOHRminおよび最大抵抗劣化率SOHRmaxを出力する。すなわち、演算結果確認部128は、SOHRmin*>SOHRaveである場合は、SOHRmin*の演算結果が不適切であると判定し、平均抵抗劣化率SOHRaveを最小抵抗劣化率SOHRminとして出力する。また、それ以外の場合、演算結果確認部128はSOHRmin*を最小抵抗劣化率SOHRminとして出力する。同様に、演算結果確認部128は、SOHRmax*<SOHRaveである場合は、SOHRmax*の演算結果が不適切であると判定し、平均抵抗劣化率SOHRaveを最大抵抗劣化率SOHRmaxとして出力する。また、それ以外の場合、演算結果確認部128はSOHRmax*を最大抵抗劣化率SOHRmaxとして出力する。
【0044】
〈演算結果の具体例〉
図6は、電池制御装置100における各部の波形図の一例である。
図6のグラフ300~302の横軸は時刻tであり、グラフ300~302の縦軸は、それぞれ電圧、電流およびSOHRである。グラフ301の時刻t2以前において、セル電流Icは電流下限閾値Icmin未満であったが、時刻t2において「Icmin≦Ic≦Icmax」の値に立ち上り、時刻t4において再び電流下限閾値Icmin未満の値に立ち下がっている。
【0045】
ところで、図示の全期間において、電流下限閾値Icminおよび電流上限閾値Icmaxは一定である。従って、上述した条件CDAにおいて述べた「前回電流上限閾値Icmax_z」は電流上限閾値Icmaxに等しい。すると、図示の例において、時刻t2~t4の期間に条件CDAが満たされる。なお、上述した他の条件CDB~CDGも同期間に充足されていたとする。すると、同期間において、最大SOHR演算部120(
図5参照)は、最小抵抗劣化率SOHRmin、最大抵抗劣化率SOHRmax等の推定を行うことになる。
【0046】
ここで、M×N個の電池セル11(
図1参照)のうち、抵抗値R0(
図4参照)が最も高いものをセル1(図示せず)と呼び、そのセル電圧をVC1と呼ぶ。また、抵抗値R0が最も低いものをセル2(図示せず)と呼び、そのセル電圧をVC2と呼ぶ。
図6のグラフ300は、平均電圧Vave、セル電圧VC1,VC2の推移を示す。時刻t2以前にはセル電流Icが極めて小さいため、平均電圧Vave、セル電圧VC1,VC2は同一の電圧レベルV1になっている。但し、この例は説明を容易にするための例であり、時刻t2において必ずしも平均電圧Vave、セル電圧VC1,VC2が一致するわけではない。
【0047】
しかし、時刻t2以降、セル電流Icが大きくなると、抵抗値R0(
図4参照)等の違いにより、セル電圧VC1,VC2および平均電圧Vaveは、図示のようにばらつく。時刻t2の時点におけるセル電圧VC1,VC2および平均電圧Vaveと、それ以降の任意の時刻tにおけるセル電圧VC1,VC2および平均電圧Vaveと、の差は、それぞれ、上述した式(2)~(4)に示した最大電圧差ΔVmax、最小電圧差ΔVminおよび平均電圧差ΔVaveになる。
【0048】
図示のように、時刻t2~t4の期間において、最大電圧差ΔVmaxは平均電圧差ΔVaveよりも大きくなり、最小電圧差ΔVminは平均電圧差ΔVaveよりも小さくなる。このように、セル電圧VC1,VC2および平均電圧Vaveがばらつく時刻t2~t4の期間において最大電圧差ΔVmax、最小電圧差ΔVminおよび平均電圧差ΔVaveを計算すると、これらの値によって抵抗劣化率SOHRのばらつきを正確に把握することができる。換言すれば、正確な最大抵抗劣化率SOHRmaxおよび最小抵抗劣化率SOHRminを求めることができる。
【0049】
グラフ302は、計算によって得られた平均抵抗劣化率SOHRave、最小抵抗劣化率SOHRminおよび最大抵抗劣化率SOHRmaxの推移を示す。なお、グラフ302において、SOHRmax_rは最大抵抗劣化率SOHRmaxの真値であり、SOHRmin_rは最小抵抗劣化率SOHRminの真値である。
【0050】
なお、図示の例ではSOHRmaxおよびSOHRminはステップ状に変化しているが、実際には、上述の式(7)および(8)に示したように、計算によるSOHRmaxおよびSOHRminは、制御周期の進行とともに、真値SOHRmax_r,SOHRmin_rに近づいてゆく。このように、時刻t2以降においては、平均抵抗劣化率SOHRaveおよびセル電圧Vcell[ ]のばらつきに基づいて、正確な最大抵抗劣化率SOHRmaxと、最小抵抗劣化率SOHRminとが得られる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、好適な第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図7は、第2実施形態における最小SOHQ演算部140のブロック図である。第2実施形態の電池パックは、第1実施形態のもの(
図1~
図5)と同様に構成されているが、最小SOHQ演算部140は、
図7に示すように構成されている。
【0052】
図7において、最小SOHQ演算部140は、SOCv1抽出部141と、SOCv2抽出部142と、ΔSOCv演算部144と、演算部146と、演算結果確認部148と、を備えている。
【0053】
ところで、一般的に、充放電中のセル電圧から推定した2点のOCVに基づいて算出したSOCをSOCv(充電率)と呼ぶ。そして、セル電圧Vcell[ ]に対応するSOCvの行列をSOCv[ ]と呼ぶ。ここで、SOCv[ ]に基づいて全てのセルのSOHQの行列であるSOHQ[ ]を求め、SOHQ[ ]に基づいて最小容量劣化率SOHQminを求めることも考えられる。しかし、全てのセルのSOHQを算出することには、多大な演算負荷を要する。そこで、本実施形態においては、劣化が激しく容量が小さいと考えられる電池セル11を判別し、当該電池セル11の状態に基づいて最小容量劣化率SOHQminを算出する。
【0054】
(SOCv1抽出部141)
SOCv1抽出部141には、モデル電圧Vmdと、セル電圧Vcell[ ]と、セル電流Icと、最低温度Tminと、最高温度Tmaxと、が供給される。ここで、モデル電圧Vmd以外のパラメータの意義は、第1実施形態のものと同様である。そして、モデル電圧Vmdとは、等価回路モデル200(
図4参照)において、抵抗劣化率SOHRが平均抵抗劣化率SOHRaveであると仮定した場合の閉回路電圧CCVに等しい。すなわち、モデル電圧Vmdは、下式(9)によって求められる値である。
Vmd=OCV+Ic・R0・SOHRave-Vp …(9)
【0055】
SOCv1抽出部141は、下記の条件CDH~CDKについて真偽を判定する。
・条件CDH:|Vmd-Vave|≦Vth
ここで、Vthは所定の電圧差閾値である。等価回路モデル200に基づいたモデル電圧Vmdと、実際の平均電圧Vaveの差が小さいタイミングでは、電流入力による誤差や分極による誤差が小さく、高精度な演算が実行可能であると考えられる。条件CDHは、このようなタイミングを発見する狙いがある。
【0056】
・条件CDI:|Ic|≦Icth
ここで、Icthは所定の電流閾値である。セル電流Icが小さい場合は、セル電圧Vcell[ ]は開回路電圧OCVに近づく。そこで、条件CDIは、このような場合にSOCv1を推定しようとするものである。
【0057】
・条件CDJ:Tminth≦Tmin
ここで、Tminthは、演算を実行可能とする最低温度Tminの最低値を定める閾値である。温度検出値Tcell[ ]が低温である場合には、温度が低くなるほど抵抗値R0が増加する傾向があるため、条件CDJは演算精度向上のために、この領域を回避する狙いがある。なお、閾値Tminthは、上述した条件CDDにおける閾値Tminthと同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。
【0058】
・条件CDK:Tmax≦Tmaxth
ここで、Tmaxthは、演算を実行可能とする最高温度Tmaxの最高値を定める閾値である。条件CDKは、上述した条件CDEと同趣旨の条件である。閾値Tmaxthは、上述した条件CDEにおける閾値Tmaxthと同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。
【0059】
さらに、SOCv1抽出部141は、上記条件CDH~CDKが全て「真」であるか場合に、下式(10)に基づいてSOCv1[ ]を算出する。
SOCv1[ ]=SOC_OCV_MAP(Vcell[ ]) …(10)
【0060】
式(10)において、SOC_OCV_MAPとは、開回路電圧OCVを入力パラメータとして、対応するSOCを演算するマップを意味する。従って、式(10)は、セル電圧Vcell[ ]が開回路電圧OCVと等しいと見做して個々の電池セル11のSOCを算出し、算出したSOCの行列を、SOCv1[ ]として取得することを意味する。このSOCv1抽出部141で取得されたSOCv1[ ]は、一定時間、SOCv1抽出部141に設けられたメモリ(図示せず)に保持される。
【0061】
(SOCv2抽出部142)
上述のSOCv1抽出部141と同様に、SOCv2抽出部142には、モデル電圧Vmdと、セル電圧Vcell[ ]と、セル電流Icと、最低温度Tminと、最高温度Tmaxと、が供給される。
そして、SOCv2抽出部142は、上述した条件CDI~CDKが全て「真」である場合に、下式(11)に基づいてSOCv2[ ]を算出する。
SOCv2[ ]=SOC_OCV_MAP(Vcell[ ]) …(11)
【0062】
すなわち、SOCv2[ ]はSOCv1[ ]と同様にして算出されるが、SOCv2[ ]を算出する場合は、上述した条件CDHは満たされている必要はない。上述したSOCv1[ ]は一定時間保持されるため精度が要求されるが、SOCv2[ ]は演算が成立する度に更新するため、SOCv1[ ]と同程度の精度は要求されない。従って、演算頻度を向上させるため、SOCv2[ ]の算出にあたって、上述の条件CDHは適用しないこととしている。
【0063】
(ΔSOCv演算部144)
ΔSOCv演算部144は、下式(12)~(15)に基づいて、ΔSOCv[ ]、ΔSOCvmax(最大値)、ΔSOCvmin(最小値)およびΔSOCvave(平均値)を計算する。
ΔSOCv[ ]=|SOCv1[ ]-SOCv2[ ]| …(12)
ΔSOCvmax=Max(ΔSOCv[ ]) …(13)
ΔSOCvmin=Min(ΔSOCv[ ]) …(14)
ΔSOCvave=Average(ΔSOCv[ ]) …(15)
【0064】
式(12)は、SOCv1[ ]の各要素と、対応するSOCv2[ ]の要素とを減算し、減算結果の絶対値の配列をΔSOCv[ ]とすることを意味する。式(13)は、ΔSOCv[ ]の要素のうち最大値をΔSOCvmaxとすることを示しており、式(14)は、ΔSOCv[ ]の要素のうち最小値をΔSOCvminとすることを示している。式(15)は、ΔSOCv[ ]の全要素の平均値をΔSOCvaveとすることを示している。
【0065】
(演算部146)
演算部146は、下記条件CDL,CDMについて真偽を判定する。ここで、ΔSOCvgapth(充電率差ギャップ閾値)、ΔSOCvth(充電率差閾値)は、何れも所定の閾値である。
・条件CDL:ΔSOCvmax-ΔSOCvmin≧ΔSOCvgapth
・条件CDM:ΔSOCvave≧ΔSOCvth
そして、演算部146は、条件CDL,CDMのうち少なくとも一方が「真」である場合に、下式(16)~(19)に基づいて、SOHQの暫定的な最大値および最小値であるSOHQmax*およびSOHQmin*を計算する。
【0066】
下式(16)~(19)において、SOHQmax_z*およびSOHQmin_z*は、前回の制御周期におけるSOHQmax*およびSOHQmin_z*である。また、WSOHQmaxおよびWSOHQminは、重み付け平均用の重みである。
SOHQmax_New=SOHQave×ΔSOCvmin/ΔSOCvave …(16)
SOHQmin_New=SOHQave×ΔSOCvmax/ΔSOCvave …(17)
SOHQmax*=(1-WSOHQmax)×SOHQmax_z*
+WSOHQmax×SOHQmax_New …(18)
SOHQmin*=(1-WSOHQmin)×SOHQmin_z*
+WSOHQmin×SOHQmin_New …(19)
【0067】
また、上述の条件CDL,CDMの双方が「偽」である場合、SOCv1抽出部141はSOCv1[ ]を維持し、SOCv2抽出部142はSOCv2[ ]を再取得する。また、SOCv1抽出部141は、条件CDH~CDKが全て「真」であるか場合に、条件CDL,CDMのうち少なくとも一方が「真」になると、SOCv1[ ]を再取得する。さらに、SOCv1抽出部141は、SOCv1[ ]を最後に取得した後、上述した一定時間が経過すると、条件CDH~CDKが全て「真」であることを条件としてSOCv1[ ]を再取得する。
【0068】
(演算結果確認部148)
演算結果確認部148は、SOHQmin*およびSOHQmax*の妥当性を確認し、その結果に基づいて最小容量劣化率SOHQminおよび最大容量劣化率SOHQmaxを出力する。すなわち、演算結果確認部148は、SOHQmin*>SOHQaveである場合は、SOHQmin*の演算結果が不適切であると判定し、平均容量劣化率SOHQaveを最小容量劣化率SOHQminとして出力する。また、それ以外の場合、演算結果確認部148はSOHQmin*を最小容量劣化率SOHQminとして出力する。同様に、演算結果確認部148は、SOHQmax*<SOHQaveである場合は、SOHQmax*の演算結果が不適切であると判定し、平均容量劣化率SOHQaveを最大容量劣化率SOHQmaxとして出力する。また、それ以外の場合、演算結果確認部148はSOHQmax*を最大容量劣化率SOHQmaxとして出力する。
【0069】
〈演算結果の具体例〉
図8は、本実施形態の電池制御装置100における各部の波形図の一例である。
図8のグラフ500~502の横軸は時刻tであり、グラフ500~502の縦軸は、それぞれSOCv、電流およびSOHQである。グラフ501において、正値は充電電流、負値は放電電流である。の時刻t10以前において、セル電流Icの絶対値|Ic|は、Icth未満であったが、時刻t10において絶対値|Ic|は電流閾値Icthを超える値に立ち上がっている。その後の時刻t12において、絶対値|Ic|は電流閾値Icth以下に立ち下がっている。
【0070】
ここで、M×N個の電池セル11(
図1参照)のうち、同一の電流量に対してSOCvの変化が最小になるもの(容量が最大であるセル)のSOCvをSOCvminと呼ぶ。また、同一の電流量に対してSOCvの変化が最大になるもの(容量が最小であるセル)のSOCvをSOCvmaxと呼ぶ。また、M×N個の電池セル11のSOCvの平均値をSOCvaveと呼ぶ。
【0071】
セル電流Icが立ち上がる時刻t10の直前に条件CDH~CDKが全て充足されていたとすると、SOCv1[ ]が算出される。図示のグラフ500の例では、時刻t10においてSOCvmax、SOCvminおよびSOCvaveは同一レベルになっており、これらは算出される各々のSOCv1[ ]にも略一致している。そこで、このレベルを図中で「SOCv1」と記す。但し、この例は説明を容易にするための例であり、時刻t10において必ずしも各電池セル11のSOCvが一致するわけではない。
【0072】
時刻t10~t12において、セル電流Icの絶対値|Ic|が大きくなると、その期間にSOCvmax、SOCvminおよびSOCaveは、図示のようにばらつく。SOCv1と、SOCvmax、SOCvminおよびSOCaveとの差が、式(13)~(15)に示したΔSOCvmax、ΔSOCvminおよびΔSOCvaveになる。図示の例においては、最も容量が小さい電池セル11に対応するSOCvmaxが、SOCvaveから大きく乖離し、ΔSOCvmaxとΔSOCvaveとの差が大きくなっている。同様に、最も容量が大きい電池セル11に対応するSOCvminも、SOCvaveから乖離し、ΔSOCvminとΔSOCvaveとの差も大きくなっている。
【0073】
時刻t10~t12の期間は、上述の条件CDI(|Ic|≦Icth)が満たされないため、SOCv1[ ]、SOCv2[ ]は共に算出されない。そして、時刻t12において、再び条件CDIが満たされ、他の条件CDJ,CDKも充足されたとすると、SOCv2[ ]が再び算出されるようになる。そして、図示の例において、時刻t12以降のSOCvmax、SOCvminおよびSOCaveは、各々について算出されたSOCv2と等しくなる。
【0074】
このようにSOCvの変化が最大である電池セル11に対応するΔSOCvmaxと、SOCvの変化が最小である電池セル11に対応するΔSOCvminと、を取得することにより、容量劣化率のばらつきを把握することができる。そして、上述の式(16)~(19)に示したように、ΔSOCvmax、ΔSOCvminおよびΔSOCvaveに基づいて、最大容量劣化率SOHQmaxおよび最小容量劣化率SOHQminを計算することができる。
【0075】
その計算結果の例をグラフ502に示す。グラフ502において、SOHQmax_rおよびSOHQmin_rは、それぞれ最大容量劣化率SOHQmaxおよび最小容量劣化率SOHQminの真値である。図示のように、本実施形態によれば、ΔSOCvmax、ΔSOCvminおよびΔSOCvaveに基づいて、少ない演算量で、真値に近い最大容量劣化率SOHQmaxおよび最小容量劣化率SOHQminを求めることができる。
【0076】
[第3実施形態]
次に、好適な第3実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
第3実施形態においては、第1実施形態の電池制御装置100(
図2、
図3)に代えて、
図9に示す電池制御装置170(コンピュータ)が適用される。なお、
図9は電池制御装置170の要部のブロック図である。
【0077】
電池制御装置170は、第1実施形態における代表SOHR演算部116および代表SOHQ演算部118に代えて、代表SOHR予測部176(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)および代表SOHQ予測部178(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)を備えている。代表SOHR予測部176および代表SOHQ予測部178は、電池パック10の使用時間tuに基づいて、それぞれ平均抵抗劣化率SOHRaveおよび平均容量劣化率SOHQaveの予測値を出力する。すなわち、SOHRaveおよびSOHQaveは、使用時間tuに基づいても、ある程度予測することができる。そこで、本実施形態では、使用時間tuに基づいてSOHRaveおよびSOHQaveを予測する。
【0078】
SOHRaveおよびSOHQaveの予測方法としては、例えばルート則を適用することができる。ルート則とは容量等の劣化率が時間や充放電量の平方根に対して直線関係になることであり、例えば、SOHQaveは、下式(20)のように表現できる。式(20)は最も簡易的な式であり、kは所定の定数である。
SOHQave=1-k×√(tu) …(20)
劣化予測式を活用し、抵抗劣化率SOHRまたは容量劣化率SOHQを算出する手法は上述したもの以外に種々の方法が知られているため、これら手法による劣化予測式を適用して抵抗劣化率SOHRまたは容量劣化率SOHQを算出してもよい。
【0079】
上述した第1実施形態において、代表値抽出部110,112が平均抵抗劣化率SOHRaveおよび平均容量劣化率SOHQaveを算出するためには、ある程度の時間、電池セル11を無通電状態にすることが好ましい。しかし、電池セル11に対して頻繁に充放電が繰り返されると、平均抵抗劣化率SOHRaveおよび平均容量劣化率SOHQaveを算出するために、好ましいタイミングが訪れない場合がある。本実施形態によれば、このような場合においても、電池パック10の使用時間tuに基づいて平均抵抗劣化率SOHRaveおよび平均容量劣化率SOHQaveを予測できるため、これら予測結果に基づいて最大抵抗劣化率SOHRmaxおよび最小容量劣化率SOHQminを算出することができる。
【0080】
[実施形態の効果]
以上のように好適な実施形態によれば、直列接続された複数の電池セル11の各々の端子電圧(Vcell[ ])に基づいて、複数の電池セル11の全体の劣化率である代表劣化率(SOHRave,SOHQave)を算出する代表劣化率算出部(116,118,176,178)と、代表劣化率(SOHRave,SOHQave)と、各々の端子電圧(Vcell[ ])と、に基づいて、複数の電池セル11のうち任意のものの劣化率である注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を取得する注目劣化率抽出部(120,140)と、を備える。これにより、少ない演算量で注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を取得できるため、電池セル11を適切に管理できる。
【0081】
また、代表劣化率(SOHRave,SOHQave)は、複数の電池セル11の全体の内部抵抗の劣化率である代表抵抗劣化率(SOHRave)を含むものであり、注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)は、最も内部抵抗が劣化した電池セル11の抵抗上昇率である注目抵抗劣化率(SOHRmax)を含むことが一層好ましい。これにより、電池セル11の内部抵抗の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0082】
また、代表劣化率(SOHRave,SOHQave)は、複数の電池セル11の全体の容量の劣化率である代表容量劣化率(SOHQave)を含むものであり、注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)は、最も容量が劣化した電池セル11の容量劣化率である注目容量劣化率(SOHQmin)を含むことが一層好ましい。これにより、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0083】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11の充電率のうち最高充電率(SOCmax)と最低充電率(SOCmin)とが共に所定の充電率範囲(SOCminth~SOCmaxth)内であることを条件(CDB,CDC)として注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を算出することが一層好ましい。充電率(SOC)が高い場合、または低い場合は、充電率(SOC)が両者の中間である場合と比較して電池セル11の特性が変化することがある。そこで、このような状態を避けて注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を演算することにより、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0084】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11の温度のうち最高温度Tmaxと最低温度Tminとが共に所定の温度範囲(Tminth~Tmaxth)内であることを条件(CDJ,CDK)として注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を算出することが一層好ましい。電池セル11の温度が高い場合、または低い場合は、温度が両者の中間である場合と比較して電池セル11の特性が変化することがある。そこで、このような状態を避けて注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を演算することにより、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0085】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11に流れるセル電流Icが所定の電流範囲(|Ic|≦Icth)内であることを条件(CDI)として注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を算出することが一層好ましい。セル電流Icが小さい場合は、端子電圧(Vcell[ ])は開回路電圧OCVに近づくため、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0086】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11における分極電圧の平均値(Vpave)が所定の分極電圧閾値(Vpth)以下であることを条件(CDG)として、注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を算出することが一層好ましい。これにより、分極電圧が低い時に注目劣化率(SOHRmax,SOHQmin)を算出でき、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0087】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11の2点のタイミングの充電率(SOCv)の差の平均値(ΔSOCvave)が所定の充電率差閾値(ΔSOCvth)以上であることを条件(CDM)として、注目容量劣化率(SOHQmin)を算出することが一層好ましい。充電率差閾値(ΔSOCvth)が大きい状態で注目容量劣化率(SOHQmin)を算出することにより、誤差の影響を抑制でき、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0088】
また、注目劣化率抽出部(120,140)は、複数の電池セル11の2点のタイミングの充電率(SOCv)の差のうち、最大値(ΔSOCvmax)と最小値(ΔSOCvmin)との差(ΔSOCvmax-ΔSOCvmin)が所定の充電率差ギャップ閾値(ΔSOCvgapth)以上であることを条件(CDL)として、注目容量劣化率(SOHQmin)を算出することが一層好ましい。上述の差(ΔSOCvmax-ΔSOCvmin)が大きい状態で注目容量劣化率(SOHQmin)を算出することにより、誤差の影響を抑制でき、電池セル11の容量の劣化状態を一層適切に管理できる。
【0089】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0090】
(1)上記実施形態における電池制御装置100,170のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0091】
(2)上述した電池制御装置100,170における各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【0092】
(3)上記各実施形態においては、何れも最大抵抗劣化率SOHRmaxおよび最小容量劣化率SOHQminの双方を算出しているが、使用する劣化率が一方である場合には、不要な側は演算しなくてもよい。例えばハイブリッド自動車のように瞬間的な許容電力Pmax(
図3参照)が重要である用途には最大抵抗劣化率SOHRmaxを求めていれば、最小容量劣化率SOHQminは不要である場合も考えられる。また、電気自動車のように走行可能距離に影響する許容エネルギーEmax(
図3参照)が重要である用途には、最小容量劣化率SOHQminを求めていれば、最大抵抗劣化率SOHRmaxは不要である場合も考えられる。
【0093】
(4)上記各実施形態における最小SOHQ演算部140は、上述の条件CDH~CDKまたは条件CDI~CDKが「真」であることを条件として、SOCv1[ ]またはSOCv2[ ]を算出した。しかし、SOCv1[ ]またはSOCv2[ ]を算出する条件として、上述した条件CDB,CDCを追加してもよい。
【0094】
(5)上記各実施形態は、最も劣化した電池セル11の最大抵抗劣化率SOHRmaxまたは最小容量劣化率SOHQminを求めるものであったが、「最も劣化した電池セル11」に限らず、任意の電池セル11のセル電圧に基づいて、その最大抵抗劣化率SOHRmaxまたは最小容量劣化率SOHQminを求めてもよい。
【符号の説明】
【0095】
11 電池セル
100,170 電池制御装置(コンピュータ)
116,176 代表SOHR演算部(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)
118,178 代表SOHQ演算部(代表劣化率算出部、代表劣化率算出手段)
120 最大SOHR演算部(注目劣化率抽出部、注目劣化率抽出手段)
140 最小SOHQ演算部(注目劣化率抽出部、注目劣化率抽出手段)
Ic セル電流
tu 使用時間
SOCv 充電率
Tmax 最高温度
Tmin 最低温度
Vpth 閾値(分極電圧閾値)
Vpave 平均分極電圧(平均値)
SOCmax 最高充電率
SOCmin 最低充電率
SOHQave 平均容量劣化率(代表劣化率、代表容量劣化率)
SOHQmin 最小容量劣化率(注目劣化率、注目容量劣化率)
SOHRave 平均抵抗劣化率(代表劣化率、代表抵抗劣化率)
SOHRmax 最大抵抗劣化率(注目劣化率、注目抵抗劣化率)
ΔSOCvth 充電率差閾値
ΔSOCvave 平均値
ΔSOCvmax 最大値
ΔSOCvmin 最小値
ΔSOCvgapth 充電率差ギャップ閾値